仙谷由人政調会長/定例記者会見要旨

2005.05.18(水)16:30〜17:00 (於:衆議院本館−第4 控室)

■『次の内閣』報告

[郵政民営化について]
 岩國ネクスト政治改革担当大臣より、先般法務委員会で、日本郵政株式会社というのは、商号の問題として許されるのか、という質問をしたところ、官名詐称と疑わしい、紛らわしい会社の商号を使うことは原則として許されないという政府答弁がなされた。「日本郵政株式会社という会社の名前は本来使われてはならない、純粋民間会社というのであれば、そういう名前はあり得ないということになる」という主張があった。今度の郵政民営化法案というのは何がなんだかよくわからない、日本が作ってきた諸原則をどんどん踏み越えたり、はみ出したりしながら、とにかく小泉民営化を法律として通す、というふうにしか見えない。

[民主党議員立法・被爆者援護法の改正について]
 被爆者援護法の改正だが、在外の被爆者の支援、援護について、裁判例がいくつか積み重なっており、在日であろうが在外であろうが国籍に関係なく適用されるべきであるが、これがちゃんと手当ができていないのが現実の姿なので、これを法律案として明らかにしようということ。これも戦後処理の問題で、60年経った今でも、戦後の問題が誠実に処理できていないということで、民主党として、改正案をきちんと出していこうということである。

■防衛庁設置法等の一部改正案について

[政府の法案対応について]
 現時点ではあくまでも修正を求めていくが、自民党がかたくなに拒まれるのであれば、反対もあり得る。全く受け入れられないときに、国民に対する説明責任・情報開示がうまくいくのか、あるいは日本国民の生命財産に対する防御・防衛が遺漏なく行われるのか、という観点から、改めて私と前原ネクスト防衛庁長官で検討して結論を出すことになる。

[民主党の修正案について]
 特に軍事の問題はそもそも機密性が高く、とりわけ日本は、寄らしむべし知らしむべからず、で来ているから、我が党の修正案で修正されなければならない、特に国民への公表という点を修正すべきだと思っている。

■岡田代表の外交安全保障ビジョンについて

[評価について]
 精査していないので軽々に評価することは差し控えたいが、トーンとしては、私も従前から申し上げているように、これからの日本は「入亜入欧米」でなければならないという基調になっている。また、私が先般の予算委員会の質問で主張したように、日本はやはり謙虚な態度で、特に近隣諸国にアロガント(傲慢)だと受け取られるような態度をとってはならない。頭をぺこぺこ下げるとか、迎合するということはあってはならないが、毅然としながらもやはり相手国民の心情や、60年前に終わった、その前数十年にわたって日本が犯したことについては謙虚に、絶えず反省をしながら外交を進めなければいけないという点、さらには、東アジア共同体形成に向け、謙虚な態度で、エネルギーを使うということが盛り込まれている。日米同盟も重視するという点もきっちり書かれているので、基本的な筋としては評価したい。これから細部に亘って読み込んで、評価をしたいと思っている。

[トップダウンのやり方について]
トップダウンというよりも、代表選挙で示されたものをより深化し、一つの問題提起として、あるいは指針として議論をしてくれということだから、私はこれからのトップリーダーというのはそうあるべきだと思っている。やり方についてはプラスの評価をしている。

[今後のスケジュールについて]
 外交防衛部門で、まずは議論をしていただく。
 仄聞するところでは、内政についてもそのうち出るようだから、それぞれ部門会議で議論され、夏頃には民主党の政策として提起されるだろうと思う。

■小泉総理の靖国参拝問題について
 小泉総理は、内政においては、靖国神社に行くことが政治的な行為であるということをお認めになっているわけだから、国際政治の上で、近隣諸国との関係でどのように受け止められ、評価されるかということを、総理大臣たる者はもっと深刻に、中長期的な観点からお考えになるべきだ。私は従前から、中曽根元総理の方が小泉総理よりも根性の入ったというか、ある種の哲学に基づいて靖国神社に参拝されたと思うが、近隣諸国との外交関係を進める上で、中国・韓国からの反応があった時に、当時の後藤田官房長官とご相談なさって、それ以降は公式参拝と称するものは止めたという、この見識を小泉総理は思い出していただきたい。また、1972年に田中角栄元総理アジア訪問の時、タイやインドネシアでは、日本の新たなアジアへの経済侵略に対する抗議という形で、今回の韓国や中国とは比べものにならない抗議行動や暴動が起こったが、その2年後、福田赳夫元総理が行かれて、タイで福田ドクトリンを高々と謳い上げ、当時のASEAN諸国と日本の戦後の友好的な関係の道を開いたという史実を、小泉総理はよく噛みしめるべきだ。
 今日『次の内閣』で、シンガポールへ行かせていただいた報告をしたが、シンガポールにも「血債の塔」というのがある。日本軍がシンガポールを占領した時に中華系のマレー人を大量に虐殺したという記念碑が、シティホール駅前の近くの広場に高々と立っている。私はこういうものが建っているということだけでなく、この塔が1967年に建てられたことにショックを受けた。戦後22年経ってからこういう塔が建てられたのだが、シンガポールで日本軍が何をしたか覚えている日本人はほとんどいないし、香港で1941年12月25日の夜、何が起こったかということをほとんどの日本人は知らないと思うが、これが少なくとも100年は語り継がれるということだ。正に戦争は、一方的なことを言ってと加害者側は言うのかもしれないが、被害者側には、三代100年は忘れない、癒されないという部分がある。そのようなことを、口に出して言うかどうかは別として、慮った態度決定をしていただかないと、未来志向の、例えば東アジア共同体を構築するための政治的な議論をしようとしても、特に中国・韓国・台湾・北朝鮮の場合、過去の清算の話で時間のほとんどを費やすようでは議論にならない。この話が清算処理されないで、絶えず後ろ向きの話に終始するということでは未来志向と言えないから、あまり思いこみや独りよがりで、ある種のナショナリズムを鼓舞して、選挙のために役に立つのかどうか知らないが、そういう行動は早くお止めになった方がいい。
 去年の11月頃の新聞に載っていたが、どこかのシンクタンクが東アジア共同体についてのシンポジウムを開き、中曽根元総理が呼ばれて、東アジア共同体を進めるべきだが、現時点で中国との関係がこれほど悪いのは、困ったことだ、ここを打開しなければそう簡単に東アジア共同体なんて言葉を使っても進まないだろう、ということをおっしゃっており、私もその点については全く同感だ。

以 上