1999年02月09日 大蔵委員会

○村井委員長 次に、仙谷由人君。

○仙谷委員 大蔵大臣、きょうの日経新聞の朝刊第一面でございますが、長期金利高を抑制するために大蔵省は中期国債の発行額拡大、十年債偏重見直し、こういう記事がトップに出ておりますが、こういう方針、もう既にお決めになったんですか。

○宮澤国務大臣 ただいま小池委員が同じようなお尋ねをなさいましたので、多少重複をいたすかもしれませんけれども、私どもは、国債の発行者、しかも国債の金額が相当大きくなりますと、発行者としての市場に対するいろいろな事実上の影響力、責任というものは当然ございますので、そこは一本調子でなくいろいろなことをやはり考えていかなきゃならない時代ではないかということ、その程度のことを私は事務当局に申しております。

 平成十一年度の国債の市中への消化発行額は六十兆円でございますが、それは補正後の十年度の発行額よりほぼ十兆円多うございます。その十兆円は今回十年物にはいたしませんで、より短いもの、一年のTBでありますとかあるいは二年の国債でありますとか、短いものでほとんど増分を埋めておりまして、十年物の毎月発行額は変えずにおります。

 それは、それだけでは恐らく十分でございませんけれども、それが象徴しております意味は、発行額が大きくなりますと、発行者としてはやはりいろいろマーケットのことを考えたりしながらするべきものだろう、一本調子ではいけないのではないかという私ども自身のいろいろ内部の討議を今始めてもらっておりまして、したがいまして、今御引用になりました記事そのものは、正確に申しますなら、極めて正確とは申しませんけれども、発行者としてのいろいろなバラエティーを考える必要があると私が事務当局に検討してもらっておりますということは、そこは事実でございます。

    〔委員長退席、鴨下委員長代理着席〕

○仙谷委員 そうしますと、端的にお答えいただきたいんですが、今、平成十一年度国債発行予定額、こういう理財局がつくられた発行予定を私どもいただいておりますね。これが、今のお話では変更があるということなんでしょうか。それとも、この部分については全く変更がない。つまり、もっと具体的に言いますと、シ団引き受けの十一年度予定が十年債で二十兆円、こういう大きい金額が書かれておりますが、これを短期、中期のものに変更していくというお話を今されたのか。それとも、いやいやこれは変えないんだ、全然変えないで借換債の部分について一年債を出すんだ、こういうお話なんですか。もしそうでないとするならば、私が申し上げたような二十兆円の十年債の発行を変えるということならば、発行予定を変更されるというんであれば、平成十一年度における公債の発行の特例に関する法律の規定により発行を予定する公債の償還計画表というこの計画表は変更はしなくてもいいんですか。

○宮澤国務大臣 国債発行につきまして、平成十一年度分、参考資料として予算案と一緒に御審議を願っておるわけでございますから、そういう意味で、勝手に政府が都合で変更できるということを私は考えておるわけではございません。

 したがいまして、ただいまもそういうことを決定したとは申し上げておりませんで、今のところはそういうことを将来に向かって考えてみたらどうだということを申しておる、そこまでが正確なところでございます。

○仙谷委員 そうしますと、きょうの日経新聞の朝刊に記載されたようなことをもし大蔵省が決定をされたとしますと、これは前提条件が変わってくることになるわけですから、どこかでもう一回、この償還計画表については国会で審議をしなければならない、こういうことになると思うのですが、いかがですか。

○宮澤国務大臣 本来、国債発行に関しまして国会に差し上げております資料につきましては利払いなんかも入っておりますけれども、国債の発行のクーポンレートというのは、実は御承知のようにその都度その都度決めてまいるものでございますので、ことしに入りましてからも、最初二%でございましたが、その次に一・九%というレートでやっております。

 したがいまして、正確には一つの商行為なものでございますから、きちんと法律的な義務あるいは国会の承認といった非常に厳密な意味でのことにはなり得ないのかもしれません、その都度、そのときのクーポンレートを決めなきゃなりませんので。そういうことでは多少権利義務関係が違ってくるかもしれませんけれども、しかし、概してこういうことでいたしますという意図を国会に申し上げておるわけでございますから、したがいまして、そういう意味で、やはりそれは、政府は何をしてもいいというわけのものではないと私は思っております。

 したがいまして、今申し上げようとしておりますことは、そういう御参考を国会に資料を差し上げて御審議を願っておるという拘束のもとに我々としてはいろいろなことを考えていく、そういうふうに申し上げざるを得ないのだと思います。

○仙谷委員 大臣おっしゃるように、発行予定額の方は資料ですね。間違いない、資料。ところが、償還計画表の方は法律要件になっているのですよ。法律の二条の三項でございますか。ちゃんとこの分については、これは第二条の三号と読んだ方がいいのでしょうかね、「政府は、第一項の議決を経ようとするときは、同項の公債の償還の計画を国会に提出しなければならない。」と書いてあるのですね。これは、提出義務のある償還計画表が変わらなければ、ここで審議をする、あるいは予算委員会で、予算の総則の中に総額が記載をされて、償還計画表が出ておって審議に付されておればそれはいいと思うのですけれども。

 だから、先ほどから私が聞いておりますのは、発行予定が変われば償還計画も変わることがあるんじゃないのですかと聞いておるんです。もし償還計画が変わるのであれば、審議が一からやり直しになる可能性があるんじゃないのですかということを聞いておるわけでございます。いかがでございますか、その点。

    〔鴨下委員長代理退席、委員長着席〕

○宮澤国務大臣 ただいま御指摘になりましたのは、平成十一年度における公債の発行の特例に関する法律案の第二条第三項で、「償還の計画を国会に提出しなければならない。」私ども、これに従いまして計画を御提出いたしておるわけでございますけれども、法律的な問題がございますので、理財局長がおりますから、お答えを申し上げます。

○中川(雅)政府委員 償還計画表は、今大臣申し上げましたようなことで国会に提出いたしておるわけでございます。

 他方、国債の発行につきましては、市場のいろいろなニーズに応じて円滑かつ適切な発行をしていく必要があるわけでございまして、過去におきましても、昭和五十八年の二月でございますけれども、十年債を十五年債に振りかえたという例がございます。

 いずれにいたしましても、今後市場のニーズを踏まえながら適切な発行をしていく、そういった過程で年限の振りかえ等がございました場合には、償還計画表の提出をその時点の計画に即して国会にお出しをするということになろうかと思います。

○仙谷委員 ある意味で、細かいことを一々言うな、こう思われるかもわかりません。しかし、どうも財政についての規律が完璧に緩んだというか、完璧に崩れたという思いを私は捨て切れないのですね。非常に、どっちでもいいやとか、まあいいじゃないかみたいな話で物事が進んでいっておるんではないだろうかという気持ちがしてならないわけであります。

 とりわけこの国債問題が、長期金利の問題との関連で、慌てふためいたその場しのぎ型といいますか、対処型で国債問題をあれやこれやしようとする人が、政治の世界でも、あるいは実業の世界でも、最近ちょっと多過ぎるんじゃないか。こんないいかげんな話はないと私は思うのですね。

 ことしの国債発行についても、累積の国債問題についても、私、五十三歳ですけれども、我々はほとんど払わないで死んでしまいますよ、これは多分。六十年償還ということは、一兆円借りた国債は二兆八千億返さなければいけないというじゃないですか、三%の金利で。そうじゃないのですか。その国債を、事もあろうに軽々に、長期金利がちょっと振れただけで、これが非常に重大だということは後でお伺いしますけれども、慌てふためいたように国債の発行の仕方を変えなければいかぬとか、あるいは、きょう総裁も来ていらっしゃいますからお伺いするわけですが、日銀に国債を引き受けさせたらどうか、こんな極論まで飛び出してくるというこの風潮、これは世も末だとしか言いようがない、私に言わせれば。こんなことが横行するようでは、幾ら大蔵省主計局の皆さん方に頑張っていただいても、理財局の皆さん方に頑張っていただいても、骨抜きどころか、もう背骨を全部骨折したぐちゃぐちゃの国家にしかならないんじゃないかと私は心配をしておるわけでございます。

 きょうの日本経済新聞一面で、中期国債の発行額拡大ということを書いてございますが、二十面では、「大機小機」という欄では「長期金利上昇のメッセージ」という部分がございます。それを今度拝見しますと、三つ、今の債券市場からメッセージが出ていると書いてあるのです。

 私もほとんど同意するのですが、その三番目が、十年債に偏り過ぎた国債発行方式の欠陥が露呈された、そのとおりだと思いますね。それは、今まで皆さん方がおやりになってきた、長信銀を守る、そういう政策があるものだから、中期、短期の国債を余り大量に発行できない、しては彼らをつぶしてしまうんじゃないか、そういうまさに護送船団の中でのやり方がここへ来て硬直化した、十年国債しか出ていなかったということが長期債市場の債券市場の問題になって出てきておる。私も、そういう意見には同意します。したがって、その発行の仕方を柔軟化する、フレキシビリティーを与えるという御意見ならば、そこのところは別に反対するわけじゃないんです。

 ただ、しかし、現在の長期債のレートが上がって債券が下がるという、このことに慌てふためいてこんなことを考え出す、あるいは、もっと言えば、口先介入で長期金利の上昇を抑える、あるいは長期金利の低下を促すために、そのアナウンスメントとしてこういうことを新聞にリークしているということであるとすれば、それは小手先の対処にしかならない、しょせんはマーケットに完全に打ちのめされていくんではないか、そう思うんですね。大蔵大臣、いかがですか。

○宮澤国務大臣 最後のお尋ねのところが、ちょっとどういうふうにお答えいたしますか。

 つまり、先ほど申しましたとおり、我々は今やかなり大きな国債の発行者になっておるわけでございますから、その順調な消化というものについては、一本調子でなく、いろいろな可能性を考えていく必要があるということを私ども今考えておりますということを申し上げました。しかし、国会に、まさに御指摘のように、資料も御提出しておりますことでございますから、そう何でも都合よく一からぽんと変えられるわけのものでもない、やはり少し時間をかけて検討する必要がある、こういうふうに考えているということを申し上げましたので、その御指摘の新聞の報道というのは、そういう意味では不正確と申し上げますか、将来に向かって我々検討はしたいと思っておりますが、今何かが起こるといったような意味でありましたら、それは必ずしも正確ではないと思います。

○仙谷委員 きょう、「最近の国債流通諸元」という一覧表をつくって持ってまいりました。お配りしていただいてよろしいですか。わかり切ったことでありますが、一覧表にすると割と物事がはっきり見えてくる、こういうふうに考えましてつくったわけであります。

 つまり、九八年九月十八日に世界の歴史上最低の〇・六七〇%の利回りを指標銘柄がつけた。そのときの債券の価格は百十五円五十五銭だった。昨日、これはツイストオペのお話やら、日銀が買い切りオペを拡大させるというふうに大きい声で言う金融担当じゃない大臣の方がいらっしゃるものだから、市場が反応したのかどうかわかりませんけれども、利回りが二・一六六になって、債券価格が九十五円九十五銭になった。ちょうど十九円ですか、二十円弱、こんなに九月の十八日からは動いたわけであります。つまり、これを見てわかりますのは、金利が一・五%上昇すると債券価格が二十円動いた、おおよその話でありますが、そういうことがわかるわけでございます。

 今度の三十一兆円、特例公債だけで二十一兆七千億、こういう予算を組むときに、ボンドのマーケットがこういう反応を示す、長期金利がこのように動くということは、大蔵大臣は予測はしていなかったんでしょうか。

○宮澤国務大臣 いろいろそれについては申し上げたいこともありますが、まず、昨年の九月十八日の〇・六七〇という金利はまことに異常な金利、現に九月一日には一・〇八〇でございましたから、我が国の金利が異常に低いということは一般に言われていることでありますし、資金需要がないということでもございましょうと思いますが、まあ一以下とか、二にしても随分低い金利であることは間違いないことだと思います。

 それで、私どもは国債発行者として、国債を発行いたしますときには、どういうクーポンレートをつけるかということは、やはり商品でございますからマーケットに聞かなければならない。そういう意味では、マーケットが買ってくれるような商品を出さなければなりませんので、クーポンレートというのはある意味で勝手に決めるわけにはいかない。これはおわかりいただけると思います。

 したがいまして、一年の間を展望して国債のクーポンレートを固定して考えるなんということはとてもできませんので、どういうレートになるか、そういうところは柔軟に考えておかなければ、それこそ国債という品物を固定レートをつける、それは考えられないことでございますから、市場の中で考えていくというのがやはり基本的な態度でなければならないと思っております。

○仙谷委員 お答えになっていませんが、経済企画庁、来ていらっしゃいますか。経済企画庁は、予算をつくるときに経済見通しもつくった。このときに、ことしの借換債を含めると七十兆円の国債発行、新発債が三十一兆円、こういう公債発行をすればマーケットが反応するということはお考えになりましたか、考えなかったですか。お答え願います。

○河出政府委員 政府の経済見通しを策定するに当たりまして、特定の金利水準、あるいはそれがどうなるかということを前提にして策定をしているものでありませんで、いろいろな設備投資あるいは消費等につきまして、設備投資であればいろいろな企業の設備投資計画アンケート、そういったものを前提にしてつくっているものでございます。

 なお、こういった国債発行につきまして、それが市場に影響を与えるであろうということは当然予想されるわけでございますが、私どもとしては、金利水準あるいは金融環境について大きな変更はないということをまず前提に経済見通しはつくっているものでございます。

○仙谷委員 日本銀行、この点は、総裁でなくても結構ですけれども、日本銀行はどうですか。こんな国債の発行をしたら必ず長期金利は反乱を起こして上がっていくよということは、その当時、十二月当時ですよ、予測していましたか、していませんでしたか。

○黒田参考人 お答えいたします。

 先ほどのお話にも出てまいりましたが、長期金利の動向は、基本的な長期の経済状況、価格期待を含めます長期の期待によって大きく左右されているというふうに考えております。

 したがいまして、今先生御質問の点につきましても、そういう政府の御方針を見て、マーケットの参加者のこれが長期にわたってどういうことを意味しているかということのとらえ方いかんによって影響があったりなかったりするものだというふうに思っておりまして、私ども、その点については、現実の市場の動向を注意深く継続して見守っていきつつ対応する、こういうことかと思います。

○仙谷委員 皆さん、非常に歯切れが悪い。けれども、経済企画庁にしても、大蔵省にしても、日銀にしても、日本最高のエコノミストがそろっているんじゃないですか、当たり外れがあるにしても。

 累積の国債の総額、あるいは政府の債務の残高がここまでいって、あるいはここまでいくように、一〇〇%に近づくように、あるいは一〇〇%を超えるかもわからない、そこまでの国債をことしは発行するんだ、そのときにマーケットがどう動くか。ほかの要素もそれは当然あるでしょう。しかし、債券価格、長期金利の動向というものを全く気にしないで政策決定をする、あるいは経済見通しを立てる、税収見通しを立てる、もしそんなことがあるとすれば、私は信じられないけれども、もしそんなことがあるとすれば怠慢ですよ、これは。どうにもならないじゃないですか。国民こそいい面の皮じゃないですか。どうですか、これは。

 もっと正直に、いや、そのことについては考慮に入れなかった、申しわけないと言う人がだれもいないんですか、もしやっていないんだったら。やっているんだったら、当然のことながら、そういう見通しを含めてこういう予算を組みました、こういう公債発行をすることにしたんですというのでしたら、さあ、そこからが議論の始まりですよ、私どもとの。議論が始まらないじゃないですか。みんなが全然答えをはぐらかして、マーケットの動向を見ていましたなんて、日本銀行さん、おっしゃるけれども、そんなことは当たり前じゃないですか。僕だってマーケットを見ていますよ、毎日。こんな無責任なことで経済運営をやられたんじゃ我々はたまりませんよ。

 では、質問を変えます。もう一遍、お三方に聞きましょう。

 この現在の二・一六六、昨日の長期金利、高過ぎるんですか、安過ぎるんですか、あるいは常識的なラインですか。公定歩合〇・五%との関係で、あるいは一月末の卸売物価指数が、前年比マイナス四・六%だったですか、ちょっと見落としましたが、マイナスで四%を超えていますよ。こういう卸売物価との関係でどうですか、この金利。高いんですか、安いんですか、あるいは正常値なんですか。

○宮澤国務大臣 これは私の出る幕でないのかもしれませんけれども、先ほども申し上げましたが、十年度の補正後の国債、民間消化分は五十兆でございます。そして、今度、十一年度の予定は六十一兆でございますから、この五十兆というときに、補正後は既に相当の大量の発行になっておったわけでございますが、先ほど委員のお持ちになられました資料によりましても、例えば、昨年の十一月三十日の利回りは一・〇五五でございます。それが、今おっしゃいましたように、昨日は二・一六六ですが、この変化はなぜだ、どっちがいいんだとおっしゃられましても、それはやはりマーケットと私は申し上げるしかないんではないか。

 おっしゃいますように、大量に発行することになればそれだけ金利が上がる、違うかとおっしゃれば、基本的には私はそのとおりだと申し上げますけれども、しかし、昨年の十一月三十日に一・〇五五であったものが今二・一六六になった、どっちが正しいんだと言われましても、かなりの部分はやはりマーケットというふうに申し上げるのが私は正直ではないかと、ちょっと気がつきましたので、余計なことでございますが、申し上げます。

○新保政府委員 これだけの国債発行が続いた場合に、長期金利の上昇がどれぐらい起きるかという点でございますが、モデルなんかで試算しますと、やはり国債発行に伴って長期金利が上昇するというメカニズムはちゃんと組み込まれております。短期モデルですと〇・二%程度、それから中期多部門モデルというのがありまして、これですと今度の国債発行で〇・六ぐらい上がる。そういう試算があるわけですが、現実に起きている上昇はこれより若干大きく上がっておるという状況でございます。

 このメカニズムにつきましては、モデルでは、期待が変化したときに先取りして金利が上がるというメカニズムが必ずしも十分に組み込まれておりませんので、御指摘のように、我々が想定した以上の幅の上昇になっておる。それから、物価上昇率が下がってきておりますから、実質金利でも少し高目になっておるという問題があることは御指摘のとおりでございます。

○速水参考人 仙谷先生の御質問ですけれども、今の二・一六六が適当な金利なのかどうかということは、これは非常に申しにくいと思いますが、九八年九月十八日、この表で見ますと〇・六七〇という非常に安い金利、このときは私は安過ぎたと思います。

 これは、御承知のように、フライ・ツー・クオリティーといいますか、LTCMなどでヘッジファンドの混乱が起こったときなんですね。それで、国債の方が間違いないということで国債が買われたという極端に低い時期だと思います。そういうのに比べて、新たに三十一兆ふえた国債を出すというようなニュースが出たときにこういうふうに戻ってきたわけですが、もうちょっとさきに戻りまして、九六、七年のころの水準をごらんになったらおわかりだと思いますけれども、やはり公定歩合は〇・五%で、国債の金利は二%あるいはそれを上回った金利になっております。

 ですから、必ずしも今の金利が非常に高過ぎるということではないのかもしれません。〇・六七〇という昨年の九月の水準は、これは異常に安かったということだけははっきり申し上げられると思います。

○仙谷委員 きょうおいでの大蔵省、それから日本銀行、それから経済企画庁、いずれも、まあこの程度の長期金利の上昇ではばたばた慌てることもない、マーケットに任せておけばいいと。宮澤大臣は記者会見でもおっしゃったようでありますけれども、そういうふうに受け取っていいようなお答えでございました。

 このことが、現在の二%強の長期金利、急激に上がったこと、これはやはりマーケットが何かのシグナルを出していると考えるべきだと私は思いますけれども、その問題はさておいても、この程度の金利は、適正水準を少々上回るかもわからぬけれども、ばたばた騒ぐことはないということならば、国債消化について、何で今こんなに、世間だけじゃなくて、政府当局もかまびすしい議論をしておるのかということが私は疑問でならないわけであります。そのことをお伺いします。

 つまり、与党そして政府の中に明確に日銀が新発債を引き受けるべきだという議論があるようですね。そして、いや、永遠にやらなくてもいいんだ、二年間を限って五兆円やろうよというような議論もあるようでございます。

 堂々と、フィナンシャル・タイムズには、大原一三議員が総理に、二年間に限って五兆円程度引き受けるべきだということを申し入れたと。フィナンシャル・タイムズ紙上では、大原先生は経済政策の顧問であるのか、何かアドバイザーであるというふうに書いてありましたけれども、そういうことを、一月の下旬なのか二月の最初なのかわかりませんが、申し入れたと。そして、自由民主党金融再生トータルプラン推進特別調査会の会長である保岡興治先生も、日経新聞のインタビューに答えて、日銀の国債の直接購入を検討すべきであるということも堂々とおっしゃる。

 そして、一月の二十九日でございますか、ルービン財務長官がダボスで加藤紘一前幹事長に、日銀が国債の引き受けを実行するかどうか、米国側は期待感を持って注目していると述べたとか述べないとかということが新聞に書かれていますね。二月三日には、ルービンさんがアメリカの上院予算委員会の公聴会で証言をして、日銀の国債引き受けについても一段の金融緩和の一つの方法であるというふうに答えた、こういう報道がなされています。

 何でこんなに、日銀が国債の引き受けをする必要があるとか、国債引き受けという格好で一段の金融緩和を図るべきであるというふうな議論が出てくるのですか。これは、長期金利の急激な上昇と関係があるんじゃないですか。大蔵大臣、いかがですか。

○宮澤国務大臣 まず、ルービンがこういうことを言ったという報道につきましては、先生はそうおっしゃいませんでしたが、報道そのものにつきましてはルービンが自分で否定をいたしましたので、そのことだけをまず申し上げておきます。

 ファイナンシャル・タイムズが社説を掲げる、あるいはポール・クルーグマンなんかが何度も言っておりますことは、簡単に言いますと、恐らく彼らは、日本の経済は非常なデフレであると考えている、それをどうやって脱出するかという考え方の中で、財政赤字というものは通貨の増発によって賄うのが本当の政策であると。通貨の増発によって賄うということは、すなわち国債を日本銀行に買ってもらうということでございますから、そういうことによって財政赤字を賄う、また、そうすればおのずから円の価値が下がる、これがこの際とるべき政策だと考えているようでございます。それによって日本経済はデフレを脱出することができる、インフレになるとは申しておりませんけれども、どうも考え方はそれに近いような気がする。しかし、それが彼らの考え方のように思われます。

 しかし、デフレであるならば、それはそれだけの購買力を国民が持ち、また、やがてはインベントリーが小さくなる等々の形で自然に直るのが本当であって、日銀が通貨をそれだけ出せばそれでデフレが直るなんというようなことは間違いだ、いい、悪いより、考え方として間違いだと私は実は思ってそれらのものを読んでおりますが、言っておることの主張は、どうもそういうことのように思われます。

    〔委員長退席、鴨下委員長代理着席〕

○仙谷委員 私も、調整インフレとかインフレターゲット論とかということをおっしゃって、ヘリコプターの上から一万円札をまけばデフレが直るのだみたいなことをおっしゃっている学者さんや議論もあるように聞きますけれども、そういうものは間違いだ。特に、この日銀の国債の引き受けという形で円を市中にばらまくような政策をとり始めることは断じて行ってはならないと思うのです。

 私もデフレだと思います。思うけれども、デフレのときの過ごし方は、まさに今大蔵大臣がお答えになったように、これは、調整が終わる、調整がスムーズに進むという政策をとる以外にないのでありまして、それに反対のインフレ政策を、特に金融面からぶつければ何とかなるというのは、絶対にと言っていいほどやってはいけない政策だと思うのです。

 ところが、クルーグマンや、ルービンさんもひょっとしたらそうなのかもわかりませんが、そういうことを確かにおっしゃっている。それで、いわゆる合成の誤謬なのか何なのか知りませんけれども、そういう理論を立てて、だから日銀が円をどんどん増発すべきだという議論に結びついていっているように思うのです。これは非常に危険だ。幾ら彼らが頭がいい経済学者であっても間違いだと私は思います。

 これに、短期的な、この自自政権をもたすためだけに、〇・五%成長を何とか達成するためだけに、日銀の国債引き受けという応急措置をとろうとしているのか、あるいは、ルービン流、クルーグマン流の調整インフレ論に乗っておるのか知りませんけれども、日銀の国債引き受けという問題が堂々と浮上してきていると私は理解しておるのです。どんな理由があってもこういう小手先のことを許してはならないと私は思うのです。

 私は、この際、大蔵大臣と日銀総裁にはっきりとおっしゃっていただきたいのであります。はっきりとおっしゃっていただきたいのは、職を賭してでもこんなことは許さない、必要ないなんという弱々しい言い方じゃだめなんですよ。大蔵大臣、絶対にこのことだけは許さないということを、財政当局者そして金融当局者としてはっきり明言してもらいたいのです。いかがですか。

○宮澤国務大臣 このことは、別に力んで申し上げることではないので、そういうことは必要がない。

○速水参考人 仙谷委員から大変力強い御支援をいただいたような感じがいたしております。

 日本銀行としましては、国債を新規に引き受けるという考えは全く持っておりません。御存じのとおりに、財政法五条や日銀法三十四条で日本銀行による国債の引き受けは禁止されております。これは、中央銀行が一国の国債を引き受けますとその国の財政節度が失われてしまう、そしてまた悪性のインフレを招くということは、今までの内外の諸経験でも明らかなのでございます。

 例えば一九三二年、昭和七年の高橋是清、財政拡張を満州事変でいたしまして、財政拡張のための日銀国債の引き受けをやりました。それがずっと戦争中続いて、戦後の超インフレ、ハイパーインフレと言ってもいいぐらいの、私どもの非常に痛い経験を今でも思い出すのです。ドッジ・ラインになってようやくこれがおさまったわけですけれども、それのやはり最初のきっかけはこれであったというふうに思いますし、古くは、一九一四年の第一次大戦後のドイツの超インフレも、国債を無制限に中央銀行に引き受けさせたということがこの超インフレのもとであったということでございます。戦後でも、一九七〇年、私の記憶が間違いなければ、イタリーで国債の中央銀行引き受けがあって、高インフレが起こったことを記憶しております。

 こういうふうに、これによって例えば国債の格付が引き下げられるとかあるいは長期金利もむしろ上昇してしまうという可能性も当面考えられるわけです。主要国で中央銀行による国債引き受けというものが禁止されているのは、やはりそうした考え方に基づくものでありまして、一回これを始めますと途中でやめられないということを歴史が証明しているように思います。FRBでも、あるいは今度できます欧州中央銀行でも、政府に対する信用は行わない、行うことを禁止しております。

 したがいまして、日本銀行としては、国債の引き受けということを選択肢として全く考えておりません。あり得ないということをはっきり申し上げておきたいと思います。私は、新法による日本銀行のもとで、このことは絶対守っていきたいというふうに思っております。

○仙谷委員 私は戦後生まれでございますから、戦争に行ったこともございませんし、戦時中の苦労もほとんど知りません。いわば戦後、小学生のころにひもじい思いを少々したという程度の話でございます。

 しかし、物の本で読んだり、その時代を経験した私どもの父や母の世代のお話を聞きますと、一つは、やはり中国、南方あるいは至るところに軍を出して、そのときの苦労そしてその傷跡は、今も日本人に対してアジア諸国から返っている、このことの反省が憲法九条になっている、海外には絶対に兵を出さないという国是になっていると私は思うのですね。

 それと同じように、戦時国債でめちゃくちゃな財政膨張、拡大をしたために、戦時中もどうもインフレ傾向になっていたようではありますけれども、戦後はまた極端なインフレになったというこの経験が財政法五条にもなっているし、日銀が国債を引き受けない、引き受けてはならないんだという原則になっているわけであります。こう私は理解をしておるのですね。

 ところが、そんなに気張って言うものじゃないなんて大蔵大臣に言われると、せっかく戦時中御苦労なさってここまで日本の経済を引っ張ってこられた大蔵大臣がそんなことをおっしゃると、腰が抜けてしまうわけであります。ここは財政当局者として敢然と、実業界の中でそういう声が出ようとも、政界の中でそういう声が出ようとも、体を張ってでもこのことだけは許さないということを貫いてほしいと私は思っているわけであります。

今うなずいていただきましたから返答を求めません。

 この件に関しては、私は、内閣として何か、やってはならないことだけれども、日銀の国債引き受けということを議論をし、どうも雲行きが悪いから国債引き受けでなくて買い切りオペを拡充するんだ、拡大するんだ、どうもその議論が強くなってきている。

 きのう内閣官房長官が記者会見をされて、十二日の日銀政策委員会での論議に期待をしていると、新聞では、買い切りオペの拡充方針を正式に決定するように求めたと書いてありますね。

 これは内閣の中で、経済担当閣僚だけでもよろしいのですが、この種の話は進んでおるのですか、宮澤大蔵大臣。

○宮澤国務大臣 先ほど申し上げましたのにちょっとつけ加えますが、日銀に新規国債を引き受けてもらう、もらわないというのは、いいとか悪いとかいう議論がいろいろきっとありますのです。それはいろいろ議論はあるでしょうが、私が必要がないと申しましたのは、大蔵大臣が入り用がないと申しておれば、それでも要るとおっしゃる方はいないはずなので、それがもう一番はっきりした御返事だろう、こう思って申しました。

 後段のお尋ねでございますが、いろいろ議論はございますかもしれません。公に論じたことはございませんが、今私が思っておりますのは、いずれにしても、これは日銀、日銀総裁がお決めになられることであるし、そのためにはまた政策委員会というものも御議論があるのでございましょうから、また近く恐らく政策委員会もございますのでしょうから、御議論のある方はいろいろおっしゃったらいいではないか、別にそれを妨げるつもりはない。しかし、結論は日銀が決められることだ、外部があれこれ、政策委員というお立場でおっしゃるのはよろしゅうございますけれども、それ以外の決定の仕方というのはあり得ない、私はそう思っております。

○仙谷委員 内閣の中でそういうことが方針として決まったとか協議されているということはないと伺っていいですね。つまり、大蔵当局の方からはもちろんそういうテーマも出していないし、全く必要ないという前提だと。

 ところが、なぜかこの野中さんという官房長官が張り切って、私が新聞をざあっと見ただけでももう五回も、二月四日、二月五日それから二月八日、これだけ、日銀の国債引き受けといいますか、あるいは日銀の国債購入について議論を展開しているのですよね、記者会見で。

 この方は私は国債とか金融の担当者であるとは思っていませんけれども、野中さんがこうおっしゃるんだからこれは総理大臣の意思かな、どうも小渕さんという総理大臣はこの場に至って長期金利の上昇を抑えるために買い切りオペでもいいから何とかしてくれ、こういうことを言い出しているのかな、こういうある種の推測をしておるわけでございます。

 そこで、日本銀行の総裁と参考人がいらっしゃっておりますので、日本銀行が今国債をどのぐらいお持ちで、そのうち買い切り部分がどのぐらいで、その買い切りオペで保有している国債はどういう理由でそれだけ保有しているのか、ちょっと教えてください。

    〔鴨下委員長代理退席、柳本委員長代理着席〕

○速水参考人 今、一月末で私どもの国債保有額は四十七兆円持っております。そのうち、いわゆるFBという、今度一般公募に四月から変わる予定になっております外為証券等を含むものですが、これが約十九兆ございます。そのほかのものは長期の国債でございまして、これは買い切りオペといって、今毎月四千億ずつ買っておりますが、長期的に見て銀行券の増加額に見合うような形で、資産の中で長期国債の買い切りオペをやってここまで来ているというのが現状でございます。

○仙谷委員 そうしますと、四十七兆三千億から十九兆を引くと二十八兆ぐらいになりますか。二十八兆ぐらいが買い切りオペで購入をした国債だという理解でよろしいんですか。

 そして、それは銀行券の発行増に見合うということで買い取っておるんだとおっしゃいましたが、それは、何か日銀のルールといいますか、内規になっておるのでございましょうか。

○速水参考人 長期的に見て銀行券の増加額に見合う資産として長期国債の買い切りオペをやっているということは、特に内規には入っておりませんが、私どものここ数年来のルールとして、やはり一定のめどをつけておかないと、買い切りオペがふえたりあるいは減ったりということも余りよくないことだというふうに思っておりますので、これは一度買いますとなかなか売りにくいものでございますので、そういう意味もあって、そういうチェック機能、チェックの目標として置いているというふうにお考えいただいて結構だと思います。

 

○仙谷委員 素人がわかるように説明をしていただきたいわけですが、なぜ買い切りオペを野方図にといいますか、拡大してはいけない、そういうふうにお考えなんですか。つまり、銀行券の増加額に見合う額にとどめておく、そういう節度といいますか規律を持たせるんだということは何か理由があるんでしょうか。

○速水参考人 国債の買い切りオペ、幾らでもどんどん買えばいいじゃないかという御意見もあろうかと思いますけれども、そうすればやはり引き受けと同じことになってしまいまして、財政節度が失われるおそれもございますし、国債の直接引き受けと大差ないことになってしまうのではないか。そういうことも勘案しまして、日本銀行では、国債の買い切りオペにつきましてはあくまでも、長い目で見て、銀行券の増加に見合った金額に対応させるという考え方のもとで慎重に実施しておるわけでございます。今、この基本的な考え方を変更する考えはございません。

 確かに、今潤沢な資金供給が必要でございます。しかし、日銀法、財政法の趣旨を踏まえて、十分に慎重な配慮を加えながら、そのほかの金融調節手段、例えばコマーシャルペーパーとかTBオペとか短期的な資金供給手段を駆使して、現在の思い切った金融緩和スタンスのもとで潤沢な資金供給を行っていく考えでございます。

 日銀の資産につきましていろいろ御心配してくださる方もおられるわけでございますけれども、私どもは日銀の資産について、今かなり、事態が変わるとともに変わりつつありますけれども、健全性と流動性と中立性、この三つのことを頭の中に常に持って日銀資産の増減を見ていくつもりでおります。

○仙谷委員 お伺いしようと思うところまでお答えをいただいておるわけですが、九八年十二月二十二日きさらぎ会における日本銀行総裁講演、これがたまたま私の手元にあるわけであります。

 ここで総裁が、日本銀行がどのような考え方に基づいて保有資産を選択しているか、言いかえれば中央銀行のポートフォリオ選択の要件は何かについてお話をしたい、第一の要件は資産の健全性確保であります、第二に資源配分の中立性です、第三に資産の流動性確保ですというお話をされております。

 日銀の国債引き受け、長期国債を引き受ける、あるいは買いオペを拡大して大量の長期国債を保有してしまうということになると、ここでおっしゃっておる、少なくとも流動性がなくなることは間違いないんじゃないかと私も思いますし、あるいは資源配分の中立性という観点から見ますと、やたらと国債ばかり大きくなってこれは非常に硬直化してしまう。中立でもないということになるんだろうと思います。さらには、そうなってきますと、持っている国債自身が果たして健全な資産なのかどうなのかということに、少なくともマーケットからは疑問が出てくる、こういうふうに思いますので、この三点の要件、原則をお立てになっているとすれば、買い切りオペを、偉い人が幾ら要請をして、あるいは介入的発言をしても、そうそうできないということになろうかと思いますけれども、いかがでございますか。

○速水参考人 今御指摘の点につきましては、私自身としては全く同感でございます。しかし、これを決めますことは政策決定会合マターでございますので、これでいくということをここで申し上げるわけにはいきません。

 先ほども申し上げましたように、バランスシートが少し膨らんでいるというようなことをよく言われるわけですけれども、デフレ的な状況の中で潤沢な資金供給を継続していくということ、そのことは直ちに、処分にコストのかかる不良資産がふえているためではございません。例えばCPの増加とか企業金融の円滑化に資するということをねらいとしていろいろなことをやっておるわけでございまして、CPオペの場合でも、企業と金融機関の二重の信用によって現先方式でやっておりますから、これは安全なものでございます。

 また、預金保険機構に対する貸し付けが七兆を超える残高になって、これからもまだしばらくつなぎ資金としてふえていくかもしれません。システミックリスクに対して中央銀行が最後の貸し手として貸していかなければいけないという観点もございますので、こういうものもふえていくかもしれません。しかし、なるたけこういうものも財務の劣化を来さないように、どういうふうにして返してもらえるかということを十分考えながら、健全性を保ち、かつ、いつでも市場に売れるという流動性を確保してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

○仙谷委員 十二日の政策委員会には、〇・五%成長を、これが底がたくて、これを堅持しなければいけないという使命を持った堺屋経済企画庁長官が出席するということが、きょうの報道でなされております。

 堺屋長官も、私はこの人の今まで書いたものを多少読んでいるつもりでありますが、どうしてこんな立派な方がこんなことをおっしゃろうとするのか、随分政治家になられたんだなと思っておるのです。市場からの買い入れであれば価格にマーケットの評価が加わるが、直接引き受けでは官僚が決めた価格になる、こうおっしゃって、既発債の買い入れオペの拡大には積極的であるかのようなことが報道されているのですね。その方がわざわざ政策委員会に乗り込まれるという報道でございますから。これは、政治の方からいろいろな発言があると思いますけれども、どうか十二日の政策委員会では、日本銀行の中央銀行としての誇りと原則をひとつ堅持をしていただきたいとお願いをしておきたいと思います。

 そこで、その点は日本銀行としてはお答えになりにくいと思いますので、大蔵大臣にお伺いするわけですが、ドイツで、ラフォンテーヌ大蔵大臣がドイツ連銀に対して、金利政策、金融政策について、雇用のこともあるのでかたくななことを言わないで緩めたらどうかという手紙を出したという報道に我々接しております。これは公開の手紙のようであります。

 官房長官が、再三再四にわたって日本銀行の国債引き受けに言及したり、昨日の記者会見では、「日銀は中央銀行として自ら市場の国債を買い取るなどいろいろな方途を講じて、現在の深刻な経済状態を打開する責任がある」「まずは市中にある既発の国債を買い取ることが緊急の要務だ」「今週内にも日銀内部での協議を期待している」、こういう言い方を堂々とされるというのは、せっかく日本銀行を大蔵省の下に入っている存在から独立をしてもらった、いわば財政と金融の分離の非常に重要な一つの形態でございますけれども、この日本銀行の独立性を侵しかねない、中立性を侵しかねない重大な発言だと私は思うのですが、大蔵大臣としてはいかがでございますか。

○宮澤国務大臣 官房長官、なかなか変幻自在なお方でありますし、お立場からも、やはり国民に向かって話をされる必要があるので、私がそんたくいたしますのは、この問題については、殊に仙谷委員もそうでいらっしゃいますけれども、いろいろ専門の方は、今の例えば日銀の引き受けのことでございますが、これはやはりよくないんだな、また、日銀の買い切りも無制限というようなこともよくないんだなということは、何となくそういうふうに、そうでないお方もいらっしゃいますけれども、思っておられる。

 しかし、国民全体からいうと、それだって一つの考え方じゃないのというふうに思われる国民もきっとあるだろう。これがインフレのときですと、国民の大半はそれはいかぬなと思われるでしょうが、どうもデフレっているときは、それも一つの考えじゃないかなと思っておられる国民もあるかもしれないというところを、恐らく官房長官は、自分の意見としてではなく、そういう意見もあるんだから、ひとつ日銀でいろいろ議論をしてもらってはどうなんだ、私はこう言っておられるんだろうと思います。

 さらにつけ加えますならば、そういう意味は、日銀というものは政治の思うようにならない、それは非常にはっきりしておりますから、それをよく御存じだからそういうことをおっしゃれるんだろう、多分そういう気持ちでいらっしゃるだろうと思います。

 

○仙谷委員 私は、非常に優しい大蔵大臣の、つまり、官房長官に優しい大蔵大臣のお話をお伺いをしまして、いや、だけれども、それでは困ると。

 日本銀行は、九七年に改正日銀法のもとに初めて自立をした存在になったわけでありますね。そのころは、ビッグバンは一年後に始まるわ、あるいは金融システムは過去の病弊がふつふつと出てくるわで大変な時期だと思いますね。本当は嫌でも、先ほどおっしゃられたようなCPのオペであるとか貸し出しであるとか、そういうことをなさってきた。これは、バランスシート、必ずしもよくないですよね。だれが見ても、これだけ急激に、買い入れ手形、つまり、CPオペの結果、買い入れた手形でしょう。それから国債、貸付金、預金保険機構の貸付金が急激にふえるということは、これは一般論からいっても余りいい状態でないことは間違いないと私は思いますね。

 それで、昨年の年末とことしの一月末を比べてみますと、細かく言いませんけれども、必死になって回収作業をされて、何とか余りボリュームの大きい資産を持たないように、ちょっとでも資産が膨張しないように心がけていらっしゃることが、バランスシートを比較するとよくわかりますよ。大変苦労なさっているんだなということもわかります。わかるだけに、ここは一番日本銀行にとっても大事な自立性が、独立性が本当に試されるときではないだろうか。

 さっき大蔵大臣は、余り気張って言うなみたいな話をしましたけれども、私に言わしめれば、これは、明治の初めのころに大津事件というのがあって、司法権の独立が問題になりました。政府から、あれはロシアの皇太子だったですか、その方を傷つけた津田三蔵か何かだったと思いますが、ある種の司法判断をこうせいという要請が来たのを児島大審院長がはね返して、独自の事実認定と量刑を科した。これで日本の司法の独立が確立したんだというのは教科書で教えられたわけでありますが、それに匹敵するような、今、日銀の国債引き受けであるとか買い切りオペの政治からの要請であるとか、そういう事態ではないだろうか。大げさと言われるかもわかりませんけれども、そのぐらいの認識がないと、日本のこの金融システムの危機、そして経済全般の大変な危機的状況が続いている中で、日本銀行が背筋を伸ばして、原理原則にのっとってやっていくというのは非常に難しかろうと私は思っているわけであります。

 したがいまして、私は、この間の日銀を巻き込んだ長期金利問題というのは、みずからが犯した間違いを今度は日銀に押しつけて、日銀もろとも日本経済を奈落の底へたたき込む、そういうことを考えておる悪い人がおるんじゃないか、そういう陰謀を組んでいる人すらおるんじゃないかということまでも夜中布団の中で考えるんですよね。

 どうかひとつ、日本銀行政策委員会でも毅然として自立的な決定をいただきますように、重ねてお願いをいたしておきます。

 さてそこで、もう一遍、十一年度国債発行予定の問題に返ります。

 結局、この国債発行、出てきたのを今拝見しますと、十年と十一年を比べますと、民間の消化部分が二十三兆六千億ふえているんですね。これは大きい金額です。そして、資金運用部の引き受け部分が九兆二千四百五十九億円マイナスになっているんですね。これも大変大きいマイナスであります。つまり、資金運用部が財政投融資の方でお金が必要になったからもうそんなには引き受けられませんよということが、この民間引き受け二十三兆六千二百七十九億円になって出てきておるんだろうなと私は思うわけでございます。

 そうだとすると、極めて安易な方法は、この分全部日銀に引き受けてもらえば事は済む、そういういいかげんな考え方があるのかなと私は今度の日銀引き受け問題で考えるわけでありますけれども、結局、今の民間の金融機関を中心にして、こんな消化能力が、余力があるのかないのかということなんだろうと思うんですね。この点については、理財局といいましょうか、大蔵省の方は、いや、このぐらいだったら十分こなせるんだ、こういうお考えでしょうか。

○中川(雅)政府委員 まず、十一年度における資金運用部の国債引受予定額は二兆八千億円ということでございまして、十年度当初予定額十二兆四百五十九億円に比べて九兆二千四百五十九億円の減少になっております。これは、今先生御指摘のとおり、昨年四月の総合経済対策及び十一月の緊急経済対策の実施のための財政投融資の大幅な追加に加え、十一年度の財政投融資計画におきましても、現下の厳しい社会経済情勢に対応するため、景気回復に十分配慮して財政投融資資金の活用を図ることとしたところでございます。このように、資金運用部に対して相当規模の資金需要が生じていることや、郵便貯金等の原資の動向等を総合的に勘案して、このような引受額としたところでございます。

 それで、今のお尋ねの、民間の消化がふえているわけでございますけれども、この点につきましては、シンジケート団を初め市場関係者の方々に、十一年度におきます発行額、また、どういった年限のものを幾らというようなことにつきまして御了解をいただいております。したがいまして、十一年度の発行につきましては、私どもといたしましては、円滑な消化が図られる。もちろん、その時々の市場のニーズや市場の実勢に即した適切な発行条件を設定するなど、いろいろ工夫をしていかなければならないことは当然でございますけれども、発行、消化について、私ども、不安は持っておりません。

○仙谷委員 まさに、金利の点は別にしてというのがただし書きでつくんだろうと思うんですね。

 そこで、金融監督庁長官にも来ていただきましたが、現在、日本の都銀、長信銀あるいは地方銀行、国債の保有、どのぐらい持っていますか。そして、現時点で、長期金利の上昇がもたらす日本の都銀を初めとする金融機関の資産の劣化というふうなことを何かお考えでしょうか。いかがですか。

○日野政府委員 お答えいたします。

 都銀、地銀の国債保有状況を、一番最近の決算期である昨年の九月期の残高、これは簿価で申し上げますと、都銀の九行の合計で十一兆八千二百一億円ございます。また、地銀六十四行の合計では十兆二千十四億円ございます。七十三行合計で、二十二兆二百十六億円というふうになっております。

 お尋ねの最近の債券価格の下落の影響につきましては、全国銀行のほとんどが長期保有の有価証券ということで、国債等の債券の評価を原価法で行っておりますので、価格の下落そのものが銀行の決算に直ちに影響することはないというふうに思われます。ただ、一方で、いわゆる含み益の減少などを通じまして、銀行の体力の低下要因となることは否定できないというふうに考えております。

 それでは最近の含み損あるいは含み益の状況はどうであるかということでございますが、これは、先ほど申し上げましたのは昨年の九月期の中間決算の状況でございまして、その後の状況につきましては現在ヒアリングを行っているところでございますが、いずれにいたしましても、国債等の債券の価格の下落が銀行経営に及ぼす影響につきましては、銀行監督当局として注意深く見守っていきたいというふうに考えているところでございます。

○仙谷委員 個別の銀行名をこの場で出すことを控えますけれども、一兆円を超えて二兆円に近くなる金融機関というのも相当あるわけですね。それで、理財局の方に確認をいたしましたら、細かいところは諸説いろいろあるんでしょうが、長期金利が、国債の金利が約一%上下すれば、一%で八円ぐらいは評価益が出たり、あるいは評価損になったり、八円ぐらいは債券価格として動くんではないかというお話を伺うわけであります。

 これはいろいろな見方があるんでしょうけれども、一兆円の国債を持っている銀行が、一%長期金利が動いたときに、百円で八円としますと、一兆円だったら八百億円ふえたり減ったりするわけですよ。八百億というのは、この間金融問題をやってきて、小さいようで極めて大きい額ですね。つまり、日本債券信用銀行が、また別のところで問題になりますけれども、九七年の四月一日から奉加帳を回すその前提の自己資本は一千億弱ですから、九百九十八億だったですか、つまり、もし一兆円の債券を持っておる銀行が一%金利が上昇しただけで八百億円含み資産が吹き飛ぶというのは、都市銀行といえどもそんなに小さい金額ではないと私は思うんですね。

 そして、報道等を見ますと、そこで含み損が出始めたから益の出ているアメリカ国債を日本の金融機関が売り始めた、それを気にしたアメリカの財務当局がそんなことをさせないように何かいい手がないかと考えついたのが日銀の国債引き受けだ、こういう筋書きじゃないかと私は思うんですね。

 それで、銀行も、株式の含み益を相当出してしまって、債券の含み益の益出しでしのいできた部分があったようでございますけれども、ここへ来て、日野長官も率直にお認めいただきましたように、ますますいいところまで苦しくなっている、そういう状況があるのではないだろうかと思います。

 経済企画庁、企業の方は、事業会社の方ですが、あるいは一般的な経済成長でもいいわけですが、長期金利が一%上がればどのぐらい経済成長率を押し下げますか。

○河出政府委員 現在の長期金利の動向が一時的なものなのか、あるいはもう少し趨勢的なものなのか、これはまだ判断することが困難でございますので、もう少しそれを見きわめることが重要であろうと思っておりますが、仮にこの長期金利の上昇が長期的、趨勢的なものというふうに仮定をいたしますと、定量的な効果を申し上げることはなかなか難しいわけでございますけれども、一般的に申し上げますと、やがて、預金金利の上昇ということによって個人の消費を拡大させる面もあるわけでございますけれども、一方で、設備投資あるいは住宅投資といったものを抑制する、あるいは利払い増加を通じた企業業績の悪化、こういったマイナスの影響が出てくるということも懸念されるわけでございます。

 いずれにしても、こういった影響が実体経済にどういう影響を及ぼしていくかということにつきまして、今後、鋭意調査検討に努めていきたいというふうに思っております。

○仙谷委員 民間の、シンクタンクというんですか、研究所なんかの試算によりますと、一%で大体〇・三%ぐらいGDPの成長率を押し下げるのではないか、こういうふうに出しているんですね。

 今まで、長期金利が一%動くことによって、大企業、中堅企業、中小企業、その企業の利益がどのぐらい動くか試算をされておるということはございますか。

○新保政府委員 長期金利に連動する負債、具体的には社債とか金融機関の固定金利による借入金ですけれども、こういうものの金利負担が増加しますので、企業収益を圧迫するということは間違いありません。ただし、企業収益に与える短期的な影響というのは比較的限定されるのではないかというふうに思っております。

 その理由は三つございまして、一つは、企業の長期負債の借り入れの期日が一斉に来るわけではないわけで、何分の一かずつ借りかえられるわけですから、直ちに影響が出るわけでないということが一つ。それから二番目は、長期金利に連動する社債とか金融機関からの固定金利による借り入れの割合はさほど高くないということがございます。それから三番目には、固定金利を借りかえる際に、企業は、短期金利の方が安いということで変動借り入れを選択するという可能性もありますので、短期的にはそれほど直ちに大きな影響があるということではないというふうに思っております。

○仙谷委員 全産業の有利子負債というのは約五百五十兆円ぐらいじゃないでしょうかね。それで、一%金利が上昇すると、その分だけで一年間で約五兆五千億ぐらいは負担増になる。反対に、受取利息も当然のことながら発生しますから、それを二兆ぐらいと見ましょうか。そうすると、三兆ぐらい利子の支払いは増加していかざるを得ないということになるんじゃないですかね。そうすると、全産業的に見ると、今、日本の全産業の経常利益二十三兆ぐらいですから、ここで利払いが三兆ぐらいふえるということは、一〇%以上マイナスになるということに理論上はなるんじゃないですか。一%長期金利が上がるということは企業経営にとっては大変厳しいことになる。

 民間の、これは証券会社の表でありますが、東証一部上場二百五十社の連結ベースの純利益が、一%金利が上昇することで七%利益が押し下げられるということを書いているところがあるんですね。私が先ほど申し上げたのは、経常利益が一〇%以上マイナスになるということを申し上げたわけですが、証券会社のシンクタンクの方は、業務純益が七%ぐらい押し下げられると。これは東証一部上場だけでありますが。

 つまり、そのぐらい厳しい話になるということなんじゃないか。〇・五%成長とおっしゃっているけれども、これで〇・三%押し下げられるとすれば、ほとんどなくなるという話でありますから、〇・二%しか残らないという話になりますから、長期金利の上昇というのは、今の日本経済にとってプラスに働くよりもマイナスに働く、大変重いテーマになってきているというふうに考えるのですが、いかがですか。

○新保政府委員 御指摘のように、今の長期金利の高い水準が長期的に持続しますと、先生が御指摘のように、直接、間接に相当大きな影響が及ぶ可能性がございます。ただし、先ほど御指摘になった収益の影響も、すべての効果が出終わった後でそういう大きな影響になるということでございまして、先ほどから何回も御説明しておりますように、短期的にそれがすぐ出てくるということではございません。

○仙谷委員 短期的というのはどの程度のことを考えているのかわかりませんが、今お伺いしたのは、ことしの四月以降のことをお伺いしたのです。ことしの四月以降、来年の三月までというタイムスパンの中で見ると、どうも大変重い課題になってきておるんじゃないか。つまり、財政拡大をして、財政出動をして、三十一兆円の公債発行をして、ディマンドサイドに総需要刺激政策といいましょうか需要創出政策を展開した、その反面で長期金利が上がっていく、帳消しとは言いませんけれども相当減殺されるのではないか、そういう事態に今日本経済は立っておるのではないかということを感じているんですね。その点、いかがですか。

○新保政府委員 先ほど調整局長の方からお答えしましたように、現在の長期金利が短期的要因を反映しているものか、長期、持続的にそういう水準が定着するのか、そこら辺はまだ十分見きわめをしなきゃいかぬ段階でございます。それが非常に長期化すれば、御指摘のように直接、間接にかなりの影響が及ぶ可能性はございます。

○仙谷委員 大蔵大臣にもお伺いしますが、そういう金利の上昇というものが必ずしも今の日本の経済にとっては成長率を上げるという観点から見ても望ましくない大きい要因だ、こういうふうに私は考えるんです。

 さらに、もう一つ重要なことは、金融の世界で、去年の四月ですか、外為法を改正してしまって、資本移動といいますか、お金が自由に海外へ飛び出せるようになった、個人も企業も非常に、みずからの選択によって、選好によってお金を海外に持ち出せるようになってしまったというこのことが、さらに加えてこの長期金利の上昇に輪をかけたり、あるいはそこと相まって日本経済の足を引っ張るのではないかという懸念を持っておるんですが、大蔵大臣、いかがでございますか。

○宮澤国務大臣 一般的な図式としては今政府委員が申し上げたことだと思いますけれども、どうも、私が、金利水準が好ましい、好ましくないということを申しますと、殊に債券の場合にはすぐそれが価格に影響する話を申し上げることになってしまうので、大変申し上げにくうございます。

 周辺のことを申し上げましたら、為替で申しますと、日米間の金利差が比較的大きい場合には確かにおっしゃるようなことになりやすい。為替の金利差が小さい方が、こっちから向こうへ金が流れるということはむしろないはずでございますから、そういう面がございますし、また、今の日本の企業の設備投資の動きで申しますと、非常に設備投資の意欲は低うございますから、金利によってそれが大変に影響を受けるということではないかもしれない。あれこれ、メリットとデメリットがございますので、殊に余り今の金利水準に触れることは避けたいと思いますので、以上のようなことを申し上げます。

○仙谷委員 合成の誤謬なのか流動性のわななのかわかりませんが、いずれにしましても、景気対策として財政出動を行ったことが長期金利の上昇をもたらしてしまう、こういう副作用といいましょうか、あるいは非常にパラドキシカルなといいましょうか、こういう事態に今日本は追い込まれていると私は思うんですね。そして、さあ、それにどうしようかというときに、今まで目先の対処を割とお考えになる。日銀の国債引き受けなんという話はその最たるものだと思うんですが、何とかこの長期金利を抑えなきゃいかぬ、そのためには日銀に引き受けさせたらいいじゃないかみたいな、こういう議論が起こるんですね。

 しかし、考えてみますと、そうではなくて、やはり原因のところをしっかり見て原因を取り除くとか、長期金利の上昇をもたらしている原因のところに政策を打つということでなければ、私は、日本経済の相当大きな頭痛の種になってきた長期金利の問題あるいは国債の増発の問題、もっと言えば財政拡大に基づく長期金利の問題ということは解決の方向に向かわないんじゃないかと思うのですね。

 何が問題なのか、問題だったのか、改めて考えてみますと、やはり私は完全に、財政構造改革自身については評価はそれほどいたしませんけれども、どこでこの財政の異常な拡大を収束させるのかという、本当のことをやるんだ、やるんだという本当の目標を示していないということにあるんじゃないかと思うんですね。

 宮澤大蔵大臣が予算委員会で、まあ、財政再建については二%成長ぐらいになってから考えなきゃ、今は考えるときじゃありません、こうおっしゃいましたね。やはりそれは、むしろマーケットに対するメッセージとしては、相当長い間この三十兆円路線あるいは三十兆プラスアルファの公債発行が続くぞ、このメッセージを与えるんじゃないですか。そのメッセージが伝わった瞬間に長期金利の方に連動をするんじゃないんでしょうか。三年後でも五年後でも、こういうふうに、ここまで財政に規律を持たせるというメッセージをむしろ今与えなければいけないんじゃないかということを考えておるんですが、いかがでございますか。

    〔柳本委員長代理退席、委員長着席〕

○宮澤国務大臣 一般的に申しまして、我が国経済がこの苦境を脱出するのはもう容易なことでないということはどなたもおっしゃいますし、国民にもわかっていただいておるわけですけれども、したがって、かなり強い薬を使いますといろいろな副作用があるということ、例えば今の長期金利の問題はひょっとしてその一つであるかもしれません。そういうことを含めて、なかなか容易でないということをおっしゃっているはずなんですけれども、一つ一つの問題はやはり副作用としては好ましくない。しかしそれは、副作用は副作用として処理しながら、かなりドラスチックなことをせざるを得ないというのが全体の話ではないかと私は考えています。

 それで、先ほどからおっしゃいますことも私は一理があると、伺って思っているんですが、何年たったら財政再建計画がきちっとできまして、そしてそれに入れると、正直、今積み上げてそういう計算はできないはずでございますから、一つの政治の決意として二年とか三年とか申し上げるのならそれは意味があるかもしれません。ただ、それを数字で証明してみろと言われますと、それはなかなか難しいことだと思いますので、私は、自分の気持ちとしては、なかなか今数字でそれを申し上げられないということを言った方がいいのではないか。お聞きになるお立場によって、いいかげんなことを言われるよりはその方がいいと思われる方と、そう弱気なことを言ってもらっても困るなという方とおられるのかもしれません。その発信の仕方にはいろいろ工夫が要るかもしれないということは一つのなるほど御意見だなと思って今伺っておったところです。

○仙谷委員 私も選挙というのを抱えていますから、お上が将来世代のツケで金をつくってきて、つまり国債を発行して、じゃぼじゃぼ有権者に降り注ぐようにお金を渡したり公共事業をつくったりすることに真っ向から抵抗するというのは難しいんですよね。これは政治家は難しいです。正直に申します。

 しかし、事がここまで来ると、逆回転をし始めた、つまりマーケットがシグナルを出しているんじゃないか。ここはちゃんと経済政策の担当部局は真剣に見なきゃいけないんじゃないでしょうか。

 つまり、先ほどから議論になっていますのは、国債発行額の大きさ、それも今度はファイナンスの、要するに金の量との関係で需給バランスが崩れ始めているんじゃないか、こういう議論は割とありますね。そのことも私は相当部分だと思います、金利が上がるというのは。

 しかし、それだけではなくて、先ほど申し上げた、あと何年続くかわからないこの三十数兆円国債路線という話そのものが、これはひょっとすればこの国債は返してくれないかもわからない、支払い能力に少々陰りが出てきたのではないか。つまり、償還リスクの発生ということをマーケットの方が考え始めたんではないか、そういうシグナルを今送っておるんではないか、そういうふうに感じるんですね。

 もしそうだとすると、これは、市場経済を原則とする我が国では、そのシグナルを非常に真摯に受けとめないと、いや大丈夫だ、日銀に引き受けてもらえば大丈夫だとか、どこかで金をつくれば大丈夫だとかいう議論は成り立たないということに私はなるんじゃないかと思うのです。

 つまり、日銀引き受け論も最終的には、基本的にはこれは十年国債であっても六十年償還の話になっているわけですから、一部は償還されるんでしょうけれども、日銀の信認が崩れた瞬間にこんなもの紙くずになるかもわからないという思いを抱かせただけで国債の価格は下落を始めるということになると思います。したがいまして、引き受けなどということは、これは経済論的にもあり得ない、あってはならないと私は思うわけであります。

 それで、先ほど申し上げましたように、ここは財政当局、そして政治の側からも、財政の規律を早急に打ち立てる、取り戻すということが、日本経済の回復といいましょうか再生にとっても一番重要なことで、今のこのままの予算と公債発行ではむしろ逆の方に動いてしまうというおそれを私は持っているわけでございます。大臣、いかがでございますか。

○宮澤国務大臣 国債というのは金(きん)ではございませんで、借金証文でございますから、借金証文を相手が信頼してくれるかくれないかということは、借金する人の規律があるかないかということにかかる。そういう意味では、出す方が規律を持って出していると考えられなければその価値というものは信頼されないだろう、私もそう思います。

○仙谷委員 きょうは、大蔵委員会でございますので、話を少々広げないで国債関連の質問をいたしましたが、切りがよろしゅうございますので、きょうはここで終わりたいと思います。

 ただ、さらに一点、日本銀行には重ねてお願いをしておきたいのは、政策委員会会合があっても、日本経済、あるいは中長期的といいましょうか、将来のためにも、日本銀行の規律を緩めることがないような決定をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。