1992年02月26日 大蔵委員会

○太田委員長 仙谷由人君。

 

○仙谷委員 日本社会党・護憲共同の仙谷でございます。

 いわゆる租特の審議に当たりまして、私も景気動向についてお話をお伺いしようと思って若干の用意はしたのでございますが、先ほど日本銀行の専務の方、そして今同僚議員から質問がございま。して、私ごときがやらなくてもほぼ尽きておるように思いますので、そこからさらに話を進めたいというふうに考えます。

 まず大蔵大臣、財政演説の中で「国民の一人一人が生活面での豊かさを実感できるよう、国民生活の一層の質的向上を」図らなければならない、それから、内需を中心とした「インフレなき持続可能な成長」へ移行しなければならないというふうなことをおっしゃていらっしゃるわけでございます。なかな含蓄があるといいますか、意味深長な言葉であるだろうなと思います。

 それは、二年前、私どもが議席を得させていただきましたところの経済の状況、あるいはそれをめぐるいろんな議論でございます。当時、九〇年の三月には、いわゆるトリプル安というのがあっ

て、これをどう見るかというふうなことで議論が闘わされておりました。そして、まさに現象としてといいますか、あるいは体で感じるものとしては、土地の高騰が行き着いて、このままじゃどうにもしょうがないという状況で、そこから地価税論議が始まって、地価税は昨年結実をしたわけであります。九〇年の三月に、一たん株も安くなったわけでございますけれども、今日のような状態になるということはその時点で予想された評論家の方もだれもいなかった。ましてや証券・金融スキャンダルというふうな形でバブルがはじけるということはだれも思いも及ばなかったのがおととし、あるいは昨年の今ごろでもそうであったのかもわかりません。

 現時点に立ってみますと、やはりこのバブルとは何だったのかということ、あるいはあの五年ぐらいの、八〇年代後半から九〇年の中ごろまでといいますか、あるいは年末までというふうに考えてもいいんでしょうか、この経済とは何だったのか。そして、我々は今不況とか深刻な景気後退というふうなことも言われておるわけでございますが、実はそうではなくて、我々がこのバブルを経験して、今の時点で経済政策として、あるいは日本の経済の構造改革の問題として何をしなければいけないのかという点が我々に課されておる使命ではないか、そんなふうに私は考えておるわけでございます。その点につきまして、ちょっと抽象的でございますけれども、大蔵大臣の御所見、ございましたら一言承りたいと存じます。

○羽田国務大臣 今御指摘のございました、やや過熱ぎみだった経済成長、この時期は日本の産業なんかも相当力を得てきたということもありましたでしょう。それと同時に、いろんな、特に人手が不足してくるなんという新しい傾向も出てきておるということ、そういう中で投資意欲というようなものも非常に大きかったというものがあったと思います。また、そういうときに、ちょうどプラザ合意で円が急激に高くなるんじゃなかろうかということで、そういったものに対応するための金融の緩和というものもございました。こういうものが大きく、これがさらに加速して大きく膨れ上がってしまったのがやはりあのバブルであったろうというふうに思っています。

 ですけれども、私どもこの中で張力返って考えてみますと、そういう中にあって、地方の中小あるいは零細企業と言われるところなんかにおきましても、割合と工場等に新しい設備が投資されたり、また小さな工場なんかでも研究開発の機関をつくるようになったというような一面もございましたり、またこの中で、地域にやはり少しでも還元していかなければいけないなんということが企業の中にも実は生まれてきておったというふうに思っております。こういった点では、私はこのバブルというのはただ否定されるべきものだけではなくて、日本の国がここまで大きく発展していく一つの成長過程の中にあって、一つのいい面というものを残してきたんじゃなかろうかという面は評価すべきだろうと思います。

 ただ、問題は、そういったことを進める中に、ともかく何でも生み出された富というものを相当むちゃなところに投下されてしまったり、あるいは計画性を失って投下されてしまっているということが、いろんなところの破壊だとか、あるいは地域からもいろいろと指摘される一面もあったことも事実であったろうと思いますし、そういう中にあって、特に土地の価格をとんでもないところまで押し上げてしまったということ、こういうことが国民のいろんな活動に支障を来しましたり、あるいは、日本に門戸を開きました、日本に出てきました、ところが、事務所、いわゆるオフィスあるいは住宅、こういったものが高くてどうに池ならぬなんというので、日本に進出したけれどもまた帰ってしまった企業なんかもあったということ、こういうものを見たときに、やはり土地というものが異常になってしまったなあということと、やはり多少浮ついたものが生まれてしまったということは、私たちは反省しなければいけないんじゃなかろうかと思っております。

 しかし、この反省というのは、ただ国が、あるいは我々がというだけでなくて、こういう大きく膨れ上がったあの中にあって、おい、本当にこれでいいのかねという声が方々で出てくると同時に、先ほど池田さんとの話の中にもありましたように、日本型の経営というのは今までいいと思っておったんだけれども、しかし、本当にこのままでいいのかね、労働の配分率なんかについても本当にこれでいいのか、あるいは資本家に対する、株なんかへ投資した人に対しての還元というものはこれでいいのかねとか、あるいは企業というのはもっと社会的な責任を果たしていかなければいけないのじゃないかとか、また、一人一人の国民生活というものがこれだけ大きくなったけれども、そういったものに対しての本当の還元というのは十分なされているのだろうか、実はいろいろなことがその中で議論されたということでございまして、私どもはこの事態というものを振り返りながら、再びこんな大きなバブルみたいなものをつくっちゃいけないけれども、しかし、やっぱり持続可能な安定した成長というものは維持しながら、その中でその当時議論されたこと、そしてその後議論されたこと、こういったものを実現していくのが今の時代じゃないのかなというふうに改めて思っております。

 

○仙谷委員 多分今のが、その先ほどの国民生活の一層の質的向上の中身と内需を中心としたインフレなき持続可能な成長の内容であったのだろうと思いますが、内需を中心としたというのは、当然のことながらこれは経常収支の黒字を拡大させない、縮小させる、そういう政策目標だと思いますし、インフレなきというのは、これは消費者物価指数が上がるということだ付しゃなくして、資産インフレをもう一度起こさないんだということでもなければならないというふうに考えます。そしてまた、持続可能な成長というのは、五年、十年というふうなその程度の期間の問題ではなくて、もう少し長い、私どもの子供やあるいは孫にまでかけて、あるいはもう少し言えば世界各国との共生ができるようなそういう成長を目指すんだ。とりわけことしは地球環境サミットの年でございますので、この環境に配慮した経済といいますか、環境の負荷を組み込んだ経済政策というのがなされなければならないな、そういうふうに私は考えておるわけでございます。大蔵大臣の今の御答弁もそういう趣旨であったというふうに理解して先に進みます。

 ところが、資本主義経済、市場経済というのは本質的にどうもカジノ化するのではないかというのを、つい最近でございますが、国際日本文化研究センターの教授の飯田経夫さんという方が書いていらっしゃるわけでございます。日本経済新聞の「私の新・資本主義論」というのに書かれていらっしゃいました。

 資本主義は効率を尊ぶから、カネ儲けのために

 も、最も効率的な方法をドライに探す。そのた

 めには、時間もかかり、チームワークも必要な

 モノづくりは明らかに適当ではない。

  男一匹が才覚(と幸運)のすべてを賭けて、

 「一発当てる」可能性のある「カジノ経済」の

 方が、はるかに目的にかなう。その意味で経済

 の「カジノ化」は、資本主義の必然だと見なさ

 れよう。というふうに書いているわけでございます。

 このカジノ化を制度的、政策的にどうやって減殺させていくのか、封じ込めていくのかというのが実はこの市場経済のまさに構造改革の問題ではないだろうかというふうに私は感じておるわけでございます。多少大蔵省に褒め過ぎになるかもわかりませんが、したがいまして、制度的には地価税の問題というのは、実はそういうカジノ化を防ぐ制度的担保としての意味があるのではなかろうかというふうに私は意味付与をしておるわけであります。といいますのは、地価の暴騰というのはプラザ合意以降の超低金利政策の中で起こったわけでございまして、それを防ぐ総量規制等々行ったわけでございますが、それが遅過ぎた、まあこういうことになるんだと思いますが、その時点で、

要するに土地神話あるいは土地の保有コストが非常に低い。あるいは金融資産としての有利性が、有利性にまさる土地保有コストがかかるんであればこんなことになっていなかったんではないかということも考えられるわけであります。地価税だけで土地の高騰を食いとめるということはとてもできないことではありますけれども、ただ、例えば金融政策にしましても、地価税があることでその分金融政策にフリーハンドが発生する、あるいは発生し得る余地があるのではないか、そんなふうに考えておるわけでございます。

 昨年の地価税についての代表質問のときに、多少、私も半分しかわかっておりませんけれども、長谷川さんやあるいは野口教授がその定式を書いていらっしゃったのを引用して、地代収益、期待値上がり益、節税益、その和と利子率の比例で地価というのは決まってくるんだという話をさせていただきました。そして、今また金利を三度公定歩合を引き下げて、もう一度早く下げないとどうにもならないというふうな、割と大きい声というのは少数の人だと思いますけれども、少数の人の大きい声が聞こえてくるという事態になっておるわけでございます。地価税がなければ、そんなことをすればもう一遍ミニハブルを起こすのではないかと私は杞憂をしておるわけでありますけれども、幸い地価税というのが導入された。昨年の附帯決議で機動的にこれを使うんだということも決議をされておりますので、必ずしもこれからの金利政策が、もう一段下げることが絶対的にいけないというふうな議論にはならないんじゃないかと思いますが、それもこれも地価税という制度的な担保がつくられたからだというふうに考えておるわけでございます。そういう意見を持っておるわけでございますが、大蔵大臣の方ではこの地価税の持っておる金融政策との関連での意味というのはどういうふうにお考えになっておもれましょうか。

○羽田国務大臣 今御指摘がございましたように、確かに金融政策だけでは地価の高騰を抑えるということは非常に難しい。これは実は総量規制を執行しているときにも申し上げてまいったわけでありますけれども、やはり説とかあるいは都市計画とかそういったものが合わさって地価の高騰というものは抑えられていくものであろうということを考えたときに、今御指摘がございましたように、地価税を創設したということによりまして、金融政策等についてもある程度フリーなあれが与えられたということは事実であろうと思っております。

 いずれにしても地価税の基本は、ただ税収をこれによって上げることが目的じゃないということでございまして、あくまでも土地というものがほかの資産に比べて有利であってはならないということ、そしてただ持っているということは決して利益じゃないんですよということをこの税によって理解をしていただこうということが一番の目標であるということであろうかと思っております。

○仙谷委員 一昨年、昨年の地価税論議といいますか、土地保有税論議の中で行われた議論は、サラリーマンが年収の五倍ぐらいで一時間ぐらいのところで土地を買えるような地価にしなければとても勤労意欲もなくなるし、資産格差がつき過ぎてとんでもない社会になるのではないか、大ざっぱに言えばこんな議論だったと思います。昭和五十八年が、何かまあまあマクロ的に見ると年収の五倍ぐらいの地価であったというふうに言われておるわけでありますが、先ほど国土庁の方に最新の地価の動向調査というのをいただきましたら、東京圏で、昭和五十八年を一〇〇といたしますと平成二年二四九・五、平成三年二四七・〇、それから東京都区部は平成二年二八三・八、平成三年が二七五・六ということのようでございます。そうしますと、昭和五十八年から約三倍近く上がったのが、少々下降ぎみであるけれどもまだ年収の五倍で買えるような地価にはなってないということでございます。

 そういたしますと、今の時点は、私の個人的な見解から言えば、本当はことしの地価税も〇・二%でなくて〇・三%か〇・四%にすべきじゃないかというふうな極端なことも言いたいぐらいでありますけれども、まだまだ地価の動向に注意をしなければ、注意をした金融政策あるいはその他の政策をとらなければミニハブルが発生する、そういう可能性もあるのではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。

 現在の地価のこの水準につきまして、大蔵大臣あるいは国土庁の方で、あるいはこれからの動向について、見通しについて国土庁の方でひとつ御答弁をいただきたいと存じます。

○羽田国務大臣 現在の水準につきましては、確かにこのところ地価の上昇というのは鈍化してきた、そしてまた一部では実際に下がっているということ、これは地価税を含む土地税制改革のアナウンスメント効果があるんだろうというふうに思っております。しかし、地価水準というのは地価高騰前に比較いたしますと、まだ大都市圏のところでは二倍以上というふうになっておるところもあるというのが現状でございまして、水準はやはり依然高いのであろうというふうに思っておりますから、再び地価が高騰するというこの神話だけは何としても打破しなければいけない。限られた土地でございますから、土地が上昇してしまって今お話しのような事態になったんではいかぬ。これは国民経済全体にとってもマイナスであるということを考えながら、私どもこれを注意深く見守りながら、総量規制をあれしたときにも例のトリガーなんかの制度を取り入れたということでございます。

○木村説明員 お答えいたします。

 ただいま先生からお話のございました数字でございますが、最初にちょっと申し上げさせていただきますが、お話の昭和五十八年に対する数字は、昨年七月一日現在の数字でございます。公的な調査といたしまして年間二回、一月一日の地価公示と七月一日の地価調査を行っております。その後、実は昨年暮れに私ども「最近の地価動向」というものを取りまとめました。それによりますと、昨年後半以降、特に大都市圏におきまして地価の下落傾向が強まっておりまして、先ほど言われました東京圏それから近畿圏、昭和五十八年の二・五倍という数字はもう少し小さくなってきているとは思いますが、ただいま大蔵大臣からお話がございましたとおり、依然として二倍を超えているのではないかというふうに見ております。

 いずれにいたしましても、適正な水準ということから考えますとまだ高いと言わざるを得ないと思っております。したがいまして、私ども総合土地政策推進要綱に従いまして土地対策を引き続き強力に推進してまいる所存でございますけれども、今後の地価の見通しということにつきまして、あわせてそのとき関連の皆様方といろいろヒアリングをさせていただきましたが、不動産市場、今大変弱含みでございまして、またエンドユーザーの方々にも先安感というものが非常に強い状況でございます。したがいまして、今後ともこういった今の下落傾向というものは当面続いていくのではないかというふうに見ております。ただ、これは決して気を緩めることができる問題ではございませんので、引き続き十分注視して取り組んでまいりたいと思っております。

○仙谷委員 ところが、ここへ来て、まさに金融スキャンダルということで、昨年の金融業界の混乱に一役を買った銀行の方は債権回収が甚だ困難になってきた、あるいは延滞債権が大幅に出そうだ、あるいは回収不能の債権が二兆円ぐらい出るのではないか、貸倒引当金よりもはるかに多いというふうなことで、どうも土地を高騰させて帳じりを合わせよう、そんな雰囲気とか動きが一方では見えるわけでございます。まさに国民の、庶民のツケで彼らが行ったバブルの清算をしようという話になるわけでございます。

 もう一方では、不動産業界を中心にして、地価税が悪税である、即刻廃止せよという厳しいことを言う人まで出てきたわけでございます。一月二十四日の日刊工業新聞紙上で不動産協会理事長と

いう名前で坪井東さんという人がそういう発言ををしているわけであります。「性格があいまいで、諸外国にも例がない。」「土地政策に関係がなく税金のための税金だ。」「有効利用されている用地にも課税するとは不合理極まりない。即刻、廃止すべきだ」。次の日にはデパートの松屋の社長さんが、私どものところでも二けたの億に近い額が地価税で取られる、地価税は悪税であるという議論でございます。こういうことが、のど元過ぎれば熱さを忘れるというのが人間の豊かもわかりませんけれども、バブル崩壊と言われる現象から一年たつかたたないうちにこの種の議論が出てくる。

 今私が申し上げた、諸外国にも例がない、土地政策に関係がなく税金のための税金だ、課税することは不合理きわまりない、こういう論理を主税局長はどういうふうにお考えになりますか。

○濱本政府委員 長い論議の後、土地問題を抜本的に解決していくために土地基本法が論議されまして成立を見、これを受けまして土地税制の改革の作業が進み、やっと結実いたしまして地価税となり、それが実施されましたのがこの一月一日でございます。そして、先ほど来お話ございました金融措置の効果等と相まちまして、ただいまやっとそのアナウンスメント効果が広がり、所期の効果があらわれんとしているやさきでございます。

 けさほどもちょっと申し上げましたように、地価税というのは、先ほど金融措置について御討議ございましたような緊急臨時的な対応というよりも、もう少し長期的、体質改善的な対応をなすべき方策と心得ておりまして、そういった種類のものが今やっと導入されようとする。しかもまだ地価税につきましては、一度も具体的な納税は行われていないという状況でございます。したがいまして、私どもとしましては、これがせっかくの御議論でございまして、大事に定着をして、その実効を本当に上げてくれるように、それのみを念ずるわけでございますが、ただいま仙谷先生のお話の中に、どなたかのお言葉を引っ張ってこられまして、外国にも存在しないとんでもない税であるというような御議論等があるようでございますが、この外国とはどこを指しておられるのかということもございますけれども、土地の問題というのはある意味では日本の特殊な問題でもあった。したがいまして、それと同じような問題がどこにもあるということではなくて、日本はやはり日本なりの対応をしていかなければならないという一つの典型的な問題であるというふうに思っております。

○仙谷委員 大蔵大臣にもぜひ御注意をいただきたいということで要望いたしたいのでございますが、不動産協会の新年会で坪井会長が来賓の山崎建設大臣や自民党代議士を前にして、業界はどしゃ降りの雨の中にいる、地価が下落しているときに地価税がそのままかかってくる、ぜひ地価税の改廃について検討してほしいというふうに強く訴えた、こういう記事もあるわけでございます。まさに不動産業界のエゴといいますか、即時的な利益追求というのがここに見えるわけでございまして、こういう議論は自民党の中でもあるいは税調の中でも一顧だにしないということでお願いをしたいと思いますし、それから自民党も、不動産業界からは献金を受け取らないようにしていただきたい。献金を受け取るからこういう議論が平気で出てくるということになるのだろうと思います。どうかその点ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次に、ダイヤモンドという雑誌でも反地価税キャンペーンが行われておるわけであります。相当厳しい見出しで、「なぜ誰も騒がない地価税急騰ショック」という見出してあります。「来た!大都市直下型「地価税」の衝撃」「家賃値上げ?価格に転嫁?不動産、ホテル、百貨店それぞれの攻防を追う」。要するに、地価税を払うのが嫌だということだけが書いてあるわけですが、こういう議論がこれからどんどん広がるのではないだろうか。我々が地価税論議のときにいろいろ論議をいたしました。そして、今宮澤さんも大蔵大臣も国民生活の一層の質的向上ということを言われて、これには日本の場合に土地の価格を下げないことには、住宅から社会福祉の施設から道路から公園から何にもできないという状況に今立ち至っているわけです。にもかかわらず、業界は業界独自の利益を直接的に追求なさるということでございますので、その点は大蔵当局だけではなくて、大蔵大臣も自民党の諸先輩の先生方もぜひ、余り一つの業界の即時的な利益を代理をしないようにお願いをしておきたいと思います。

 ところが、その反地価税の議論の中に、もう一つこういうのがあるのですね。結局、土地対策にこの税収が使われなかったじゃないか。だから、大蔵省は徴税屋としてうまく立ち回ったんだ、大蔵省の高等戦術に落とし込まれて、結局、増税の片棒を担いだやつがいっぱいおるじゃないか、こういう議論でございます。先般の公明党の日笠議員の一般質問の中でも、どうも地価税導入の附帯決議の中にある所得減税もしくは土地対策費用に回すというのが本年度予算の中できちっと生かされていないのではないかという議論があるわけでございます。私は甚だ予算編成上の問題についても残念だと思いますし、そのことがこういう反地価税キャンペーンに力を与えるということになればゆゆしいことであると考えますので、その点補正予算の段階なのか、あるいは本予算の組み替えというところまでいかないのでしょうけれども、大蔵大臣の現在のお気持ち、御意見を伺っておきたいと考えます。

○羽田国務大臣 今御指摘のとおりでありまして、私どもは相当広範な議論を踏まえましてこの地価税が設立されまして、この一月から実際に動き出したということでありまして、私どもは先ほど申し上げましたように、いわゆる地価神話を打破する、そして二度と地価高騰を呼び起こさないということのためにこの税制は大事にはぐくんでいきたいということを改めて申し上げたいと思います。

 なお、この地価税について、今度の予算の中においてというお話があったわけでありますけれども、私どもも、新しく住宅等を開発するものあるいはまた地方公共団体等におきまして土地を活用する、そういったことのために先行取得をするというものに対して予算を配分をいたしましたり、またこの調査のための問題ですとか、あるいはその情報等を皆様に提供する、そういったこと等につきまして、私どもとしてもそれぞれ措置をいたしたところでございまして、これからも地価税につきましては、まさに土地問題あるいは住宅問題とかそういった問題に十分生かされるように配分をしていかなければいけないであろうというふうに思っております。

○仙谷委員 それでは、ちょっとテーマを変えさせていただきます。

 非常に残念なことでございまして、そしてまた証券特別委員会の中での議論から見ますと、そしてまた、これから私どもが議論をしなければいけない金融制度改革あるいは金融検査特別委員会でございましょうか、その設置をめぐる問題というのが我々の前に提起されておるわけですが、この三、四日の新聞で大きく証券会社の飛ばしの問題というのが提起をされております。

 実は、いわゆる証券スキャンダル、補てんの問題が起こったときに、私は、山一総合ファイナンスというところに山一証券が補てんをしたそのやり方、山一総合ファイナンスのファンドのそもそもの設定の仕方から見て、これは飛ばしてある、引っ越しである、こういう、他の事業会社の営業特金なのかはともかくといたしまして、その損を全部集めた、それがこの山一総合ファイナンスの口座であって、それを丸ごと補てんしたのが山一証券の山一総合ファイナンスに対する補てんであるという話をしました。よく調べてほしいということを言いました。最後には、よくわからないという返事でございましたが、そういうことがあの当時からわかっておりました。そして、三協エンジニアリングの問題というのは、そもそもの八九年十一月のこの補てん問題のきっかけである大和証券のこの三協エンジニアリングに対する補てん、

それも何かビルの株を使っての補てんというのが、これも飛ばし、引っ越しという話があったわけでございます。この種の話があるだろうということは、これは大蔵省の証券局も当然のことながら予想をしていらっしゃっただろうと思います。

 ところが、昨年の十二月の末に、もう四杜の特別検査を終わってすべておしまい、もうこれでないんだというふうな雰囲気になってしまったわけでございますが、今度はこれが、いわゆる私ども弁護士経験者から言いますと余り気持ちのよくないやり方、つまり裁判所を使うというやり方、利用するというやり方で実質的な補てんが行われ、あるいはその前提としての利回り保証が行われているということがどうもこれからどんどんと明らかになるんではないか、そんなふうにこの三日間の新聞記事を見て考えるわけでございます。証券局長、これは甚だ証券局長にまたまたこういうことをお聞きするのもつらいんでございますけれども、どのくらい新聞で今報道されていることを事実問題として現時点で確認できていらっしゃるんでしょうか。

○松野(允)政府委員 このいわゆる飛ばしというふうに言われております問題につきましては、御指摘のように先般の国会におきましてもこういう問題があるんではないかというお尋ねをいただきまして、私どもも飛ばしという言葉自体の内容は非常に不明確ではありますけれども、そういうような形での証券会社の関与というようなものがあり得るというような問題意識を持って検査をしてまいりたいというふうにお答えを申し上げたわけでございます。

 私ども、その後いろいろと特別検査などを通じて証券会社を検査したわけでございますが、現在明らかになっておりますケースは、証券会社の営業マン、担当者、企業の取引の担当者でございますけれども、この担当者が全く会社に無断といいますか、会社の帳簿を全く通らない形で法人間の証券の取引の仲介をしたというような行為でございます。私ども、検査でもいろいろとチェックをしたわけでございますが、こういうふうに担当者が全く会社に無断で企業間の取引の仲介をするということになりますと、これはいかなる形でも会社の帳簿にはあらわれないものでございまして、残念ながら検査において把握するということができなかったわけでございます。

 これが明るみになりましたのは、結局、企業間の直取引が繰り返し行われ、その直取引の対象になっております有価証券の値下がりといいますか、これで含み損がどんどん膨らんでいくというようなことで、その企業間の直取引がそれ以上続かなくなったというような段階で初めて問題になったわけでございまして、その場合に、もしそれを証券会社の担当マンが仲介をしたということで証券会社がそれを引き取るということになりますと、これは法律で今度禁止をしていただきました文字どおり損失補てんに該当してしまうわけでございまして、我々としては、こういう問題については証券会社に対して、ともかく不明朗な形で解決するのではなくて、ちゃんと法令等に則した解決をすべきであるということを指導してきたわけでございます。

 その結果、新聞報道にありますように、あるいは訴訟に持ち込まれ、あるいは民事調停手続に入るというような形のものが出てまいっているわけでございます。これにつきましては、民事調停あるいは訴訟の過程でどういう判断がなされるかという問題があるわけでございますが、証券会社としては、それは営業マンの個人的な仲介行為であるということで全く把握できなかったという問題はあるわけではございますが、しかし、営業マンが仲介行為をしたということを考えて、相手方の企業が証券会社に対して使用者としての責任を問うというような形で損害賠償を請求しているわけでございます。

 私ども、これが、今まで報告を受けました限りでは、今申し上げましたように担当マンの個人的行為である、いかにしても証券会社が把握できなかったということでございますけれども、しかし、やはりこの内部管理体制に問題はなかったのかどうか、さらにそういう営業マンを監督する立場にある人間が十分監督をしていたのかどうかという監督責任の問題、さらには経営責任の問題というようなものも考えられるわけでございます。

 こういう問題が一体どの程度あるのかという点につきましては、率直に申し上げまして、今申し上げましたように全く会社の簿外で行われている行為でございまして、明るみに出ております、新聞報道されておりますケース、あるいはそれ以外にも顧客のトラブル、法人の顧客との間でトラブルになっているというようなことは聞くわけでございますけれども、全貌について把握するというのが現在のところ残念ながらできないわけでございます。ただ、証券会社に対しましては、特に法人取引の関係でございますので、法人担当者あるいは法人顧客に対してこういった点について十分照会をして、こういう問題がもし潜在的に存在するんであればそれを早目に会社がチェック、把握をして、それなりの対応をする必要があるというふうに指導しているわけでございます。

 

○仙谷委員 今の話を聞いておりますと、いつもながら、こういう問題が起こったときにどこの会社でも、それは個人の営業マンがオーバーランしてやったんだという話になるわけでございますけれども、例えばコスモ証券の件について、私は具体的な事実として、社長が実際に手を下したというふうなところまでは聞こえてきませんけれども、部長連中、課長連中が一人ではなくて数人、それも五、六人の者がそれぞれ違う会社、A、B、C、D、E、F、それぞれの会社を担当しでおって、それを全部まとめて飛ばしを何回か重ねたという話が入ってきておるわけでございます、会社ぐるみだと。だから、会社の専務か常務かに当たる人も朝礼かなんかで全国の部店長がなんか集めて、これはあいつだけがやったことにしてくれなんというあいさつを二十四日の朝礼でやっておるということまで私のところに入ってきておるんですよ。兜町全体では一兆円ぐらいこういう飛ばしで、彼らの言葉で言うとしこっておる、つまりもう身動きがとれなくてどうにもならないものが一兆円ぐらいある。大和証券は一千億もある。大和証券はまだ二、三件あるというふうに記者会見でも言っておるようですが、そういうことが言われておるんですね。

 だから、これは個人的な責任にするということをやりますと、どうも会社総体としては正しいけれどもとんでもない営業マンがおっだんだという話になるわけです。まあ事実関係がそれぞれ具体的にきちっと出てくるというのにはなかなか難しい問題があろうと思いますけれども、しかしながら、いつもトカゲのしっぽ切りをしておったんでは、この証券業界が透明性を持った公正な市場参加者として、自律するというとおかしいですけれども、自己規律ができる会社になるのかどうか、私は疑問だと思うんですね、去年からことしですから。このことが株式市況に与える影響というのはそんなに小さくないのではないか。これは我々がほじくり出してきて言ったんではなくて、そもそも裁判をやったから明らかになったわけでしょう。したがいまして、この点については証券局、御苦労でありますけれども、もう一度ひとつ力を入れて調査をする、調査の結果をオープンにするということをぜひお願いをしておきたいわけでございます。

 で、法律関係をちょっと聞いておきますが、もしこの飛ばしというのにかかわった場合は、対象物が株であれば、A社で評価損を出している株をB社に評価損、つまり現在時価にかかわらず何億円かで買い戻しつきで買い取ってもらうという行為は一方では利回り保証、つまり買い取ってもらう会社には、次にこういう金額で買い戻すんだからという話ですから、これは利回り保証禁止に触れるということになるんじゃないでしょうか。それから、そもそもその飛ばしていただいた会社の方は、これはつまりもともと評価が二十億になっているものが、元金が三十億だったから、それに年間の利率として一〇%をプラスして、どこか

のB社からそれを払って、買い取ってもらったということになると、これは完璧な補てん禁止に触れるんじゃないかと私思いますけれども、いかがでございますか。

○松野(允)政府委員 私どももこの事実関係を、訴訟中のものもございます、あるいは調停中のものもございますが、よく把握いたしまして、その中で証取法上の問題になるという行為があれば、これは我々としても厳正に対処していきたいというふうに考えているわけでございます。

 お尋ねの利回り保証あるいは損失補てんの問題でございますが、先ほど申し上げましたように、これは担当者がいわゆる口約束みたいな形で行っているケースが多いということでございます。その当事者の企業の意識は、有価証券の売買というよりも一種の金融取引である、有価証券担保金融のような形であるというような意識を持っているわけでございます。担保金融ということでありますと、それは利回り保証とか損失補てんという問題は生じない問題でございます。ただしかし、形の上では有価証券の売買の形をとっているわけでございまして、その売買の形をとっている場合に、それに対して、仮に仲介した証券会社の営業マンが利回り保証的なことを言うとかあるいは損失補てん的なことを言っておれば、これはその仲介した営業マンは証券取引法に触れる行為だということが言えると思います。金融取引であるのか、あるいはそういう損失保証あるいは利回り保証がついた売買なのかという点についての事実確認が何分にもまだ十分できないわけでございますが、御指摘の点、確かに私どもも非常に問題意識を持ってこの事実解明に当たっていきたいというふうに思っております。

 

○仙谷委員 形式が担保金融のようなものだというふうにおっしゃったわけですが、当事者の意識は違いますよ。これは明らかに飛ばしをやってあげるんだ、やるんだということじゃないでしょうか。つまり大和証券と東急の、これはきょうの新聞各紙に出ていますけれども、日経金融新聞かなんかに両方の記者会見が載っていますよ。東急は大和への融資であったと思っておったというふうに言っているけれども、何で東急不動産が大和証券に金を貸さなければいかぬのですか。そんなことは両社の規模と営業から考えたって常識じゃないですか。それは名目としては何か現先売買とか、私もよくわかりませんけれども、あるいは金融取引的な、お金の貸し借り的なことを装っておるけれども、実態は買い戻しつきの飛ばしなんですね。そういうことが明らかなんですよ。だからみんな裁判している、そういうことになるんじゃないですか。

 これは、今口約束という話をされましたけれども、本当に口約束なんですか。私は、口約束で調停をしたり裁判をしたりするということはちょっと考えられない。これはそれぞれ念書とか変な書面がなんか知りませんけれども、あるいは改めて通達を読みますと、蔵証の二百八十七、五十一年三月十日、これを読みますと、債券の現先売買については契約書をちゃんとつくることと書いてありますね。だからつくっておるんじゃないですか。

 で、もう一つ言いたいのは、大蔵省はどうも、調停とか裁判で訴訟をやったら、そこで和解したんだから、これは合法化されていいんだというふうなお気持ちが何かおありになるのかもわかりませんが、例えばコスモ証券の例で新聞紙上から私が抜き書きをしたのだけ見ますと、調停の申し立てが一月十三日。二月二十四日には調停がもう既に成立して損害賠償金三百六十億円を支払えと、こう書いてあるわけですよ。これは弁護士の常識から言えば、あらかじめ話ができていなければこんなことはできないのですよ。要するに形式として裁判所の調停を使う。調停調書をつくってもらって裁判というお墨つきを与えてもらう、それ以外に考えられないじゃないですか。それから、例えば大和証券のきょうの新聞に出ておった件。これも十二月下旬の提訴ですよ。そして既に和解が成立したと。本裁判を提起したら、訴状が相手方に送達されるだけでも今一カ月から四十五日かかるのですよ。第一回目の口頭弁論で、それじゃ和解しましょう、ああ和解できました、和解条項書きましょうという話でしょう、これ。そうしないとこんな手品はできない。つまり、裏では両当事者間で談合が成立しているからこういうことができるのですよ。昔、国土計画法の上限価格をクリアするために、不動産屋同士で即決和解というのがはやったことがあります。裁判所へ持っていって、東京の不動産屋が下田の簡易裁判所まで行って、即決和解で国土法の制限額を超過する金額で買う、こんなのは裁判の悪用なんですよ。それと同じようなことがどうも行われておるんじゃないか、裁判という名前をかぶせた補てんがここで行われておるんじゃないか、そんなことを感じるわけでございます。何でもかんでも裁判所の形式を与えたら合法化するとか正当化するということではない。つまり、もう一遍証券スキャンダルが起こりつつあるように思うわけでございますけれども、その辺は厳しくお調べをいただきたいと思います。

 それと、私は、この事実関係を拝見して、これはもう証券取引法三十五条を発動して、事実関係をちゃんとお調べになって処分手続にのせる、そのことを証券局長が決意されて、大蔵大臣も決意されてやっていただくほかに、金融検査特別委員会でございましたか、証券金融検査特別委員会ですか、今度設置されるという、あの中でも処分手続だけ大蔵大臣のところへ残したわけですから。残っているわけですね。だから、そのことについての合理性が全くなくなる。こんな明らかな脱法、違法、でたらめな行為が起こって、それに対して大蔵省が、いやあれは外務員とか営業マン一人が何か勝手なことをやったとか、そんな話で済まされると、これはゆゆしい問題だと思います。まさにこれからの金融証券委員会の審議にも重大な影響のある問題だと思いますので、この処分手続にのせる、そのために調査をするということをひとつ御決意を披瀝していただきたいと存じます。

○松野(允)政府委員 私どもも、先ほど申し上げましたように、この事実関係を解明するということに今全力を挙げているわけでございまして、その中で、外務員の違法行為、あるいは場合によってはそれがその証券会社自身の行為ということが認定できるかどうかという点も含めて事実関係を解明するわけでございます。その結果、もし証取法違反というようなことが、非常にそういう可能性が強いということになりますと、御指摘のように証取法三十五条による行政処分の手続としての審問というものが行われるわけでございまして、この一連のこういう行為の中で、証券会社あるいはその外務員がどういう行為を行って、それが証取法上どういうふうに評価されるか、つまり証取法違反行為があるかどうかという点を中心にして事実解明を進めてまいりたいというふうに私ども思っております。

○仙谷委員 それでは、証券局の厳正な調査をひとつ期待をいたしまして、本日は時間が参りましたので、またあした時間をいただいておるようでございますので、あしたにいたしたいと存じます。

 どうもありがとうございました。