1997年11月04日 予算委員会

○松永委員長 これにて五島君の質疑は終了いたしました。

 次に、仙谷由人君。

○仙谷委員 民主党の仙谷でございます。

 質問通告していないのでございますが、総理、日ロ首脳会談、大変御苦労さんでございました。極寒の地で大変だっただろうと思いますが、平和条約の締結のめどをつけられたことを私も敬意を表したいと思います。

 ただ、ということもないのですが、問題は、日ロ間の関係改善といいましょうか、平和条約というものが結ばれ、北方領土が返ってくるということになれば大変すばらしいことではございますが、しかし、主たる問題は、やはり東アジアの平和と安定の秩序を、中国、アメリカあるいは朝鮮半島の両国、そして台湾までをも含んでつくる、まさにそのための戦略的な布石であるというふうに私は考えるわけでございます。

 経済協力も二十一世紀の日本にとって大変肝要だと思いますし、そして北方領土問題、領土問題、主権問題が片がつくということも我々にとっては望ましいことでございますけれども、二十一世紀にこの東アジアが、平和で安定した秩序の中でお互いに共生をし、そして発展ができる、そのことが何よりも重要なことだと私は考えているところでございますので、今後とも、そういう観点から御努力をいただくようにお願いをいたしたいと存じます。

 さてそこで、先ほどからも、お伺いしておりますと、景気がいいのか悪いのか、それほど悪くないのか、回復基調なのか、足踏みなのかという議論が出ております。はっきり申し上げて、私は、そろそろ大本営発表は政府もおやめになるべきだろう、率直に悪いところは悪いというふうに語らなければならない時期がついにやってきたというふうに考えているところでございます。

 そこで、総理それから大蔵大臣、十月三十一日の日経平均が一万六千四百五十八円九十四銭というのをつけた。このことが持つ意味ですね。マーケットがどういうシグナルを送っているというふうにお考えなのか、御見解をお伺いいたしたいと存じます。

○橋本内閣総理大臣 大変申しわけありません。十月三十一日ととっさに言われまして、各国の証券市場の崩れた日でございますか。(仙谷委員「いや、先週の週末の一万六千四百五十八円です」と呼ぶ)このところ、御承知のように、アジア発の不安という言葉がよく使われております。そして、これは、IMFとの構造調整プログラムを結び、我が国もまた支援の姿勢を明らかにすることによりまして、まず、タイのバーツが襲われました非常に厳しい状況というものは切り抜けをいたしました。また、インドネシアの状況も一応歯どめのかかった状況にあります。

 そうした中で、香港の証券市場に変動が生じ、それが我が国も含め各国に大きな乱高下をもたらしたという状況は、御承知のとおりでございます。そしてその影響は、いわば余震のような形で、現在も消えてはおりません。

 この原因にはいろいろなことが言われております。しかし、我が国もその影響を受けました。これには当然ながら、国際的な要因もありますし、このところの証券を取り巻きますさまざまな国内に起きております問題により、一時離れた個人投資家が戻りがけてきた市場に、また冷や水を浴びせているような状況のあることもありましょう。さまざまな要因が重なって、こうした不安定な状況をもたらしておると思います。

 それ以上、余り思うことに言及することは、この際避けさせていただきたいと存じます。

○仙谷委員 相場つまり株価はある種の先行指標でございますので、こういう理由でこうなったのだろうという分析も必要なのでございましょうが、つまり、先行きに何を見ているのか。九月の中旬からの株価の動きを見ておりますと、これは、ある種のシグナルが送られているというふうに見なければならないと思うのです。

 つまり、私のような素人でも、九月の中旬に、どうすればこの局面で小遣い稼ぎができるか。つまり、空売りをすれば、必ず一万八千円を切って一万七千円にはいくだろうということは、だれが見ても、はっきりしておったわけですね。案の定、九月中に一万七千円に飛び込んで、ついに一万六千円の真ん中、あるいは最安値では一万六千円ぎりぎりまでいってしまったということでございます。

 これは、あくまでも日経平均二二五という、いわばある種優良な株式が相当入った平均の株価でございまして、詳細に見ますと、大変日本の企業が傷んでいる。もっと言いますと、来年の三月期の決算では、ほとんど企業収益が上がらないのではないかということが、まさにこの株価の中に秘められておるのではないだろうかと思うわけでございます。

 ちなみに、時価総額というのがございます。時価総額を八九年十二月二十九日、最高値をつけたときから見ますと、東証一部では半分の三百兆になっています。東証二部では四〇%の八兆円に既になっておるわけでございます。平均しますと、四二%ぐらいに信用が収縮しているというのが、今の株式相場といいましょうか、株価のレベルで

ございます。

 金融関係だけ用意をして配らせていただきましたけれども、九二年の八月十八日というのがバブル崩壊後の最安値をつけたときでございます。一万四千三百九円四十一銭という株価をつけたのが九二年八月十八日でございます。このときと現在の個別の銘柄の株価を比べてみますと、六〇%の銘柄が一万四千三百九円時代よりも下になっているということでございます。

 ここに持ってまいりましたのは、金融関係の九二年八月十八日の株価と九七年十月三十一日の株価、これを比較対照したものでございます。ごらんいただきますとわかりますように、大変なマイナスが、つまり九二年の八月に比べても、それよりも低い株価がここで見てとることができると思うわけでございます。何と銀行関係では、六四%が九二年の八月よりも低い。証券会社に至っては、八四%がこの水準を割り込んでいるということでございます。

 現に、この表の三枚目になりましょうか二枚目になりましょうか、三洋証券は、これは先ほど申し上げました伝でいきますと、八九年十二月二九日には、ここに記載してございませんけれども、二千百五十円だった。一万四千三百九円をつけた九二年八月十八日は三百十六円であった。十月三十一日には八十四円になってしまって、昨日、会社更生申請ということでございます。

 したがいまして、株価というのは、幾ら日本の企業のディスクローズがそれほど正確じゃないとしても、企業収益、特に将来の企業収益については相当程度織り込んでマーケットで価格が決まってくるのだろうなということを思うわけでございます。

 したがいまして、ある種のシグナルというのは、相当の危険信号がともっているというふうに株式市場からは見ることができるわけでございますが、経済企画庁長官、それでもまだ、足踏み状態だとおっしゃるわけでございましょうか。

   〔委員長退席、山本(有)委員長代理着席〕

○尾身国務大臣 株価の動向、最近、全体として軟調に推移しているわけでございますが、この動向がどういうことを反映しているのかということにつきましては、さまざまな要因があるというふうに思っておりまして、どういうことであるという特定をすることはなかなか難しいかなというふうに思っております。

 私どもは、基本的には、経済のファンダメンタルズをよくすることが一番基本的に大切だというふうに考えておりまして、現在の景気の状況、基調としては回復過程にありますものの、足踏み状態にあるという認識でございます。経済企画庁が大本営発表ではないかというような御意見もございましたが、いろんな経済指標を私自身が注意深く見ておりまして、やはり足踏みだなという感じを持っております。

 これは、予想どおりといいますか、思ったほど回復基調が明確に出てこないのは、やはり経済の先行きに対する信頼感というものが低くなっているというふうに考えておりまして、消費者の懐あるいは企業収益等々のバックグラウンド的な状況を見ますと、そんなに悪くないわけでございまして、やはり先行きにしっかりとした展望が持てるような経済構造改革を進めていくことが非常に大事である。規制緩和とか、あるいは不良債権のしこりを解くための土地の流動化の問題とか、そういう政策をしっかり進めていくことが大事であるというふうに考えている次第でございます。

 

○仙谷委員 しつこいようでございますが、もう一つ別の資料を提示いたします。

 店頭登録の株式というのがございます。この株価指数というのがございまして、九〇年の六月を一〇〇といたしまして、九七年の九月平均で見ましても、二三・一になっております。九〇年の六月というのは相当高いという前提で見ましても、二三・一でございます。現に、店頭株の平均を調べてみますと、九二年の八月十八日、先ほど申し上げましたバブル崩壊後の日経平均最安値一万四千三百九円、このときの店頭登録の株価は千百三十一円七十二銭です。ところが、十月三十一日は八百七十三円九十六銭でございます。

 何を意味するかといいますと、つまり、店頭に登録をするような中企業といいますか、スーパー企業でない企業の株価は一万四千円のときよりも非常に低い評価を受けているという事実でございます。

 先ほど申し上げましたように、全銘柄のうちの六〇%の銘柄が既に一万四千三百九円を下っている、そして店頭も悪いということになりますと、よく言われますように、国際優良銘柄というもの、この一〇%ぐらいの国際優良銘柄だけで日経平均は持ち上がっておって、それでも一万六千四百五十八円というふうな価格しかつかない。そして多くの、先ほどお示ししましたように、金融機関ですらも、こういう二けたのものが、あるいは百円内外というふうなものまでも出てきておるという実態でございます。

 つまり、企業間の格差がついているというふうに言ってしまえばおしまいなわけですが、いい企業は非常に少なくて、企業収益の面から見ると、のたうち回っている企業の方が圧倒的に多いというのが今の実態ではないでしょうか。

 そういたしますと、長官のおっしゃったファンダメンタルズがいいという話は、何のことを言っているのか。つまり、よくわからないわけでございます。企業収益以外にファンダメンタルズを評価する基準というのがあるのかどうなのか、その点をもう一度お聞かせいただきたいと思います。

○尾身国務大臣 大企業と比べまして、中小企業の景況感が非常に悪くなっているということを私ども非常にきちっと受けとめているつもりでございます。それから、先ほどの株価の動向でございますが、各の要因がございますけれども、あえて申し上げるならば、例えば銀行とか建設とか、バブルの後遺症をまだ引きずっているようなところが非常に低迷しているという実態にあるのではないかというふうに考えております。

 そういう点から考えますと、私どもが経済構造改革を進める中で、土地流動化、土地の有効利用を図っていくことが極めて大事であるというふうに考えておりまして、これは税制の問題とか規制緩和の問題とかいろいろございますけれども、やはり不良債権としてしこっている部分についての対応をしっかりとしていくことも必要なのではないかというふうに考えている次第でございます。

○仙谷委員 どうしてもお認めになりませんので、もう一つ資料を提示いたしましょう。

 大蔵省の方からも、東証統計月報、株式売買動向というのを資料として提示いただいております。投資部門別株式売買高、東証一部、二部とあるわけでございますが、時間の関係ではしょってお示しするわけでございますが、投資主体別に見ますと、九六年の九月から九七年の十月というレベルで見てみますと、自己売買部門は完全な売り越し、個人売り越し、それから生損保売り越し、それから金融法人のうち信託銀行を除いては売り越し、そして、その他金融というのも売り越し、投資信託も売り越し、事業法人も売り越しということになっているわけでございます。買い越しているのは、辛うじて外国人投資家と信託銀行とその他法人というところだけでございます。

 新聞の金融欄、株式欄を見ておりますと、よく、公的資金が入ったという言葉が出てきます。公的資金が買い支えたという言葉が出てまいります。これはどうも、私の推測するところ、信託銀行の買い越し分が、いわゆる世上PKOと言われておりますけれども、ここに入ってきて信託銀行だけは買い越している、あとは外国人投資家がまだ買い越しになっている、こういう事態だと思うんですね。

 もし売買の動向がこうだとしますと、金融機関から、事業法人から、個人から、あるいは証券会社の自己売買部門から、全部売り越しているわけですから、売るということは、もう少し下がって、そのときに、下がったところで拾えば利ざやが取れるということにもなるわけでございまして、先行きの見通しについて、企業収益の見通し

について必ずしも楽観的じゃない、いや、むしろ悲観的な判断がここにあらわれてきていると思うのでありますけれども、いかがでございますか。

○尾身国務大臣 株価の動向につきまして、今委員がおっしゃいましたようなことをどう考えるかということは、かなり難しい問題だと考えておりますが、私どもは、総理から御指示を受けました経済構造改革を中心とする対策を、これは税制の問題はちょっとタイミングがずれるかと思いますけれども、今月の半ばに出させていただくということで、これは、中長期にわたって日本経済の将来に明るい展望が持てるような、そういう意味で、先ほどのマインドに影響を与えることができるような、実質的に中長期的に明るい見通しが持てるような内容を出していきたいと考えている次第でございまして、それによりまして、企業家心理といいますか、投資家も含めましたそういう心理が好転することを期待している次第でございます。

 

○仙谷委員 まだ非常に楽天的なことをおっしゃるので、大丈夫なのかなと思っておるのですが。

 といいますのは、経済構造改革をお進めになるのは大賛成です。そのことは、多分デフレ的な効果になって、相当厳しい局面になってくるということなんだろうなと私は思います。そこで慌てふためいて、財政出動をするとかなんとかということを直ちに言いたいわけではありません。

 だから、財政出動をしなければならないような心理状態になることを避けるために、今のファンダメンタルズがいいとか回復基調であるというふうな、ある種の実態にそぐわないことをおっしゃると、ますます市場のマインドが冷え込んでいくのじゃないか。いや、政府は何にもわかっていないな、いまだにまだあんな白々しいことを言っている、こういう反応になるのではないだろうか、こう思うから申し上げておるわけでございます。

 したがいまして、経済構造改革をやっておるから非常に厳しい局面だけれども辛抱してくれと言うか、やむを得ないんだと言うか、何かそういう言い方をなさらなければならないのではないだろうか、こう思うわけでございます。

 ちょっと議論を変えます。

 先ほど土地の問題が出ました。ところが、この問題、土地の流動化と簡単におっしゃいます。そして、いろいろな土地税制をいじる、変えるということによって土地の流動化を果たそうという御意見が多いようにも思います。我が党も、取得税や登録免許税はもう少し軽減をすれば動く方向に行くのではないかということを緊急経済対策として提案をしておるところでございます。

 しかし、何よりも、私、この土地の問題について大変なパラドックスを最近感じておるわけでございます。といいますのは、むしろ、土地は会社が倒産をしなければ動かないという妙なところに入っていってしまっておるのではないか、こう思うわけでございます。

 大蔵省の企業財務課ですか、ここに、最近倒産した会社の修正バランスシートというのがあるはずだから出してくれというお願いをいたしました。ところが、企業財務課にはそんなものは来てないという御返事でございました。

 私が独自に調べた三つのケースを拝見いたしますと、例えばゼネコンと言われているところの倒産、大都工業の場合には、資産が公表資産額一千三百八十三億から、修正されました段階では六百三十九億円になっておるわけでございます。とりわけ販売用不動産は、九十六億四千四百万が四十六億円になっておるわけでございます。

 同様に、東海興業の場合には、不動産事業支出金等というところに不動産が入っているのだろうと思いますけれども、これも七百四十億の帳簿価格から、修正後には百九十八億になっている。あるいは多田建設は、同様に不動産のところが、二百十八億が九十五億になっておる。つまり、大きく、実質の評価をし直した資産は半分あるいは半分以下になっておるという実態があるのですね。

 会計法上形式的には合法であっても、これは、我々の目から見ると、大変なそごがある、粉飾決算ではないか。つまり、土地以外でこんなことをやれば、完全に商法上の粉飾決算の罪に問われかねないようなことが、今起こっているわけでございます。

 いろいろなところへ行って聞きますと、いや実は、銀行が貸し込んで土地を買わせた、金利を追い貸しして、金利分もどんどん簿価の上へ乗っているんだ、だから損切りができないから、つまり金利を追い貸ししている以上は不良債権にしていませんから、したがってこの不動産を実勢価格で処分するというふうなことはできないんだ、こんなことがわかってまいりました。これは、先ほどおっしゃった不良資産問題といいましょうか不良債権問題といいましょうか、ここがネックになって土地が動かない。

 時々私も、支持者といいましょうか、もとの仕事の関係でいろいろな人から相談を受けるんですが、二割ぐらいになっている不動産を五割で売らせてくれと言っても、銀行が、つまり担保債権の五割ぐらいで売らせてくれと言っても、売らせてくれないんだ、そんなことをしたら償却しなきゃいけなくなるからだめだと言って、売らせてくれないんだ、こういうことも時々聞くわけでございます。

 そうだといたしますと、土地の流動化の問題というのは、もちろん税の面からインセンティブを与えることも意味のないわけではないと思いますけれども、根本はどうも、土地が下がった、担保債権がそれよりもはるかに上にあって、償却をすると、自己資本比率も下がるし、大変な状況になる、償却をする体力がないというところに最大の原因があると思うのですが、いかがでございますか。

○尾身国務大臣 建設関係企業が土地を担保にしておりましたり、あるいは昔買った高い土地を持っていて、それを売却という処分で処理をいたしますと、相当低い値段になることによりまして損失が大きくなるという実態がございまして、そのために処分しにくいというふうに、今委員がおっしゃったような問題があると聞いております。

 つい最近でございますが、その一つの原因は、赤字企業が入札に参加できないという慣例があって、そのために建設関係企業が不良資産を処分できないという実態があるという話がございまして、国の、建設省の関係の工事につきましてはそういうことがないように前から手配ができていたのでありますが、地方公共団体はまだ赤字企業に入札参加を許さないという運用をしているというのがございまして、実はつい最近、建設省と自治省の方から各地方公共団体に対しまして、そういうことのないようにしてほしいという文書を出して、是正をしていただきました。

 そういう点も含めまして、つまり隠れている不良債権がきちっと、これは痛みも伴うこともあると思いますけれども、表に出るようなことにして、そういう問題を全部処理して、経済を正常化していきたいという委員の御指摘の問題点は、私どもも同じような認識を持っているところでございまして、できるだけ必要な措置をとってまいりたいと考えております。

○仙谷委員 時間があれば、預金保険法の改正問題に絡んで、今度の京都共栄銀行の事業譲渡の話も大蔵大臣にお伺いしたがったわけでございますが、大蔵大臣、京都共栄銀行というのも公表不良債権が二百五十八億だったんですね。ところが、倒産しますと千二百九十億に修正されたわけですね。

 お伺いしたいのは、今の株価も、どうも有価証券報告書によっても正確に資産内容が表示されていない、評価されていないということの疑心暗鬼が、マーケットから見た疑心暗鬼が、どうもこういう低落傾向になっておるのではないか。

 私は、もうかねがねこのことは法務委員会でも大蔵委員会でも九一年ごろから申し上げてきておるわけでございますが、税務会計とは別に、やはり企業会計というのは不動産も時価主義で、時価会計による資産というものを企業がちゃんと評価

をして、ディスクローズするということが行われませんと、つまり日本のようなマーケットに対する、つまり証券会社に対してもそうですし、銀行に対してもそうですけれども、マーケットそのものに対するいわゆる個々人の不信というのは取れないんじゃないか、あるいは、危なくて投資できないということが続くのではないかと思うわけでございます。

 国際会計基準の導入もそろそろ決断をしなければならないときでございます。この企業会計、資産評価について、大蔵大臣のお考えをお伺いしたいと存じます。

○三塚国務大臣 取得原価主義でありますが、債権者保護の理念に基づく商法の基本原則であります。御指摘のように、企業会計の分野も同様の考え方をとっておることから、両者に整合性が保たれておると思います。したがいまして、取得原価主義原則についての見直しは、法務省の見解も伺いながら、協調の上、法制審議会と企業会計審議会において整合した検討が必要なものと認識いたしております。

 また、金融商品の時価評価でありますが、最近の経済社会環境の変化、金融・証券市場のグローバル化に対応いたしまして、企業のディスクロージャーの透明性を維持していく観点から、会計処理基準において、国際的な動向等から、喫緊の課題と考えられる金融商品の時価評価のあり方について企業会計審議会において検討が進められており、まとまったものから順次意見を公表してまいりたいと考えております。

    〔山本(有)委員長代理退席、委員長着席〕

 

○仙谷委員 時間の関係で、では、次の問題に行きます。

 株価のほかの他の指標について、住宅着工、新車販売台数等々のお話がございましたが、どうもこの二つの指標については、八〇年代の前半の水準にまで落ちつつあるのではないかという心配をしておるところでございます。

 それから、小売店の話でございますが、大型小売店の販売というものを、例えば従業員一人当たりで見る、あるいは一平米当たりの販売額で見ますと、これは相当悪い状況になっておるのではないだろうかと思います。

 それから、設備投資の先行指標と言われます機械受注、これも昨年の第四・四半期以降下降のトレンドを、下りのトレンドを示しておるのではないだろうかということも考えております。設備投資自身も、いいいいとおっしゃいますけれども、どうも非製造業の大企業で九六年の第四・四半期から、九七年の第一・四半期からは製造業大企業も下降トレンドに入っているというふうに考えるわけでございます。

 先ほど、失業率といいましょうか、就業者数のお話がございました。私がいただいた資料を見ましても、前月比では就業者数はどうも減り続けているなということでございます。ただ、細かく見ますと、サービス業だけは三%台で伸びているということであります。

 そして、先ほどから消費マインドの話が出ております。つまり将来に対する不安、つまり将来の所得と支出が消費行動の大きな動因になっている。つまり、現在の所得とストックによって消費するかどうかを消費者が決めるのではなくて、将来の所得と支出、その点がどうも消費行動の原因になっているということが言われます。

 そこで、先ほど私が申し上げました指標で一つだけはっきりしておりますことは、どうも日本も、いよいよサービス産業化、サービス化の本格的局面に来たなということでございます。産業構造が、あるいは就業構造が大きく変わろうとしている、まさに加速度的に変わろうとしているのではないだろうかな、それを感じるわけでございます。

 そこで、私は、こういう時代に最も重要なことは、我が国にも本格的な労働市場政策というふうなものが必要なのではないか。今まで右肩上がりの経済でございましたから、一人一人の労働者が水平に動くというふうなことは余り考えないでもよかった、あるいは産業間の移動をしなくてもよかったということだろうと思いますけれども、これからはどうもそうはいかない。つまり、農業社会から工業社会に変わるというときの労働力の移動とははっきりと様相の異なった移動のスタイルが出てくる。つまり、工業社会からサービス産業社会に変わるというところでは、相当のある種の政策がなければならない、こう思うわけでございます。

 そこは日本型の労働市場政策というものがこれから考案されなければならないと思っているわけでございますが、先般、労働省を呼んでお話を聞こうとしましたら、いや、日本の労働省にはそんなものはないと言われたわけでございます。そして、通産省の方を呼んで聞こうとしましたら、ことしの五月十六日閣議決定の経済構造の変革と創造のための行動計画をいただきました。

 しかし、これを拝見しましても、いわゆる労働市場政策というふうに評価できるようなものは余りございません。人材移動の円滑化あるいは人材育成というふうなものが書かれておるわけですが、やはり職業能力の開発とか人材育成、職業能力の開発という点に関してはあくまでも官立てやる、官がやるんだというトレンドが非常に強うございますね。そういう傾向が非常に強いと思います。

 こここそ、やはり民間の知恵といいますか、活力といいますか、つまり時代とミスマッチしない、産業構造とミスマッチしないためには、我が国の雇用保険、雇用調整給付金、こういうものを有効に組み合わせながら、個人個人がみずからの能力を開発できる、必ずしも公立の職業訓練校とか職業何とか大学とか官立公立に行かなくてもできる仕組みというのが大胆にこれから設定されなければ、この産業構造の変化に対応できない。つまり、それこそ雇用の方から見た構造改革であると考えておるわけでございますが、その点について総理の御見解と決意をいただいて、質問を終わります。

○橋本内閣総理大臣 私は、今の問題意識については、ほとんど違いがないのではなかろうかと思います。

 私は、八〇年代のアメリカが非常に立ち直りが早かった一つに、労働力の水平移動というものが人材派遣業によって非常に円滑に行われたということを承知しているつもりであります。それだけに、労働省の諸君にも通産大臣のときから、人材派遣のリストを、ポジリスト、ネガリストという議論を延々としているのではなくて、どんどん実行ができるような工夫をしろということを言いますとともに、労働組合の皆さんにも、いかにすれば水平移動が可能になる仕組みができるのかを労働慣行の中でも考えてもらいたいということを要請してまいりました。

 確かに、従来転職が必ずしも一般的ではない終身雇用制の日本において、人材の水平移動は従来の発想からいくとなかなか困難な点があります。そして、そこにいわゆる職業紹介という官の論理が整然と残っておることも、私は、現状として否定をいたしません。

 その上で、終身雇用制が変革していく中において、私は、労働力の水平移動が可能になるためには、現行の雇用保険制度を活用しつつも、いかにして、人材派遣等に代表される民間の手による能力の再開発、移動というものが円滑に進むように考えていくべきか、この御指摘はありがたくちょうだいをしたいと思います。

○仙谷委員 終わります。ありがとうございました。

○松永委員長 これにて仙谷君の質疑は終了いたしました。