仙谷由人政調会長/定例記者会見要旨

2005.06.01(水)17:30〜18:00 (於:衆議院本館−第4 控室)

 審議再開、改めて郵政特別委員会に出席することと同時に、各委員会での審議も再開されるということだから、精力的で国民によくわかる議論をしていただくように、今日の閣議で私からもお願いした。

■国土交通部門会議の資料要求について

 今日、民主党国土交通部門会議で、今回の橋梁談合事件に関連して、A会(東会)、K会(紅葉会)に所属する、つまり摘発を受けた企業へ、国土交通省・日本道路公団からの天下りについて、年度ごとの天下りリストを提出されたい、と国土交通省・道路公団へ請求した。

 橋梁の話ではないが、私も97年に衆議院の予算委員会で、土地改良建設協会所属建設会社への天下り役人名簿を手に入れて、出せ、と迫ったら、これはプライバシーにかかわる問題だから出せない、などと言われて、予算委員会審議が中断したりした。

 それを通じてわかったことは、いわゆる農業土木、土地改良事業の国直轄事業については、天下りを貰い受けていない企業は、土地改良建設協会に入れてもらえないということだった。土地改良建設協会に加盟できない会社は、諫早干拓や、当時徳島で国営農地防災事業というのをやっていたが、こういう直轄事業、だいたい予算にすると年間100億弱、この工事の指名入札に参加できないということが常識化しており、従ってこの名簿を出すのをものすごく嫌がった経緯がある。出てきたのを見ると、土地改良建設協会の場合は、各地方農政局単位で土地改良建設協会が組織され、そこに加盟する企業の支店長、本社の専務、もしくは支店の営業部長という肩書きで農水省OB、特に構造改善局OBがはまっていたという、ものの見事な話だった。たぶんこの構造は、全部にあるだろう。最近は、設備の方にこの種の談合構造、天下り構造があるのではないかといわれているが、橋梁というのは技術的にも大変難しく、世界に冠たる橋梁技術を日本は持っている。これを失わないために、本四架橋三本が済んだら、紀淡大橋を造って第二国土軸を作り、紀淡海峡が出来たら次は佐田岬と大分県を結んで四国と九州を渡して、九州は今度どこへ行くか、釜山と下関の間に橋を造るとか、壮大な夢は素晴らしいけれども、橋技術の世界というのも談合の一環を成していると見ていいのではないか。これはちゃんと出していただいて、受注等々を見れば日本のその種の構造がますます明らかになるのではないか。たぶん入札価格の高止まりというのがあるということが、最終的には明らかになっていくのだと思う。

■民主党議員立法・人権侵害による被害の救済及び予防等に関する法律案について

 1996 年に人権擁護施策推進法案というのが秋の国会で成立した。国連の人権委員でパリ原則というのが作られ、裁判所だけで人権救済が行われるのではなく、裁判所は人権保障の最後の砦だが、その前段階として、人権オンブズマンとか人権救済機関、人権委員会で人権保障を実現すべきだということが世界の流れだ。当然その機関は、教育啓発・調停勧告といったソフトな格好での人権侵害を止めていく仕事もすべきだ。また、審判や裁定が行われた場合、次の段階では裁判所でその審判が正しいかどうか争われる。私が一番近いイメージで考えているのは、労働委員会のもう少し活性化したような機関だ。労働委員会は、基本的に不当労働行為の申し立て以外受け付けられないが、人権侵害となると、大変幅広い人々からの申し立てがあり、外国の例などを見ると、苦情申し立て的なものから始まって、これはうちで扱うものではないというのも相当来るようだが、そういう事前の人権救済機関を作るべし、というのが先進国・中進国のトレンドであり、96年から日本も始まっている。ところが、あっちへいったりこっちへいったり、答申が出されたりもしたが、最後には、自民党では人権侵害を受けた人を救済することは人権侵害をした加害者をやっつけることになるからけしからんというような訳のわからない議論が出てきている。私は、ここまで長く掛かっていることが、日本は国際社会における国際法の諸原則をどう守るのか、どう国内法を整備するかという点に置いて、国連の人権委員会の議論などを見ていても、人権委員会がいつまで経っても立ち上がらないという状況は、ヨーロッパとアジアの中進国から見れば、相当冷ややかな笑いを持って迎えられているのではないかと、いつも危惧し、心配している。

 人権侵害というのは、被害を受けないとなかなかわからない、被害を受けたときは遅い、というのが世の常だから、そこに対する想像力は働かせなければいけない。総中流社会が壊れようとしている中、人権問題というものにお互いが目配りをしていく時代に、ついになってきたと思っている。弱者問題と人権問題は絡むことが多いが、身体障害者の方々、あるいは身分によって差別を受けるという封建時代の残滓が、ずっと日本にもある。障害者、お年寄り、女性、子ども、それから青年、若者までもが弱者になりつつあるという時代だから、私は、差別問題を中心とする人権問題が大変重要なテーマであり、そこに対するケアを制度的に担保することが、日本の社会的安定性や本当の意味での豊かさを作っていけると確信している。極端な例を事挙げして、加害者が糾弾を受けたから被害者になったという話は違う。

[いつ提出するのか]

 成立の可能性を出来るだけ多くするために、政治判断、国会内の政局判断をすることになるだろう。

 人権委員会は、私の理論だと、本当は憲法上、設置規定を書くべきだ。憲法12条に人権規定があるが、この人権保障規定を制度的に担保するものとしての人権委員会、人権侵害を救済する機関の根拠がいる。ヨーロッパ先進国の憲法をこの間勉強したが、そこを明確に位置づけてあり、オンブズマンや人権委員会、北欧では子どもの権利だけを見るオンブズマンがあるし、最近ではIT問題でプライバシーコミッショナーという、プライバシー侵害に対する専門的な救済機関、調整機関というものを憲法上書いてある国もある。EU憲法にもプライバシーコミッショナーが入っていたと思うが、そのように時代が動いているから、私の考えでは、そこまで行かないと本物ではないが、日本の憲法上そこまで行かなくても出来るということで、法律を作っているのだから、是非とも仕上げたいと思っている。

■日本の近現代史調査会の設置について

 自虐史観があり、反対に少々偏った、皇国史観が典型だと思うが、そういう見方もある。科学的であるか非科学的であるかで争ったりもしていたが、その二つとも少々違うのではないか。もう少し歴史的な事実をちゃんと踏まえた上で、我々民主党所属の国会議員は、出来るだけ多くの人々が共通の「歴史についての見方・考え方」を持てるように、改めて老いも若きも一緒に勉強していこう、こういう趣旨で近現代史の調査会を設置することにした。藤井代表代行が、趣旨に賛同していただいて、快く会長をお引き受けいただいた。

[とりまとめの時期は]

 とりまとめというより、党としての見方、考え方として、代表談話や幹事長談話などの党としてのアピールに表れるような、基礎的な作業の場になればいいと思っている。