1998年10月02日 金融安定化に関する特別委員会

○相沢委員長 これにて山本君の質疑は終了いたしました。

 次に、仙谷由人君。

○仙谷委員 津島雄二議員から洗脳されたと言われております仙谷でございます。洗脳されたかどうかが本日の最大テーマではありませんけれども。

 本日、いわゆる破綻処理に関する金融再生法案、整理管財人を通っていくルート、あるいは公的ブリッジバンクというやり方で整理と再生を目指すルート、そして一時国有化という方式、概括的に申し上げますとこういうやり方を骨子とする法案になったわけでございますが、誠意を持って修正協議を進めてまいったと私は思っておるのでございますが、これを、野党案を換骨奪胎をした、こういう表現もされておるわけでございます。

 まず、宮澤大蔵大臣にお伺いするわけでございますが、野党案の骨を何か取りかえるということにこの法案はなっておるというふうにお考えでしょうか。

○宮澤国務大臣 この委員会の御審議の過程でしばしば申し上げたことでございますけれども、大変な状況になって、我々としても経験のない法的な枠組みを考えるわけでございますから、政府が御提案しておるものがベストだというふうには決して申しません。各党におかれて御審議の結果、ベターなものができれば喜んでそれを行政に使わせていただきたいということを何度も申し上げました。総理もそういう御発言をしておられました。

 そういう結果として、このたび成案ができました。政府が最初に考えたこととは必ずしも一緒のものではございませんけれども、長い間の御審議の結果として、非常に金融機関に対しては厳正な、いわゆる甘いことで国民の税金を使ってはいけないという、それから、やはり金融機関たるものはいわゆるディスクロージャー、自分に厳しくなければならないという、そういう思想が強く盛り込まれました修正案が誕生いたそうとしております。

 そのことは、私は、問題をとにかくここで処理するための仕組みをつくっていただくという意味で極めて有意義であったと思いますし、また、そういう修正がなされましたことの意味についても私としては十分理解をいたしております。いわば百尺竿頭一歩を進めるとでも申し上げることがいいのかどうか、そういう気持ちで修正の結果を拝見しているところであります。

○仙谷委員 我々も、野党案でも今の日本の金融が置かれた種々の条件を考えるとまだ甘いのではないか、もっと抜本的に構造改革を進めるような法案を用意すべきだったのかなと思ったりもしながら審議をしておったわけでございますけれども、しかし、宮澤大蔵大臣のかねがねの御主張あるいはここでの審議の御主張からいいますと、一時国有化、株式の強制即時取得、この我が野党案の法案のやり方というのはまさに大骨であったのではないかと思っているところでございます。

 この点については、大蔵大臣の思想や考え方や御経験に基づいてどうしても許せないもの、こういうお考えがあったのじゃないかと思いますけれども、もう今回は矛をおさめたといいますか、納得されたんでしょうか。

○宮澤国務大臣 先ほど山本委員と提案者池田委員との間の質疑応答の中にございましたが、何しろ今我々が不良債権と考えておるものは、かつては優良債権のようにして膨大な金額が日本経済を支えておったわけでございますが、それが急速に整理されますと日本経済はどうしても、勢い、金融が収縮をする、いわゆる貸し渋りになるということは、これはもう勢いとしてはやむを得ないところである。

 ならば、それが急速に訪れずに日本経済がここを乗り切れれば一番うまいという気持ちは、これは仙谷委員も御質問の中に出しておられましたが、そういう命題が片っ方でありながら、しかし、これからの金融機関はビッグバンの世界であるからそう生易しいことではやれないよ、厳しくという、厳しくやればやるほどやはり多少金詰まりの方にそれは行くということは論理上やむを得ないことでございますが、その間のちょうどどの辺がいいかということを恐らく委員の皆様と私とが議論をしておったことだと思います。

 しかし、修正案として今でき上がった姿を拝見しますと、それに対して日本経済が対応していくのだ、そういうふうに考えてみますれば、なるほどそれは納得のできることであると納得をいたしております。

○仙谷委員 そこで、津島先生にお伺いしなければならないのですが、換骨奪胎というのは、どういう骨を抜いてどういう子供を取り出したのか。そして、洗脳をしたとおっしゃるのだけれども、呪術を使ったのか妖術を使ったのか、あるいは麻原何がしのようにマインドコントロールしたのかわかりませんけれども、何が言いたかったのでございましょうか。

○津島委員 仙谷委員御指摘の報道によりまして皆様方に御迷惑をおかけしたとすれば、私は申しわけなかったと思っております。

 ともに修正案の作成に汗をかいてきだ仲でございますから、私がその報道の内容について納得いかないものがあると感じておること、そして決し

て私の真意を伝えていないであろうということについて、仙谷委員も御理解をいただけるのではないだろうかと思っております。

○仙谷委員 私は、こういう時代でありますから、党内で異論、俗論、いろいろな論理があって、与党の実務者協議に出てこられた方々も相当厳しい局面や苦しい局面がおありになったと推測することにかたくはないわけでありますけれども、だからといって、そういうアンシャンレジームといいますか、古い頭の方々とかマーケットの動向について何ら理解を示さない方々とやはりここは正面から闘っていただかないと、この人たちをなだめたりごまかしたりするために野党の我々を誹謗中傷することは許されないと私は思っているところでございます。引かれ者の小うたぐらいの話であれば、我々も、かわいいものだ、こういうふうに度量を示すところもあるわけですが、洗脳とまで言われますと、総理大臣笑っていらっしゃるけれども、洗脳とまで言われますと、これは何か一段高い立場に立つ人が、自由に池田さんの頭の中身を入れかえて操ったような話になるわけでありますから、これは名誉毀損にとどまらずに侮辱になるのじゃないか、こういうことで私どもは聞いております。そして、それは私とか池田委員だけではなくて野党全体に対する侮辱になる、こういうことで、昨夜はそれほど怒りは込み上げなかったわけですが、けさになりますと、少々これは怒りにまで到達してきましたので、もう一度はっきりとこの発言の客観的な、我々に対する誹謗中傷というか侮辱といいますか、一生懸命誠実にお互いに党内を説得しながら議論をしてきた、この過程をぶち壊すようなこういう発言について、もう一言釈明をしてください。

○津島委員 先ほど申し上げましたように、そのような報道で御迷惑をおがけいたしましたとすれば申しわけないと思っております。

 そこに書かれております言葉等々を含めて私は納得いかないものを感じておりますし、我々がともに汗をかいて立派な成案を仕上げたということは仙谷委員も理解をしておられるし、また、そのような立派な案を仕上げることができたことについて、野党の皆様方の大変な御見識にも敬意を払っておるところであります。

○仙谷委員 そこで、修正案の関連で大蔵大臣に少々お伺いしたいわけでございます。

 修正案に金融再生勘定という勘定を新たに設けて、そこにある種の金額を積む。これは、十三兆円スキームをなくした、金融安定化法を廃止したかわりに、今度は、いわゆる公的管理に係る費用、あるいは一時的に株式を取得するに必要な費用、あるいは、その後、公的管理の後再生させた公的管理銀行の株立てをするといいましょうか資本金をつくる、例えばそういうことに必要な費用をつくろうではないかということで法案ができたわけでございます、スキームができたわけでございます。

 それで、この金額を幾らにするか。それはある種政府の専権事項かもわかりませんが、余り急いでいらっしゃるものですから、今国会で予算措置をとったらどうか、つまり、予算総則上何兆円かの保証措置をとることを明記した予算総則を提案されたらどうかということをきのうも相当お勧めをしたわけでございますが、どうもおかしいことに、与党側が拒否される。そして、政府においてもそれほど積極的であるかのような発言が聞こえてこないという状況でございました。

 そもそもすき間があいてはマーケットの方から金融機関が打たれるのだというふうな議論とか、とにかく急いでくれ、今マーケットは危ないのだというふうなことを言いながら、我々も作業を急いだわけでございますけれども、にもかかわらず、この段階になって予算措置をとろうとしない。これは何なのですか、大蔵大臣。

○宮澤国務大臣 昨晩の御協議におきまして、この点が「政府・与党の責任において可及的速やかに措置する。」と合意されましたことを承知をいたしております。

 したがって、政府としては、これについての対応を早速に考えなければならない立場にございまして、部内では既にいろいろな検討を始めております。まだこの協議に参加されました与党の委員たちとはお話をしておりませんので、ちょっとそこのお時間をいただきたいと思っておりますが、何らかの形でできるだけ早く対応しなければならないというふうに考えております。

○仙谷委員 平和の坂口先生も踏まえて、もしそういう措置をおとりになるのだったら、短期間でも、あるいは超短期間でも国会で通すことをお約束してもいい、そこまで協議の場で出ておるのですけれども、いや、だけどできないのだと。つまり、このことは、この国会は十月七日までしか会期が一応ないことになっておりますけれども、予算措置をとらなかったということが、もしそのことが原因になって何らかの事態が発生したとすれば、これは政府の責任であると私は申し上げておきたいと思います。

 それから、時間がそれほどございませんので、財政と金融の分離についてでございます。

 この財政,金融分離については、長い長い歴史の中でようやく今回ここへたどり着いたわけでございます。分離問題の前に、大蔵大臣、私、今回のこの審議の中で拝見をしておりましても、今の事態は、金融監督庁と大蔵省、そして預金保険機構の中に金融危機管理審査委員会というのがあって、どうも三本立てになって責任の所在が非常に無責任になっておる。こういう金融の危機的な状況、金融危機管理といいましょうか危機対応といいましょうか、そのことに際して、この二元的、三元的行政のあり方というのは、何らかの形といいますか、払拭しなければならない、この感を実態的に感じたところでございます。

 金融行政を、つまり特に危機管理対応については一元化しなければならない。そうだとすると、金融監督庁をもう一回全部大蔵省へ戻すか、あるいは財政と金融の分離ということが、財政的事情によって金融政策がゆがめられてきた過去の日本の金融行政の反省の上に立って、金融行政を財政から分離した方がいいのだ、そしてそれが世界の潮流だ、もしこういう認識ならば、これは金融部門を独立させる、あるいは財政部門をどこか別のものにする。金融行政としては一元化した方がいいのだという、まず結論があるのかないのか、あるとすればどのような方向で一元化するのか、つまり分離をするのかそうじゃないのか、このことについてお答えをいただきたいと存じます。

○宮澤国務大臣 ただいまの改編後の制度が、これはやはり、一つはできましてまだ日が間もないということがございますし、したがって担当者が必ずしも仕事にすぐになれないというようないろいろな理由がございまして、仙谷委員のおっしゃいますような感想をあるいはお持ちかもしれませんが、私はその中におりまして、日がたつにつれてこれはうまく動くようになる、そういうふうに考えております。

 ただ、それにいたしましても、実は今の姿が、やはり最終的に金融庁というものにたどり着く、それまでの中途の姿であるということは私も感じておりますものですから、したがって、中央省庁の改革という枠組みは金融庁を想定しておりますので、そこへ行き着くまでの途中の姿という意味では、やはり多少おっしゃいますような問題を持っておるということは私も感じております。

○仙谷委員 私は、今の事態、そして今回の大蔵省、金融監督庁、そして金融危機管理審査委員会の対応というのを見ておりますと、今おっしゃった中央省庁等改革基本法の中で、二十条八号で、当面の間、金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案について財務省に残すというふうに決めたのは誤りである、これはできる限り早く一元化しなければならない、大蔵省あるいは財務省からこれを分離して金融庁の方向に一元化する、金融庁はこの中央省庁の改革基本法に年限的にはとらわれずにやった方がいい、金融庁ができる前には金融再生委員会に金融行政全般を、そしてとりわけこの金融破綻処理制度、金融危機管理

に関する企画立案を一元化した方がいいというふうに考えております。

 大蔵大臣、いかがでございますか。

○宮澤国務大臣 その問題は中央省庁改革の際にも非常に議論になりまして、ただいま法律の定めでああいうふうになっておりますわけでございますが、このたびのこの問題を通じての仙谷議員の御議論もよく承っておりまして、ただいまの問題は一つの御意見として十分に私どもも検討いたしたいと思います。

○仙谷委員 時間が参りましたので終わりますけれども、いずれにしましても、昨日の合意、そして党首会談の合意があるわけでございますから、完全な財政、金融の分離、完全な分離、そして金融行政の一元化、このことについて、総理大臣、よく御理解の上、約束どおり実行をしていただきたいと存じます。

 一言、決意のほどをお願いします。

○小渕内閣総理大臣 十分検討いたします。

○仙谷委員 いや、検討じゃ困る、実施しますと言わなきゃ……。

 終わります。