1992年02月27日 大蔵委員会

○中川委員長代理 次に、仙谷由人君。

○仙谷委員 昨日に続きまして質問をさせていただきます。

 きょうはまず、昨日来株式市況の問題といいますか、株価が低迷し、売買高が極端に落ち込んでいるというような状況の中で、この対策、日本の今までのいわゆる会社至上主義と言われるような構造が問題ではないかという議論が同僚議員からも多々問題提起されておるわけでございますが、日本の企業の非常に低い配当、この問題についてお伺いをいたしたいと思います。

 その前提として、これは政治改革の問題とも絡むわけでございますが、使途不明金の問題を少々議論をさせていただきたいと思います。

 まず、この使途不明金という用語、概念があるわけでございますが、これは企業会計上どういう意味を持つのでございましょうか。まず法務省、だれか来ていらっしゃいましたらお答えをいただきたいと存じます。

○大谷説明員 お答え申し上げます。

 商法及びその附属法令の計算書類規則上は、使途不明金という特定の言葉があるわけではございません。これが生じた場合に商法上どういうふうに処理されるかと申し上げますと、これは損益計算書におきまして営業費用のうち一般管理費ないし販売費の中において、多くの場合交際費というような費目で処理されるのが一般であろうかと思われます。

○仙谷委員 そうしますと、企業会計上は使途不明金という科目はもちろんない。つまり、他の勘定科目で処理されておるけれども、要するにそれがどうも疑わしいといいますか、証拠上確認できない、そういうものを使途不明金と呼んでおるのだ、こういうことでよろしゅうございますか。

○大谷説明員 恐らくそういう処理がされているのだろうと考えております。

○仙谷委員 それではこの使途不明金、国税当局の方は、よくいわゆる使途不明金という言葉が新聞紙上等々でも出てまいるわけでございますし、通常この委員会の中でも言葉としてはしばしば出てくるわけでございますが、何を指して使途不明金と呼び、国税の方はどういう取り扱いをしておるのか、まずそれだけお答えを願いたいと思います。

○根本政府委員 お答え申し上げます。

 我が国税当局の方の解釈でございますけれども、使途不明金とは、法人が経費として支出しているもののうち、その支出がされているかどうかの確証がないもの、あるいは支出されていることが確認できる場合でも支出先が明らかでないものをいいまして、このため、その経費性を否定して、支出法人において全額課税することとしているところでございます。

○仙谷委員 それでは国税当局に、この使途不明金が金額的にどういう状況になっているか、御説明をいただきたいと存じます。

○根本政府委員 国税局の調査課が所管しております資本金一億円以上の法人、これは三万二千四十法人あるわけでございますけれども、平成二事務年度におきまして実地調査を行った法人、四千九百八十三件について、国税庁として把握しております使途不明金の状況を申し上げますと、まず使途不明金把握法人数五百八十五法人、使途不明金総額四百七十六億円となっております。

 また、この使途不明金総額四百七十六億円を業種別に見ますと、建設業が三百五億円、製造業が六十三億円、卸売業が三十一億円、小売業が二億円、その他七十五億円となっているところでございます。なお、建設業の使途不明金把握法人数は約二百杜となっているところでございます。

 それから、この使途不明金の総額四百七十六億円のうち、実地調査によりましてその使途が判明いたしましたものは百六億円でございます。その判明割合は二二%となっております。また、使途判明分の内容を見ますと、リベート、手数料が二十八億円、交際費が五十七億円、その他が二十一億円となっているところでございます。

 以上でございます。

○仙谷委員 今、建設業者のうち、使途不明金が

出てきた企業が二百杜であるという御説明がございました。これは調査対象の建設業の会社のうちの大体どれくらいのパーセンテージに当たるのかという点と、もう少し説明をいただきたいのは、使途が判明した部分の説明を今いただきましたですね。使途が判明しておるのに使途不明金とはこれ。いかにという話でございますが、どういうことになるのか、その点を御説明いただきたいと思います。

○根本政府委員 実地調査を行いました法人が四千九百八十三件あるわけでございますけれども、そのうちの建設業は約一二%の六百件くらいでございます。

○仙谷委員 その使途不明金の内訳がわかった分ですね、内訳がわかれば使途不明金にならないんじゃないかと思うわけですけれども。

○根本政府委員 後半の部分の、使途が判明した場合でございますけれども、我が方といたしましては、実質所得者に課税するという原則に即しまして、その者に課税しているところでございます。

 一方、支出法人についてでございますけれども、その支出金の実態がリベートや手数料などのように損金性のあるものにつきましては損金の額に算入されますけれども、交際費や寄附金に該当するものである場合には、一定の限度額を超える部分の金額は損金に算入されないということになっているところでございます。

○仙谷委員 今リベート、手数料、交際費の話が出てきたわけですが、そのほかどういう勘定科目のところに使途不明金というのは潜っておるのが多いのでしょうか。

○根本政府委員 使途不明金はさまざまな科目で支出されているようでございますけれども、これを特に計数として我が方としては取りまとめていないわけでございます。

 ただ、一部のサンプルから例示として申し上げますと、例えば建設業につきましては、外注費や労務費を架空計上して捻出した資金を使途不明金に充てている例が多いというものが認められます。製造業につきましては人件費や会議費、卸売業につきましては支払い手数料や仕入れ等の科目を利用しているものが多いということでございます。

    〔中川委員長代理退席、委員長着席〕

○仙谷委員 ちょっと話題がそれますが、企業交際費が、今年度といいますか平成二年会計年度というのでしょうか、この分につきまして最高の五兆六千億円が企業交際費として計上されておるという新聞報道がございます。使う方もくたくたというふうに書いてある新聞もあるわけでございますが、この企業交際費と、先ほど御説明をいただいた使途不明金というのはどういう関係になるのでしょうか。

○根本政府委員 使途不明金と交際費との関係でございますけれども、使途不明金といいますのは、先ほどの定義のとおり、あくまで使途がはっきりしてないものでございます。片っ方、交際費というのは、相手先がはっきりしているものでございまして、したがいまして、これにつきましては一定額以上のものは損金不算入ということでございます。

○仙谷委員 ちょっと法務省の方にお伺いいたしたいわけでございますが、この使途不明金、私どもの感覚から見ると相当多額の金額が、要するに一たん企業の財産になったお金といいますか、資産がどこに行ったのかわけがわからなくて消えていっておる、こういう話だと思うのですね。これは企業会計上こういうことが許されるのかどうなのかということなんですが、法務省、いかがでございますか。

○大谷説明員 お答え申し上げます。

 企業の会計行動は非常に膨大な範囲にわたるものでございますから、一部においてどうしても支出の根拠が判明しないという分野が生ずることはやむを得ないものと思われます。したがって、そういう事実が生じた場合に、そういうものを使途不明金というような形で処理するということはある程度やむを得ないものと思われますけれども、元来会社の会計事実というものは明確な根拠に基づいて処理されるべきものであるというふうに思われますし、またそれについては法令、定款というような行動の基準もあるわけでございますから、その支出の根拠が説明できないようなものが相当のスケールで生ずるということは、少なくとも商法上は好ましくないものと考えております。

○仙谷委員 なぜこの問題をこういうふうに提起しているかといいますと、実は昨年の夏ごろからテレビの放映時間が一番長い番組が、大林雅子さんか雅美さんか知りませんけれども、こういう女性がおりまして、シキボウの会長とどうのこうのという話があったわけであります。そのときにたまたまテレビを見ておりましたら、シキボウの会長がその女性に送った手紙の中で、要するにマンションも買い与える、車もどうのとか、それからラジオの番組もシキボウ提供で出すというふうな、そんなことが書かれておるというのですね。どうも個人のポケットマネーでそこまでできる収入がシキボウの会長というのはあるのかないのか私わかりませんが、多分今の税制上では無理だろう。これは企業交際費あるいは使途不明金で落としておるのではないかということを感じたわけでございます。

 そうするうちに、今度は例の共和の使途不明金二十二億円という話でございます。その次が佐川急便事件の、これは使途不明金という処理になるのかどうなのかわかりませんが、要するに保証料と称するものがキックバックされた、あるいはリベートが返ってきた、やみの部分に潜ったお金がどうも政界にまかれたのではないだろうか、あるいは暴力団に配られたのではないだろうか、こんな話になっておるわけでございます。それで、その反対の方には当然のことながら、企業のそういう収益をなぜ利益として株主に配当しないのか、あるいは労働者に分配しないのかという問題があるのだろうと思いますけれども、この仕組みがやはり日本の今の会社至上主義といいますか、会社を毒しているというふうに考えておるからでございます。大変な多額のお金でございます。

 そこで大蔵大臣に、抽象的でも結構でございますので、この使途不明金、こういう金額が今出てきておる。あるいは企業交際費というものが五兆円を突破する。大体、今の上場会社の配当が四兆円ぐらいだというふうに言われておりますので、はるかに超える金額が交際費に消えている。こういう状況について、御感想といいますか、どこをどうしたらいいのか、特に政治と金の問題も含めてどんな御意見をお持ちなのか、御所見を賜りたいと思います。

○羽田国務大臣 今、交際費が大変膨大なものであるということ、あるいは使途不明金が大変な大きなものがあるという御指摘、これはもうまさに御指摘のとおり。どうも株主への配当ですとか勤労者に対する分配ですとか、あるいはきのう、企業の経営者の所得というものをもっと上げたっていいのではないかというお話が実はありました。そういったことに本来大きく使われるものであろうということを感じますし、また税の分野からいきましたときには、やはりこういったものを解明しながらきちんと課税をしていくということが当然のことであろうというふうに考えております。

 

○仙谷委員 使途不明金が発生するのをより少なくさせる方法というのは、何か国税当局としてはこういうことだとおありになるのでしょうか。あるいは証券局になるのかもわかりませんけれども、企業財務の問題としては、こうすればこの種のものが減るはずだという対策はおありになるのでしょうか。その辺を御両所からお伺いをいたしたいと存じます。

○根本政府委員 私ども国税当局といたしましては、常に真実の所得者に課税するということを目的としておりますので、使途不明金は課税上問題があるということで考えております。

 したがいまして、私どもといたしましては、今後も引き続き調査に当たりましては使途不明金の使途の解明、すなわち真実の所得者の把握に一層の努力を払っていく方針でございます。しかしながら、税務調査は任意調査を基本としております

ので、使途の解明には限界があることも事実でございまして、どうしても使途が不明の場合には経費として認めないこととして、全額課税するという取り扱いをやっているところでございます。

 さらには、調査により把握いたしました使途不明金につきましては、その支出の過程におきまして仮装あるいは隠ぺいなどの悪質な行為がある場合が一般的でございますので、これらにつきましては重加算税を課しているのが通常でございます。

○松野(允)政府委員 お尋ねの趣旨は公認会計士による監査の問題だろうと思うわけです。

 確かに、公認会計士による監査は企業の取引が正しく財務諸表に適正に表示されるということを担保する制度でございまして、そういう観点から申し上げますと、御指摘のような使途不明金のようなものがあるということは公認会計士の監査上やや問題があるのではないか、不十分ではないかという問題もあるわけでございます。ただ、公認会計士による監査は、企業の取引すべてについての監査を一応するわけでございますけれども、どうしても重要性の原則というようなもので、かなり抽出、サンプル検査にならざるを得ないという点があるわけでございます。

 しかし、公認会計士の監査に期待されておりますいろいろな社会的な使命といいますかニーズというものを考えまして、現在私ども、公認会計士監査の監査基準あるいは手続という問題についてそういう社会的なニーズに対応できるような見直しをやっている最中でございまして、できるだけ公認会計士監査においてもそういうものが把握できるような監査が行われるような基準をつくっていきたいと思っております。

○仙谷委員 今、公認会計士の話が証券局長からもされたわけでございますが、この使途不明金問題を我々が報道に接する、あるいは昨年の証券会社の補てん問題も見ますと、ちょっと会社制度を勉強した者であれば、株式会社というのは監査役がまずいるのじゃないか、監査役は何しているんだ、その次には公認会計士も大企業にはちゃんとついている、監査法人がついている、この人たちは一体何をしてきたんだ、こういう反応といいますか話になるわけでございます。私も、監査役と公認会計士あるいは監査法人の存在理由が果たしてあるのかなと思わざるを得ないわけでございます。

 日本の株式会社の監査の制度の中にどこに欠陥があるのか、あるいはこの程度のことは諸外国でもしばしば起こることで、制度上問題にしてもしょうがないのだという話なのか、その辺、まず法務省、お答えをちょうだいできればと思います。

○大谷説明員 お答え申し上げます。

 大変難しい御質問をいただきましてお答えに窮する面がないわけではないのでございますけれども、先生御案内のとおり、戦後大企業をめぐる不祥事が幾つか続きました。例えば、古くは山陽特殊鋼事件、それからまた航空機疑惑事件というようなものがあったわけでございます。その都度、商法上の監査の問題について何らかの手を打つべきではないかというような御指摘をいただきまして、昭和四十九年におきましては会計監査人の監査が商法に導入された。さらには、五十六年にも大幅に監査役あるいは会計監査人の権限を強化するための改正が行われております。

 このような現在の商法上の監査のシステムというものをざっと整理してごらんいただきますと、専門家の先生でも恐らくびっくりなさるぐらい、こんなに監査の部門には権限が与えられているのかというふうにびっくりなさるのではないかと思います。そこで私どもとしては、現在の監査制度が本当にうまく機能すれば、相当程度に企業の健全な活動を確保することができるのではないかというように思っております。したがって、今度の一連の不祥事の原因が一体どこにあるのかということについて、人の運用を含めた十分な検証をすべきであると思いますし、また、逆に言えば非常にいい教材であるという見方もできようかと思います。

 ただ、一つ私が申し上げることができると思いますのは、そういう非常に精緻な手厚い制度のもとでなおシステムがうまく機能しないということがあるといたしますと、一つは、現在の現実の会社の中で置かれている監査役の位置あるいは公認会計士にもたらされる監査情報、こういうものの質の問題がやはりあるのではないか。さらには、会計事実を認識した場合に、どこまで会社の経営陣に対して監査役ないし会計監査人がチェックのための行動を起こすことができるのか。そういう情報に対する接近の度合い、さらには発言力の問題、そういう点において、あるいは商法上の制度としてもさらに考えるべき点があるのではないかというような感想を持っております。

 十分なお答えになりませんでしたけれども、とりあえずこんなところが私の考えでございます。

○仙谷委員 制度は立派な制度があるんだけれども機能してないというお答えでございました。昨日私が提起した飯田教授の言によると、まさに企業の自己規律の問題なのかなという感じがいたしました。そうだとすると、それは多分市場の中で、マーケットの中でみずからの責任に降りかかってくる話でありまして、企業が、要するにすべてなれ合いの、内輪の監査、あるいは質の高い情報を公認会計士に与えない、公認会計士の方もそれを徴求しない、求めないというところでどうもすべてが窒息状況になってきて、それが今の株式市場に反映しておるんではないか、そんな感じすらするわけでございます。

 したがいまして、この問題はしょせんはそういうマーケットの話だとすれば、我々政治の部面で余り手出しをすべき問題じゃないのかもわかりませんけれども、事はまたもう一遍問題が返ってきまして、そうなのかな、今大谷参事官が言われた制度がうまく機能するように我々に何ができるのかな、こういうことを考えなければいけない。

 一つは、従来から言われておりますように、監査役を第三者、つまり社外監査役の導入ということを真剣に考えたらどうだろうかというのが一つの提起になろうかと思います。

 もう一つは、先ほど松野局長ちょっとおっしゃいましたけれども、何か昨年の十二月の二十六日に、企業会計審議会で新しい監査基準と監査実施準則というのをつくられて、局長のところを通じて大蔵大臣に提出、公表されておる。その新しい監査基準というのは、役職老による不正行為の発生、これにどう会計士が対応するかという問題意識のもとにつくられでおるというふうに物の本で読むわけでございますが、その点について簡単に、まず法務省の方からその社外監査役の問題、これについての問題意識と、それと証券局の方は、その新しい監査基準、監査実施準則というものがどういう問題意識のもとにつくられておるのかということを簡単にお述べいただきたいと存じます。

○大谷説明員 お答え申し上げます。

 社外監査役の制度につきましては、過去、昭和五十六年改正の際にも議論されたことがございました。その当時は、人材の確保が難しいのではないかというような指摘がありまして先送りされた経緯がございます。しかし、最近のこういう事情を踏まえて、もう一度社外監査役の制度を基本的に検討すべきではないかという御指摘を各方面からいただいております。そういう御指摘をいただきまして、私どもも法制審議会にお願いいたしまして、現在法制審において真剣にこの問題を検討していただいております。

 これは、要するに会社の経営陣に対する発言力の強化、独立性の確保という点で大変すぐれた要素があるというふうに考えておりますけれども、反面弱点もないわけではない。時間の関係もありますが、簡単に申し上げますと、一つは、社外の者であるからどうしても情報源から遠いという本質的な欠陥がある。それから第二は、会社と縁が薄いということから会社の運命に対する共感に乏しい。それが経営陣に対する発言力、発言に対するインセンティブに欠ける面がないわけではない。こういう欠陥があります。したがって、今申し上げたような点について十分フォローするという制度を設ける必要がある。そういうことを含めて、この制度が立法として可能かどうかという点

について現在真剣に検討いただいているという状況でございます。

○松野(允)政府委員 先ほど少し触れさせていただきましたが、平成先年の三月からいわゆる監査基準等の見直し作業を進めてきたわけでございます。

 その趣旨といいますか背景といたしましては、やはり監査基準が全面的に改訂されましたのは昭和四十年代でございまして、それから相当日時がたって、企業規模もその間拡大し、かつ企業の経営活動の内容が非常に複雑化し多様化している、さらに国際化をしている、そういったような状況を踏まえまして、監査基準等についての国際的な観点、さらには御指摘にありました不正に対する適切な措置というような観点が非常に重要だという問題意識を持って検討を進めたわけでございます。その結果、昨年の十二月に報告書が出され、現在その報告書をもとにして私ども所要の省令改正などを準備しているわけでございます。

 報告書の要点をかいつまんで申し上げますと、特に不正に対する適切な対応ということから、監査人が十分な監査証拠、監査事実を裏づけする証拠を入手することが必要であるということが非常に強調されておりますし、また、「重要な虚偽記載を看過してはならない」、これはもう当然のことでございますけれども、そういうようなことが指摘されております。

 そういった観点から、監査に当たりましてその監査書類をつくります経営者の側から確認書をとるということを提案を受けております。その確認書には、その財務諸表の作成責任が経営者にあるということ、それから監査の実施に当たって必要なすべての書類を監査人に提供したというようなことを経営者が確認をするというようなことによって会計監査人が十分な監査情報に接近できるといいますか、アクセスできるということを確保したいということを内容としておりまして、現在この内容につきまして具体化をし、できるだけ早いタイミングで実施に移したいというふうに思っております。

○仙谷委員 私も余り企業会計は詳しくないんでございますが、企業会計原則はまず一番最初に、「企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実な報告を提供するものでなければならない。」というのが書かれておるわけでございます。ところが、ややもするとどうもそうではない企業が上場会社にもあるという残念な結果になっておるのであります。そういうことで、この問題は多分中期的に、にもかかわらずそれほどもたもたできないで、日本の企業が、先ほどの大谷参事官の言葉で言うと、制度にふさわしく機能するような監査がなされて企業会計が真実の報告がなされる、そしてそれがいわば株価にも反映し、ということにならなければならないのだろうなというふうに思いますので、ひとつ証券局、それから法務省の方、精力的に作業を進めるような方向に持っていっていただきたいと存じます。

 次に、株式市況の問題でございますが、私も余り詳しくはないわけでございますが、今の株価が非常に低い、冷え込んでいるというのが一般的な理解のようであります。一つは、ただ数字を見ますと、いわゆるバブルというふうに言われた時期の直前の株価というのは実は日経平均で八千八百円ぐらいなんですね。五十九年に一万五百六十円。六十年、このときから例えば東京の地価がどんどん上がってくるわけですが、六十年でも一万二千五百六十五円。六十一年で一万六千四百一円。六十二年になって二万三千二百四十八円。六十三年が二万七千三十八円。元年が三万四千五十八円。十二月二十九日に三万八千九百十五円をつけるわけであります。その間東京の地価が、六十年が一二・五%、六十一年が四八・二%、六十二年が六一・一%というふうに上昇した、こういう相関関係にあるわけですね。だから今の株価、二万一千円、二千円の株価を、地価のバブルが消し飛んで、そしてある種の、調整局面という言葉を使われておりますけれども、入ってくると、果たして高いのか安いのか判断がそれほど簡単につきかねる問題ではないか。つまり、三万八千円、三万九千円に比べたら半分近いわけですから非常に安くなったという感じがするわけでございますが、もともと日本の企業の株価というのはそんな株価を持ち得る力はなかったという評価もできるのではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。

 今、株式市場対策として自民党の方でもいろいろお考えになっておるようでございますが、この種の、公定歩合を引き下げる、あるいは有取税をなくすることを検討してはどうか、こんな話が、効果があるかないかですね。あるいはそういうことを株式市場対策としておやりになるおつもりがあるのかないのか、その点を大蔵大臣にお伺いをしたいと存じます。

○羽田国務大臣 この数字につきまして私どもがどうこうコメントすることは差し控えたいと思っております。ただ、配当性向の問題につきましては、これはやはり諸外国と比較いたしましても日本の場合に投資家に対する配慮というのが不足しているのではないのかということは、これは各界からも指摘されるところでございますし、今申し上げた他国との比較からいってもやはり低いというようなことで、これはこれから考えていただかなければならない問題であろうと思っております。

 また、税の問題につきまして、これは全体的にことしの秋ですか、こういった中で議論するということでございまして、今どうこうということは申し上げられないと思っております。

 金利等につきましても、これは金利に対する考え方はありますけれども、しかし実際にこのところ長短のプライムレートが下がってきておるという現実でありますし、またそのように銀行、いわゆる貸し出しをする銀行等と日銀ともいろいろな話し合いをしてきておりまして、このところ相当下がってきておるという現実が実はあるということであろうと思っておりますので、今マル公についてどうこうするということについて私どもがどうこうまたコメントする立場でもないというふうに思っております。

 

○仙谷委員 私も株式市場については素人でございますので大きい口をたたけないわけですが、振り返ってみますと、例の八七年ブラックマンデーというのがあって、そして八八年の初頭に、これはいつも大蔵省は否定なさるのでございますが、簿価分離、要するに株式評価についての低価主義の採用を延期する。一月六日に発表をされたことになっておって、公認会計士協会が発表したことになっておるようですが、それでまた株が右肩上がりになっていってそして八九年、九〇年を迎える。こういう過去の経過を考えてみますと、どうも余り小手先の、公定歩合を〇・五下げたら何とかなるんじゃないかとか、そんなことは考えない方がいいのではないだろうか。そろそろじっくり、マーケットはマーケットにある種任せて、先ほどから問題になっております日本の企業の配当の問題あるいは分配の問題あるいは先ほどから法務省からも指摘されておるような監査の問題、こういう問題に中期的に手をつけるということの方がむしろ今の時点で重要なのではないか、そんなふうに考えておるわけでございますが、その点大蔵大臣あるいは証券局長、いかがでございましょうか。

○松野(允)政府委員 まさに御指摘のとおりでございまして、私どもも、現在株式市場が低迷している、それに対して小手先の手段でこの低迷を脱することができるというふうにも思っておりませんし、またそれが適切であるとも思っておりません。やはり現在の低迷の原因の中には株式市場の構造にかかわる問題があるわけでございます。その中の一番大きなといいますか第一のポイントは、やはり昨年来、最近も出ております証券業者を取り巻くいろいろな問題が生じ、それが株式市場に対する一般投資家の信頼を失わせる、個人投資家が株式市場から離れていっているという現実があるわけでございまして、こういった点については、一つは証券会社の営業姿勢を適正化すると

いうことは必要でございます。従来のような古い営業方法ではなくて、やはり合理的な分析に基づいた投資勧誘方法というようなものをきちんと確立していくということが何よりも必要だろう。あわせまして、これは証取法の改正をお願いするところでございますけれども、検査・監視体制の強化とか、あるいは自主規制機関の機能の強化、さらには競争の促進というようなことでこういう問題に対応し、証券市場に対する、特に株式市場に対する投資家の信頼を回復していくということが必要だろう。

 さらにあわせまして、株式保有魅力といいますか、投資魅力を高めていくということが必要でございます。この点は先ほど御指摘いただきました配当政策の問題になっていくわけでございますけれども、やはり発行会社に対して利益のうち適正な割合を株主に配当として支払うというようなこと。これは欧米諸国に比べて配当性向が非常に低いわけでございまして、やはり株式市場が企業の資金調達の場として十分機能するためには発行会社としてもそれ相当の責任を持っていただく必要があるわけでございまして、そういうような株式市場のいわば構造的な問題の改善というものがどうしても必要で、こういったものは確かに改善するにはかなり時間がかかるかもしれませんが、目先の問題よりはそういった構造改善あるいは株式投資魅力の向上というような問題を通じて株式市場が活性化していくということにならないと、本当の株式市場の回復ということは期待できないというふうに考えておるわけでございます。

○羽田国務大臣 先ほどは時系列的に六十年ごろからずっと追われながら水準についてこのぐらいなのかなという感じがございました。ただ私どもといたしますと、アメリカ、ニューヨークの株式市場等の動き等を見ておりましても、やはりファンダメンタルズは日本の企業の方がずっと強いということを見たときに、やはり今の価格とか扱い高というのはちょっと異常だなという感じは率直にいたしております。

 ただ問題は、今局長の方からもお話ししましたように、やはり一番の問題はああいう不祥事を起こしてしまったということ、そして何かいろんなことをやられるのじゃないか、積極的な投資をお誘いする、こういったものに対してまた何か指摘されるのじゃないかということで、少し萎縮し過ぎてしまっているという面があるだろうと思っております。また、それと同時に投資家の方も、特に個人投資家の場合には、投資した、それが暴落によって大変な穴をあけてしまった、そういうことで、それこそ奥様なんかの場合に御主人から怒られてしまうとか、あるいは社会的にも何か指弾をされてしまって、株式に投資することが悪いことみたいになってしまっておるというものもあるのじゃなかろうかなと思っております。これはやはり、どちらかというと日本の市場の場合に投機の方が何か盛んになってしまって、本当の意味での投資という観点から離れてしまったという一面があるだろう、そういう面で株式市場に対する信頼とかあるいは株式に投資をするということに対する信頼というものが世の中から失われてしまっているというところに問題があろうと思っておりまして、今御指摘がございましたように、やはりこの信頼を取り戻すための私どもとして行政でやること、あるいは証券取引所また証券協会、こういったところが自主的なルールをつくっていくというこの二面からきちんとした一つのルールをあれして、勧誘する人たちも堂々とできるように、そしてまた参加する人たちも白い目で見られないような体制をつくっていくということが一番大事なことであろうというふうに思っております。

 

○仙谷委員 今もお答えをいただいたわけでございますが、結局配当性向の話がずっと出ておるわけです。ただ配当性向というのは、あるエコノミストによりますと、今年度の三月期の決算が終わると配当性向がぐっと上がるだろう、なぜならば企業の収益が落ちるからだ、そういう関係になっておるわけで、株式の問題からいえば日本の株式のいわゆる配当利回りというふうな、今〇・六九とか〇・六七とか言われておりますけれども、この〇・七%程度の配当利回りが他の金融商品に比べて非常に低いというところにも大問題があるのですね。アメリカは何か三%ぐらいの配当利回りがあるというふうに言われておりますので、当然のことながらそういうことでお金が動くということになるんでしょうけれども、どうも日本の場合配当利回りが低い。もしアメリカ程度の配当をやろうとすれば利益を全部つぎ込んでもその配当にならないというところに、実は日本の会社の企業会計といいますか、財務が落ち込んでしまっておるという問題が出てきておるわけでございます。

 そこで考えてみますと、どうも日本の会社の資産内容が、特に上場一部の会社と言われておるようなところは含み益が余りにも多いのではないだろうか。つまり、私が持っておる資料で言いますと、土地の含み益だけでも五百六十八兆円という、これが土地の含み益だと言われております。現在はもう少し株の方は含み益が落ち込んでおるというふうに思いますけれども、それでもこれも五百兆円ぐらいのオーダーであるのではないかというふうに言われておりました。つまり、昨年の末ぐらいまではそういう議論であったわけであります。

 要するに会社に留保ばかりされて株主にも配当されないというところ、それからきのうからの議論ですと経営者に対する報酬の問題、労働者に対する分配の問題というのが続くわけですが、ここがやはり大問題。つまり、もとへ戻りますと、企業会計上の資産評価の方法が余りにも会社を保護し守る、会社を倒産させない、会社に粉飾決算をさせないという方向に強く流れ過ぎて、結局個人に還元されずに会社に留保されて、それが今度は会社間の持ち合いというふうな格好になって身動きがとれなくなっておるということではないだろうかなという感じがいたすわけでございます。

 そこで私どもの考えておりますのは、堀先生がいつもおっしゃるわけですが、先ほどから問題になっている監査の問題としては社外監査、それから株式についてももうそろそろ、全く意味があるのかないのかわからない五十円という額面、五百円という額面、やめたらどうだろうか、こういうことでございます。つまり、企業経営者は一割配当しているから立派なものだ、安定配当しているんだというふうなことをどうもお考えになっておるようでございまして、現に営業報告書等にはそういうことを堂々と書いてある。ところがそこの会社の株式は時価は二千円であるということでございますので、何を言っているんだという話になるのだろうと思いますね。やはりそこのところを考えていかなければいけないと思うわけでございます。この無額面株式化の問題。

 それから、企業会計上一挙に全部含み益を出せと言っても、これはまた大蔵省の税金取りの陰謀だなんという話になりますので、そこのところをどうやってうまく考えるかということでございますが、そろそろ時価主義の方向へ動かすということをお考えになったらどうかと思うのですが、まず証券局長、それから法務省の方、お答えをいただきたいと思います。

○松野(允)政府委員 企業会計原則でございますが、これでは現在は資産の価額は原則として所得価額を基礎として計上するという原価主義をとっているわけでございます。これは検証が可能であるというような問題、あるいは実際にそれ以外の、例えば時価という場合にどれだけの公正かつ客観的な基準が引けるかというような問題があるわけでございまして、この資産についての原価主義というのは、我が国ではもちろん商法、税法を通じてとられておりますし、外国におきましてもこの企業会計原則の資産計上の方法としては一般的にこれが採用されて公正妥当な方法だということになっているわけでございます。そういったことから申し上げますと、企業会計原則そのものについて直ちに時価主義をとるというのは率直に申し上げて難しい問題だというふうに考えるわけでございます。

 ただ、それではいわゆる含み益というようなも

のをどこまで表示すべきかというこれは別の問題としてあるわけでございます。資産のうちの比較的時価が把握できます有価証券につきましては、既に一部時価がはっきりしているものは時価を表示するということを求めておりますし、また時価が必ずしもはっきりしないいろいろたくさん各種のものがございます債券につきましても検討を進めてまいりまして、本年の三月決算期から原則として含み益を開示するということで、有価証券についての含み益の開示というのは大体手当てができるというふうに考えております。

 ただ、問題は土地でございまして、土地につきましては、先ほど申し上げましたように、時価というものの算定方法というものが非常に確立をしていないという問題があるわけでございます。そういったことで、補完的な手段にはなりますけれども、現在私どもとしては、その企業が持っております土地については、所在地、面積あるいは取得価額というものを一覧表として有価証券報告書に添付して出すということを要請しているわけでございまして、それを通じて投資家あるいは一般の社会に、どの程度の土地を企業が持っていて、それがどういう計算をすればどの程度の含み益があるかという計算ができる基礎としての材料は提供しているというふうに考えているわけでございます。

○大谷説明員 まず取得原価主義と時価主義との関係につきましては、基本的な問題点は、今証券局長の方からお答え申し上げたとおりでございますので、重ねて申し上げることは省略させていただきます。

 法務省といたしましても、この問題については企業会計上の大きな問題として関係各界とも意見調整しながら検討を進めていきたいと考えております。

 それから、二番目の額面株式の問題でございますが、戦後無額面株式が導入されまして、現在では会社は無額面株式のみを発行することもできるということになっております。そういうようなことも考えますと、株式の制度を額面株式から無額面株式に一本化するということについて、少なくとも理論上の障害はないというふうに考えておりまして、あとは立法政策の問題だろうと思われます。かつて先生の御提言のような方向での改正が議論されたことはございましたけれども、依然として会社の関係者、これは会社サイドのみならず、株主の側にも額面株式というものに対する愛着が非常に強いという心理的な背景がありまして、まだそういう改正をするということまで至っていないというのが現状でございますけれども、この問題は株式の根本問題として引き続き法制審議会においても検討が続けられるものと考えております。

 

○仙谷委員 今後ともこの無額面の問題、それから、証券局長が御答弁されましたけれども、要するに資産内容のディスクローズからもう一歩進んで、企業のキャピタルゲインをどうやって株主とか経営者あるいは労働者に分配するのかという問題だと思いますので、要するに内部留保が非常にたまっても、それで設備投資に回しても設備投資の方がオーバーになってしまうという状況にどうも今来ているんじゃないかという感じもするものですから、分配の問題をもう少し本格的に、資産の分配の問題を真剣に考えなければいけないんじゃないだろうかということでございます。そういう意味では、昨日も議論しました地価税というのは、仕組みとしてはなかなかよくできた仕組みになるのかもわからないということを申し上げて、時間がございませんのでもう一点だけ、次に移ります。

 環境庁、来ていらっしゃると思いますが、今の環境に対する税の問題ですね。あるいは負荷の問題、負担の問題といいますか、これについて昨年の一月にOECDの閣僚会議というものがあったやに聞いておりますし、ことしは地球環境サミット、きょうの新聞を見ますと、渡部通産大臣はECのエネルギー税の問題で、ECと産油国ですか、これに板挟みになって右往左往というふうな記事が出ておったわけでございますが、現時点での国際傾向、何といいますか特にCO2課税の問題、どういうふうに動いているのかということをお伺いいたしたいと思うのです。

 そしてまた、大蔵省主税局の方には、この点についての今の検討段階の到達点みたいなことをお話しいただければと思います。

○長谷川説明員 お答えいたします。

 環境税について最近議論されるようになりました背景には、環境政策の手段として排出の規制等を中心とする施策に加え、経済活動全体に環境保全の観点を広く織り込むための経済的手段の活用が課題となってきているという事情があると思います。

 国際的動向といたしましては、フィンランド、スウェーデン及びノルウェーといった北欧諸国やオランダでは、燃料に含まれる炭素分に着目した税制を設けております。また、御指摘ありましたECでは、燃料中の炭素分と熱量に半々に着目した税制の導入を検討していると聞いております。こうした中でOECDでは、本年末までのスケジュールで環境税の利用についてタスクフォースを設け真剣な検討を行っているところであります。

 環境庁といたしましては、環境保全型社会の形成に向け、規制や助成を含めて幅広い対策を講じていくことが必要であると考えておりまして、その一環として環境税についても調査検討を行っているところであります。今後OECD等における国際的な検討の進捗状況を踏まえつつ、十分検討してまいりたいと考えております。

○濱本政府委員 お答え申し上げます。

 環境税の問題というのがしばしば新聞等にも出てまいっておりますけれども、私ども、環境税の問題というのはまさに環境対策の中の一つの問題であるというふうに認識しておりまして、環境対策というものが国際的にどのように論じられていくかということに対して関心を持っております。

 今仙谷先生は到達点について述べるという御指摘でございますけれども、そういう状況でございまして、現在その具体的な到達点について御報告できる状況にはまだ立ち至っておりませんけれども、非常に大切な問題だとしまして私どもも今年度以降熱心に取り組んでいきたいと思っております。

○仙谷委員 この問題、開発途上国といいますか、途上国の問題を考えれば我々も真剣に取り組まなければいけない課題だと思うんです。で、そのときにことしの国際貢献税のような、また大蔵省が増税だけをするというふうな、こういう印象にならないように、一つは目的税的なイシューを持つかどうかということもありましょうし、幅広い議論を集めてぜひこの大事な課題がもみくちゃにならないようにお願いをいたしたい、こういうことを申し上げて質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。