1991年04月12日 大蔵委員会

○平沼委員長 質疑を続行いたします。仙谷由人君。

○仙谷委員 地価税法案について質問をさせていただくわけですが、まず金融政策と土地あるいは地価の問題をお伺いいたしておきたいというふうに考えます。

 今、友人の不動産取引仲介といいますか、こういう人たちに会うと、五年間辛抱しなければいかぬ。つまり、今はもうほとんど物件が動かない、だから仲介手数料が入ってこないのでひいひい言っているけれども、五年間待てば何とかなる、こういうことをよく言われるわけであります。一方では、今度のこの五年前ぐらいからのバブルの中で、相当大きいお金を借りて不動産に投資したといいますか、不動産を買った会社の方々からは、金利の支払いが大変だ、金利が非常に高いから大変だ、こういう声も聞こえてまいりまして、私自身はそういう人たちには、あなた方がバブルでもうけたんだからそれはしようがないじゃないか、もうけた分でじっと辛抱するんだったら辛抱した方がいいんじゃないのというようなことを言っておるわけであります。

 この金利問題に絡みますと、新聞紙上を読んでおりましても、どうも金利引き下げのプレッシャーが日本銀行あるいは大蔵省に随分かかっておるのではないかという感じを私は受けておるわけであります。金利というのは、私が申し上げたように、今の企業経営の中のキャッシュフロー云々かんぬんということだけで決まるわけではないと思いますが、金利引き下げというふうなことが近々行われる可能性があるのかないのか、その点について大蔵大臣にまずお伺いをいたしておきたいと思います。

○橋本国務大臣 ちまたからいろいろな声があることは私どももさまざまな機会において拝聴し、また、そうした御意見には、私どもが仕事をしていきます上で十分参考にしていくべきものであることは言をまちません。

 ただ、今たまたま委員は金利という言葉を使われましたけれども、仮にこれを公定歩合と理解させていただきますならば、これは本来日本銀行の専管でありまして、私どもが物を申すべき分野ではございません。その上であえて一般論として申し上げますならば、私は今日本の現状を考えますとき、物価あるいは労働力その他さまざまな分野を考え合わせてまいりますときに、金融政策というものを変更しなければならない状況にあるとは考えておりません。専管事項としての日銀がどういう御意見をお持ちなのか、私自身特に承っておるわけでもありませんけれども、今政策を変更しなければならないような状況にはない。むしろ現状を注意深くそれぞれの分野から効果を測定しつつある状況、そのように私は理解をいたしております。

○仙谷委員 先ほどのお答えで、総量規制を外すつもりはないというお答えがございまして、今、金融政策についても変更をするつもりはないんだ、こういうお答えであったと思います。

 代表質問のときにも申し上げたわけでございますけれども、今度の地価の暴騰の一つの大きな原因は、金融政策というものが、無意識的にせよ、公定歩合が二・五%というふうな時代が長く続いたということもあって、どうもそのお金が不動産投機に流れたというのが常識化しておるようでございます。今地価が鎮静化しておるといいますか、上がってはいないという状況は、総量規制と金利というのが相当大きな要因になっておると思うのです。この金利、あるいは公定歩合と言いか

えてもいいのかもわかりませんけれども、それが中長期的に現在の水準のような少々高目の公定歩合、これを続けることができるのかどうなのか。あるいは、それこそ機動的、弾力的に考えていかなければならない。国際経済といいますか、世界経済の方から見ましても金利問題はどういうふうにお考えなのか、大蔵大臣の御所見をいただきたいと思います。

○橋本国務大臣 公定歩合というものにつきまして、本来私の立場で申し上げるべきでないということは御理解がいただけると思うのです。これは日銀の専管事項として、私どもは尊重していかなければなりません。

 ただ、その上で、先ほども一般論としてお答えを申し上げたわけでありますが、今我が国のさまざまな経済関係における要素を考えますときに、私の立場からいたしますならば、金融政策を必ずしも変更しなければならない状況にはない、本当にそう思っております。私どもの脳裏には、例えば先ほど物価でありますとか労働力という例示を挙げましたが、国際的に見ましても、例えば為替の水準等の問題もあるわけであります。いろいろなことを考えてみまして、財政当局の立場からいたしますならば、私どもは今政策変更を必要とする状況にはなかろうと判断をいたしておりますが、これは日銀さんがどういうふうに思っておられるか、ちょっと私もわかりませんので、本来なら日銀にお問い合わせを願いたいことでありますけれども、私はそのように感じております。

○仙谷委員 お答えをいただきたかったのは、中長期的に、二年とか五年とかという範囲内でどういうふうに金利が動いていく可能性があるのか、あるいは動かさざるを得ないのか、こういうことを実は聞きたかったわけでございます。

 そこで、アメリカの経済が一つの要素だろうと私は思いますけれども、それから日本の場合は、政府で言えば国債費の問題というのがあろうかと思います。そういう観点から、例えば五年ぐらいの期間をとってみれば、金利というのは、やはり公定歩合というのも下げざるを得ない状況というのもこれから生まれてくるのではないか、そういうふうに考えますが、いかがでございますか。

○橋本国務大臣 五年、十年というタイムラグになりますと、私はその間にはさまざまな問題があろうかと存じます。そして、今の委員の視点から挙げられましたような要素以外にも、世界的な資金需要の動向、そして世界的な貯蓄率の増加傾向がどうなるのか、さらには現在よく資金需要という言葉が使われますときに、新たに発生いたしました中東の復興のための経費を含めまして、ソ連の経済支援、そしてその手前にあります中東欧の資金協力、さらに累積債務国の問題でありますとか、また先般日本がIDB総会を主宰いたしました立場から申しますと、中南米における資金をどのように分担するかとか、世界的な資金の流れにもさまざまな問題点がございます。

 また、委員が御承知のように、日本経済自身が黒字幅を縮小する努力を続ける立場となり、まさに内需中心の自律的な経済成長というものを目標に置きながら今日まで経済運営を続けてまいりました。それなりの効果を発揮し、今いわば安定した成長の確保というところにその焦点をシフトしつつあるわけであります。

 そうなりますと、これにはさまざまな要因が加わると思います。しかも、それは世界的なエネルギーの需給が今後どうなるのか、そのコストほどうなるか、こうした問題も当然のことながら考えなければなりません。さらに、日本の産業構造が今後どのように変化をしていくかによりましては、今行われております設備投資とは異質の設備投資というものも出てくる可能性がございます。その場合に、日本経済そのものを加速する必要が生じる、減速する必要が生じる。自然体で臨めるさまざまな状況に公定歩合も含めまして、金融政策というものは機動的に財政とともに対応していく役割を負うものでありますから、委員がお述べになりましたようなスパンを考えて議論をさせていただくとするならば、その場合にはさまざまな対応が考えられると思います。そして、そのときそのときに敏速かつ適切な対応というものが必要になるという点では、委員の御指摘に私は異論はございません。

○仙谷委員 いわゆる大蔵省の方で用意された資料あるいは日銀で昨年お書きになった報告書的なもの、そういうものを読みましても、昭和四十年、昭和五十年、昭和六十年という、まさに金融緩和時期に地価の高騰というのが起こったという歴史的事実はあるわけですね。今も地価税法案が出されておるわけでございますけれども、これがまあそれなりの機能を果たすといいますか、役割をもし果たせない、つまり今までと同じような、地価税法案かないのと同じような効果しか果たせないということになりますと、今おっしゃった可能性としての金融緩和ということが再び参ったときに、また地価が上昇局面に入っていくということが十分あると思うのですね。それが経験的に不動産業者が五年間辛抱すれば何とかなる、つまり、まだ土地神話は生きておるということだろうと思うのです。

 そういう観点からいきますと、地価税あるいは保有税、保有コストを高めるということが金利政策だけあるいは総量規制だけに頼れないのと同じように、やはり構造問題として税制というものが果たすべき役割は相当大きいというふうに私自身は考えておるのですが、その点につきまして大蔵大臣の御意見をいただきたいと思います。

○橋本国務大臣 過去二回の地価高騰期について、今委員がお触れになりました。そして今回、その意味では三回目という状況の中に我々はあるわけでありますが、確かに過去二回、地価の急上昇というものがブレーキがかかり、収束をしていく過程において、土地神話そのものを破壊するという発想は、そのいずれの時期においてもなかったわけであります。そして、それが今回問題を大きくした一つの原因であることは、私は御指摘のとおりだと思いますし、その限りにおきまして、土地神話というものを今日の時点で我々が破壊できているかというならば、残念ながらまだ土地神話を破壊することに成功はいたしておりません。

 そして、そういう点から申し上げるとするならば、私どもは、まさにこの地価税によりまして、他の税制とともに.保有コストの上昇というものの抑制効果を当然のことながら期待をいたしております。しかし、税だけで地価対策ができるわけではないことは、今委員もお触れになりましたとおりでありまして、私どもの役所の範囲から申しますならば、金融政策というものも当然ながらその一翼を担うものになります。

 しかし、根本的には、例えば私は、実は旧東独がどういう状況であったか存じませんけれども、旧西独と言わせていただきましょうか、旧西独の持っております都市計画と同じような都市計画を我々が持っていたとするならば、その都市計画そのものの中で相当程度の地価抑制効果というものは発揮されておったと考えております。しかし、そのもとになります土地に対する国民の共通意識というものが生まれておらなかったことが、私はこうした点においても一歩対応がおくれた原因であろうと思っております。

 おかげさまで土地基本法というものが生まれ、土地政策というものが土地基本法の理念に基づいて今それぞれの部署において再検討され、新たなスタートを切ろうとしているわけでありますが、その中におきまして、当然ながら私どもの守備範囲であります税制、金融、いずれも大きな役割を果たすものではありますけれども、基本的には土地基本法の理念に基づいた都市計画というものが有効に設定をされ、これが機能をすることにより、税制あるいは金融の土地政策における役割が減少する方向が本来の姿である、私はそのように考えております。

○仙谷委員 今の御意見に基本的に同意をいたすわけでございますけれども、そうは言っても、結局戦後四十五年それらしき土地政策、都市政策、それから今おっしゃった西ドイツのAプラン、Bプランのようなものができてこない。そして、ま

た今から都市計画が早急に策定されて実施されるかということを考えますと、先ほど来の議論を聞いておりましてもなかなか難しいだろうな。やらなければならないけれども、非常な困難がつきまとうということも事実であります。

 そうだといたしますと、多少無理があっても、今大蔵大臣がおっしゃったような、本来それほど大きい役割を果たすべきでないのかもわかりませんけれども、金融政策と税制というものがやはり大きな役割を担っていかざるを得ないという、不幸なのか何なのかわかりませんけれども、そういう事態であるという認識をしなければいけないだろうと思います。

 その点については、ちょっとほかの質問を挟みまして続けたいと思いますが、銀行局長、先ほど私の聞き間違えかどうかわからないのでございますが、小野委員の質問にお答えになって、ノンバンクの貸付金のうち不動産業あるいは不動産担保融資というものが何か額としてはよくわからない、あるいは都市銀行の分もちょっとわからないんだという趣旨のお答えをされましたでしょうか。

○土田政府委員 私の記憶しております限りでは、銀行の不動産向けの融資は幾らかというお尋ねと、それからノンバンク向けの融資は幾らかというお尋ねと、その中の何がしが要するに不動産に向いているかというお尋ねであったと思います。その前二者は数字を申し上げたわけであります。最後のものは、これはその実態の数字を把握しておりませんというふうに申し上げたわけでございます。

○仙谷委員 そうしますと、私がいただいております資料は、平成三年二月八日、大蔵省が新聞発表ということをされた「ノンバンク上位二百社の貸付金の実態調査結果について」という書面、それから、それに添付されておるノンバンクの不動産業に対する融資が二十兆二千四百十六億円、全国銀行で不動産業に対する融資が四十二兆一千二百四十八億円、こういう金額については、そのとおりだというふうに承知してよろしいのでしょうか。

○土田政府委員 その数字そのものはただいまおっしゃいましたとおりでございます。

 先ほどは、そういう意味では多少答弁が懇切を欠いたかと思いますが、この大蔵省で発表いたしました実態調査結果は、ノンバンクの上位二百社についてのデータに限っておるわけでございます。その二百社に関する限りでは、ノンバンクの貸付金の業種別残高の中の三五・七%、二十兆二千億は不動産業向けであるというふうに申し上げることはできます。

 ただ、先ほどのお尋ねと結びつけて申し上げますと、ノンバンク向けの貸付金というのは、必ずしも貸金業を行うに当たっての財源というふうに直に結びつけられるというものではない。ノンバンクは貸金業のほかにいろいろな事業をやっております。そちらの方にも金が流れているわけでございまして、総体として幾らであるかというと、いわば総量規制でとっております報告の数字がございます。これは全国銀行の悉皆調査の報告でございます。ノンバンクがそのような金その他の金を受け入れていろいろな事業を行い、また貸付金を行う。その貸付金の中で不動産業に幾ら持っていくかということは、それは正確には把握できていない、わからない。ただ、その中で、初めての試みでございますが、上位二百社に限りますと今のような数字になる、こういう趣旨でございます。

○仙谷委員 ちょっと取り越し苦労に過ぎるのかもわかりませんけれども、毎日、新聞を見ておりますと、特にイトマン事件というのがクローズアップされて、主としては都市銀行からイトマンに融資され、イトマンからいろいろなところに金融がされて、そしてそれが焦げついて、我々の方から見ると、焦げつくであろう、焦げつくことが相当確実であろうというふうなことが報道されておるのですね。これは多分イトマンだけではなくて、あるいは住友銀行だけではなくて、他の銀行にもその種の案件、つまり商社やノンバンクを通して焦げつき債権が出る。不動産とか株であるとかですね。今となってみれば、元本返済は到底できない、金利も払えないというふうな事態になっている部分というのは、相当あるのじゃないかという感じを私受けておるのですね。

 問題は、例えば聞くところによりますと、一九二九年の世界恐慌と言われるアメリカの恐慌も、ウォール街の暴落から始まっておるけれども、本当は不動産恐慌といいますか、不動産融資の焦げつきに始まった金融恐慌である、そういう説を出しておる方がいらっしゃるようでございますけれども、日本の場合、今の実態というのは、大蔵省の検査とか日銀の考査ですか、そういうのを通じてその焦げつきが大量に発生して、金融不安といいますか、それにつながるようなそんな兆候というのは、今の段階ではないというふうに考えてよろしいのでしょうか。

○土田政府委員 イトマンの例をお引きいただきましたが、イトマンは実は事業法人でございますので、必ずしも不動産関連の話だけで議論するわけにはまいりません。ただ、不動産業なり事業法人なり、それは大蔵省が所管しているわけではございませんけれども、倒産というデータから見ますと、最近、例えば二月の報告を見ますと、不動産業の倒産は六十九件であり、これは一月の四十九件を上回っておるとか、五カ月間連続前年同月を上回っておるとか、そのような統計が発表されているようでございます。

 これが金融機関に与える影響ということでございますけれども、これはもちろん金融機関の貸し出しにつきましては、かねてから各金融機関において、今問題になっております不動産関連融資を含めて、適切なリスク管理がなされるよう私どもも指導しておりますし、金融機関も十分気をつけておるはずでございます。今回のような経験は、例えばかつて石油ショックの後にも一時期あったわけでございまして、そのころの経験もそれぞれ金融機関は持っているわけでございますから、それぞれにおいて自主的にいろいろなリスク対応をしているものと私どもは考えております。もちろん、今後とも私どももいろいろ経営の健全性維持という観点から、検査なり行政なりを通じて適切な指導に努めてまいりたいと存じます。

 それから、アメリカの話はよくわかりませんけれども、先ほど申し上げましたような銀行の関係のデータからしますと、不動産業向けの融資が銀行から直接不動産業向けに出ておりますものに限りますと、総貸し出しの約一〇%程度でございまして、さほど高い数字ではございません。どこかで読みましたアメリカの銀行の貸し出しの中の不動産業向けのいわゆる不動産融資の比率は、もっと高いものであったかと思っております。

 そのほか、日本の金融機関につきましては、いろいろまだ経営上の体力、それから含み益その他が残っておりますし、日本の金融機関が全体としていろいろ多くの問題を生むということはない、そのような心配はまだないと私どもは考えておるわけでございます。

○仙谷委員 恐慌まで至らなくとも、少なくとも国民感情としてはおもしろくない、あるいは多少の経済的な攪乱要因になり得る可能性があるということも間違いがないところでございます。

 したがいまして、だからこそこの地価税というふうなもの、つまり、税制の欠陥の結果バブル経済というようなものが起こったのか、どちらが原因でどちらが結果なのか、なかなか経済というのは難しいのでわからないところがあるかもわかりませんが、この地価税の税率、それからその他の要素、利子率等々を含めて地価との関係、経済的な効果はどうなるのか、政府税調の十月の答申のときに、その添付の資料に「土地保有税の経済効果」という書面が出ております。その中に、利子率から収益上昇率をマイナスして、そして今度は保有コストを加えてやる、それを分母として、土地から生まれる収益自身を分子とする、そういう割り算をすれば地価というのは当然出てくるのだ、こういう式が書かれておるわけであります。

 これを見ますと、利子率が高くなれば地価が下がる方向へ動くだろう、あるいは税率が高くなれば地価がやはり下がる方向へ動くだろう、それから土地からの収益上昇率、つまり上昇の可能性ということになると思いますが、それが上がれば地価は上がる方向へ動くだろう、つまり、収益がある程度定量的だとしますとそうなるだろう、こういう式が書かれておるわけでありますが、この式を前提にいたしますと、金利は高く、税率も高ければ、地価が低い方へ動くということになるわけですね。

 このある種の理論といいますか仮説、これは大体こんなところでよろしいのでしょうかといいますか、大蔵省自身もこういうことを前提にして今度の地価税というものをお考えになったのか、あるいは政府税調の中で今度の税率を決めるときに、こういう数式を参考にしてお決めになったのか、その点いかがでございましょう。

○尾崎政府委員 御指摘の資料は、税制調査会で土地に関する税制の見直しをいたしましたときに、経済理論のサイドについての議論を学者の先生方を中心にしていただきました。その内容を取りまとめたものでございます。御指摘のとおりの単純な式によりまして、保有課税が地価の下落の方向に働くはずであるという説明がされているわけでございます。

 そういう定性的な方向といたしまして、今委員御指摘のとおり、利子率が上がりますと地価は下がる方向に働くであろう、将来の期待収益率が上がってくればこれは地価が上昇する方向に働くであろう、保有税がかかればその分だけ地価が下落する方向に働くであろう、そういう定性的な物の考え方の整理として示されているわけでございますけれども、現実の税率を決めますときにこの式を利用して決めたというところまで、実はそのような働きをしているわけではなくで、いわばその方向性といいますか、理論的な物の考え方を示すうちの一つの単純なモデルとしてそれが示されているわけでございます。

○仙谷委員 この式を前提にして考えますと、保有税導入後の地価というのは、当然のことながら、今申し上げた利子率から収益上昇率をマイナスして税率をプラスする、そしてそれを分母として、分子が利子率から収益上昇率をマイナスしたものだ、今度はそういう分数をもとの地価に掛けてやれば新しい保有税導入後の地価というふうにこれは書かれておりますけれども、多分こういうふうな地価になるだろう、こういう推論が成り立つわけですね。

 この数式を前提にして考えますと、例えば一%の税率、ほかの利子率とか収益上昇率というのは変わらないで一%の税率が導入されたとすると、地価は単純計算ですと二〇%ぐらい下がる方向に動くだろう、こういうことになるわけですね。今回の〇・三%ですとこれは六%ぐらいになる。六%ぐらいしか下がらない、こういう結論になるのですね。あるいは反対からいえば、先ほど国士庁の次長さんの方からは、新しい地価を数年で八分の一の地価に、私の聞き間違いじゃなければ八分の一の地価に持っていきたいというお答えがあったように思いますけれども、そうだとすれば、新しい地価のところに数字を入れてやれば、どういう利子率と税率を入れてやれば八分の一になるかというのは推論としては出てくるはずなんですね。そうなるのじゃないですか。

○尾崎政府委員 極めて単純化して、誤解を恐れずに申しますと、話としてはそういうことになるということが言えると思います。

 ただ、私先ほど申し上げました、また委員もおっしゃっておられました金利ということでございますが、正確に申しますと、これは将来の収益、現在の収益等をもとにいたしまして現在価値を導き出すという形でその土地の価格を出しているわけでございますから、本当は利子率というよりか現在価値を求める際の割引率でありまして、それは一般的な利子率に一定のリスクプレミアムのようなものを加えて考えるんだというように、理論的にはそういうことになっております。

 実は、この割引率をどう決めるかというのは非常に難しい問題でありまして、直ちに利子率、一般の利子率と置きかえていいかどうかという、そこはあるんだろうと思います。しかし、そういう細かい点を全部無視して言いますと、御指摘のような方向に行くと思います。ただ、絶対額、絶対的にそれが二〇%とかそういう数値ですぱっと出てくるほど、いわばその諸要素がはっきりしていないということでございまして、したがいまして、議論は定性的なものにとどまっていったということでございます。

 

○仙谷委員 ちょっと違うといいますか、ほとんど考え方は同じだろうと思いますが、長谷川徳之輔さんという方が「世界」という雑誌の三月号にやはり地価を導く数式を書いていらっしゃいます。

 それは、地価というものが、今度は分母が利子率で、分子の方に地代収益と期待値上がり益と節税益が来る、こういう式を書いていらっしゃって、そして、地代の収益というのは日本の場合にはそんなには変わらないんだという前提のようですけれども、期待値上がり益というのは、先ほど大蔵大臣がおっしゃっておるような計画に基づいて用途指定がされたら、この期待値上がり益というのはほとんどない、あるいは転用の可能性がなければ、土地神話というか、この土地はどんどん上がるんだという部分がないんだ、そういう前提の数式のようであります。節税益というのがまさに今度の保有税と裏腹の関係になるといいますか、あるいは租税特別措置法上のいろいろな節税の問題、日本の場合にはこの節税益があるがためにどうも地代がどんどん上がるんだ、利子率、つまり、金利の動きによって一挙に上がったりあるいは緩やかに上がったり、そういうことで上がるんだということを書いてらっしゃるわけでございます。

 したがいまして、保有コストを上げるということは、現実の経済的な心理構造の上からいっても、あるいは現実の経済の中においても、保有コストの問題というのは意外と大きい役割を果たすんじゃないか、税率によって大きな地価に対する関係が出てくるんではないか、そんなふうにちょっと最近私は考え出しておるのですが、その点はいかがですか。

○尾崎政府委員 まさに御指摘のように私ども考えまして、保有税の導入、今回地価税という名前にいたしましたが、それが土地対策上地価に対していい影響を持ってくれるということを期待しているわけでございます。

 御指摘の論文、私も記憶にございますが、一般の地代収益に加えまして、期待値上がり益というものとそれから節税益というのを掲げて、まあそれは実証できるような、数字が入るというものではないと思いますが、物の考え方として、そのようなものを掲げて御説明をなさっておられました。そこに節税益というようなものが出てまいりますのは、税を担当しておる者としては甚だ残念なことなんでございますが、そのような要素も確かにあったのではないかという気はいたします。

○仙谷委員 ちょっと質問を進めまして、附則八条の関係をお伺いいたしたいと思います。

 この附則八条というのは、主語は何でございますか。主語、主体は。

○尾崎政府委員 附則八条は、「地価税の負担の在り方については、少なくとも五年ごとに、固定資産税の土地の評価の適正化等を勘案しつつ土地の保有に対する税負担全体の状況等を踏まえて検討するものとし、必要があると認めるときは、地価税の課税対象及び税率等について所要の措置を講ずるものとする。」こういうことでございまして、御指摘のとおり、日本語では間々あることでございますが、はっきり主語が示されておりません。しかし、国の法律でございますから、これは政府はということであろうかと思います。

○仙谷委員 これは、国会はということでなくて、政府はということになりますね。大蔵省は、適正化等を勘案しつつ検討するものとし、必要があると認めるときは所要の措置を講ずる、この義務が政府にあるというふうに読んでいいわけです

ね。

○尾崎政府委員 土地政策全般の問題もございましょうから、また地方税の問題もございましょうから、大蔵省はということではないかもしれませんが、やはりこのような所要の措置を講ずるのは政府に対して求められているのだろうと思います。法律でございますので、変えるときには当然国会にお諮りすることになります。

○仙谷委員 細かくなって恐縮なのですが、この条文に「等」というのが三つ出てまいります。「土地の評価の適正化等」、それから次は「税負担全体の状況等を踏まえて」の「等」、それから次は「課税対象及び税率等」というふうに記載がございます。それぞれ「等」というのは何か深い意味があるのかないのか、ある種の内容を持っておるのか、その辺を御説明いただきます。

○尾崎政府委員 「固定資産税の土地の評価の適正化等を勘案しつつ」というこの「等」でございますが、固定資産税の土地の評価の適正化を勘案するだけではございませんで、やはり地価の動向でございますとか地価の水準でございますとか、そのようなものも勘案するというように読むのだろうと思います。

 それから「土地の保有に対する税負担全体の状況等を踏まえて検討するものとし、」というわけでございますが、検討に当たって踏まえますものは、税負担全体の状況のほかに、例えば土地税制でございますから、土地対策一般のあり方、それから税のことでございますから、国や地方の財政状況なども考えなくてはいけないかと存じます。

 それから「地価税の課税対象及び税率等」でございますが、これは地価税の税額の計算の要素でございます税率以外の、例えば基礎控除でございますとかあるいは非課税規定でございますとか、場合によっていろいろでございましょうが、税額計算の基礎となる諸要素を指しているものと考えます。

○仙谷委員 割と常識的に読むよりも、広い範囲のことがこの「等」の中へ含まれておる趣旨の御答弁をいただいたと思うのですけれども、それがいいか悪いかは別にして、さらにもう一歩突っ込みますと、突っ込みますとと言うとちょっと語弊がございますが、もう一歩踏み込んで申し上げますと、ここに「等」「等」といろいろなことが書いてありますが、結局、地価の引き下げなのか安定なのかはともかくといたしまして、金利とか金融政策とかあらゆるものを総合的に判断して、課税対象及び税率等について新しく何らかの措置をとらなければならない、こういう理解をしておいてよろしいのでしょうか。

○尾崎政府委員 五年ごとに見直しを行いますが、その場合に、いわばどのようなことを頭に置いて見直しを行うかということでございますから、広くいろいろなものが入ってくると思います。ただ、そのときの金融の情勢というのは、金融政策は非常に短期に変わってくる要素の強いものでございますから、五年ごとの見直しの際にそこをどう考えるのか、ちょっとややつながりは薄いような気がいたします。

○仙谷委員 昨年の十二月の方の答申の中には、多分附則八条に照応するといいますか、照応する部分として機動的、弾力的運用という記載がございましたね。特に地価税「創設の趣旨に照らし、今後の地価の動向、固定資産税の評価の適正化等を勘案しつつ、機動的、弾力的に見直しを行っていくことが必要であり、再び地価の高騰の窺える事態が生ずれば、総合的土地対策とあいまって果断に税率・控除等を見直し、本税に期待されている役割をまっとうさせるべきである。」という記載があるわけですが、ここの記載とこの附則八条というのは、意味、内容を変えておるのか、それともそうではなくして、答申に書かれた今私が読み上げた部分、その部分を法律として書くと附則八条のようになっておる、こういう趣旨なのでしょうか。いかがですか。

○尾崎政府委員 御指摘の答申の方は「再び地価の高騰の窺える事態が生ずれば、」ということで、むしろ方向といたしましては税率を上げるというような、あるいは諸控除をより少ないものにするというような方向の話になるわけでございますが、附則八条の方は、もう少し広く負担の関係も考えているのではないかと思います、固定資産税の負担等が挙げられておりますので。したがいまして、上げる方向にも下げる方向にも、もし必要があれば見直しをするという趣旨であろうかと思います。

 この答申の趣旨にございますように、せっかく創設する地価税でございますから、創設の暁には、その本来の趣旨に照らして機動的、弾力的に考えていくというのはそのとおりであろうと考えております。

 

○仙谷委員 きょうの午前中の参考人の質問もそうでございましたし、先ほど我が党の小野議員の質問もそうでございました。そして、国土庁のお答えも、やはり地価は下げなければいけないのだ、サラリーマンの年収の五倍程度に、五倍で住宅が買えるといいますか、それにふさわしい地価に引き下げなければいけないのだ、ここが今度の地価税創設の庶民の素朴な願望だと思うのですね。

 そうだといたしますと、この八条の規定というのは、先ほど私が指摘しました昨年十二月の答申の中で、再び地価が高騰することがうかがえる状況のもとでは再検討して所要の措置を講じる。機動的、弾力的にやるのだということだけではなくて、地価が引き下がらない場合には、少なくとも五年以内に税率とか非課税範囲あるいは控除、こういうものを見直すのだ、そういうふうには読めないのでしょうか。

○尾崎政府委員 先ほど「等」というところで申し上げましたが、当然いろいろ考えます要素の中には、地価の動向とか地価の水準とか、そういうことがあろうかと思います。したがいまして、地価が上昇している局面ではないけれども、地価の水準自体が非常に高いというようなことについて、より強力な土地政策上の措置が必要であるということであれば、委員の御指摘のような方向で所要の措置を講ずるということも当然可能であろうというように存じます。

○仙谷委員 後の質問者からも出るかと思いますけれども、この関係で一つ聞いておきたいと思うことは、これがもし成立して地価税が導入されたということになりますと、来年の十一月には申告納税が終了するということになるわけですね。そうしますと、その結果としてのいろいろなデータというのを多分国税当局はお持ちになれるのじゃないかと思うのですね。そのときに、例の非課税範囲あるいは基礎控除の問題で、三万円じゃなくて一万円であったら、あるいは二万円であったら課税されておったであろう課税対象額がどうなるのかとか、どのぐらいあったのか、つまり、単価を三万円にしたことによって、三万円掛ける面積無制限というこの基礎控除の部分が、これによってどのぐらい、節税とは言いませんけれども、それこそ税の対象から漏れていったのかというふうなことが来年になりますればわかるわけですね。当然のことでありますけれども、そういう資料は国会にといいますか、大蔵委員会に報告をされるということになろうかと思うのですが、それはそのとおりで間違いございませんか。

○尾崎政府委員 御指摘のとおり、この地価税が成立いたしまして実施の段階になりますと、課税上の資料がいろいろ手に入ってまいります。課税上の資料をいろいろ分析をいたしまして──法人税とか所得税等につきましてもかなりの部分公表されているわけでございますが、今御意見を拝聴しておりまして、お求めになっておられます資料は、実は課税から外れている部分のように伺いました。そういたしますと、課税資料からは出てこないことになろうかと思います。課税資料から得られる限りのデータにつきましては、私どもいろいろ分析をしてみたいと思います。どういうふうになりますのか、まだ具体的な実施の段階になっておりませんのでわかりませんが、御趣旨を体しまして検討してまいりたいと考えております。ただ、課税上あらわれてこないものにつきまして

は、全然別途に調査するしか方法がないように思います。

○仙谷委員 例の名寄せとの関係で、要するに日本全国の土地が名寄せされて集まる。それは当然のことながら、国税当局としては、果たして三万円を超えているのか超えていないのかということで、金額が入ったそういう名寄せになるのじゃないかというふうに私は想像しているのですね。そうだといたしますと、それを見ればというよりも、税務申告をしてきた人に対して当然のことながら精査するといいますか、調べてみるということにはなるはずでありますから、何々会社は面積がこれだけあるうちこの分が課税の範囲から漏れておるのだ、これが例えば二万円の課税最低限、基礎控除の額が二万円ということであれば、幾ら課税されなかったことになるのかというのは当然出てくると思うのですね。つまり、そういう非課税範囲の問題、基礎控除の問題、この辺が附則八条との関係において政府が見直す、あるいは国会でそれを審議するという場合に資料としてなければ、そういうものが見直す材料にならない、そういうふうに思いまして申し上げたわけでございます。

 余り時間がなくなりましたので、自治省の方に一点だけ固定資産税についてお伺いをいたしておきます。

 自治省は、ことし固定資産税評価額の評価がえをされたということをお伺いしておるわけでございますけれども、一説によりますと、評価水準について地域間の格差を是正するため、地価公示価格の一定割合を目標にして評価の均衡化、適正化を行う、そういう方針をとっていらっしゃるということでございます。これは自民党税調の税制大綱ですか、それにもそのように書かれておるようであります。

 当初は、おおむね公示価格の七割程度を考えておるんだというふうなことも報道されたり、言われたりしておりますが、この一定割合というのはどういうことをお考えになっておるのか。あるいは年次別に、当面はこのぐらい、三年後にまたこのぐらい、何年かかかって公示価格の何%というふうにお考えになっているのかどうなのか、その点をお伺いしておきたい。

○堤説明員 お答えを申し上げます。

 固定資産税における今後の評価につきましては、先般閣議決定されました総合土地政策推進要綱におきましても、「平成六年度以降の評価替えにおいて、土地基本法第十六条の規定の趣旨を踏まえ、相続税評価との均衡にも配慮しつつ、速やかに、地価公示価格の一定割合を目標に、その均衡化・適正化を推進する。」こととされているわけでございます。

 その一定割合につきましては、公示価格そのものの中に将来におけるある程度の期待価格が含まれていることとか、地価が相対的に安定しておりました昭和五十年代のころには、固定資産税の土地の評価額がおおむね地価公示価格の七割であったことなどを踏まえまして、例えば地価公示価格の七割程度の水準とすることも考えられるわけでございますけれども、具体的な数値につきましては、なお検討を行う必要があると考えております。

 いずれにいたしましても、昨年十二月の政府税制調査会の答申におきましても、また先ほど申し上げました総合士地政策推進要綱におきましても、平成六年度以降の評価がえにおいて、速やかに評価の均衡化、適正化を図れというふうに言われておりますので、私どもこれを踏まえまして、速やかにそういった措置をとっていきたいというふうに考えております。

○仙谷委員 この固定資産税の評価については、いろいろな角度からいろいろな考え方があると思します。ただ、公示価格の七割ということが原則になりますと、ある意味では土地そのものが、要するに利用度の違う土地というのが現に存在するわけですから、それを一律に公示価格を前提に七割ということになると、まさに追い出し税になるというふうなこともあり得るでしょうし、そしてまた今度は住民税で減税するんだということになっても、住民税減税の恩典が当たらない人が高額土地のところに住んでおる、あるいはその土地を使っておるというようなこともあるでしょうし、あるいは今度は財源的に見ますと、東京都は非常に税収は上がるけれども、四国の各県とか九州の各県ではほとんど税収はふえないで、どうにもならぬというふうなことも起こってくることがあると思うのですね。

 だから固定資産税の評価については、今おっしゃったような方法で評価をやるときには、必ず利用の仕方等々、あるいは小規模かそうでないか、今もその種の負担の調整措置があるようでございますけれども、それから財源問題もぜひ考慮に入れて評価がえということをやっていただきたいというふうに思います。

 そのことを申し上げて、質問を終わります。