1991年08月21日 予算委員会

○渡部委員長 はい、御苦労さまでした。

 次に、仙谷由人君。

○仙谷委員 日本社会党の仙谷でございます。

 ただいまの外務大臣の報告にもございましてソビエトの状態が非常に気がかりでございますが、日本の経済自身も今度の金融・証券スキャンダル、あえてスキャンダルというふうに呼ばせていただくわけでございますが、この金融・証券スキャンダル、考えてみますと、甚だ深刻な事態ではないかというふうに私は考えているところでございます。

 総理大臣、総理大臣は昨年来、企業の社会的な責任、そしてまた消費者中心の社会をつくるんだ、あるいは公正という言葉もよく口にされるところでございます。私は、その総理大臣の演説を拝聴をいたしておりまして、さすが我が徳島の三木武夫先生のお弟子さんだなというふうに考えておるところでございますけれども、今度のこの金

融・証券スキャンダル、まあ大手銀行、大手証券会社を初めとする証券会社のほとんど、あるいは私どもが学生時代に就職したいなと思っていましたいわゆる一流会社のほとんどが何らかの格好で関係をしておる、こういう事態、総理がいつも言われる社会的存在としての企業あるいは企業の社会的責任、消費者の保護あるいは消費者中心社会、公正、こういう観点からいたしまして、総理は現在どういうふうにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。

○海部内閣総理大臣 御指摘のように、私自身が唱えておりましたのは公正な社会、これを目指し、同時に心豊かな社会ということも常に言ってまいりました。今起こっておる問題についてどう思うかと言われますと、私自身にとっても非常にショッキングな出来事でございました。それはなぜかというと、公正な社会というのは、やはり今おっしゃるように、みんなが額に汗して頑張ってこの国、この社会をきちっとしたものにしていこう、そういう努力をみんながいろいろなところでしてきた。しかし、ふと立ちどまったときに、何か、自分は額に汗してまじめに働いておるけれども、こちらではそうではなく、うまいことのできる部分があるのではないかというような疑問が起こってはいけない、私はそう考えます。

 ですから、そのようなことに関しては再三申しておりますように、行政府としてはその責任を重大に受けとめて、このようなことが再び起こらないようにするにはどうしたらいいかということを今鋭意考えておるところでありますし、もう一つは、やはり物事を決断するときに、社会的な指導的な立場にある多くの方々は、どうかすべてを自己の利益ということのみに余り基準を置かずに、金銭万能主義的な考え方をとらずに、それが余り横行するとどうしても利己主義になってきます。利己主義がはびこるということは、是非善悪の価値判断の基準というものが往々にして矮小化されて乱れがちであります。社会が公正であるためには、用意ドンというときのルールはやはり公正でなければならないんだということを私は最近もう一回かみしめながら、そのような社会になっていくようにいま一度考え直して政策努力をしていかなければならぬということを厳しく受けとめて考えておるところであります。

○仙谷委員 総理大臣はショッキングだとおっしゃいましたけれども、私は別にショッキングでも何でもないわけであります。こういうことは我々が日常的に生活する上で間々経験すること、断片的な事象については経験をしてきたわけでございます。私が前の職業でございます弁護士をやっておりましたときには、断片的に経験をいたしました。こういうことがこういう広範囲に、そしてまた深くなっておるというところまでは気がっかなかったわけでございます。まさに構造的問題になっていたということが大問題なのではないんじゃないでしょうか。

 今ちまたのといいますか公刊される本をあるいは雑誌を拝見しますと、日本の資本主義は、市場経済はマフィア資本主義である、あるいはきれいな言葉で言いますと、法人資本主義である、なあなあ資本主義である。まあいわば事業会社、金融機関、官庁がなれ合い、もたれ合ってどうもこういう荷造の市場を、市場経済をつくったのではないんだろうか。これは、よほどの覚悟で腹を据えて、構造的な変革をなし遂げなければ日本の市場経済は甚だ危ういのではなかろうかということを最近感ずるわけでございます。

 一人一人はまじめに働く勤勉な社員が多うございます。野村証券はノルマ証券と言われています。セブンイレブンと言われております。朝の七時から夜の十一時まで必死で働く、ノルマをこなすために必死で働く、会社総体としては間違った方向へ行っている。これが日本の資本主義だったわけでございます。住友銀行も同様なことが言われております。私は、わき目も振らず勤勉に、勤勉を通り越して超勤勉に働く、そのことがかえって事態を深刻にしておるというこの矛盾に思いをいたしますと、どうやったら解決できるのか、その点について総理大臣あるいは大蔵大臣、大ざっぱで結構でございますのでお答えをいただきたいと存じます。

○橋本国務大臣 本院におきましても繰り返し申し上げてきたことでありますが、この事件全体における行政当局の責任を私は否定をいたしません。この点については私自身が深刻にこの問題を受けとめております。その上で、特にこの証券の問題につきましては私は五つにその原因を分類してみました。

 そして、そのまず第一は、ルールが不明確であったということであります。これはまさに取引一任勘定取引あるいは損失補てんの禁止などを内容とする証券取引法の改正法案を今国会において御審議を願いたいと考えておりますこと、同時に、これから先考えて一つずつ処理していかなければならないことでありますが、今までの通達行政というものを振り返ってみまして、その通達というものを全部洗い直していく。その中で、自主規制団体にお任せをすべきものは行政の手を放し自主規制団体にそれをお預けをする、法令化すべきものは法令化する。この作業は、相当通達の数が膨大でありますようで、今国会には残念ながら間に合いません。しかし、できるだけ早くこうしたものをまとめていきたい。そして同時に、口頭による行政指導というものが今日まで問題を生んでおりますから、こうしたものを果たして全部廃止できるかどうかわかりませんが、原則的に廃止したいと思います。また、相場操縦的な行為の禁止に係る法令についてもさらに見直すべき点がないかどうか、これは証取審の特別部会で御検討を願っておるところであります。

 もう一つは罰則という問題であります。これはルール違反者に対しての相応のペナルティーが科されてはいない、そういう御批判があります。今回準備中の証券取引法の改正案につきまして、損失保証や損失補てんを行った証券会社に刑罰を科す方向で検討をいたしておりますとともに、証券取引法違反に対する罰則そのものの見直し強化あるいは行政処分のあり方につきましても、現在行われております法制審議会の御論議を踏まえて必要な見直しを行い、今後法務省等と御相談の上でありますが、できるだけ早い機会に国会にまた御審議をいただかなければならぬと思います。

 また、我々自身の検査体制というものにつきましては、先刻来申し上げておりますように、大蔵省として証券のみならず金融検査をも含めた全面的な検討に入りましたが、行革審が御作業いただけるということになりましたので、去る十九日、今日まで検討いたしました内容のすべてを行革審に御報告をし、今後行革審とともに作業をさせていただく、その結論を待つということにいたしました。

 また、もう一つの問題として、自己責任の原則というものをどう、もっと徹底させていくかということがございます。これには、証券会社サイドにおいては、仮に、例えば倫理憲章とでも名づけましょうか、法令、通達、諸規則などのルールの遵守というものを明確に規定していただいて、これを通じて証券取引における自己責任原則というものを徹底させなければなりません。投資家サイドにおいてもこの原則が徹底いたしますように、各種の経済団体を初め、各分野の御協力をいただいていく地道な努力が必要であります。

 こうしたことから、この考え方の一環として、自己責任原則のある観点から問題のある取引一任勘定取引というものを原則として禁止する、また、損失保証や損失補てんを求めて、これを受けた顧客に対しても罰則を科することを改正法案に盛り込みたいと考えており、関係省庁その御相談をいたしておるところであります。

 最後に、行政自身のあり方として幾つかの問題点がございます。

 今日まで、私は、敗戦後の月本が証券市場というものを育て上げるために、育成保護という観点からの行政を行ったことが全面的に間違いだとは思いません。しかし、それを切りかえるべき時期に来て、切りかえ始めていたつもりでありますけ

れども、それが遅かったという批判は甘受しなければなりません。また、そうした中において、例えば委託手数料、これにつきましては既に何回か御論議がございました。これを自由交渉制にした場合での問題点をも含めまして、常にその水準のあり方を引き続いて見直していくと同時に、制度のあり方についても検討を加える必要がございます。また、自主規制機関、どうやってこの機能を強化していただくかという問題がございます。これにつきましては、いろいろな角度で、証券取引所におきましても、また証券業協会におかれてもさまざまな角度で検討を進めておられるようでありますし、我々自身もこれをサポートしていかなければなりません。そして、行政の姿勢として、職員の再就職問題というものにつき、我々はそれによって行政がゆがめられたとは思っておりませんけれども、そうした御批判を受けてきたことにかんがみ、本省幹部職員の証券業界に対する再就職というものを当面自粛したいということを今まで申し上げてまいりました。

 金融機関につきましての問題は、この偽造預金証書という、まさにこれは刑法上の犯罪行為に当たるものでありますから、問題の所在は全く異質でありますが、いずれにいたしましても内部管理体制というものをきちんとしていただかなければならないという点において大きな問題を持っておる、そのように考えております。

○仙谷委員 最初から結論めいたことをおっしゃられますと話の接ぎ穂がなくなるわけでございますが、今の大蔵大臣の御答弁、二、三考え方を異にするところがございますので、また後にその点は議論をお願いいたしたいと思います。

 補てんの問題でございますが、ちょっと大ざっぱに大蔵大臣にお伺いしたいわけですが、この補てんであらわれたこういう現在の事態、これについての日本の市場、金融市場、証券市場に対する影響、それからそれが国際経済にどういう影響を与えているのか、与えようとしているのか、あるいは今後の日本経済全般に対する問題としてどういうことになっていくのか、その点についてのお考えをお聞かせいただきたいと存じます。

○橋本国務大臣 まず第一に、今回の損失補てん行為というものから起こりました最大の影響は、一般投資家の証券市場に対する信頼性を大きく失わせしめたこと、それ以上に、国民全体の中に広く、特定の者だけが利益を受けるという行為が現実に存したということを知られ、当然のことながら、これは国民の中に極めて大きな不満、怒りというものを招いている、そしてこれは、市場に対する信頼だけではなく、行政に対する信頼にも大きな傷をつけた、私はそう思っております。そしてこの影響を払拭するには、行政といたしましても、また証券市場関係者にも極めて大きな努力が必要なものであると考えております。

 しかし、この一点を除きまして、今さまざまな要因の中で市場は揺れ動いておりますけれども、特にソ連の情勢を受けて一時期急落いたしました株価というものは、その後じりじりと戻して、それなりに冷静な対応という状況になっております。今後ともにこれは注視をいたさなければなりません。

 しかし、本質的に、やはり証券市場が健全性を取り戻し、国民の信頼を取り戻しませんと、一つは国民の資産運用という面から見ましても、また企業の資金調達という面から見ましても、日本経済に必ず将来に影響をもたらすものでございますから、できる限りそうした影響が出てこない間に、我々はその信頼を取り戻す努力をいたさなければなりません。世界有数の証券市場として、その影響は国際的にも当然のことながら考慮を払わなければならないことであり、それだけに、先ほど和田委員からやめろというな言葉をいただきましたが、むしろ、やめて済む責任でありますならば、という思いが私の胸をよぎりましたことも事実であります。全力を尽くして信頼回復のための努力を一つずつ積み重ねていかなければならない、そのように考えております。

○仙谷委員 それでは補てんの問題に移らせていただきます。

 大蔵大臣は八月二日の参議院の大蔵委員会で、補てんについて、有価証券売買による損失の一部または全部を補てんするため、有価証券の売買の形をとって財産を供与するもの、証券会社が損失補てんの目的としてやったことは、相手の認識にかかわらず損失補てんである、新聞紙上によりますと統一見解と書いてありますけれども、こういうふうに定義をされたことは間違いございませんでしょうか。

○橋本国務大臣 正確な言葉遣い、一字一句まで記憶をいたしておりませんが、同趣旨のことを申し上げたと存じます。

 それは、相手側が認識していない、補てんを受けていないと言うところがあるが、それについてどう思うという趣旨のお尋ねに対するお答えを、そのようにさせていただいたと記憶をいたしております。

○仙谷委員 私どもは、今大蔵大臣がお認めいただきましたようなこの補てん、定義されました補てんですね、これがまさに市場機構の担い手である証券会社が、最大限譲歩して、つまり、認識があるとかないとか、あるいは損失保証的なことがあったのかなかったのか、そこのところはまずさておきまして、純粋に何にもなかったけれども損が出て補てんした、こういう場合であったとしても、市場機構の担い手が最終段階で勝手に市場メカニズムを歪曲してしまった、こういう行為である、こういうふうに考えております。

 極めて違法性が高いというふうに私どもは考えるわけでございますが、大蔵大臣、法律論じゃなくて、先ほどからずっとおっしゃっている今度の証券・金融スキャンダル、そしてこの補てん、そして大蔵大臣がなさった補てんの定義、これから考えまして、この補てんという行為は、大蔵大臣の常識、常識論で結構ですから、これは違法、不法、不当、不正、あるいはグレーだ、正しい、当たり前のことだ、このぐらいに分けますと、どれに該当いたしますでしょうか。

○橋本国務大臣 今、委員が引用されましたような言葉でこの事態を考えたことはございませんでした。というよりも、私にとりましては、自分がその証券売買というものをいたしませんだけに、要するに事後における損失補てんというようなことがあると全く考えたことがなかったわけであります。それだけに、こうした問題に直面をいたしましたとき、率直に申しますなら常識以前の行為という受けとめをいたしました。

○仙谷委員 常識以前ということは、非常識というか常識に反するといいますか、どちらかだと思いますが。

 違う聞き方をさせていただきます。この補てんというのは、証券業の信用を失墜させる行為でございましょうか。

○橋本国務大臣 少なくとも、証取法において損失保証は禁止をされております。しかし、損失補てんという行為につきましては、日本の証取法だけではなく、世界、私の知る限りどこの国の法律でもこれを禁じておりません。と申しますことは、当然のことながら、あり得ない行為という認識で法体系はつくられておるものと思います。聞くところによりますと、自主規制団体の規制ルールの中にはこの損失補てんというものを禁じておるものもあるようでありますが、少なくとも法律にはございません。

 私は、元年の十一月に、ある証券会社の損失補てん問題が起こりましたとき、初めてその損失補てんという事態を知った、ケースを知ったわけでありますが、その時点で事務的に説明を受けましたときにも、いわゆる事前に約束をして行う損失保証というものは法律によって禁じられている。しかし損失補てんという行為は、法律上、証取法上禁止をしておらない、しかし非常に問題の多い行為という説明を受けたことを記憶をいたしております。

○仙谷委員 ちょっと端的にお答えいただきませんと、今の御説明は、もう大蔵委員会の閉会中審査でもこの予算委員会の審理でもお伺いしており

ますので、ちょっと端的にお答えいただきたいのですが、今のお話聞きますと、常識以前の問題で、証券業者としてはあり得てはならない事柄だ、つまり、あれば、そういうことが存在すれば証券業者としての信用を失墜するというふうにお認めいただいたということで次に進みますが、補てんというようなことが行われることは、これは取引の公正を害することになりましょうか、いかがですか。

○橋本国務大臣 正確を期したいと思います。

 それは証券会社だけではなく、お得意さんの方にも私は問題があることだと思います。そして、公平性を阻害する行為であることは間違いありません。

○仙谷委員 もう一つお伺いしたいのですが、補てんという行為は、投資者の保護に欠けることになる行為でありましょうか、それとも、いや、投資者を大事にするからいいんだということになりましょうか。

○橋本国務大臣 少なくとも特定の大口の顧客に対してのみ便宜を与えるという行為であり、これは不公平を助長するものと思います。

○仙谷委員 なぜこういうことを大蔵大臣にお伺いいたしましたかといいますと、この辺を法律解釈という名のもとにねじ曲げて解釈する方が多いからなのであります。つまり、今申し上げた三つの要件というのは、証券取引法五十条に書かれておる要件なのであります。

 法律というのは、御存じのように、当然のことながら社会通念によって、あるいはその時代時代の常識で意味内容というのが付与されなければならない、解釈されなければならないというのは当然のことでございます。常識で考えますと、補てんという行為が証券業の信用を失墜させる行為であって、取引の公正を害する行為であって、全体としての投資者の保護に欠ける、そういう行為であることは疑いを入れない、これが、私は多分日本の大蔵省のお役人の方以外はすべて、私が今申し上げたことに御同意をいただけると思うのですね。法律なんというのはそんな難しいものじゃなくて、すらすらと素直に読めばそうなってぐるわけです。そうですね。

 で、五十条は、こういう評価を与えられる行為で大蔵省令で定めるもの、健全性省令というのができております。つまり、こういういわば抽象レベルの評価が与えられる行為、そしてもう一段具体化された行為、具体化するために特定明確性を持たせるために健全性省令で規定をしてある、こういうことになるわけでございます。

 私は、この補てんという行為自体が、大蔵省はこの間、あるいは一昨年大和証券事件が公になって以降、いやそれは構成要件として補てん行為自身が禁止されてないから証取法違反の問題は起こらない、そういう前提でこの問題に処してきた、ここがずっと過去、今に至るまでの最大の問題ではなかろうか、そういうふうに考えるわけでございます。

 先ほど大蔵大臣、ルールが不明確と言いました。法律の文言というのは、抽象の段階というのがあるのでございます。言語というのはすべて抽象性のレベルがございます。したがいまして、大蔵大臣がおっしゃる事柄も、確かに五十条に書いてあることは抽象的かもわかりません。しかし、そういう抽象的な文言に含まれる行為であれば、その行為が五十条違反の行為である、あるいは五十条違反であるかどうか検討してみる、その検討の積み重ねがまさに先例であります。裁判になれば判例でございます。そして、そういう先例や判例の積み重ねがない限り意味内容が明確にならないというのは、法律の一般原則でございます、今から法務省の方にお伺いしてもいいんでしょうが、ということになると思います。

 そこで、私は、この補てん行為自体証取法違反でなかろうか、あるいは証取法違反であるというふうにも思いますけれども、それはさておいて、それを立証するために今から具体的にお伺いをしていきたいというふうに考えるわけでございます。

 今度のこの補てん問題で浮き上がってきた事実ですね、相当程度、どういう事実が補てんなのか、自主申告させた、あるいは国税庁が認定したというようなことで発表がされておるわけでございます。ところが、私、ひとつこの問題を明確に問題解決するために一番必要なのは、日時の問題だと思いますね、日時。つまり、いっどの証券業者がどういう相手方に対して、非上場債なのかワラント債なのか国債なのかわかりませんけれども、売って買い戻したのか、このいつというところがすべて出てきてないわけであります。せんだっても大蔵省の方にそれを明らかにしていただきたいということを申し上げたわけでございます。重立ったところを明らかにしていただきたいということをお願いをしたわけでありますが、それはできないというようなことを非公式に言われております。

 大蔵省、いかがでございますか。この典型的な事例ですね、今から名前を申し上げてもいいですけれども、典型的な事例について、いっ、だれが、どういう銘柄といいますか、物を売り買い、つまり補てんとみなした一連の行為としてやったのか、これを明らかにしていただく御用意はございませんでしょうか。

○松野(允)政府委員 先日の審議におきまして私の方から主な手口について、例えば売買価格差を利用した売買の利益を供与するというような形のごく短期間での、いわば日ばかり商い的なものが一番多いというふうに申し上げたわけでございます。それには、例えば国債を使うあるいはワラント債を使うというようなケースがございます。それからあと、先物、これは国債先物あるいは株価指数先物というものを使って客に利益を落とす、これもごく短期間の間での売買決済を行っているわけでございます。あるいは新発債の割り当てというような形で利益供与を行っているものもございますし、いわゆるクロスを利用して、他市場でのクロスを利用して利益供与を行っているようなものがあるわけでございます。主な手口ということでございましたら、今申し上げたようなことが大体今回の利益補てん行為で使われているということでございます。

○仙谷委員 私も、重複質問を避けるためにずっと議員会館の部屋もしくはこの後ろへ来て大蔵省の答弁も聞いてまいったわけでございますが、今おっしゃったようなことは、もう局長あれでしょう、この委員会で十回以上あなたはしゃべっているでしょう。そんなことを聞きたいわけじゃないのです。つまり国債を、日ばかり売買というのですか、なさった、年金福祉事業団はどうもそうらしい、こう言っておるわけですね。五十億にも上る補てんがどういう仕組みで、つまり何月何日に国債を、いいですか、野村が年金福祉事業団に幾らで売って、何月何日にそれを買い戻して、その差益が補てんになったんだということがわからない限り、これからの証券取引法の改正問題の審理なんてできませんよ。ちゃんと事実を明らかにするように、委員長の方から大蔵省の方へ御命令をひとつお願いします。

○松野(允)政府委員 個々の取引について、私どもも全部を把握しておるわけではございません。典型的な例というようなお尋ねでございますれば、幾つかの例をお示しすることができると思います。

 手元に今持っておりますのは、年金福祉事業団ではござい」ませんが、例えば野村証券が。日立製作所に対して二十一億円の利益補てんを行っておるわけでございますけれども、これはワラント債の売買で実行されております。ワラント債が二銘柄、平成二年の三月十六日に野村証券から売却をされております。それで、同じ日に買い戻しか行われまして、これはワラントの数量は二千二百フラン十と四千二百三十二ワラント、二銘柄でございますが、おのおの単価が、これは一〇単位ということでございます。これは外貨建てでございますので為替レートが関係してまいりますが、それを同日付で一〇ポイントのものを一銘柄は七二ポイント、もう一銘柄は四五・七五ポイントで買い

戻すというような取引が行われまして、合わせて二十一億七千三百万円の利益が供与されております。

○仙谷委員 私なぜこの問題にこだわるかといいますと、どうも我々に入ってくる情報だけ拝見いたしますと、事業会社の方は、そんなものは補てんとは思ってない、認識してない、勝手にやったんだろう、一方ではそういう声が聞こえるわけでございます。一方では、大蔵大臣が参議院の大蔵委員会できっちりと補てんの定義をされて、それをもとにこれから証券取引法の改正問題、つまり補てんの構成要件とは何なのかということをつくろう、それがこの国会の一つの大きな課題である、そういうことですね。そうだとすると、今現実にここに二百何十社でございますか、もっとだったのかよく記憶しておりませんが、補てんというふうに証券会社が自主申告し、あるいは大蔵省がこれは補てんだという実態を、事実関係、日にちを明らかにしていただかないと、つまりもっと変わった、換言をいたしますと、この機会に国会が補てんの実態を一つ一つ逐一ケースメソッドをする、ケーススタディーをする、ケースから構成要件という抽象概念を積み上げていくということをしませんと、国会は関係なしにまた法律の中身がつくられるということになるのであります。

 これはぜひ、まあ重立ったところといいましても、億を超えておるところぐらいはひとつ全面的に何月何日ということを明らかにしていただきたいと思うのです。国会の委員会に、つまり証券特別委員会でも結構です、予算委員会でも結構です、出していただきたい。大蔵省はわかっておるはずでございますから、出していただきたいと存じます。もう一度大蔵省、出していただけるかどうかだけで結構ですから、御答弁をいただきたいと思います。

○松野(允)政府委員 先ほど御答弁いたしましたが、私どももすべての取引を把握しておりません。これは補てん額を把握しておりますけれども、相手先と。御指摘でございますので、できるだけ大きな、すべてというと相当膨大なものになりますけれども、典型的な手口がわかるような具体的なものを御提出したいと思います。

○仙谷委員 すべてを把握されてないということでございますが、今まで、話はちょっと飛びますが、大蔵省の方に私いろいろお伺いしましても、この証券取引法百八十四条に基づく報告をさせる、そういう行政処分といいますか行政上の指示を余りなさってないのじゃないか。事はこれだけ大きい肝題になった補てんでございますので、ちゃんと証券会社が法律上の義務として残さなければならない文書ですね、それは大蔵省に報告しなければならない、報告を提出しなければならないという規定があるわけでございますので、なあなあの行政指導じゃなくて、ちゃんとした法律があるわけですから、法律に基づいて報告をさせる、このことが必要だと思うわけであります。その点、大蔵省、いかがでございますか。

○松野(允)政府委員 御指摘の百八十四条でございますが、これは、証券会社は、「大蔵大臣が公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認めて大蔵省令で定めるところにより、帳簿、計算書こ「その他業務に関する書類を作成し、これを保存し、又は業務に関する報告を提出しなければならない。」という規定でございます。この規定に基づきまして施行令あるいは証券会社省令というのができておりまして、一定の営業報告書その他の作成、保存、提出というのを義務づけているわけでございます。この条文自体はそういう比較的定期的な、あるいは帳簿の作成、保存、定期的な報告というものに使っているわけでございまして、私ども、日常任意ベースで報告をとる、あるいは必要に応じては五十五条の報告の徴収あるいは検査権というものを利用するということで運用をしているわけでございます。

○仙谷委員 全然答えになっていませんけれども、今回のこの問題で法律に基づいて報告をとる、私が先ほど申し上げました補てんの実態について、特に日時を特定したやり方、やり口、これを報告をとるというふうにお考えなのかどうなのか、イエスかノーかで結構です。

○松野(允)政府委員 先ほど申し上げましたように、必要なデータを提出させていただくためには、報告をとらないとできない部分がございますので、報告をとるつもりでございます。

○仙谷委員 日立のほかに今のような典型事例の補てん行為というのは、今御存じのはございますでしょうか。

○松野(允)政府委員 比較的補てん額の大きい例といたしまして丸紅がございます。丸紅の場合、これは日興証券が十六億円の補てんを行っているわけでございますが、これはすべて株価指数、指数にはTOPIXと日経二二五と二つございますが、この株価指数を利用しております。かなりたくさんの取引でございまして、十数件にわたっておりますが、一例を申し上げますと、平成二年の二月十九日にTOPIXの先物を百五十枚買い建てをいたしまして、これは同日で売って余り利益が出ておりませんが、四千百万円の利益になっておりますが、比較的利益が出ましたケースを申し上げますと、平成二年の二月二十七日に日経二二五先物を四百枚買い付けて、同日四百枚売却をいたしまして、これはいわば日ばかり商いでございますが、五億四千万円の利益を提供しております。

○仙谷委員 幾らやっても、この問題をやっておりましたら奥が深いといいますか、しょうがないので、この辺で一応この問題はおさめまして次に進みますが、先ほどお約束いただきましたように、できるだけ多くの事例を出していただいた方がわかりやすい。委員長も多分、今の答弁をお聞きになりまして、補てんというのはそんなものなのか、一日で二十一億七千五百万円も入ってくる、そんなやり方があうんであればみんなやりたいですよ、それは。そうでしょう。それであれば、信用さえあれば銀行から金を借りてきてやればいいわけですから。そうですね。あるいはノンバンクだったらいつでも貸してくれもかもわからない、この間までだったら。こういう典型的な事例というものは、まことに私は、これをもって、まあこれは補てんだから損失保証ではないんだ、こういう議論で何とかやり過ごそうとするというのにはちょっと怒りにも似た感慨を持つわけでございます。

 ちょっとほかのケースに行きます。山一総合ファイナンスというのがございます。これはどういう事例でございましょうか。

○松野(允)政府委員 山一総合ファイナンスの補てんの取引の明細はちょっと今手元に持っておりませんが、これは山一証券が山一総合ファイナンス、これは関係会社でございますが、これに対して三十六億一千二百万円の損失補てんを行っております。この取引はストリップス債、いわゆるアメリカの国債、米国国債の利札をとったものといいますか、そういうような形のものでの売買が行われているわけでございまして、そういう債券を利用して売買益を山一証券が山一総合ファイナンスに供与したということでございます。

○仙谷委員 この山一の分も日時、回数、あるいは補てんとみなされる売り買いですね、何月何日に買って何月何日に売った、あるいは売って買ったか、反対かわかりませんけれども、そういう行為、これを調べていただくことができますでしょうか。

○松野(允)政府委員 山一証券から調べまして報告をさせていただきたいと思います。

○仙谷委員 このYGF、山一総合ファイナンス、八七年の十二月に営業特金を四百億円で開設をした、こういうことが、これは報道で伝えられているわけであります。なぜ山一総合ファイナンスという山一証券の子会社が営業特金というふうなものを開設しなければならないのか。新聞紙上によりますと、どこか損が出たので穴を埋めないと銀行から融資をもらえないので、八七年の十二月に四百億円で銀行のファイナンスを受けて営業特金を設定したんだというふうなことが書かれて

おります。ちょっと常識的に考えても、こういう取引はないんじゃないか。これは、例えば先般来問題になっております稲川会の関係の野村証券と野村ファイナンス、この関係でも、要するに、この融資が、いわば法人格が否認されておる、つまり、野村ファイナンスの法人格なんてないに等しいんだ。野村証券の言うことを全部聞いて、たまたまファイナンス会社といいますか、金融子会社をつくっているだけなんだから、これは一体のものだという認定で証券業協会の処分も行われておるようでございますが、常識的に見れば、役員とか資本とかあるいは山一の総合ファイナンスに対する支配力からいいましても、法律用語で言えば法人格否認、まあ一体のものである、こういうことになると思うのですね。なぜこういうことをしたのか。

 私は、内部の方からも入ってきた報道によりますと、どうもこれは引っ越しだ、疎開だ、飛ばしてある、こういう話が入ってきておるのであります。引っ越しとは何だ、疎開って何だ、こういう話ですね。簡単に、まあ私もよくわかっていないのかもわかりませんけれども、損をした客の受け皿になっておる。つまり、どんな人か知りませんけれども、もともと別の事業会社あるいは個人が、特金とか株の取引で損をした人の、これを補てんをするためにそっくりそのままその株を山一総合ファイナンスに移した、多分それの集積ではないだろうかということが言われておるわけです。つまり一人の分しゃなくて、一社の分しゃなくて、多数の損をした人の分がここに入っておるのではなかろうか。八七年の十二月といいますと、御承知のようにブラックマンデーの直後でございます。こういう引り越しとか飛ばしとか疎開と言われるやり方がどうもあるようであります。大蔵省、その点御存じでしょうか。

○松野(允)政府委員 私どももその飛ばしとかいうよう套言葉をいろいろなところで聞くわけでございますし、非常に問題意識を持って現在ちょうど検査中でございます。そういったような飛ばしあるいは引っ越し、疎開というような、あるいは損を集約するというような行為が実際に行われているのかどうか。これは会社の外、証券会社の外でございますからなかなかトレースが難しいわけでございますけれども、そういう情報があることは十分認識をしておりますし、そういう問題意識を持って検査をしているところでございます。

○仙谷委員 先ほど和田議員の方からも話が出たかもわかりませんが、例の八九年の、我々が知ったのは、十一月の二十七日とかいうふうに言われておりますけれども、大和証券の一番最初に大きい報道として流れた補てん行為、これは今局長おっしゃったまさに引っ越しの例じゃないんでしょうか。私は新聞紙上で見ただけでございますので、事実を証拠で確認をしておりませんけれども、有価証券販売会社に、あるお客の値段が下落した株を簿価で、そもそもの買い入れ価格で引き取らせた、そして子会社か関連の証券会社と思いますけれども、引き取ったその証券会社は穴埋めに困って、大和証券と引き受けた証券会社の間で多分交渉が行われて、大和証券は大和ビル管理というところの株をどこかにはめ込んで、それで補てん、今度は第二次補てんをした、こういうふうに報道はされておりますけれども、こういうのはこの引っ越しの、疎開の典型的な事例なんじゃないんですか。

○松野(允)政府委員 確かに大和証券の御指摘のケースは、たしか三協エンジニアリングという会社だったと思いますが、そこに損失が発生して、それを補てんしたというように聞いております。私どももその点については完全に確認をしているわけではございませんが、なかなか別の会社のことでございますので難しい問題がございますけれども、先ほど申し上げましたように、そういったようなケースではないかということで、ほかにもそういう類似のものがないかということで検査をしている最中でございます。

○仙谷委員 それじゃ、この大和証券の件も鋭意努力をしてお調べをいただいて、委員会に報告をしていただきたいと存じます。

 さっきの問題にちょっと返りますが、日立、そしてお話をいただきましたのは丸紅のケースでございましたか、この二つのケースでお伺いしたいわけでございますが、そもそもこの日にこういう行為をやる前段階でどのくらいの損が出ておったということなんでしょうか。

○松野(允)政府委員 私どもとしてはそこは把握しておりません。

○仙谷委員 これはぜひ把握をしていただいて報告をいただきたいと存じます。

 今度の証券取引法の改正案、構成要件を拝見しましても、損失の全部または一部を補てんし、もしくは利益を与え、??もともと利益が出ておっても損失保証の約束がある場合、あうんの呼吸で積み上げる場合と、いろいろあると思いますので、先ほどお願いしました日時を特定して報告をいただくときに、幾ら損が出ておったか、これをちゃんとお調べをいただきたいと存じます。

 新聞紙上によりますと、京都市職員共済組合というのが二十億円の特定金銭信託を組んで九〇年の三月の段階で解約をしなければならない、そのとき三億六千三百万の評価損が出ておった。そこで三月の十九日に六千八百八十万でワラントを購入して翌日四億三千八百九十万円で売却した、一日で約三億六千三百万円の評価損に該当する損を取り戻す、こういう売り買いが行われたというのが報道をされておりますけれども、大蔵省で確認なさっておる事実も、このとおり間違いないんでしょうか。

○滝政府委員 私どもの所管でございますから、私から御答弁申し上げます。

 ただいまの問題は、仰せのとおりでございます。b仙谷委員 この京都市職員共済組合の方も一日で三億六千万余りの収入が得られた、それで損を取り戻した、それでも損失補てんの認識はないと言っておるわけであります。その認識問題はまた後で触れますが、こういう行為、今の京都市職員共済組合の行為、三月十九日に六千八百八十万でワラントを購入して三月二十日に四億三千八百九十万円で買い戻してもらった、あるいはさっきの日立、同日中に二十一億七千五百万円が懐へ入ってきた、あるいは丸紅でございますか、五億四千万、同日中に売り買いを二回すれば入ってきた、これがどうして証券取引法違反の行為にならないのか、私は私自身の常識を疑うのであります、もしならないとすればですよ。

 健全性の準則等に関する省令では、「顧客に対して特別の利益を提供することを約して勧誘する行為」、これも法令でございます。先ほど大蔵大臣にお伺いした五十条の五号を受けた省令が今私が申し上げた構成要件になって具体化をされておるわけであります。一日であるいは同日で二十億のあるいは三億のケースもございますけれども、あるいは五億四千万のケースもありますけれども、入ってくるというこの取引がどうして健全性準則等に関する省令一条の二号、これに該当するということが言えないのでしょうか。

○松野(允)政府委員 御指摘の健全性省令一条二号の特別の利益提供を約して勧誘する行為、これが証取法五十条の禁止行為になっているわけでございます。私どももこの規定が適用できないかどうかという点を検討したわけでございます。この規定の趣旨と申しますのは、やはり勧誘行為を禁止しているわけでございまして、特別の利益提供を約して勧誘するということは、投資家の投資判断に影響を与えるということで、不適正な勧誘行為だということで勧誘行為を禁止をしているわけでございます。そういう趣旨から申し上げますと、この利益補てん行為というのは、むしろ利益提供そのものを申し出ている行為でございまして、今申し上げたような投資勧誘、投資判断を左右するような影響を与えるような勧誘行為だと言うことがどうしてもできないのではないかということで、私どももいろいろと検討をしたわけでございますが、なかなかこの一条二号の禁止行為に補てん取引が該当するということは非常に言いに

くいのじゃないかというのが今のところの私どもの解釈でございます。

○仙谷委員 大蔵省のお役人の中にも法学部を出られた方がほとんどだと思いますけれども、今の法解釈論は物すごいことをあなたはおっしゃっているんですよ、言っておきますけれども。法律家の常識からいいまして、勧誘がないのに利益提供行為だけがあった、そんなことはあり得ないわけであります。これは明示の勧誘という行為はなくても、あなたはこれだけ損をしているんだからワラントを買いなさい、あした買い戻してあげて三億円の穴が埋まりますよという話でしょう。日立にしても丸紅にしても、同様のことがあうんであるのか、しかし、にもかかわらず、買えという申し込みがあって、そこに合意が成立して、売買が成立しておることは間違いないわけであります。むしろ勧誘する行為よりももっと悪い行為であります。もっと直接的であります。そういうことを勧誘する行為が問題になっているのであって、利益提供そのものはいいんだなんという、こういうのを昔の言葉で言えば曲学阿世の徒というのです。まさに法匪というのであります。法律をもてあそぶことになるのであります。そうでしょう。だれが考えても補てん行為が証券取引法違反にならないということはおかしいのであります。世間の人間が考えればおかしいわけであります。なぜこんなことが許されるのか。そうですね。それを無理やり法をねじ曲げて解釈して証券会社に対するペナルティーを科さないようにする、そのために解釈をする、運用をする、これが補てんに関連する大蔵省の今までのやり方ではないか、そういうふうに私は強く感じるのであります。

 これは裁判所でもどこへでも出してください。出して、だれかの判断を聞いてみましょうか、これ。日本には憲法裁判所あるいは法令を解釈する権限を持っている裁判所はございませんから、公権的解釈というのはございませんけれども、例えば内閣法制局長官とか、あるいは法務省の方、この条文をそういうふうにねじ曲げて解釈することができるかどうかですね。??じゃ、法制局長官、ひとつお答えください。

○工藤(敦)政府委員 お答えいたします。

 実は具体の事例を私存じ上げませんので、そういう意味では、これにつきまして明確にお答えするわけにはまいりません。

 それからもう一つ、ただいま証券局長御答弁がございましたように、これに提供することを約して勧誘する行為、ここの読み方につきまして委員と証券局長の間でどうも違うようでございますが、これを絶対に委員のように読まなければならないということは、またちょっと私もなかなか言い切れないのではなかろうかというふうに存じます。

○仙谷委員 まあ日本の法律家というのは、やはり解釈の立場とか視点とかというのが変わればそういうふうになるのかなというふうに私思います。

 時間の関係もございますので、この点はまた後に筒井議員もここで質問をさせていただきますので、そのときにまた議論になるかもわかりませんし、証券特別委員会でも議論をさせていただきたいと思います。

 それから、今の点とはちょっと外れますが、補てんをするという行為の中に、損失保証を推測し得る、あるいは事実上の推定ができる、補てん行為こそ最有力の証拠であるという意見もございます。先ほど、私どもも健全性省令一条二号でございましたか、これに該当するのではないかと思って検討はした、こういうふうにおっしゃいましたけれども、いかがでございましょうか、局長。補てんがあった場合に損失保証もある可能性が、蓋然性が高いということで、大蔵省の立場とすれば、これを調査する、検査するということが必要なのではないでしょうか。

○松野(允)政府委員 確かに御指摘のように、損失補てんがある裏には損失保証あるいは利回り保証のようなものが存在するのではないかという疑いはあるわけでございます。我々としては当然そういう疑いも含めて検査をしているわけでございまして、現在までのところ残念ながらその確たる証拠がつかめていないわけでございますけれども、現在行っております検査の中では、場合によっては、そのために取引先に対しても事情聴取をするというようなことも含めて検査をしたいというふうに考えているわけでございます。我々として全くそういう疑いがないということで対処しているわけでは決してございません。

 

○仙谷委員 何の理由もなくて二十億も三十億もするお金を落としてくれるような、つまり補てんをしてくれるような、そんな人のいい営業というのはないわけであります。それを全部にやっていたら商売成り立たないというのは、これは当たり前の話でございます。ひとつその点も鋭意御調査をいただくということをお願いしておきます。

 損失保証との関係でもう一つお願いをしておきたいと思います。

 六十三年九月期、平成元年三月期、平成二年三月期というのは、今補てん額が出ております。この中で、例えば大和証券から補てんを受けたさる会社が六十三年にも補てんを受け、元年にも補てんを受け、二年にも補てんを受けているという事例があるか。大和証券というのはたとえです。あるいは八八年には大和から受け、八九年には日興から受け、九〇年には野村から補てんを受ける、そういうケースがあるかどうか。つまり、これは先ほどの損失保証の問題と関連していいますと、もう、一度癖になったらそういうことが黙示の契約で決まっている、当たり前になっているという少なくとも間接的な事実になるわけであります。損失保証約定があったことを推測するに足る非常に重要な徴憑になるわけであります。この点もひとつ鋭意お調べをいただきたいと存じます。

 そこで大蔵省、これだけ重要な、庶民感覚からすれば、あるいは通常の社会通念といいますか常識からすれば、これについて行政庁の処分が、内部の処分じゃございませんよ、行政処分が行われないというのは、免許監督を誇る大蔵省としては私は甚だ不可思議だというふうに考えておるわけであります。とりわけこの補てん問題、今度明らかになりましたことにつきましても、八九年、九〇年、ことし九一年です。三回も、重なっておる分もあるのかもわかりませんけれども、三回も補てん行為が繰り返されておるわけでございますが、行政処分がないんですね。営業自粛、これはまさに自粛でございます。営業停止の行政処分がなされていない。これはどうしでなんでしょうか。大蔵大臣にじゃお伺いしましょう。なぜ法律に基づいて行われないんでしょうか。

○橋本国務大臣 ですから、先ほど和田委員からも同趣旨の御質問をいただきました。そして、それに対しての御批判は甘受すると申し上げた上で当時の状況を申し上げた次第であります。

 すなわち、私自身過去の処分というものが一体どのような状況であったかを調べてみました。それでないと判断の材料がございません。そして、社内処分の状況あるいはその営業自粛の実態等を調べてみますと、過去、純粋な法律違反につきましても営業自粛三日というのが最高というのが実態でありました。そして、まさに営業自粛のケースにおきまして、法律違反ではないケースにおきましては、過去二日というのが一番長かった例でございます。そして当時の記録を見てみますと、その営業自粛二日というものに対しても、極めて厳しい処分といったものが文献上残っておりました。そうしたことの中で私が最終的に判断をいたしたことでありますから、おしかりは甘受いたし、ます。

○仙谷委員 百歩譲って、法律違反があるかないかという点は、つまり、証券取引法違反があるかないかという点はさっき議論をさしていただきましたので、百歩譲ります。さっき局長がおっしゃったように、証券取引法違反に該当するかもわからないという前提で処分手続に乗せようとなさったことはあるんでしょうか。

○松野(允)政府委員 現在までのところは、先ほど申し上げましたように、法律違反行為というも

のを確証するだけの心証といいますか証拠がございません。現在検査でそれを探せるかどうかということをやっているわけでございます。今までのところはそういう事情でございますので、法律上の正式な、証取法三十五条あるいは三十六条に基づきます行政処分の手続を開始したことはございません。

○仙谷委員 頭から行政処分をするに足る具体的な事実がないという前提でなさるからそうなるわけであります。

 そして、私も処分事案がどのぐらいあるのかお伺いしてみました、大蔵省に。この間の処分事案というと、藤田観光事件、小谷光浩さんの株価操縦、これがございます。これもしかしあれでございますね、そもそも大蔵省の方で株価操縦の疑いがあるという観点から調査をし、そして行政処分の手続に乗せて処分をしたというものではないですね。

○松野(允)政府委員 お尋ねの藤田観光の事件は、私どもとしては証取法五十条に基づきます行政処分も行ったわけでございます。現在、証取法百二十五条の株価操縦で裁判が行われておりますが、私どもは、証取法五十条に基づく証券会社に対する処分ということで、これは正規の手続をとって審問などを行って行政処分を行っております。

○仙谷委員 私が聞きたいのは、この小谷さんの事件、刑事事件としての発覚よりも前に大蔵省がこういう処分手続を進めておったのかどうかということを聞きたかったんです。そういう意味です。ちょっとお答えください。

○松野(允)政府委員 この事件につきましては、私どもも株価の動きという点で関心を持って、取引上の手口あるいは証券会社の委託者等も調べて調査をしていたわけでございますけれども、私どもの調査権は直接投資家に及ぶというわけにはいかないものですから、なかなか投資家の株価操作の目的というようなものまでつかむに至らなかった段階で調査を進めていたということでございまして、したがいまして、正規の行政処分の手続に入っていたということではございません。

○仙谷委員 もうそうなってきますと、結局、行政処分の手続規定も証券取引法上存在するわけですが、証拠がない、証拠がない、あるいは該当しないかもわからない、そういうスタンスで取りかかりますから、警察、検察が手を入れて刑事事件として立件したものしか大蔵省が後追いで処分することしかできないということになるんじゃないんですか。そこが、今問題になっておるまさに独立の準司法機関が必要かどうかという議論になってくるわけでありますけれども、私は改めて証券取引法を見ておりまして、今までもやる意欲があれば実例を積み重ねるというやり方でできたはずだ。インサイダーにしましても、株価操縦にしても、この種の補てんにしても、こういうだれが考えても証券取引の上であり得てはならない行為、これを行った証券会社あるいは受託した証券会社をきち一つきちっとその都度けじめをつけておけば、一般予防的効果、つまり一罰百戒でございます。業界がもう少し正常な姿であり得たんではないか、こんなことを感じるわけでございます。この点についてはお答えいただきません。もう大体わかりますから、お答えは。

 そこで次にお伺いするんですが、処分手続について大蔵省の組織上はどこが担当することになっておるんでしょうか。

○松野(允)政府委員 証券会社に対する処分は証取法三十六条の手続で行われるわけでございますが、具体的には、これは証券局の業務課が所管をしております。

○仙谷委員 私たまたま大蔵委員でございまして、「大蔵省の機構」平成三年版というのをいただいております。百二十七ページに業務課の職務分掌が記載をされております。今局長がおっしゃった行政処分手続を業務課が担当するとおっしゃることは、六十五条のどれに該当する、六十五条に書いてあるのかないのか、その点、ちょっと御答弁ください。

○松野(允)政府委員 今手元にございませんですが??恐縮です。私どもの考え方は、これは業務課で証券会社、「証券業を営む者を免許し、これを監督すること。」というところがございます。この監督の一つの方法として、行政処分もここで担当しているというふうに実際運用しているわけでございます。

 

○仙谷委員 行政処分というのは、委員長も御存じのように、運転免許の取り消しに始まって、あるいは種々のものがございます。そして、行政処分をするということは国民の権利義務に重大な影響があるという前提で、告知と聴聞の手続というのが普通規定をされております。証券取引法にも百八十二条で告知と聴聞の規定が定められているわけであります。つまり、国民の権利義務に関する、あるいは証券会社の権利義務に関する非常に重要な手続がこの証券取引法百八十二条に書かれておるわけです。ところが、業務課が職務上それを分掌するということをおっしゃるのだけれども、この「大蔵省の機構」、大蔵省組織令六十五条には、その重大な手続を業務課が担当するということが規定をされてないのじゃないですか。どういうことなのでしょうかということになるわけです。

 時間がございませんので簡単に私の方から結論を言いますが、つまり今まで大蔵省はやる気がなかった。行政処分は証券取引法の規定に基づいて、つまり法律に基づいてはやる気がなかった。行政指導ですべて事を済ませた。営業自粛、自主報告、法律に基づく報告を徴収しない。非違行為的なことがあっても行政処分の手続にはのせない。つまり、この告知と聴聞の手続、証券取引法百八十二条によりますと、まさに公開で審問がなされなければならないということが規定されておるわけであります。公開であります。つまり、市場における非違行為、非違行為と言えないまでも、証取法違反の事実があるかもわからないというその疑いが非常に濃いという行為については、公開の審問手続にのせるということが積み重ねられるならば、つまり透明性のある市場に一歩一歩近づけるわけであります。それを全部大蔵省検査課、そこで臭い物にふたをし、押し入れの隅っこに押しやる、こういうやり方をやってきたのが今までの大蔵省の行政だったのじゃないでしょうか。そうだといたしますと、なぜそうなったのかということが次に追及されなければなりません。

 きょうは余り時間がございませんので、そこから先は特別委員会の席上でも追及をさせていただきますけれども、簡単に言ってしまいますと、これは大蔵省が、きょうの議論にもずっと出ておりますけれども、やはり発行の主体であるということですね。証券会社に引き受けていただく。国債とNTT、今後はJR、日本たばこを引き受けていただかなければいかぬ。株価は高ければ高いほどよろしい。証券会社の保護育成、これも任務である。そして証券会社も検査しなければいけない。そして、今度の議論でずっと出ておりますように、大事な大事な就職先である。これだけ重なりましたら、それはやはりこういう愛のあるといいますか、優しい行政指導ですべて通り過ぎようということになってしまうのじゃないでしょうか。

 私は、この点について別の機会に譲らしていただきますが、もう一点ちょっとお伺いします。

 加商という会社をめぐって、弁護士であります並木さんが逮捕をされて起訴をされております。株の買い取り交渉が、これもまた脱税で起訴をされております竹井博友さんという方と加商の側で交渉がされて、最終的には九〇年の八月三十一日、加商のメーンバンクである東京銀行の関連である綜合通商というところに一株二千五百円で買い取られてそれは終わったわけであります。この過程で、新聞報道によりますと、六十二年の十二月ごろに、つまり一九八七年の十二月ごろに、地産の竹井さんが野村の田淵会長に紹介状を書いだということが報道されております。この点、法務省あるいは警察当局でも結構、法務省になりま

しょうか、こういう事実を確認されておりますでしょうか。

○井嶋政府委員 お尋ねの加商の事件に関連いたします並木俊守元弁護士に対する弁護士法違反事件でございますが、本年七月二十九日に、東京地検の特捜部が東京地裁に公判請求をいたしております。弁護士法違反であります。

 事実関係を簡単に申し上げますと、顧問弁護士契約を加商との間に締結をしておりましたこの被告人並木弁護士が、地産グループの代表者であります竹井から出されていた、そのころは同社の大株主でございますから、そこから出されておりました業務提携それから役員派遣要求及び所有株式の買い取り要求、この三つの要求に関する交渉とその対策等の事件を受任をいたしまして活動していたわけでございますが、まず、この役員派遣の要求に関する事実が一部成就したことに対する謝礼という趣旨で、加商の弁護士であるにかかわらず竹井から、まず平成元年九月に八百十万円の小切手一通を受けた。さらに同二年六月二十一日ごろに、竹井からやはり役員派遣要求に関する交渉ができたということで、竹井側から三百万円の小切手を受けた。最後に、今お触れになりましたいわゆる所有株式の買い取り要求関係の事件が竹井側に有利に成就したということで、竹井から八千十万円の小切手を受けた、こういう事実で、いわゆる双方代理の事件ということで起訴をされたものでございます。

 その過程におきましては、この株式の取得の関係、役員派遣の関係、その他いろいろなことが調べられておるわけでございますけれども、これは公判が係属しておるわけでございまして、今後書院その他において、必要な限度で事実が明らかにされていくものであると思うわけでございまして、この場におきましては、お尋ねのような詳細につきましては、私は報告も受けておりませんけれども、また、お答えを差し控えるべきであろうと思っておるわけでございます。

○仙谷委員 それじゃ警察庁の立場も勘案して、この野村の田淵会長が紹介状を書いたかどうかという点については、これ以上追及するのを今の段階では控えておきます。

 そこで、お伺いをしたいわけですが、この関係では、地産グループが加商の株一千三百十六万一千株というのを手に入れて筆頭株主になったのが昭和六十二年の十二月ごろだ、つまり一九八七年十二月ごろだ、こう言われております。それを、先ほど申し上げましたように綜合通商に売り渡したのが平成二年八月三十一日、昨年の八月三十一日、その約定ができましたのが一カ月前、平成二年の七月三十一日、こういうことになっておるようでございますが、その点については大蔵省、現在では事実確認をでき得ますでしょうか。

○松野(允)政府委員 私どもも加商が発表した内容について承知をしているわけでございまして、加商が平成二年八月三十一日に、御指摘のようにグループで持っておりました保有株一千三百十六万一千株を東京銀行系の綜合通商に移動したということを承知しております。

○仙谷委員 手に入れた時期の方ですね、一九八七年の八月ごろ地産グループがこれを入手したという点はいかがですか。

○松野(允)政府委員 名義書きかえによりまして、平成二年八月には千三百十六万株を取得するに至るということを私どもは把握しております。??地産の取得でございますか。失礼いたしました。一九八七年、昭和六十二年の九月ごろから買い集めを始めて、今申し上げましたように平成二年八月に千三百十六万株を取得するようになったというふうに私どもは把握しております。

○仙谷委員 もう少しまた詳しくお調べをいただきたいと思うんですが、要するに昭和六十二年の十二月の末ごろには、この一千三百十六万一千株を取得して筆頭株主になったということのようでございます。

 そこで、一九八八牛一月以降の加商株の東京証券取引市場における売買手口、何か月足というんですか、これは今大蔵省の方ではお持ちでしょうか。

○松野(允)政府委員 持っております。

 

○仙谷委員 私は東京証券取引所に欲しいという要求をしたんでございますけれども、プライバシーとかなんとか言ってなかなか出さない。それじゃ長岡さんにこちらに来てもらうというふうに申しましたら、三カ月単位のを今私のところへ持ってきて、私持っております。この売買手口が証券取引所で出せない。まさにやみにカーテンの中でやっておるような証券取引でございます。

 これは甚だ遺憾なことでございますけれども、この四半期別売買手口を拝見いたしましても、一九八八年の一月から三月は、野村の売りが全体の一三・三%、買いが二〇・〇。四月から六月は、売りが二〇・〇、買いが二〇・〇。同年の七月から九月は、野村の売りが七六・七、買いが七八・七。十月から十二月、野村の売り七四・五、買いが七六・四。それから、年がかわって一九八九年でございます。一月から三月、これは野村はこのときは一〇・二、そして買いが六・五。四月から六月、野村は六六・四、買いが六三・〇。七月から九月、野村が売りが三一・八、買いが三六・四。十月から十二月、野村は七六・六が売り、買いが八一・八。一九九〇年 月から三月、野村の売りが四一・九、買いが一六・五。四月から六月、野村は売り八七・二、買いが八七・七、こういうことになっておるわけです。先ほど申し上げましたように、七月の三十日に加商株の買い付け合意がなされた。七月から九月の野村の加商株の売り一・一、買い四・二。次の四半期、一九九〇年十月から十二月、野村の売りは一五・七、買いが六・七。こういう際立った売り買いの差があるわけでございます。つまり、加商の株を地産が買い占めて筆頭株主になって、並木弁護士を籠絡しながら相対取引で加商側に買わせようとした、その間だけ野村の売買手口が、多いのになると八七%、こういうことがずうっと続けられておる。これについて、当時、大蔵省の証券局の方で関心は持たなかったんでしょうか。

○松野(允)政府委員 今の御指摘の数字は私どもも持っております。

 ただ、この加商の株。と申しますのは平常時は非常に出来高の少ない株でございまして、例えば一九八八年をとってみましても、普通の月であれば一万株、二万株、一月でそれぐらいしかできておらないわけでございます。野村証券の売り買いシェアがある時期、四半期で見ても非常に高い四半期があるわけでございますが、これは私どもの調べでは、その月、それが含まれている月に大口のクロス南いがあった。この大口のクロス商いは、大口の客と大口の客との間の注文を処理する一つの方法でございまして、両方の注文を市場に出して執行するというようなやり方でございます。しかしながら、もちろんその市場には一度注文として出るわけでございまして、その大口のクロス南いというものは、必ずしも株価の形成に積極的な役割を演ずるのではなくて、市場でできている株価を基準にして大口の取引、売りと買いの注文が突き合わされるといいますか、事実上出ていくというような形でございまして、野村証券がそういうふうな大口客間のいわゆるクロス商いを行った時期が含まれております四半期については、御指摘のように非常にシェアが高いということになっております。非常にシェアが高いわけでございますが、今申し上げましたように、それ以外の取引が品薄で非常に少ないということで、結果的に非常にシェアが高いということになっているわけでございまして、私どももこれは異常な数値でございますので当時チェックをしたわけでございますけれども、今のような事情で、特に株価形成上問題があるというふうな判断にはならなかったわけでございます。

○仙谷委員 証券市場では三〇%ルールというのがあるというふうに聞いております。つまり、一社の委託あるいは自己売り買いの取引、これが月単位で三〇%を超えたときには、証券取引所の売買審査部が動き出して売り方、買い方を調査する、大蔵省の証券局の方にもちゃんとそれを報告

として届けるということのようでございます。当時そういう報告、つまり売り手と買い手の具体的な名前、どういう人が局長がおっしゃったようなクロス商いを野村に委託しているのか、これを当時お調べになったんでありましょうか。

○松野(允)政府委員 いわゆる三〇%ルールと申しますのは、私どもはその証券会社に対しまして、一銘柄の月間の売買高に占める一社の割合が三〇%程度以上となるような場合には、株価形成上問題になることはないか、その証券会社の社内で特に売買監視を強めてほしいというようなことで、そういう趣旨で申し上げているものを三〇%ルール、こういうふうに呼ばれているわけでございます。もちろんその証券会社の社内の売買監視にとどまらず、取引所の売買審査もそういうものを一応のめどとして行っているわけでございまして、ただ、三〇%を超えれば機械的に問題だというようなルールではございませんで、三〇%を超えるようになれば監視を一段と強めてほしいというような、指導のルールでございます。

○仙谷委員 お答えいただいていませんが、売り方、買い方の報告が当時大蔵省の方に報告をされておったのか、あるいは証券取引所の売買審査部がそれを入手しておったけれども大蔵省は知らなかったということなのか、その点お答えをいただきたいと思います。

○松野(允)政府委員 当時、その委託者についても私どもは調べております。

○仙谷委員 それで、この件は局長がおっしゃったように株価操縦、つまり先ほどの名前に出ました小谷さんの高値をつけるような株価操縦としての買い上がりといいますか、そういうことでは急激に買い上がるということではないでしょうけれども、この期間非常にクロス商いを行うことによって株価が、ある意味ではこの加商という会社の実態以上のところで張りついている、安定しているという可能性があるということで、お調べになったということはなかったんでしょうか。

○松野(允)政府委員 御指摘のように、確かに加商から綜合通商に株が移動いたします前に、この加商の株価は急騰をしております。私どももこの点については、問題意識を持って、関心を持って調査をしたわけでございます。

 ただ、この間の取引というのは、先ほども申し上げましたように非常に薄商いでございまして、例えば七月二十四日には二千八百円だったのが、八月七日には三千三百円まで五百円上がっておりますけれども、この間、実際の取引では七日でございますが、全体の取引高は五万五千株しかないというような状況でございまして、しかもその注文の執行状況を取引所のいろいろな記録に基づいて私どもチェックしたわけでございますが、株価形成上異常なことが行われたというような証拠が見つからなかったわけでございます。非常に品薄株でございますから、買いが入るとすぐ急騰するというような形になるわけでございまして、特定の意図を持って株価を引き上げるということでなくても、品薄株の場合には需給関係でも非常に株価が動くということがございます。私ども調べた限りでは、操作的なことが行われたというような証拠は得られなかったわけでございます。

 

○仙谷委員 浮動株が少ない場合には、ちょっと買えば上がります。上がり過ぎると困るからクロスを入れて、ある程度ちょっとずつ上げていって安定化させる、こういう手法だって一般にはあるというふうに言われでおるわけでございます。そしてこの件に関しては、証券取引法百二十五条の三項の安定操作が許される場合の諸規定に合致しない、そういう場合じゃないこともまた明らかであります。つまり証券取引法百二十五条の三項、安定操作に該当するのではないだろうかということでお調べをいただいたとすれば、ひとつ証券局のお持ちのこの売買手口、月足ですね、これとその買い方、売り方、これをぜひお示しをいただきたいと思います。

 といいますのは、今上がったところだけをおっしゃられましたけれども、加商の要するに場外クロスですね、地産と綜合通商の間の株が取引された以降、野村がほとんど、先ほど申し上げたように一%台あるいは四%、こういう売り買いに終始するわけでございますから、当然のことながら加商の株価はこの後どんと下がったわけですね。それで、おっしゃるように一九八八年の前といいますか、八七年中はそれほど高くなかった株であることも間違いがないわけであります。八八年に入ってから高値に張りついて、そして二千五百円で場外でクロスする、場外で相対取引をされる、この間高値に張りついておった、こういう客観事実はあるわけであります。どうかひとつその点、こういう株価操作といいますか安定化操作ということもあるということで、今後も刑事事件絡みでございますので、お調べをいただきたいと存じます。

 時間がほとんどなくなりましたので、大蔵大臣に、この段階で御所見をいただいておこうと存じます。

 今、私はそれほど大蔵省に悪意を持ってどうのこうのするというスタンスで質問をしておるわけではないわけであります。しかし、大蔵大臣もおっしゃったように、やはりルールがもう一つ不明確だ。それと、ルールを担保する制度がどうも制度疲労を起こしておるのではないか。何か政治改革で、制度疲労というのは自民党の方一生懸命言われますけれども、制度疲労を起こしているのではないか。そしてまた、証券市場のスケールが以前とは全然違うということもあると思います。やはり大蔵省が誇ってきた免許制、事前予防、どうもこれが非常に制限的な効果しかなかった。大蔵省の免許行政、事前予防主義というものがどうも限界があるな、そういう感じがしてならないわけであります。

 免許、そして監督、検査ということで、証券会社を通じて市場の適正化を図るということが、どうも大蔵省の、さっき申し上げました四つの証券業界との関係のうちの残りの三つの関係もあって限界があるのではないか、そういう感じを強く持つわけでございますが、その点、大蔵大臣いかがでございますか。

○橋本国務大臣 私は、御指摘を否定しようとは思いません。最初に申し上げましたように、五つの原因というものに私は分類していきます中で、業界行政のあり方ということを申し上げました。そしてその中において、保護育成という時代を既に私どもといいますか大蔵省とすれば変えつつあるつもりでありましたが、それが間に合わなかったという御批判は、結果的に我々は甘受しなければならないということも率直に申し上げております。

 免許制がいいか、登録制がいいか、これは私はいろいろな議論があろうかと思います。そして、かつて登録制でありました我が国が免許制に移行しましたには、それなりの理由は当然のことながらございました。そして、その中において日本の証券市場が育ってきたこともまた事実であります。登録制の国にはまた登録制の国としての問題を抱えておられるこども、御承知のとおりであります。こうしたことを含めて、我々は今真剣に全部の問題を、先ほど申し上げましたような形で我々自身も必死で検討をいたしておる、その中で手のつくものから少しでも早く再発防止に向けての努力をいたしたい、率直に申し上げたところであります。

○仙谷委員 極論をいたしますと、大蔵省が発行主体でもあるわけでありますから、今問題になっておりますSECといいますか、どの程度の権限、機能を持たせた監視、審査の機構をつくればいいのか、どこにつくればいいのかということについては、いろいろな諸要素を考えなければならないとは思います。しかし極論を言えば、発行主体としての大蔵省という位置づけがあるわけでありますから、そしてこれは国家財政を担うという非常に重要な機能を持っておると私は思います。そうしますと不可避的に、その国家財政を担う機能と、大蔵省が証券市場の公正さをチェックする、審判する、そういう機能とはなかなか両立しがたい側面もあるのではないか。大蔵省の不公正

を摘発できるか、まさに極論しますればそこに問題があるの。ではないかと考えます。

 したがいまして、どうしても免許制の議論、固定手数料の議論、それからファイアウォールの議論、いろいろ考慮しなければいけない要素いっぱいあると思いますけれども、私はやはり、大蔵省の不公正があるとしてもそれを摘発でさる、そういう機関でなければ、この審査機能、審査権限、監視ということは十分の役割を果たせないのではないだろうか、そういうふうに考えておるわけであります。その点について、大蔵大臣の御答弁をもう一度ちょうだいいたしたいと思います。

○橋本国務大臣 今の点で一点だけ御説明を申し上げたいと思います。

 よくアメリカのSECと大蔵省の証券局の機能の対比がなされます。証券局の行政も、これは登録制、免許制の別はございますけれども、SECの機能も、本質的に持っておるものに変わりはございません。これは委員がよく御承知のように、企業の存立の瞬間から全部に責任を負う機構であります。

 著しく異なっておりますのは、SECには証券会社のみならず、その取引相手に対しましても非常に広範な捜査の権限が与えられております。また、証人を喚問する権限がございます。さらに、その証人に対して偽証罪をもって告発することもできる仕組みがございます。また、例えば電話の記録等を含めまして、異質の情報を収集する機能が与えられております。こうした点についての機能の差があることは別でありますが、証券行政全体を監督するという意味においては、この両者において本質的な変わりはございません。

 そして、先ほど申し上げましたように、行政機能と検査機能に一定の節度ある距離が必要であるという問題提起は、私自身冒頭に申し上げました。ただその中で、あと機構が一体大蔵省のどういうところにあればいいかとか、外に置くべきであるかということは、これは今大蔵省として申し上げるべきことではないと私は思います。

 先ほど申し上げたような問題点を我々は今までに掘り下げてまいりました。そして、去る十九日の行革審にその結果をすべて御報告を申し上げ、行革審の審議にまちたいと申し上げておる。これをもって御理解をいただきたいと存じます。

○仙谷委員 大蔵大臣の御意見は承りましたけれども、一番重要なことは公正な市場をつくることだと思うのですね。その市場の提供者、公正な市場が成立する条件を提供する権限と義務があるのが大蔵省、こういうことになるんだろうと思います。

 そういう観点からいいますと、やはり業界に偏した立場ではなくて、公正な市場をつくること、そして一般の投資家が保護をされ市場に参加ができる、そういう市場を本気でつくらなければならない時期に来た。そうしないと、日本の金融・証券市場、大変なことになるだろうと私は思います。

 証券特別委員会が開かれるようでございますので、また大いにその辺も含めて議論をさせていただきたいと思います。

 終わります。

○渡部委員長 これにて仙谷君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十二日木曜日午前九時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時九分散会