1996年12月09日 予算委員会

○小里委員長代理 これにて鈴木君の質疑は終了いたしました。

 次に、仙谷由人君。

○仙谷委員 民主党の仙谷でございます。

 質問をさせていただく前に、先日来の長野県の小谷村の災害につきまして、行方不明になられている方の早期の救出を祈念をいたしますし、お亡くなりになられました方の御冥福をお祈りをいたしたいと存じます。

 そして、この事故につきましては、既に人災ではないか、建設省が、建設局が長野労働基準局の警告を軽視をしていたのではないだろうかという指摘もあるようでございます。

 亀井建設大臣、現地に赴かれて大変精力的に調査を、あるいは対策をとられているようでございまして、心から敬意を表しますけれども、しかし、先ほど申し上げましたような指摘もあるということでございますから、そういう観点からも、なお鋭意この対策に取り組んでいただきたいとお願いをしておきます。

 それでは、私の質問に入らせていただきます。

 十二月六日の当委員会の質疑の中で、橋本総理大臣も、加えて武藤総務庁長官も、異口同音にと申しましょうか、一致して、国会が内閣の行政権全般にわたって監督権を持つことは当然であるという意味の答弁をされていらっしゃるわけでございます。そこで、先ほどから当委員会でも議論をされております財政構造改革といいましょうか、財政再建の問題とも深くかかわりのある公共事業問題と少々重ねて論議をしてみたいと思うわけでございます。

 御承知のとおり、今、日本には十六本の長期計画と称するものがございます。十六本の五カ年計画がございます。どうも久しぶりに国会に出てまいりますと、大変な陳情団がことしは参っております。衛視さんに聞きますと、三十年勤めているけれども、こんなすごいのは初めてだ、こう言っております。武藤長官も、ちょっと行き過ぎじゃないか、こうおっしゃったというお話も報道機関で目にしております。

 私は、事業官庁の皆さん方に、あなた方が仕組んでおるのではないかと。この五カ年計画満額獲得総決起大会をブロック別でやっておるものですから、このブロック別で総決起大会をなさった方々がすべて議員会館にも陳情に来るからああいう状況になっておるわけでございます。官庁の方も、これでは仕事ができぬ、こう言っておるというのが新聞にも出ておりました。

 問題は、この十六本の長期計画をだれがどのよ

うにコントロールしているのかということが最大の問題でないかと思うわけでございます。私は、結論からいいますと、これこそまさに国会が監督しなければならない、監視をしなければならない、あるいは吟味をしなければならぬ、こう思っているわけでございますけれども、どうもそういう構造になっていないようでございます。

 よく調べてみますと、この五カ年計画のうち根拠法がないというのが、急傾斜地崩壊対策五カ年計画、それから海岸事業五カ年計画、空港整備五カ年計画というのがございません。さらにその余は、緊急措置法という名前で根拠法令がつくられておるものがございます。緊急措置法が第十一次までいっておるのもございまして、緊急措置法に基づいてつくられた計画が、多分三十年、四十年を超えて、緊急だと称して計画がつくられておるように思われるわけでございます。

 そして、この根拠法令がないものに加えて、緊急措置法あるいはちゃんとした法律の場合でも、各所管の大臣が閣議の決定を求めなければならない、経なければならないという規定はあるわけでございますが、この計画について、国会の承認を得なければならないという規定があるのは漁港法だけでございます。

 なぜ漁港法だけがこういうまともな姿になっておるのか私はわかりませんけれども、十六本の計画を律する根拠法のうち、一本だけが国会の承認というのが書かれている。その他は、この緊急措置法の緊急のところに意味があるのかどうかわかりませんが、閣議の決定だけで計画が成り立つという話になっておるようでございます。三本は根拠法令もない。

 こういう事態を、まず内閣総理大臣、どのように理解したらいいんでしょうか。

○橋本内閣総理大臣 実は、大変申しわけなかったのですが、私は、議員からの御質問をいただくまで、根拠法令のないものがあるということは存じませんでした。これは大変恥ずかしい指摘を受けたと思います。

 ただ、公共事業の各種五カ年計画、これは決定文中にも、今後の社会経済情勢の動向、財政需要等を勘案しつつ、弾力的にその実施を図るというものがございますように、計画によって歳出が義務づけられるものではない、いわば計画的な事業実施のための目安、目標とでもいいましょうか、そんな意味合いを持つものだと私は理解をしてま。いりました。私自身、例えば運輸大臣として空港とか港湾とかいうものにかかわったこともあるわけですが、ある意味ではまさに目標と私は自分でとらえておったように今振り返ってみても思います。

 それだけに、具体的な歳出が伴う、歳出権あるいは債務負担が生ずる、これは当然のことながら財政法上国会の御審議を受ける、言いかえれば承認を受けるということになるわけですけれども、五カ年計画というものを今私が申し上げたようなとらえ方でとらえております場合、これは計画策定の段階で必ずしも国会の御承認を得なければならないものだとは私は思いません。

○仙谷委員 ところが、非常に簡単な、総額が五カ年計画で決まるわけですね、七十兆円とか二十五兆円。それで、よく聞いてみますと、各事業官庁の方は、正式には、毎年毎年予算が成立して、そこから箇所づけが行われて初めてその計画の中身の、どこそこに道路をつくるとか、どこそこに鉄道をつくるとか、ダムをつくるというのは決まってくるんだ。そして、もっとお伺いしますと、いや、だけれども次の年は予算をつけないかもわからない、それはその予算をつくる各省庁のいわば自由裁量だ、こういう御意見でございました。

 そうなってきますと、反対に言えば、何のための計画なのか、あるいは予算の成立までには箇所づけをしないということですから、今度は国会というのはその計画に基づいて配分される具体的な予算についてはどういうかかわり方ができているのか、大問題になるんではないかと思います。

 それで、根拠法令がないのもございましたけれども、計画自身が根拠じゃないとすれば、そういたしますと、今度は、予算はできたけれども、それを執行するそのもともとの根拠たる権限を生み出す根拠がないということになるわけでございます。そういうある意味では緩んだ規律の中でこの計画が行われておるんじゃないか。したがいまして、この部分が、五カ年計画がいわば公共事業シェア固定にも十二分の役割を果たしているだけで、国会議員もチェックできない、国会議員も、知っている計画は地元の計画か、何か自分がちょっと詳しい業界に関係ある、そういう五カ年計画の一部分の中身しか知らないということに今なっているんじゃないかと思うんですね。

 私はここで、内閣法制局長官でもあるいは総理大臣でも結構なんですが、漁港法の規定のように、この計画自身にも国会の議決、つまり閣議の決定に加えて国会の議決あるいは国会の承認、これが必要なんだという法改正をすべきだ、さらに、かてて加えて、この緊急措置法なるものを、緊急措置という名前でありながら何年も続けるという、こういう不健全なやり方を早急にやめるべきだ、ここから公共事業の洗い直しを始めなければならない、国会のコントロール機能を高めなければならないと思う次第でございますけれども、いかがでございましょうか。

○大森(政)政府委員 委員のお尋ねは、多分に立法政策に係る問題かと思われますが、私の方からは、そういう国会の議決に、承認に係らしめることと憲法との関係だけについてまずお答えをいたしたいと思います。

 委員御承知のとおり、憲法八十三条は、いわゆる財政民主主義に関する基本原則を定めております。すなわちその規定内容は、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」と規定しているわけでございますが、財政の各種の作用がどのような態様、方式で国会の議決に基づかなければならないかという問題につきましては、この八十三条の規定するところではなく、専ら他の条文が規定するところにゆだねられていると解するのが現在の通説的な考え方でございます。

 すなわち、憲法は、八十四条では租税法律主義、そして八十五条では国費の支出及び国の債務負担に関し、そして八十六条では予算、すなわち毎会計年度の予算は、内閣は、「予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」このように具体的に規定しているわけでございます。

 そこで、お尋ねの公共事業の各種五カ年計画につきましては、計画自体によってその歳出が義務づけられるわけではなく、事業実施のための目安ともいうべき性質を有しているということにとどまるものでございます。したがって、長期計画自体を国会の議決に係らしめること、これは憲法上義務づけられているわけではないということが言えようかと思います。

○仙谷委員 長々と意味のないことを答弁していただいたような気がするんですが、簡単でいいんですよ。憲法違反なのかどうなのか、立法政策上望ましいのかどうなのか、これだけでいいんですよ。憲法上許されるのであれば、あなたがおっしゃるように、立法政策上望ましいかどうかということになるじゃないですか。つまり漁港法のような規定をすることは憲法に違反するんですか、しないんですか、それだけ答えてください。

 それで、その次に大臣に、公共事業を具体的に国会が審議をし監督をする、長期計画についてもそのようにコントロールができるような国会の承認というのを漁港法のように加えることが望ましいのかどうなのか、その点を総理大臣、答えていただきます。どうぞ。

○大森(政)政府委員 お尋ねは、盾の両面をお尋ねになったんだと思いますが、私のお答えすることは、現行憲法上の要請として、漁港法の規定のような国会の承認、議決が義務づけられるものではないということでございます。

○橋本内閣総理大臣 今調べてみますと、漁港法が制定されました昭和二十五年、このときまさ

に、食糧確保という見地から水産業の振興を図ること、これが大きな課題になり、国会でも関心を持たれたということからこういう条文になったようであります。言いかえれば、逆に、法律上こうした計画を、すなわち五カ年計画等を国会に御報告をし、承認を受けるという手続が違法なものだとは私は思いません。

 ただ、その上で私は、むしろ五カ年計画というものがある程度目安である限り、その目安を国会で御承認をいただくということは必ずしも必要がない、そのように思います。

○仙谷委員 端的で結構ですから。いいですか、長官。憲法上違反するかどうかだけ答えてください。漁港法のような規定をつくれば憲法上違反するかどうか、それだけで結構です。

○大森(政)政府委員 反対の、裏から答えておしかりをいただいておるわけでございますが、現行各種五カ年計画につきまして、国会の承認、議決に係らしめていないのは憲法に違反しないというふうに答えたいと思います。

 

○仙谷委員 民主党は、議会が行政府に対して復権できるかどうか、優位性をつくり出すことがどうかということを今考えております。その一つが、先日提出いたしました行政監視院の構想でもございます。

 そして、きょうの議論でも問題になっておりますように、財政再建と公共事業というのがこれから大変大きな問題になってきていると自覚をしているわけでございます。十六本の五カ年計画すべてが今までのように満額に近い要求を満たす計画で行われれば、さっき総理大臣は、二〇二〇年か何かに財政破綻をする、こういうふうなことをおっしゃっていましたが、早晩、もっとより早い段階で破綻をするのではないだろうかなという気がいたします。かてて加えて、国費の公共事業だけにとどまらず、地方負担というものについて、今自治体は本音では相当悲鳴を上げております。

 そういう観点から、この公共事業問題の配分について、国会が議論をし監視をするということでなければ、それも具体的な工事の項目について議論をするということがなければ大変なことになるだろうと思います。つまり、私は、そろそろ日本は公共事業がトレードオフの関係に入ってきたんだ、すべてが満たされる時代ではなくなってきた。こういう認識を持っているからでございます。

 どこそことは言いませんけれども、何とか庁の事業予算はこれだけ使い残している、ここはこれだけ足りないというふうなことが、現在はそういうミスマッチも起こってきておるようでございます。どうしても、公共事業問題について、衆議院あるいは参議院で議院の同意を得て国会が公共事業を具体的に監視をし監督できる、そういう仕組みをつくらなければならないと思っているところでございます。

 質問を変えます。

 大蔵省改革の問題でございます。これは、思い起こせば九二年の証券・金融スキャンダルからある意味では始まっている問題でございます。そして、当時、相当間接金融の世界の問題についても指摘をしたわけですが、ほとんどここはメスが入らずに過ぎ去ってきて、そうして昨年になって噴火をした。あるいは一昨年から噴火をし始めたということではないかと思います。

 私は、二信組の問題あるいは兵庫銀行の問題、住専の問題、阪和銀行の問題、この中身を問うことなくして、金融行政改革というのは、具体的にさあどうすれば検査、監督、企画、立案というふうなものが市場との整合性においてつくられるかという中身は出てこないと思うのですね。機構いじりからは何にも始まらないという感覚を持っているところでございます。

 それで、そういう観点から私が申し上げた各種の金融機関の問題を考えてみますと、少なくとも銀行の検査というものがルールに基づいて行われていなかった。行われていたかどうか甚だ疑わしいというのが一つでございます。それは、商法二百八十五条ノ四に、金銭債権につき取り立て不能のおそれあるときには、取り立てることができない見込み額を控除しなければならないという規定がありますけれども、そのことは全くと言っていいほど守られていない。

 兵庫銀行の倒産前期末決算で六百億と言われていた不良債権が、回収不能だけでも七千九百億、一兆五千億の不良債権が生まれたというのは、どんな検査をしておったのか、検査がどのように監督に反映したのかということが厳しく問い直されなければならないわけでございます。つまり大蔵省の裁量行政の大失敗でございます。これは、大蔵省は銀行局長をあえて頭取にまで送り込んで再建を図った銀行がこのていたらくであったということでございます。

 阪和銀行は、聞くところによりますと、実は大蔵省がルールに従って業務停止をかけたというよりも、監査法人が決算を承認しなかった。なぜ承認しなかったか。株主代表訴訟に監査法人みずからが巻き込まれることを恐れて、そんな不良債権額の出し方、償却の仕方では我々は同意できないということでございました。期末決算五百七十三億に対して十一月二十一日には一千九百億の不良債権額が出てきた。これではもたないということで業務停止をかけたということのようでございます。証券・金融スキャンダルのときから私どもは、日本の公認会計士の問題も指摘をしてまいりました。検査と監督というものについて極めて真剣な反省とルールづくりが必要なんではないだろうかなと思います。

 さらに加えて、この種の検査結果あるいは監督の結果がディスクローズされないで、いわば大蔵省銀行局と銀行の間の内輪の話に終始をして、人事的なやりとりで決着をするというようなことが行われたというのも、もう一つの問題ではないだろうかなと考えているところでございます。さらに、農林あるいは信用組合問題というふうなこと、あるいはノンバンクの問題を考えますと、これは検査が一元的でなかった。金融行政が一元的になされていなかったということの弱点がもろに出たと考えるところでございます。

 そういう観点に立ては、私どもは、今問題になっておる大蔵省の改革ということについては、財政と金融を、財政部門と金融部門を完全に近い形で分離をしなければ事は始まらない、とりわけ重要なのは、日本銀行、中央銀行の独立性を完全に近いものにまで高めるということだろうと思います。さらに加えて、検査・監督と言われるものをルールに基づいて、冷徹にと申しましょうか、スマートに行うということが次の問題でございましょう。さらには、国際会計基準を導入する、早く時価主義を導入する以外に、私は金融マーケットとの整合性はとれないと思っているところでございます。

 今私どもに問われている問題は、総理大臣の二〇〇一年のビッグバン及び全体の省庁再編成の問題があるようでございますけれども、この段階ですっきりとどこまで検査、監督、企画、立案を財政当局から分離しながら金融行政を進めていく、監督の中身を問い返して進めていく機関をつくれるかどうかということにあるというふうに考えているわけでございます。

 そういう観点からは、私どもは、金融、財政の分離をするための新しい機関をつくる必要がある、そして当然のことながら、当面といいましょうか、相当期間は財政当局と金融当局を人事の遮断もしなければならないというふうに考えているところでございますけれども、大蔵大臣、大蔵大臣のお考え方をお伺いしたいと思います。

○三塚国務大臣 大蔵改革についていろいろ御指摘をいただきました。既に本会議における所信表明の中で橋本総理より、私も補完する形で御質疑にお答えをさせていただいてまいりました。

 御案内のとおり、規制緩和、その根底である行政改革、特殊法人、各種の問題の総点検が第二次橋本内閣に課せられた重大な事柄であります。その突破口、スタート台に大蔵改革があるわけであります。

 御案内のとおり、総選挙前、三党の協議の中で

提案が行われました。総選挙後、十月三十一日、改めてこれまた提案をいただいたところでございます。今真剣に論議が行われておると聞いております。今国会が十八日まででございますから、私の方からは三党の責任者に、立法の関係もこれあり、十八日国会終了後ぜひとも大枠をお示しいただきたい、こう申し上げておるところであります。今御指摘をされたそれぞれの分野も論議をされておると承知をいたしておるところであります。

○仙谷委員 時間が参りましたので、終わります。

○小里委員長代理 これにて仙谷君の質疑は終了いたしました。