インドネシアの活力に感銘 本音で対話  人材・農業 中間技能者養成の仕組みを 仙谷由人氏・元官房長官 (2014年05月16日)

 民主党政権で官房長官を務めた仙谷由人氏(68)がインドネシアを訪問中で、政府高官や農業関係者と精力的に会談を続けている。15日、じゃかるた新聞を訪れた仙谷氏は、「インドネシアで中間的な技能者を養成することが急務。日・イ両国に利益がある」と強調した。

▽来イの目的から

 仙谷氏「ミャンマーにこの2年で13回行くなど東南アジアを駆け回っている。日本が中国への対抗力を持ち、米国の強欲資本主義にも負けない国力と、個人の意識を作っていくには、一国では無理。アセアンと一緒にやっていくのがベストだ。アセアンは中間層がどんどん増えていくだろう。それを支援する。ミャンマー、ベトナム、タイ、インドネシアだ。アジアに溶け込んで一緒にやっていきたい」

▽ミャンマーでは何を

 仙谷氏「昨年度、日本は単独で千億円援助した、ミャンマーがこれをどう使うか、主にインフラ整備なのだが、優先順位をどうするか、知恵を出せたらいいと思う」

▽インドネシアではどんなことを考えているのか

 仙谷氏「労働力の問題だ。日本はご存じの通り、建設、介護、医療を中心に深刻な人手不足。トラックの運転手も足りない。牛丼店でも人手がなくて閉店しているほどだ。インドネシアで、または日本で、中間的な技能労働者を育成して、日本で働いてもらい、ある程度高度な技能を習得してからインドネシアに帰り、仕事をしてもらう。中間層が厚くなるし、両国に利益があると思う」

▽もう少し具体的に

 仙谷氏「たとえば自動車整備工。いわゆる中間人材になるが、整備士の学校をつくって養成する。日本でもインドネシアでも必要な技能者だ。ボゴール農業大学の副学長と会談したときは、あの大学出ても研究者になったりして、農業に従事しない。では、土壌や品種の改良、保管や輸送、販売先開拓など総合的に優れた農業従事者をどこでどう育てていくのか、大学も私たちもそういう発想で考えた方がいい」

▽中間人材養成で重要な点は何か

 仙谷氏「農業でも、整備工でも日本の中間技能者のレベルは高い。なぜ高いのか、マーケットニーズに合わせる、と常に考えているからだと思う。そこが姿勢として大事。もう一つは一生かけてその仕事をするという本人の決意と、それができる環境だろう。日本の中間層の消費者は、たとえば野菜なら、安全、新鮮、おいしいの3条件を満たさないと買わない。すると農業者はそれを満たすために努力し、技能レベルも上がる。すでに香港やバンコクもそうなりつつあると思う」

▽日本がアジアでするべきことを要約すると

 仙谷氏「ジャカルタの工業団地を見てきた。トラックが洪水のように通る。日本にないエネルギーだ。ここは製造業中心だと実感した。製造業でもサービス業でも、アジアで仕事するには、民主主義と平和が大前提。それを支援しつつ、省エネとか、衛生とか、日本では当たり前の生活環境をアジアの人たちに提供していくことではないか。介護など、日本では行き過ぎている面もあるから、相手国と話し会う必要はあるが、これから車社会になるミャンマーには、まずメンテナンスを確立して、さらに、車検制度、損害賠償の仕組み、税金徴収の態勢を作る、とそういうことだ。その手伝いをする。我々の世代(60代)の責務ですよ」 (聞き手 臼井研一 写真 山本康行)