仙谷由人政調会長/定例記者会見要旨

2005.05.25(水)16:30〜17:00 (於:衆議院本館−第4控室)

■リー・シェンロン シンガポール首相との会談について

 『次の内閣』の冒頭で岡田代表から、リー・シェンロン・シンガポール首相との会談について報告があった。リー首相から、現在の日中・日韓関係をシンガポールから見ていて、東アジアの安定と発展という観点からも、大変困った事態になって心配しているという話があり、岡田代表から小泉総理のやり方、政策展開が結果としてこういう事態を生んでいる、そのことの責任は大きいのではないか、ということを言われた。私も、国民の世論調査ベースを除けば、永田町では、内政・外交含めて小泉総理にこれ以上続けられると大変困った事態になるというのが大多数の声であるという話をした。中国の呉副首相のドタキャンについて、外交関係の約束をキャンセルするのは、何らかの事情があれ遺憾である、ということを前提にしながら、あまり諸外国から子どもの喧嘩などと言われないような成熟した関係を作る努力をすべき時点に来ていると『次の内閣』で申し上げた。

[会談での政調会長の発言について]

 歴史認識の話がリー首相からもされたし、先般、私がシンガポールに行った時、血債の塔に参ってきたが、なぜそういう塔が建っているのか日本人の多くは知らないと思うが、加害者側と被害者側という思いの中で、それぞれが歴史の一つ一つの事実や全体について双方の思い違いがあることを、我々も謙虚に認識をしながら、それを踏まえて未来志向の関係を作っていかなければならない。日本とシンガポールは、価値観を共有し、既にFTAも結んでいるわけだから、東アジア共同体の構築に向けて、ぜひ一緒にやっていかなければならない。

 日中・日韓関係については、喉に突き刺さった骨がやたらと大きくなっているように報道され、刺々しい関係になっているかのような報道があるが、この辺は乗り越えられるという確信をしている。日本のナショナリズムといわれるものが、それほど極端に流れることはないだろう。これは岡田代表もそういう認識だが、私も日本人の成熟した良識を信じている。そんな話をした。

■がん治療の前進をめざす民主党議員懇談会について

 『次の内閣』のテーマではないが、今日、私と古川政調会長代理、その他多くの議員と、民主党の中で「がん治療の前進をめざす民主党議員懇談会」を結成した。当初20人ぐらいの集団で議員懇談会ができたら、機動的に政策提言と実現を目指した行動をやろう、患者団体の話を良く聞いて、患者本位の政策提言と制度改革をめざしていこう、ということを考えていたが、予想外に党内でも拡がりをみせており、これからも参加者が増えるのではないかと予測している。非常に多くの議員が、急な呼びかけにもかかわらず参加していただいた。私もがん患者の一人としてこの問題を提起し、がん患者として苦闘をされている方々や家族の皆様と一緒に問題を考え、制度改革に邁進したいと思っている。

■郵政民営化法案の問題点について

 中身の議論はどこかで始まるのだろうが、岡田代表がおっしゃるように、中身の議論をする前提を欠く。今の公社自体、小泉さんが総理大臣になってから公社という制度になったと記憶しているが、その時点で民営化をしないという法律を決めているわけだから、けじめをつけるとすれば中央省庁等改革基本法33条6項の問題、削除の法案を同時並行的に出すべきだ。その問題を含め、我々がいつも申し上げている政府・与党の一元化、自民党の事前審査制の問題等、この辺もすっきりしていない。修正含みといっても、国会での修正ではなく与党内での修正含みだから、そういういい加減な話を、名存実亡な、とにかく郵政民営化の中身はなんであっても、郵政民営化という名前の付いた法案が通ればいいというやり方は、もう少し整理をしてから実質の審議をすべきだ。与党側も何があるかわからないが、いずれにせよ残りの日にちから見て、参議院まで通すということはありえないから、ここはじっくり腰を落としていくか、今国会は諦めて、そのための臨時国会を開くか、ということをお考えになった方がいいのではないか。

[法案修正を求めるのか]

 与党と政府でもう少し整理をされた方がいい。例の政令事項はともかく、いくら教えてもらって法案を読んでも、どういうことになるのか像を結ばない。たとえば、郵便局、特定局ではなく集配局の局舎はどこの持ち物になるのかと聞くと、まだ決まっていないという話だ。ということは、今度の話の中で、特定郵便局を含め郵便局会社の支店・営業所のようなものができるが、郵貯銀行の支店・営業所というものはないのか、郵便保険会社の支店もあるのかないのか、像を結ばない。物権としての郵便局舎は、どこがどう持つのか。その辺は全部、企画何とか会社=民営化委員会で決めます、ということになっているようだ。委任とか代理とか法的なテクニックを使いながら、一体的経営と業務拡大を目指すという与党多数の思惑が、民営化の中で妥協的にも決着がついていない一つの例ではないか。

[今後の審議について]

 先ほど申し上げたような前提問題が解決すれば、心と頭の準備はできている。与党の方で強行突破し、単独審議・採決をする気があるのか。聞くところによれば、修正等があってはじめて半々ぐらいで、本当は小泉さんと竹中さん以外に賛成する人はいない、という説まで出ているようだ。

 5月に法案を出したものを、会期末の6月19日までに通そうという虫のいい話はない。これほど大部な法案だから、国会で国民に対する説明責任を果たすには、そのための調査研究も必要だし、議論を通じて国民に郵政民営化法案なるものが何をしたいのか、国民生活にどう影響を与え、どう変わるのか、ということをちゃんと説明できる議論をしなければいけない。従って、十二分の時間を取らなければいけないということはわかっているにもかかわらず、法案の国会提出が実質上5月にずれ込んだというのは、野党の責任でも何でもなく、与党と政府の事情だ。

■人権侵害による被害の救済及び予防等に関する法律案

(民主党議員立法)について

 単独提出も前提にしつつ、我々はマニフェストに記載してきており、この間、党の統合もあったが、全て確認している問題だから、その線に則ってできるものなら、与党とすりあわせをしてやっていくべきだと思っていた。しかし、事ここに至っては我々の案を提示するしかない、と考えており、会期末までには提出することになるのではないか。党内的には、改めて法案として部門会議で議論をしておく必要がある。

以 上