1992年03月12日 予算委員会第五分科会

○柳沢主査 これにて小森龍邦君の質疑は終了いたしました。

 次に、仙谷由人君。

○仙谷分科員 日本社会党・護憲共同の仙谷でございます。

 国営かんがい排水事業の農家等と市町村の負担について質問をさせていただきます。

 過去二年間毎年、私の地元でございますが、徳島県に吉野川北岸用水という極めて立派な農業用水ができ上がったわけでございますが、種々の問題が存在するわけでございます。大変な問題に政治的にも社会的にも現在なっておるということでございます。大臣の地元にも国営かんがい排水事業おありになるようでございます。農家あるいは農村がそれほどいい環境で今農業経営といいますか、農業に従事しておるわけではない。いろんな矛盾を集中的に農村にしわ寄せ受けながら何とか農業を守っていこうという方々が多いわけでありますが、今この徳島県の吉野川北岸用水というところで一昨年、昨年、この闇に不払いあるいは訴訟という格好で負担金を払えない、払わないというふうな農家がどういうふうにふえているか。つまり推移をまずお聞かせをいただきたいと思います。

○海野政府委員 この吉野川北岸地区は平成元年度に完了いたしまして、平成二年度から負担金の償還が開始されたところでございます。実は平成三年度まだ終わっておりませんので、平成二年度の負担金について申しますと、平成三年度が終わる現在になってまだ一四%が未納であるというような状況であると承知しております。

○仙谷分科員 訴訟を提起されておるのはどうですか。

○海野政府委員 訴訟は現在までに五百七十八人、受益者全体の約四%でございますか、五百七十八人から訴訟が提起されておるというふうに理解しております。

○仙谷分科員 私の存し上げている限りでは、そして昨年のこの分科会でもお伺いしましたときには四百四十九名であったわけでございます。それが五百七十八名ですか、ふえているわけでございます。

 そのほか、各町村議会で農家の吉野川北岸用水についての負担が議論されて、決議をされたり、あるいは地方行政とし三」ういうふうに取り組もうということが行われておるかどうか、御存じの範囲で結構でございますが、お聞かせをいただきたいと存じます。

○海野政府委員 この事業につきましては、地域の営農全体の問題もございますけれども、農家の負担金支払いがなかなか困難であるというようなことから、都道府県、市町村、両方において農家貧。損の軽減のために負担をしなければならないという動きがございまして、現在、都道府県では、通常の事業の場合の都道府県負担分よりも大きな割合で負担をしておりますし、各市町村も既に三%の負担をするというふうになっていると承知しております。

○仙谷分科員 各市町村も三%の負担をするようになった。それから国、県の負担も、逐年といいますか、年ごとに増加をしておる、こういうことではないかと思いますが、何といいましても、大臣に申し上げておきたいのですが、当初の計画が総事業費百四十七億円が六百九億円になった。年数としては七年の工期の予定が十九年かかった。当初の農家負担の予定は十アール当たり三千円だったのが、私が承知している限りでは十アール当たり二万円強。米なんかつくっていると、何のために米をつくっているのかわからぬ、そういうのが一つの状況でございます。

 それからもう一つは、まだ幹線だけで支線が引けてない。つまり、状況が変わったことのほかに、現在、その水を使おうとしても、客観的にとても使える状況になってない、こういうことがあって、農家の方も払いたくないし払えないという状況が続いてきたわけでございます。

 そこで、農林省の方でも、あるいは県、市町村の方でも努力していただいておるようでございまして、平成二年、三年、そしてことしと、十アール当たりの農家の負担金がどのくらい減ってきておるか、それはおわかりになるでしょうか。あるいは十アール当たり何円だったという話で結構でございます。

○海野政府委員 農家の負担金でございますが、これは一律に申してもあれかと思いますが、一番高いところで申しますと、国営事業そのものの負担金が十アール当たり四千三百円、維持管理費が三千七百四十円というようなことになっていると闘いております。

○仙谷分科員 平成元年からでは、国営事業分の約二千円ぐらい安くなっておると考えればいいのでしょうか、そういうふうに思いますが、この負担金ですね。負担金の軽減という方法ではないけれども、実質的に負担が減るようなことのできる土地改良法の改正が昨年行われたということです。地方財政措置がある要件を満たせば行われて、実質的に農家の負担が軽減する、こういう仕組みができたというふうに聞いておるわけですが、それを素人にわかりやすく説明していただくとどういうことになりましょうか。

○海野政府委員 土地改良事業についての負担関係は、従来は、原則的には国が持ち、県が持ち、あと農家が持つという格好が建前になっておりました。やはり農村地域での混住化という中で、い

わば地元負担分を農家だけが持つというのが必ずしも適当でないというような、この事業自体の公益的な効果などの増大を背景にしまして、市町村が一部持つという動きが出てきたわけでございます。

 そういう意味で、私ども所管省と一緒に検討を行いまして、市町村が持つ場合、特にダムその他公共性の高い施設については、市町村の持った分のいわば償還額の一定部分について、事業費補正と言っておりますが、普通交付税が面積割りで配られるのではなくて、その償還をした実額に応じて交付税が市町村に渡されるというような仕組みができたわけでございます。

○仙谷分科員 私も国営かんがい排水事業に係る地方財政措置の図表になっておるものを拝見いたすのでありますが、容易にわからない複雑な仕組みになっておるようでございます。

 結論の部分で結構でございますけれども、結局、常識的な言葉で言うと、肩がわりと言われておるようなことでございますね。これを市町村が行ったという場合には、市町村には地方財政措置がなされて、市町村の負担分も、その肩がわりした分については実質的にほとんどなくなるか、もしくは全くなくなるというふうな措置が、ある要件のもとに、つまり公共的な意味合いといいますか、公共的効果がある施設については、そういう財政措置がなされる、こう理解してよろしいですか。

○海野政府委員 私ども力足りないのか、まだほとんどなくなるというところまで行っておりませんで、特に、本来の交付税の分を別にしまして、事業費補正の分だけとってみますと、ダム、頭首工その他の公共性の高いものについての三五%が交付税で見てもらえるということでございます。

○森元説明員 ただいまの件につきまして補足して御説明申し上げたいと思います。

 従来は、土地改良事業につきましては、国の負担と地方の負担というものが決まっておるだけでございまして、地方の負担についての県、市町村あるいは農家の負担割合というものが明確に決まっておりませんでした。そういう関係もございまして、私どもの方では、地方団体に対する財政負担については、各都道府県なり市町村が、実際に日本全国の市町村、都道府県が負担している実額を一つの基準によりまして配分をしております。

 そうしますとどういうことになるかというと、実際に事業をやってもやらなくても、これは交付税の性格もあるわけでございますが、各団体に配分されております。そうしますと、勢いたくさん事業をやるところには余り交付金が来ない、余り事業をやってなくても交付金がそこそこ来る、こういう状態でございます。しかし、これでは各都道府県なり市町村の負担が重くなりまして、たくさん事業をやっているところがその負担に耐えかねるという点がございまして、その実態に即した措置をした方がいいのではないか。これは地方団体あるいは農林省の方からもそういうお話がございまして、いろいろ検討いたしました結果、ただいまお話ございますような一部事業費補正というものを導入いたしまして、県あるいは市町村が負担をしやすくした、そういうルールをつくることによって、結果的に農家負担が軽減されるような道を開いたというふうに私どもとしては考えておるところでございます。

○仙谷分科員 昨年からことしにかけて、北岸用水沿岸関係十二町ということになっておるわけですが、十一の町が実質的な肩がわりの決議をしたり、もうその措置に入っておるところもあるわけでございます。支払いが始まってから三年がたっておるわけでございまして、私は、この種の問題は、未納者がどんどんふえてくるとか、あるいは未納者そのものの金額が累積してくるということになりますと、農家間の感情問題も出てこようと思いますし、あるいは隣の町は町村が負担をしてくれるのに、要するに町の境界なんという線はございませんから、ところがこちらの町では依然として負担をしなければいかぬ、いろいろなややこしい問題といいますか、解決困難な問題が出てくるんではないだろうか。この種の問題はできるだけ早く、政治的といいますか行政的な解決をしなければ、政争の種にまでなるのでは大変困ったことになるだろう、そういうふうに考えておるわけであります。

 徳島のこの吉野川北岸用水については、何か全市町村が今おっしゃった徴収のルートを市町村に変える、改良区ルートから市町村ルートに変えるという決議をすれば、農家負担は実質的にますます軽減をされるということになるというふうに伺ったりもするのですが、そのことがそうなのかというのが一つ、それと、何かその点について、今年度じゅうにそういう決議をしなければいけないというふうな話も聞いたりするのですが、それはそうじゃなくて、別に今年度じゅうということに限らない、いつやってもいいんだ、その次の年度から始まるんだということなのかどうなのか、それを一つお聞かせをいただきたいと思います。

○海野政府委員 今の市町村ルートヘの切りかえという問題、これは実は平成二年からこの制度がスタートいたしましたために、平成二年以降に事業が完了するもの、これを大体頭に置いた制度でございまして、六十三年、平成元年に完了した地区につきましては、その辺の扱いが、いわば既に負担が始まってから乗りかえるというわけでございますので、多少複雑になっておりますが、おっしゃるとおり、全町村が市町村ルートに変更するということでないと、この今の制度に乗れないわけでございます。

 ただ、別にこれは平成三年度中でなければ締め切りでだめだというようなわけではございませんけれども、今先生御指摘のような事情から、こういうものは少しでも早くに動いた方がいいというようなことでございます。ただ、町村の負担というものは、あくまでもその各町の自主的な判断によるものでございまして、私ども干渉がましいことはできないわけでございますが、しかし、特にこの土地改良法改正の経緯とか地方財政措置などの内容を十分説明をして、関係可及び関係者の間の話し合いが円滑に進められるようにしてまいりたいというふうに考えております。

 

○仙谷分科員 そこで、町村がやはり負担をするということになりますと、住民に対する説明が多少必要になるわけですね。例えば、ここに私が持っております地元の新聞記事ですと、昨年十二月に町議会が開かれて、多目的利用が必要なんだ、そういうことが町議会で議論されて、町長もそういう答えをしておるというところがあるのであります。いわゆる水利用の問題としまして多目的利用というふうなことが、直ちにではなくても、将来的に実現可能性があるということならば、町議会もあるいは町長も、とりあえず今の段階で負担金の肩がわり的なことをやろうかなということになる、あるいは徴収ルートを市町村に変えるということになってくるのじゃないかと思うわけであります。この多目的利用につきましては、一昨年のこの分科会で私が山本農林大臣にお伺いしましたら、勉強させるけれども甚だ難しいというお答えでございました。昨年またそういう質問をしましたら、何とかしたいというふうな感じの雰囲気もあったわけでございますが、この農業用水、もっと問題を矮小化して言いますと、農林省の予算でつくった用水は、そこを流れる水は工業用水にも上水道にも使えないんだという、まあ国民の目から見ますと甚だ不都合なといいますか、つまり農業用水に使う水量が変わって住民が上水に使う必要が時代状況の変化とともに出てきても、工業用水に使わなければならない、使った方がいいんじゃないかという問題が出てさても、依然としてこれは、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律でございますか、それがあってできない、こういう議論があって、がんじがらめになるわけであります。しかし、やはり時代はもうそんな縦割り行政万能の発想ではとてももたないのではないか。農村は特に人口構成から生活基盤から動いておりますので、もたないということで、農村の活性化、あるいはもうと言います

と、農村に農地が健全に存在するだけでも、文化的あるいは環境保全的意味合いを含めましても、いろいろな意味合いがあると思うのですね。そういう観点から、この多目的利用に推移できるように、私はずっと以前からお願いをしておるわけですが、その点について、農林大臣、お考えがございましたらひとつお聞かせをいただきたいと存じます。

○海野政府委員 確かに農業用水ということでやった事業でございますけれども、経済事情というものはいろいろ変わってくるわけでございまして、そういうときに、これは農業用水としてつくったのであるから、未来永劫農業にしか使ってはいけないんだということを言うつもりはございません。ただ、現在のところ、土地改良区としては、特に畑地かんがい用水というのは、これは一つは保険みたいなものでございまして、平時はほとんど使わない、干ばつが来たときにはこれがなかったら大変だというようなことがございます。そういう意味で、ある意味では、各農家の意見というのと土地改良区としてまとまったときの意見と違うかもしれませんけれども、そういう観点から、土地改良区としてはやはり干ばつ等勘案した場合に現在だけの水量は確保しておきたいというふうに言っておりますが、今後例えば水田と州との関係が変わってくるとか、農地転用等によって農業用水の使用量が減ってくるというような状態があった場合には、他種用水の要望の状況に応じて県や土地改良区、国なども入って相談をして、本当に水が有効に使われるようにしていきたいと思います。

○田名部国務大臣 今局長お答えになったとおりでありますが、私たちも身近な例で見ておりますと、よその方はよくわかりませんが、都市化がどんどん進みましていろいろな問題を起こしております。農地転用、自動車の販売会社を建てるとかなんとかというと一々これは問題になりまして、そういうことではそこそこで何とか解決をしているのでしょうけれども、いずれにしても、農家の皆さんが負担をしている、あるいは維持管理もしていくという中で、ほかの人が全然負担なしで使えるというところに問題があるようであります。いずれにしても、何とか解決しながらその方々にも負担をしていただいて維持をしているという例等もあります。ですから、今先生のお話しのところの例、私の方にもやはり工事が長引いて問題を起こしているところがあります。ありますけれども、人がいいのかどうか、文句言いながらも払っているところは随分ありますが、決して先生の方が人が悪いという意味で申し上げているわけではないのですが、そういう問題はあります。

 したがって、基本的に農家の負担の軽減というものをどうしようかということで、実は私が党のべトコンの幹事長をいたしておりまして、米価の問題のときにこの負担問題の軽減の話が出ました。平成元年ごろであったと思いますが、計画償還制度というものを設けてもらった。今団体の方も各県ばらばらでありまして、これも自治省と話をして一律にして、平成三年度も一部やるところがありますが、自治省には大変苦労をかけました。

 いずれにしても、全体これから先の話で、私の夢物語として聞いてほしいのですが、どうも私もこれは気になるところでありまして、これから本当に超優良農地等をつくる場合には何とか負担金の問題を解決していかないと、確かに個人に補助金をという問題、財産に問題はあります。ありますが、本当に未来永劫に農地としていくのだということになると、個人といっても個人が勝手に別なものに使えないという問題等があって、協力してみんながやっていこうというところについては何らかやはり研究する余地があるなどいう感じがいたしております。

○仙谷分科員 これで終わりますけれども、要するに本件の場合は払いたくないとかなんとかということだけじゃなくて、二十年かかってやった。吉野川の水というのは香川県に水資源開発公団がつくった用水路を通じて流しておる。それはもともと多目的なものですから、これは農家負担がもともとゼロだという話なんです。それから、当初計画からしますと、農地に使っている水量は今幹線が通じてももともと少なくて、水からいえば余っているという状況が元来あるわけです。

 そういう状況の中で、とにかく農林省の予算でつくった用水は絶対にほかのところへは渡せないのだという話があるやに私は聞きますから、それはもうそろそろ、去年聞きましたときには何か愛知用水ではそれをうまく調整してほかに振り向けている例もあるということです。やる気になればできるという話ですから、農林大臣にもこの点十二分に考慮をしていただきまして、吉野川の北岸用水の水が多目的にも使えるような方向に動き出していただきたい。そうすると、結果としてこの農業用水負担というのですか、要するに農家の負担金が当然のことながら減ってくる、こういう仕掛けに私はなると思うのです。ひとつその点重々お願いをいたしまして質問を終わります。どうもありがとうございました。

○柳沢主査 これにて仙谷由人君の質疑は終了いたしました。