1993年06月02日 大蔵委員会

○藤井委員長 仙谷由人君。

○仙谷委員 今早川委員の方から、九二年度税収の不足の問題、それから不良債権の問題、そして税源配分の問題が提起されたわけでございます。私、経済見通しの問題も含めて甚だ国民にとってわかりにくいのは、税収不足というふうな問題が政治問題であるのかないのかといいますか、政治的にだれが責任をとるのかということが全然議論されないというのが不可思議なんです。先ほど税収不足の額について、当局の方からは、余り金額的に確定しないというふうなお答えだったような気がするわけですが、いずれにしましても、当初予算からはもう既に五兆円余りも税収不足があるということを昨年の段階でお認めになっているわけですね。新聞報道に限らず民間経済機関の予測等におきましても、七兆円強の税収不足が発生するということがほぼ明らかになっているのだと思うのです。七兆円といいますと、当初予算の一割を相当超える税収不足になるわけでございます。

 こうなりますと、どこが間違っていたのか、そしてこの種の間違いについては政治的な責任はあるのかないのか、あるとすればだれが責任をとるのか、ここのところだけははっきりさせていただかないと、この間の経済政策、経済運営について、我々は自民党政府の運営について八五年以降全く遅きに失したのか方向が間違っていたのか、相当な間違いをしてかしたと思っております。したがって、今の大臣や当局の責任者にすべて責任があるなどということを考えておるわけではありませんが、こういう問題の政治責任というのはどこにあるでしょうか。大臣、お答えいただきたいと思います。

○濱本政府委員 まず、先刻の早川先生のお尋ねに対しまして御報告申し上げましたように、この平成四年度の税収全体がどのようなことになりますかは今の段階で確たることを申し上げられるような状況にはないということが一つございます。

 先ほどの繰り返しになりますけれども、所得税の確定申告の結果が出まして、これが前年に比べますとかなり予想を超えて低調であったという事実、これは明らかになりました。したがいまして、申告所得税収が補正後の見積もりを相当下回るということは避けがたいことだと私は思っておりますが、それが税収全体としてどう響き、他の税目がどのようなことになりまして、結果、最終的な姿がどのようになりますかにつきましては、もう少し時間をかしていただきまして見届けたいという気がいたします。

 税収見積もりにつきましては当局はどのような考え方でこれに臨んでおるか、そしてどういう責務を感じておるかというお尋ねかと存じますけれども、私どもが実際に利用できますデータ、それから過去のいろいろな経験を経て蓄積してまいりました手法といいますか、そういったものを総動員いたしまして、私どもとしてできますベストを

尽くしておるつもりでございます。今回、平成四年度の税収が確定いたしました段階でそれがどのようなものになるかはなお今の段階で見届けがたいと申し上げましたけれども、仮に当初の見通しと相当違ったものになってきました場合に、それがいかなる原因によってそうなったかということについてはもちろん勉強しなければならない、そうなった状態のもとで勉強しなければならないというふうに当然思っておりますけれども、その見積もりをつくります段階で、私どもは私どもとして可能なありとあらゆる手を尽くしたつもりでおります。

 先ほど申し上げました申告所得税収がいかにも見積もりを大きく下回ったという点につきましての事情につきましては、これもこれからきちんと解明すべきことでございますけれども、主な原因は、土地の譲渡所得が私どもが見込みました水準よりも大幅に少なかったという点に最大の理由があるように思っておりまして、その変化の大きさというものが私どもの予想を超えたということでございます。土地の譲渡所得をどう見積もるのか、これは大変難しい問題でありまして、今回の経験というものを将来にどう生かせるのかというのは、これはこれから私どもに課せられた課題というふうに考えますけれども、申告所得税の見積もりに実績が至りそうにないということの最大の理由はその点にございましたことを御報告申し上げなければならぬと思います。

 いずれにいたしましても、今の税収見積もりと申しますものは、単に私どもの手元にございますデータだけでなくて、いろいろな方面の専門家の意見でございますとか、あるいはいろいろな機関で研究されました成果といったようなものも聞かせていただきまして、そういった御協力のもとにまとめ上げているものでございまして、そういった情報の収集につきましてもなお一段と工夫をしていく必要があろうかと存じます。また、今回こういう事態を迎えているということにつきましても、私どもはそういった方々に事情をよくお話しいたしまして、また今後の対応というものにつきましてもいずれ検討していかなければいけないというふうに思っております。

○仙谷委員 大臣、やはりここは政治の責任者といいますか、政策責任者から率直に国民に語るべきだと思うのですね、この種の話は。今の話を聞いていても、私どももわからないけれども、多分国民の多くはわからないと思うのですよ。何で七兆円も税収不足が出るのかという話ですね。ここのところは誤りは誤りとして認めないと、経済も、さあ、ベースがこういうことだから、ここを出発点にして例えばリストラを進めるとか、あるいは政府と民間が一体になって日本の経済をどちらかに向かせよう、元気を出そうということにならないと思うのですよ。

 今の話は主税局長ですからあの程度しかお話しできないのは私も理解をしないわけではありませんけれども、それでは、今年度の税収見積もりがございますね、金額にして約六十一兆三千三十億円でしょうか。前年度がこんなに、一〇%も当初予算から崩れた、一〇%強崩れた税収を前提にした税収見積もりがことしの六十一兆円という税収見積もりになっているわけですから、予測になっているわけですから、これももうほぼ大崩壊をするのは必至の状況というふうに言っていいんじゃないでしょうか。

 もっと言いますと、プラザ合意以降の税収見積もりというのは極めて大きく外れているじゃないですか。上に外れるか、下に外れるかはともかくとしまして、極めて大きく外れている。そうですよね。だから、一説によると、政府は十六兆円もバブルの税収をポケットに入れだということが言われておるわけでございます。これは中央政府だけですよ。

 そうなりますと、後で聞きますけれども、今からの政府の新総合経済対策、これもどんな効果があるのか、あるいは意味があるのかという根本的な疑問に突き当たらざるを得ないのであります。大臣、どうでしょうか、この税収見積もりがこんなに狂っておるのは、経済見通しがそもそも間違っているからだ。つまりこの「財政の中期展望」というのを拝見いたしますと、成長率掛ける弾性値掛けるということで出してきているわけですね。そうですね。だから、GNPを基本にしてそういう見積もりを出しているわけですから、そんな単純なものじゃないというふうにおっしゃるかもわかりませんが、しかし一応そこから出てきている。

 そうなりますと、やはり経済見通し、経済運営がそもそも間違っていたから、つまり八五年以降は低金利あるいは超過剰流動性というようなものでバブルをつくった、間違いがあったから上に大きく税収見積もりが間違った、そして、バブルの谷の深さ、それを支えるような迅速的確な経済政策が行われなかったから現時点のようなことになっておるんだ、こういうことを政府がお認めになって、そこの総括がない限り次に進まないと私は思うのですよ。やはりここは大臣から、この税収不足、昨年度、そして今年度予測される税収不足についての政治責任をひとつお伺いしたいと思うのです。

○林(義)国務大臣 仙谷委員御指摘のとおり、我が国が八五年のプラザ合意以降大変大きな変革に見舞われたことは事実でございまして、私は、その中で国の財政をどう運営していくかというのは、今までも大変苦労したところであります。しかしながら、税収見積もりについて、確かに相当期待したものよりは落ちているじゃないかとおっしゃればまさにそのとおりであろう、私もそう思います。

 しかし、そういったような今まさに御指摘のような中でいろいろとやってきておるわけでございまして、ではそれでどうやっていくのかね、こういうふうな話でございますが、まあ三・三%とか三・五%というのはあくまでも経済的な見通しでありまして、我が国が持っています体制は、決して計画的な経済、あるいは中央集権的な経済でなくて自由な経済でありまして、自由な活動であります。その中で経済見通しというものを立てていくというのは、やはり経済運営の一つの大きな方針を立ててやっていくわけでありまして、その方針の中でいろいろと努力をしていこうというのが私どもの基本的な考え方でございます。そういったものがありますから、それを一つの目安にいたしましていろいろなことを考えていこうというのが今の経済運営の方向だろう、こう思っているところであります。

 したがいまして、言いますと、実体経済が非常にぶれてくるということもある程度までやむを得ないところでございます。本当ならば、補正予算を出しましてこの三月までには相当景気がよくなってくるのではないかな、こう見ておったわけで、なかなかそれがよくならない。もう一つ申しますと、四月、五月にまたよくなるだろう、こう言いますけれども、なかなかよくならない。よくならないものですから新しい経済対策というものも、まさに異例な時期であるけれども早く出してやっていこうというのが私どもの今回補正予算をお願いしているところの基本的な考え方でございまして、そういったことを考えながらやっていかなければならない、こういうことです。

 税収が非常に落ちてきていることにつきましては、私どもも、それは確かに数字で間違っておったよと御指摘があればこれは全くその御指摘のとおりだと言わざるを得ないのだろうと思いますが、そういった中での経済運営であろう。では、税収が足りないから新しい増税をするかといったら、なかなかそんなことできるわけではありません。私は、そうした中でどうしてやりくりをし、財政を運営していくかというのが私たちに与えられたところの役割じゃないだろうかな、こう思っているところでありまして、全体としていいような方向にやっていくために今回の補正予算もお願いもしたし、新しい経済政策という形でいろいろなことを考えてやってきたということでございます。

○仙谷委員 私は、やはり政府の経済政策の当局

者が率直に語り、謝るべきは謝らないと、せんだっても宮澤さんの新聞報道あるいはテレビでの発言を見ておりますと、いや、おれに任じときゃそのうちよくなる、必ず間違いなくよくなるみたいな話ばかりあっても、もう市場そのものが、あるいは経済実態そのものがそこのごまかしを見抜いているのじゃないかと思うのですね。ますます冷ややかな雰囲気になってくるのではないかと思います。

 例えば本予算のときには、本予算で三・三%成長を達成できる予算を組んだというふうなことを、これは大蔵省から出されているペーパーに載っております。ところが、それでは三・三%成長が達成できない。三・三%成長が達成できる方がいいか悪いかは別問題ですよ。そして新総合経済対策というのをわざわざつくって、四月十三日に大蔵大臣は「相当高い確実性を持って達成できる」、こういうふうにお述べになっている。経済企画庁長官も「達成可能と理解している」、こういうふうに言っているわけですね。もうここで、既に三カ月の間で、どうも本予算だけでは三・三%成長は達成できないということをお認めになっているから、補正予算を組み、新総合経済対策をつくって、そして、これで三・三%成長できる、こうおっしゃっているのだと私は思うのです。

 ところが、民間の調査機関、あるいはきょうはOECDの経済見通しが発表されておりますけれども、これは何か政府当局者が一生懸命お願いして、OECDは〇・八%しか今年度の成長はないというのを一・〇%にしてもらったとか、IMFは一・三ぐらいでございましたか、そういう成長率しか見通せない。ヨーロッパの銀行あたりは、新聞報道によると、政府の支出をもっと出させるためにこういうことを書いているのだろうというふうな話がございますが、イギリスの中央銀行が〇・五%、イギリスのバークレイズ銀行が一・二%、非常に低い見通ししか出してこない。例えば、私がちょっと見ました四月十四日付の各銀行研究所の見通しによりましても、債券信用銀行は〇・八%増の二・四%だ、日本総合研究所は一%増の二%だ、富士総合研究所は一・三%増の二・五%だと、いずれにしても三・三%には届きそうもない。そして日本興業銀行に至っては、新総合経済対策をやっても〇・六%しか成長しないということを主張しておるわけでございます。なぜかといいますと、今度の企業収益を見ましたら、設備投資の予測を立てる、消費動向を見る、そういうことを考えますと、ことしじゅうに、この新総合経済対策にもかかわらず、そんなに上向くとは予測できないというのが一つの結論ではないかなと私は思うわけでございます。

 問題は、そうしますと、政府支出をふやしてあくまでも三・三とか三・五というふうな成長率を達成しようと努力することの方がいいのか、時代は変わったのだ、もうそんな高成長、ある意味での高成長は、右上がりのトレンドの成長路線はないのだということを政府もちゃんと言うか、どちらかしかないと私は思うのですね。そして、予算の配分問題についても、あるいは民間の業態についても手をつけていくという方向がなければ、今までのように、景気が悪くなった、有効需要を創出する、金利を下げて政府支出をふやせばいいのだ。ところが、これが効き目がないのじゃないかという時代の転換点に来ているのではないかと私は思うのですよ。だから、今度の新総合経済対策も量的な、つまりGNPを引き上げるということに何か非常な意味があるようなこういう政策というのはほとんど効果がないのではないか。したがって、その分、税収見込みもずれて、多分また一〇%近い、あるいは七%か八%近い税収不足が九三年度も出るのじゃないですか。

 先ほど、税収不足の場合の公債は、公債を出しても、それは特例公債とはちょっと違うのだ、赤字国債とは違うのだという話を、だれか、審議官ですか、されましたけれども、そんなものじゃないでしょう。赤字国債は赤字国債。予算の中で使う金が赤字になったから国債を出すという意味においても全く同じでありまして、そんなところで意味が違うなんという、そういう概念論争みたいなところへ持ち込んで逃げ切ろうたって、それはそうはいかないのではないだろうかと私は思うのです。やはり率直に語るべきなんですね。その原因と責任について率直に語らない限り、民間といいますか一般の消費者は反応しないと私は思います。

 何か御感想があったら、一言述べてください。

○林(義)国務大臣 仙谷さんのお話でございますが、先ほど政府の経済見通しというものの話を、考え方を申し上げました。経済運営というものはやはり一つの大きな枠組みの中で動かしていった方がいいだろうという、これは伝統的な手法といえばそういうことだろうと思いますが、持続的な経済成長を遂げていくことによりまして、お互いの生活レベルも上がっていくであろうし、また、いろいろな所得も上がっていくでありましょう。そうした形で運営していくという形での大きな目標を立てまして、それに向かって私たちの方はいろいろとやっていこう、こういうことで努力をし、新しい補正予算もお願いして、それでいろいろな公共事業をつけてやっていくのも、新しい社会資本をつくったり何かすることによって生活レベルを上げていくというのが私どもの基本的なねらいでございます。

 そういった中で、税収の見通しというのが確かに相当に崩れるのだろうというようなお話がございました。そういうふうになっておりますが、それは昨年の経済がそれだけ悪かったことの結果だろうと私は思うのです。税収というのは先に税を納めるわけじゃないので、仕事をしてもうからなかった、どうした、こういうふうな形の結果、あるいは所得が上がらないからという形でそういうことになってきた、そういった結果でございますから、経済政策、運営をどうしていくかということを考えていかなければならないのがお互いの責任だろうと思うのです。

 そうしますと、それじゃゼロ%成長でいいかということになりますと、ゼロ%成長になったら税収はますます下がるのだろうと私は思いますし、全体の運営としては三・五%とか三・三%というようなところに持っていくのが、新しい経済計画、五カ年計画、新生活、経済企画庁でつくりましたこの前の経済計画の中でも大体そんな形でやっておりますから、そういったことを中心にしてお互いがいろいろな形で努力していきましょう、こういうことであろうと思うのです。

 それから、もう一つ申し上げておきたいのですが、赤字になって決算調整資金を使う、それは赤字国債と同じではないか、こういうお話でございますけれども、それは、国債整理基金というものがありまして、そこに資金がありますから、そのお金を一時的にお借りして翌年度にはお返しをするというのでありますから、法律的にはそういうふうな道が開かれております。確かに一般会計の方が赤字であるのは赤字でありましょうけれども、それはそういった形で出す。新しく国債という形で国民にまたそういった債券を買っていただくというような話とはちょっと違う話じゃないだろうかな、私はこう思っておるところでございます。いずれにいたしましても、経済全体としての運営をどうやっていくか、これについては私どもも一生懸命やっていかなければならないと思います。

 もう一つ申し上げますが、民間のいろいろな数字について御指摘がありました。この民間の数字はいろいろなことがあると思いますが、景気を上げていく段階ではなかなかそういったところの数字というのはよくならないというのが実態だろう、こう思っております。特に銀行なんかによりますと、自分のところが融資をしているところを見ますと、大変厳しいということが出てくるでありましょうから、一つの期待感もありましてそういった低い数字が出てくる、低いからいいということじゃなくて、やはり高くしてもらいたいというのが本心だろう、私はこう思うのです。低いなら低くていいのだという話ではないので、もう少

し何とかしなければならないという期待も込めてそういったところの数字が出ているのだろうと私は思います。

 それからもう一つ、IMFとOECDの話でございますが、これも九三年につきましては割と低い数字が出ておりますが、九三年でございまして、ことしの数字、それから九四年の数字というようなことになりますと、これはIMFもOECDの方も九四年の方の数字については相当高い数字を出しているところでありまして、日本に対してもこういったところが相当上がっていくのだな。日本の年度で四月から来年の三月まで、年度でやりますと一月から十二月までという形で若干のずれがあります。やはり下期には相当上がっていくのだということをいずれのところも認めているのではないかなということを私は申し上げておきたいと思っております。

○仙谷委員 結果だからしょうがないみたいな話がありましたが、政治の世界は、ある予測を立てて政策運営をして、結果が出たときにはそれについて責任をとる、こういうことが必要なのではないでしょうか。そのことをまず申し上げておきます。

 それから、三・三%成長というものが本当に必要だというふうにお考えならば、野党が共同して要求した所得税減税もやる。そして、今度の新総合経済対策の中での真水部分をもっとふやす。ある意味ではディスデフレ政策をとらない限り実質成長率も上がってこない。多分公共投資、いいか悪いか別にして、私は余り肯定的でないわけでありますけれども、もっと倍ぐらいの経済対策としての、つまり二十兆円くらいの公共事業あるいは公共投資あるいは有効需要創出の施策が要るのだろうと思うのですね。それから五兆円くらいの所得税減税をやらないと、多分三・三%の成長というのはあり得ない、ここは私の主張として申し上げておきます。

 そこで、この所得税減税でございます。つまり、日本社会党のシャドーキャビネットも緊急経済対策の大綱というのを出しました。総額十二兆円強でございます。その中に三兆八千億の所得税減税が含まれております。これは当然のことながら野党共同要求の、つまり自民党の幹事長との前向き検討のお約束に従ったものでもあるわけでございます。そして、公共投資についてもちょっと方向性を変えた方がいいのではないか。つまり建設優先といいますか、土木、施設優先の公共事業からそろそろソフトといいましょうか、そちらに方向を変えないと意味がなくなってしまう。つまり、経済効率の問題もさることながら、これから我々が向かおうとしている社会づくりについて意味がなくなってしまう。つまり、今のシェアリングなのかシェアなのか知りませんけれども、各省庁、各局、各課の縄張りの中へ仕切られた予算を同じような割合ずつふやしてみても意味がないのではないか、こういうことを主張しております。

 その点は時間の関係で省きますが、所得税減税、これは私も赤字国債を発行して戻し税減税を行うということには首をかしげる一人でございます。しかしながら、制度改革を前倒しして今の段階で物価調整的減税を行うことが必要なのではないか。消費を見てみましても、どうも雇用と賃金面で明るさが見えてこない。つまり、もっといいますと、九二年の実質賃金上昇率はゼロ%でございます。そこのところは、九三年度も改善される見通しというのはないであろう。つまり、企業のリストラというのが最後の段階になりますと雇用調整的側面を含むというのは、これは物の流れとして当然のことでございます。

 結局そういう観点から考えますと、今の税制が資産性所得へ少々軽いあるいは勤労所得へ重い、この構造が改められていないわけでございますので、制度改革の前倒しとして、例えば給与所得控除を、今四〇%台の給与所得控除を受けられる層は、これを例えば百六十五万を百八十万にする、あるいは二〇%の給与所得控除を受けられる層、これを所得の水準を六百万から六百五十万にするというふうな物価調整減税をやるべきだ。そのことがない限り、大蔵大臣おっしゃいました三・三%成長にこだわるといたしますと、どうもそういう効果といいますか経済成長、数字の上での経済成長というのは達成できないだろう、こう考えるわけでございます。その点大臣、いかがでございましょうか。

○林(義)国務大臣 物価調整減税というのはインデクセーションというお話かとも思いますが、ちょっと私もよくお話の筋がわからないのですけれども、物価が上がったならばその分だけを、こういうふうな話になりますと、今物価は非常に安定をしているところでございますし、物価にスライドして減税をというのは、どうも今の段階では余りなじまない話ではないか、こう私は思うわけでございます。先生もきょうもちょっと御指摘がありましたし、それからこの前もそういった御指摘がありましたが、いわゆるばらまき減税というのは余りやるべきでない、こういうふうなお話でございました。

 私ども考えておりますのは、すぐに消費に結びつくようなところのものをどうやっていくかというような形でのものよりは、たびたび繰り返して恐縮でございますけれども、公共事業をいろいろやって仕事を起こしていく、その仕事によって働く人が所得をふやしていく、また企業が収入を得ていく、ひいては全体の生活水準が上がっていく、こういうふうな形で考えているのが私どもの基本的な考え方でございまして、そういった仕事を通じまして全体の経済のレベルアップを図っていくという方が、単純に所得について減税するよりは効果が大きいのではないかというのを私どもは考えているところでございます。

 それから、社会資本につきましても、単に各省の割り当ての枠の中でやっていくのはおかしいではないかという御指摘でございました。私もこの御指摘はもっともだと思いますし、社会経済情勢の推移に従いましていろいろと考え方を変えていかなければならない。新しい時代を取り入れて社会資本の充実も図っていかなければならない。財政法四条の規定の範囲内におきまして、私どもは社会資本の充実をこれからもやっていくという形で各種の研究施設その他のものにつきましても新しいものを今回の補正予算などで入れておるところでございます。

 それから、二十兆円ぐらいのものをやったらどうだ、やらないととてもできないよ、こういうふうなお話がございました。しかしながら、私ども、は今少なくともこの平成五年度の予算でやりましたし、今回史上最大の規模の公共事業をやっているわけでありますから、このぐらいのことをやっていけば、私はまずまずできるのではないだろうかなという気持ちを持っているところでございます。何しろ五年度の予算、五年度は始まったばかりでございますから、今からどうだこうだということではない。経済の運営というものは時々刻々よく見ていかなければならない話でありますから、そういったことも注意し、先生のお気持ちもあるところでございますから、そういったことを十分に外しながらこれから経済運営に努めてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。

○仙谷委員 時間がなくなってまいりましたので、通告をしてありました項目も相当はしょってまいります。

 この国会のせんだっての租税特別措置法の審議の中でこういう附帯決議をつけさせていただきました。「納税者意識の向上のための啓発活動の充実及び納税者の応接のための庁舎環境の改善など納税者サービスの一層の向上を図るよう努めること。」こういう附帯決議をつけました。

 その後少々私の方で事情を聞いたり、庁舎の状況をお伺いいたしますと、特に納税者が相談に行ったときに、秘密を保持して相談できるような場所が各税務署にほとんどないというのですね。それから、確定申告時期になると、もうほとんどがプレハブを建てたり、どこか外のビルに間借りしたり、会館に机を並べて応対をしておる、こういう状況だというふうにお伺いをいたしました。

職員の方も非常に狭いところ、そしてまた古い庁舎の中で仕事をせざるを得ない。職場環境あるいは労働意欲の観点から見てもどうなのだろうか。

 ちょっと私が調べた範囲でも、昭和四十五年までに建てられた庁舎が五一・六四%、それからさらに二四、五%の庁舎は昭和五十年まで、つまり約二十年近く前に建てられたものである。こういうことになっておって、狭くて汚くて、そして作業能率が上がらないような環境であって、納税者に対するサービスとしては、これはいかがなものだろうかということが指摘をされておるようであります。せっかく附帯決議をつけたわけでございますので、この実態の問題と、さあこれからどうしようかという点について国税庁あるいは大蔵大臣の方からお答えがありましたら、いただきたいと思います。

○林(義)国務大臣 具体的なことにつきましては国税庁の方から御説明をさせますが、今お話にございましたように、特に確定申告のとき大変混雑しているというお話がございました。実は私も先般の確定申告のときに税務署へ行ってみて、これはなかなか大変なことだな、税務署の方も大変だが、確定申告で相談に来ておられる皆さん方もこれは大変な話だなというようなことを正直言って私も感じておったわけであります。

 今までは公務員の施設をよくするとかいろいろな設備を改善するということにつきましては、政府の方は正直言っておずおずやっていたのじゃないかなと思うのです。民間の人の方をまず先にして政府の方は後にする、こういうふうな話でございましたが、今先生からもこういった御指摘がありまして大変に私はありがたい御指摘だ、こう思っておりますし、いろいろな点をこれから考えていかなければならないと思っております。

 詳しくは国税庁の方から御答弁させます。

○瀧川政府委員 税務署庁舎の改善についてでございます。

 これは今委員御指摘の納税者サービスの向上という面ももちろんでございますけれども、さらに私どもの職員の執務環境の面からも大変重要なことだと認識しております。そういった意味で、予算の範囲内でいろいろと工夫、改善してきたつもりでございます。

 ただ、本年、先ほど御指摘の当委員会におきます附帯決議というものも出たことを踏まえまして、納税者サービスの一層の向上が図られるように、いろいろな細かい面から大きな面まで実はわたるわけでございます。例えば面談室の設置、これは最近新しい庁舎などには入れてもらっておりますし、また確定申告期などになりますと、これは細かいのですけれども、例えば女子トイレが足りないとか、そういったことも工夫をしながら今やっております。スロープをつけたり、そういったこともやっておりますので、今後ともその細かい工夫をしながら、一方では関係御当局の御理解を得るように努めましてますます改善していきたいな、こう思っております。

 

○仙谷委員 例えば、つい三日前でしょうか、五月三十一日付の新聞に、国家公務員一人に一台パソコンを持たせる、こういう話が書かれております。産業構造審議会の部会が高度情報化へ提言、例えばこういうのがあります。国税の方も多分パソコンとかそういうものを使う職員をふやしていかなければいけない、こういうことに必然的になるのだと思うのですね。スペースがないところへコンピューターを持ち込んでも、これはますます混乱をするだけということになったりします。つまり、そういう近代化、現代化といいますか、そういう方向に向けての庁舎、それからやはりあくまでも納税者、いわば消費者のような立場の方々を大切にするというか、納めていただくわけですから、そういう立場からも庁舎の改善ということもお願いをしたいと思います。

 私、職員の方とお会いしたときにこういうことを申しました。これからの時代はますます複雑化、高度化するわけでございます。したがいまして、やはり徴税の段階でいかに公平に、公正に、厳正に税の課税と徴収ということが行われるのかということがこれからの国家とか社会にとって極めて重要なことだと思うのですね。「マルサの女」ではございませんけれども、私は国税あるいは税務署の職員の方々にそのときもお願いをしたのですが、これからは政治家とか、特に悪質な政治家とかやくざとの闘いが皆さん方の仕事になるであろう。せんだっても我が党は国税庁の方に、課税部長の方には、政治家の公私の峻別をしていない、裏金をいっぱいポケットに入れているやつは厳しく課税をするようにという申し入れをしました。まさにそういう時代だと思いますので、ある意味では勤労意欲というか使命感が非常に必要な職場になっておるわけですので、ひとつ庁舎の改善といいますか労働環境、職場環境という観点からも今国会の附帯決議を実質的に具体化する方向に、大蔵大臣あるいは主計当局もひとつ踏み出していただきたいということをお願いいたしまして、時間が参りましたので質問を終わります。

 どうもありがとうございました。