1997年02月10日 予算委員会

○藤井(孝)委員長代理 これにて生方君の質疑は終了いたしました。

 次に、仙谷由人君。

 

○仙谷委員 きょうはまず、農林大臣に農業土木の件についてお伺いをいたしたいのです。

 といいますのは、後で総理大臣にも大蔵大臣にもお伺いするわけですが、この財政再建、財政構造改革と言われるものが、いずれにしても、本来は今年度から歳出の構造を変えなければならない、歳出をカットしない限りこの財政再建というものが絵にかいたもちに終わることは必至の状況であると私も危機感を持っているからでございます。

 それで、当然のことながら、公共事業、マスコミ等々に指摘されているということだけでなくて、前回の私の補正予算案に対する質問のときでも、公的な固定資本形成がここまで大きくなり過ぎると、民間をもちろん圧迫するということがあるわけでございます。つまり、市場経済をとる国、地域としては極めて異例な公的固定資本形成の割合になっているということが私は一番の日本経済の問題だろうと思います。そういうことから、その一つでございます農業土木についてお伺いをいたします。

 ところで、そういう観点から、私は、農業土木が、巷間、五割高いのではないか、いや三割は高いということが、これは業者に聞きましても、農家に聞きましても、そういう声が満ちあふれております。もちろんマスコミもそういうことを書いておる。なぜそうなんだろうか、考えてまいりました。どうも、この農水省一族といいますか、農水官僚と非常に閉鎖的な狭い業者軍団の中で、本当の意味での競争が行われていない。このことが農業土木の世界を、公共事業の中でも非常に透明性の薄い、閉鎖的な、そういう世界にしている。そこで行われない競争が、そして参入規制が、どうも公共事業の価格自体を高どまりさせているというふうに実感をしております。

 そういう観点から、私は、先般一月三十一日に、各七農政局、そして北海道開発庁、沖縄開発庁の直轄事業、国の農業土木、農業公共事業の直轄事業の箇所、工事内容、事業量、平成三年から平成八年まで、つまり過去のものです、これをぜひ出していただきたいということをお願いした。さらには、それら事業の指名業者一覧表、落札業者一覧表を出してほしいということをお願いをしました。そして、その指名業者、落札業者における農林水産省、各地区農政局、北海道開発庁、沖縄開発庁からの天下りやOBの数の推移も明らかにしてほしいということをお願いをしたところでござ

います。

 そうこうするうちに、同様に、朝日新聞が、「全国農業土木技術者名簿・協会編」というものがあるということを書きました。ひどい話では、一九九五年の関東農政局の事業で見ますと、八千万以上の事業については九七%が、農水省OBが雇われている、そういう企業体が落札をしている。九六年度は九四%である。水も漏らさぬ農水一家のこの仕切りとでもいいましょうか、落札でございます。こんな狭い世界でやられた入札や落札が、結果から見る限り、だれしも公正と思うはずがないじゃないですかという観点から資料を請求した。予算委員会の理事を通じても請求しました。十日たってきょうまで出てこない。大臣、どういうことですか、これは。農林大臣。

○藤本国務大臣 議員が五項目につきまして資料要求をされたことは承知いたしております。農水省といたしましては、この要求資料につきまして、内容が膨大なものでございますけれども、できるだけ御要求に沿えるよう努力してまいる、さように考えております。

○仙谷委員 こういう状態では本当に審議できない。十日もたっているんです。審議権の妨害ですよ、あなた。ちょっと待ってください、もうちょっと言いますから。

 そして、言いぐさが振るっているじゃないですか。直轄事業の指名落札業者の一覧は、予算委員たるあなたが各地区の農政局を回れば閲覧をさせているからいつでも見れる。国会へは出せないけれども農政局で公表している。これが資料請求を拒否する言いぐさじゃないですか。どうなっているんですか、農水省は。

○藤本国務大臣 私は、この資料については、提出できるものは要求に沿えるように努力してまいると申し上げております。

 それから、今委員が言われました、委員が行かれればそれを見られるから、それを農水省としては出さないというようなことは、私は言った記憶はございません。

○仙谷委員 結論として、出てきていない。

 もう一つ。「全国農業土木技術者名簿・協会編」、プライバシーに関係があるから出さない。技術者の、農林省のOBの名前が書いてあるから出さないんだ。あるじゃないですか、ここに。こんな公刊物のような本がなぜ出せないんですか。冗談じゃない。ちょっと待って。(発言する者あり)今借りてきただけですよ。

 これは、委員長、いいですか、委員長の方で引き取って、この扱いを決めてください。そうしないと質問続けられないですよ。

○藤井(孝)委員長代理 まず、ちょっと農林水産大臣が答弁するということですから。藤本農林水産大臣。

○藤本国務大臣 私が申し上げておりますのは、出せるものはお出ししますと申し上げておるわけでございまして、その協会編の名簿については、それはまさしく同窓会的なそういう性格のものでございますから、一方的に農水省としてその本を出すということにはまいりません。したがって、了解を得て出すということでございます。

    〔藤井(孝)委員長代理退席、委員長着席〕

○仙谷委員 この私が請求した五項目の資料の請求について、扱いを決めてください。

○深谷委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

○深谷委員長 速記を起こしてください。

 それでは、ただいまの質問に対して、とりあえず山本構造改善局長から答弁をさせます。山本構造改善局長。

○山本(徹)政府委員 大臣からお答え申し上げましたように、要求資料につきまして、内容が膨大なものでございましたり、またプライバシーにかかわる問題もございましたので、その辺は関係者の了解をとる等いたしまして、本日中に、御要求のうちで、一の地方農政局の直轄事業の全容と、それから三の天下りOBの数の推移と、それから四の「全国農業土木技術者名簿・協会編」と、五の農用地整備公団の組織、規模等について御提出をさせていただきます。

 なお、二でございますけれども、国営事業の指名落札業者の一覧でございますが、これにつきましては中央建設業審議会においていろんな検討を行われまして、それぞれ、農政局あるいは事業所で過去二年間のものを閲覧に供するという整理をさせていただいておりますので、そういったこれまでの方針で各省、処理いたしておりますのを御理解いただきたいと思います。

 

○仙谷委員 落札、入札業者の一覧表、今おっしゃったのは二年間は閲覧できると。しかし、多分、書類は五年間は残っている、私こう思うのですね。閲覧はできるものを国会、予算委員会に出さない、どういうことですか、これ。委員長、至急国会法百四条の国政調査権の発動をやるように取り計らってください。

 なぜこういうことを言うかといいますと、総理の地元とも関係があるわけですが、中四国農政局というのがございます。四国で、ある事業をやっております。何とその事業について、五年間で入札機会が四十七回ありました。指名されたのは七十七社、うち一回でも落札したのはたったの十五社。いいですか。五回、毎回落札したのが三社、その三社は指名は九回から十回。四回落札したのが一社、指名は十二回。三回落札したのが五社、指名は八回から十一回。落札が二回の会社が四社ありまして、指名は七回から十一回。一回の落札が二社、この会社は指名は九回受けています。

 いいですか。指名業者は七十七社あったんだけれども、これは会社の数ですよ。十五社にしか落札されてない。そしてこの会社は、指名された会社は、すべて社団法人土地改良建設協会中四国支部に入っておる。自民党の国会議員の関係のある会社ももちろん入っています。五回も落札しています。そういう実態なんですね。全国に五十万社とか七十万社とかという建設業者があると言われておって、完全にすみ分けて、農業ゼネコンと言われるような会社が順番でたらい回しでとっているという実態が、客観的結果から明らかじゃないですか。

 それと、先ほどのこの農林省のOB名簿ですよ。あわせてごらんなさいよ。朝日新聞は、関東農政局について、九七%とか九四%の落札率だと言っている。同じようなことが全国至るところであるはずですよ。こんなことはあり得てはならない。

 地元の業者に言わせると、建設省は大変公平だ、亀井さんを持ち上げるわけじゃないんだけれども。どうにもならない。いいですか。陳情に業協会が行ったり業者が行って、名刺を置いて話をする機会が得られたら、おたくOBおりますか、これを一言言われておしまいだ。こんなことが巷間言われておるんです。とんでもない話だと私は思います。これは議会の名誉にかけて至急提出させるようにしてください。

 そして、一言だけ申し上げておきますが、こういうことがあるから、予算委員会の審議で、社民党の土井党首が本会議で言ったように、箇所づけまで出して議論をしなければ、公共事業が安くできたり公平になったり透明になったりすることはない、ましてやその公共事業ででき上がったものがどのぐらい有用性があるかという政策評価が国会でほとんどなされていないということが言われるんじゃないですか。

 その観点からも、私は、今回のこの問題は、資料を完全に出す、そして私どもが主張しておるように、行政監視院という常設のこれを検討する機構をこの国会につくらない限り、タックスペイヤーとしての国民の不満はたまりにたまる、このことを申し上げて次の問題に移ります。

 農林大臣、社団法人日本農業集落排水協会というのがあるのを御存じですか。

○山本(徹)政府委員 農業集落排水協会は、昭和五十八年に市町村等が会員となって設立されて、農業集落排水事業の市町村における推進を図るための協会として活動いたしております。

○仙谷委員 先ほどの国営事業の平成三年から平成八年までの指名業者、落札業者の一覧表です

ね、これは、ひとつ委員長の方で完全な姿でこの予算委員会に提出されるように取り計らっていただきたいと思います。

○深谷委員長 理事会で協議いたします。

○仙谷委員 この農業集落排水協会というのが、理事長の谷山さんというのは農林省OBで、水資源開発公団を通って農業集落排水協会へ来た。専務理事の菊岡さんという人は元中四国農政局長、そうですね。それから、元専務の方は、九六年一月に清水建設の取締役になっている。元常務の人は、九五年七月に飛島建設の取締役になっている。そして、職員の三分の二が農林省のOBだと言われていますが、事実に間違いありませんか。

○山本(徹)政府委員 集落排水協会の役員、二十一名でございますけれども、そのうち農林水産省のOBが七名でございます。それから、職員は八十一名でございますが、うち農林水産省のOBは八名でございます。

○仙谷委員 OBが七名ですか。これは、農林省をおやめになってこの七名の方はこの集落排水協会に行かれているのですか。これは休職中の出向じゃないですか。

○山本(徹)政府委員 職員八十一名のうち農林水産省のOBが八名でございますけれども、うち農林水産省からの出向者七名でございます。

○仙谷委員 いわゆる係長クラスが社団法人という公益法人に、技術開発部長、調査研究部長、農村水質工学研究所水質研究部長、浄化研究部長、主任研究員がその他四人、農林省が丸ごと移ったみたいな社団法人じゃないですか。こんなことがどうして許されるんですか。社団法人に現職の係長クラスの職員が大挙して出向するというふうなことが他の省庁でございますか、公益法人に。これは出向料とか給料とかはどうなっているんですか。

○山本(徹)政府委員 農業集落排水協会は、農村の生活環境の向上を図る上で重要な汚水処理施設である集落排水事業を推進するために千百市町村の会員から成っておるわけでございますけれども、この協会の目的を実行するために、農林水産省を休職して、先生御指摘のような部門に農林水産省から七名の職員が出向しております。(仙谷委員「お金、お金、出向料」と呼ぶ)給与は、協会の方から支払っております。(仙谷委員「どこへ」と呼ぶ)休職して出向している職員に支払っております。

○仙谷委員 これは、職員に払ってもらうんじゃなくて、出向であれば農林省へ払ってもらわなきゃいかぬじゃないですか。税金かけて研修して、養成して一人前に育った係長をただで、あなた、社団法人に出向させるというのがどこにあるんですか。常識じゃないですか。

 そして、一千百の市町村が会員だ、今こうおっしゃった。これは加入金と年会費、幾ら取っているんですか。そして賛助会員という業者がおりますか。どのぐらいの業者がおるんですか。この方々からどのぐらいの加入金と年会費取っているんですか。賦課金まで取っているかどうかも答えてください。

○山本(徹)政府委員 会員千八十四名でございますけれども、会費についてはただいま調査いたしております。後ほどお答えいたします。

○仙谷委員 いずれにしても、国から五五%の補助金がついて集落排水事業が行われているんですね。そして地元負担がその他ということになっておるわけです。そのお金を、いいですか、我々の税金が払われたものを、入会金から会費から召し上げて、さらに設計料まで取るという社団法人です。業界の建設業者からも、賛助会員ということにしていますから、これも何らかの金を払わせているんでしょう。

 そして、大臣、なかなかお答えされませんので、ひとつお伺いしますが、この協会の件について、いいですか、知事会、市長会、町村長会、県の議長会、市の議長会、町の議長会、六団体といいますね、六団体から、これは即刻やめるべきだという意見が出ているのを御存じないですか。

 ちゃんと読みましょうか。

  日本農業集落排水協会による設計指導は、市町村の判断によると農林水産省は主張するが、現実には殆どの事業が同協会で扱われている。つまり、選択の余地がないということを言っているのですね。都道府県、市町村には、下水道整備を通じ、既に排水処理のノウハウは蓄積されている。浄化槽法が適用されるというだけで建築基準法による設備認定が必要というのも国の縦割りの弊害のように見える。農業集落排水は施設としては下水道と同じである。もっともですね。

 このような不明朗な関与は直ちに廃止すべき。これが六団体の「地方分権に関する国の意見についての問題点等(地域づくり部会関係)」というのから出ているのです。御存じですか。

○藤本国務大臣 農村地域の生活環境整備、これにつきましては当委員会でも議論がございまして、公共下水道と農業排水事業、それから厚生省の事業、この三つの役割分担で進めていくべきだというふうに私どもは考えておるわけでございまして、この農業排水事業について、今御指摘のようないろいろな議論、お考えがあるとすれば、私は、この問題について検討いたしたいと思います。

○仙谷委員 大臣、構造改善局長にお答えさせてもいいから、過去の例で何件の事業があって、この日本農業集落排水協会の関与のない事業が幾つあったか、お答えしてください。

○山本(徹)政府委員 今、平成五年度の採択地区で申し上げますと、平成五年度採択は四百十三地区でございます。集落排水協会が受託した件数は、基本設計が三百九十四件でございまして、九五・四%、それから実施設計指導が三百六十三件で八七・九%でございます。

 この協会が受託した件数はなるほど多うございますけれども、この協会は、そもそも千余りの集落排水を推進したいという市町村が会員となって、この集落排水事業を推進するための技術開発あるいは普及推進等を目的とした協会でございますのでどうしてもこれまで、まだ集落排水というのは非常に新しい事業でもございますので、この協会の受注の比率が高くなっておりますけれども、この協会へ委託を義務づけていたり、あるいは国が市町村に対しましてこの協会に委託するように指導を行っているという事実は一切ございませんで、先ほども御説明しましたように一〇〇%ない。もちろん、この協会に委託しない、あるいは独自に設計されるというような町村もあるわけでございます。

○仙谷委員 実は、以前厚生省で、日本メディカル給食協会とか寝具協会というのが規制なき規制をつくって、業者そのもの、つまり給食業者そのものをどうのこうのするのではなくて、医療機関、病院に対して、ストライキの代行保証のない給食業者を入れてはいかぬよ、寝具の業者を入れてはいかぬよ、こういうことをやって、ほとんどがメディカル給食協会に入っておった。大問題になりましたね。同じようなやり方がここでされているわけでございます。

 昭和五十七年の十二月に、建設省の住宅局建築指導課長と農水省の構造改善局建設部整備課長の間で、この処理槽の構造について何か覚書が結ばれておりますか。

○山本(徹)政府委員 そのような覚書はございます。

○仙谷委員 大臣、覚書、委員会に出せますか。

○山本(徹)政府委員 御提出てきます。

○仙谷委員 直ちに提出方をお願いいたします。きょうの私の質問時間に間に合わなくても結構ですが。

 結局、建設大臣の認定を取得する必要があるから、先ほど指導という言葉が出ましたが、業者に対してはこの集排協が必ず指導をしなければ大変難しい問題になる。つまり、集排協の指導を受ければ、覚書に基づいて、今度は建設省の方の公益法人の社団法人日本建築センターを通せば認定がされる、こういうことがこの覚書で書かれて、そ

ういう構造になっているわけでございます。

 京都府の園部という町に野中一二三さんという町長さんがいらっしゃる。そこはこの指導に従わなかった。京都府から呼ばれて、行ってみたらこの集排協の職員がおって、指導に従えと強烈に言われたけれども頑張った。大変難渋をした。しかし、でき上がったときには三割くらい安かった。そして、そこで排水される水ははるかに環境的にきれいな水が排水をされている。こういうことが言われておるんですね。テレビの前で堂々と野中一二三さんという町長さんがインタビューに応じているわけです。

 私は、この構造は完璧に参入規制だと思うんですよ。業者はこの協会の賛助会員にならないと仕事がとれない。全くフリーに町や村とコンサルタントの仕事をして、さあそこから補助金がもらえるように何とか長さん頑張ってください、町長さん頑張ってくださいなんて言っても、全然前へ仕事が進まないということが現実にあるんだろうと思うんです。そのテレビの画面では、指導に従わないと順番が先になりませんよというふうに集排協から言われた、集排協を通せば補助金も設計も監督も心配要らないと言われたと堂々と語られているんですね。

 農林大臣、至急この覚書は建設省さんにも迷惑ですから破棄をして、民間の業者が町や村と協議をして自由に競争ができるように、そういう仕組みにつくり直してください。この集排協を解散してください。

○藤本国務大臣 資料の点につきましては、できるだけ早くお届けいたします。

 それから、今の件につきましては、集排協に加入することが工事を受注する条件ではございませんので、そのように御理解いただきたいと思います。

○仙谷委員 まだこんな農水一家の利権を維持しようとされるのかということになると思います。

 この公益法人問題というのは、実はもうちょっと、農水省の関係の公益法人の問題、多々あるようですからいろいろ聞こうと思っておるのですが、しかし、きょうはもう時間の関係でここまでにしておきますが、役所の、官庁の外側にある公益法人ですね、業務委託する必要もある部分もあるかもわかりませんが、こんな独占的な、事実上の参入規制になっている、こういうやり方ですね、こんなものは公益とも何とも言えないと私は思いますよ。ぜひやめることを検討してください。

○藤本国務大臣 よく検討いたします。

 

○仙谷委員 質問を大きく変えます。

 農業土木の世界の問題の件につきまして、ちょっと今例を国営事業と日本農業集落排水協会にとってお話を聞いたわけでございますが、今度はちょっと格調高く、こちらの方からも格調低いとおっしゃるので、格調高く質問をさせていただきます。

 財政構造改革について、基本的な考え方というのが閣議決定をされて出されているようでございます。これを拝見いたしますと、「一般歳出の伸率を名目経済成長率よりも相当低く抑える。」ということで、そういうふうにして財政の中期展望をつくると。「平成九年度予算を前提とし、一定の仮定の下に、中期的な視点に立った財政運営を進めていく上での検討の手掛かりを示すものとして、今後の財政事情を試算すると、別添のとおりである。」という。

 この「考え方」という書面に添付された「財政の中期展望」、名目成長率が三・五%と一・七五%を前提にしたものがございます。いずれにしましても、要調整額として、平成十年度については三・五%を前提にすると四兆円、十一年度は五・五兆円、十二年度は六・五兆円。それから、一・七五%ですと四・五兆円が十年度の要調整額、十一年度は六・四兆円、十二年度は八・〇ということでございます。

 この予算委員会でずっとお答えになっているように、前提は、四条公債を九・二兆円にずっとレベルで据え置いていく、特例公債は七・五兆円から毎年一兆円ずつ減らす、こういう前提に立っているわけでございます。もう一つの条件は投資部門。今度は、十・二兆円という歳出を投資部門でするんだ、これは十年度も十一年度も十二年度も同じなんだ、こういう前提に立っているわけでございます。

 私はそれほど財政学詳しくございませんので、言葉の使い方として間違いかもわかりませんが、本来的な言い方ですと、大蔵大臣、要調整額という言葉は歳出マイナス歳入ですから、例のプライマリーバランスとかなんとかという話を前提にしますと、公債の収入を一定限度に上げて要調整額というふうに規定するのはおかしいんじゃないか。むしろ、要調整額というのは歳出から歳入を控除したもの、つまり、十年度でいえばこれは幾らになりましょうか、十九・七兆円になりますか。十一年度でいえば二十・二兆円になりましょうか。それから、十二年度も二十・二兆円になりましょうか。つまり、そのぐらい足りないという前提で、毎年毎年の特例公債はことしから一兆円ずつ減額していくけれども、建設公債は一定にして考えても四兆円足りない、こういう仮定計算といいますか、中期展望が出ているのですね。

 ちゃんとこの中期展望の書面にもお書きになっていらっしゃるのは、結局、この要調整額は歳出の削減か歳入の増収によって調整をするしかないと。歳入の増収といえば、公債を発行するか増税をするか、二つに一つですね。ところが、公債はもう既にこれだけしか発行しないという話になります。そういう前提ですね。そうすると、あと残された前提は、増税をするのか歳出の削減を図るのか。そうしない限り、この要調整額四兆円、四・五兆円とか書かれておるのは埋まらない話になるわけですね。これはどうなさるおつもりなんですか。

○小村政府委員 私どもお出ししております中期展望は、まさにその点を議論をしていただく素材として提供しているものでございます。国会の御議論あるいはこれから財政構造改革を進めていくに当たっての議論を進めていただくということでございます。

 それからもう一つは、歳入面において、先生御指摘のほかに税外収入をどう確保するかとかいろいろな問題がございます。歳出はまた、歳出各方面にわたって制度改革等々を講じていかなければならぬ。この要調整額を一体どうするんだという御議論の素材を提供しているものでございます。

○仙谷委員 そんな説明を受ける前から私が申し上げているところと全く同じ説明をされておるのです。

 政治家として、財政の責任者として、大蔵大臣、どうするんですか、あるいは財政構造改革会議の議長さんの橋本総理大臣、どうされるんですかということを聞いているわけです。

○三塚国務大臣 ただいま主計局長も言われましたとおり、これらの試算は構造改革についての論議の参考に資するために提出をさせていただきました、Aケース、Bケース。

 それで、仙谷議員、丁寧に御指摘をいただいたとおりでございます。そのままでいけばそのままになりますよと。こういうことで、この論議の中から、財源をどう見るか、歳出をどう見るか。要調整額が出ておりますことは、歳入と歳出の関係でありますことは先刻御指摘のとおりでございますから、そういう点について、本件についての具体的な御指摘をいただき、論議を行っていきますと、形が煮詰まってきます。

○仙谷委員 財政の責任者とは思えない大変無責任な発言だと私は思う。なぜ我々が第一義的にこの政府の責任である財政再建について真剣に議論する義務があるのか。国会議員だからあるんでしょう。それよりも、内閣を組織し、構成し、担当の大臣である大蔵大臣、総理大臣、そんな無責任な話で、この日本の危機とか沈没とかいっているのが救えるんですかということを申し上げたいんですよ。はっきりしているじゃないですか。どうするんですか、この四兆円、来年から。増税するんですか。それだと正直に、ことしも増税したけ

れども来年も増税せざるを得ないということをおっしゃったらどうですか。あるいは、増税は絶対しないとおっしゃったらどうですか。

○三塚国務大臣 ですから、仙谷さん、申し上げているのはそこなんですよ。増税ということは、私はただいまの段階考えておりません。

 そういう中で健全財政をということでありますと、歳出の項目を真剣に検討をし、総理から言わせますと、聖域なき洗い直しです。その指示を受けてこれから財政構造改革会議が、第一回やりましたけれども、第二回目がスタートを切るわけであります。そのときの材料も、国会に御提出をいただいて御論議をいただく仮定計算をまずベースに議論をしていくということでございます。一定の仮定のもとに今後の財政事情を試算をいたしたわけでありまして、これは、毎回の予算委員会が始まる直前にお示しを申し上げまして、御論議をいただいておるところであります。

 今回の中期展望は、財政健全化目標の閣議決定を踏まえまして、二〇〇五年特例公債脱却に向けて毎年度一兆円ずつ均等に特例公債を減額すると仮定をいたしております。この仮定をいたしておりますが、大蔵大臣とすれば、来年の予算編成も、これは減らさなくちゃいけないんです。このことの決意はしっかりと持っております。そういうことの中で、政策のポイントにプライオリティーを、国民論議の中から寄せられるものもベースにしながら、国会の論議をベースにしながら、それに対応していく。

 前半の御議論の中で、コスト制限の問題の御指摘がありました。興味深く承らさせていただきました。そういうことで、できるところはコストの低減を図る。既に建設大臣はそのことでスタートを切っておる。内閣としてもまた主管大臣としても、本件については事業省においてコストの低減を図るために全力を尽くしてほしい、このように申し上げておるところであります。

 どうぞ、公債減額を行わず毎年度における歳入歳出のギャップをすべて公債発行により賄うと仮定した計算と、毎年一兆円ずつ均等に特例公債を減額すると仮定した場合の試算を出ささせていただきまして、わかりいい議論の中で取り組みたい。私どもは、十年の編成に当たりまして、総理指示を受け、聖域を設けることなく、赤字国債は確実に減額をしてまいる、こういう強い決心の中で提示をいたしております。

 

○仙谷委員 どうしたらそれができるかというところにもうそろそろ入ってもらいませんと、総論ばっかり百回言っても歳出は減らないんですよ。そんなことは小学生でもわかる議論じゃないですか。(三塚国務大臣「やっているんです、今」と呼ぶ)やっているんだったら、皆さんに議論をしてもらいたいとおっしゃるんでしたら、材料をここにさらしたらどうですか。全然さらさないじゃないですか。突如降ってわいたように増税が降ってわいてきたり、建設国債を出して補正予算組んでみたりするのが今の皆さん方のやり方じゃないですか。フェアじゃないと思うんですよ。国民だってわからないからこれだけ批判が強いんじゃないですか。もっとわからせる努力をしないと、これはとんでもないことになると私は思います。

 そこで、もう時間がそんなにございませんので、申し上げます。

 総理と十二月九日に予算委員会で議論をしたときに、いわゆる十六本の長期計画について、これは「計画的な事業実施のための目安、目標とでもいいましょうか、そんな意味合いを持つもの」である、「計画によって歳出が義務づけられるものではない、」こうおっしゃっております。それから、「ある意味ではまさに目標と私は自分でとらえておった」、こういうことですね。

 論理的な関連がどうなのかというのを私全くわかりませんが、いわゆる公共投資基本計画、六百三十兆円というのもある。それで、十六本のこの基本計画がある。ところが、今おっしゃったように、歳出をカットしなければならないということを一方で言いながら、そして、先ほど政府がお出しになった「財政の中期展望」、これを見る限り投資部門は、この歳出はレベルである。そして、四条公債についてもレベルである、全く水平だ。この条件のもとに、いいですか、年間五%以上の伸びを必要とするこの五カ年計画が達成できるんですか。極めて矛盾しているじゃないですか、一方では。

 もっとひどい話は、年末に下水道、都市公園、海岸、交通安全施設、港湾、空港、廃棄物処理、この七本の五カ年計画を、いいですか、四一%の伸びで閣議決定した、こういうことになっているわけですね。これはどういうことになるんですか。「財政の中期展望」によると、レベルである。ところが一方では、新しい五カ年計画は、四一%の伸びの五カ年計画を平気で決めてしまう。かてて加えて、これからまた治山治水計画も三〇%以上の伸びで決めてしまう、こういう事態があるわけですね。これは、歳出構造を改革するという話とは全く逆な話ではないか。

 目安であるものが生き物のように、妖怪のようになって動き出すんではないか。あるいは、目安は目安で、羊頭狗肉で大きい目安を掲げて、国民に夢を与えて、幻を与えて、そして実際は歳出カットをする、歳出削減をする、こうおっしゃるんですか。これはどういう関係になるんですか。

○橋本内閣総理大臣 冒頭申し上げなければなりませんのは、先ほどおしかりを受けました「財政の中期展望」、あるいは中期的な財政事情に関する仮定計算例、何年ぐらい前でありましたか忘れましたけれども、将来推計を示せという国会の大変厳しい御要求の中で、政府が初めはそういう資料がうまくつくれないと申し上げたものに対し、一定の仮定を置いて、その仮定を単純に伸ばしていく、その将来推計でよいという、たしかそういう御意思を受け、その仮定によって単純に引き伸ばしていった場合はこうなりますという推計をお示しいたしますということから、どれぐらい続いておりますでしょうか、国会の御要望によりましてつくり、提出をしてきた資料であると私は記憶をいたしています。

 そして、その限りにおいて、議員が先ほど御指摘になりましたように、歳出歳入のギャップというものは、その推計の中でそれぞれ大きな差異を生じており、これはむしろ、予算編成に至る概算要求のルールをつくる時点から計算に入れながら、いかにしてその幅を縮小していくかを私どもは考えていかなければなりません。

 また、公共投資の基本計画、ちょうど、最初の四百三十兆と俗に言われる、正確には四百十五兆プラス弾力枠十五兆という公共投資基本計画を私がつくった責任者でありましたが、あのときはまさに、日米構造協議の中でアメリカ側から非常にさまざまな要求があり、そして、我が国の中におきましてもそれにこたえるべきであるといった御論議のある中で、予算編成の中に他国の影響力を行使されることはできないということから、意識的に各種の五カ年計画の周期設定をずらしたまま、同時に一定のこれも仮定を置きながら、将来整備すべき社会資本のトータルというものを組み立ててこしらえた計画でございました。言いかえれば、公共投資基本計画と個々の五カ年計画の始まり及び終わりの時期を必ずしもそろえずにスタートをしてまいりました。その意味におきましては、目安という先日私が御説明をいたしました言葉に間違っている部分は私はないと思っております。言いかえれば、計画的な事業実施に向けての目安、まさに私はそういう性格だと思います。

 その上で、今後将来を考えましたときに、公共事業の分野も聖域とは言えないということを繰り返し申し上げてまいりました。殊に、先ほど議員からは、農業土木を中心にして民間の手で行った場合との価格差というものを具体的に御指摘があったわけであります。今、公共工事のコスト構成、どういう状況にあるかを改めて我々はチェックをし直しておりますし、建設大臣初め公共事業主管閣僚には大変な努力をしてもらいつつ、その関連する各分野ごとに各省のコストを構成する要因に対するチェックをいたしておりますけれども、我々は、先ほどの御指摘等も踏まえながら、そう

した努力は一方でいたしてまいります。

 当然のことながら、特定の分野が聖域だというものはございません。どうぞ、これからもそうした視点から国会としての御意見あるいは御注意等をいただき、それを参考にしながら我々が努力をしてまいりたい、そのように思います。

○仙谷委員 意見を申し上げても聞き入れていただかないと、これは意味がないのですね。だから、我々は種々の提言をこれからしたいと思います。本気で私どもの子供たちのために財政再建をしたいと思います。そのために、ぜひ虚心坦懐にお聞きをいただきたいと思うのです。

 そこで、まず第一番目、この六百三十兆円の公共投資基本計画について、総理は参議院の予算委員会で、これは再検討をしなければいかぬという趣旨のことをおっしゃったやに聞きます。そして、今度は官房長官も、これは新聞報道でございますけれども、若干の引き延ばしあるいは項目の見直しに関心を持たなくてはいけないのかなという感じはしている、自民党の山崎政調会長も、本年度で合わせても四十兆円台にとどまっている、これを十年やってもとても六百三十兆なんということにはならないだろうというお話をしておるわけですね。

 私は、ここで、この公共投資基本計画そのもの、あるいは十六本の五カ年計画、十カ年計画というのが幸い目安という程度のものであるならば、今、目安自体を変えて、公共事業をプライオリティーをつけた配分にするかスローダウンをさせるということを本気でお考えになってはいかがでしょうか。単純計算をいたしますと、五年計画を七年計画にしますと、年率で二五%カットになりますね。六年にしますと一五%のカットになると思います。もちろん我々は、優先度をつけなければならないと思いますけれども、そしてシーリング方式にもそれほど好意的でございません、ございませんけれども、今政府ができることといえば、いわば各省庁各部局の既得権益になって、にしきの御旗になって、金科玉条になっているこの五カ年計画をぜひ見直していただきたいんですよ。

 五年を六年にするんでもいいんです。五年を七年にするのはもっといい。そして歳出カットの構想を立てませんと、みずからがつくった「財政の中期展望」を単に絵にかいたもちにしてしまうんじゃないんですか。全く意味のないものにしてしまうんじゃないですか。言ってみただけの話になるんじゃないんですか。それを恐れておりますので、こういう提案をしておるわけであります。いかがですか。

○三塚国務大臣 先ほど来目安論争が総理と仙谷さんの間で行われております。まさに計画的な事業実施のための目安という性格でありますことは、御案内のとおりであります。公共事業の長期計画、閣議決定の文中にも、今後の社会経済情勢の動向、財政事情を勘案しつつ、弾力的にその実施を図るとされておるところでございまして、計画により直ちに毎年度の歳出が義務づけられるものではないということはおわかりであります。

 今後とも、各省庁の枠を超えた事業間の提携の強化や、現在進められておる、先ほど申し上げました建設コスト等の縮減を通じまして、公共事業の一層の効率的、効果的な実施に努める所存でございます。

 どうぞ、構造改革会議におきましては聖域なく議論が行われる、行ってまいります。その一環としてさまざまな議論が行われるものと考えております。仙谷議員の数々の見識、承っておきます。

○仙谷委員 川内博史委員に関連質問を行ってもらいます。

○深谷委員長 この際、川内博史君から関連質疑の申し出があります。仙谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。川内博史君。