1993年03月23日 大蔵委員会

○藤井委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仙谷由人君。

○仙谷委員 仙谷でございます。まず、関税定率法、暫定措置法関係についてお伺いをいたしたいと存じます。

 今回の改正の中で、いわゆる重油について関税の割り当て制度を廃止する、それからこれを一般の税率化という、一般の税率で関税化するという方向に改正をされたということなのでありますけれども、この理由と趣旨、あるいはその意味するところをお聞かせいただければと存じます。

○米澤政府委員 お答え申し上げます。

 我が国の石油産業は、従来から各種石油製品の輸入を抑えて、原油を処理して供給する方式、いわゆる消費地精製方式を基本としてまいりました。そうした中で、石油製品全体の需給バランスを確保して、安定的な石油の供給を図っていくため、通産省の方で原油処理指導により、連産品でございます各種石油製品の生産量を調整する一方、石油製品需要の相当部分を占めていた重油の輸入量を調整してこられたところであります。その一つの手段といたしまして、重油の関税割り当て制度は、昭和四十七年度に重油の輸入自由化が行われました際に、輸入量調整を的確に行っていくために導入されたものでございます。

 しかしながら、昭和六十一年に特定石油製品輸入暫定措置法が施行され、これまで行われてこなかったガソリンなど石油製品輸入を石油精製会社が本格的に行うようになりまして、こうした需給環境などの変化を受けて、石油産業に対する一連の規制緩和措置が通産省の方で行われてまいりました。その最後として、昨年三月末をもって原油処理指導が廃止されましたことにより、各石油精製会社はそれぞれの判断で生産、輸入を行い、みずから需給調整を図るようになったものでございます。

 こうした状況のもとでは、関税割り当て制度はその存在意義が薄れるとともに、場合によっては各社の自由な判断の障害にもなりかねないといった事態になってきております。また、そもそも関税割り当て制度そのものにつきましては、関税率審議会におきまして、安易にその存続を認めることなく、絶えずその見直しを行うべき旨の指摘がたびたびなされているところでございます。

 以上のような状況を踏まえまして、重油の関税割り当て制度につきましては、本年度末をもって廃止し、一般税率に移行するよう法律改正をお願いしているものでございます。

○仙谷委員 そこで、一般税率へ移行されますと、国内の需給関係が、以前オイルショックのときに、あるとかないとか、足りるとか足らないとかいう話があって、混乱をしたこともあったやに聞いております。この税率の設定とその需給関係の安定化といいましょうか、これについて、関税局の方でお考えがございましたらお述べいただきたいと存じます。

○米澤政府委員 お答え申し上げます。

 現在、一次税率によりまして輸入されております重油は、ほとんどが国内生産のみでは供給が不足する電力用の低硫黄重油でございますが、当該重油につきましては、これまでと同水準の関税率を設定していることといたしておりますので、関税割り当て制度廃止後においても、関税率の面から輸入のインセンティブには変化がないものと考えられます。

○仙谷委員 いずれにしましても、国民の生産活動あるいは生活に直接関係をしてくる重油といいましょうか石油の話でございますので、今後とも十分注意をして関税の運用をしていただきたいと要望しておきます。

 続きまして、関税当局の職員の労働条件といいますか、いろいろな環境変化に対応する措置でございます。

 ちょっと統計を拝見いたしますと、昭和五十六年から平成四年というところで指数を見てみますと、五十六年を一〇〇といたしますと、輸入の許可が二七七程度、入国旅客の数が二五九、輸出許可が一六三と飛躍的に件数が増大をしておるようでございます。それから、いわゆる国内に入ってきてはならないと思われる銃砲、不正薬物、こういうものも、平成四年は少々減少しておる物品もあるようでございますけれども、向精神薬と言われるようなものは飛躍的に税関で摘発がなされておるような数字も出ておるようでございます。

 こういういわば複雑になったり、あるいは密輸とか、こういう不正な物品の日本国内への搬入という観点では、手口が巧妙になったり、現場は大変な状況になっているのではないだろうか、こういうふうに私どもは考えております。税関職員の労働組合の方からも、悲鳴がよく我々の方に聞こえてくるという状況でございますので、この点、関税当局の御認識と今後の対応策について、簡単で結構でございますけれども、お聞かせをいただければ、こう思っております。

○米澤政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、税関の業務量は毎年大変な勢いで増加してきておりますし、それからまた業務量が増加する中で、麻薬、銃砲等の社会悪物品の取り締まりの要請というものもますます高まっているところでございます。特に、世界情勢のいろいろな変化のもとで、日本に対するそうした社会悪物品の流れ込みの危険といったものも増しているところでございます。当委員会におかれましても、何度も附帯決議をいただいておりまして「中長期的展望に基づく税関職員の定員の確保はもとより、その処遇改善、職場環境の充実等に特段の努力を行うこと。」という御決議を百二十三国会においてもいただいているところでございます。

 私どもといたしましては、大変厳しい行財政事情のもとではございますけれども、まず私ども自身、電算化でありますとか情報機能の充実でありますとかいった業務運営の効率化に努めるとともに、定員の確保及び職員の処遇改善に最大限に努力しているところでございます。今後ともこうした事態に備えまして引き続き最大限の努力を続けてまいりたいと考えております。

○仙谷委員 私どもも、税関の職場で過労で入院をされたりあるいは過労死が発生するというふうなことでは、ますますその職員の確保もままならないことになってくるのではないだろうかと思いますし、あるいは職場の環境が厳しければ要らざる紛争も発生するのではないか、こういうふうに危惧しておるところでございます。今後とも、職場環境あるいは処遇それから定員確保について、国会の方でもそういう観点から応援したいと存じますので、努力をしていただきたい、これも重ねて要望いたしておきます。

 続きまして、貿易関係でございますので、最近のアメリカの外国企業課税強化といいますか、みなし利益課税といいましょうか、この問題について若干お伺いしておきたいと存じます。

 新聞報道等を見ますと、クリントン政権が発足する前段階で、現在のベンツェン財務長官が財務長官になる前に、公聴会で、いわゆる外国企業の課税をする、あるいはそれ以前の段階では、四年間で四百五十億ドルの、五兆四千億円になるのでしょうか、外国企業課税の強化をするという選挙のキャンペーンが行われていた、そんなことも聞くわけでございます。

 クリントン大統領が就任されて、二月十七日に経済政策を発表されました。その経済政策の中に含まれる移転価格税制、この外国企業に対する課税の強化というものは実態としてはどうなっておるのでしょうか、まずその点についてお聞かせをいただきたいと思います。

○濱本政府委員 クリントン大統領は、昨年の選挙期間中に発表いたしました経済政策におきまして、外国企業課税強化によりまして四年間で四百五十億ドルぐらいの増収を図りたいという旨を明らかにしたと報ぜられておりましたけれども、その具体的な中身は必ずしも明らかにされておりませんでした。

 新しい政権がスタートいたしまして、本年の二月に発表されました増税案によりますと、二つの柱があるように思います。一つは移転価格税制の執行強化、いま一つは過小資本税制の強化でございまして、一九九三年から九八年までの六年間で、それぞれ三十八億ドル及び六億ドルの増収を図ることとしております。

 必要がございますれば、これらの中身について御説明いたします。

○仙谷委員 多分日本企業だけではなくて、アメリカの企業がアメリカ以外の地域で生産したものをアメリカに持ち込むときにも関係があるのではないだろうかというふうに推測しておるわけでございます。

 この移転価格税制に係る財務省規則というものが制定をされたといいますか、されようとしているということが新聞等にも書かれておるわけでございますが、これはどんな内容で、従来行われてきた国際ルールとの関係はどんな関係になるのか、この点についてお答えいただければ幸いでございます。

○濱本政府委員 移転価格税制の執行強化に関連いたします点を申し上げればよろしいのかと存じますけれども、これは九〇年に立法されました内国歳入法に規定がございまして、増額更正を行いました場合には過少申告のペナルティーを科すという規定がその中に設けられておりました。

 やや細かくなりますけれども、四百八十二条という規定がございまして、その規定によりますと、税務当局が調べてみましたところ、ネットの調整額が一年度当たり一千万ドルを超える、あるいは関連者間取引につきまして、実際に取引しておった価格が適正価格に比べて二〇〇%以上過大であるとか五〇%以下過少であるとか、そういう場合に、過少申告額の二〇%相当額をペナルティーとして科すという内容でございました。また、ネットの調整額がもっと大きくなりますと、そのペナルティーの額ももっと大きくなる、こういう仕掛けになっておったわけでございます。ただし、納税者が、取引に当たりまして合理的な理由と誠実な姿勢に基づき価格を決定したということにつきまして証明をしました場合には、そのペナルティーを免れるということになっておったわけでございます。

 今回財務省により発表されました改定内容について申し上げますと、納税者が今申し上げましたペナルティー免除の要件を満たしますためには、文書によって自己の取引が一定の独立企業間の価格算定手法に基づいた適正なものである旨を証明する、そういう証明文書を準備する必要があるという内容でございます。その文書自体の中身の詳細というものはまだ明らかにされておりません。

○仙谷委員 この点については従来からOECDで合意があるというふうに聞いておるわけでございます。それから、今お答えになったわけでございますが、財務省規則で比較可能利益法という、何か比較対象企業を選んで、そこでの利益率といいますか利益を判定した上で、この程度利益があるはずだということでどうも課税をしようとしておるのではないだろうか、こんなことも考えておるわけでございます。

 また一説には、どうもアメリカは日本の貿易黒字あるいはECとの関係において、ある種の輸入制限を関税あるいは量的規制ということでやるのではなくて、この移転価格税制をフルに使って実質上の輸入に対する抑制をするのではないか、今そういう見方も出ておるように私は聞いておるのでございます。

 その点につきまして、日本の税務当局といいますか日本の立場からして、あるいは日本の国益というような観点でなくて公正な自由貿易のシステムを維持するという観点から、こういう移転価格税制というものがOECDならOECDの基準に照らして間違っている、あるいはOECDの中で議論をすべきだというふうな考え方は大蔵省の方でもおありになるのでしょうか。

○濱本政府委員 前段お話がございました点でご

ざいますけれども、移転価格税制の具体的な適用に当たりまして、従来から幾つかの手法が既に考えられておりまして、例えば比較可能独立価格法、これは同様な状況におきまして法人が非関連者との間で行った同種商品の取引価格から独立企業間価格を算定するというわかりやすい方法でございますけれども、以下、再販売価格法でございますとか原価加算法でございますとか、そういった幾つかの手法というものが認知されておったわけでございますけれども、それだけでなくて、コンパラブル・プロフィット・インターバル、CPIと称しておりましたけれども、比較対象利益比準法という別途の方式をさらに持ち込む、それをどう位置づけるか、その優先劣後の関係等においてどう位置づけるかという議論が出てまいったわけでございます。

 そういう議論につきましてはOECDの諸国も同じように関心を示すわけでございまして、我が国それからOECDの他の諸国とアメリカとの間でいろいろな議論が行われてきたことは事実でございます。

 ただ、それにつきましてOECD側の意向もアメリカに伝わり、アメリカもまたそれを受けていろいろ考えるというプロセスをたどってきているわけでございますが、今先生がお話しになりました最後の部分に関連いたしまして、貿易問題との関係でどういうことであるのかということでございますが、先ほど仙谷先生、最初のところでお示しがございましたように、アメリカの移転価格税制というのは、実はむしろ、事の起こりは、主としてアメリカ系の企業の所得の海外移転に対してアメリカ政府としてどう対応するかということから起こってまいりまして、一九八〇年代の後半になりまして、今度逆に外資系企業の納税水準、アメリカの国内における納税水準がアメリカの企業に比べて低いということが意識され、問題視されるようになってきた。

 今回の改正の動きというのは、そういう外資系企業に対してもその執行を厳格に行う必要があるという認識のもとにとられている措置あるいは行われている議論なのでございますけれども、そういう系譜をたどってきておりまして、そういう資本の出入りあるいは物の出入りというものについて、アメリカの立場としては、入ってくるものと出ていくものと両面を押さえる形でこの問題を考えてきたわけでございます。

 したがいまして、例えば米国側が貿易赤字の削減というか、貿易取引そのものの今の状況というものを意識して何かこの税制で事を図るというような感じの論議、そういうことに関連づけた論議というものは、今までのアメリカの主張からは私どもは聞いておりません。

○仙谷委員 その種の話、それからこれはもう三年も前になるわけでありますが、以前この委員会、で正森委員の方からも援用してお話があったと思いますが、今副財務官をなさっておる黒田さんが「米国の外資課税強化に反論する」という論文をお書きになっている中で、「日米構造問題協議の中間報告においては、米国側のイニシアチブとして日米両国企業間の無差別待遇を規定した租税条約が結ばれていることが再確認されたことは非常に意義がある。」というふうに書いていらっしゃいます。ただ、こういうふうに書いていらっしゃるということは、つまり無差別待遇にならない危険性も相当あるのではないだろうかということで三年前から危惧を、警鐘を鳴らしておるということではないだろうかと思います。

 それで、いろいろクリントンのこの外国企業課税強化については、瑞摩憶測のたぐいもありましょうし、いろいろ斜めから見て物を言う人もありましょうけれども、現実に日本のこの貿易黒字一千百億ドルという額については、アメリカから見て余り気持ちのいい感じを持ってないことも間違いないわけでございまして、ただ、そこのところをどういうふうに整理していくのかというのは、日本側の問題でもあると同時にアメリカ側の問題でもあるということで、いろいろな手段が使われる可能性もある。戦後世代でございますので、ドライにやってくる可能性もある、こういうふうに考えておいた方がいいのではないだろうかと思います。

 この点はまさに、先ほども申しましたけれども、日本の国益という観点からだけではなくて、余り特異な税制で貿易障壁といいますか、輸入障壁になるようなことをアメリカがやらないように、日本の大蔵省といいましょうか、税務当局もひとつ頑張っていただきたいということを申し上げて、この問題を終わります。

 それで次に、景気動向がいろいろかまびすしいといいますか、きょうあたりですとマネーサプライがやや上向きになってきたのではないだろうかという新聞記事も出ておりました。それから、株価が一万八千円に戻ってきたというふうな状況もございます。

 ただ、依然として私は、設備投資が昭和六十三年からは甚だ行き過ぎた。私が今持っておる資料で見ましても、いわゆる産業構造転換法という法律で過剰設備を廃棄した業種、つまり五十八年から六十二年までに廃棄した業種が、六十三年から一挙に二けた台の設備投資を三年間あるいは四年間行って、そして能力増強を甚だしく行った。自動車産業などは、乗用車については大体バブル期の頂点のところで三百万台の生産能力から六百万台の生産能力になってしまったというような、いわばある種見境のない投資が行われたことが現在の景気回復のおくれにつながっておるのではないだろうかというふうに感じておるわけでございます。後でまとめて大蔵大臣にもお答えいただきますけれども。

 そしてもう一つは、当然のことながら、金融といいますか、土地でございます。この土地問題というのは、土地に対するある意味では過大な投資というものが、大げさに言いますと現在の金融恐慌的な議論を生んでいるというふうに思います。余りにも土地を信用創造のネタにし過ぎて、そこに過大な融資をして、それが焦げついておるというのが現在の不良債権問題ではないだろうか、そんなふうに私は思っております。

 そういう意味では、私は地価税の問題というものもあるいは金利政策というものも少々、いずれにしても遅きに失したのではないか。これは感じでございますけれども、半年から一年、一年半ぐらい以前の、二・五%の公定歩合を締めるのがおくれたのではないか。それから、国会の中でもあるいは政府の対策としても、地価税のような保有コストを適正に土地の所有者あるいは保有者に課するそういうシステムの導入が半年から一年おくれたのではないだろうか。結局、導入したときには実体経済の方はどうも収益還元価格と投資とのバランスにミスマッチが起きて、もう既に景気は下降線を下り始めておって、我々が予期した以上の地価税効果なのかあるいは金融引き締めの効果なのかわかりませんが、つまりなだらかに土地が低下しないで急激に下落をしておる、こんな状況でないかなというふうに私は思うわけでございます。

 ところが、地価税の答えだけで結構なんですが、どうも昨年年末の自民党の税制調査会の議論を私どもが横から見ておりますと、何かもう既に地価税は役目が終わって、これを亡き者にしようという声が相当大きい声として聞こえてきたように私は理解しておるわけでございます。平成二年の末の自民党税調の中では、土地を要するに信用創造のネタ元にし過ぎたという反省が語られたり、土地神話を打破しなければならないということが論議をされたりしていたのに、そのたった二年ぐらい後にもう地価が下がり過ぎた、それで来年度、つまり今年年末の税制改正においては地価税についても抜本的に見直すことを検討しなければならないというふうな議論がなされているというのを見まして、これはこれはまた気の早いといいますか、定見のないというふうに思ったわけでございます。

 こういう動きにつきまして、大蔵大臣、どのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。

○林(義)国務大臣 私に対する御質問は二つあったと思いますが、設備投資が非常にふえているんじゃないかな。確かに八八年から、バブルの時代にエクイティーファイナンスなんかで非常に企業が資金調達が楽になった。伝統的な考え方によりますと、企業の設備資金は銀行借り入れでやるというのが、そういったいわば自己資本調達というような格好ができるという形で二けたぐらいの伸びをもたらしたということは、私は事実だと思います。

 そうした形でありましたから、設備に相当に向かったということも事実でありますのでき過ぎだから、今ちょっとその反動食っちゃって、今伸びてない、こういうことでありますけれども、私は、これからどうなるかというのを見れば、必ずしもそのままで、落ちたままになっていることはないんじゃないかなと思います。それは、これからなだらかな成長の方向へ行くならば、設備投資というのは必ず改善をしていかなくちゃならない話でもありますし、私はまた急速な伸びがあるとは思いませんけれども、やはりなだらかな形での設備投資というものは期待できるんだろう、こう思っておるところでございます。

 もう一つお話がありましたのは、地価税の話でございますが、地価税につきましても、地価が非常に高騰した、そこはやはり何かしなければならない、やはり一番の元凶でありましたのは土地神話でありましょうから、その土地神話を打破していくためには土地の保有について税金をかけていくということしかないではないか、こういった形で今の制度ができたわけであります。

 自民党の中でもいろいろと議論はありましたし、私も当時税制調査会におりましていろいろな議論には参画いたしましたけれども、やはりこれをやっていくということが一番大切なことだろう、こういうふうな形で大体の話はまとまってきた、こういうふうに思っておるところであります。

 あるいは、いろいろな御議論があるということになりましたならば、実は土地の保有について税金をかける、こういうことでございますから、固定資産税という税金、固定資産税という形で土地の保有に税金がかかっておる、同時にまた新しい税金をどうするかという形で、二つの税金をどういうふうな形で調整していったらいいかなどというような議論があったことも事実でありますけれども、私は、地価税というのは地価税本来の制度としてこれから安定した形で動かしていかなければならないものだ、こう思っておりますし、党の中でいろいろ議論がありましたけれども、大体そういうふうな格好に落ちついてきているものだろう、こういうふうに思っているところでございます。

○仙谷委員 本年二月の初めには、経団連の平岩会長まで、どうも地価税は廃止をした方がいいのではないかと一方で言っております。当然のことのように不動産協会理事長の坪井東さんは、今度のこの地価税の申告実績における土地等保有の実態というのが発表されたわけでありますけれども、これについて「一部の法人だけが不当に高額の負担を強いられている不公平性を明らかにしたものだ」、不公平だ、こう言っておるわけですね。「地価税の課税対象土地は面積的にも極めて限定されているのに、法人・個人間や業種間の比較を行い、あたかもこれが日本全体の土地保有の実態を示したものであるかのような印象を与えるのはきわめて遺憾だ」と批判した。つまり、何か大蔵省が地価税申告の実態から日本の土地保有の実態はこうだ、あるいは高額土地の保有している実態はこうだ、こういう発表をしたことが非常にお気に召さないような話になっておるわけでございます。

 こういう見解について、大蔵省の方はどうお考えなんでしょうか。先ごろ発表されたこの土地等保有の実態、これの要点を二、三点挙げていただいて、この坪井さんという不動産協会の理事長さんのコメントについての御見解を例えればと思います。

○濱本政府委員 地価税が実施されましたことによりまして、今まで我々が捕捉できなかったいろいろな土地に関する新しい実態というものがわかってきたような気がいたします。

 先生は今、何点がそれを申し上げるようにというお求めでございましたけれども、例えて申し上げますと、地価税の課税対象となりました法人分の土地というのは、法人が所有しております土地全体の約六割強を占める、つまり少数の法人が我が国の土地資産の大半を有しているという実態を明らかにしているように思います。

 今、全法人数は二百五十万社と言われておりますけれども、地価税の納税対象となった法人は約二万八千社でございまして、全法人の一%強でございます。この一%強の法人がどれくらいの土地を有しておるかということになりますと、その二万八千社が有しております土地の価格が四百八兆円、これに対しまして我が国の法人が所有しております土地資産総額が六百四十四兆円ということでございますから、全体の約六三・四%の土地がこの二万八千社に掌握されておるということになろうかと存じます。

 それから、地価税の課税対象土地のうちで法人所有でございましたもの、これは法人の所有地と個人の所有地とに分かれますけれども、法人所有地でございましたものは約九割に達しておりまして、居住用土地を除きました一定以上の資産価値を有する土地保有は法人に偏っておるということも、これは当初論議されておったことでございますけれども、より鮮明になってきたと思います。

 また、今大きい企業についてというお話が少しございましたけれども、法人の資本階級別の申告状況を見ますと、大法人に土地資産が集中している実態が明らかになってきたように思います。例えて申しますと、資本金百億円以上の企業、申告件数が全体の三%でございますけれども、この三%の企業にかかります課税価格が百二十二兆に相当しまして、全体の四割を占めているという実態も明らかになってまいりました。

○仙谷委員 いわば私どもがかねがね申しております法人資本主義の一つの端的な事例がこの土地問題でもあらわれているということだと思います。

 ちょっと時間がございませんので、この土地税制に絡むもう一つの問題を申し上げます。

 大蔵大臣、今、金丸さんの脱税事件というのが世上をにぎわしておりまして、私は、この事件の切り口は二つあって、政治腐敗防止といいますか、裏金、やみ金を政治家と業界の間でやめるためにはどうしたらいいのかという問題が我々に突きつけられていると思うのですね。

 もう一つは、やはり一方では許認可行政あるいは税制との絡みで業界のある種の自民党何とか部会に対する働きかけや何とか省に対する働きかけ、ここにお金が動くということが、金丸さんの事件は道路とか土木工事とかそういうことで動いたんでしょうけれども、やはり大問題だと思うのですね。

 私が仄聞をし、かつまた報道等でもあらわれている中に、この土地税制の絡みでは、国土庁次官だった人が比例区から自民党で選挙に出る、ほとんどの金額を、ほとんどの政治献金を不動産業界から集めて、そのお金であるいはその業界が集めた名簿で比例区の中間ぐらいにランクされて当選してきた。当選してくるやこの買いかえ特例をつくる、あるいは地価税を亡き者にしようとして不動産業界と一緒になって走り回るというふうなことがもしあるとすれば、これは広い意味での収賄的事例というふうに言っていいのじゃないかと私は思うのですね。そのようなことが日本の税制をゆがめたり、あるいは予算づけをゆがめるというふうなことはあってはならないわけでございますね。

 私は今、さる元国土庁次官の政治資金の報告書を持っていますけれども、個人から集まったと称しているのは五百万ぐらいですよ。あと五億円近い金が、ここに記載されているのは一億五千万ぐらいが不動産何とか政治連盟とかなんとかいうところから集まって、あとは何か党友会費とかなん

とかいって自民党に一たん納めたものの四割が返ってくるという話になっておって、それが四億円も返ってきておるわけですね。

 こんなことがまかり通るようでは、昨年年末の自民党税調の中で、平成六年度改正については、地価税についてその必要性を含めて抜本的検討をするということを言っておるわけですから、地価が下がったから必要性ない、やめようではないかという話にもしなるとすれば、不動産業界と建設業界の運動が功を奏してこの税制がなくなる、こういう話になるわけでございます。多勢に無勢で、我々の方が幾ら論理的にそれがおかしいと言っても、数で押しまくられてこの税制が亡き者になるということだってあり得るわけでございます。

 私は、今度のこの地価税を導入するといいますか創設したことでよかったことは、やはりある種安心して金利の引き下げができる環境をつくっておけたということだと思うのですね。

 それから、バブル経済と言われる経済の反省というのは、この間予算委員会で大蔵大臣もおっしゃっていたかもわかりませんが、山高ければ谷深しといいますけれども、やはり景気循環というのは、余り極端な話が起こりますと庶民が迷惑しますから、できるだけ安定的なシステムにする、安定的な循環が景気循環としても望ましい。循環自身は避けられないにしても、波はなだらかであればあるほどいいということを考えますと、やはりこの地価税の導入というのは非常に意義があったのではないか。

 とりわけこれから日本の課題が、宮澤首相の方は生活大国というふうに言っていますけれども、社会資本整備だということになりますと、社会資本整備するためには土地が安くないと、土地代に全部食われるというふうな社会資本整備というのは何をやっているのかわからないという話になるわけでございますので、そういう観点からもよかったと思います。

 私の近所でもついに三、四年前にマンションが建たなくなって、つまりマンションでは、もうその家賃では入れる人がいなくなってオフィスビルになった。オフィスビルを一棟借りするような業者が相当あったわけでございますが、最近家賃が高いからどんどん出ていっていなくなりました。がらがらになっています。

 それは多分貸借人の収益と家賃のバランスが合わなくなったから出ていったんだと思うのですね。地方へ出ていっていただいたとすればなおいいことだと私は思っておりますけれども、そういう状態でございまして、地価税を、もう土地がここまで低くなったからやめようなどという話はとんでもない話だ。

 これは消費、所得、資産の課税のバランスから考えてもとんでもない話だと思いますけれども、経済政策を進める上についても、やはりこのような制度といいますか、このようなシステムがビルトインされている方が経済政策自身の許容範囲が出てくる、こんなふうに私は考えておりますので、ひとつ大蔵省の方でも、もし自民党税調が無理難題を言ってこの地価税を亡き者にしょうということが行われようとしても、大蔵大臣筆頭に頑張っていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。ひとつ御決意をお聞かせ願いまして、質問を終わりたいと思います。

○林(義)国務大臣 仙谷委員からいろいろなお話がございました。地価税というのは、委員御指摘のように土地政策、土地税制というか、土地の金融メカニズムに対してやはり一つのかなめ石になっているのだろうと私は思うのです。

 かつての時代に土地神話というのがありまして、土地がだんだん上がっていく、買っておけば何しろよろしい、またそれを担保にして金を借りる、またそれを担保に借りた金でもって土地を買うというような格好でやっていくことがいかに経済に対して悪影響を及ぼしたかというのは、お互い身にしみて感じているところでありまして、そういった形の中でこの制度が着実に伸びていくということは必要なことだろう、私はこういうふうに考えております。

 党の中で抜本的にというのも、先ほど申しましたようないろいろな諸問題がありましたし、特に固定資産税とどういうふうにするかとかという問題はあるだろうと思いますから、そういったことも含めてやるという話だろうと思っています。地価税の持っているところの経済政策的な意味については、大抵の方々の御理解を賜っているところじゃないかな、こう思っているところでございます。

○仙谷委員 どうもありがとうございました。終わります。