1999年12月03日 大蔵委員会

○金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仙谷由人君。

○仙谷委員 まず最初に、越智長官にお伺いするわけですが、この委員会でも、この段階で長官がアメリカに行かれてサマーズさんに会う意味がどうもよくわからない。一説には、前長官が改革派で越智さんが守旧派である、こういう評価がアメリカのマスコミ等々で出ておる、これを払拭するために行くのではないかという話もございました。

 そこで、今度の長官とサマーズさんの会談、これは、アメリカの例えばウォールストリート・ジャーナルあるいはイギリスのフィナンシャル・タイムズ、この辺にはどういうふうに報道されたのでしょうか。

○越智国務大臣 外国の新聞の記事そのものは、私は直接見ておりません。

 私が参りまして向こうのサマーズさんにお会いいたしましたのは、今申し上げたような経緯でございまして、一番大事なことは、日本が前よりは経済がよくなってきた、そのことの認識を申し上げることと、私と柳沢君がかわったからといって、今までにある法律に基づいて行政は執行されているわけでありますから、金融改革の路線に変わりはないということを申し上げることでございました。

 その会談後に、私とサマーズさんとのミーティングについては英語でコミュニケが出されました。そのコミュニケをもとにして記者団に話をいたしました。その場合には、私は日本語で記者会見をしておりますので、英語でどういうふうにどこへ載ったかというのは、申しわけありません、ここに今持っておりません。

 

○仙谷委員 私が確認する限りでは、この会談は、アメリカの金融経済専門紙といいましょうか、あるいはごく通常の新聞の金融経済欄では全く無視された、ほとんど歯牙にもかけられなかったということのようであります。

 私は、今報告されたような会談であれば、これは国会中無理を押して出かけられるような話ではないと思うのですよ。国会が終わってからゆっくり行かれたらいいような話ではないか。なぜあの時期に、あんなにまで無理押しをして頑張って、我が北橋筆頭理事が何のために行くんだということをお尋ねしても確たるお答えがないまま行かれた。それでその話では、私どもは、これは今後ともこの種の話には相当厳格に対応しなければならないというふうに考えました。

 その点は、しようがありません、ひとまずおくとして、サマーズさんとの話し合いで、長銀のリップルウッド譲渡について話が出ましたでしょうか、出なかったでしょうか。

○越智国務大臣 サマーズさんに日本の経済情勢のお話をした後、金融の今までの関連をずっと申し上げました。私自身が英語でしゃべらせていただきましたが、当然のこととして、日長銀の問題は、今優先交渉相手を絞って十一月末までということで交渉をしているということは申し上げました。向こうからは何の御返事というかメンションはありませんでした。

○仙谷委員 そこで、今度の長銀譲渡について、全くわからないものですからお伺いするわけでありますが、私は、念のために申し上げておきますけれども、ごく一部にある青い目や茶色い髪の資本が入ってくることがよくない、こういう立場でこれから質問するわけではないのです。

 つまり、もっと言いますと、あるときにイギリスに、例えば日本の日産であるとかトヨタであるとか、どんどん直接投資をして現地に工場をつくりました。私はイギリスの人にこういうふうに聞きました。あの誇り高いユニオンジャックのイギリスがよく日本ごときのメーカーに立地を許したな、これは何なんだというふうに聞きました。そうしますと、いや、イギリスはもうせっぱ詰まっているんだ、したがって、どこの資本であろうと働く場所さえできればいいんだ、そこまで割り切らざるを得ないところまでイギリスは追い込まれてこういうふうになったんだ、こういう話でした。

 一方、一九七〇年に始まった日本の資本自由化の中で、日本の企業、あるいは大蔵省もそうだったかもわかりません、通産省もそうだったかもわかりません、外国資本が日本に直接投資することについてはできる限り防止しようと。要するに、日本が外資の植民地のようになってはだめだという、今から考えると何かわけがわからない、そういう恐怖感のもとに株式の持ち合いが始まったと私は見ております。

 日本に対する外資の直接投資というのが現時点でも非常に小さい金額であって、日本の企業社会の構造といいますか、あるいは証券市場そのものもいびつなことになっている。そのことが、今我々がツケを払わなければならない、改革をしなければならない相当大きいテーマだということを、私自身もそういうふうに認識しておりますし、これからの課題だと思っております。

 したがいまして、外資一般が、長銀であろうと日債銀であろうと、これを買う、つまり外資に売ることについて別に抵抗があるわけではない、そのことをまず申し上げておいた上で、にもかかわらず、今回、このリップルウッドを売買交渉の第一優先順位にして、そこで行われていることが我々には見えない。金融再生委員会が見せない。そして、揣摩憶測を呼ぶ原因になっていると私は思うのですね。

 そこで、まず、お伺いするのですが、ここに平成十一年三月三十一日現在の貸借対照表がございます。三月三十一日から十一月三十日でもいいですし、あるいはリップルウッドに譲渡する直前、その時点における修正バランスシートというのはどういうものになるのですか。つまり、もっと言えば、資産のうちあなた方が引き継ぐのが適当ではないとおっしゃる債権、資産が幾ら減って、負債のうちどの勘定項目がどのように減るあるいはふえて、こういう姿の長銀がリップルウッドに売られるんだ、その姿は、長官、あなたはわかっているのですか。まずそのことを。

○越智国務大臣 私の理解しているところでは、三月三十一日は日長銀自身の決算でございまして、それに基づきまして、これを厳格に検査して、数字をもう一遍見直している、そしてその結果をもとにして最後の買い手と申しますか、それとの調整が行われている、こう思います。そしてさらに、実際に最後の数字を詰めるときには、再生委員会そのものが査定といいますか、それも何回も会議をして行った結果でやっております。さらに、それを向こう側がどういうふうに判断するかで、最優先交渉先との話し合いが今続けられている、このように見ております。

○仙谷委員 いいですか、長官。大まかで結構です、数字を言ってください。資産が約二十三兆なんですよ、三月末。この資産のうち、四兆七千か四兆八千の不適債権、不適資産があるというふうに仕分けが済んだわけですよ。資産の中から、この二十三兆のうち四兆七千か四兆八千は少なくなった資産の、バランスシート上そうなった長銀が売りに出されるのか、あるいはもっともっと資産が減少しているのか、あるいは株式含み益の益出しが行われて全然別の形でそれが、例えば現金とか、そういう格好で資産がふえているのか、減っているのか。まず、この二十三兆がどうなっているのか、このことをお答えください。

○越智国務大臣 専門的と申しますか、具体的な点は後から事務局長の森君に補足説明させていただきたいと思っておりますが、先生今おっしゃいましたように、長銀の本年三月末の決算における債務超過額は二兆八千億でございましたが、ことしの八月、夏にいろいろ検査をした結果、預金保険機構による不適資産の第一次買い取りが八千億行われましたものですから、これを加えた現在の債務超過相当額が三兆六千と認識いたしております。

 今後、預金保険機構による不適資産の第二次買い取りが行われますが、現段階では追加損失はさほど生じない見込みであると聞いております。また、新生長銀に引き継がれる適資産の引当金について、金融検査マニュアルの導入等により追加引き当てがある程度想定されますが、その額は現在のところ明らかでございません。

 そのような変動要因が存在することから、長銀譲渡の際の所要公的資金につきましては三兆六千億プラスアルファと申しているところでございまして、その額について現在の時点で確たる、決定的な見通しというか、数字を申し上げることはできないのを御理解いただきたいと思っております。

○仙谷委員 長官、私の質問に答えていない。それはもう二、三問後の質問に対する答えですわ。僕は今、資産の話をしているんです。資産を減少させるについて、預金保険機構なりRCCへの譲渡というのが行われて、そこから国民の税金がどうやって長銀に払われたかということを次に質問しようと思っていたんだけれども。そして、今の負債の話はその次の話だ。勝手に質問と関係ないことを読んだってだめですよ。

 次の質問をしますが、不適資産四兆七千億というのを仕分けしましたよね。これは、預金保険機構あるいはRCCに買い取りを求めて、五千億で買い取ってもらったという新聞報道があるんですが、対価との関係ではどうなっているんですか。

○森政府参考人 お答え申し上げます。

 八月に不適資産の第一次買い取りを預保がしたわけでございますけれども、そのときの買い取り代金は四千九百三十九億円でございました。

○仙谷委員 そうすると、約一〇%強で買い取ってもらったという話になるわけですよね、長官。今の話だと、資産の減少でいうと約四兆二千億ぐらいそこでは資産に穴があいたという計算になるわけですよね。そうですよね。

 では、話を続けますけれども、結局、今まで長銀に幾らつぎ込んだんですか。国有長銀に幾らつぎ込んでいるんですか。どうですか、長官。わからないんだったら、もう、わからないでいいですよ。

○森政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど四千九百三十九億円と申しましたときの買い取り資産の簿価は、二兆九千五十八億円でございます。それを四千九百三十九億円で買い取ったわけでございますから、ロスとしては二兆四千億程度でございますけれども、ことしの三月期に既に引き当てをしてございまして、その引き当てをしたよりか上回る額が、先ほど金融再生委員長が申し上げました八千億という数字でございます。

 一方、三月期の未収益で立てました特別公的管理勘定、これは二・八兆円でございますので、したがって、引き当ての追加八千億を加えますと三・六兆円でございます。しかし、この三・六兆円はまだ未収益、ロスのままで資産勘定で立っておりまして、まだ一般勘定なり特例業務勘定から埋めてあるということではございません。そういう面では、まだ支払いが済んでおりません。

 支払いはいつするのかといえば、譲渡時にもう一度資産についての査定、引き当てをいたしまして、適切な引き当てをもう一度よくチェックいたしまして、その額を加えたところで最終的なロス額といいますか、一般勘定及び特例業務勘定から払い込まれる額が決まるわけでございます。

○仙谷委員 いや、もう森さんは答えないでいいからね。

 長官、いいですか、結局、譲渡の前にこの国有長銀、譲渡される長銀の姿というのは、国会なり国民の前に見せるのですか、見せないのですか。そして、そのときに当然のことながら、幾ら国民の税金をつぎ込んだのか、公的資金をつぎ込んだのか、それは明らかにされるのですか。

○越智国務大臣 今お答え申し上げましたように、まだ優先交渉先となにしておりまして、全部額が決まるのは最後のおっしゃるように譲渡のときでございまして、これはまだある程度先の時点でございます。そのときには、幾らつぎ込んだということは当然のこととして明らかにいたします。

○仙谷委員 私が言っているのは、契約締結前に国民に示すのかということを聞いているのですよ。約束できますか。それならば、十一月三十日までに基本契約を結ぶとおっしゃっていた。一カ月延びた。ことしじゅうに売却対象の国有長銀の姿を国民に見せる、つぎ込まれた公的資金の額を示す、これは約束してくれるのですね。

○越智国務大臣 私の説明を違っておとりになっていると思いますが、基本契約の次に最後に最終契約があるわけですから、今言っているのは、相手先を優先で決めて、そこと細かく今詰めているわけですね。そして、できた基本契約に基づいてもう一度最後の詰めが行われて、最終契約書ができるのは年を越しますということを申し上げているので、最終契約をしたときに向こう側に株も渡す、そして向こう側が払うべきものも払う、こちらがどれだけのものをつぎ込むかも決める。そこで初めて申し上げますから、今何か十二月三十一日とおっしゃいましたが、その時点では出しません。

○仙谷委員 極めて遺憾な話だと思うのですね。これは、九月決算がいつ発表されるのかよくわからない、中間決算が。やらないのですか。ほかの銀行はもう全部やっていますよ。

 さらに加えて、国民の税金をこれからまだまだどこまでつぎ込むのかわからない。そこで、国民に伏せたまま交渉して、それで契約締結というところまでいこうとしている。私はそういうふうにしか見えないのですよ、これは。

 もう一度別の観点から聞きますが、売却する長銀の正味の自己資本というのは幾らにするおつもりなのですか。

○越智国務大臣 ちょっとなんでございますが、でき上がる新生長銀の資本が幾らかというお話ではなくて、資本勘定、売るときに幾らかと言われれば、ずっと債務超過でございますから債務超過のままでございます。

○仙谷委員 どのぐらいの債務超過の国有長銀を譲渡するのですか。今、債務超過の長銀を譲渡するとおっしゃった。幾らの金額の債務超過ですか。

○越智国務大臣 先ほどそれを申し上げたつもりでございますが、二・八兆円が八千億足されて、さらに変動要素が二つ三つありますので、三・六兆円プラスアルファと申し上げているわけです。

○仙谷委員 さっきはそれは、つぎ込むべき公的資金の額とおっしゃったんじゃないの。それが債務超過額そのものなのですか。そういう理解でいいのですか。

○越智国務大臣 それだけの穴があいていますから、それを埋め合わせるという意味で同じ額になるわけであります。

○仙谷委員 そこで、そういうふうに理解して、では次の質問に移ります。

 これは、我々法律を多少かじってきた者の理解としまして、「ニュー・LTCB・パートナーズの長銀買収に係る買収条件の概要」、こういう書面が、優先買い取り権を与えた覚書の附属文書としてついているのですね。見ていらっしゃいますよね。これはどういう位置づけなのですか。つまり、再生委員会の方針ということなのですか。それとも、ここまでは煮詰まっているというものなのですか。これはいかがですか。

○越智国務大臣 直接、交渉のときにおりませんでしたものですから、私が後から書類で理解しているところでは、そもそもこの「概要」という言葉は覚書の第一条の二行目に書いてございまして、「「ニュー・LTCB・パートナーズの長銀買収に係る買収条件の概要」に定める取引」云々と書いていますから、(別紙)にはなっておりますが、覚書と一体のものと理解いたしております。

○仙谷委員 そういういいかげんな答えを聞いているのではなくて、法律的に合意されているのですか。それとも、この方向で行くという方針を決めただけのものなのですか。どうなんですか。合意がこれで成立しているのですか。

○越智国務大臣 覚書には、八城代表者とコリンズ、フラワーズ両代表者で向こう側三人、こちら側が預金保険機構の松田理事長と日長銀の現在の代表取締役安齋さん、五人のサインでございまして、その意味では五者で合意をされているものと理解いたしております。

○仙谷委員 ちょっとそれを後でもう一遍聞きますが、中身にちょっと入らせてもらいます。

 瑕疵担保という言葉が出てきますね。そうしますと、瑕疵担保特約が存在するというふうに今のお答えから理解いたしますと、この特約はだれとだれの約束なんですか。

○越智国務大臣 お手持ちの中に、「貸出関連資産の瑕疵担保」というのが別紙の二ページ目についていると思いますが、そこに記載されております。

○仙谷委員 全然答えになっていない。

 いいですか、これは瑕疵担保特約をだれとだれが結んでいるんですか。つまり、国有長銀とLTCB・パートナーズが結んだのか、政府とLTCB・パートナーズが結んだのか、あるいは、もっと言えば、政府と国有長銀が結んだ約束なのか。何なんですか、これは。

○越智国務大臣 先ほど来お答えしておりますように、覚書と一体の書面でございまして、覚書は、先ほど申し上げた五者、こちら側でいえば預金保険機構と日長銀が判をついているわけであります。政府ではございません。

○仙谷委員 そうしますと、これは売買の対象になる国有長銀が契約当事者になっているんですね。そういう格好になるんですね。売買対象ですよ、長銀というのは。

○越智国務大臣 もっと厳密に言えば、こちら側の売り主は預金保険機構そのものでございます。

 

○仙谷委員 実は、最終的に私が言いたいのは、なぜ新生長銀に政府がお金を払うような法律構成なのか、全くわからないのですよ。つまり、契約当事者でも何でもないんじゃないですか。そうでしょう。要するに、政府が持っている株をニュー・LTCB・パートナーズに売るというMアンドAの契約をしたわけでありますから、これは後々問題になってくる。何で新生長銀に瑕疵担保責任を負うのかという、この法理論がさっぱりわからない。そこがまず一つ。これは大問題だと思います。

 それから次に、これは、瑕疵担保とおっしゃるんだけれども、何を、どういう事態を瑕疵担保だ、担保される瑕疵だとおっしゃるんですか。どういう事態を予測しているんですか。

 つまり、いいですか、国有長銀の資産査定の過程で、この資産はこのぐらい回収見込みがあるということは厳しくやっているはずなんですよ。そうしないと、再生法にのっとって、国有長銀をある種の内部整理をしながら優良な、健康な事業体に仕上げて、それを売るということにならないからですよ。そこまで精査した債権が、どうしてきずものが出てくるんですか。それも、瑕疵担保の理論というのは、御承知のように、隠れたる瑕疵ですよ。見えている瑕疵は担保される瑕疵じゃないですよ、言っておきますけれども。これは何を想定しているんですか。

○越智国務大臣 私も、その当面のときにはおりませんでしたものですからあれですが、たしか柳沢大臣から既に御説明があったんじゃないかと思いますが、二次ロス問題というのがございまして、この場合に、買い取る方からしてみると、瑕疵担保というのは何か、物の傷とは違いまして債権の問題でございますから、評価の仕方によってよくわからない。したがって、二次ロスが出たときどうするかというのが当時の交渉相手として手の挙がっていたところからいろいろ出たわけですね。そして、二次ロスは認めないということで御報告していると思います。

 そうじゃなくて、向こう側が言っているのは、その債権が、先生がおっしゃるとおり再生委員会を通じて預金保険機構がきちんと評価した、評価したけれども、やはりそこに、当時としては、何と言えばいいのでしょうか……(仙谷委員「当時じゃない、今だよ」と呼ぶ)いいえ、当時として見立て違いがあったということになると、二次ロスが出るのじゃないかというのが先方の言い分で、二次ロスは認めないけれども、その見立てが全然狂っていたというか、何か大変重大な間違いがあった、そのために二割以上の差が出たというときには考えましょうということで、民法の何条でございましたか、瑕疵担保の条文を引いてそこに対応した、こういうふうに当時のいきさつを聞いております。

 詳しくは事務局長から御説明いたしますが、何かいけないそうでございますので、その程度で御理解をいただきたいと思います。

○仙谷委員 何か民法の条項がどうのこうのとおっしゃったけれども、民法の条項にそんなもの一切ないですよ、単なる二次ロスみたいな話は。いいですか、民法の瑕疵担保の理論というのは、隠れたる瑕疵を担保するんですよ、権利であろうと物であろうと。こんな単なる二次ロスなんかが何で瑕疵担保になるんですか。

 何条を引いてきてそんな民法の解釈が出てくるんですか。私、民法を持ってきているんですよ。民法五百六十条から五百七十二条までが瑕疵担保の規定です。これとどう共通するんですか。あるいは、どこを引っ張ってきたらそんな妙ちきりんな法解釈が出てくるんですか。あるいは、民法とは全く関係ない新たな瑕疵担保理論というのを金融再生委員会がつくり上げるということなんですか。どうなんですか。

○越智国務大臣 正確に申し上げれば、瑕疵担保責任の法理に従った特約を結んだわけでございまして、先生がおっしゃいますように、民法五百六十九条には債権の売り主の担保責任というのがございますが、そこの条文の法理をいただいてこういうことで処理をさせていただいた、このように伝えられております。

○仙谷委員 あなた、売却を決断する再生委員会の委員長が、伝えられておりますなんて、そんないいかげんな話はないでしょう。国民の税金が、私の試算によるとまだまだ、三兆円も四兆円も出ていく可能性があるじゃないですか、こんな瑕疵担保の契約なんかをすると。長官はそのことについての緊張感が全然ないですよ。国民の、五兆円でも大変なお金ですよ。六千八百五十億円のときにわあわあ騒いで、あなた、国会が何日とまったんですか。

 今おっしゃった五百六十九条というのを読みましょうか。これはあなた方が言っているのと似て非なる話ですよ。「債権ノ売主カ債務者ノ資力ヲ担保シタルトキハ契約ノ当時ニ於ケル資力ヲ担保シタルモノト推定ス」

 そうすると、適債権になっている債務者の資力を、我が政府、預金保険機構が担保するんですか。適債権の中に、私がにらんだところによると、当時から危ない、危ないと言われている、社名は出さないけれども、ゼネコンとか流通とかノンバンクとか、いっぱいまだ残してあるんでしょう。あなた方が不適にすれば、その会社はもう整理が始まっていますよ。不適にしていないということは適にしてある。その会社の資力を政府が何で担保しなきゃいかぬのですか。

 こんな五百六十九条を引いて債務者の資力を政府が担保するなんといったら、とんでもないことになるじゃないですか。そんな大胆なことをおっしゃったら間違いだよ、それは。撤回してください。

○越智国務大臣 私どもといたしましては、今回の瑕疵担保責任というのは、買収後において買い手の責めに帰すべき資産劣化は対象外に考えておりますから、その評定をするまでの間に何か、まさに隠れたるというか、そういうものがあった場合に、瑕疵担保の責任の法理を引いて、これで話をまとめるしかないということでそのようになった、こう聞いております。

○仙谷委員 これは本当に大変なことです。国民の負担において、将来負担なのか現在の我々の税負担なのかわかりませんけれども、債務者の担保を無条件に保証することにつながりますよ。二〇%という一つの基準が出ていますね。

 これと、読み方の問題でありますが、二〇%を超えるロスが出た場合には無条件なんですか。それとも、金融再生委員会が適当と判断した根拠について変更が生じたとき、これは何か要件がほかにあるんですか、二割以外に。

○越智国務大臣 先生お手持ちの資料だと思いますが、新生長銀が、買収しましてから三年以内にまず限られております。

 そして、当該資産に瑕疵があり、瑕疵というのはその契約をする前に発生している瑕疵であります、そして二割以上の減価が認められたとき、そのときに、新生長銀は当該資産、貸付金の譲り受けを受けることを解除する、こういう約束になっているわけであります。

○仙谷委員 三年なんか自慢しないでください。普通の瑕疵担保責任は一年です。商人間の取引はもっと短い。なぜならば、商人であればちゃんと買う方も検査をして、見きわめてから買う、あるいはリスクをとって買う。これが商人間の取引だということは常識じゃないですか。それを三年間つけたなんて、全然自慢にならない。何をやっているんだという話になりますよ、商売人の間では。全くリップルウッドにリスクをとらせない契約じゃないですか。どうするんですか、簿価を買い戻すなんて。

 私が計算した範囲で、先ほど申し上げた、業種ごとに計算しますと三兆から四兆ありますよ。二割減価をするなんというのは、いつの時点でのどのような評定から二割なのか。これもお答えいただきたいし、二割減価したら自動的に瑕疵があったことになるんじゃないですか。

 もう一つ聞きますけれども、不動産価格が三年間の間に下落して、つまり債権を担保する不動産価格が下落をして、要するに二割以上の資産が劣化した場合には、瑕疵があることになるんですか、ならないんですか。どうなんですか、これは。

○越智国務大臣 今、最後におっしゃった点は、全くそういうことは考えられないことでございまして、私どもは、売り渡し前の瑕疵の話をしているので、三年間に不動産価格が落ちたなんて、それは私どもは全然関係ございません。

 それから、その二割というのは、売り渡したときのなにと、それ以前にあった瑕疵のために、評価し直してみたら二割以上違った場合のことを言っているわけでありまして、売り渡し後の事情変更は、一切今回の特約には関係ございません。

 なお、これはあくまでも瑕疵担保責任の法理に基づく特約でございますので、三年というふうにさせていただきました。

○仙谷委員 例えば、こういうのは瑕疵になりますか。

 長銀と共同のメーンバンクであったとか、あるいはメーンバンクじゃなかったけれども次の融資先であった。銀行が、例えば太陽神戸でも、太陽神戸というのはもうないか、住友でも三井でもどこでもいいですよ、そういう銀行が、事業を継続するんだったら支援するというある種の念書を入れている。ところが、売り渡した後、もうやめました、勘弁してくださいということになったら、これは瑕疵に入るんですか、入らないんですか。

○越智国務大臣 大変具体的な、本当は専門的に答えてもらった方がいい話だと思いますけれども、Z産業に対する日長銀の貸し出しがある、それに対してA、B両銀行も、ともに貸し出しをしている。これだけならば問題ないと思いますが、それが、ずっと貸し出しますという念書を入れていて、それを破棄されたときには問題があるかと思います。

○仙谷委員 ちゃんとお答えにならない。私は、こんなものが何で瑕疵になるのかわからない。

 そうすると、債権の瑕疵ではなくて、債務者のそのものの資力の瑕疵じゃないですか。瑕疵というか、資力がもともとなかったというだけの話じゃないですか。そんなことは今だってわかるじゃないですか。メーンバンクが方針を変えたというだけじゃないですか。

 それで、今のあなたの問題があるというお話は、瑕疵なのか瑕疵でないのかということにはお答えになっていない。どっちなんですか。こんなものを瑕疵なんということを言い出したら、すべて瑕疵になりますよ。こじつけじゃないですか。法律上の瑕疵なんということは、そんなことは言わない。きずでも何でもない。どうですか。

○越智国務大臣 再生委員会が、何回も何回も委員会を開いて、日長銀からの貸し出しの一本ずつを債務者ごとに判定をしていますから、その債務者の後ろ側にどういう仕組みがついているかということが、やはり判定の前提になっていますので、それがさかのぼって崩れるようなことになりますと、再生委員会の判定に瑕疵があったということになりかねないと思って申し上げたわけであります。

○仙谷委員 さかのぼってじゃないでしょう。遡及して保証が取り消されるなんということはあり得ないじゃないですか。取り消した以降の取引に、メーンバンクか、ほかの銀行が協力しないというだけの話じゃないですか。何でそれが瑕疵になるんですか。もともとあった瑕疵でも何でもないじゃないですか。そんなことで何兆円もの金をつぎ込むことになったら、国民は目も当てられないですよ。だれが責任とるんですか、このロスシェアリングか瑕疵担保か、何かわけのわからぬ条項をつけて。

 これは、最終的な金額をLTCBに払うわけでも何でもない。LTCBが契約の当事者であるにもかかわらず、瑕疵担保の、担保を徴求するというか、担保を要求する相手方になっていないという非常に珍妙な契約から始まっているからこうなるんですよ。そうでしょう。十億円でだったら買う人が、何で債権簿価の買い戻しができるんですか。論理的に言ってもそうですよ。

 にもかかわらず、新生長銀につぎ込む、どんどん簿価をつぎ込んでいく、資産が二割以上の減価をしたら新生長銀につぎ込んでいく。こういう無理な、むちゃくちゃな法律構成をするから、そういう大矛盾が出てくるんですよ。何で長銀をちゃんと資産査定しないのか、そこが最大の問題なんですよ。

 政治的な意図のもとに、この会社は生かしておかなきゃいかぬ、この会社も生かしておかなきゃいかぬ、これがあるからリップルウッドにつけ込まれるんじゃないですか。こんなむちゃくちゃな特約を結ばされるんじゃないですか。いかがですか。この瑕疵担保という特約をやめるおつもりはありませんか。

○越智国務大臣 ございません。

○仙谷委員 リップルから聞こえてくる声で、リップルは、外資系の出資者に、将来発生する損失はすべて日本政府がギャランティーしてくれているんだ、こう説明してお金を集めているようですよ。すべて日本政府がギャランティーしたんですか、将来発生する損失について。

○越智国務大臣 そのようなことはございません。

○仙谷委員 だけれども、あなたがおっしゃる瑕疵担保で担保するということは、そういう意味じゃないのですか。だって、どういうものを瑕疵と言うのかということについて、メーンバンクがメーンバンクとしての協力を外したときというのが一つ出てきましたが、そのほかにどんなことがあるのですか。考えられないのですよ、こういう場合の債権の瑕疵というのは。

 さっきの五百六十九条というのは、もともとの債務者が無資力なのに、債権者が、無資力であろうと何であろうとおれが保証すると言って債権を売る場合ですよ、五百六十九条というのは。だから、今の日本政府の立場、預金保険機構の立場に置きかえれば、預金保険機構が国有長銀の貸し付けの相手先、さっき言ったゼネコンとかノンバンクとか流通大手とかいろいろなうわさが出ている会社の資力を保証するということになるのですよ。そんなことでいいのですか。もう一遍お答えください。

○越智国務大臣 今先生のお話の中に、何か将来発生する損失を日本政府がギャランティーしているということかとお話がございましたから、もともと瑕疵担保のときでも、将来売却後に生ずる損失については何にも保証するつもりはございません。

 ただ、瑕疵担保は、あくまでも譲渡以前に生じた瑕疵について、私どもはそれを一定の限定のもとに見ざるを得ないということを申し上げているわけでございますから、御心配の向きはいろいろあるのかもしれませんが、私どもとしては、この線で今きっちりと基本契約に向かって努力をさせていただいているわけでございます。

○仙谷委員 もう一つ聞きましょう。

 今おっしゃったようなことは全く具体的じゃないからわからない。それで、さっき申し上げた民法の条文とも関係があるのかないのかもわからない。わからないから判例がない。具体例がイメージできない、少なくとも私には。これは、瑕疵があるかないかだれが判定するのですか。瑕疵の判定、だれが判定するのですか。LTCB・パートナーズなんですか、新生長銀なんですか、再生委員会なんですか、裁判所なんですか。これはだれが判定するのですか。

○越智国務大臣 私もそこを具体的にまだ詰めておりませんけれども、当然のこととして、瑕疵の判定は、まず第一義的には当然具体的に新生長銀の公認会計士の方から申し出があると思っております。

○仙谷委員 いやいや、だからだめだと言っているのですよ、こんな特約結んだら。永遠の紛争になりますよ、言っておくけれども。

 つまり、民法の条項と関係もなければ、したがって、判例の集積とも全く関係のない瑕疵担保特約なんかを結んで、だれが判定するのかというのはわからないじゃないですか。公認会計士が言ってくる話なんて、それはちょっと話が違うのではないですか。そんな非法律的なやり方で法律概念に該当するかどうか当てはめようとする、それは無理がありますよ。それで国民の税金が使われるのではたまらない。

○越智国務大臣 今申し上げましたのは、当然、新生長銀の公認会計士から申し出があるだろうと。申し出がある先は預金保険機構でございますので、当然、預金保険機構は契約者でもございますし、協議をして決定していくもので、先生がおっしゃるように、だれか一定のところで最後の断定をするということじゃなくて、当然協議が行われるものと思っておりますが、そうした点も含めまして基本契約できちんと整理をしていかなきゃならないと思っております。

 

○仙谷委員 では、協議で、談合で、瑕疵があるかないか決めるのですか。どうして国民の税金を、簿価を払うときに、言っておきますけれども、簿価というのは大きいのですよ、談合で決めることができるのですか、瑕疵があったかなかったか。判例も何もないのですよ、このケースについては。全く新しいケースなんですよ。冗談じゃないですよ。

 では、もうちょっと、さらに敷衍して聞きましょうか。

 これは、債務者が争う場合はどうなんですか。いや、うちの債権は瑕疵はない、私は資力はある、何で瑕疵があると言うんだ、こう言われたらどうするのですか。これはやはり瑕疵ありですか。預金保険機構が独断で決めることができるのですか。それともLTCB・パートナーズとの協議が要るのですか。それとも新生長銀との協議が必要なのですか。合意が成立しない限り、瑕疵とは認めないのですか。この諸点についてお答えください。

○越智国務大臣 債務者がどうお考えになるかということは、この契約の当事者ではございませんので、私どもの方では交渉の場に出てくるお話ではないと思っておりますので、当然、新生長銀と預金保険機構が、そういう話を耳にするかもしれませんが、協議は両者の間で行われるもの、このように思っております。

○仙谷委員 だって、債権というのは人と人との関係で、法人と法人と言ってもいい。債権者と債務者が結んだ関係がもともと瑕疵があったかなかったかという話は、債務者の方だって言い分があるのではないですか。では、その点は難しい法律論争に入るからやめましょう。

 預保が簿価で瑕疵担保の債権、担保された債権を買い取る場合に、これは一々国民に公開するのですか、これは買い取ったと。あるいは、これはもうやみからやみに行ってしまうのですか。買い取った債権は預保からどこへ行くのですか。RCCへ行くのですか。

○越智国務大臣 それを一々発表するかどうかということはまだ詰めておりませんが、ちょっと発表しにくいのではないでしょうか。それぞれの特定の債権債務について一々申し上げるというのではなくて、当然、それぞれの機構がやった活動をある程度の期間をまとめて発表する中には入ってくるのでございましょうけれども、そのたびに発表するという話ではないだろうと思っておりますが、そこももちろん詰めていかなきゃならぬと思っております。

 なお、返ってきた場合には、これは譲渡の解除でございますので、解除された場合にはRCCの方に戻っていくわけでございまして、預金保険機構が買い取って、またそれを抱いておるという格好ではないと思っております。

○仙谷委員 譲渡の解除とおっしゃいましたけれども、そうすると、個別債権も譲渡するのですね。つまり、株式はLTCB・パートナーズに譲渡をして、会社はそのまま譲渡してしまうのだけれども、会社という有機体の中にある資産は個別に新生長銀に譲渡するという構成になっておるのですか。そういう構成をとるのですか。

○越智国務大臣 この契約にもございますように、今の日長銀の適正なる資産は新しい新生長銀に承継されていくわけでございまして、その承継されていって問題なしとされた債権の中で、いや、昔にこういうことがあった、譲渡以前にこういう瑕疵があったのだというのがわかったときには、その承継された契約が解除されると外されて、そしてそれがRCCに行ってしまうという構造だと私どもは思っております。

○仙谷委員 越智さんも昔は優秀な学生だったと思いますけれども、法律は全部忘れていらっしゃるね。契約は株式譲渡契約でしょうと言っているんです。会社の譲渡契約でしょう。そのほかに改めて新生長銀と資産を別途譲渡する契約なんということをするんですか。もしそれをするんだったら、譲渡の対価は幾らですかとかいろいろ複雑な問題が出てきますよ。無理無理の契約の条項をつくるからこうなるんですよ。

 ちょっと話を進めますが、どのぐらい買い戻しに必要な原資がかかるというふうに予測を立てているんですか。つまり追い銭ですね。今、三兆六千億、こうおっしゃった。追い銭はどのぐらいですか。私は二、三兆かかると思っているんだ、こんな契約を結ぶと。大変危ない。

 リップルウッドにほとんどリスクを背負わさないで、そして引当金も積まないで、あるいは相当程度しか積めませんよね、適債権にしたら。七五%引当金を積んでその債権を持っていくなんということはできない。そんな格好悪いことは、あるいは論理矛盾することはできない。せいぜい積んでも一五%ですから。ところが、この債権が劣化して二割を切ったときに簿価で買い戻さなきゃいかぬ。二、三兆かかるんじゃないですか。いかがですか。

○越智国務大臣 まず数字がどうかということは、私どもは今、全く見当つかないというか、考えておりません。そういうことのないようにこの問題の決着をつけていかなきゃならない。

 なお、先生が大変、昔の私だけ優秀なように言っていただきましたのですが、今もそうぼけてはいないつもりでございますので。株式の方は、先生は今手元にお持ちなんですよ、その資料を。お読みいただければわかるように、「既存長銀株式のうち普通株式の全株を十億円で預金保険機構より取得する。」ということになっておりまして、LTCB・パートナーズが買うことになっている。それとはまた別に、長銀の買収時、これから行われる最終契約書ができた時点において、預金保険機構は「新生長銀に貸出関連資産を売却・譲渡したものとみなす。」ということになっておりますから、そこで動いているのを解除するんだということをさっきから申し上げているわけなんです。

○仙谷委員 だから、最初から申し上げておるように、売買の対象物を当事者にしないとこんな瑕疵担保責任みたいなものがくっつけられないから、そうみなしているだけの話じゃないですか。どこの国に、会社を売るときに株式の譲渡契約があって、今度は中身の資産を個別に、買われた会社そのものが当事者になって売り買いする、みなすなんという契約をする必要があるんですか。

 普通は、会社そのものを買うときには、その中には不良債権もあれば優良債権もあるし、優良得意先もあればいろいろなものがありますよ、不動産も。それをリスクをとって買うのがMアンドAじゃないですか。どこの国に、個別にばらけさせて、みなすとかなんとかという契約を結ぶところがあるんですか。これは、主として瑕疵担保特約をくっつけんがための法律構成なんですよ。無理があると言っているんだよ、僕は。そもそもよこしまな意図から出ているんじゃないかと私は思っているんですよ。

 そして、話を進めますが、今幾らになるのかわからないとおっしゃった。こんなことが費用最小の原則から見て許されるんですか。幾らになるのかわからない。長銀処理は、譲渡をしてもその後幾らかかるかわからない。こんなことが許されるんですか、本当に。国民のためにやめてくださいよ。

 これは、長銀は逮捕者二、三人だったかな、出しましたけれども、少なくとも大蔵省と行政当局で長銀の問題で謝った人はほとんどいませんよ、言っておきますけれども。謝った人はいませんよと言っている、長銀がこうなったことで。小渕さんだってほとんど謝っていないじゃないですか、去年、債務超過じゃない、債務超過じゃないと言い続けた小渕さんがですよ。

 何と、今の段階で三兆六千億でしょう。さらに、かてて加えて幾らつぎ込むんですか。そんなことはわからない、瑕疵担保特約を結んであるから、そのときはそのときだ、そんなええかげんなことが国民に対して許されるのかということを聞いているんですよ。やめてくださいよ、こんな幾らかかるかわからぬような譲渡だったら。

○越智国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、厳格に査定をいたしまして、瑕疵担保責任が生じないように最大限の努力はしているわけでございまして、その先に金額を挙げてどうだと言われましたら、金額がわかるぐらいならばそれは訂正していかなきゃいけない話でございまして、しかし、この話を最後に絞り込まれてきた何社かあったようでございますが、その中で一番条件がいいという判断でこの話をまとめられた、このように聞いておりますものですから、先生の方でそうおっしゃられても、この話をなしにしろ、やめろと言われても、私どもはむしろ、この話をそういう危惧がより少なくなるように努力をしながらまとめていかざるを得ないと思っております。

 

○仙谷委員 これはますます重大な話になってきました。とんでもないことが行われるんじゃないか、兆円の台で。これは本当にだれが責任をとるのか、長官、よく考えられた方がいいですよ、契約の判を押すときに。国民に腹を切っておわびしても済まないですよ、これ。この財政危機の折にですよ。

 もう一つお土産をつけますね、二千五百億円の含み益。この二千五百億円の含み益とは、今どのぐらいの含み益になっているんですか。

 つまり、九九年三月末のバランスシートの、これは評価額でいいますと、バランスシートの上での価格でいいますと、一兆五千八百三十六億、時価が一兆六千七百七億というふうに三月末の決算書では書かれておりますね。八百七十一億の含み益、プラスだというふうに書面上は出ております。これは現時点、物すごく株価は上がっている。三月末から、私がざっと記憶で言うだけでも約二〇%上がっています。

 含み益が二千五百億、これをプレゼントするんだと書いてあります。何でプレゼントするのかは後で聞きますけれども、今はどのぐらいになっているんですか、この含み益。

○越智国務大臣 大変専門的なことでございますから事務局長の答弁をお許しいただければ結構なんですが、私の理解では、この覚書等に出ております二千五百億よりは多いだろう、こう思っております。

○仙谷委員 これ、後で十一月末現在の含み益の価格をこの委員会に出してくれますか。お約束いただけますか。

○越智国務大臣 実は、FA、ファイナンシャルアドバイザー、そういういわば仲人を中に立てて両者で交渉している真っ最中でございますものですから、ちょっと、できますかどうかは少し事務的な検討をさせていただかないと、今ここで私が、はい、いたしますと答えるにはちょっといろいろ難しい点があると思っております。

○仙谷委員 だって、三月末はディスクローズしているんですよ。何でそんなことを隠さなきゃいかぬのですか。そういう隠ぺい主義みたいな話をなさるから、みんなが疑惑を持つんじゃないですか。出されたらどうですか。

○越智国務大臣 実は、こういう特殊なケースなものですから、九月末のいわゆる中間決算もまだ数字が私どものところへ上がってきておりません。そういうものが固まった上でそのまた二月先の話についての作業をしなきゃならないだろうな、こう思っていますが、その上で発表できるものであれば発表させていただきたいと思いますが、まだちょっと判断がつきかねている点がございます。

○仙谷委員 ところで、含み益がある、含み益を実現させて今の長銀の債務超過分をちょっとでも減らすということをやらないで、含み益があるのをわかりながらお土産としてつけて新生長銀に一たん持っていかせて、これをまた預金保険機構が二千五百億の現金を出して買い取る。何なんですか、これは。何で、現時点で含み益があるんだったら、実現して長銀の債務超過状態をちょっとでも減少させないんですか。

○越智国務大臣 先生おわかりの上でその用語を使われていると思いますが、お土産と言うと、何か外人がそのお金を持って帰っちゃうみたいに思われますけれども、これはあくまでも、含み益があった場合には、最終合意書による譲渡の行われた後に実現した場合にはそれは当然資本勘定へ入れてもらうわけでありまして、新生長銀というのは日本の銀行でございまして、そこの資本をより充実するという格好で使ってもらいたいと私どもは考えております。

○仙谷委員 いやいや、充実するのはいいですよ。充実するのはいいけれども、国民の税金はなるべく少なくしようと思ったら、今から充実に向けた方策をなぜやらないのかと言っているんですよ。そうじゃないですか。だってあなた、だからさっき、正味自己資本が幾らのときに売却するのかと言ったんですよ。あなた方の計算だと、これが実現すれば自己資本二千五百億円立つじゃないですか。そんなもの簡単な話じゃないですか。三兆六千億突っ込んだら、公的資金投入すれば正味自己資本がゼロになるという計算なんでしょう、今。それだったら、二千五百億円あらかじめ実現させておけば、三兆六千億マイナス二千五百億ですよ。二千五百億分だけは少なくなるじゃないですか。何で国民の金をそうどんどんつぎ込もう、つぎ込もうと、そんな弛緩した話がどこにあるんですか。できるだけ少なくするという方向で作業するのが当然じゃないですか。そのことを聞いているんですよ。

○越智国務大臣 何と申しますか、私の胸の中にあるものと先生のお考えになっているのとちょっと違うので、もう一円でも高く売るかという話じゃなくて、これは、せっかく日本の法律に基づく日本の銀行でございますので、そうした外人の助けといいますか参加は求めますけれども、我が国において今後立派にやっていってもらいたい、こういう思いがありますから、その資本勘定をきちんと直していくと。

 それで、この前のときにもここでお答えいたしましたけれども、実は九百億以上私どもは新生長銀の株式を引き受けるわけでございますので、それが、新生長銀の株価がきちんともとへ戻ってまいりますれば、引き受けた株式がある程度の値段まで上がれば、よくわかりません、今は株価算定委員会でもとの長銀は株価がゼロと査定されておりますが、新生長銀の株価が何百円というある程度まで行けば、二千五百億ぐらいの利益を生みまして、そうした有価証券の含み益を今いただいてしまうか、それとも将来に戻してもらおうかという点は生かしながら運営していくという意味で、私は一つの判断であったんじゃないかと、このように思っております。

○仙谷委員 私は許されないと思いますよ、こういうやり方は、それは幾らきれい事言っても。だれだって、新生長銀が日本国内においてあるいは海外取引において立派な銀行として再生してもらいたいと思っていますよ。だけれども、だからといって幾らでも国民の税金を突っ込んでいいなんという話にはならない、そんなことは。

 おわかりになっているかどうかわからぬけれども、先ほど長銀の株式取得をするとおっしゃったけれども、いいですか、これは他社の株なんですよ。長銀が保有している取引先の株なんですよ、ほとんど。そうでしょうが。市場が荒れると言うんだったら、ほかの方法で、時価を基準にして公正な価格で買い取らせばいいじゃないですか、どこかに。そして、含み益を実現してできるだけ債務超過を少なくする。当たり前じゃないですか。どうしてこんな大甘なことをするのかわからないんですよ。この点もこの契約の非常に不透明な、いかがわしさがにおうところなんですよ。こんなことが世間に通ると思いますか。どうですか。

○越智国務大臣 最終的な合意書ができました折には、国民の皆様によく理解していただけるように最大限努力をさせていただきたいと思っております。

○仙谷委員 まだまだある。優先株一億株、佐々波委員会のときに一千三百億円突っ込んで、ただ同然になっている。それで、これを何か二七%分消却するというふうになっている。何でこれ二七%分なんですか、消却するのが。わからないといったって、あなた責任者じゃないですか。つらいことを言わないでくださいよ。国民の金を使ってこの売買を決断する責任者なんですよ。わからないなんて言われたら困りますよ。

 何でこれ二七%分なんですか、そもそも。我々はわからないから聞いているんじゃないですか。

○越智国務大臣 これはやはり交渉の過程において出てきた数字でございまして、双方のいろいろな主張の妥結点ということでなっておりますものですから、なぜに二七という算式が出てきたかと言われましても、それは当事をやりました者からぜひここだけは御説明させていただきたいと思っております。お願いいたします。

 

○仙谷委員 本当にわからない。

 これは、日本政府がつぎ込むお金が、まず佐々波委員会で一千三百億つぎ込んだ、その次、あなた方の先ほどからの答弁を前提にしても、三兆六千億を債務超過の穴埋めとして突っ込む、二千五百億円の含み益をプレゼントとしてつける、さらに新生長銀の株式を二千四百億円で引き受ける、さらに、先ほどから申し上げておる瑕疵担保分で何兆円出ていくかわからない、これが今の姿ですよ。

 ところが、たった十億円で売る。そこはまあいいとしましょうか。十億円で売るんだけれども、LTCBが千二百億円出資する。この千二百億円と先ほどの我が国政府が投入した公的資金の上に二千四百億円の新株引き受けをする。LTCBの負担分は、資本勘定だけからいっても二〇%、千二百億ですよ。だから、八〇%は公費が資本勘定にもつぎ込まれることにもなるわけですよ。ところが、持ち株比率は三三対六七にするんでしょう。何で八対二が三対七になるんですか、端的に言うと。どうしてこういう持ち株比率にするんですか。

 お答えいただけますか。

○越智国務大臣 そこのところを、まさに交渉の結果、両者の言い分でそうなったわけでございますから、具体的な数字でございましたら政府参考人も専門的なことについては回答できる国会運営だと思いますので、ぜひ回答をお認めいただきたいと思います。

○仙谷委員 長官、私が聞きたいのはむしろこういうことなんですよ。こういう政治判断でいいのかどうなのか、政治家としてどうですかということをさっきからお伺いしているんです。だから、こういう理由があるからこれでいいんだというお答えが出ると思っているわけです。いかがですか。

○越智国務大臣 先ほど来申し上げておりますとおり、今せっかくの最優先交渉先が決まっておりますので、両者の話を詰めて、この話をきちんとまとめることが今我々に任されている大事な仕事じゃないか、このように理解いたしております。

○仙谷委員 私は、先ほどから指摘してきた諸点から見ると、これはゆゆしい事態だと思っておるのですよ。

 さらに加えて、こういう話があるのですね。

 アトキンソンさんという人がおりますね。ニュー・LTCB・パートナーズのまさにパートナー、株主であり経営者、ユージン・アトキンソンさんという人がおりますね。マネージングパートナーという名刺を持って日本国じゅうでいろいろな営業活動をしていますよ。御存じですか。

○越智国務大臣 申しわけありません。アトキンソンさんと今おっしゃいましたが、私には思い当たる方はございません。

○仙谷委員 いらっしゃるのですよ。この人が、要するに金融界の中では実質のこの問題の仕切り役だと。

 この人は実は、九九年の五月にリップルウッドに入社というか、パートナーになっているわけです。リップルウッドというのは個別にいろいろプロジェクトをやっているから、そういうことができるのだと思う。ところがこの人は、九九年の四月までゴールドマンサックスのパートナーじゃないですか。九九年の二月でしょう、皆さん方がゴールドマンサックスとアドバイザー契約を結んだのは。ゴールドマンサックスの人間が、そのパートナーが、今度は長銀の買い受けのリップルウッドのパートナーになって、仲間になる。

 こんなことをしたら、これは双方代理か利害相反行為になるのじゃないですか。リップルウッドの中に、ゴールドマンサックスにいらっしゃった方がまだ数人おるじゃないですか。こんなことを知らないで契約を進めているのかどうか、そのことだけ聞きます。

○越智国務大臣 残念ながら、アトキンソンという方は私どもは知りません。

 そして私は、この職につきましたものですから、この覚書に名前の書かれている方々、八城さん、コリンズさん、フラワーズさん、松田さん、安齋さん、それぞれ別個にお会いして、交渉事はいたしません、FAが中へ入っている話でございますから、ただ、一生懸命それぞれの方々に、引き受ける以上はこの銀行を立派な銀行にしてくれと。買収の問題のときに一つの原則になっておりましたのは、こうした新生長銀をつくることによって、日本の金融界がより進歩するように、それがよりよき刺激になるようにということがうたわれているわけでありますから、立派な模範になるような銀行にしてもらいたい。今幾らということよりも、将来にわたって長く、すぐ銀行転がしみたいなことじゃなくて、長く日本の金融界において模範となるような、端的に言えば、一番近代的な銀行経営というのはこういうふうにやるんだよというのだったら、それを見せてほしいということを申し上げました。

 お会いした責任者と思われる方の中に、アトキンソンですか、そのようなお名前の方はいらっしゃいません。

○仙谷委員 では、もう一度聞きます。

 クリストファー・フラワーズ、今話しましたね、お会いしたと。この人も、九八年十一月までゴールドマンサックスに在籍している人じゃないですか。

 あなたは、交渉をFAに任せてある、アドバイザーに任せてあると言いましたね。何のことはない、ゴールドマンサックスの手のうちで全部やられているんじゃないですか。これはそうと見えるじゃないですか。あなたは、知らない、知らないと言うけれども、アトキンソンが実権を持っているというのは有名な話なんですよ、このニュー・LTCB・パートナーズの中では。それを知らないでこの話を進めるなんというのはとんでもない話だ。

○越智国務大臣 FAであるゴールドマンサックスに任せてあるという意味を、失礼でございますがお取り違えいただくと困るのですが、私ども預金保険機構並びにそれをバックアップしております再生委員会の者とゴールドマンサックスの代表者とが交渉し、そしてゴールドマンサックスの代表者とこのパートナーズ社の方が交渉する、こういう二つの関係でやっておりまして、FAが全部決めている、全部丸投げで頼んでいるという話では全くありませんで、私どもからきつく、いろいろな条件、交渉事をFAを通じて先方に渡している、こういうことでございます。

 なお、ゴールドマンサックスの中でどのような権威というか実力がある方か存じませんが、私どもとしましては、それとは違うお名前の方が、一応ゴールドマンサックスの責任者、窓口として私どもの交渉にこの二カ月間といいますか、当たっておりまして、その方が十分なる権限を持っているものと信じて交渉いたしております。

 

○仙谷委員 いやいや、利益相反の疑いまである、弁護士が双方の話を聞いて、公正にやったらいいのかと。弁護士だってそうなんですよ、こんなことをやったらすぐ刑務所に行かなきゃいけない。疑わしさを持たせるような交渉形態であってはいけないということを申し上げたのです。

 私は、この問題、大変重要だと。本当に再考してください。これは国民のお金を使う、その緊張感をもっと持ってください。人ごとみたいに言わない。

 では、きょうは速水総裁にお願いをして来ていただきましたので、一言ぐらいはお伺いしないといけませんので、長銀問題はちょっとここで一段落させていただきます。今後も私は聞きますから、そのことを当委員会でも留意をしていただきたいと思います。

 そこで、一問ずつ、宮澤大蔵大臣と速水日銀総裁にお伺いをいたします。

 「日本の財政諸元」というのをつくってみました。要するに、税収がどのぐらいふえているか、減っているか。それから地方交付税交付金がそれに伴ってふえているか、減っているか。地方交付税特別会計借入金がどのぐらい増加しているか。国債発行額、発行総額、つまり借換債を含む発行総額、単年度の新規財源債がどのぐらい出ているか。ずっと並べてみました。

 私は、絶望的にならざるを得ない。去年も宮澤大蔵大臣、これは最後だみたいなお話をされましたね。強力な景気対策としての財政赤字のもとでの大量投入、大魔神を一回から投げさす、これをやりました。今回もまた補正予算であります。来年からは、ここからが日銀の問題にもなるわけですが、この表で見ていただきますと、資金運用部引受残高九十四兆六千億、これについて、二年間にわたって、郵便貯金の二〇〇〇年問題と言われる郵便貯金の償還が始まる。少なくとも一千万を超える分については、四十九兆円ぐらいはもう一遍郵便貯金に入らないだろう。資金運用部がどうやってお金を捻出するのかという話まで出てきております。

 宮澤大蔵大臣、この財政をごらんになって、そして、せんだっての記者会見では、まあしかし来年は五十兆ぐらいまで税収がふえるのじゃないかとおっしゃいました。しかし、こんなことはもう大蔵大臣にとっては初歩中の初歩でわかっている話としては、基幹三税で何と何が賄えるのか、これをごらんいただくとわかりますが、考えてみますと、基幹三税で、実質、国債費と地方交付税交付金、どうもこれしか賄えないのですね。これは地方交付税特別会計の中で隠れ借金しているから、地方交付税交付金の方が当然税収減とともに減っているだけの話で、地方はやっていけないから特別会計の借金がこれだけどんどんふえる。そして、国家公務員の給与だけで十一兆円と言われているのですね。これは、去年決算ベースでいっても、それだけで四十八兆円なんですよ。税収だけだと、国債費と地方交付税交付金を除いたら、あとは公務員の給与だけしか払えない財政になっている。そうすると、八十兆円台の予算を組もうとすると、毎年毎年三十数兆円の国債発行しなきゃいかぬ、景気対策をやろうとすれば四十兆円になる、地方分があるから毎年六十兆円から七十兆円の国債発行が新たにふえる、こういう計算になる財政になっているのですよ。大蔵大臣はどうされようとしているのですか。もう一年は続けるのですか、どうですか。

○宮澤国務大臣 もともと、我が国のような市場経済の国家で、国の成長の非常に大きな部分を財政が負担するということは、本来、正常な状態ではありません。成長の主力というのは、やはり民需でなければならない。それも、個人消費と設備投資、この二つが主力にならなければならないというのは、これは申し上げるまでもなく原則であります。

 しかし、今の状態は、残念ながらそうなっておりません。多少景気が上向いたといっても、せんだっても申し上げましたとおり、個人消費と設備投資は極めて弱いわけでございます。したがいまして、御審議をいただいております補正予算と来年度の予算、もう一遍は財政が国債を出しましてもその後押しをせざるを得ないというふうに、残念でありますが考えておりますし、そのような国の財政の状況は、実は地方においてもそれと同じぐらい悪い状況でございますから、国と地方あわせてそういう状況であります。

 私がここでいわば祈念をいたしておりますのは、この補正予算と来年度の通常予算、これはもうやむを得ない、国が全力を挙げて景気の押し上げをいたします。その結果として、個人消費、少なくともリストラがある程度落ちついていきましたときの個人消費が少しずつプラスになること、設備投資の方は十分自信がありませんが、大分沈んでおりますから、いずれかは上がってくるかもしれない。そういうところの中で、この補正と来年度予算をお願いしました後の日本経済が、仮に来年の今ごろになりますと民需によって主として動き出すような、そういう運営にぜひなってほしい。また、そういう兆候も見えないわけではない。経済ですから、先のことはわからないといえばわからないけれども、見えないわけではありませんから、もう一度国民には御辛抱いただいて、ここで財政での下押しをお願いいたしたい。

 逆に、お尋ねがありましたように、国債の側からいいましても、いつまでもこんなに国債を出し続け、それがふえ続けるということはやっていられるわけがございませんから、そこから考えましても、今のような経済運営をいたしまして、何ともできるだけ早く民需に成長の原動力をつなぎたい、こう思っております。

○仙谷委員 甚だ頼りない話で、私は、この財政経済政策の破綻が来ると思います。多分、自民党政権はそのときと同時に倒れる、こんなことをやっていて、もつはずがないと思いますね。

 ただ、ここからのもう一つの問題は、政権をもたせるためにどうするのか、あとは日銀にしりを押しつける、これしかないわけですね。

 つまり、ことしの二月から始まりました日銀の国債引き受け論議、財政法五条によってやってはならないとされていること、買い切りオペの拡大あるいは現先の拡大、ついに短期国債の買い切りというのが十月に決められて、十一月から行われる。来年は、先ほど申し上げました郵貯二〇〇〇年問題に絡んで、資金運用部が保有している九十六兆円の国債のうちのどこまで現先と称して買い取る合意が日銀と資金運用部の間にできたのか、全く不透明でありますけれども、これが始められる。

 速水さん、これはどのくらいの範囲で、金額あるいは年数、どのくらいやるんですか。つまり、ロールオーバーをして、手形のジャンプみたいなことをして、二十兆、三十兆のオーダーで日銀が資金運用部の国債を引き受けることになる、これは大変なことになるんじゃないでしょうか。私は日銀に、今まで以上に自律性を持って、こういう無謀な、国債を通貨のように扱うやり方はやめていただきたい、こう思っているのです。いかがですか。

 

○速水参考人 お答えいたします。

 郵貯の問題につきましては、今に始まったことでなくて、もう十年も前、バブルの盛んなときに六%以上で郵便貯金を持たせたのが、ちょうどこれから二年間の間に百兆を超えるような期日が来るということは前からわかっていて、既に起こっていたことの処理なんですね。

 それに対して、大蔵省からも御相談がございましたし、これはほっておけば何が起こるかわからない。どれくらいロールオーバーできるのかも見当がつかない状態ですけれども、ここで決めましたことは、まずこの二年について、資金運用部が原則としては手持ちの国債を用いて市場から資金調達することを原則としながら、日本銀行はそれを補完する形で一時的に流動性を供給することはやります。これも、限られた期間で売り現先ということでございますから、二年終わればこれは終わるものだというふうにお考えいただきたいと思います。そうしないと、これは、やはりある程度、いつ、どの段階で市場に波乱が起こるかという懸念もございます。

 それから、短期国債につきましては、先般買いオペを決めたわけでございますけれども、今までに十一月から三回で約九千億円くらい買っております。これはしかし、いずれも短期のものでございますから、年越しのY2K対策として、一月、二月に皆期日が来て、落ちていくと思います。それ以外の、長期国債を買い増したり、まして引き受けをやるというようなことは全く考えておりません。こういうことをやれば、国債自体のランクも落ちますし、信認も落ちますし、ひいてはインフレの種をまいていくということになりますから、これは私ども日本銀行の守らなければならないかたい原則だというふうに考えております。

○仙谷委員 時間を超過して失礼をいたしました。

 これで終わりますが、ただ、大蔵大臣にも速水総裁にもぜひお願いしたいのは、マーケットのシグナルを抑えつけるとか、これを効かないようにするための政策というのはこの時代は無理だということをぜひ銘記していただきたい。つまり、長期金利が上がるからこれを対症的に抑えつけようなどという政策をしてもだめなんだということだけはひとつ銘記をしていただきたいと思います。

 以上で終わります。