仙谷由人政調会長/定例記者会見要旨

2005.07.20(水)17:30〜18:00 (於:衆議院本館−第4控室)

■アスベスト問題PTの設置について

 明日(21日)の9時から第1回目のPTを開催する。まずは労災保険法、労働安全衛生法の範囲のところで、緊急に出来ることをやっていく。

 アスベストは、労働者の問題から地域への影響、公害的状況があるのではないか。働いていた人のみならず、家庭に持ち込まれて洗濯をした人にまで影響が出ている。住宅なども、建材にアスベストが使われている物が非常に多いと言われており、これを解体するときに今後どういう影響が出てくるのか、など広範かつ深刻な問題になってくる可能性がある。緊急の課題としてやるべきことはやるが、日本の行政もこの問題に、今までの約10年間放置されてきたと言われているが、真剣に取り組んでいかなければならない。今、アメリカは年に10万件の賠償訴訟が出て、企業倒産が続出している。年間4000人が、アスベストが原因で、中皮腫で死亡している。この間の賠償金支払いは7兆8千億円に上るということで、日本も本格的にこの問題に取り組まねば、深刻な問題になるだろう。心して取り組まなければならない。

[政府の責任について]

 被害がもっと拡がれば、ある種HIV事件の時のような状況を広範にしたような話になるのではないか。大変難しいのは潜伏期間が長いことで、中皮腫という症状が現れて、死に至るというのは大量に吸い込んでも30年40年かかるケースの方が多いというから、わかっていても、解決へは時間がかかるだろう。

 HIVも、BSEもそうだが、この種の問題は、諸外国が気付いて製造・使用・販売を禁止した後も、官僚機構へのフィードバックが効かない。前任者の責任にしてはならないという日本の官僚組織のある種のかばい合い体質が、被害を大きく広範にしているということだから、緩んだ行政の仕組みが、ついにこういう問題にも表れてくる。こういう問題についても政策選択というか、政権を争う中で国民に提示され、国民が選択するシステムになっていないから、ずるずるとこうなったのだろうと思う。自民党の責任も重いし、霞ヶ関の責任も重いと思うが、ここからは政権を代えることでこの種の問題にもメリハリをつける、政策競争が行われていく、そして行政に対して徹底した調査や対策を講じさせる政治主導というものの重要性が、改めて我々に突きつけられている。

[アスベストの全面禁止が2008年であることについて]

 当然、繰り上げてただちに禁止ということになっていくと思うが、ここまで使われているのをこれからどうやってその影響が出ないようにするか、公共建造物のみならず私的なところにも使われていて、その耐用年数が過ぎたものをどうするのかなど、本格的かつ真剣な調査が必要だろう。

■与党議員立法・「偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護に関する法律案」について

 気が付いてみたら預金が無くなっていたという、預貯金者の保護の問題だが、自民党案はカードに限るというのが、一つの問題である。それから、どういう場合に預貯金者が救済されるのかという面では、「速やかに金融機関へ通知、遅滞なく金融機関に対する十分な説明、捜査機関への届出」という三要件を満たし、なおかつ、いろいろ要件があるわけで、民主党案は端的に預金者の故意もしくは重過失を金融機関が立証できた時のみ預金者等について、いわゆる債権の準占有者に対する支払と言われている、金融機関が免責される条項が適用される。今のカード時代、社会の治安が悪化している現時点において、この種の問題で預金者を保護しようというのが我々の法案だから、民主党と与党では、相当話が違う。

 与野党協議で突き合わせて、どこまで与党の方が呑むか、中塚・偽造キャッシュカード等対策WT座長が行っていると聞いている。基本的な考え方がどうも違うのではないか、自民党案は及び腰過ぎるのではないか、という考え方を持っているようで、その場合は同調せずに我々の方は我々の提案の採決を求めていく方針で、対応は峰崎ネクスト経済財政・金融担当大臣に一任されたという報告があった。

■郵政民営化(自民党・片山参院幹事長の)監視議連構想について

 極めていい加減な話だ。法案審議の中で最初に問われなければいけないのは、民営化委員会が業務を規制するのかしないのか、あるいは民営化された会社の自由度は何か、ネットワーク会社の改廃については誰が決定権を持つのか、そのことはユニバーサルサービスの維持とどう繋がるのか、ユニバーサルサービスの維持をなぜ回りくどい方法でやるのか、いろんな問題がある。そもそも、逆方向に向いたことを修正で行うとか説明で行うとか言っているから、それを監視すると言っても何を監視するのか、私はよくわからない。これは多分、新たな族議員を作るだけであり、新たな既得権層を生むだろう。次々とこういうつぎはぎやほころびをモグラ叩きのように作っていく手法というのも限界に来ていると思う。郵政民営化法案のはらむ本質的な矛盾を解決するものではない。これは過疎地のみならず、地域切り捨て法案だ。田原総一朗さんなども、これは完璧な日本株式会社によるリストラ法案だと言っており、だからそれが必要だという立場もあるが、やり方と物事の順序について、当然ながら公共的性格を持つ、ライフラインになっている部分が大いにあるから、やり方が大問題だし、民営化で、見えざる神の手が出てきてうまく調整してくれると考えるべき世界ではないと思っている。そういう矛盾が次々に出てくることを覆い隠す、押さえつけていくためにこのようなことを考えるというのは、誠に見苦しい。

 やはり先般の5票差の可決というのは相当なインパクトがあり、参議院の選挙区選出の議員に対しては相当影響力を持つ、そのことによって態度を変える議員も相当出てきているのではないか。

 そもそも年金合同会議で、与野党で何を議論しようとしているのか。基礎年金の3分の1の国庫負担を2分の1にするために、その6分の1分を増やす手立てや財源をどうするのかということを与野党協議するという話なら、時間の無駄だからやめましょうと、与党でご自由にやって下さいということを、改めて枝野筆頭幹事と私から申し上げた。

 今の時代に年金というのはどういう意味を持って、必要なのかどうなのか、必要だとすればどういう仕組みにすれば持続可能性があるか、国民皆年金というコンセプトの下に制度設計された現行年金制度や制度設計の前提が、相当大きく崩れつつあるわけだから、改めて制度設計をする必要があるのではないか。そうだとするとそのことを現在年金のおかれている危機的な状況についての共通の認識が生まれ得るかどうかの議論、生まれ得るとするならばそれを前提とした制度設計の議論、こういうことになるはずだが、どうもこの4回の実質的な議論を見ていると、そういう話になっていない。単に協議をすることだけではないか、あるいは国庫負担を3分の1から2分の1にする、その後の高齢者医療制度で財政的な観点からのみ共犯者を作りたい、自分たちだけでできないから、一億総懺悔ならぬ皆で渡れば怖くないという話でやろうとするなら、それはお付き合いしかねるという話を強くしておいた。そのために制度の再設計、抜本的な改革と我々は言ってきたわけだが、与党は抜本改革が必要だと思っているのか。年金合同会議を始めるときの基本認識、合意文書の中では危機意識を持っていると言っているのに、合同会議の議論が始まるやいなや、そういう基本認識は放り投げて、我が党の矛盾を突くのは結構だが、去年改正されたと称する年金改革法が100年安心プランであると言わんばかりの、これほど見事な、立派な法律はないという話だから、年金について考え直す必要はないと言うのだから、一体何を議論したいのか。

 以上のような話を改めてしており、その態度は変わらない。そのことについて自民党の理事から「そんなに止める、止めると言われたら困る」という話があったが、「そもそもあなた方が、年金法案を通すについて協議をしたいと、民主党が協議に出てこないと言っていたのに、あなた方は何を協議するつもりだったのか」と申し上げているところだ。つまり、話し合いという枠組みだけを作り、そこへ引っ張り込んで話を訳わからなくしてしまうという自民党一流のやり方を、我々は認めたり同調したりは絶対にしない、ということをはっきりさせたい。ただ、本気で年金の課題、社会保障の課題を、大転換してきた時代背景というか、構造的歪みを共通する認識として持つために議論をする、改めて制度設計をするという真面目な態度ならば、我々は十二分に議論をする用意があると申し上げ、改めて、先般のあまり真剣でもなく真面目でもない年金合同会議における基本的な姿勢について枝野筆頭幹事から注文を付け、三項目の合意を行った。

以 上