「とくしまマニフェスト」を読んで下さい。

2007年2月4日
徳島駅前にて

 寒くなって参りました。仙谷由人です。日曜日のお昼時ですが、今日は徳島駅前においてマイクを握らせていただきます。

地域医療の現状

 今日は愛知県知事選挙や北九州市長選挙の投票が行われる日です。そして一昨日、私は市長選挙の応援をするため舞鶴市へ行きました。今、舞鶴は医療が大変な状況になっています。舞鶴市民病院で内科のお医者さんが12人いたのに、11人が一斉に辞めてしまい舞鶴市民病院の内科が崩壊しました。医療崩壊の中で、どのように舞鶴の市民病院を建て直し、舞鶴市民の医療を保証していくのかということが大きな問題になっています。

 私は、舞鶴が大変遠いところに位置していると感じていましたが、実は、高速道路で行けば2時間30分程度あれば、十二分に徳島から舞鶴へ行くことができます。私は高速道路というものができて便利になったなと思いますが、高速道路のマイナスの側面ももちろんあります。徳島にお住まいの方が高速道路を使って神戸や大阪に買い物や映画やショッピングに行かれます。このことから、ストロー現象【人間・物資・資金などがストローを使ったように吸い寄せられてしまう】が起きているのではないか、地方の町や村がカスカスになってしまうのではないかという恐れがあります。

 現に徳島でも、海部郡は、今や人口が2万7000人になってしまいました。そしてストロー現象の影響もあると思うのですが、県立海部病院の産婦人科は今もお医者さんが1人しかいません。今年の7月からは、産婦人科が無くなってしまう。そのうち小児科も持たないだろうと言われています。海部郡では、救急の万全の医療体制ではありません。年が明けてからも、何人も急激に病状が悪化した方々がいたのですが、時間をかけて阿南共栄病院に送るそうです。この間、3人が、共栄病院に到着した時にはもう事切れてしまっていた、ということが起こっているのです。

 さあ、こういう問題をどうするのか、皆様方は夕張市のように日本全国津々浦々、中小の市町が夕張のようになってしまうのではないかという心配をされていると思います。あながちこのご心配は、「当たらぬといえども遠からず」です。

 政治というものに、私達がもう少し関心を持って声を出していかないと、気がついてみたら「一夜明ければ夕張」のようになってしまいます。夕張市では11カ所ある小学校が、1カ所にせざるを得ない状況となっています。さらに、住民負担は、倍に増えます。例えば腎臓透析をしなければならない患者さんがいるとします。腎臓透析は、毎月上限が1万円でできることになっていますが、毎月1万で済む透析をするために、交通費が4万円もかかってしまう。そんなことになりかねない恐れが、全国の市町村で起こりつつあります。

分権改革と地方議会の必要性

 私は、「生活の環境や条件を決めるのは政治だ」ということをもう一度お考えいただきたいと思います。その時の生活を決めるのは政治だという時の政治は、もう少し具体的にいえば議会です。徳島でいえば、徳島県議会であり、徳島市議会です。

 この間、権限と税財源を地方におろし、地方に分与するということが、中途半端ですが行われてきました。これは、この間の三位一体改革と称する小泉改革が、極めてデタラメで中央の役人の権限と財源を完全に取り払うことができなかったのです。

 小泉さんは、大声で郵政民営化、道路公団民営化といいましたが、霞ヶ関の役人の権限、財源まで着手できていません。小泉さんは、役人に任せっぱなし、言いっぱなしですから、役人は温々と談合を繰り返し、そして、自分たちの天下り先を確保することに皆さん方の税金を使うことが止まりません。だから、地方に皆さん方がせっかく払った税金が回ってきていない。回り方が、甚だ少ないのです。

 本物の分権をやらなければ徳島県や徳島市もその裁量の中で、皆さん方のお気持ちや要望をちゃんと実現するような施策、政策をとることはできません。分権の受け皿たる地方議会が機能し、皆さん方のお気持ちを議会として表現しなければならない。そうでなければ借金まみれで、明日から借金の金利を払うために、学校を減らし、病院を減らし、ゴミの収集を減らし、すべての行政サービスを半分にカットしなければならないのです。行政が無駄なハコモノを作ることを議会がちゃんと止めなければ、漫然と過ごしていれば気が付けば夕張のようになるのです。だから、議会は大事なのです。

地域の中(タテ、ヨコ、ナナメの関係)で教育をすべき

 今の子ども達は、テレビとパソコンの方ばかり向いています。学校や地域の中で、遊びながら学ぶ、学びながら遊ぶということができなければ、テレビとパソコンが、子どもの成長の対象となります。このことから、頭の中がバーチャルになります。仮想と現実が分からない子ども達が増え、妹を殺して切り刻み、自分の夫を切り刻むという妙な事件が頻々と起こる事態になるのです。

 このような事件が起こる背景を、一言で片づければ、教育が悪いとなるのです。しかし、誰が、どこで、どのように教育を行えば、すぐ切れる子ども達でない、しっかりと生きる力と社会性を持った子供を育てることができるのでしょうか。家庭や学校だけでは、無理です。タテ、ヨコ、ナナメの関係を構築することが、必要だと思います。ナナメの関係とは近所のお兄ちゃんやお姉ちゃん、親戚のいとこの年上の子や、年下の子、地域の中でのおっさんやおばちゃんとの関係をいいます。私は、このナナメの関係こそが、子どもの教育にとって、最も必要であると考えています。

 子どもが、孤立した空間の中で、テレビとパソコンゲームを相手に1日を過ごすことは、友達関係やお父さんやお母さんや、ご近所の方々とまともにコミュニケーション、意思を通わせる大人にはなれないことは、当たり前の事ではないでしょうか。

学校給食に炊きたてのご飯を

 1月27日、私達は、とくしまマニフェスト大会を開いて4月に行われる統一地方選挙の徳島版である「とくしまマニフェスト2007」を決めました。皆さん方からも、この「とくしまマニフェスト」を読んで、ご意見をいただければ、大変ありがたいと思っています。今度の統一地方選挙で、皆さん方にこのとくしまマニフェストを訴えて、このことを4年間で実現していく。今までの機能不全であった地方議会から、住民の声をとり入れた条例が作れるような議会を作りたいという思いで、皆さん方のご意見を聞いたり、ご要望を聞きながら、とくしまマニフェストを作りました。

 とくしまマニフェストの中で、例えば、子育て、子ども達の学力を考える時に、今の子ども達の学力を上げる最も良い方法は、「早寝、早起き、朝ご飯」ができれば、学力はずいぶん上がるといわれています。そして、ご飯を食べる子ども達が、食べるご飯を誰がどのように作っているかということを、身を持って分かっていくのです。ご飯はコンビニに行けば売っているのではなくて、お百姓さんが丹精を込めて作って、刈り取って、その1粒1粒に心がこもっているのです。このことを理解しながら炊きあげて、ほかほかのご飯を食べる。子どもはご飯を通じて、いろんな世の中の仕組みを学んでいけるはずです。

 私達は、子どもの学校教育において、給食は大事だと考えています。現在、学校給食の中で、炊きたてのご飯が食べられないという状況にあります。では、食べられるようにするには、どうしたらいいのでしょうか。私は、教室に炊飯器を備えればいいと考えています。そして、3年生か4年生になれば、毎日子ども達に米を洗わせて、その後スイッチを入れる。給食の時間になればお米が炊きあがり、みんなで炊きたてのご飯を食べる。そして、5年生か6年生になれば、春にどこかの田んぼを借りて、生徒も先生も農家の方々のご指導をいただいて田植えに行く。その後、草取りに行く。秋になれば、刈り取りに行く。籾をお米にする過程も、みんなで作業をする。そういう体験に基づく教育こそが、子ども達の食に対する思いを、身を持って教えることになります。

自然環境の変調

 今、将来的な問題として最も大事なことは、自然環境です。皆様方は、テレビや新聞でお気づきになっているように、今年は世界中で暖冬です。この不気味な暖かさは、何なのでしょうか。私達は、年中、春か秋のような気候があればいいと思います。しかし、季節の変化がない気候は、自然作物にしても、生態系全体にしてもいろんな変調をもたらしています。

 寒い時には寒くなければいけません。自然に対して目を開かせる。子ども達が、自然の一端に触れていく学びの場を作らなければなりません。そうしなければ、これから育っていく子ども達は、自然や生物と切れた関係になってしまうのです。

「学校給食会」という利権団体の実態

 なぜ、今までほかほかの炊きたてご飯を、給食に出すということができなかったのでしょうか。学校給食会という文部官僚の天下り組織があります。すべての給食の食材は、学校給食会を通さないと、学校や給食センターに提供できないという仕組みになっています。学校給食会を通す時にピンハネをして、天下りの役人が飯を食っていくという巨大な利権団体となっているのです。

 日本は、小学校だけでも3万という学校があります。学校給食の食材は、すべて学校給食会を通らないと、給食の食材として使えないのです。反対にいいますと、学校給食会という1割ピンハネする組織があり、ピンハネした1割のお金で豊かに暮らしていける、天下りの官僚OBがいるということです。

 なぜ、私達は、その地域で取れた野菜や米を使って、給食の素材に出来なかったのでしょうか。残念ながら、国会も地方議会もなかなか気がつかないような、巧妙で複雑化した仕組みになっているのです。そして、政治家や役人の中にも、学校給食会経由における食材納入の利権構造に影響力をもつ者がおります。だから、なかなか変えることができないというのが実態です。このことについては、新聞も詳しく書きません。市民の皆さん方にこういう実態を知っていただいて、「これを変えるのは議会なのだ、政治なんだ」という認識のもと、これを変えることのできる議員をお作りいただかなければ、いつまで経っても変わりません。

住民生活を決めるのは政治(議会)である

 皆さんに考えていただきたいのは、「政治は、生活」そのものなのです。反対にいえば、生活を決めるのは政治なのです。皆さん方の生活条件を決めるのは、政治であり、議会です。とりわけ地方議会というのは、皆さん方の身近なことを決めていきます。今年の介護保険料をいくら上げるのか、国民健康保険料をどうするか、県立海部病院の産科を無くすかどうか、小児科をどうするかということを、全て地方議会で決めます。

 政治や議会が決めることを、私達は日常性の中で見過ごしています。見過ごした結果、最悪のケースとなったのが、夕張市です。皆様方の家計負担において、住民税が上がりました。お年寄り、年金で生活をされる人の中で、ひどい人は住民税が8倍にも上がりました。国保料、国保税(:国保料は国保法、国保税は地方税法に基づくもの)、介護保険料も上がりました。問題は、負担が上がったけれども、サービスが良くなったのか、どうなのかということです。我々の払った保険料や税金が、どのように使われているか分からないのに、ただ、負担だけ上げられたのではたまりません。負担を上げざるを得ないのであれば、ちゃんと説明してもらわなければ長続きしません。議会の議員の方々が、皆さん方に説明をすることが極めて重要なのです。

量より質の政治を〜議会基本条例と議員提案条例

 今、先進的な県や市町村(北海道栗山町)では、議会基本条例(議会内のルール)を作っている地域があります。例えば、「議員は、1年間に何回か、住民の皆さん方に対して説明会を開く」ということを書いたり、「住民に情報を開示する」、あるいは「インターネットや地域のローカルテレビで、議会の審議の模様を公開する」ということを議会基本条例の中に書いて義務化しています。

 議会基本条例を作って、議員一人ひとりが「教育については、こういう条例を作ろう。」「読書コミュニティを作り、それを条例化しよう。」「皆さん方の糖尿病の対策については県がこういう事をすべきだ。だから、糖尿病対策条例を作ろう。」あるいは「ガン検診推進条例を作ろう。何%まで、何年間に、ガンの検診受診率を上げよう(とくしまマニフェスト『ガン検診普及条例』=現在10%未満の「がん」検診の受診率を4 年間で50%にし、生存率を80%まで高めます。)」ということなどを、県民や市民の方のご意見を聞きながら議会で作っていく。

 条例化することに対し、知事や市長から「そんなお金はない」という事を言われるかも分かりません。「いや、こちらに使われているお金を、こちらに回せばいいのだ。では、県民、市民、住民の皆さん、どちらに使った方が良いのですか。」ということをお伺いして、決めるのが政治です。これからの時代は、あれもこれも要望するというのは、殆ど難しい状態となっています。国や地方の政治は、あれかこれか、この時期にはどちらに重点を置くか、という時代になったのです。

 これは、やむを得ません。昔のように毎年毎年、7%、8%、9%、10%という経済成長は見込めません。また、毎年毎年、税収が伸びるという時代ではありません。いろんな制約があります。つまり量よりも質を、我々が求めなければならない時代になっているのです。

医療、教育の制度的充実と人材育成

 私達が生活をしていく上で、最も大事なことは何なのか。皆さん方が、医療に対して万全なものであってほしいと思われる、また、将来への不安、生活の不安を取り除く仕組み作りが最も重要だと思われるならば、医療に予算をつぎ込むべきです。健康保険料は払っているのに、いざとなったら診てもらえる診療科がないという、こんな馬鹿なことは無くさなければいけません。そして、医療について、万全の提供体制を取ってもらえるような、仕組みを作らなくてはいけません。

 子育て、教育が大事であり、将来の徳島、日本を背負う子ども達の教育が一番大事だと思っている住民が多いのであれば、教育や子育てにどんどんお金をつぎ込もうではありませんか。子ども達が健全に育つことが、5年後、10年後の年金を支え、皆さん方の医療を支えるのです。

 私も、61歳になりました。もう5年経てば高齢者群に入ります。その時に、私達を支えてくれるのは、20代や30代の働く若い人達です。そして、20代、30代の年代層の人達の子どもも、あっという間に20歳になります。この子ども達は、健全な社会人として、そして働くことに喜びを見いだして、新たな価値を生み出してくれる。これからの徳島、日本を、もっと住みやすい、質の高い町にする。それをちゃんと支えてくれる人材を、我々が育て支援をしていかなくては、危ういものになると思います。

中央政府と夕張市の財政比較

 今の政府の財政を見ますと、財政破綻した夕張市と変わりません。今、夕張には632億円の借金があります。億を兆に直すと、ほぼ日本と同じです。夕張は、59億円の税収があり、632億円の借金という財政状況にあります。政府は、たった54兆円の税収で、800兆円の借金があります。億と兆を変えるだけで、夕張市と政府は殆ど変わりません。そして、税収が少なく、借金が多い市町村は、徳島県も含めて県内の市町村も相当数あります。このまま漫然と時を過ごしていれば、夕張化する可能性が強いのです。

 住民の皆様方が、見識を持った議員を作ってお育てをいただかないと、いつまでたっても元の木阿弥ということになります。今度の統一地方選挙、参議院選挙は、夕張市のような状況が改めて目に見えてきた分、皆様方にも極めて重要だということが分かってもらえると思います。

徳島の皆様方に「とくしまマニフェスト」を読んで頂きたい

 地方議員は、口利きや陳情政治ではなく、「4年の間に、このことだけは力を入れて、汗を流してやります」という約束を、皆さん方にするかどうかです。私達は「とくしまマニフェスト」を作り、民主党の候補者達は、このマニフェストを掲げて皆さん方に選んでいただければ、徳島県議会や徳島市議会の中で、マニフェストに書かれたことは必ずやります。このマニフェストは、限定的なものですが、何もかも全てができるという甘いことは言いません。しかし、子育て、教育、医療だけは、万全のものにする。その一端、きっかけとして、このマニフェストに書かれていることを実現します。どうぞ皆さん、マニフェストを見て下さい。読んで下さい。そして、ご意見を下さい。皆さん方の優先順位を、教えてほしいのです。

 私達は、マニフェストが完全だとは思っていません。一つの問題提起として、このマニフェストを示しています。今、日本人として、徳島に住む者として、これだけはちゃんと整理しなければ危ない。その危機感から、マニフェストを作りました。マニフェストを掲げて、今度の統一地方選挙を戦います。全ては子ども達の未来のために、政策でお示しをしたい。その政策を、実現させて貰いたい。そういうつもりで、今年の戦いに望みたいと思います。どうか皆さん方の心からのご支援やご助言、お教えをいただきますように、改めてお願いをいたします。今日はありがとうございました。

                                 以上