人間に投資する{学びの社会}づくりが日本を没落から救う法

教育の原点に立ち返り、{学びの社会}をつくる

 

塩田 これから政治家として、どういうことをやろうと考えていますか。

仙谷 明治維新や敗戦直後のことを踏まえながら、ゼロベースから考えると、大人も子どもも国民一人ひとりが、改めて教育の原点に立ち返るしかないような気がします。いくら「人材資源大国」などというお題目を百遍書いても、それを促す政策がとられないと、それは実現できない。それに、世の中からリーダーと思われている人たちが、これだけ無責任になって、社会全体のモラルハザードがはなはだしくなっている。日本の社会がメルトダウンしていくというか、砂が崩れていくような状況になっている。日本はまだ市民社会が成熟していないと言われますが、官は強いけれども、公共とか公共心が非常に弱い。市民社会あるいは個人の自立・連帯ということを、もう一度問い直す必要があると思います。

 それは学校教育だけでなく、家庭教育、社会教育を含めての話です。そして日本人は、自らのカネと交換できる労働力のスキルアップとともに、カネと交換できる労働力ではない教養の部分をもう一度鍛える、という風潮を作らないとダメだと思います。つまり、日本に{学びの社会}を作るという方向性が必要です。

 この7〜8年、財政問題であると同時に資源配分の問題として焦眉の急になってきた公共事業の問題も、従来、コンクリートに対する投資に傾きすぎた面があった。やはりその半分でも人間に対する投資をするようにしなければ、財政的にも自然環境の観点からも、国民一人ひとりの生き方の問題からも、日本はいよいよ没落に向かっていく。僕は{学びの社会}を作ることが、日本を没落から救うことにつながると思っています。

(12月6日対談)

「財界にっぽん」2002年2月号「塩田潮の永田町対談」から引用しました