「がん治療の前進をめざす民主党議員懇談会」

 医学・医療のめざましい発展は多くの国民に希望と勇気を与え、日本人の平均寿命を大いにのばしてきました。他面、今国民の3人に1人の死亡原因は「がん」であり、標準治療が普遍化されていない現実は、「がん」という病気とその言葉のひびきの持つ恐ろしさと相まって、これを克服し、日本人がより高いQOL(クオリティー・オブ・ライフ)をうるために、日本のがん治療の水準を先進国の医療にふさわしいものにする必要があることを物語っています。

 政府は、「第3次がん克服10ヵ年戦略」を昨年から実施していますが、その実態は、「遅々として進む」といったもので、一部の先進医療機関を除いては専門医の養成がとりわけ化学療法の領域で遅れており、また、患者とその家族にとって治療法や医薬品についての情報開示も不十分です。さらに、先進国でがん治療に有効とされている治療薬や治療法が日本で承認されておらず、保険適用もされていないなど「がん治療難民」が少なからず存在するという状態です。

 私たちはこうした現状を改善すべく、患者と意思の疎通をはかり、専門家が力量を発揮できるような治療環境づくりと、全国どこでも質の高いがん治療を受けることができるよう水準向上をはかり、がん克服の道筋を明確化させ、その実現をはかります。

 民主党の関係者も、多くの方がご家族、友人、知人が「がん」に罹患したり苦闘した経験をお持ちです。それぞれの経験を共有化し、明日のがん治療の前進に向けて、活動していこうではありませんか。

呼びかけ人  仙谷 由人
    同  朝日 俊弘
    同  足立 信也
    同  岡本 充功
    同  鈴木  寛
    同  水島 広子
    同  古川 元久
「がん治療の前進をめざす民主党議員懇談会」発足にあたって

5月25日(火)、いよいよ民主党でがん治療を考える議連を立ち上げました。呼びかけ人として仙谷由人も参加、発足総会で議連会長に選出されました。

会議冒頭、これまでの経緯と今後の活動について抱負を述べました。

 私は胃がんの手術を受けてからもう3年5ヶ月になります。私がこの病気を公表したのをきっかけに入院中からがん患者の方々、家族の方々とのお付き合いが始まりました。私の場合は外科手術だけ、それ以外の治療らしい治療は受けなかったのでわからなかったのですが、皆さんに伺ってみると全世界的にはがん治療も日進月歩で進んでいるに、日本はそうなっていない。保険診療ではできないことが多くて、例えば学会では周知の診療をしても保険外診療になってしまうことがある、様々な問題が起こっている。

 そこで、退院後、患者の皆様ともお話しながら厚生労働委員会で数回質問し、当時の厚生労働大臣の坂口さんのところへも申し入れに行きました。ところが要請に行っても担当部局が医政局だとか保険局だとか健康政策局とか、分からない。国立がんセンターのような公的機関でも縦割りと官僚的対応に患者が振り回されているという姿も見えてくる。そんな過程で日野市朗先生がお亡くなりになりました。そんな経緯を経ながら、私自身ももっと力を入れてがんの問題を取り上げていこう、日本の医療提供体制をなんとかしようと行動して参りました。

 我が国の医療提供体制を表す象徴が、がん治療に表れています。とりわけ化学療法に集約されている。早くなんとかしなければならないと思いました。例えば、拠点病院という名の医院もあるけれども何をしているのか分からない、こんなことも各地で相当あるでしょう。また、我が徳島には腫瘍内科の先生が一人もいません。そういった専門医の養成の問題というのもあります。

 3年前、私の退院後に厚生労働省は3度目の「対がん10ヵ年戦略」を実施しましたが、それを尻押しする議連を中曽根康弘会長をはじめとして自民党で作られましたので、お願いをして超党派で参加いたしました。しかしながら超党派になると今度は動きが鈍くなってしまって、結局今日に至ってしまいました。

 ところが、この間国民的にはインターネットの影響もあり、がん治療に対する関心も不安も要望として大きく出てきて、ついに5月28日、患者団体が大集会を開くというところまで漕ぎ着けました。一方、医薬品メーカーでも色々な事情があって腰が重かったのが患者さんたちの動きに伴ってそろそろと始まりました。さらに先日もNHKでは2夜連続で特集番組が放映されるなどして、国民的関心はますます高まっています。言葉としては語弊がありますが、機は熟してきた。時あたかも厚生労働省でも「併用剤検討委員会」「均てん化検討委員会」として遅々と行っていたのを、本部長を厚生労働大臣とした「がん対策本部」と新たにしました。尾辻厚生労働大臣は大変この問題に関心を持っていて、「全面的に推進したい」と洩らしているとも聞こえてきます。

 「国民がもっと先進国として相応しいがん治療が受けられる体制を早急に作らなければならない。」今、我々が民主党に議連を立ち上げて調査研究し、そして政策立案、尚且つ運動展開して予算付けをお願いするところまで、皆さんとともに持ち上げていきたい。今まさに心理的な問題を除けばがんは勝てない病気ではない。まさにこれからは患者の声を聞いて、それを普遍化し制度化するために取り組まなければならない、そう思っています。欧米に比べれば10年遅れている領域もあると聞きますから、猛スピードで追いつくためには何をすべきかということを問題提起していきたいと思います。