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仙谷由人政調会長/定例記者会見要旨

2004.12.01(水)17:15〜17:55 (於:衆議院本館−第4控室)

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INDEX ■『次の内閣』閣議報告 ■介護保険見直しの提言について 提言内容の発表について 提言内容について 政府・与党案との違いについて 自民党より先に提起した方が得策なのではないか 『次の内閣』で議論になった点について ■年金問題について 連合と自民党との協議について 自民党からの小委員会で議論しようとの提案について 連合と自民の政策協議について ■イラク特措法廃止法案について ■住宅再建支援の問題が遅々として進まないことについて ■女性天皇問題について

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■『次の内閣』閣議報告

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 介護保険制度の見直しや、障害者に対する施策『改革のグランドデザイン(案)』についての民主党の意見の中間報告がなされた。介護保険については、基本として、エイジフリー化、つまり、介護サービスの受給者の拡大。65歳以前であっても介護サービスを受けることができるように拡大すべきだ。そして、保険料を含めた負担についても、幅広く連帯して、若い世代も負担するようにとの、基本的な考え方の下で、現在の介護保険の見直しに臨んでいくことが了承された。また、障害者に対する支援費制度が現在行われているが、都道府県によって非常にばらつきがあり、介護保険の領域の問題を含めて、障害者に対する施策を自立支援という観点から豊富化したいということが中間報告として提出され、了承された。

 海洋国家として我が国が取り組むべき喫緊の課題、すなわち領土及び海洋権益PTでまとめられた「我が国の周辺海域における公正な海洋秩序の構築を目指して」の中間報告がなされ、基本的に了承された。国境線、経済的水域を含めて、施政権の及ぶ範囲で争いがある時点における科学的調査は、事前の通報なしに行うことも国際法上許されないというのが原則だ。中国がそれに違反し、科学的調査と称して実質的な資源探査・開発をしている可能性が大きいことから、日本としても対応措置をとるべきである。日本も経済的水域内での調査を早急に始めるべきであるということを骨子とした中間報告となっている。

 「北朝鮮人権擁護法案(仮称)」については、北朝鮮における人権の抑圧、侵害を受けている人たちを支援する、また、人権侵害から回復するための法案を議員立法として考えたいとの申し入れがあり、了承された。

 

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■介護保険見直しの提言について

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[提言内容の発表について]

 これから政策的にも政治的にも、もう少し時間をかけて議論しなければならない。厚生労働部門会議においては、基本方向や内容が決まってきているようだが、『次の内閣』としては、もう少し議論を深めていきたいと考えている。

 

[提言内容について]

 厚生労働部門会議としては、整合性がとれており正しい方針であると思うが、日本全体の財政、少子化問題などを含めると、正しさが際立てば際立つほど、現役世代、子育てといった部分との関係を議論した方が良いのではないかというのが、私の率直な感想だ。結論は、厚生労働部門が考えている方向性になるにしても、もう少し全体的なことを議論して、各議員の腹の中に落ちてこないと、政治的な、政局的な問題になってきたときに、有効な議論になるのか、全議員がよく分かっている状態にすべきであろう。

 

[政府・与党案との違いについて]

 与党がどこまで腹をくくっているのかわからない。厚生労働省がいくつかの案をつくっているようだが、私が見たところあまり腰が入った話ができていないように見える。もし同じような提案になるのであれば、それはそれでよしとすべきであると思うが、それだけで判断することはないと思う。与党と一緒の案になるかどうかもわからない。

 

[自民党より先に提起した方が得策なのではないか]

 自民党は全く関係ない。財政や、出生率、子育ての問題は日本の社会が抱えている大変深刻な問題だ。先般、あるシンポジウムで申し上げたが、医療問題で、老人医療制度、老人保健制度の抜本的改革を7年間放置した政府の責任は重い。さらに、年金と介護の問題がかぶってきており、もちろん、その根底には財政破綻があり、少子高齢化は、経済成長率の問題にも深く関わる。このような状況の中で、私たちはどのような社会を選択するのか。とりわけ現役世代が、仕送りを社会化した年金、介護を社会化した介護保険を、どこまで連帯的な観点から負担に耐えられるのかが問題の核心にあるのではないか。制度を合理化しなければならない点はあると思うが、問題の核心は、若い世代と子どもたちとのバランスをどうとるのかだと思う。

 障害者については、「この国は障害者が多い国なんですか?」と聞かれるような国、地域にしなければならない。日本人が10年ほど前に、カリフォルニア州バークレーへ行ったら、この街には障害者が多いと思ったという。これは障害者が多いのではなく、街に出てくる障害者が多い街づくりが行われている。しかし日本は、バリアフリーの問題やシステムの問題があるのかもしれないが、家の中や山里離れた施設に入って生活させるようなことがこれまで続いてきた。2年前に支援費制度が確立し、自立支援を促す施策がとられてきた。それがとられた瞬間にサプライサイドが拡大し、税(=財源)が足りなくなったから何とかしようということのようだが、障害者に対する施策は国家の義務と責任で行うべきだ。その場合の負担も適切なものを経験に基づいて考えていかなければならない。高齢者の問題は複雑な問題で、若い人がどこまで負担に耐えられるのか、このバランスをどこでどうとるのか、そう簡単な問題ではない。

 

[『次の内閣』で議論になった点について]

 この問題は、厚生労働部門会議で専門的な議論をしている。議員が地元に帰ったときに、色々な方々から聞かされる、訴えられる話であり、それぞれの生活実感の中で聞く話しであり、やはりギャップがある。それが的を得ていることもあれば、そうではない話もある。例えば、私自身は30代で親の介護の経験をしたが、その時には介護保険はなく、私の場合は期間が短かったからもったが、介護の話は家族が参ってしまう、肉体的に、精神的に、経済的にまいってしまい、最後は家庭内不和になるというのが介護保険ができるまでのパターンであった。介護保険によって、私たちの世代を含めて、介護という大変な仕事から解放されたことは間違いない。マクロ的に、日本全体をみれば、そのようになっているのではないか。そのことによって、供給サイドが立ち上がって、そこで雇用の場が増える。

 極論すれば、私の地元では、今までであれば建設業にいっていたであろう若い世代が、労働者としても事業体としてもずいぶん参入している。この10年間で極めて目立つ特徴だ。建設業から介護・福祉サービス業に転換したような産業構造の転換が、公共事業以外にほとんど何もないところでは、極端に出てきているのではないか。それを一概に悪いとは言わないが、単に公共事業がハードからソフト化しただけで、以前の公共事業のようなことに介護保険がなってしまうのではないかといったことを頭に置きながら今回の問題を考えていかないと、右肩上がりの成長、若い世代の賃金が年間3%〜5%上がっていく時代には、介護サービス業も増え、サービスを受けられる高齢者等が増え、みんなが幸せになるのが望ましいが、今の雇用者所得、労働分配率などをみても、それほど事は簡単ではない。例えば、フリーターの方々から介護保険料をとって、お年寄りの介護サービスに使うといった非常に極大化した議論をすればそのようなことが起こり得るのではないか。それをどのように捉えるのか、もう少し議論した方が良い。厚生労働部門会議での議論を基本線で考えていきたい。障害者についてはお年寄り一般の話とはまた違う。

 

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■年金問題について

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[連合と自民党との協議について]

 連合が自民党とどのような話をしたのかは全くわからない。年金問題だけなのか、年金問題を含んだ幅広い話なのかどうかわからない。また、政府・社会保障の在り方に関する懇談会がどのように動いているのかもわからない。

 年金問題は、介護の問題が大きな政治課題になろうとしており、理論的に言えば、党利党略、政党的立場を離れて、時間をかけて議論し練り上げていく、まさにスウェーデン方式のようなことが行われるのが国民にとっては幸せであろうと思うが、そこまで政治的な成熟を日本の政界がしているのであれば、あのような形での強行採決があり得るはずがない。もし、年金制度を改めて与野党、国会内で本格的な議論をすると与党側が言えば、それは現行制度をどのように評価するのかが前提問題としてなければ、現行制度が100年安心プランであるとすれば、今から年金制度を議論する意味はないと私は思う。本音の部分で、現在の年金制度は持続可能性がない、データに基づいて、これが非常に危うい制度であると、そして、ますます職種間の格差を生み、実態として国民年金制度を中心に、空洞化が甚だしくなると、セーフティーネットどころか、職種間、階層間の差別構造を拡大する制度になると、このようなことを考えているのであれば、そのような見解を披瀝(ひれき)していただかなければならない。国民からみても、「100年安心プラン」と言っている人と、「一元化」を主張している人が何のために議論するのか。国民の真意からみれば、参議院選挙に示された感覚と、現在の世論調査の動向を見てみると、これはまずいと、本格的な議論をもう一度行い、現在の制度ではなく、抜本的な改革案を示さないと年金制度とはいえないのではないか。協議のあり方を含めて、もう少し政局、政党的立場を離れて、絶対にこのようなことはしない、毎年毎年上がりつつある保険料をどうするのか、これについて一定の態度表明がないと話し合いの糸口は生まれないのではないか。

 

[自民党からの小委員会で議論しようとの提案について]

 自民党は簡単に小委員会ということを言うが、小委員会で機能しているのは、例えば、憲法調査会小委員会くらいではないか。テーマを設定し、事務局をどこが担当し、どのような運営をしていくのかがない限り、小委員会という言葉は踊るが、単にやってみせるだけということになり、国民の政治不信をますます募らせることになるのではないか。真摯に客観的なデータを共有化しながら、議論を練り上げる。論理的に実体的にも整合性あるものが議論の過程で生まれてくるとするならば、それを尊重する、それに従うという態度がなければならない。○○党が言っているからダメだとか、譲れないといった与党のクセ。そして、時間が迫られている場合には強行採決をする。これに対して理性と知性で辛抱できるのかどうかが、与党に試されているのではないか。社会保障問題は特に、その部分を全て見切り発車で、非常に堕落した妥協的なことをやって、先送りしてきたため、先送りのウミが大きくなってきた。郵政と社会保障問題は、先送りの結果、不均衡、矛盾が拡大しているため、改めて大変だと思う。

 政府が老人保健制度の改革を先送りして7年間経ってしまった。今年はもう8年目だ。そして、少子高齢化が劇的に発現してきた。これが最大の問題だ。

 

[連合と自民の政策協議について]

 連合は独立した労働団体であり、どこと協議しようが付き合おうが民主党が何かを言う筋合いではない。自民党と堂々とやり合って、自民党のゆ着体質や政官業の問題を論破して粉砕してほしい。社会保障問題についても、今まで何故このようなことになってきたのか。「総括なくして改革なし」が原則だと思う。重大な反省が与党と厚生労働省になければ、この社会保障問題は、本当の改革の方向に歩き出すことはないだろう。

 先般、IMFのアウトルックで「年金改革列車が既に出発してしまった」との話を一部の報道が取り上げていたが、財政の問題、社会保障の問題も、改革するには遅すぎるところまできているのではないか。そのくらいの危機意識を、特に社会保障によって、どちらかというと、負担より受益の方が多いと思っている世代が危機感を持って、身を削る思いで取り組まない限り、若い人は負担を受○しない、彼らは、年金、介護は何十年も先の話だと思うだろう。医療保険についても、現役世代でも、一部には大量の医療保険を使うことになる方もおられるが、多くの現役世代が使うのは、風邪か水虫程度のことだろう。私も56歳まで健康保険料を払い続け、56歳ではじめて医療保険のお世話になったという実感だ。医療費は相当なものだったが、それよりも払い続けた健康保険料の方がはるかに高い。それまでは使ってもせいぜい年間数万円程度だ。その程度の元気さで生活しており、大病でもしなければ保険のありがたさはわからないし、現実感がない。加齢を重ねると病気が増える。社会保障の問題は受益者は高齢者で、負担者が現役世代だ。50歳以上の人口が20歳〜49歳の人口を上回った瞬間に、この問題の解決はより深刻で難しくなるのは間違いない。65歳以上の人が、現役世代のうちの就業者人口、就労者と同じ数になるのが2043年で、そこまでいったら改革などできないとの話があったが、そこまでいかなくても、50歳以上の方が増えたら、どうしても保守的になる。そのような目で考え直したら、1997年の春に医療保険の抜本改革と称して、老人の一部薬剤費の負担だけ増やして、2年以内に抜本改革することを自民・社会・さきがけで決めた。その後も抜本改革という言葉は残ったが、ほとんど変わらずにここまできた。特に、老人保健制度への拠出金で、みなさんが支払っている保険料の4割は拠出金として消えている。払っている人たちの保険料は、医療費には使われていない。それが一概に悪いとは言わない。世代的な連帯として払っているのであれば良いが、そのことが明らかにされないままそのようになっているが、それを5割、6割が老人保健制度の拠出金に使われるという事態になった時にどうするのか。誰もが怒るのではないか。しかし、人口比からみたらその日は近いだろう。

 

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■イラク特措法廃止法案について

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 与党が採決を回避したかったという話だ。イラクに派遣した自衛隊の期限が12月14日に迫っていることについて、国会開会中に与党が態度を表明することを嫌がったということだろう。これは、派遣されている自衛隊のご家族の方々と、日本の今までの様々な安全保障上の国是があったわけだが、この内閣、そしてそれを支える与党がどのような責任をとろうとしているのか、甚だのん気なものだと感じた。

 

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■住宅再建支援の問題が遅々として進まないことについて

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 10年も進まない話だ。妙な理論にとらわれて、頭と心を入れ替えることができないのであろう。私は三位一体の議論を見ていて、大災害が起こった時に、その最終的な責任を持つのは誰か。自治体だけで背負いきれない程の大災害が起こった時に、生活を支える住宅を復旧、復活させることについて、支援を国がしないのであれば、そのような国、中央政府はいらないと阪神淡路大震災の際の叫び声が聞こえてきた。災害予防や、通常の災害復旧、復興は、自治体が中心となって行い、そのための財源を保障するということであれば良いかと思うが、予想を超える大災害は、国が本格的に自治体と協力しながら、復旧、復興を素早く行う。そして、住宅というのは財産でもあるが、公共財的な性格を持つので、それに対する手当を行う覚悟を国が決めないといけない。いつまでたっても訳のわからない理屈をつけて逃げ回っている。その間にこの10年でどれだけの災害が起きたのかを考えると、憤懣(ふんまん)やる方ない感じだ。被災者再建支援法も金額的にも、国民連帯の中でカネをつくるというやり方から考えると十分なものではないが、それでも住宅再建に使えるようにするべきだと申し上げている。自民党の議員の中にも熱心な人はいるが、何が障害になっているのか、考え方としても、現実の政治過程としても、私には全く理解できない。公明党に至っては、今まで大幹部以下、賛成していたが、民主党が出したから反対する、審議すらしないということが続く今の政治のやり方は、被災者、被害者を忘却の彼方へ追いやったやり方だと思う。

 

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■女性天皇問題について

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 皇室典範の改正はそれほど難しいものではないのではないか。「男系の長子に限る」という部分を、「長子が皇位を継承する」などとし、大きくは1〜2カ所変えれば良いのではないか。もちろん、細かい部分はあると思うが、現段階で具体的にPT(プロジェクト・チーム)を設置するなどの手続きにはなっていないので、具体的な作業を進める段階には至っていない。

【発信元】 民主党政策調査会事務局/政調広報 (担当:天笠)

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以 上

 

民主党本部からのメールを転載しました。