1998年03月17日 農林水産委員会

○北村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。仙谷由人君。

○仙谷委員 主として略称災害暫定法に関して質問をいたしたいと存じます。

 この法律、民友連は基本的に賛成の立場で質問をさせていただくわけですが、結論から申し上げますと、そろそろこの種の細かいものについては、農林省の補助金をつけるというやり方をお変えになった方がいいのではないかという立場で質問をいたします。

 国庫補助を都道府県に、あるいは市町村に出すという法律でございますが、そもそも災害復旧事業として出す補助金、この一件当たりの工事金額というふうなもので見れば、統計的にはどういうふうになっているのか、その点をまずお伺いいたしたいと存じます。

 一千万未満の工事、一千万以上一億円未満あるいは一億円以上というふうにとってみれば、平成八年までおわかりになっている範囲でその別をお答えになっていただきたいと思います。

○山本(徹)政府委員 手元にございます、最も新しい平成八年のデータまで、平成四年から八年までの五年間で申し上げさせていただきますと、農地、農業用施設の災害復旧実績を、先生御指摘ございました金額別に見ますと、一億円以上の災害復旧、これが五カ所で十五億円、それから一億円未満で一千万以上が一千カ所で二百三十三億円、それから一千万未満、これが箇所数としては最も多くて三万カ所で四百八十五億円となっております。

○仙谷委員 今のは平成四年から八年までの平均の件数と金額をお答えをいただいたのだろうと思うのですが、それでよろしゅうございますね。

○山本(徹)政府委員 御指摘のとおりでございます。

○仙谷委員 合計の数で拝見をしましても、平均の数でその計上されたものを拝見しましても、一千万未満が件数の比率でいきますと九六・七%ある、こういうことでございます。

 現に、この法律も一カ所三十万円を四十万円の限度額に繰り上げる、あるいはその範囲を百メートルから百五十メートルの半径に広げる、こんなことでございますので、問題は、この種のものを一々農林省が査定をする必要があるのか、こういうことになってくるのではないかと思います。

 そこで、この種の査定とか調査とか、あるいは箇所づけとは言わないようでありますが、予算づけとか、どういう流れでどこでおやりになっておるのか、このことを次にお伺いしたいと思います。

○山本(徹)政府委員 まず、前段で御指摘ございました三十万、これを今回四十万に引き上げさせていただくわけでございます。これ自体、金額としては決して多くないという御指摘でございますが、確かにそういう御指摘もあるかと思いますけれども、これは一カ所、今回は百メートルを百五十メートルにいたしますので、百五十メートルの円の範囲内に四十万円以上の災害がある場合ということでございます。通常、災害、これは豪雨とか台風による災害でございますけれども、これは一般的には集中的に発生いたしまして、ほとんどの市町村で実際には一カ所の四十万ということはございませんで、復旧事業費が数百万円以上になります。

 具体的に事例で申し上げます。平成九年の災害で申し上げますと、市町村当たりで五百万円以上の災害をこうむっている市町村が約八割、それから百万円以上が九七%、これは平成九年災でございますけれども、このように、ほとんどの市町村では復旧事業費が数百万円に上ります。

 それは、結果として、一カ所だけが災害で四十万ということではなくて、多分五カ所とか十カ所あるいはそれ以上が災害を受けているというのが通例であることによるわけでございまして、この災害は、発生や被害の大きさをあらかじめ予測することができません。方、特に被害を受ける市町村というのは中山間地域で、どちらかというと財政力が弱い市町村が多いのが現実でございます。

 かつ、民生安定のためには、早期復旧が大変重要でございますので、一時期に多額の復旧事業費を必要としてまいりますので、被災地の地方公共団体、これは市町村が大部分でございますけれども、国の助成が不可欠であると考えております。

 また、これの災害復旧の手続でございますけれども、まず、災害が発生いたしますと、地元市町村から県を通して農林水産省に災害の報告が上がってまいります。市町村等は、報告されるとともに、直ちに、これと並行して応急工事をされる場合もございますけれども、復旧計画を樹立されます。この計画については、農林水産省が、現地の査定官が参りまして、現地で査定をいたしまして、事業費の決定通知、補助金の交付、この補助金の交付を待って事業着手、竣工認定という手続になるわけでございます。災害の復旧というのは急を要する場合もございますので、これは農林水産省と都道府県とが協議いたしまして、事業費の決定前に事業の着工ということもしばしばございます。

○仙谷委員 査定の話が今出ました。これは、現地調査と、現地調査に行かないであるいは机上でやってしまうのと、今どのぐらいの割合ですか。

○山本(徹)政府委員 災害は現地で査定するのが原則でございまして、災害申請がありましたら、そのすべてについて国の査定官を派遣いたします。それで、災害の査定を実施しているところでございます。

 ただ、その中で、小規模な被害箇所、これは申請額が二百万円未満の箇所につきましては、被害現場まで必ずしも参りませんで、被害現場に近い県の事務所等で、状況の写真あるいは図面等によるいわゆる机上査定というのを実施する場合がございます。

○仙谷委員 割合はわかりませんか。つまり、先般ちょっと打ち合わせのときにお伺いをしておりましたら、大体、地方農政局二人の職員が査定をやっている、こういうふうに聞いたわけですね。その程度の人数で査定をやる、現地調査をやるということになれば、これは、先ほど局長がお答えになった、平均して、多い年では箇所数で七万とかそういうレベルもございますし、平成八年でも箇所数で一万二千ということになっているわけですから、そうそう現地に行けるはずはないのではないか。

 私が申し上げたいのは、机上査定というふうなことをするのであれば、大臣、予備費なら予備費で、予算というのは当然組まれておるわけですから、県なら県を信用して、補助金ではなくてほかの項目で予算づけができるような仕組みにした方がもういいのではないか。こんな細かい仕事を、地元にとっては重要かもわかりませんが、財源的に重要だとか、復旧させることが重要だということがあっても、一々農林省本庁にお伺いを立てて、査定をしてもらって、予算づけをしてもらう、そんな金額でもなければ仕事でもないのではないか。昔、わざわざ予算をもらうためにどこかを爆破したり、半分壊れかかっているのを全部壊したりみたいな冗談もいっぱいありますよね。現に刑事事件になったのもあります、そういうのは。

 これは、例の陳情問題とも関連して、やはり余りにも細かいことを補助金をつけるという作業をするというのはいかがなものだろうか。先ほど局長もおっしゃいましたように、災害復旧は計画的に行う公共事業と違っていつ起こるかわからないとか、災害が発生するところは小さい財政規模の自治体が多いとか、そういうことをおっしゃるわけですが、それは、そういう前提でも、予算の組み方によっては別に補助金じゃなくても組める。

 もっと言えば、これは、補助金という名目でありますけれども、どうも、補助については九〇%の補助でございますか、そうすると、もうほとんど国費と、あるいは国の持ち出しによって地方が事業をしている、こういう格好になっている事業でございますよね。それを農林省が査定をしなければならないか、予算づけをしなければならないかというのは、別途の問題ではないだろうかなと思うのです。その辺、農林大臣、いかがでございますか。

○島村国務大臣 今回の改正に当たりまして、一件三十万円から四十万円と、この改正の段階で、正直申して、私も、これ、もっと思い切って大きなものにできないのか、こんな話を実はしたところであります。

 ところが、今お話がありましたように、災害は一カ所に集中して起きる、あるいは予期したとおり起きてくれるわけじゃありませんで、全国三千のいわば地方自治体それぞれの立場であらかじめ予備費を、これは預かってもらうということもまたちょっと無理があるのではないかと思います。

 そういう意味で、なるほど、災害一件当たりは仮に四十万円以上のものであっても、点在してそれがその地域一つに起きるとなると、今局長から御説明申し上げたように、一市町村百万円以上が九七%、あるいは五百万円以上は八一%と、こういう数字が挙げられているとなりますと、やはりどんな地域でどんな問題が起きても、早期復旧を現実のものにするとなると、一応農林水産省にある程度の用意をいたしておいて、即時適切にこれに対応することの方が現実的なのだそうであります。

 これを仮に一千万だとか三千万だとかどでかいものにして、あとは全部地方任せということになると結局大蔵省自身のいわば採択になりますから、やはり、細やかな配慮をめぐらし、かつ、それぞれの現場の要望するとおり早期復旧を実現するとなりますと、これは農林水産省が従前の実績に立ってこれをさせていただく方が地方としても望ましい、そういう声を踏まえての改正でありまして、なるほど、今委員が御指摘になったように、ある程度の金額以下のものは全部地方に任せたらどうかといいましても、しからば、一たん有事の際に、どこからどういう規模でどの範囲でどれだけのものが起きるかというのは、これはまさに予測できませんので、これは農林水産省として総括的にこれに対応する方が私はお役に立てる、こういうふうに理解するところであります。

 

○仙谷委員 問題は、きめ細やかに査定をする必要があるのかないのかという話なのですね。これは、行政改革の議論とも関連をして、中央の省庁の仕事の範囲をどうするのかということと大変深くかかわってまいります。細かく中央から、先ほどからおっしゃっておるように、市町村の中山間地の末端まで目を光らせる、細心の注意を払う、いかにも温かいようでありますけれども、そのことが、財政的な問題として、そんなことをいつまでもやっていられるのかという問題もあると思いますよ。

 それから一方では、そんなにおんぶにだっこにおんば日傘みたいな話は農業経営者にとってもいいのかどうなのかという問題も僕はあると思うのですね。融資制度とかいろいろな制度が、あるいは利子補給とか、もう少し自立的な傾向に行われるような制度が考えられてもいいのではないか。

 あるいは、これは県が主体の災害復旧工事とか、市町村が主体の災害復旧工事に対する補助金なわけですから、そうですよね、それは、財政措置として補助金で行うかほかの方法で行うかというのはいろいろ考え方があると思うのですね。あるいは、県が行う、市町村が行うのであれば、そこをもう信用して、財源的にはあらかじめ、例年、阪神・淡路大震災の平成七年以外は一千万も用意しておけば大体足りるようでございますから、そういう予算を用意しておいて、県なら県、市町村なら市町村から請求があれば、よほど不合理じゃない限り渡してしまう、予算づけをしてしまうということの方がいいのではないか。そして、でたらめは決算の方で、あるいは会計検査の方で要するにそこをチェックをしていくというふうなやり方の方が合理的でむしろ行革の趣旨にも沿うのではないか、こう思って質問をしておるわけでございます。いかがでございますか。

○島村国務大臣 私もある意味で同じことを考えて疑問を持ったんだろうと思います。また、将来に向かってこれが絶対的なものだとは私は考えません。当然にこれは検討課題になるものですし、地方分権がだんだん具体化する過程で今委員が御指摘のような形になっていくのかな、こんなふうにも考えないではございません。

 ただ、一方で、今、地震のお話がございましたけれども、平成七年の一月に阪神・淡路がありました。しかし、あれからさかのぼって二年間に六回大きな地震があって、すなわち、釧路沖が平成五年、奥尻島が同じく平成五年、そして六年には東方沖と三陸はるか沖の一回目があって、平成七年に入って三陸はるか沖の二回目といわば阪神・淡路が連続して起きた。また同時に、伊豆半島沖とかあるいは薩摩半島周辺とか、群発地震もかなり起きて、いろいろな被害が及びました。こういうことごとを全国的な規模でとらえて、公平、公正に、かつ緊急にこれらに対応するとなりますと、ある意味で、国の総合的な視野といいましょうか、大局的な判断というのも大切なのかな、こんなふうにも思うところでございます。

 ただ、これにいつまでも何か既得権益のように、中央集権的な発想でこの権益をどうこうしようということが、私は必ずしも正しいことだとは思いません。しかしながら、今時点では、少なくも段階を踏んでこういうものを時代の要請に置きかえていくというのがあるべき姿ではないか、そう考えます。

○仙谷委員 補助金について、私と大臣の考え方がそれほどそごを来しておるように思いませんので、重ねて御質問をするわけでございますが、財

政構造改革法に、補助金を縮減、削減すべきで、特に災害復旧に関してもそうだと書いてありますね。そもそも、災害復旧にかかる費用を国なり自治体が、特に個人の私有財産について、あるいは個人でも農業生産法人でもいいのですが、その保有に係る農業の施設の復旧について全額公的な負担で行うのだ、あるいは九〇%国の補助金で行うのだという理屈ということが一方にありますね。そういう補助金はできるだけ減らしていってくださいよというのが財政構造改革法の話でございますね。

 今回は、こういう措置をすることによってわずかながら減らすのだ、こう何か恭順の意を表したような話でありますけれども、そもそも、私的な生産財である農地とか農業生産施設の復旧に公的なお金をつぎ込む、どこに合理性があるとお考えですか。そして、財政構造改革法の趣旨との関係では、大臣はどうお考えですか。

○島村国務大臣 災害の内容等についての細部につきましては、今局長から御説明いたさせますが、私は、先ほど一つの例にとらせていただきましたのは、実はこういうわけなんです。

 平成六年の十二月二十八日に一回目、明けて一月七日に二回目と、三陸はるか沖が二度ありました。私が青森県の陳情団の対応をしている最中に阪神・淡路の事件が起きました。そういたしましたら、もう三陸はるか沖はこれで見捨てられますねと、そのとき青森県の代表の人がちょっと漏らされました。

 何か私は、最近の日本人のこういうものに対する対応というのは、一点集中に傾いて、すべてに対する視野を失いがちだと思うのです。事件への対応もさることながら、何かいろいろな問題が、一つのことが起きますと、ほかのことはみんな忘れられてしまう。あのときの青森県の代表の方の気持ち、非常に私はそうだろうなと同情したものでございますが、こういうことを全国規模で、たとえ大きな悲惨な事件がその後に起きたといっても、前にもその事件の被害を受けている人たちがいるわけですから、そういうものをやはり全国総合的に判断し、公平、公正に事を進め、かつ、いわば国がしっかりそれに対しての援助をするという安心感も含めて、それぞれの地域に我々が用意をしておくということは、それはそれなりに意味があることじゃないか、こんなふうに考えます。

○仙谷委員 農林大臣にこんなことを申し上げてもせんないことかもわかりませんが、阪神・淡路大震災では、普通のサラリーマンの自宅が崩壊しても、国はそれに対する直接の復旧に対しては助成はほとんどしていない。あるいは、私的な企業が工場を崩壊させても、直接それに対する補助をするわけではない。これが原則というか普通ですよね。

 個人の自宅についても、これは労働力の再生産という観点からは、非常に必要不可欠な施設であることは間違いないわけですから、そういう観点で見ることはできるわけですから、何ゆえに農地と農業施設がこういう厚い公的な負担のもとに行われるのか、どういう公益性があるのか、あるいはそうしなければ成り立たないのか、ここは大問題だと思うのですよ。これは、はっきりしたコンセプトといいますか、趣旨を徹底しなければもたない。ただし、その趣旨を徹底すればするほど、財政構造改革法三十五条の規定の中の災害復旧というのは、これを縮減せよという議論というのは間違いである、こういう議論にならざるを得ないと私は思うのですよ。いかがですか。

○島村国務大臣 実は、ついせんだっても、山梨県に測候所始まって以来の豪雪がありまして、それで私も現地へ行ってみて驚きましたけれども、我々のももみたいな太い鉄柱がみんなひん曲がって、雪のためにつぶれておりました。山梨県にすれば、これが再度にわたって雪が降るということは想像もつかなかったそうで、重い雪に結局つぶされてしまったということです。問題は、それが災害復旧の対象になるのかならないのか、いろいろ検討したところですが、やはり個人の持ち物についての補償といいましょうか、てこ入れということになると、いろいろな制約があることはまた事実であります。

 そういう意味では、一般の民間住宅がつぶれたことに対する補償がほとんどなかったという意味に、ある意味では通じるものがあるかもしれませんが、それはそれといたしまして、例えば農道とか林道とかあるいは集出荷施設とか、公のものその他について、緊急にそれを復旧しなければならないような事態を招来したような場合には、やはりこれは国の補助あるいは国の後ろからのてこ入れというのは当然必要なのだろうと思います。

 細かい具体的な災害復旧の事例につきましては私は詳しく存じませんが、公に大所高所で考えて、これはやはり今の段階では必要なんだな、こう判断をしたので、今回のお願いに賛成をしたところであります。

 

○仙谷委員 補助の問題というのは、一つは他の分野との整合性、先ほどから申し上げておりますように、個人の崩落した農地を復旧することが公的な補助金で行われるということと、阪神・淡路大震災のような場合の個人の住宅の復旧に何らかの補助が出る出ないという問題と、バランスの問題が大変あると思いますね。ここは改めて、災害復旧に関する補助でいくのか別の制度でいくのか別にしまして、本当の意味でのセーフティーネットをどう担保するか、どう張るかという議論を行わなければならないのじゃないかと思うのです。

 この補助金というのは、やはり中央集権的に、大臣おりしゃったように、精密にやればやろうとするほど、中央集権的なやり方でなければできないという感じに襲われるのですね、任せ切れないと。これは、そもそも災害復旧事業が自治体の事業である限り、補助金という制度は別の制度に振りかえた方がよかろう。財源的な措置というのは、幾らでも方法は考えられると私は思いますので、その点を申し上げて、この点についての質問は終わりたいと思います。

 先般、長崎県へちょっと行きました。例の諌早湾干拓の問題でございます。

 諌早湾干拓事業について、県が、国とどういう関係にあるのかわかりませんが、この国営諌早湾干拓事業でつくられる予定の農地、これは昨年の国会でも十アール当たり百十万円で農家に払い下げをするといいましょうか、売却をするということを当時の農林大臣もお答えになっておるわけでございますが、現地では、この三月、県議会に七十万円で払い下げをするような条例を出すのだ、こういう報道がなされておるのですね。これは本当なのかどうなのか。どういうやり方でこんな手品ができるのか。御答弁いただきます。

○山本(徹)政府委員 先生御指摘の条例案につきましては、長崎県が、平成十年度の干拓の潮受け堤防の完成を間近に控えまして、県と農家の負担割合を改定すべくこの案を提出されたようでございまして、今回の条例改正に対する県の御当局の考え方は、干拓堤防が有する河川堤防と同等の公共性、あるいは類似の土地改良事業における県負担とのバランスを勘案して県の負担割合を改定するものだと聞いております。

 先生御指摘のとおり、農林水産省といたしましては、昨年大臣もお答え申し上げましたように、十アール当たり百十万円という農地価格は近傍類似の価格であり、この水準は適正な水準であると考えているところでございます。一般論として言いますと、今回の条例改正、これは長崎県の御判断で議会に提案されるものでございます。結果として農家負担の軽減につながるものとなるわけでございますが、このことは私ども、農業経営の安定、農業振興についてこれを推進する立場から申し上げれば好ましいものであると考えております。

○仙谷委員 この種の話は、去年の段階で諌早湾干拓事業は総額二千三百八十億円かかるのだ、一千五百億円程度のものから二千三百八十億円になったのだ、こういう話がございましたね。うち、干拓事業にかかる農家負担は百六十九億円である。大体全体の七・一%が農家の負担になるのだというお話でございました。もともとの計画では、

農家負担は一八%ぐらいだというふうな話で始まっているのですね。現時点では七・一%になっているのですよね、総額の。この百六十九億円を一千四百九十二平米というでき上がるであろう農地で割ったのが百十万円なんですよね。そうだったですよね。それで、百十万円が近傍価格、近傍類似価格とほぼ見合う。あるいは藤本農水大臣は、大体近所が百五十万ぐらいだから百十万だったら買い手があるだろうみたいな答弁をなさっているのですよ。

 いいですか。問題はここからですよ。これは国営事業ですよね。何で県がこんなことを、国営事業の売却価格を条例で決めることができるのですか。それが一つ。

 今局長は、これは農家の負担が減るのだから望ましいとおっしゃった。減った分だれが負担するのですか。つまり、どこかで負担しないと、二千三百八十億円かかるわけですから、多分三千億円になるのかもわかりません。農家の負担が減ればどこかが負担しなければならないということに計算上なりますよね。だれが負担するのですか、こんなもの。

○山本(徹)政府委員 今回の県の条例案は、後進地域の特例法という法律がございまして、これに基づいて長崎県に、事業年度の翌年度にこの事業実績を勘案して一定の比率の補助が交付されることになっております。この後進地域の特例法と土地改良法に基づく国の負担割合として認められた範囲内で私ども補助金を交付いたしますし、またその範囲で県の条例上の措置は講ぜられると考えておりまして、これは特別に問題はないと考えております。

○仙谷委員 いや、問題があるかないかじゃないのですよ。あなたは問題がなくたって、そんなことは関係ないのですよ。国民に問題があるかないかなんですよ。全国民の負担のもとに、長崎県が条例を変えたら全国民の負担がふえるなんて、そんなばかなことがどこにあるのですか。これは国営事業じゃないですか。

 それで、後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律というのがありますよね。この法律が適用されて、農家負担を含めておおむね三五%負担とか三〇%負担という前提でこの諌早湾の干拓事業が始まっているのですよね。そうですよね。三五%のうちの一八%は農家とかそういう言い方だったでしょう、今まで。間違いないと思う、うなずいているし。ところが、いつの間にかずるずると農家の負担を少なくするという方向に、これは農家にとっていいことだ、それは農家のためにはいいですよ、もしここに入植する人があればですよ。しかし、その分はどこかでだれかが負担がふえるわけですよ。

 この負担割合の特例に関する法律なんというのは、だれがどこでこの諌早湾干拓事業の農家負担を軽減するためにというか、することの反面として国の負担がふえる、あるいは国民の負担がふえる、県民の負担がふえるということについて、どういうチェックを受けてこの法律の発動というか、適用するのはどういうやり方で決まっていくのですか。こんなものを農林省が勝手に、ああ、県条例で申請したから今回はこれ予算をつけておきましょうなんて、そんなばかな話はないですよ。どうですか。

○山本(徹)政府委員 先生御案内のとおり、後進地域の特例法、これによりますと、長崎県の国費のかさ上げ、すなわち国の事業についてこのかさ上げ率、かさ上げができますけれども、これが一・一八、一八%のかさ上げができることになっております。これが後進地域の特例法でございます。

 この特例法を適用することによって、結果として農家の負担を減らすという姿になってまいるわけでございます。したがって、この根拠は後進地域の特例法にございます。

 この特例法に基づく必要な予算というのは、毎年度、その前年度の事業の実績に基づいてこのかさ上げ金額を計上させていただいておるところでございます。

○仙谷委員 全然答えになっていない。

 もうちょっと聞きますけれども、これは結局どのぐらい国の負担がふえるのですか。七十万円にすることによって、県の負担がふえるのですか、国の負担がふえるのですか、どのぐらいふえるのですか。じゃ、まずその点を聞きましょう。

○山本(徹)政府委員 法律に基づきまして国費のかさ上げを行うことによりまして、国の負担率は七八・七%、これまで六六・七%でございましたけれども、七八・七という形になります。(仙谷委員「金額、金額」と呼ぶ)

 金額につきましては、今の条例に基づきます売り渡し価格の変動というのは、これは、地区内整備事業を平成十年度から実施いたします。これに県の後進地域特例法によるかさ上げを適用した結果決まってまいりますので、平成十年度の実績に基づいて国のかさ上げの金額は決まってまいります。

 

○仙谷委員 だけれども、売り渡し価格は七十万と決めたわけでしょう。百十万円のときには、国の負担が例えばどのぐらいですか、一千八百億ぐらい、県の負担が五百億、金利を除いてですよ、金利を。大体そんな計画で来ていたわけでしょう。今度十アール当たり七十万にしたら、少なくとも十アール当たり四十万円は差額が出てくるのですよ。それは、県が県税とか住民税とかあるいは法人事業税とかその他で負担するのだったら国会で問題にしませんよ。だけれども、国の財政にそのけつを持ってくる、後始末を持ってくるというのでは、それは国会で問題にせざるを得ないし、大蔵省の財政当局の問題にもなるし、農林省のこの後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律適用が果たして正しいかどうかという問題にもなりますよ。そうでしょう。そうすると、県は全然負担しないのですか、七十万にすることについて。

○山本(徹)政府委員 後進地域の特例法というのは、県の財政負担を軽減するために本来の措置はございます。結果として、県は一〇%の負担をこれまでどおり行われることになりました。本当は、後進地域の特例法がございますと県の負担が軽減されるということになるわけでございますけれども、結果として、その軽減分を農家に対する売却価格の引き下げという措置に使われたという結果になろうかと思います。

○仙谷委員 では、国の負担が一方的にふえて、国民の負担が一方的にふえて、農家の負担が減る、県の負担は変わらない、こういうお答えですよね、今のお答えは。そういうことでいいんですか。この条例をつくることについて、農林省はあらかじめ指示をしたり指導をしているんですか。それをお伺いします。

○山本(徹)政府委員 県独自の判断でこの条例案は策定されたものでございまして、私どもが指示したり指導したりしておるというような事実はございません。

 それから、先ほどの、結果として国の負担がふえるということでございますけれども、後進地域の特例法といいますのは、財政基盤の脆弱な県に対して、国として法律に基づいて追加的な財政支援を行うという法律で、これに基づいて予算も毎年計上させていただくものでございますので、これを県でどのように措置されるかというのは、県の条例上または予算上の措置でお決めになることであると思っておりまして、私どもも、これについて特別の県との御相談あるいは御指導を申し上げたというような事実はございません。

○仙谷委員 だから、私、幾らつらつら考えてもわからない。国営事業として行う事業の土地の代金が、県が勝手に値下げ幅を決めることができると。いいですか。それで、その値下げをすることによって、その反面の負担増の部分は全部国民に押しつけられるというのがどうしても納得できない。

 もともと、この干拓事業は一千五百億円の予定が二千三百八十億円か何かになっているわけですよね。これだって負担増ですよ。さらに加えて、金利計算をすれば、建設国債と財投資金を使っているわけですから、これは大変な金利がついている

わけですよね。今後は、でき上がってから支払うまで、二十五年払いになっている部分があるわけですよ。その分だけでも倍以上になる。

 こうやって国民の金を使いながら行う事業で、なおかつ農家の負担を当初の計画よりもはるかに減らす、そのことによって国民の負担がふえる。それが、少なくとも今の局長の御答弁だと、長崎県議会の条例制定でできると言わんばかりの話ですよね。これはどこがチェックするんですか、どこが吟味するんですか、お答えください。

○山本(徹)政府委員 この後進地域の特例法は、長崎県に対して一定の事業を行われる場合に財政的な支援を特別に行うための法律でございまして、この法律に基づいて、私ども毎年予算を過去の既往の事業費に対して上乗せするものでございます。長崎に対しては一八%の上乗せでございますけれども、これを上乗せして予算案として御審議いただくわけでございます。

 この結果として、長崎県に行くであろう国の税金を県が県の財政の中でどのようにお使いになるかということは、先ほどの県の負担の条例案あるいは予算措置で県がお決めになるということで、これは国の予算及び法律には何ら抵触しない、県が独自にお決めになっていい性格のものでございます。

 当然、これは法律でそういう枠組みを決めていただいておりますので、この枠組みの範囲で私どもは長崎県に支援を行っているという次第でございます。

 したがって、これは県独自の御判断で行われるということで、追加的に特別の措置を講じるということでなくて、既存の枠組みで追加的な財政支援を行い、それを県として独自の判断で予算上措置されたということでございます。

○仙谷委員 全然私の質問にお答えになっていないからわからないんだけれども、これは財政当局とやらなければわからないのかもわかりません。つまり、この後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律というのは、諌早湾の公共事業について、去年「費用負担のしくみ」というのを持ってこられました。三五%とか、いろいろお書きになっている。国営事業一般型とか特別型とか都道府県営事業とか、いろんなやり方があるんですと持ってこられている。この基本があるわけですよね。それに加えてこの後進地域の特例法がある、こうおっしゃるわけだ。

 そうすると、事業が始まってからこの負担割合の特例に関する法律が適用されて、国の負担割合は当然にもう決まっておるんじゃないですか、今までだって。これはどうなっているんですか。

○山本(徹)政府委員 御指摘のとおり、国の負担割合は土地改良法及び関係の政令等で決まっております。これで総事業費に対する国の負担割合は決まってまいりますけれども、これに対して後進地域特例法が適用されていまして、国費を一八%かさ上げするという仕組みになっておるわけでございまして、今回、この一八%のかさ上げについて長崎県が種々御検討の上措置されたということであると理解しております。

 なお、諌早につきましては、引き続き、先生先ほど来御指摘でございますが、県あるいは地元とも御相談しながら、地元も、防災事業であり、かつ、大変優良な、生産力の高い農地をつくる事業として推進を強く希望しておられまして、先生御指摘のとおり、効率的な実施を今後とも図ってまいりたいと考えております。

○仙谷委員 時間がなくなりましたので、この問題、また別途の時間がありましたら質問いたしますが、しかし、地元の方々が要望なさっているというのは、それはそれでいいんですよ。それだったら、地元の財源でやってほしいわけですよ。いいですか。それを、条例をつくっただけで一挙に四割も売却代金を減額するようなことができるというのは、私、到底信じられないのですね。それを全国民の負担のもとに行うということも、これはまたゆゆしい問題だと思う。そのことが国会の予算審議の中で、あなた先ほど、書かれているとかなんとかおっしゃったけれども、そんなこと書かれているものどこにもないですよ、予算書の中には。いいですか。

 だから、どこでそんなことが認められるのか、改めてまた、財政当局あるいは農林省ともこの点については議論をいたしたいと思います。

 終わります。