仙谷由人政調会長/定例記者会見要旨

2005.06.29(水)16:00〜16:30 (於:衆議院本館−第4控室)

■郵政民営化関連法案の自民党修正について
 これほど議会をないがしろにし、バカにしたやり方はない。自民党内修正というものを、国会の議論と関係なくやってしまう。法案を出す前0に済ませておくべきことを、議会をやっているという形を装いながらやるということだから、極めて国会を軽視し、ないがしろにしている。ということは、国民を全くバカにし、てんで相手にしないということだ。その象徴的な事例が、地方公聴会をやりながら、地方公聴会での
意見聴取とは関係ない法案修正を試みた、ということである。『次の内閣』の閣議でも、法案修正をしようとするならば、地方公聴会の参考人からもう一度意見を改めて聞き直すべきだ、という意見が出された。私もそうだと思う。いずれにしても、国民を愚弄するペテン師的なやり方、特に小泉総理は前日まで「修正はありえない、廃案でいい」という大胆かつ堂々たる主張をしていたにもかかわらず、一夜明ければ豹変、というやり方は許されない。真面目に国会で議論をし、政治家が言葉とその論理性によって国民に説明をし、説得をすることがない限り、国会は全く意味を成さないものと国民に思われてしまうのではないか。これは大変ゆゆしい政治不信を生む。「小泉総理は思い切ったことを言う人だ、変わり身が早くて鮮やかだ」という報道は、国会や政治における議論、言葉というものに対する不信感を高めるだけだ。

■政府税調報告・サラリーマン増税について
 小泉総理が消費税は上げない、と発言していることと、半分ぐらいリンクしている話だと思うが、何を思ったか、所得税を上げるということだ。上げればどうなるか。年収500万で、第一段階で13万円ぐらいが26万円ぐらいになる。第二段階になると、いま現在13万円ぐらいが46万円ぐらいになる。このような増税のプランが示された。
 改めて思い出してほしいことは、95年、武村大蔵大臣の時に「財政危機宣言」が大々的に発せられた。村山内閣、ちょうど10年前の話だ。国・地方合わせて借金が300兆円ぐらいの世界だった。96年に、私が2回目の当選を果たし、国会で武村さんと一緒に、財政赤字を考える会、財政再建を考える会だったか、を開催し、そこへは小泉さんも出席していた。しかし結局、この2005年度末には1000兆円を優に越える借金になった。この責任は誰にあるのか。10年後の今日、まずは考えてほしい。これだけの借金を、延々と自民党内閣のまま、増税によって1000兆円の借金を少々でも返していく、1000兆円の借金の増え方のスピードを遅くするために、サラリーマン増税をかける、取りやすいところから取る、「サラリーマンの諸君もっと頑張ってくれ」という石政府税調会長のインタビューの話は、もっての外だ。
 今はどの指標を見ても、ワニの口が開いたような可処分所得の状況、あるいは、企業サイドから見ると人件費の状況、いずれも二極化の状況が甚だしい。2割かせいぜい3割ぐらいの方々が、増えないし減らないという水平のラインに留まっているようだが、あと7割の雇用者はどんどん落ち込んでいっている。これは数字を見ても明らかだ。この段階で、経済政策として個人消費をどう上げていくかという方針もなく、個人の所得税、住民税に対する増税案を描き上げてくるというのは、誠に空恐ろしい政治・政策だと思う。1000兆円の借金を作った責任に口を拭って、搾れるところから搾り取って、ただ財政の悪化を防げばいいという、こんな政治はそろそろ終わりにしなければいけない。
 30日に「民主党・サラリーマン増税対策本部」が開かれるが、そこでは私の方からも数字を上げた反論を出そうと思っている。都議会議員選挙という良い機会だから、各候補者、陣営、応援弁士が、具体的な数字を上げて、この危機状況を訴えていく。

[サラリーマン増税対策本部の具体的な活動]
 当面は、国民の皆さん方に対して、政府税調の報告について、民主党のアピールをあらゆる手段を使って広げていくということになる。当然の事ながら、税制についてより詳しい勉強もしていくということになろうかと思う。

[税制について]
 経済構造から考えると、相続税を含む資産税をどうするのか。所得税・住民税は、財政の赤字が膨大になったから、国民から重税・増税をしてカバーしようということであってはならない。所得税の世界というのは、所得の再配分機能をどう使うのかという観点が絶えず必要だ。所得の再配分機能とは、世代的な所得再配分も、当然の事ながら考えなければならない。公正な、機会が均等に保障される競争社会を作るという社会目標があるとすれば、そのために税をどう使うのか。消費税もその一環だと思うが、所得・資産・消費、このバランスを時代状況でどう考えるか。時代状況とは、経済構造、産業構造、就労構造、あるいは家族の状況、人口構造、これらの大転換の時代だということを合わせて考えていくことが必要だと思う。 資産課税の問題と、従来からずっと社会保障との関係で問題となっていた消費課税を考えないで、所得税だけを出してきたというのはどういう目論見かわからない。所得税だけ出して、ここに対する批判が強いからやっぱり消費税だ、と政治的に転化しようと思っているのか。税の問題は一番大事な問題だから、我々は、今までも相対的に痛めつけられ、安易に取られてきたサラリーマンの方々に対し、バランスを考えないでサラリーマンだけ税収を上げる、いまの2倍、3倍もの所得・住民課税をするということは、あってはならない。今年の予算委員会の冒頭、この状況下で、サラリーマンに対する定率減税の縮減を、この程度でもすることの問題性を申し上げた。それを遙かに超える分厚い増税であるから、働く皆さん方には監視、注目をしていただきたい。

■民主党の官製談合防止のための法律改正案について
 従来から独禁法改正の中で議論されているが、公共調達をめぐる官製談合防止法が強化されなければならない。そうしない限り、日本の構造、つまり常識化している官製談合、談合的構造がなくならない。談合的構造がなくならないことによって、受注金額が高止まりする。よく言われるのは、公共調達の世界では民間とは3割・4割は違うという話だ。これは病院のタオル1枚から、給食の購入費から、橋梁という工事からトンネルから、全てがそう言われている。談合によって受注金額を高止まりさせ、そこで儲けて民間で大いに競争するというのが、建設業界や、福祉の業界もそうだと言われている。この構造をなくす、我々の税金が垂れ流されているという構造をなくすための手立てが講じられない限り、増税はとんでもない話だ。
 この際、思い切って、関与した公務員を罰する。談合の話になると、最終的に公務員は陰に隠れて、表向き「私たちは無関係で、談合するやつが悪い」と言わんばかりの態度を取ってきたことが、いつまで経っても談合がなくならない原因であり、それに関与した公務員について、現行の「入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律」、これは与党が、公務員に対する罰則を避けるという前提で法律を作っているから、ここに罰則をかける。罰金刑でも罰則をかけることが重要だ。「刑法の一部改正」も、現在、公務員が身分犯的な規定の仕方になっていないので、関与した公務員は懲役以下、相当重い罰金がかかる方向で法案を作ってほしいということをお願いした。
 一方で郵政民営化の議論がされているが、鳴り物入りの公団民営化というのは、年間1000億円の発注をする橋梁の工事で構造的に談合が行われてきた。今日から道路公団に対する強制捜査が始まるが、道路公団が胴元になって、具体的に動いた人は公団OBなのか何か知らないが、公団OBと現役の諸君が一体化し、天下った各業者が一つのサークルとして逐次工事を受けている。この構造にメスを入れていただきたい。
 この構造を防止する法律を、かねてから我々も独禁法改正との関連で、この1年ぐらい考え、作業してきたわけだが、近々に、策定作業に入らなければならないので、議員立法登録がされた。

[具体的に何を改正するのか]
 かつて官製談合防止法は、相打ちになり、与党案が可決されて、我々が出した案が否決された。
 入札談合については、懲役刑も含む重罰化の方向で刑法を改正する。刑法96条の3に規定される競売等妨害罪、入札妨害という意味だが、そこに公務員の関与というのを改めて書くことになるだろう。もう一つ、官製談合防止法、関与した公務員について、現在は行政罰だと思うが、これを刑罰の罰金の対象とする方向で考えている。

■「建設労働者の雇用の改善等に関する法律の一部を改正する法律案」(閣法)について
 なぜ今の段階で、タコ部屋・ピンハネのようなことを奨励する法案の改正案が出てきたのかがわからない。このような法案が今頃出てくるというのは、誠にとんでもない話だ。これは国土交通省ではなく厚生労働省の方から出ているようだが、いわゆる建設業界における人夫出し企業や口入れ屋と昔から言うが、公然とその規制を緩やかにするという法律案であり、政府は一体何を考えているのか。『次の内閣』において、これは反対とされた。