1999年03月23日 商工委員会

○古賀委員長 仙谷由人君。

○仙谷委員 堺屋長官は、小渕総理と韓国に行かれたんですね。行っていない、ああそうですか。何かそういう新聞報道を見たような気がしたんですが。

 実は、三月一日に私、ソウルへちょっと行ってまいりました。行く寸前まで思い出さなかったのでございますが、三月一日という日は韓国では休日なんですね。いわゆる三・一万歳事件といいましょうか、独立闘争発祥の日ということで、休日であるということをうかつにも忘れて韓国を訪問したわけでございますが、この独立というのは当然日本からの独立ということでございます。

 一年ぐらい前まで、つまり金大中大統領が就任されるまでは、この三・一の記念日というのは抗日というのが頭についておったわけでございます。ところが、昨年の金大中大統領の訪日、日本に来られて、文化の開放までメッセージされた。ことしの三・一記念日の金大中さんの演説には、抗日とか反日とか、日本という言葉が一切出てこないんですね、一切出てこない。三・一救国精神という言い方で、いわばこの独立への韓国国民の偉大な精神が今のIMF体制という苦境を克服しようとしているという論理立てになっておりました。これが金大中大統領の三・一独立記念日の演説であります。

 その中に出てくるわけでありますが、IMFからの借金のうち四十八億ドルを既に返済した、ことしじゅうにも七十七億ドルを償還する予定である。通貨危機当時、つまり九七年の十二月でありましょうが、三十八億ドルにすぎなかった外貨保有高は、現在五百二十億ドルという史上最高額の外貨準備ができたんだ、こういうことを言っていらっしゃるわけであります。貿易収支も、八十七億ドルの赤字から三百九十九億ドルの驚くべき黒字に回復し、為替レートも金利も安定してきた。それから、外国人投資が九八年には八十九億ドルに増加をして、ことしは百五十億ドルに達する見通しである。それから、世界三大信用評価機関は、韓国の信用等級を投資適格へと再び復活させた。こんな言い方をされておるんですね。

 相当この韓国の状況も底を打ったというふうな兆候が出ておるのではないかと思いますが、しかし、何といっても、対外債務自身をドル建てで計算をしますと、これは大変重いんじゃないか。そのことは、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、いわゆる今回の金融クラッシュから始まる経済危機で大変な経済的な苦境に陥ったアジアの五カ国でありますが、この五カ国の対外債務の大きさとGDPの収縮、そして金利レートの逓増といいましょうか、金利高、こういう状況の中で、今のアジア全般どういう状況なのかという点についてどういうふうにお考えでしょうか。

○堺屋国務大臣 一昨年の七月、ちょうど香港の返還がありました翌日から、タイ・バーツを初めとしてアジアの通貨が総崩れになりました。それによって大変な金融危機、それがさらに実体経済の危機になりまして、各国とも大変な事態になったわけです。その中で、ようやく為替レートが落ちついてまいりまして、安定傾向が出ているということが言えると思います。

 九八年の経済成長率の見通しを見ますと、アジアNIESではマイナス二・六、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピンのASEAN四カ国ではまだマイナス一〇%というような厳しい見方をされております。

 御説のございました韓国でございますが、韓国も一昨年の秋から猛烈なデフレーションになりました。そして為替も大幅に下がったんでございますけれども、最近はこれがかなり戻ってまいりました。一番悪かったのは、おととしの暮れから、九八年、去年の一月ぐらいでございますが、最高のとき、九七年一月を一〇〇といたしますと四〇ぐらい、半値ぐらいに下がったんでございますが、最近は大体七〇ぐらいに回復してきている。そういう点ではすぐれた点が非常に出ていると思うんでありますけれども、この外貨の収支の改善は、主として輸入が減った方で、輸出が伸びたんではなくして輸入ががた減りしたという引き締め政策で出ておるものでございますから、失業率その他が大変大きくなっております。

 韓国につきましても、まだことし、来年もなかなかプラス成長にならないんじゃないか。九八年はマイナス七・〇%、そして九九年もマイナス一・〇%ぐらいの見通しというのがIMFの見方でございます。

 韓国がこれだけ大胆に輸入を引き締め、その結果失業者もふえておりますが、改革をやっておられますので、これからしばらく失業その他が厳しい時期が続くでしょうけれども、遠からず立ち直ってくるのではないかと期待しておりますが、なお厳しい時代は続くだろうという気がしております。

○仙谷委員 アジアに対する日本の輸出でありますが、日本の地域別輸出という大蔵省関税局がおつくりになっている資料を拝見しますと、大体、全体の四三、四%がアジアに対する輸出であった、これは一九九六年ベースであります。そしてまた、対GDP比で見ますと、アジアに対する輸出だけで約四%弱といいましょうか、そのぐらいがアジアに対する輸出の対GDP比の割合だというふうに言われておるのではないかと思います。

 このアジアの金融クラッシュ、それから為替レートの大幅な低下といいましょうか、本国通貨においては低下ということになるわけでありましょうが、こういう事態でシミュレーションをシンクタンクですると、このことでどうも二四、五%の影響があるのではないか、つまり、対GDP比約一%ぐらいは確実に日本のアジア向け輸出が引き下がるのではないか、こんな議論があるわけですね。

 現に、関税局からことしの輸出入の統計をいただきますと、大変、二けた台の輸出のマイナスになっておるようでありまして、やはり私は、アジアがある種回復してこないと、日本の景気とか経済の成長にも結びつかないということは極めて確かなのだろうと思うのですね。

 そこで、一つ経企庁長官にお伺いしておきたいのは、このアジア経済の現在の後退というか停滞は、原因は何でございましょうか。つまり、ソロスとか何か、投機筋が悪さをしかけてこうなったということが主たる原因なのか、あるいはもうちょっと違うのか。

 昨年ですか、韓国に参りましたときに、ソウル市長をした趙淳という人がおります、経済学者さんですね、この方とお話をして、話を聞きましたら一言、いや、過剰投資だよ、こういうふうにおっしゃいました。

 どうも、韓国とかタイとかインドネシアも、設備投資といいますか投資自身が、不動産に対するバブル的な投資以外の本当の意味での実体経済あるいは実体的な産業というところの部分も、相当やはり過剰だったのではないかという気がするわけでありますが、それがある種、何というのですか、経常収支の関係と長短資本の流入の関係で投機筋のつけ入ることになって、きっかけとしては投機筋の為替のスペキュレーションだと思いますけれども、どういう分析をなさっていらっしゃいますでしょうか。

    〔委員長退席、小此木委員長代理着席〕

○堺屋国務大臣 お説のように、日本の経済にとりまして、アジアとの貿易は非常に重要なポイントでございます。現在のアジアの国々、少し回復に向かっているとはいえ、来年も厳しい状況でございまして、私どもの平成十一年度の経済見通しでも、対外余剰はやはりマイナス〇・二と見ておりまして、まだ厳しい状態が続くと思っております。

 さて、仙谷先生の御質問でございますが、どういうことが原因であったか。ちょっと詳しく説明させていただきたいと思うのです。

 従来、私たちが大学で習ったころの開発理論というのは、まず第一に、発展途上国が工業化するためには、その国のインフラストラクチャーを充実して、市場を統合して、その広域化した国内市場に輸入代替産業を興す。肥料であるとか繊維であるとか、輸入代替産業を興す。これがどんどん発展していって、やがて輸出になり、もっと高度なものができる。こういう理屈だったのですね。

 ところが、八〇年代に入りまして、アジア諸国、韓国、台湾、香港、シンガポールなんかが出てきたときにどういう現象が起こったかというと、まず外国から資本を引いて、それで輸出産業を興しまして、そしてコンピューターを入れて、外国の技術を入れて、それを外国に売る。主として北米市場、アメリカやカナダに売る。こういう現象を起こしたのですね。だから、外国の資本で、外国の技術で、外国の市場で、自分の国の労働力、こういう組み合わせで成功したのです。これがどんどんと発展してまいりますと、やはり労働賃金も上がりますし、工業化が進むにつれて、インフラストラクチャーも要るようになるし、環境対策も要るようになるし、コストがどんどん上がり出したわけです。

 それで、コストが上がり出したのに対しまして、ドル安が進んでいるときには、ドルにリンクしておりますとアジアの通貨も下がりますから、それでよかったのですが、逆に今度はドルが高くなり出した。九五年ごろからドルが高くなり出した。そうすると、アジアの、コストがただでさえ高くなる国々の国際競争力が、ドルとアジア通貨をリンクしておりますと、急速に低下し出したわけですね。したがって、九五年ごろから経常収支の赤字が始まります。

 これを、資本収支、要するに外国からの投資で埋め合わせようと。外国から投資を呼ぶためには、どうしてもドルとリンクしておかないと、どんどん下がるような国には投資をしないからというので、無理やりといいますか、かなり無理をしてドルとリンクしていたのです。それで、来る資金が、そういう状態でございますから、経常収支が赤字でドルとリンクしている状態ですから、だんだんと短期資金になり出した。

 これがヘッジファンドが批判されるところなんでございますが、短期資金が銀行に入って、それが不動産に行ったり株に行ったりし出すわけなんでございますけれども、そのもとは、外国資本を直接導入して設備投資をどんどんやって輸出をふやすという、かなり、十年以上続いた善循環にあった。それを、最終段階へ来て、段階的に為替を調整すべきところをドルとリンクいたしまして保ったところにかなりの無理があった。それを、足元を見透かされたといいましょうか、短期資本の方が、これでは危ないぞというので、ある日突然逃げ出した。それで、物すごい勢いで外貨が流出して、あっという間に外貨保有高がなくなるし、為替が下がるし、パニック状態を引き起こした。

 確かにそういう意味では短期資金が急に逃げ出したのにも責任がありますが、それ以前に、外国からの資本で過剰投資をして輸出を対象にしてやっていたことにも問題があるし、その状態でドルとアジア通貨とリンクしていた役人にも問題がある。そういう点が種々重なって、この一昨年から去年にかけてのアジア問題が起こったものだと認識しております。

 

○仙谷委員 それほど認識は違わないようなので安心をしておるわけですが、にもかかわらず、非常に悩ましい問題があると思いますね。

 つまり、国際市場が自由化することによって、何というのですか、短期ではなくて長期の投資を民間資本に要請をするというわけにもいきません、これはもう資本の方の自由気ままということになるでしょう。そうなってきますと、特にアジアでクラッシュが起こってからは、民間金融機関は特に長期の資金を貸すことに後ろ向きになっておるのではないか、むしろ引き揚げる方が先行しておるというふうなことになっているのではないかと思うのですね。

 マーケットというのはそういう意味では勝手なところがある、それがマーケットだと思わなければいけないのだと思うのです。反対に、今度はそれをカバーするために今議論しております国際協力銀行あるいは輸銀、借款というふうなものの登場の場面だ、こういうことに今なっているのだと思うのです。だから、平成七年にいわゆる行政改革と称する統合を決めたときと、物事の発想が相当逆さまになっている。

 私も議席を持っていませんでしたので、何でこんなばかなことを決めたのかという気もしないでもないのですが、平成九年九月二十四日の閣議決定というのを拝見しますと、日本輸出入銀行については、「一般投資金融について減量化することとし、」というふうに書いてあるのですね。「政策緊要度の高い案件に限る」、それから「製品輸入金融の対象品目を見直すこととし、貿易摩擦回避、対外収支不均衡是正及び国民生活に不可欠な物資サービスの供給に資する案件に限るものとする。」「輸銀融資について、原則として民間銀行の保証を求めることを廃止する。」つまり、官民の役割を大幅に見直して、民間活動が中心で、輸銀は今まで以上にその補完に徹すべしだ、そんなことが方針として示されておりますね。

 ところが今やっていることは、対政府のみならず、どうもカバーじゃなくて、どっしりと真ん中に輸銀が座って、そして輸出入なりあるいは対政府なりの金融を支えろと言わんばかりの雰囲気になってきているのではないか、そんな気がするのですね。

 今そういう話を進める前提としまして、今の邦銀、日本の金融機関のアジアに対する債権の残高というものがどのぐらいあるか、大蔵省かあるいは経済企画庁でも結構ですが、国別にお答えいただけますでしょうか。

○黒田政府委員 国別の数字をちょっと今手元に持っておりませんが、東アジア地域全域に向けての邦銀の融資残高は千八百六十六億ドル、円に直しまして約二十六兆三千億円であるということでございます。この数字は、御指摘のように、アジア通貨危機の直後というよりも、その前後から若干減少しておるというふうに承知しております。

○仙谷委員 先ほど韓国についてはちょっと申し上げたのでございますが、韓国、インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピンの五カ国だけでも、今国際局長がおっしゃったが、二千六百十一億ドルというのがどうも九六年、九七年あたりの数値のようでございますし、利払いだけ見ても五カ国で一年間で約二百七、八十億ドル、利息を一〇%ぐらいで計算すると払わなければならないという計算になるんですね。

 GDPとの大きさで見ますと、これは大変な比率でありまして、つまりGDP比五、六%の比率の利息を払うという話になりますから、GDPの成長がマイナスであるのに、利息だけの支払いで六%とか五%払うというのが今のアジアの国々が置かれた状況だと見ますと、相当不良債権化するといいましょうか、当分棚上げにしないとどうにもならないということなんだろうと思うんですね。邦銀が貸し与えた債権でそういう状態だということだと思うんですよ。

 邦銀は、できるところから回収をまず優先し、そして後は輸銀さん頼みますよとか、借款頼みますよということになっておるのじゃないかという危惧をしています。そのことが今回の国際協力銀行法案の二十三条、二十四条にならないかなということで、つまり輸出入銀行がばばを引かされるのではないかということで、私は大変心配をしておるわけであります。輸出入銀行といたしまして、この辺は全然問題がないというお考えなのでございましょうか。いかがですか。

○保田説明員 先生御承知おきのように、アジアの諸国は一昨年来の通貨危機で、大変実体経済が落ち込み、かつ、そこに展開をしております日本企業もまた、いわゆる貸し渋りによる資金繰り難に悩んで苦しんでおるわけでございます。そういうことに対しまして本行は、昨年初めからことしの三月までということで、大体一兆二千三百億円程度の投資金融を、主として日系企業向けということで融資の承諾をいたしております。

 直接的な日本企業向けの支援はそういうことでありますけれども、そのほかに、ただいま先生が御心配になっておりますように、今回の統合法案におきまして、輸出入銀行が本行と協調融資をしている銀行等の債権を買い取ることができる規定が入る、それが本行の不良債権の増加につながるのではないかというふうに御心配をいただいておるということは職員から常々聞かされておりますが、もしそういうことでありましたら、今ここでお答えをいたした方がよろしければいたします。

 今回の譲り受けの規定は、国際協力銀行、そのスタートは十月一日とされておりますから、その前は現在の輸出入銀行ということでございますけれども、それを含めました国際協力銀行と協調融資に参加いたしました銀行等が海外業務から撤退をする、あるいは海外資産を圧縮しなければならないといったことで融資が継続できないといったような場合に、この債権を国際協力銀行が譲り受けることができるという規定でございます。この譲り受けの対象となります債権と申しますのは、御承知おきのように、先ほど申し上げましたが、本行との協調融資でございます。

 我々輸出入銀行はこれまでも、償還確実性の原則を踏まえまして、借入人の信用力や対象事業について十分な審査を行っておりますし、その後も、債権保全の観点からフォローアップを常々行っておりまして、我々の口から申すのもいささか口幅ったいのでありますけれども、市中銀行さんの持っておられます債権のうちでも良質な債権であろうというふうに考えております。

 しかも、これを譲り受けようという判断をいたしますときには、またその時点での借入人の信用力とか事業の遂行状況といったようなことを十分勘案いたしまして、償還確実性の原則に反するというようなことであればこれはお断りをするということでございますので、御懸念のようなことにはならないと思いますし、我々、そういうことにならないように十分慎重な運営を図ってまいりたい、こういうように考えております。

○仙谷委員 この協調融資というのが輸銀の現在の出融資保証残高の中で各国別にどのぐらいの比率を占めるのか、あるいは、対政府とか対民間企業あるいは対金融機関とか、どのぐらいの額で存在するのかというのはお示しいただけますか。

○保田説明員 本行の債権全般についての調査はちょっとまだ行き届いておりませんけれども、非居住者向けの債権の民間銀行による協調融資は約六千六百億円程度というふうになっております。そのうちで、ソブリン、外国政府に対するものは四千七百億円。したがいまして、残りの千九百億円あたりが一流銀行あるいは一流企業向けというふうになっております。

 

○仙谷委員 どこまでが確たる情報なのかわかりませんけれども、邦銀がもう早く海外の取引を手じまいして日本に帰ってきたい、これは自己資本比率の問題もあるでしょうし、海外での営業がそれほど収益を上げない、格好をつけて行っていただけだみたいな話が、地銀レベルとか第二地銀レベルでは相当あるのだろうと思いますし、都市銀行レベルでももうそろそろおやめになったらいかがですかという話なのですね。つまり、都銀十九行、現在十五行のようですが、そんなに猫もしゃくしも海外に行ってやらなくてもいいのではないか、こういう議論はあります。ところが、特にアジア向けについては、手じまいをしようにも、そこである種の損切りをしなければいけませんから、それをやると、またまた本社の不良債権といいますか償却がふえて収益を圧迫する、だからできないのだというふうな話まで聞こえてくるのですね。

 どうも、アジア向け債権の劣化といいましょうか不良化というのは、国民にはほとんど見えていません。先ほど私が申し上げましたように、マクロ的には、日本のここ数年、つまりバブル崩壊後の不良債権化よりもはるかにひどいはずであります。これは、対GDP比を見れば一目瞭然の話であります。ところが、そこは全く見えていない。見えていないところで、輸出入銀行に何か肩がわりさせるみたいな話が出てきますと、特に輸出入銀行は政治の場と近うございますから、政治的な圧力とか、何かいろいろややこしい話があってしようがなかったんだよみたいな議論になるのではないかという懸念を持っておるのですね。

 したがいまして、先ほど言いました、輸出入銀行独自のその時点での審査というふうなことがあると思いますし、債権を評価して、どのぐらいで譲り受けるかという譲り受け価格の問題も当然出てくるでしょう。あるいはそれが妥当な価格であれば、邦銀がほかの銀行に売っても売れるはずなのですね、本来は。別に輸出入銀行が譲り受けをしてあげなくても譲渡できるはずだと思うのです。ところが、輸銀が肩がわりするといいましょうか、私に言わせれば、抱くような譲り受け規定が入ってきた。本当にこれは、少々まゆにつばをつけながら見ていかないと、せっかくの輸出入銀行の財務内容が、気がついてみたら悪化しておったなんてことになるのではないかという心配を、懸念をしておるわけであります。

 したがいまして、この協調融資分の譲り受けのディスクローズについてはどういうふうにお考えですか。

○保田説明員 本行が当該債権を買い取ります前に、当然、ほかの民間金融機関がこれを引き受けない場合にのみ本行が買うということで、その意味では本行は補完の立場にあるということだけ、先ほどの答弁につけ加えさせていただきたいと思います。

 なお、譲り受けた債権の開示ということにつきましては、やはり商取引でございます、相手国の政府あるいは政府関係機関、あるいはまた日本の関係の事業の業務上の秘密ということも念頭に置きながら検討させていただきたいと思います。

○仙谷委員 しつこいようでありますが、そうしますと、現在的に言いますと二千億円弱、そこから、この二十三条の規定によって譲り受ける債権の額というのは二千億円弱からは上回ることは絶対にあり得ないわけですね。

○保田説明員 先ほどお答えいたしましたように、先ほどの数字は、本行の輸出金融の直接借款の部分とアンタイドローンの部分であります。投資金融につきましては、時間の制約もございまして、非常に件数が多いものですから先ほどの数字には入っておりませんので、そこは御容赦をいただきたいと思います。

○仙谷委員 協調投資もあるという意味ですよね、今のは。協調投資分もほかにあるということですね。

 つまり、この輸銀の融資についても、当分といいましょうか、五年、十年くらいは、アジアの民間事業会社に融資した分も含めて、相当の部分が塩漬けになる可能性があるな、私はこう見ておるのですね。マクロ的にはそうとしか考えられない。個別企業の中で非常に優秀な企業があって、例えば南米に輸出が大量にできて、そこでのもうけを、輸銀に対する利子支払いとか元本支払いができるというケースもあるでしょうけれども、どうもマクロ的には、この状態でそうそううまく返済ができるとは思わないものですから。

 どうかひとつここで、私に言わせれば、ある種のミニAMFみたいな役割を、タイの危機から始まって、担わされておるのではないかという気もしないものでもないものですから、余り政治的圧力に惑わされることなく、きちっとした審査をしていただきたい、このことを要望しておきます。

 宮澤大臣にお話を少々伺いたいんでありますが、先般も年末、アジア、私はシンガポールとマレーシア、その二カ国しか行きませんでしたが、他の民主党の議員がタイ、インドネシアへ行って、歩いていろいろな方々の意見を聞いてきたわけでありますが、新宮澤構想が大変評判がいいんですね、アジアで。この三百億ドル、日本の銀行の不良債権処理に最近使っておる金額からいいますと、やや金額的には一けた小さいのかもわかりませんけれども、しかし、アジアの今の苦境を脱するためにこの三百億ドルが大変評判がいいということであります。

 アジア金融クラッシュが起こったときに、大蔵省のどこかの部局でAMF構想というのがぶち上げられたというか漏らされたというか、そういうのがございましたね。ところが、アメリカの横やりで挫折をした、こういうふうに言われておりますね。その後に新宮澤構想が出てきた、こういう時系列になっておるわけでございます。

 宮澤大蔵大臣は、国際的な金融マーケットの中における円の役割、その中で、AMF構想のような、あるいは日本のまだ存在する高い貯蓄を背景にした金融力で、安定的な金融秩序をつくるために日本が何をしたらいいかということでありますが、どういうふうにお考えでございましょうか。

○宮澤国務大臣 そのお尋ねは私はごもっともだと思います。私が三百億ドルの金ということを考えましたのは、先々そういうことにつながるかもしれませんけれども、それよりももっと、当面、これらの国が困っておりますから、それに対して我々が何ができるかということを考えたわけでございます。ちょうど昨年の十月か、IMFの総会がありましたときに、各国の蔵相と中央銀行総裁が見えましたので、会議をして皆さんの御意見を聞いて決めたのです。

 つまり、各国ともちょうど我が国と同じと申しますか、非常な不況になりましたから、公共事業もしなきゃならない、セーフティーネットも要るだろう、いろいろな国内施策というものが大事なわけですが、その金がないわけでございますから、その金を、まず三百億ドルを半分に分けまして、百五十億ドルの方はそういうことに使ってもらったらどうだろう、それを使ってくれてもいいし、あるいはそれらの国がどこかから借りるときに我々が保証に立ってもいい。いずれにしても、そういう国内的な立て直しのために使ってもらうのが百五十億ドル。

 残りの百五十億ドルは、みんな輸出をしたいわけでございますけれども、原材料の輸入ができないという為替上の苦労がございますから、その百五十億ドルは為替の方に使ってもらおう、そういうふうに考えたわけでございます。

 ですから、為替の方は比較的短い金になりますし、あとの百五十億ドルは長い金になる。そういう形でおのおのの国が、失業の対応をし、他方で貿易、殊に原材料を買って国民に与える、あるいは輸出に向ける、そういう二つの目的にとりあえず使ってもらおう。五カ国おのおのですから、対応がいろいろございますが、今ちょうど半分コミットしたところでございます。残りの半分が、これから一年とかいうことでございます。

 お尋ねの趣旨は、そういうことをやっているうちにだんだん円というものがこの人たちの国の経済になじんできて、やがてはもう少し円というものについてのこれらの国の関心が高まるだろう、その末には何か一つの仕組みのようなものに発展していけないか、そういうことがよくまた言われるわけでございますが、それは、もともとドルだけにペッグをして、これはしまったなと思っている人もございますから、そういう意識は向こう側にもないわけではないと思います。

 ただ、円をさあ東京のマーケットでこうやって運用しなさいといっても、今になってそういうマーケットがこうやってできるわけでございますから、そういう点でも急にできるわけではない。ただ、これが契機になってそうなればいいことだと思っておりますけれども、この援助というものをそういう何か一つの到着点を考えてやったというわけではございません。

○仙谷委員 時間がなくなったようでございますのでやめますが、先般、小渕総理が韓国へ行かれたとき、自由貿易協定も視野にというふうな新聞報道がございます。経済協力についての新たな宣言ということも構想されておるようでございまして、やはりこれ、三年、五年、十年、二十年という単位で考えておかなければならないのかもわかりませんが、多分、現在の金大中大統領は相当のボールを投げてきている。つまり、日本はどうするんですか、うちは文化も開きましたよ、日韓自由貿易協定もこれから協議する用意がありますよというふうなメッセージを投げてきておるわけでございます。

 私はどうも、アジア全域の経済的な、よく言われる持続的な発展といいますか、余りにもクラッシュとバブルを繰り返すようなことじゃない経済システムをつくるとすれば、やはり相当日本も覚悟をして国境の垣根を低くすると同時に、そこである種の相互互換性があるような仕組みを考えなければならない。特に金融の面でそのことが大きな揺れを防ぐんではないかという実感というか、直観みたいなものがするものですから、なおそういう方向性で努力をしていただけたらと思います。

 時間がございませんけれども、経済企画庁長官、お考えございましたら。

○堺屋国務大臣 アジア諸国もそうでございますけれども、日本も今大変不況でございまして、当面の対策に追われているところでございますが、来年度、平成十一年度からは日本もアジア諸国もやや落ち着いてくる。そうなりますと、委員御指摘のような長期的なビジョンということも考えなきゃいけないと思います。その中では、貿易あるいは金融だけではなしに、人の問題というのも出てくるかもしれません。

 私ども今、小渕総理大臣から経済審議会に、十年程度の先を見た日本のあるべき姿を描いてそれに至る政策をという諮問を受けておりますので、その中で慎重に今の問題も考えていきたいと考えております。

○保田説明員 先ほどの答弁に一言補足をさせていただきます。

 先ほど六千六百億円という数字を申し上げましたが、そのほかに投資金融についての協調融資分、数字がわかりましたのでお知らせしますが、それは約三百億円でございます。したがいまして、先生の御懸念のようなことにはならぬと思いますが、金額が少ないからといって心を緩めることなく、償還確実の原則にのっとりまして気を引き締めて事の処理に当たりたいと思っております。

    〔小此木委員長代理退席、委員長着席〕

○仙谷委員 どうもありがとうございました。