1992年05月19日 大蔵委員会

○太田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仙谷由人君。

○仙谷委員 おはようございます。

 まず、大蔵大臣にお伺いしたいわけでございます。

 昨日の日経平均株価、一万八千円強と言うのですか、ちょっと超えるぐらい、出来高が二億一千万株ぐらいであったのじゃないかと思います。自民党の方もあるいは政府もいろいろな対策とおっしゃることをやられてきたわけでございますが、依然として株式市場の方にお金が回ってこない、つまり出来高ができない、したがって、当然のことながら株価も低迷を続ける、こういう事態だと理解をしておるわけでございます。

 もういろいろな方からよく言われておるわけですが、原因としては、そもそもエクイティーファイナンスということで大変な過剰発行がなされた。そしてまた、その資金が財テクに回ると同時に、一方では設備投資にも過剰に回って、今や供給過剰になっておる、実物経済の方も供給過剰になっておるということ。あるいは日本の株式の配当利回りが極端に低い、一%以下であるというようなことも言われておるわけでございます。

 かてて加えて、昨年来の補てんでございます。補てん問題に一応決着をつけてといいますか、そして現在、証券取引等の公正を確保するための証券取引法等の一部を改正する法律案、証券取引等監視委員会の設置を柱とする法案審議に入っておるわけでございますが、どうも依然として市場に対する信頼感がわき出てこない。その上に飛ばしというとんでもない怪物まで出現したというのが今の状況ではないか。

 この法案の審議をするに当たりまして、私は多少考えてみたわけでございますが、やはり政治とか権力の方が市場問題について余りくちばしを入れたり手を入れたりすることがかえってマイナスになっているのではないか、市場は市場に任せる、そのために、監視委員会と略させていただきますけれども、今度の監視委員会をつくるということではないだろうかな、そういう基本的な考え方を今持っておるわけです。その点については大蔵大臣、つまり市場と監視委員会といいますか、あるいは市場と政治の方からの働きかけという点についてはどういうふうにお考えでございましょうか。

○羽田国務大臣 確かに株価は御指摘のとおり低迷しておりました。ただ、御案内のとおり、このところ多少底が見えてきたといいますか、ある一定のものが今確保されておりますけれども、しかし、昨日あたりの扱いというのは二億二、三千万というようなことでございまして、扱いというのは非常に少ないものであろうと思っております。

 これの要因につきましては、今御指摘があったように、エクイティーファイナンス等が大変大きく行われたという中で、これが圧迫要因になっていることは事実でありましょうし、企業の業績悪化といいますか、そういったものがいろいろと表面に出されておることで嫌気が差したということもあろうと思っております。それと、御指摘の配当率がコンマ以下という日本の株式の現状に対するものがあろうと思っております。

 しかし、何といっても一番の問題というのは、御指摘がありましたように、大口投資家、こういった人たちには損失補てんがあって一般の人にはないということに対する不信、または、その後残滓として出てきております飛ばしの問題、こういったものが一番大きな問題になっておるのであろうと思っております。

 ですから、いろいろな対策というのは、経済の動向によってやることが必要なんでしょうけれども、小手先生言ってはあれですけれども、政府が、権力が元来この市場に介入すべきものではない、環境整備は必要でしょうけれども、直接の介入はすべきではないというのは御指摘のとおりであろうと思っております。その意味で、私どもは市場というものは一般大衆投資家の人たちにも均てんされるものである、いわゆる公正なルールがきちんと守られておるということと、いろいろな投資家の人たちが判断する材料がきちんと提示されるというようなことが基本であろうと思っております。

 そういうことで、今度の委員会をつくったということも、そういった不正なものが行われないようにということで、まさに株主の信頼を市場に取り戻すということで私どもは大きな役割を果たすだろうと思っておりますし、あと協会とかに自主的な一つの権力、権限といいますか、そういったものを業界の中で投資者保護のためにきちんと確立するということが、本当の意味で株式市場に対する信頼を取り戻すことになろうと私も考えておりますことを申し上げます。

 

○仙谷委員 市場の関係者に話を聞きますと、やはりわかりやすさといいますか、それがないとどうも投資家は投資をしない、あるいは信頼感というものが一番大事だ、そんなことを言う方が多いわけでございます。翻って考えますと、今までの証券行政というのはまさに証券業行政であった。証券業者を指導、監督、検査することによって間違いなきを期するといいますか、証券会社の経営の健全性を保つとともに、取引行為自体にも適正といいますか、不正なことが行われないようにする、いわばそういう法体系であるし、そういう行政の体系であったのではないかと思います。

 ところが、つい最近の飛ばしという例を拝見しましても、飛ばしを起こして、それが損失穴埋めなのか損失補てんなのか、言葉はいろいろありましょうけれども、そこで顧客に払ったお金が証券会社の経営の存立すら危うくしかねないような決算が出ておる会社も見受けられるわけでございます。これを見てみますと、業者の監督、指導、検査を通じていわば不正行為を予防する、あるいは証券会社の健全性を担保するというやり方は、結局のところ限界があるのではないかという感じがするわけであります。

 その限界を、なぜそうなるのかというのを考えますと、せんだっての大蔵委員会の議論でも、私ちょっとカジノ化というふうな言葉を使いましたけれども、どうも市場関係者に聞きましても、カジノ的な部分がないと証券市場にお金を出すという部分が少なくなるといいますか、そこがカジノ的な部分があるから証券市場というのは魅力なんだという議論をする方がいらっしゃるわけです。そして、そのこと自体、つまりキャピタルゲインをとりにいこう、配当利回りだけではなくてキャピタルゲインがとれるという、そこに魅力を感じて投資をする人が相当数いらっしゃるからこそ証券市場が成り立っている。つまり、銀行のような安定的な秩序が余り色濃く証券市場に出ると、証券市場というのは全く何の魅力もなくなってしまうようでございます。私は、証券市場がそういうカジノ的な部分が避けられないということをむしろ踏まえて、そこで業者の指導を通して市場をコントロールするということは、大いに限界があるのであって、やはりこの際??この際といいますか、原則として証券取引の行為自体を規制する。先ほど大蔵大臣もおっしゃった、ルールを明確にするとともに、チェック機関を確立をして、そうして証券取引の行為自体を規制する方向に大胆に大きく証券行政のスタンスといいますか、基本的立場を変えなければならないのではないか。

 そういう観点から見ますと、今度の監視委員会は、やや中途半端といいますか、半煮えといいますか、そんな感じがするわけでございます。この監視委員会の独立性について、これで十分なのか、あるいは中身で独立性の濃いものにするんだということなのか、その辺ちょっと抽象的でございますけれども、大蔵大臣にお答えをいただきたいと存じます。

○羽田国務大臣 今お話がありましたように、確かに株式市場には二面性があろうと思っております。確かに基本的には市場で資金を得る立場の方、あるいはまたこれを運用することによって利益を上げていくという方があります。そしてまた、このやり方についても、投機的なものと投資的なものの二つがあろうと思っております。しかし、いずれにいたしましても、これが公明正大な市場によって議論されていくべき問題であろうと思っておりますけれども、それであるだけにルールだけはきちんと守ってもらわなければいけないということで、またそういったものをチェックする機関が必要であろうということで、私どもは今度は八条委員会といいますか、この監視委員会をつくるようにしたということであります。確かにアメリカなんかはSECを外につくってある。それをやるべきであるといういろいろな議論もあったわけでありますけれども、私たちはこの効果を本当に発現する必要があろうという中で、行政のいろいろな調査とか集めた資料を十分活用しながら、あるいはこういったものを大臣に対してこのように対応すべきであるということを勧告できるとか、また大臣がそれをきちんと尊重して行ったかどうか報告を受けるとか、そういったことはきちんとされておるということ、またその身分が保障されておるということ、また委員等につきましても国会で任命されるというようなこと、そういうことから考えたときに、完全なものはなかなかできるものではないと思いますけれども、私は、今現在の状況の中にあっては、これが独立性を保ちながら、しかも要請にこたえる仕事をやることができるであろう、それによってまた株式市場に対する信頼を回復する大きな助けになっていくであろうという確信を持っております。

○仙谷委員 大蔵大臣は確信を持っていらっしゃるようでございますので、話を進めますが、結局、ただ難しい問題なのは、主観的に確信を持つかどうか、あるいは私どもがこれでいいだろうというふうに答えを出せないということだろうと思うのです。つまり、監視委員会が公正な市場を提供できるかどうか、あるいはそこで自由な取引を保障するに足りる存在であるか否か、この問題は、結局また市場の方で、マーケットの方で答えを出してくる問題であるというところが怖いところでございます。そして私は、そういう観点、そして今の市場の状況等々を見ますと、やはりこの監視委員会がより独立性が高められるような運用といいますか、あるいは政令の規定、そしてまた透明性がより高い、そういう制度にして運用しなければならないのではないだろうか、そう考えておるところでございます。

 具体的にお伺いをいたしたいと存じます。

 まず、権限の問題でございます。昨日、政令事項というものをいただきました。一生懸命読んだのでございますけれども、よくわからない。つまり犯則調査の対象になる部分と監視委員会の検査の対象になる部分、それから大臣官房金融検査部による検査の対象となる部分、この仕分けがどういう基準に基づいて行われたのか、この政令の骨子というのを読んだだけでは私はちょっとわからないのですね。この仕分けは何に基づいて、監視委員会のマターであるのか、そして監視委員会の中でも犯則調査と検査のそれぞれの事項であるのか、それから検査部検査の対象となっているのか、大体どんな基準でお考えになっておるのでしょうか。

 それともう一つは、この政令のところに書かれておるもので大体尽きておるのか、それとも全く、ほかの項目については追い追い政令として、

先ほどから申し上げている三つの検査の対象にするということなのか、これはいかがなのでしょうか。

○小川政府委員 新しい委員会と官房の金融検査部の間の職掌の違い及び委員会で行われます強制調査、それから証券会社に対する立入検査、それぞれの違いを政令でどのように書き分けようとしているのか、また考え方はどうかというお尋ねだと存じます。

 そこで、まず証券会社、証券関係の検査について申し上げますと、官房の金融検査部で行います検査は、証券会社の財務内容の健全性に関する検査でございまして、片方、委員会の方で行う検査あるいは調査の対象は、証券会社の財務内容の健全性ということではなくて、市場における取引あるいは証券会社が顧客と行う取引などにつきまして、さまざま決められているルールにのっとっているかどうかということを検査あるいは調査するものでございます。したがいまして、官房金融検査部で行います証券会社に対する検査は、その意味では銀行等に対する検査と似ているわけでございまして、企業体あるいは経営の健全性を財務面から見るという検査が金融検査部に残るわけでございます。

 それでは、次に委員会で強制調査と一般の立入検査を分けているメルクマールは何かと申し上げますと、強制調査の対象範囲といたしましては、考え方として直接的に市場の機能を損なうような行為あるいは取引の公正を損なうような行為を考えているわけでございます。

 政令で条文を引こうとしておりますものを内容的に申し上げますと、例えば相場操縦であるとかインサイダー取引であるとか、また証券会社による損失保証あるいは損失補てんといったような条文を政令で掲記しようとしているわけでございます。これらの行為は、いずれも今申し上げました直接的に市場の機能を損なう行為あるいは取引の公正を害するような行為であるということで、犯則調査の対象にすることを予定いたしております。

 残るところは、委員会によります証券会社に対する立入検査でございまして、これはお客さんと取引をするときにさまざまなルールを守らなければならない。例えば今度でも、大量推奨販売のようなことをやってはならないとか、あるいは値段が上がるというような断定的な判断を示して、この株を買いなさいといったようなことをしてはならないというルールがございます。こうしたものは証券会社が営業で守らなければならないルールでございまして、こうした証券会社のルールの遵守状況を見守るというのが立入検査の内容でございます。

 そうした考え方で、それぞれ政令を書き分ける考えでおるわけでございます。

○仙谷委員 ちょっと細かくなるかもわかりませんけれども、この政令事項の中に、反則調査の対象になる場合、つまり第二百十条の一項でありますが、「委員会の犯則調査の対象となる罪としてこということで、いただきました骨子の中に書かれております。これを拝見しますと、百九十七条の一号、八号、九号というふうに書かれておるわけでございます。例えばの話なんですが、百九十七条の一の二ないし一の六というふうな規定もあるようであります。そして、こういう罰則規定の中に盛られた構成要件といいますか、これについてはどこが検査するということになるのでしょうか。

○小川政府委員 お尋ねがありました証取法の百九十七条の一号といいますのは、いわゆる粉飾決算のような場合でございまして、虚偽記載のある有価証券の届出書の提出というものがあった場合に、これを今回は強制調査の対象とするということでございます。例えば八号というところで、相場操縦等、不正の手段、計画等あるいは相場操縦といったようなものについても強制調査の対象にするということでございます。

 お尋ねは、百九十七条のこの間の抜けている一の二号から以下の部分がどういうことになるかということでございますが、これは、虚偽記載のある有価証券の報告書の提出というところにはいろいろなケースがございまして、それを引いてあるわけでございます。したがって、ここでは「等を定める。」と書いてございますように、典型的な例を例示いたしてございますので、これに相当するような他の届出書の提出に虚偽記載があった場合の調査権限も委員会の方に定めるということを予定しているわけでございます。

○仙谷委員 そうすると、端的に言いますと、証券取引法上罰則規定が盛られておるものは、例外があるのかないのか私も詳しく検討しておりませんけれども、原則としてほとんど犯則調査の対象になるというふうにお伺いしておいていいのでしょうか。

○小川政府委員 今お尋ねがありましたように、強制調査の対象とする事項につきましては、基本的には刑事罰のかかっているものでありかつ委員会の性格からいたしまして専門的な知識を要するようなもの、例えば非常に簡単なあるいは委員会がその専門的知識をもってするのではなくてむしろ司法当局がふさわしいというようなものはこの委員会の強制調査の対象にはしない、そういう考え方でございます。

○仙谷委員 昨年の証券特別委員会で補てんの検査をめぐって問題になりましたのは、つまり証券会社がある株の取引を仲介する、まあ普通のスタイルはそういうことでございますが、市場から株を買うことを委託されて行うということになるわけですが、委託者に対する調査、検査というのがどうしてもできないというニュアンスが証券局の当局から語られたわけでございます。それは、旧来の検査の対象が基本的には証券会社だけなんだ、だから相手方である事業法人については調査、検査が及ばないのだという話でございました。

 その点は、つまり今度のこの委員会の検査、強制調査というものは原則としてはどうなんでしょうか。犯罪の構成要件のある??規定の定め方にもよりましょうが、しかし原則として行為を検査しもしくは調査するということならば、行為の相手方というものも調査の対象に入ってくるというふうにお伺いしてよろしいのでしょうか。

○小川政府委員 先ほど申し上げましたように、いわゆる損失補てんといった問題につきましては、既に条文が整備されておりますので、今回の委員会の強制調査の対象となる条文とすることを予定いたしております。

 そこで、今度はそうした条文に違反している、つまり犯則事件があるのではないかという場合には、具体的には新しい証券取引法の二百十条、今御提案しております第二百十条によりまして、そうした犯則事件を調査するため必要があるときは、犯則嫌疑者もしくは参考人に対して出頭を求め、質問したりすることができるということになるわけでございます。その上で、確かに犯則があるということで裁判所の令状をとって捜索したりいたしますときには、犯則嫌疑者だけではなくて、その事件を立証するために必要なところを捜索することができるということでございます。したがいまして、犯則者としての実行行為者だ付ではなくて、これを立証するために必要な相手方、その他の取引先等を参考人として調べることができるということでございます。

○仙谷委員 今二百十条のことが述べられたわけですが、その前にちょっと百九十条についてお伺いしたいわけでございます。

 百九十条に「検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、検査の相手方に提示しなければならない。」この「検査」というのは、これは証券取引等監視委員会の検査ということなんでしょうか、大臣官房の検査部の検査ということなんでしょうか。それともう一つ、二項に「前項に規定する各規定による検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」という規定がございます。この二つの解釈についてお答えをいただきたいと思います。

○小川政府委員 お尋ねになりました第百九十条の第一項の規定は、先ほどの分類で申し上げます

と、新しい委員会が主として証券会社を対象にして行う立入検査、ルールの遵守状況の検査でございます。したがいまして、これは証券会社の営業を一般的に検査する目的でございまして、そこにインサイダー取引とか相場操縦とか損失補てんがないかというような犯罪の存在を想定して行うものではございません。それが百九十条二項に「前項に規定する各規定による検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」という規定を置いているゆえんでございます。

 

○仙谷委員 そこで二百十条の二項についてお伺いをするわけでございますが、「委員会職員は、犯則事件の調査について、官公署又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。」という規定がございます。刑事訴訟法の百九十二条でございましたか、同じような規定でございます。照会ということになるわけでございます。

 私、去年の金融・証券特別委員会での議論を思い出してみますと、つまり証券局の検査というのは、相手、つまり証券会社に協力をしてもらわなければならないんだ、だから余り厳しいことはできないんだといいますか、基本的に強制調査権がないんだ、こういうお話があったわけでございます。小川審議官が今おっしゃったように、百九十条の方はどうもそういう部分なのかなという感じもするわけでございます。もっと大ざっぱに言いましても、大臣官房金融検査部による検査、そして証券取引等監視委員会による検査等々という検査、もともとは犯則調査ではない検査の結果を犯則調査のために照会をして使うというふうなことができるのかどうなのか。つまり、もともと犯罪を捜査されるという前提でなくして任意に調べに応じたのに、それが犯則調査に使われるということになってもやむを得ないのか、あるいはもともとそんなものだということなのか、その点をお答えいただきたいと思います。

○小川政府委員 お尋ねは、一般的な証券会社に対する検査、任意の検査の結果をそのまま強制調査に利用することができるかということでございます。まさに、先ほど申し上げましたように、あるいは御指摘ありましたように、百九十条の第二項で一般的な証券会社に対する、いわゆる立入検査と呼ばしていただきますが、立入検査は犯罪捜査のために行われるものと解されてはならないということが明文で記されておりますから、この立入検査を犯罪捜査のために、目的として行うということは法文士許されないわけでございます。

 しかしながら、それでは立入検査を行って証券会社の営業状況を調べておったところ、そこにたまたま犯罪の端緒になるのではないかという事実を当該検査官が把握した場合に、これをどう処理するかということでございまして、その場合には、一般に公務員につきましては、刑事訴訟法上も、犯罪があると思料するときは告発をしなければならないという規定の精神から読み取られますように、こうした行政上の目的で行った立入検査の結果、たまたま犯罪の事実を把握した場合には、これを告発する、あるいは犯罪捜査の権限を有するところに情報を伝達するということが許されるのは当然のことでございまして、委員会の場合にも、たまたまそういうことが起これは強制調査の方にそうした情報を提供するというのは、いわば責務であるというふうに考えられるわけでございます。

○仙谷委員 監視委員会の調査についてもう少し詳しく聞きたいんですが、時間がございませんので、次に進みます。

 調査の権限は新たな委員会ということになったわけでございます。ところが行政処分手続だけは従前の証券取引法三十五条、三十六条によることになっておるようでございます。これはどういう関係になるのかなというのが私の頭の中で整理がされない問題でございます。そして、もう少し言いますと、ついせんだっての処分事案、それから昨年の処分の事例というものについて様子を職員の方からお伺いをしました。これは、もともと法の規定によりますと公開が原則でございますので、私でも傍聴できるはずでございますし、そこでつくられる審問の記録というのは公開されるのが原則ではないかというふうに私は思っておりますけれども、いずれにしましてもお伺いをしたということでございます。

 どうもお伺いをしますと、これはもう我々が考えてイメージする処分手続としての審問というようなこととはちょっと遠いんではなかろうか。つまり、昔風に言うと、糾問手続といいますか、お白州裁判といいますか、何かもう証券会社の方は恐れ入ってただただ平伏をするのみというふうな雰囲気が伝わってくるわけでございます。私は、この監視委員会ができてそこで調査をするわけですから、処分の手続を大蔵大臣の権限として残すのであれば、いわば訴える側が監視委員会、大蔵大臣が裁判官的な役目をする、そして当事者は当事者でいわば対立構造、対審の中で答弁をする、こういう構造が望ましいし、そういう処分の手続、一種のデュープロセスが備わらなければならないというふうに考えておるわけでございますが、この点、大蔵省の方はいかがお考えでございましょうか。

○松野(允)政府委員 証取法に基づきまして大蔵大臣が行政処分をする場合には、審問を行わなければならないということになっているわけでございます。証取法上の審問手続につきましては、私どもは他の行政法規におきます聴聞手続などと同じように、行政処分といういわば相手方にとって不利益な処分をするわけでございますので、その処分の対象となる事実を確認する、あるいは被処分者に対して弁明の機会を与えるというようなために設けられている手続であるというふうに考えているわけでございます。したがいまして、行政処分を行う場合のいわば最終的な判断、さらに行政処分の内容についての判断というものを行うための前提になろうかと思うわけでございます。

 審問手続につきましては、確かに御指摘のように、法律上は原則公開ということになっております。ただ、それにつきまして、被審問者の業務の秘密あるいは公益上必要がある場合には公開しないことができるということになっておりまして、私ども、いろいろな事案について、その事案の性一格を見ながら公開し、あるいは非公開で行うということを行ってきているわけでございます。証券会社の行政処分の対象になります取引は、大部分が個別の取引の場合が多いわけでございまして、個別の取引になりますと、個々の投資家と証券会社との取引関係になるわけでございまして、顧客のプライバシーとかそういったようなもろもろの関係で、どうしても非公開にする場合が多いということは御理解をいただきたいと思うわけでございます。

 いずれにいたしましても、監視委員会が行います検査に基づいて行政処分の勧告が大蔵大臣に行われますと、その勧告を受けまして、行政処分の必要な事前手続であります審問を行うということになろうかと思うわけでございます。

    〔委員長退席、柳本委員長代理着席〕

○仙谷委員 細かい話で恐縮なんですけれども、今度の改正は、旧来の百八十二条を百八十六条に改正しようとしておるわけですが、旧来の条文は「審問は、すべてこれを公開しなければならない。」という規定だったわけですが、改正法案は「審問は、公開して行う。」、つまり「すべてこれを公開しなければならない」というのを、わざわざ「すべて」というのを削って、「これをしなければならない」というのを削って「公開して行う。」というふうに変えたのは、何か意図があるのでしょうか。それとも、公開はあくまでも嫌だという証券局の願望がここに出てきておるのでしょうか。いかがですか。

○松野(允)政府委員 御指摘の百八十六条三項でございますが、確かに現行法文は、「審問は、すべてこれを公開しなければならない。但し、」云々とあって、公開しないことができる。改正法案では、「公開して行う。ただしこことなっており

ます。これは、最近の立法例がこういう改正法案のような表現で行われているのが一般的ということで、それに単に合わしただけでございまして、全然他意はございません。

○仙谷委員 それを聞いて安心したわけでございます。

 そこで、これは制度が変わることもございますので、審問記録を原則として??原則というよりも、すべて公開をする。つまり、先ほどおっしゃっておるのは、審問自身は公開できない場合があるんだ。私が証券局のやり方を見ておりますと、何か非公開が原則で公開は例外みたいに実質的には感じられるわけでございますが、それは後の問題にしまして、審問記録を作成しなければならないというふうになっておるわけですね。原則公開の審問の記録が非公開、これいかにという話になるわけでございまして、今後はこの審問記録を公開する。固有名詞は何らかの格好で、墨で消すかA社、B社に変えるかは別にしても、事案としては公開するということをお約束をいただきたいのでありますが、いかがでございますか。

○松野(允)政府委員 この審問の記録につきましては、先ほど申し上げたようないろいろプライバシー等もございまして、そのまま公開??これは審問手続そのものを公開すれば、もうそれで公開になるわけでございますが、いろいろな事情で審問手続を公開しない場合に審問記録そのものを公開するということはなかなか難しいと思うわけでございます。

 ただ、私ども、例えば今回の山種証券に対します行政処分におきましても、その行政処分の内容だけではなくて、行政処分を行う判断になりました事実関係、これは審問手続を経て確認された事実関係でございますけれども、固有名詞は書いてございませんが、これをできるだけ詳しく公表いたしまして、行政処分の発表の中にそういうものを織り込んだということでございます。そういう点、審問記録そのものを公表するということにつきましては、審問手続の公表の問題と同じような問題があるわけでございまして、私ども、決してその審問手続で確定した事実関係の中身について恣意的にどうこうするというつもりはございません。行政処分の根拠となる事実関係については、できるだけその行政処分の際に明らかにしていきたいというふうに思っております。

○仙谷委員 我々が新聞発表で見るのが一番詳しいということにならないような、これは大蔵委員という立場もそうですけれども、一般の国民もアクセスをしようとすれば手に入るという体制をひとつとっていただきたいと存じます。

 次に、今、公表の問題が出ました。新しい制度で、委員会が毎年その事務の処理状況を公表する、こういうふうになっております。どの程度のものを公表されようとしておるのか、お答えを願います。

 といいますのは、昨年の証券特別委員会の中で細谷委員が質問をしました中で、昭和五十年ぐらいからの証券局年報を見てみますと、どうも一般的なことしか書いていない。ちなみに平成三年度、この一番新しい証券局年報を拝見しまして、その検査のところを見ましても一般的なんですね。つまり個別具体的な事例、それはもちろん固有名詞を書くのが妥当かどうかという点はあると思いますけれども、事例が全然出てこないのですね。抽象的な評価を交えた文章しかこの平成三年版も出ていません。多分平成四年版は昨年のことを詳しくお書きになるのじゃないかと私は思っておりますけれども。

 それはさておきまして、この委員会の公表ですね、これはどの程度の具体的なことを公表されるおつもりなのか、お答えをいただきたいのであります。検査事務の透明性を確保するための公表ということになっておりますので、ひとつ具体的、特定性があるような事実を公表していただきたい、そういう観点から質問をいたします。

○小川政府委員 御提案しております大蔵省設置法の改正条文第二十二条では、「委員会は、毎年、その事務の処理状況を公表しなければならない。」というふうに書いてあるわけでございます。ここで、「事務の処理状況」といたしましては、例えば検査にかかる前の検査方針であるとか検査の重点事項であるとかいったもののほかに、検査実績あるいは調査実績というものが考えられますし、また、それを全体を通じまして、委員会として、各形態別にあるいは業種別に、証券会社あるいは金融機関、為替検査の別に、総じて」ういうことであったというような判断もあろうかと存じます。

 最も具体的に大きな関心を持ってお尋ねがあったと思いますのは、例えば、委員会が調査を行った結果、大蔵大臣に対して具体的なケースについて処分の勧告を行った、さてその勧告はどんな勧告があったのか、単なる件数だけなのか、その勧告を受けて大蔵大臣はどのような処分をしたのか、それは単純な件数だけなのか、具体的中身はどの程度なのかというお尋ねであると存じます。それはまた強制調査、犯則調査についても同じことであろうと存じます。そこは、結局のところ具体的な案件ごとに新しい委員会において、一方でこういう公表の規定が設けられている趣旨、それと、他方においてそこに関与する人々あるいは企業その他のもののプライバシーなり利益であるとか公益といったようなものを勘案して、具体的なところは考えていかれることと存じますが、今御指摘のような問題を十分念頭に置いて、公表め内容を委員会として判断していかれるものと考えております。

○仙谷委員 この問題は、透明性を図ることによって市場の公正を確立するという問題であるとともに、市場関係者がある意味でのトレーニングをしていく、そういう資料になる、教訓になるというふうに私は考えております。したがいまして、でき得る限り具体的に事例として公表をいただきたい、お願いをしておきます。

 時間がなくなりましたので、次に一点だけ証券局にお伺いするわけですが、例の省令五十五号でございます。補てん禁止の問題、つまり証券取引法五十条の二第三項ただし書きに規定する大蔵省令で定める場合として、「裁判所の確定判決を得ている場合」「裁判上の和解が成立している場合」「民事調停法第十六条に定める調停が成立している場合」「証券会社の代表者等が」云々、こうございます。要するに、これは補てん禁止の条項に触れない特別の場合を書いてあるわけでございますが、どういう理由からこんなものをおつくりになったのか、それが一点目。

 それから二点目は、ここの「確定判決」というふうにお書きになっているのは、民事訴訟法上のいわゆる欠席判決、認諾判決はいずれもこの「確定判決」に含まれるのか、その点をまずお伺いいたします。

○松野(允)政府委員 まず、証取法を改正していただきまして、損失補てんを罰則をもって禁止したわけでございます。これは法律の規定は非常に一般的、包括的な規定を置いていただいたわけでございまして、損失を補てんする目的、あるいは利益を補てんする目的で財産的利益を供与するという行為を禁止したわけでございます。そうなりますと、例えば証券会社の営業マンが、そのお客、投資家との間で取引を、注文を受ける、あるいは注文を執行する際にいろいろ不適切な行為を行ったというようなことを通じて投資家が損害を受けた場合に、その損害を補てんするということを証券会社が行おうといたしますと、形式的には証取法上の損失補てんの禁止行為に触れてしまうということになりまして、そういう場合も投資家は何ら救済を受けられないというようなことになってしまうということから、そういうケースについては、いわゆる証券事故、これは従来から証券事故という概念があったわけでございますけれども、より明確にいたしまして、証券会社の営業員のそういう不適切、違法、不当な行為によって投資家が損害を受けた場合については、一定の手続を経て証券事故として認定をされれば、その生じた損害を補てんしていい、補償するということを認めたわけでございます。その認める場合とし

て、大蔵大臣が確認をするという手続を導入したわけでございますが、その大蔵大臣の確認を必要としない場合として三つのケースを挙げております。これは省令に規定しているわけでございますが、確定判決と裁判上の和解、それから民事調停法上の調停でございます。これらにつきましては、いずれも裁判官がその手続に関与しているわけでございまして、裁判官が関与して、しかも裁判上の和解あるいは民事調停法上の調停は確定判決と同一の効力を持つということになっております。そういった観点で、この三つのケースについては大蔵大臣の確認を要さない場合というふうにしたわけでございます。

 御指摘の民事訴訟法上の仲裁でございますが、これにつきましては、確かに民事訴訟法上の仲裁も、その仲裁者というものが審判をするということに両当事者が合意をいたしますと、その手続が行われ、そこで合意が成立いたしますと、それは確定判決と同一の効力を有するというのが民事訴訟法に規定をされております。しかし、仲裁人というものについては、この民事訴訟法上の仲裁では特に資格が制限されておりません。そういったことで、裁判官が関与するというようなことがどうも行われない、裁判官の関与はないということでございますので、このケースについては、あえて、先ほど申し上げました三つのケースと同様の確認を要さない場合ということにはせず、裁判官の関与ということを非常に重視をしたわけでございます。

 

○仙谷委員 仲裁の点は今から聞こうと思ったんですが、先にお答えになりましたので、今からお伺いします。

 私、二月の大蔵委員会で申し上げましたけれども、この省令でも即決和解は抜いてあるんですね。局長がおっしゃるように、裁判官が関与すれば、それはある種の権威があるんだということになれば、即決和解だって簡易裁判所の裁判官が関与しているんですよ。ところが、今お伺いした問いにちゃんとお答えになりませんでしたけれども、欠席判決と認諾判決というのは裁判官が関与していますけれども、要するに言いなりですね。原告が請求原因事実を主張して、第一回口頭弁論期日に欠席をすれば、すべて認めたことになってしまうから、裁判官としてはそのとおりの判決を書かざるを得ない。認諾判決というのは、被告になった立場の証券会社が、請求原因事実について認めるという一行を書けば、裁判官は認諾判決を書かざるを得ないわけですね。

 そういう関与の仕方と、例えば今大阪弁護士会と第二東京弁護士会が機関仲裁というのをやっております。そこで両当事者が仲裁に合意して第二東京弁護士会の仲裁センター、それから大阪弁護士会の仲裁センターに申し出ると、その時点では弁護士ですけれども、ほとんどの場合は裁判官出身の弁護士二名と普通の一普通のというとおかしいのですけれども、弁護士資格のある人が、三名が仲裁人になって、両当事者から言い分を聞いて証拠を精査して、そこで仲裁判断を書くという仕組みになっておるわけです。その仲裁判断は当然のことながら確定判決と同一の効力を持つことが民事訴訟法上規定をされておる。

 どちらの方がより実質的な判断、つまりなれ合いじゃない??つまり実質的な補てんを、裁判所というフィルターを通すだけの危険性があるようなものよりははるかに公正で実質性が担保される、そういう仲裁判断を一方では排除しながら、非常に形式的に、確定判決があれば何でもいい、裁判上の和解であれば何でもいいというふうなことになってきますと、これは甚だ倒錯した議論ではないかということになるわけでございます。その点ひとつ再考をいただきまして、実質的に裁判官が関与し、あいは公的な立場の、法曹資格といいますか、権威のある者が関与した仲裁とか和解とか判決、調停、そういうものについては認める、こういうふうにぜひこの省令を是正していただきたいのであります。

 時間が終わりましたからやめますけれども、もしお答えいただけるのであればお答えをいただきたいと思います。

○松野(允)政府委員 今の御意見は私どもとしても承っておきたいと思います。

 ただ、私どもの考え方は、こういう損失補てんを初めて法律で罰則をもって禁止したわけでございまして、形式的と言われればそうかもしれませんが、いずれにしても、裁判官が関与し、かつ何らかの場で一応当事者間でお互いの言い分が闘わされて、結果としてそれを見ながら裁判官が関与し、調停あるいは和解が行われるというような手続を厳密に取り上げたわけでございまして、もちろんそれ以外は原則に戻って大蔵大臣の確認ということが可能なわけでございます。今御指摘のありましたようなケースにつきまして、もちろんその実質的な公正性が担保されていれば、これは当然確認はされるものだろうというふうに思います。

 いずれにいたしましても、今の御意見は承って勉強させていただきたいと思います。

○仙谷委員 終わります。