1992年05月29日 大蔵委員会 

○持永委員長代理 仙谷由人君。

○仙谷委員 相当な時間、審議を私も聞いてまいったわけでございます。大ざっぱな感想を申し上げますと、何か隔靴掻痒の感があるのですね。つまり、この法案で具体的に何をしようとしているのかがもう一つ見えてこないという部分がございます。

 そこで、大蔵大臣に改めて、この法案は何のために、だれのために、特にだれのためにこのような制度改革が持ち出されておるのか、この点についてまずお伺いをしたいと存じます。

○羽田国務大臣 だれのためにというのは、まず金融機関を活用される皆さん方あるいは市場を活用される皆様方、こういった皆様方の利益にこたえるということが一つでありますし、また、時代というものが大きく転換をしていく、そういう時代のニーズに合って、そこにお互いに競争し合う緊張と、あるいはそこに広がりというものを見られるのじゃなかろうかということでございまして、国民経済全般に寄与するものであろうというふうに私は思っております。

 

○仙谷委員 国民経済全般への寄与というのはよくわかるわけでございますが、金融機関あるいは金融市場を利用される皆様方というふうにおっしゃったときに、やはり個人投資家といいますか、あるいはもうちょっと投資家とまでいえない市場の利用者の観点が甚だ弱い、抜けておるのではないかなという気がするわけでございます。

 それは、この金融制度調査会のメンバーというのを拝見いたしますと、簡単に申し上げると、個人として株取引をされている株屋といいますか相場師、そういう方もここに含まれておりませんですね。それから一般の人も、主婦連の方が一人、この方が投資信託をしたり株の取引をしたりするのかどうか存じませんけれども、要するに全国民の九五%かなんか、大多数を占める個人としての国民、個人としての庶民の立場を代表する方がこの金融制度調査会の委員の中に含まれてないのですね。学者の先生方あるいは大企業の重役さんというのも個人の立場をお持ちなわけですから、個人としての立場の発言をこの調査会でされたかもしれない。そういう推測も全く無理ではないわけでありますけれども、にもかかわらず、今大蔵大臣がおっしゃった中で、マクロ経済あるいは資源配分あるいは資金の配分というふうな観点からの議論がどうしても多くなる。そのこと自体は問違ってないわけでありますけれども、個人とか庶民とか、そういう視点とか切り口というのがどうも今度の法改正についてもやや欠けておるのではないだろうかということを強く感じるわけでございます。

 ちまたでは、今度の金融制度改革のキーワードは何か。一つは興銀証券であり、もう一つは野村信託銀行、この二つがキーワードだ、こういう声が現に金融業界に携わっている人からも聞こえるのですね。結果として、多分三年とか五年ぐらいのタイムスパンで見てみれば、その予測、つまりキーワードがこの二つだという予測が当たっている、その蓋然性が高いのではないだろうかというふうに私も感じます。だからといって、私はそれ自体が悪いとかなんとか言うつもりはございません。つまり、個人投資家が市場に安心して参加できる、積極的に参加できる、そうして不公正な取引にかけられたりあるいは無用の損害をこうむるということがない限り、それはそれである意味での必然ではないだろうかな、こう考えておるわけでございます。その必然の結果もたらされる集中と寡占の問題というのが当然出てくると思いますので、それに対するチェックとか歯どめというのは、これはまた別途の問題といいますか、手当てをしておかなければいけない問題だと思いますけれども、今度の制度改革で、基本的な姿勢として、やはり庶民にとってこの制度改革がどういう意味を持つのかということがもう少しはっきりとした方がいい。どうもその辺が具体的にはっきりしないということが、私は今までの議論を拝聴しておりまして少々不満な点でございます。

 それで、今までの議論はほとんど、やはり銀行というものは、特に日本の銀行というものは、預金シェアの問題からいいましても、あるいは事業会社に対する影響力からいいましても大変な力を持っておる。この銀行の支配力を懸念する声が多うございます。そして、その支配力で既存の証券会社がばたばたと吸収合併を受けるのではないか、あるいは銀行の強烈な支配力のもとに証券取引もいわば銀行に支配されてしまうのではないか、そんな懸念のもとでの議論が多かったように考えておるわけでございます。

 もう一つの観点は、消費者あるいは利用者という立場から考えますと、今回の制度改革によって、じゃ一体我々は今までと逢ってどんな新たな商品なりサービスにアクセスできるのか、まさにここが問題だと思います。大蔵省の用意された書面でも、すべて、多様化する利用者のニーズに対応した商品、サービスの提供、利用者による自己のニーズに合った金融機関の選択が可能になる、こうおいしいというかいい話が書いてあるわけでありますけれども、さて今度の法案でそのことが具体的に確定されているのか甚だ疑問だなという感じがするわけでございます。

 それは多分、業際問題、既得権問題というものについての整理を棚上げにする、つまり業者側の方から見て、具体的にこの商品を銀行の証券子会社が扱えるのかどうなのか、信託子会社が扱えるのかどうなのか、地域金融機関が扱えるのかどうなのかということについての整理を棚上げにしているからこういうことが起こってきておるのではないだろうかと考えるわけでございます。せんだってから証券局の方あるいは銀行局の方へ、商品別に、この制度改革によって例えば銀行とか信託子会社とか証券子会社とかが扱える商品がどういうふうにふえて、どういうふうに重複しながら扱えるのか、その一覧表を出してくれと申し上げました。そうすると、ちょっと難しいのですというお答えしか返ってこないですね。銀行局長、証券局長、これはいかがでございますか。具体的に、新たに参入すると言われておる証券子会社、信託子会社そして地域金融機関、広く言えばすべて金融機関でありましょうが、こういう機関がどういう商品を扱えるようになるのか、証券取引法二条八項の各号に基づいてお答えいただければと考えます。

○松野(允)政府委員 まず証券子会社の業務の内容について申し上げますと、法律上は、ここに書

いてございますように、法律案では株式のブローカー業務以外の業務はすべて法律的には扱えるという枠組みを用意しております。

 問題は、その中で証券子会社がどこまで選択するかという問題が一つございますし、それから、やはり行政の立場としては特に中小証券会社というものを、まあ株式のブローカー業務を当面銀行の証券子会社に禁止したのはそれだけの、もちろん弊害防止という問題もありますけれども、激変緩和といいますか、中小証券にそれだけの時間を与えるという意味もあるわけでございます。そういったような観点から株式のブローカー業務は法律で禁止しているわけでございますけれども、それ以外の商品というのは法律的にはすべて認められるという仕組みになっております。もちろん、証券子会社が参入する地域とかあるいはその置かれている状況あるいはそこにどういう中小証券会社が存在するかというようなことによって具体的な運用の問題はいろいろとあるわけではございます。

 しかしもう一つ言えますのは、証券子会社の参入という場合に、私どもはそういうリテールといいますか個人投資家の本当に窓口の部分と、それからもう一つは証券市場の構造の問題として、やはり発行市場における寡占の打破という非常に大きなねらいがあるわけでございます。発行市場における競争が促進されるということは、引き受ける証券会社がいわば四社ではなくてそれ以外の証券会社にも機会が出てくるわけです。そうなってまいりますと、特に銀行の証券子会社がもしそういう引受業務をやる場合には、これはなかなか自分で消化をするというだけの支店網を直ちに持つわけにはいかないだろうという感じがするわけです。そうなってくると、やはり中小証券会社で販売のためにいわゆる引受シ団のようなものを組むというようなことが考えられる。そうなりますと、既存の中小証券会社が扱う商品もやはりかなりふえてくる。ふえるといいますと語弊がございますが、例えば株式、債券あるいは転換社債、ワラント債にしましても、現在のところは発行市場の構造からしてかなり四社が販売をしているという状況になっております。ここら辺はやはり中小証券にそういうものがある程度行き渡るといいますか、それを販売するチャンスというのもふえてくるというような発行市場の競争促進による効果というものも考えられるわけでございまして、具体的にどこでどういうものが売られるかということになりますと、これは今申し上げたように参入の時期あるいは参入する地域等々を考えなければいけないわけでございますけれども、一般的に申し上げて、今申し上げたような発行市場における競争促進効果というのは、一般の投資家がいろいろな商品にアクセスする機会がふえるという意味では、かなり大きな意味を持つのではないかというふうに考えているわけです。

 

○仙谷委員 附則十九条一項に「株券等」というのが書いてございます。この「等」というのは、つまり株券の外国で発行されたものという理解でいいようでございますけれども、それに限るということなんでしょうか、それとも株券のようなものというのも含むのでしょうか。つまりワラントとかCBとか、そういうものもこの「株券等」の「等」の中に含むのでしょうか。つまり純粋の株券以外については、法律上この制度改革によって銀行の証券子会社も引き受けのみならず売り買いの仲介もできる、あるいはディーリングもできるということになるのでございましょうか。その点をお答えいただきたいと存じます。

○松野(允)政府委員 この附則十九条一項に書いてあります「株券等」は、その後に括弧書きで「株券及び新証券取引法第二条第一項第九号に掲げる有価証券のうち株券の性質を有するもの」、こうなっております。したがいまして、これは外国株券、つまり外国で発行されたもので株券の性質を有するものということに限定されておりまして、ワラントとかそういったものは入りません。

○仙谷委員 今のお答えで、純粋の株式以外の株券類似のものというのは法律上いわば自由になったといいますか解禁をされたというふうに伺っていいと思うのですね、銀行による証券子会社、信託銀行による証券子会社にとって。

 今度は、地域の実情あるいは証券市場の状況、それから中小証券会社に対する激変緩和措置、こういう趣旨、そこで具体的に認めるか認めないかを決めていくんだという御答弁だったわけでございますが、これはいつごろ、どなたが、どのような仕組みの中で決めていくということになるのでしょうか。

○松野(允)政府委員 これは、先ほど申し上げましたように、例えば銀行が証券子会社をつくるとしましても、その銀行もいろいろな銀行があるわけでございます。そういう銀行が証券子会社の具体的な免許申請を行うという場合に、その銀行というのは例えば都市銀行もあれば地方銀行もあるわけでございまして、そういう親銀行の業態あるいは営業基盤、さらにその証券子会社が一体具体的にどこにできるのかとかというようなことを判断する必要がありますので、どうしても個々の免許申請の際に考えていくということにはなろうと思います。

 ただ、法律的な枠組みとしては、今申し上げたように、純粋な株券のブローカー業務以外は法律的にはすべて認められることになっておりますので、そこはそういう事情を考えながらできるだけ広い範囲で認めていく、中小証券会社に与える影響等について支障がない限りは。あるいは利用者の利便というようなことも勘案して、できるだけ法律の枠の中で、もちろん申請者の選択にはよりますけれども、認めていくということになろうかと思います。

○仙谷委員 私はまた、政令あるいは省令、政令だろうと思いますが、そういうもので一律に基準をつくって、例えばCB、ワラントについてはさあ今からいいんですよ、解禁しますよ、また投資信託あるいは貸付信託の受益証券についてもこの時点からいいんですよというやり方をなさるのではないか。つまり、株券についてもこれは「当分の間」というのがあるわけですね。当分の間が一年、二年、三年ぐらいの時間なのか十年ぐらいなのか、あるいはもうちょっと三十年ぐらいかかるのか、「当分の間」というのは、日本語の中でも、あるいは法律用語としても極めていいかげんな用語でございますので、ある時期をだれかが判断なさって政令か何かで決めるのかと思っておったのですが、そういう個別の免許申請、その免許申請に係る証券子会社が扱いたい品目を申請してきたその都度免許を与えるといいますか認可をする、こういう方法でなさるということなんですか。

○松野(允)政府委員 今申し上げましたように、やはり個々の事情というものを勘案しなければいけないという状況があろうかと思います。もちろん御指摘のように、例えばある一定の時点から先は認めるとかいうようなことがはっきり言えればそれにこしたことはないわけでございますけれども、そういうふうに画一的にできるかどうか。これは、個々の免許の際に判断をする、そういうものを積み重ねていって、そういう状況になればそれはそれで一つの考え方でございますけれども、初めから地域、営業基盤等々、あるいはどういう銀行が証券子会社をつくるかということを勘案しないで画一的に判断をするということは非常に難しい。ですから、実際には個々の事情を見ながら、できるだけ投資家のニーズに合うような形で免許申請について審査をしていくという中で具体的な運用が決まっていくということにならざるを得ないのではないかというふうに思います。

○仙谷委員 今度は、業者の方からいいますと業務範囲の問題でございます。消費者の方からいいますと、どこで、つまり私は徳島でございますので、徳島の池田という野球で有名な町の町民でいいますと、池田町の町民はどこまで歩いていけば多様な金融商品にアクセスすることができるのか、つまり選択権を具体的に行使することができるのか、こういう話になるわけでございます。

 今のお話ですと、まさに今銀行業界等々でも、業務範囲、もっと言えば個別的に扱える商品の範囲がよくわからないので、うまみがあるのか、メリットがあるのかデメリットが大きいのかわからないという業界的言葉も聞こえてくるのですね。その反面として、今おっしゃられたような個別的な免許申請時に認可を与えるということになりますと、個別の商品についても認可を与えるということになると、これはまたまた大蔵省の権限強化である、大蔵省のオプションを広げるだけだ、こういう議論も、例えば「金融財政事情」という、大蔵省の機関誌とこの間正森先生がおっしゃって、違うとおっしゃっていましたけれども、大蔵省の大先輩の方々が理事に連なる雑誌の中で、ある銀行マンの、銀行の多分重役さんか部長さんかでしょう、そういう方々の発言として書かれておるわけですね。私は、このやり方は三つぐらい問題があると思うのですよ。三つの問題点は後から申し上げますけれども、むしろこの法律をつくる今の審議過程で明らかにされた方がいいんではないだろうか、できる限り具体的に明らかにされた方がいいんではないかという気持ちを持っております。

 といいますのは、自由化、競争促進といいながら、どの範囲で自由化がなされ、具体的に競争が促進されるのかというのが、おっしゃられた発行市場の方はわかりますよ。だけれども、庶民にとっては、発行市場というのは遠い世界の話ですからよくわからない。つまり、商品販売の市場というか、そこで何が我々の目の前にあらわれてくるのか、そういう観点からいいますと、やはり自由化、競争促進といいながら、それが具体的になってないというそしりは免れないんではないかというのが第一点です。

    〔持永委員長代理退席、委員長着席〕

 それから第二点は、やはりこのやり方はどうも国会審議を形骸化し空洞化するんではないかという感覚を持っております。つまり政省令で定める、あるいは政省令ではなくして個別の具体的な認可の段階で、営業免許を与える段階で決めるということになりますと、せっかく我々こういう制度改革がいいのか悪いのかという話を議論しておるわけですが、それとはいわば、全く関係ないとは言いませんけれども、余り関係ないところで実質的なことが決められていく。せんだっての、私証券局長にも申し上げました。細谷委員からも申し上げた。つまり、飛ばし禁止規定を換骨奪胎するかのような除外規定を、省令第五十五号でございましたか、そういうのでつくってしまった。これは全く国会は関係ないわけですよ。それから、せんだって主税局の方でも、ある租税特別措置の法案について、衆議院で可決した後、省令でひっくり返す。まあ経過措置をつくれという意見があったけれども、それとは関係なしに衆議院は法案が通っていって、参議院段階あるいは参議院で成立した後で政令で経過措置をつくる、いわば原則と例外がその局面では逆転するというようなことが起こりました。私も二年間しか経験ございませんので、まだ二例しか経験しませんでしたけれども、たびたびとは言いませんが、そういう原則と例外が逆転するというふうなことが起こるとすれば、国会の審議というものは何なのだろうか、法案審議は何なのだろうかという問題が起こります。

 そして三つ目の大問題としては、これは業界問闘争が法案成立後に激化するだろうと私は予測をいたします。そして各業者のちょうちんを持つ??ちょうちんを持つというのは余り上品な言葉ではないですけれども、各業者の既得権益を守ろうとする政治家の方々が暗躍しないという保証はどこにもないわけでございます。つまり、族議員という方がいらしゃるのかどうかわかりませんけれども、証券業界の利害を代表する人、それも四大証券と中小証券というふうに分かれるかもわかりません。銀行の利害を代表する人、信託銀行の利害を代表する人、組んずほぐれつの闘いが法案成立後に、この商品については免許をおろせとかおろすなとか、それだけはだめだとか、そういうことになるのしゃないのでしょうか。

 現に、私がこの法案についていろいろな業界の方々からレターといいますか、党の部会等々に来ていただいて意見を聞いて紙をもらっておりますが、詳細に読んだり、いろいろその後に入ってくる情報を拝見したり聞いたりしますと、どうも各業界とも、総論は賛成だけれども各論になるとなかなか難しいぞという気がするわけでございます。その調整を大蔵省がおやりになることによって権限強化につながるということになるのか、あるいはもう泥にまみれてどうしようもなくなるのか、私はこの両方とも懸念をするわけであります。したがいまして、現時点でこれとこれは大体このぐらいをめどに認可していくんだ、していかないんだ、そういう方針をお示しいただいた方が業界の方もさっぱりして、さあこれから参入しようか、するのはやめようかという計算も成り立つ。そして庶民の立場からいうと、あっ、そういうものが池田町でも買えるんだな、そういう話になるわけでございます。大蔵大臣、この点はいかがですか。

○土田政府委員 私どもの平素の行政に対する御批判、非常にいろいろあると思いますので、ちょっと事務的にまず私の方から御説明を申し上げます。

 このたびの、これは証券子会社に限らず全般的な、銀行子会社、信託銀行子会社、証券子会社の業務範囲については、最終的な姿は法律の段階で明示されておるところでございます。それは、あるものについては当分の間という断り書きがついておりますから、この当分の間というのは、やはりその条件を取り除くためにはまた法律改正の措置が必要でございますが、それ以外のものは、例えば信託銀行子会社につきましては、究極的にはこの業法によって認められるすべての業務であるということははっきりお示ししておるわけでございます。

 そのようにして私どもは土俵はつくりたいと思っておるわけですが、その際に、この導入の段階、初期の段階においてどうするかというのは、これはやはり、現にそれぞれの地盤を持ち、それぞれの業務、得意わざを持って営業しております個別具体的な業者がおりますので、その競争条件の公平性の確保ということは考えなくてはいけない。そこで、当初の業務範囲は、一定のものを除くとか、ないしはさしあたりこのようなものに限るとか、いわばそのような尾ひれをつけた御説明を申し上げておるわけでございます。

 ただ、そこで一つ二つ申し上げたいのは、第一には、このような土俵をつくったといたしまして、それに乗るか乗らないかは個別の業者の判断でございます。例えば、ただいま御指摘の御出身の場所の近くにどのような店をつくり、どのような営業をしたらもうかるかというのは、これはそれぞれの業者の判断によるとしか言いようがない。ただし、そこにもうかりそうなニーズがあればそれに対応するはずである、そこが一つの競争というものである、そういうふうに私どもは考えております。

 それから、さらに今後いろいろと肉づけを考えていくわけでございますが、そのときには、一つの業態を取り扱っているわけではなく極めて多数の業態、それぞれのすり合わせの上にこの全体的な自由化、競争の促進というものを円満に進めていきたいと思いますので、全般的なすり合わせなり広がり方については、そのスピードとか何かを考えるに当たっては相互関係を考えることが一つ必要でございます。つまり、Aの業態の方でどのくらいいわば前に出ればBの業態はそれに対応してどのくらい前に出ようとするか、やはりそういう相互関係というものをにらみながら交通整理をしていく必要がございますので、AならAという業態一つだけを論じても始まらないところがございます。そこのところは実は御理解いただきたいのでございます。

 しかしながら、それならば役所は黙っていて何もしないかというと、そういうことはございません。例えば、従来法律上の枠取りをしていただきましたものとしましては、一つには信用金庫が外

国為替業務を営めるようにする、そういう法律上の枠取りをつくっていただきました後に、それは多年、時間はかかりますけれども、具体的な信用金庫で外国為替業務を扱うことができる者がだんだんとふえてまいります。そこのところは、行政の方で批判を招かないような運用に努めておるはずでございます。また、もちろんのことながら、今度これだけの御審議をいただいておりますときの国会でお出しいただきました議論というものを踏まえて、その運用に努めてまいりたいと思うわけでございます。

 さらに、最後に申しますと、いろいろと業界間闘争が激化するかもしれません。しないかもしれませんが、それは法改正に始まったことではなくて、平素私どもはいろいろな業界のお相手をしているわけでございますけれども、やはり常に対外的に国民にも業界にも説明できるような内容の行政でなければならない、そういうことは平素から考えております。ただ、重ねて申しますが、今回のこの制度改革の全体のねらいは競争の促進であり自由化でありまして、その基本方向は権限強化を意図するものではないということは申し上げることができると思っております。

○松野(允)政府委員 今銀行局長から申し上げたとおりでございまして、事証券市場に関しましては、我々の方は、ともかく参入による競争促進が必要だという点は非常に痛感をしているわけです。それは特に発行市場において必要であると認識をしております。その発行市場における自由化、競争の促進が、具体的な個人投資家レベルでの商品のアクセスがふえるということにもつながっていくわけでございます。もちろんいろいろな規模の証券会社がございますから、今銀行局長から申し上げましたように、各証券会社も、地域においては地域の金融機関等々ともやはり営業上の競争をするということになるわけでございまして、そういった点を考慮に入れて、しかし、大枠ではともかく法律上は株式のブローカー業務以外はすべてできるという方針がはっきりとしているわけでございますから、そこは今までのように方針がはっきりしないで業際問題としてお互いに争い合っているのとは全く違う話ではないか。基本的には、我々としてはできるだけ早く法律上認められた業務はすべてできるようにするという方向というものは踏まえてやっていくということは必要だというふうに思っております。

○仙谷委員 私が指摘したいのは、ルールは当分の間の純粋の株券以外は自由になったということですね。子会社をつくれば自由にやれる、そういうことになった。ところが、実態はそうじゃないんですよ。当分の間がついているのは株券だけだったはずなのに、当分の間は例えばこの種のものについては申請してきても、公正な競争条件が確保されないまだまだその地域の証券会社は弱い、そんな話になりますと、その判断をだれがするのか。大蔵省がする。ここに次心意性が全くないということをどうやって担保するのかという問題にもなります。そしてまたまたルールと実態の乖離という問題が出てくるんではなかろうかな、こんな感じがいたします。

 例えば、地方のことじゃなくても、この東京のことを考えましても、法律上は証券会社が信託子会社をつくる、銀行が信託子会社をつくった場合に、ファントラを含めた金銭信託というのは許されるんですか、許されないんですか。

○土田政府委員 法律の規定の問題としましては、すべての信託業務を扱うことができるということを想定いたしまして規定をつくっております。

○仙谷委員 金制調でございましたか、そこでは、これも当分の間でございますか、認めないこととするという文言が入っておるようでございますが、この金銭信託については認めないことになるんじゃないですか。もし認めないことになるとすれば、この金制調の答申というものが何らかの法的な拘束力があるということになるんでしょうか、それともそれは関係ないということなんですか。

○土田政府委員 答申で書いてございますのは「貸付信託、年金信託等の金銭の信託等の一部を除く」ということでございまして、この限りでは、例えば貸付信託とほぼ同等の機能を有するような合同運用指定金銭信託などはやっぱり除くべきであろうと考えておりますが、金銭の信託、これはちょっと金銭信託とは違った概念でございますが、その金銭の信託の中のどこを認め、どこを認めないというふうにするかというのは、率直に申して今後の研究課題でございます。

 ただ、そのように個別の業者に対してどのような業務を認めるかというようなことは、手続論といたしましては、それぞれの業者の業務方法書というものがございまして、その業務方法書の認可に当たってその位置づけを明らかにしていくというようなことになると考えております。

 

○仙谷委員 結局、また先ほどの証券子会社の問題と同じ問題がここも出てくるのですね。それで、先ほど土田局長がおっしゃいました、この業界とこの業界も、言葉ではごうはおっしゃらなかったけれども、私に聞こえてきたのは、両業界間の取引条件といいますか、おまえのところにはこれを認めるからこっちの方には金銭信託を認めよと、こういういわば談合というかネゴシエーションみたいなことがそこで、業者間で行われるのか大蔵省を間に挟んで行われるのかわかりませんけれども、そういうことが行われる余地があるといいますか、そのことをむしろ正当化しておるんではないかということすら私は感じるわけでございます。

 といいますのは、四大証券の興味あふれる対象は、多分ファントラを含む指定外金銭信託だと思うのですね。これがないと全く興味の対象にならないということになろうかと思います。銀行、信託銀行の興味は、これからお伺いしますけれども、投資信託じゃないかと思うのです。あるいは貸付信託じゃないかと思うのですね。そのことについて方針が出ない、あるいは個別に営業免許を申請して、延々と免許がおりるかどうか政治家の力をかりながら大蔵省と交渉する、あるいは他業界のトップ会談まで行われなければならないというふうな事態が予想されるんではないかという気がして私はしょうがないのですね。だから、国会でせっかく今やろうとしておることは、有価証券の列挙する範囲を広げて、六十五条の銀証分離、その対象から外すものについても規定を新たに定めて、新たに有価証券とされるものの仲介業務についても認めるとか、私募債についても認める。ここはルールで認めながら、一番肝心なところについては、ルールはあるけれども実態は今後の検討課題というのでは、これは甚だ不明朗、不健全ということになってしまうんではないか、そう考えるから申し上げておるわけでございます。

 その辺、土田局長の信託子会社の業務の範囲といいますか、扱える商品の範囲については、これはお伺いしますと、やはり個別の免許申請に際して判断をするということですか。それとも、検討課題というお言葉もありましたので、これはある時点に国会に諮って、国会の審議のもとに決めていくということなんですか。どうなんですか。

○土田政府委員 法律上その枠取りが広くとってありながら、当初の段階ではその全部を認めるに至らないという理由は、これは金融制度調査会の答申にも書いてございますように、金融機関の競争条件の公平性の確保などに配慮する必要があるからでございます。やはり具体的に、さまざまな業態のさまざまな業者が現存いたしますので、その中からおのずから秩序ある競争を期待したい、それが全体としての自由化をより早く進める理由であるというふうに私どもは考えております。

 一つ二つこの例を申しますと、そのような結果、その個別業者に対する一種の許認可を通ずるコントロールというものによって入り口を最初は狭くし、だんだんと広げていくということは、これは日常そうならざるを得ないというものは幾つもございます。先ほども信用金庫の外国為替業務のことを申し上げましたが、そのほかにもやはり同じ時期に発生した問題といたしましては公共債

のディーリング業務でございまして、これもやはりその個別認可を通じてだんだんと広げてまいったというようなことでございます。さらに、これは制度としては古いのでございますが、近ごろ積極的にその取扱業者の拡大を図っておりますものとしましては、担保附社債信託法によるところの担保の受託の免許でございます。このようなものも近年できる限り取扱業者の枠を広げまして自由化を図っておるところでございます。そのようなものにつきましては、もちろん不明朗な印象を招いてはならないということで、そこは十分気をつけてまいりたいと存じます。

 さらに具体的な信託子会社の業務につきましては、これは私どもも一般論としましては、業務運営の状況とか、今申しましたような競争条件の公平性の確保とか、それからさらには金融を取り巻く全般的な環境の変化も見定めて対応してまいりたいと思うのでございますが、その中でこれは研究をいたしまして、なるべく早目にいわゆる審査基準のようなものを示すようにできればいいなというふうに私どもも考えております。

○仙谷委員 この点は重ねて銀行局、証券局の方で、認可の基準なのか審査の基準なのかよくわかりませんけれども、そういうものをおつくりになるということでございます。その基準が国会での、大蔵委員会での論議の対象になるようにぜひ大蔵省の方としても御留意をいただきたいというふうに私は考えております。

 それでは、次のテーマに移ります。

 投資信託の現況をお教えをいただきたいわけですが、まず投資信託の純資産総額が昭和六十三年からどういう推移になっているか、これについて答弁をお願いをいたします。

○松野(允)政府委員 投資信託は株式投資信託と公社債投資信託と両方ございますが、合わせたところで純資産総額を申し上げますと、昭和六十二年末が四十二兆九千億、それから六十三年末が五十二兆八千九百億、ほぼ九千億でございます。それから平成元年末が五十八兆六千五百億、平成二年末がほぼ四十六兆円でございます。それから平成三年末が四十一兆四千七百億、ことしの三月末で三十八兆八千億弱というくらいの数字でございます。

○仙谷委員 一緒にお伺いすればよかったのですが、証券局の方では、こういう漸減傾向といいますか、あるいは急激な減少についてどう分析をされていらっしゃるのでしょうか。

○松野(允)政府委員 今申し上げましたように、平成元年末が五十八兆六千億ございましたのが、ことしの三月末で三十八兆七千億ということでございますので、ほぼ二十兆円ほど減少をしているわけでございます。これの大きな原因は、やはり何といいましても株式の運用減、つまり評価減でございます。

 参考までに申し上げますと、株式投資信託の残高が、六十三年末が三十九兆二千五百億だったのが、ことしの三月末が二十五兆二千億弱でございまして、十四兆ぐらい減少しております。公社債投資信託の方はほぼ横ばいと見ていいと思います。一時下がりましたけれども少しふえまして、六十三年末と本年三月末とは三十五兆六千億ぐらいのところでほぼ同じ数字でございます。

 株式投資信託の減少というのは、やはり今申し上げましたように株価が下がったということによる運用の減と、それからたまたまこの株式投資信託が本年かなり償還を迎えております。元本割れのような状態で償還を迎えておるわけでございますが、そういうようなことでかなり減少し、かつ新たな設定というものも、今のような市況の状況で、なかなか設定をして販売ができないというような状況もございますが、しかし何といっても一番大宗を占めておりますのはやはり運用減だということでございます。

○仙谷委員 ウナギ登りに増加をしてきたこの投資信託が、いわば残高ベースでも、おっしゃられたように株式の評価といいますか株価自体に左右されているとはいいながら二十兆円も下がってきた。つまり新たな設定をしても、証券会社の販売担当者が一生懸命セールスをしても、どうも個人投資家がもう投信は嫌だということで参加してこないというところにも大きい原因があるのではないだろうかと私は考えております。

 ちなみに、この投信の販売との関係でございますが、ことしの三月末で大手の四つの投資信託委託会社が設定をしております投資信託がどういう証券会社、つまりどういう系列の証券会社の手を通じて売られているかという点でございますが、この点についてお答えをいただきたいと存じます。

○松野(允)政府委員 大手四投資信託会社、これは野村、日興、大和、山一でございますが、残高ベースで把握をしておりますけれども、これが本年三月末の残高に占めますいわゆるグループといいますか友好関係があるといいますか、そういう証券会社を通じて売られたものが九割、あるいは場合によっては九四%ぐらいに上っている証券会社もございます。したがいまして、逆にそういう関係にない一般の証券会社を通じてこの四社の投資信託が販売されている割合は、一割から低いところでは六%ぐらいというような数字になっております。

 

○仙谷委員 さまざまな問題がこのいわゆる系列で売られているということの中から指摘をされておると思うのです。先ほどおっしゃられた答弁に加えて、この大手の四つの投資信託会社のシェアが、総資産のベースで、あるいは元本のベースでも六八%、大体七〇%ぐらいいっているという資料もいただいておるわけでございます。ここですね。投資信託委託会社と四大証券、そして四大証券のそれぞれのグループとおっしゃいましたが、友好的なグループといいますか系列、この中でしか投資信託が売られないということは、投信の業界といいますか、あるいは投資信託市場について好ましいことなんでしょうか。それとも、もう少しその辺に何といいますか、クロスといいますか、自由な競争といいますか、自由な選択というものが販売会社の方にもある、あるいは投資信託委託会社と販売に係る証券会社の間にももう少し自由な、卸というのですか小売というのですか、そういうものがあった方がいいというふうにお考えでしょうか。

○松野(允)政府委員 この証券投資信託につきましては、もともとこれが証券会社本体で行われていたという歴史的な経緯のようなものがございます。そういったようなことで、特に大手四大証券の子会社であります、子会社といいますか関係会社であります投資信託会社の販売が、主としてその大手証券会社で行われているというのは既に数字で申し上げたわけでございますが、私どもの考え方といたしましては、証券投資信託というのは、いわば個人が証券市場に参入する場合の入り口に位置する商品ではないか。債券もございますけれども、株式に比べるとやはり専門家が運用をして、それなりにリスクを小さくしている商品だというふうに考えるべき商品であろうと思うわけです。

 そういったことからいいますと、今のような販売の実態というものについては、我々も非常に問題意識を持っているわけでございまして、その経緯がございますから急にこれを一変する、変えるというわけにはいかないわけでございますけれども、従来から中小証券会社に対して新たな投資信託商品をつくるということをその四大証券の関係の投資信託会社にも指導しておりますし、実際にそういう商品もできております。

 またあわせまして、ごく最近、この投資信託会社の参入という問題について基準を緩和をいたしまして、投資顧問会社からの参入を認めたわけでございます。投資顧問会社からの参入といいますと、今度は投資顧問会社は銀行あるいは保険会社、いろいろな業態から参入しておりますので、そういうところを通じて間接的ではありますけれども、証券会社系統でない投資信託会社というものが新たに出てくるということを期待をしているわけです。それ以前に、外国の委託会社も既に進出をしておりますけれども、やはり国内についても、そういう投資信託会社の証券会社系統でない

ものというものもかなり参入してくることを期待し、そういったことを通じて販売網も特定の証券会社に偏らないで、いろいろな商品ができれば、その商品を取り扱いたい証券会社は、その投資信託会社に自由にアクセスできるというようなことを図っていくことによって、投資信託を通ずる証券市場への個人の資金の導入といいますか、あるいは個人の資産運用というものを拡大していく必要があるのではないかというふうに考えているわけです。

○仙谷委員 今、投資顧問会社に投信委託会社を設立させるといいますか、子会社で投信委託の方に参入させることを認めたのだ、こういう趣旨の答弁があったかと思いますが、これについては、別に子会社までつくらせるむだをする必要はなかったのじゃないだろうか。投信委託会社がやっていることと、投資顧問一任契約で運用アドバイスをやっていることは、顧客が集合体であるのか、信託する財産が合同のものなのか、それとも個別の顧客なのかという違いだけがあるだけで、運用アドバイスという意味ではそれほどの差がないじゃないか。現に、だからこそ投信委託会社は投資顧問を兼営できることになっているではないか。だから、投資顧問についても、直接投資顧問の会社が投信委託業務ができるというふうにすべきではなかったかという批判もあるようでございます。

 この間、庶民の投資信託に対する怨嗟の声というのは、昨年の証券・金融スキャンダルを通して非常に大きくなっておるわけでございますが、投資顧問業者に投信委託に参入させるということのほかに、大蔵省の方で指導しない方がいいことなのかもわかりませんけれども、つまり、ある種の業界との協議等々によって、業界が自主的に改善方を決めたというふうなことはございますでしょうか。

○松野(允)政府委員 この投資信託委託会社の問題、特に証券会社との関係が非常に問題になるわけでございまして、やはり投資信託委託会社というのは、不特定多数の投資家から集まったお金を運用するわけでございますから、全く独立の立場で適正な運用判断をしなければいけないということになるわけでございます。

 そういった観点からいいますと、例えば資本関係というものも、余り特定の会社に依存しているのはどうかとか、あるいは運用についてファンドマネジャーというものをちゃんと養成して、きちっと独立した立場で運用方針を決めなきゃいけないとか、販売につきましても余り特定の会社にだけ依存するのも問題があるとか、いろいろな問題があるわけでございます。こういった点についても、従来から私どもも行政上、いろいろと指導をしているわけでございますけれども、投資信託協会の方でもいろいろと検討いたしまして、いわば自主ルールを策定したわけでございます。

 この自主ルールは、投資信託制度全体の見直しという観点でいろいろと、今申し上げた独立性ということに重点を置いてつくられております。この独立性につきましては、これはことしの二月に改正して、より強化されたわけでございますけれども、例えば人事の問題につきましても、関係の証券会社との人事交流とか、あるいは関係の証券会社から余り多くの人間を受け入れるというのはいかがかというような人事面に関するルール、これは具体的には、役員について例えば五分の一以上の者が関係証券会社から来るというのはどうだとかいうようなことになっておりますし、それから運用につきましても、これはできるだけ先ほど申し上げた中小証券を利用した、いわゆる我々は公開販売と言っておりますが、公開販売の割合をできるだけふやしていく。さらに、この運用に際しての注文、発注でございますが、これもできるだけ分散をするというようなこと、あるいは関係証券会社が引き受けたものを余り運用資産に組み込まないというようなこと、いろいろな問題で、運用については、本来はファンドマネジャーというものがきちっと日本で育ってくればおのずから解決するわけでございますけれども、現在のところ残念ながら、まだファンドマネジャーというものが十分な数が確保できてないという事情もございます。

 そういったことで、運用に関してかなり細かい自主ルールをつくったわけでございまして、いずれにしましても、こういうようなことで投資信託というものが従来のように、まあ経緯もありますけれども、関係証券会社のいわば手足のような位置づけになっているということはやはり非常にぐあいが悪いわけでございまして、やはり投資信託という商品をつくる会社とそれを販売する会社というものは別のものであるということで、できるだけそういうものが別々になるように、いい商品はだれでも売れるという方向に持っていくことが必要でありまして、投資信託協会の自主ルールも基本的にはそういう方向に持っていくということに沿ったものだというふうに考えております。

 

○仙谷委員 私は、個人的見解といたしまして、この投資信託というのは、先ほど局長もちょっとおつしゃいましたけれども、素人が鉄火場である証券取引といいますか株の取引に直接出動するといいますか参加する、それも信用取引でやるなどということはできるだけ避けた方がいい、この投資信託こそが個人の資金の資金還流あるいは資本市場への参加の一つの大きなポイントだろうと思うのです。今のスキャンダルがあったことも原因にあるのでしょうけれども、郵便貯金に個人の資金が集中するというのは、資本市場という観点から考えたら不健全だと思うのです。それから、個人のポートフォリオと言うと大げさですけれども、資金運用から考えましても、そろそろ一人一人が自己責任に基づいて判断していろいろな投資の仕方をするといいますか、お金の預け方をするということが重要なのではないか。例えば、今のように公定歩合が引き下がって預金の金利が下がってきます。そうすると、年金で生活されている方は、けしからぬ話だとお怒りになっています。私はごもっともだと思います。ごもっともだと思うけれども、そのためにこそ金融商品の多様性というものがまさに保障されなければならない。つまり、銀行金利が下がったときには、そこで投資信託の方に、あるいは公社債投信であれば何%の利回りがあるということであればそちらにシフトさせる、あるいは証券投信で多少のリスクはあるけれどももう少しリターンがいい方にかえる、そういうことになるのが本当の健全な資本市場と個人のあり方だと思うのです。

 そういうふうに考えていきますと、投資信託は健全なものになっていただいて、それが一人一人の市民といいますか庶民に見えるような格好にしていただいて、従前のようなあおり唆すような販売方法ではなくて、自己責任の原則に基づいてちゃんと投資が行われる市場にしなければいけないと思うのです。そういう観点から考えますと、投資信託の受益証券を売るというのが、今度の金融制度改革の中で、法律上は銀行による証券子会社にも信託銀行による証券子会社にもできるようになっておるわけでございますので、投資信託市場のことを考えても、それから投信委託会社と販売会社の独立性という点から考えても、どうも投信の販売については解禁なさった方がいいのじゃないかという持説を持っておるわけでございます。その点、証券局長いかがでございますか。

○松野(允)政府委員 証券投資信託の販売につきましては、確かに個人の証券市場への参入に当たっての入り口で、一番それに適した商品であろう。いろいろなものができるわけではございますけれども、そういったことからいいますと、確かにできるだけ広い窓口で売るということが必要であろう。ただ、一つあえて申し上げますと、中小証券会社も、今や株式に余りにも偏っているのは不安定だという感じも持って、反省をして、投資信託あるいは債券というようなものの販売をふやすということで営業基盤の強化を図っていくというようなことに努力をしておりますし、また、そういう方向にいかないと中小証券がこれから健全な営業基盤を持って営業を行っていくということもなかなか難しいのではないかというような問題

もあるわけでございます。そういった点について、全くそれを無視するわけにはまいりません。しかし一方では、先ほど申し上げましたように、既に投資信託の委託会社について、銀行系、これは孫会社の形ではございますけれども、銀行系の参入を認めるということに踏み切ったわけでございますし、また、具体的に銀行が設立いたします証券子会社というのがどの程度の販売網を持つのか、つまりそれが直ちに、中小証券会社が今申し上げた投資信託等を中心にして営業基盤を強化していくのに非常に支障になるのかどうかという点についても考える必要があろうかと思うわけですけれども、基本的には今御指摘のように、投資信託の販売については前向きに考えていく必要があるのではないかというふうに私も思っております。

○仙谷委員 銀行局長、同様のことが、貸付信託受益証券でございますか、これについても言えるのじゃないかと思うのです。これについてはいかがですか。

○土田政府委員 貸付信託につきましては、実は貸付信託法の中に、受益証券は有価証券とするという規定はございます。ただし、実際に行われておりますものはまずほとんどが記名式でございまして、実はこの点は恐らくこの法律を制定したときの期待とはやや違っておったのではないかと思います。記名式の場合には、普通の預金証書と同じような、かなり譲渡性が制限されたようなものになりますので、その限りにおいては有価証券性がほとんどないということになるわけでございます。そういうこともございますので、貸付信託の記名式の受益証券を信託業者の店頭以外の、いわば他の会社の店頭で売るというようなことは実際上行われておりませんので、ただいまの御意見でございますが、実際には余り行うことができないのではないかと考えております。

○仙谷委員 これも法律上は解禁をされておるということになるのだと思うのですね。だから、信託子会社をつくった場合、あるいは地方銀行が本体でこの受益証券をリテールするということがあってもいいのじゃないかと思うのですが、それは記名式であるという理由だけで無理なんでございましょうか。

○土田政府委員 なお研究いたしますが、最前から申し上げておりますけれども、貸付信託そのものはいわば信託子会社の当初の業務範囲からは除かれるわけでございます。したがいまして、その貸付信託の受益証券の発行は現在それを行っておりますものだけということに当分の間はなると思います。

 それから、現時点では、この貸付信託の受益証券は預金証書と同じような扱いをされておるものがほとんどであるということでございますので、預金証書を他の業者の店頭で扱うことがいいかどうかという問題を含めまして、なお若干検討させていただきたいと思います。

○仙谷委員 投資信託市場につきましては、特に庶民の多様な商品へのアクセスという面から考えても重要な問題だと思いますので、そしてまた資金の還流という点からも極めて重要な問題じゃないかと私は思っておりますので、早期に鋭意検討をして確定をしていただきたいなというふうに考えております。

 時間がなくなりましたが、フャイアウォールについて一、二点伺っておきます。

 顧客リストの漏えいという問題が従前ございました。銀行の顧客リストですね。私が持っております資料によりますと、東洋信託銀行、旧三井銀行、三菱銀行、長期信用銀行、朝日生命、東邦生命、第一生命、そしてつい最近の協和埼玉銀行による埼玉県知事選挙の畑さんの後援会長と言われる人の預金の通帳が新聞に出たという事件でございます。

 この金融制度改革との関係でも伺いたいわけでございますが、金融機関から顧客リストが一般にも流れているということがあったわけでございます。これについて今各金融機関がどういう内部的な管理体制といいますか処置をとっておるのかという点と、それと今回のファイアウォールに絡んで、証券子会社、信託子会社あるいは銀行子会社とのファイアウォールに絡んで、顧客の名簿とか財産状態を記した書面というのが各金融機関にあるはずでございますが、これを各子会社が利用するということはファイアウォールとの関係でどういう位置づけになるのでございましょうか。

○土田政府委員 問題を二つに分けて御説明申し上げますと、一つは、過去に、最近もございましたが、銀行の持っております顧客に関するデータが外部に流出する、漏えいする、そういう事態が時々発生をしたということでございますが、これはもちろん、外部に流出させることが銀行の内部規定上認められてもおらないのにかかわらず、いろいろな過失的なものもあったかと思いますが、管理不十分な事態もありまして、それが外部に流出するということでございました。これは極めて遺憾な事態であったと考えております。

 これにつきましては、既に、最近では一昨年の六月でございますが、全銀協などの各金融団体に対しまして、顧客情報の取り扱いについてより一層厳正な対応を行うように指導をいたしたところでございます。

 それから、この背景といたしましては、一つにはコンピューターを利用いたしました情報処理、それから通信技術等の飛躍的な進歩によりまして情報の大量かつ迅速な処理が可能になったということがございます。そのような処理の一環として打ち出されたデータが何らかの理由によって外部に流出したというようなことであったかと思います。

 したがいまして、このような問題に取り組むためには技術的な研究、システム的な研究が必要であるという観点に立ちまして、これは金融情報システムセンターという団体がございますが、そこで個人データ保護専門委員会というものを組織いたしまして、金融機関における個人情報の収集や適正管理などにつきまして取り扱いの指針を策定したところでございます。今後とも、この指針に基づく各金融機関などの具体的な対応を見守りながら、適切に大蔵省としても対処していきたいと考えております。これがいわば本来流出すべきでないものが流出したということについての私どもの姿勢でございます。

 それからその次に、今後の問題として、このような銀行の持っております顧客に関する情報の利用をどうするかという問題でございますが、端的に具体的な今のお尋ねにもありましたような、親銀行の顧客台帳を証券子会社に流用するということにつきましては、これはむしろ、証券取引審議会の報告書におきまして、「発行会社、投資者等に関する非公開情報を親会社から証券子会社に伝達すること」については「所要の規制を行い、新規参入に伴う弊害を防止することが必要である。」というような指摘もございましたと思います。

 なお、さらに一般的にもう少し広げて問題を整理いたしますと、例えば外国などでは、アメリカあたりの例では、顧客の同意を得れば、この情報を顧客が同意した範囲内において第三者に提供することも可能であるというような考え方がとられておりますし、私どもの方も今後の一つの大きな研究を要する分野であるというふうに考えまして、なおいろいろとシステム的な問題、それから弊害防止の問題などを今後研究してまいりたいと思っているところでございます。

○仙谷委員 今FRBの指令の情報の交換に関する規則というのでしょうか、その部分で顧客の同意の点をおっしゃったのだろうと思いますけれども、顧客が同意すればそれは問題ないと思うのですね。とこちが、私の経験でも、さるカード会社に私は加入をしてカードを使っておるわけでございますけれども、どんな関係があるのかわかりませんけれども、いろいろな商品やら何かの宣伝が集中豪雨的に来るのですね。そんなものは僕は必要ないわけでございますが、来る。名簿を売っているか何らかの業務提携をして、いわばそのカード会社の顧客にダイレクトメールで、要するに販

売慫慂といいますか、何か仕掛けているとしか思えないのであります。年会費がそれに使われていると思うと、ますます怒りが込み上げるわけでありますけれども、この種のことがもう少し激しく行われな十という保証はどこにもないわけでございます。つまり、銀行業務と違って、先ほど申し上げた投資信託の世界とか、その他証券販売あるいは証券の仲介の世界になりますと、もう少し激しい攻勢が行われておったというのは、つい半年ぐらい前まではそういうことでございましたわけですから、こういう点について、私は厳しくすればいいというふうに言っておるわけではありませんけれども、つまり、余り厳しくすると、せっかく証券子会社が業務をしようと思っても全く何にもできないということになりますので、そうは申しませんけれども、顧客の同意というのも一つの道だと思いますが、適正なファイアウォールをおつくりをいただきたいと存じます。

 ファイアウォールについては、今おっしゃったので、多分アメリカのFRBの例とかその他諸外国の例があるようでございますが、こういうのを参考にされておつくりになる、政令でお決めになるというふうに伺っておいてよろしいのでございましょうか。

○松野(允)政府委員 アメリカのFRBでは非常に詳細な規定を設けており、中には一部緩和をしておるものもございますが、基本的には私どももそれを参考にしながら具体的な内容を考えていきたいというふうに思っております。

○仙谷委員 時間が参りましたので終わりますが、一番最初の方に申し上げたように、少々、最も重要な問題で、具体的に定まってない、検討中であるという問題が多いようでございます。できるだけその種の問題も、国会の審議にさらされて決められる、議論をされて決められるという過程をぜひおとりいただくように強く要望いたしまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。