1991年03月13日 大蔵委員会

○平沼委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仙谷由人君。

○仙谷委員 租税特別措置法の問題に入る前に、一問だけ経済見通しと雇用者所得の関係についてお伺いいたしたいわけでございます。

 これは多分経済企画庁がお出しになった九一年度の政府経済見通しの指標ということでございますが、GNPが名目で五・五%、それから実質で三・八%の成長を見込んでおる、こういうことでございました。消費支出が実質で四・一%、それから民間住宅の伸びが実質でマイナス二・七、それから民間の企業設備投資、これが実質で六・八、名目では七・九ということになっておるわけであります。

 ここ一カ月くらいの新聞の経済面をずっと拝見しておりますと、民間の設備投資というものが落ち込んでおる。どうも前年比あるいは十一月の水準等に比べても容易に回復しないということが統計上出ておるようでございます。一方、個人消費は堅調を続けておって、特に湾岸戦争終了ということで、これはほぼ間違いなく伸びるであろう、こんなことが書かれておるようでございます。どうしても九一年度の経済というものは、個人消費に引っ張らせるといいますか、そこのところに相当重点を置いていかないと、この三・八%のGNP成長というのは達成できないのではないかというふうに素人ながら考えるわけでございますが、その点いかがでございましょうか。

○橋本国務大臣 別に仙谷委員の見通しに対して異論を唱えるつもりはありません。ただ、私は簡単に申し上げて、政府経済見通しで想定しております実質経済成長三・八%程度というものは、十分達成可能だと考えております。同時に、今委員がお述べになりましたように、個人消費が堅調であることはそのとおりでありますが、企業における設備投資にいたしましても、確かに日本経済の最盛期とでもいいましょうか、ここしばらくの非常に強い、むしろ多少過熱ぎみの投資と言いたい状況から見ると、スローダウンしていることは事実でありますけれども、なお非常に強い足取りであるということには変わりはございません。

 殊に、湾岸危機というものが比較的早期に終結をし、先行きへの不透明感というものが解消されることが期待されているという状況の中で、今後におきましても日本経済としてはなお内需を中心とした自律的拡大を十分に続け得る、そして、その牽引車という言い方は必ずしも適当ではないかもしれませんが、個人消費とともに設備投資もその役割を十分に担ってもらえるもの、私はそう考えております。

○仙谷委員 そこでお伺いをしたいわけでございますが、余り深くお考えにならないで、純経済的にお答えをいただければいいというふうに考えておるのです。

 一方では、きょうの日経新聞を読みましても、通産大臣が金利引き下げを、設備投資の関係なのか運転資金の関係なのかわかりませんけれども、

どうも金利引き下げをしてほしいようなことを言ったということが報道されておりました。一方では、人手不足でどうしても賃金といいますか、こういうのが上がらざるを得ないという市場の原理というのもあるのかもわかりません。そういう前提を踏まえて、ことしの経済成長率を達成するといいますか、バランスよく達成するというために雇用者所得の増加率はどのぐらいが望ましいのか。これはいろいろ労使の問題はございますけれども、そういうことを抜きにして、純経済的にお答えをいただきたいと考えます。

○濱本政府委員 お答えを申し上げます。

 政府経済見通し三・八%を達成いたしますために、先ほどからお話が出ておりますように、個人消費の堅調な伸びを期待するところでございますが、そのためには雇用者所得の伸び、それから物価の安定が欠かせないと考えております。

 雇用者所得の伸びとしまして、平成三年度の政府経済見通しにおいてどの程度のものを見込んでおるかということでございますけれども、六・五%程度の伸びを見込み、これを前提に三・八%の成長率を算定しておるわけでございます。

 

○仙谷委員 それでは、租特関連ということで大蔵省の御意見を伺っていきたいわけでございます。

 まず、基本認識といたしまして、やはり今ほど日本の国際的な地位あるいは役割が問われ、あるいは、私は貢献という言葉は余り好きじゃないですけれども、国際貢献というふうなことが言われておるときはかつてないのではないか、そういうふうには認識をしておるわけでございます。

 そこで、日本の国として、日本の力総体として国際的に役割を果たすということは当然のことながら重要だと思うわけでございますが、その中で実は前回といいますか、昨年のこの委員会で私が橋本大蔵大臣にした質問に対する答えといたしまして、私は余りそこまで深読みをして聞かなかったわけでございますが、ボランティアというものが外国には随分ある、私どもから見ると大変うらやましいことである、宗教上あるいは地区の住民の結合意識といいますか、そういうものがあるのだというふうな御発言をいただいておるわけでございます。

 それで、今度のこの湾岸危機に際しましても、一方では、やはりボランティアといってもこれはなかなか集まらないとか、直ちに役に立たないとか、こういう議論もございました。日本のボランティア組織というものが未成熟であるといいますか、ヨーロッパ諸外国等々に比べますとそれほど強力で、かつ世界的に評価され得るようなボランティア組織がないこともまた事実だろうというふうに私は思います。

 しかし、一方では、そういうボランティア組織を育てる社会的、経済的、政治的環境がほとんどないから、そうなっておるのではないかというふうにも考えるわけでございます。したがいまして、このボランティア組織の問題というのは、我々が小さいころから受ける教育の問題であったり、大蔵大臣がおっしゃるように宗教の問題であったり、そういう要素も十二分にあると思いますけれども、社会的なシステムとして、そういうボランティア組織が自立して活動するという環境にないのではないかというふうに考えておるわけでございます。その点大蔵大臣はどのようにお考えなのか、御意見を承りたいと思います。

○橋本国務大臣 たまたま、私事にわたって恐縮でありますけれども、私の母親が病気で倒れますまで、相当長期間にわたりまして国連のユニセフの日本の受け皿に当たります日本ユニセフ協会の専務理事をずっと続けておりました。そして、その関係で私もその仕事を手伝ってまいりまして、継続的に募金活動を続けるということに対して、日本の場合に非常に成熟度が少ないということを実は実感をいたしております。

 そして、私自身の体験の中から二つの例を申し上げますと、一つは、中国残留孤児の方々の日本訪問が実現をいたしまして、その第一回には非常にたくさんの方々からの善意が寄せられました。ところが、二回目になりますとそれが相当額減少いたしまして、三回目になりますと激減という言葉が当たる状態になりました。そして、それまでに寄せられました善意というものをベースにして、第一回にいただいた方々から後の方々に差が出ないような措置をしようという仕組みをつくりますとき、継続しての民間からの善意というものが非常に集まらないという実態がございました。これはお調べいただきますと、第一回の残留孤児の方々の日本訪問から、回数を追うごとにマスコミの扱いも小さくなりますし、世間の関心も減少していくありさまが如実に出ております。

 また、北海道あるいは新潟等、ソ連からのやけどのお子さんを受け入れた例が三例最近あったわけでありますが、第一例の場合に寄せられました募金というものは極めて巨額のものに上り、これは今善意の基金として発足することが可能な状態になりました。しかし、二回目にはやはり民間からの善意というものは激減をし、三回目に至ってはほとんどなかったという報道がされております。

 私は、どうも日本の場合に、こうした民間の善意というものを形づくっていく上で、社会そのものがまだ未成熟な部分があるという感じがいたします。そうなりますと、私はボーイスカウトでもありますし、むしろそのボランティアというものについて、例えば税制上の特典も与えられればといった気持ちが一方にはありますけれども、同時に、ボランティアという組織をどう把握し、その団体に寄せられる善意の募金というものが目的どおりに使われるかということについてのチェックの機能が非常に難しい中において、一概にボランティアというものの特別な扱いが可能であろうかとなりますと、現実には非常に問題があるという気がしてなりません。

 現在、任意団体でありますボランティア団体に対しましても、例えば共同募金会を通ずる指定寄附金の対象であるボランティア基金などを通じ助成の道は開かれており、税制上の配慮もなされておるわけであります。現状においてはこうした仕組みを活用していき、本当に善意であり、永続性のあるものについては育成の道を講じながら、やはり社会が習熟するそれだけの時間は必要なのではなかろうか、私は率直に自分の体験を通じてそのような感じを持っております。

○仙谷委員 これからお伺いしようと思っていることを大分先回りしてお答えいただいたのですが、ちょっと話題を切りかえまして、ODAの予算の中からNGOに対する補助が現在行われておるというふうに聞いております。この点につきまして外務省の方から、今の実態がどうなのか、それをお聞かせいただきたいと存じます。

○林(梓)説明員 お答えいたします。

 NGOにつきましては、開発協力を行う幾つかの財団法人につきまして、外務省としては従来より補助をしてまいりましたけれども、先生御指摘のようなNGO活動の重要性、それをまた育てていくことについて国民の参加といいますか、いろいろなことから非常に望ましいということで、平成元年度から任意の団体に対する補助金を開始しておりまして、平成元年度が一億一千万円、二年度は倍増いたしまして二億二千万円、平成三年度の予算では二億八千万円を計上させていただいております。

○仙谷委員 そこでお伺いをするわけですが、いわゆる海外援助事業を行う主な任意団体に補助金が、私が聞きましたら、平均といいますか、一事業五百万円ぐらいを限度として補助金が交付されておるというふうにお伺いをしておるわけでございます。これはあくまでもどういう活動をするのか、どういう事業をするのかということが補助の対象になっておって、ボランティア団体の運営費といいますか事務費といいますか、所要経費は補助の対象なってない、こういうお話を聞いたわけでございますが、そのことについての確認と、それと、税金が要するにボランティア団体に出ていっておるわけですから、先ほど大蔵大臣がおっしゃったチェックの体制がどうとられておるの

か、どういうシステムで、でたらめに使われないということを防止しながら今実務が行われておるのか、この辺をお聞かせいただきたいと思います。

○林(梓)説明員 NGOに対する補助金の交付実績につきましては、予算が決まりますと、それらの関係のあるNGOに対しまして政府の官報を通じて通報いたします。それで早速募集の受け付けをするわけでございますけれども、その事業で、スラムの事業であるとか、託児所であるとか、僻地の巡回であるとか、農村の復興であるとか、小規模のかんがいであるとか、非常にいい仕事をしております。そういう仕事を我々はNGOに、私どものところにセンターをつくっておりまして、そこに係官を置きまして、持ってこられる事業について検討いたします。それで、通常の無償資金協力とか技術協力を担当する課もございますので、そこらの意見も徴しながら、事業がしっかりしたものであるか、いいものであるかということを検討いたします。

 そういうことで金額を決めるわけでございますけれども、御指摘ありましたように、NGOというのは、本来NGOが自分の力でお金を集めて国民とともにやるべきということで、政府が補助をするというときにもその自主性を害さない??どこまでその補助をするべきかということについて我々もまだちゅうちょがございます。そういうことで、NGOがしっかりしたNGOの事業であるということを証明するためにも、そういう事務費とか経費とか日常の人件費とか、そういうものはNGOの方で今の段階では工面してくださいという仕分けをしているわけでございます。

 

○仙谷委員 要するに、外務省から補助金を出しておるいわゆる海外援助事業をしておるNGOと言われる中に、財団法人の資格を取っておるものもあれば社団法人もある、あるいは全く法人格のない任意団体もある、こういうことだと思うのです。いずれも外務省の方から、ODA予算のうちから今年度は二億八千万、これを補助金として出しておる、そんなことだろうと思うわけでございますが、それをお伺いしますと、どうも事業自身あるいは団体自身、それほど他目的への流用とか横領とか、でたらめなことが起こっておる、そんな懸念はほとんどなくて、事業自身発展途上国から喜ばれるような事業が現在も行われておって、有効にその補助金が生かされていると私は感じるわけであります。

 もしそうだといたしますと、先ほど大臣は、目的どおりに使われるかどうかのチェックが非常に難しいんだということをおっしゃったわけでございますが、税制上もある登録をさせる、そこで一定程度のチェックをする、会計検査人の会計報告を受ける、それでボランティア団体としての活動実績がどのぐらいあるか、例えばそういうことを要件にしながら、ボランティア団体に対する寄附金の控除というものが寄附金控除の中に入ってきてしかるべきではないか、今まさにそういう時代に入ってきたのではないか、そんなふうに考えておるわけであります。大蔵大臣、どのようにお考えになるのか、御所見をいただきたいと思います。

○橋本国務大臣 今外務省の方から御答弁がありましたけれども、私は、外務省としてチェックしておられる。それは当然のことながら恐らく適正に行われており、その認定を受けられた団体というものについて問題が生じているとは思いません。

 ただ、今はしなくも委員のお口にも出ましたように、法人格を持っているか持っていないか、これは私は一つの大きな問題点であろうと思います。言いかえれば、仮に税制上の特例措置を適用するという考え方をとります場合には、公益性を担保するという観点から、その寄附をお受けいただく側の運営、組織、経理というものがきちんと行われている、それから相当と認められた業績がある程度きちんと持続されるということ、さらに受け入れた寄附金が役員等の特別の利益に結びつかない、こうしたようなことは当然のことながら必要でありまして、公益法人であるということは今も実は認定の一つの対象、基本的なルールであります。

 問題は、そういうチェックのできない任意団体でありまして、任意団体について果たしてその寄附金に直接税制上の措置をなし得るかといいますと、私はこれには相当な問題があろうと思います。それだけに、今委員が御指摘になりましたような法人格を持つケースというものと全く任 意のグループというものについては、やはり制度の上から考え方を整理しておく必要があるのではないだろうか、私はそう思います。

○仙谷委員 今大蔵大臣がおっしゃられた点を踏まえるにしても、どうもボランティア活動、あるいは海外援助活動の中でのボランティアグループの持っておる機動性、あるいは小規模での先見性というふうなものは相当重視をしなければいけないのではないか、あるいは草の根レベルでの交流というふうなものが重視されなければならないのじゃないか。

 そしてもう一つは、私、ボランティアをつくづく考えますのに、善意と奉仕と犠牲だけに寄りかかっているボランティアというのは、これまたもたないのではないか。せんだって私がイラクへ行きましたときに、フランスからボランティアグループが入ってきて、人質を連れてさっさと帰ったという事例がございました。よく聞いてみますと、彼らは職業的ボランティア、こう称しておるわけでございます。職業的ボランティアというのは、金もうけをするためにボランティアをやっているのではなくて、ボランティアをやっていることに何らかの手当が出る、こういうシステムがあって、そのためにフランスあたりですと国から相当多額の補助金が出ておるというふうにも聞いておりますし、税制上の優遇措置も受ける仕組みになっておるやに聞くわけであります。

 先ほど外務省の方もおっしゃいましたけれども、補助金の問題はボランティアグループの自立性の問題と関係するので、余り補助金が多くなると管理監督が厳しくなるということで、また動きにくいとか、政治の介入とかいう問題が出てくると思います。

 そこで、どうしてもそういういろいろな条件を勘案しますと、この際ボランティア団体、特に海外におけるいろいろな援助活動を行っておる団体についての寄附金控除を本格的に検討をお始めいただきたいと思います。せんだって日笠委員の質問の中にも、その趣旨の議論があったというふうに私は記憶しております。いかがでしょうか。

○橋本国務大臣 私は、委員の御主張、全く理解できないわけではありません。しかし、例えば御承知のように企業に寄附の枠が与えられておりますが、現実にはそれが相当程度使い残されているというのが実態であるように、こうした行為に非常に未成熟な日本、私は率直に申し上げて未成熟という言葉が当たると思います。そうした中で、ボランティアグループという善意の名前でありましても、その内容にきちんと責任の負えるものでなければ、私は税制上の優遇措置を与えることには国民の合意はなかなか得られないと思います。

 その場合に、法人格を持つもの持たざるもの、それぞれの立場はありましょう。そして、先ほど申し上げましたように、任意の法人格を持たないグループでありましても税法上の道は開かれておるわけでありますし、さらにきちんと認められる活動をしておられ、それが永続性のあるものとして認定された場合には、きちんと税制上の優遇措置が受けられる道も開かれておるわけでありまして、私は、現行制度すら、例えば現実に企業の一般的な寄附の枠が使い残されておるような状態というものについて、まずお互いが考えていくことの方が必要ではなかろうか。

 言いかえれば、仕組み以前の問題として、それが地域に対してであれ、あるいは地域社会であれ、国際社会であれ、お互いこれは企業も個人も含めまして、要するに、善意の拠出というものが通常の姿として受け入れられる社会的な空気をつくることの方がより先決ではないでしょうか。その辺が未成熟なままで任意のボランティア団体にまで税制上の優遇措置を広げるということについて

は、私は少々首をひねっております。

○仙谷委員 大蔵大臣のお考えと百八十度違うわけではないわけでございます。寄附金の問題についても資料をちょうだいいたしまして、おっしゃるとおりだと思うのです。ただ、これを見ますと、やはり一般の寄附金というのが圧倒的に多い。つまり、指定寄附金あるいは特定公益増進法人に対する寄附金よりも一般の寄附金が多い。一般の寄附金も、まだ半分ぐらい限度枠の中で使い切っていないということも確かです。一般の寄附金も、私などは企業から献金を受けていませんので大きい声で言えるわけでございますが、どうも政治献金の比率が多いのじゃないかという感じもいたします。

 そうなってきますと、先ほどおっしゃった話の中で、どうも企業は政治資金だけは出すけれども、おっしゃるように善意、奉仕、福祉という方にはほとんど出していない。この辺がいびつな精神社会構造だというふうに言っていいかと思うのですが、ひとつその辺も、政府の方からの啓蒙活動がふさわしいのかどうかわかりませんけれども、私ども自身も現在の社会構造について全く思いをいたさないこともございませんので、今後ともそういう寄附金が有効に使われるように、ボランティア団体に対する寄附も重要なんだということを政府の方からひとつ宣伝といいますか、広告をしていただきたいということをお願いしておきます。

 話がちょっと横にそれるわけですが、先ほど外務省のお話の中で小規模無償資金協力という話が出たと思います。予算額あるいは現在の人員でどの程度の業務量を処理されておるのか、説明をいただきたいと思うのです。

 

○林(梓)説明員 小規模無償協力は三億で、平成三年度の予算では五億円をお願いしております。

 これを始めまして途上国から大変評判がようございまして、実は我々の予算をはるかに上回る、件数でもはるかにそれを上回る要望が寄せられております。また、現地の新聞の報道ぶり等も非常に高い。したがいまして、援助の広報効果という点から見ますと、効果が非常に高いということがあります。ただ、援助は五百万から一千万と非常に規模が小そうございます。それだけにまた緊急の事態に人道的にそういうものに合わせて迅速に処理しております。

 そういうことで評価を受けているわけでございますけれども、実際に現在のシステムでは、一つの案件に大きな案件と同じぐらい事務的にもいろいろ時間がかかっております。時間がかかっておるというか、労力がかかっております。そういうことで、通常の無償協力、技術協力、円借款を担当している担当官が今現地でやっております。しかし、非常に評判がいいために、相当無理をさせてそれを実施させているという状況にございます。

○仙谷委員 この小規模無償資金協力というのは、要するに発展途上国現地のNGOに資金協力する、現地のNGOの活動に資金で協力する、こういうことですね。

○林(梓)説明員 相手は現地のNGOも入りますし、地方の公共団体も入りますし、例えば学校である場合もございます。

○仙谷委員 非常に評判がいいということなんですが、これは例えば平成三年度の予算が五億円というふうに今予算案で審議されておるということですが、概算でざっと見積もればどのぐらいの需要があるか。つまり、発展途上国からの要求をどんどんこなして処理していくとすればどのぐらいの需要があるかということなんですが、いかがでございますか。

○林(梓)説明員 要望は非常に多うございまして、我々に接しておりますのをざっと計算いたしますと、八百件、三十数億円の要望が出ております。

○仙谷委員 時間の関係もございますので大蔵大臣の方にも要望を申し上げたいと思うのでございますが、非常に件数も多くて、ただ、外務省としては、それをこなす業務体制の人員がまだまだ不足しておるということのようでございます。これは発展途上国から非常に喜ばれておる。日本のNGOが入っていっている分も大方の評価を受けておるようでございますけれども、この小規模無償資金協力というのも大変な評価を受けておるということでございますので、来年度予算の査定等々に当たりましてはぜひ力を入れて、この分についての予算措置なり人員補充の措置をおとりいただきたいと思います。

 続きまして、少々環境問題について大臣にもお伺いをしておきたいわけでございます。昨年の特に日本の林業の回復といいますか、こういうことに大蔵大臣非常に力を入れていただいたということを私も仄聞もしておりますし、環境問題に大変御関心といいますか、あるいはこれについて重要視されておるというふうに伺っておるわけであります。

 一方で、来年にはブラジルで地球サミット、環境開発の国連会議でございますか、これが開かれる。ことしの一月三十一日にはOECDの環境大臣会議というのが開かれたという新聞報道もございます。この辺で、いわゆる環境に対する負荷を経済システムの中へ取り込むんだというふうな、大ざっぱに言えばそういう話が出ておるやに伺うわけでございますが、一般論として、大蔵大臣、それから環境庁から来ていらっしゃる方もどのようにお考えなのか、まずお伺いをしておきたいと思います。

○柳下説明員 お答え申し上げます。

 先日、一月末にOECDの環境委員会閣僚会合がございました。この会合におきましては、議論の総括としてコミュニケを発表いたしました。その中で九〇年代の環境戦略の方向づけが打ち出されたわけでございます。その中で特に大きな項目といたしましては、経済政策と環境政策の統合を図る。特に経済的な手段の活用を進めることの必要性、新しい環境指標の開発、その普及に努めること。OECD諸国内における環境政策の改善を進める。新たにOECDにより加盟国の環境政策の実施状況の審査を開始する。東欧等の開発途上国に対する環境援助の強化を図る。地球的規模の環境問題に積極的に取り組む等々の方向づけがコミュニケの中でうたわれてございます。

○橋本国務大臣 今、現状につきまして環境庁の方から御説明がありましたけれども、実は私は、このごろ環境問題についての御論議を聞いておりますと、本当に世の中が変わったなと、非常に年寄りのような感じがしてなりません。

 昭和四十五年の秋、いわゆる公害国会として名の残っております国会がございまして、そのころちょうど厚生省の政務次官をしておりまして、当時の公害特別委員会を受け持っておりましたために、ちょうど日本の環境問題の一番悪かった時期、当時としては唯一被害者サイドに立つ役所の責任者として国会の御論議に参画をいたしておりました。

 そして環境庁が生まれ、さまざまな対策が次々に練られてまいります中で、当時の公害特別委員会、現在の環境委員会の母体でありますが、その当時の公害特別委員会におりました者は、党派を超えて結束しながら、それぞれの党内において他の委員会の方々とぶつかり合っていたという記憶を私はどうしても忘れることができません。例えば御党において島本虎三先生とかあるいは公明党の岡本富夫先生とか、そのころの仲間の顔が今でも浮かびます。

 そして、その当時公害特別委員会に集まっておりましたメンバーが一番一生懸命になり、結果的に全く受け入ていただけなかった問題に公健法、公害健康被害補償制度の問題がありました。そしてその当時、何といいましてもやはり大気汚染が非常に深刻でありましたこともあり、原燃料賦課という考え方、これは公害特に集まっておりましたメンバーは皆一斉に各党の中で提起をしたわけであります。しかし、全くこれが受け入れられずに終わってしまった大変苦い記憶を持っております。

 今日、例えばオランダにおいて、昨年の二月から各種の燃料に対してそれぞれのCO2排出量に

応じた課税が行われている。あるいはスウェーデンで同様の税制が本年一月から導入されている。こうした状況を考えてみますと、当時の公害特別委員会に集まったメンバーの論議というものは、いわば非常に時代を先取りしていた議論であった、改めてそんな感じがしてなりません。

 そうした中において、環境対策に対する税制上の措置として、我が国においてはエネルギー環境変化対応投資促進税制、あるいは公害防止用の設備の特別償却、あるいは特定の公害防止施設等に対する固定資産税の軽減などの措置を既に講じてまいりました。

 今後一体どういう対応を考えていくべきなのか、これは地球環境問題という大きな問題全体の中から考えていくべきことでありますけれども、我々としては、これまでも大蔵省として適宜各国の動き等の調査はしてまいりましたが、国際的な動向にも目を光らせながら、よりよい姿をつくり出す努力をしていかなければならない、そのように考えております。

○仙谷委員 大蔵大臣のお答えをいただきましたので、多少その観点から質問を続けさせていただきたいと思います。

 ある試算によりますと、産業革命の前と二〇七〇年という年代をとって推計をいたしますと、CO2が二倍になるというふうに言われております。それから、そのときには海水面の高さが平均四十五センチぐらい上昇するのではないかということも言われておるわけでございます。その海水面の上昇によって被害を受ける人口は世界で五億人ぐらいになるのではないか、そんなことも言われておるわけであります。原因は、もちろん化石燃料の使用と一方では大量の森林破壊であることは、先進国間ではほぼ合意がされておるわけであります。

 さあどうするかというのがこれからの問題で、大臣がおっしゃったように、痛みがどこまであるのかという半分やゆ的な批判もオランダのこの環境税制、CO2の排出税についてはあるやにも伺うのですが、オランダ、スウェーデン、それからフィンランドもでしょうか、このCO2税を導入したというふうなことも伺うわけであります。

 ことしの一月八日の読売新聞でございましたか、大蔵省が環境税の導入の検討を始めたという記事も出ておりました。その辺、あしたからとか来年からというわけになかなかこの問題はまいらないとも思いますけれども、この地球環境問題というのも、考えてみれば焦眉の課題であるのかもわかりません。環境税的な、何を環境税と呼ぶか、これは大問題なのでしょうが、要するに化石燃料を使うことに対する賦課をして、そこから上がってくる収入を例えば森林資源の確保に使う、あるいは省エネルギー的な技術開発や代替エネルギー資源の開発等々にそれらの資金を持っていくのだ、こんな考え方が割と強くなってきておるようでございますけれども、その点についての大蔵大臣の御所見をいただきたいと思います。

○尾崎政府委員 先ほど大臣から御指摘がございましたように、従来我が国におきます環境対策に対する税制上の措置と申しますのは、例えば特別償却のようなもので公害防止施設の設置についてインセンティブを与えるというようなものでございました。しかしながら、最近におきまして、より大きな地球的な規模で、今まさに委員御指摘のようなお話が税金の場での議論でも高まってきております。

 私が直接みずから体験した例といたしましては、昨年の六月にOECDの租税委員会に参りましたときに、実はそのときの討議の内容は、主として東欧諸国の市場経済化に伴って、税制上どのようなことを考えていったらいいのかということがメーンテーマであったわけでございますが、主としてヨーロッパの小国を中心といたしまして、この環境税の問題をアジェンダに加えるべきだという議論がなされました。結局それはその後入ったわけでございます。

 その場では東欧諸国との関係、つまり、東欧諸国で公害の問題がかなり甚しいということもございますし、御指摘のとおり、オランダとかスウェーデンとか、実際にCO2課税をやっているあるいはそのときやろうとしていたところがございますので、そういう点が重なったのだと思いますが、しかし、その場における熱のある議論というのは非常に印象的でございました。かねがね環境問題、大臣非常に御熱心でございまして、私どももいろいろ示唆を受けていたわけでございますが、なるほど世界的な規模でそういうことになっているのかなというようなことで驚いたことを覚えております。

 その後、OECDの場におきましては、環境委員会だけではなくて、租税委員会の方もこの問題を検討していくということになっておりまして、今後の検討の方針を決めたという状況に現在なっております。事は何しろCO2といったような世界的、地球的規模のことでございますので、この種の問題につきましては、やはり少なくとも主要国が足並みをそろえて同じことをやるというのが大切なことではないかと存じますので、私ども、今この問題につきましては大いに関心を寄せまして、フォローしていきたいというように考えているところでございます。

○橋本国務大臣 環境税というものを考えます場合に、私は果たしてCO2を中心とした対比、言いかえれば化石燃料をベースとして考えるものだけでよいのかどうか、なかなか自分で考えが整理ができないでおります。

 と申しますのは、確かに今主税局長からも御報告申しましたように、ヨーロッパのいわば大陸国の中の議論として、ややもすると水が抜けます。ところが、我々の立場からいたしますと、四囲を海に囲まれている国であり、しかも、国内における上水水源が既に枯渇しつつある国であります。水というものをどうしても環境として考える場合には一つの柱として立てざるを得ません。となりますと、化石燃料をベースに環境税というものを組み立てた場合、水というものが落ちてしまう。果たして水というものをどう位置づけたらいいのか。これは国内における水質の問題と同時に、海洋汚染という問題を考えなければならないということであります。

 こうした点について私どもは目下海外の動向等を調査し、あわせて国際会議等におきまして、今局長からも申しましたように、先進国として足並みをそろえていかなければならない性質のものとして、常に今後も注意を怠らずにまいりたいと考えておりますが、その場合、ほとんど今まで余り議論をされていない一つの税からのポイントとして、水というものをどう位置づけるか、これに対してどんな対応がなし得るのか、これは今後検討すべき課題である、私はそのように考えております。

○仙谷委員 社会党の議員で余り税を取る話をすると、後でどういうハレーションが起こるかわからないのでございますけれども、いずれにしましても、これは世代間の問題といいますか、後世代にどういう環境のつけを残すかというふうな問題とか、南北問題が絡んだ問題でありますだけに、大蔵省の方にも鋭意研究、検討していただくと同時に、大蔵委員会なり環境委員会で議論が深化するようにひとつよろしくその辺をお願いしておきたいと思います。

 租税特別措置法についてお伺いしないといけませんので、まず、先ほど尾崎局長からのお話で出ました租税特別措置法の十一条関連を簡単にお伺いをしておきたいと思います。

 まず、通産省の方にお伺いしたいわけでございますが、今度通産省からは再生資源の利用の促進に関する法律が提案されて、既に衆議院では可決、成立をしたということでございます。これを拝見いたしますと、事業者の責務、いわば事業者が副産物であるとかあるいは製品について再生資源として使用し得るようなシステムを、どこまで拘束力があるかは別にして、持つべきだという考え方が前提に入っているようであります。そうなりますと、企業といいますか事業者は、それなりの設備施設を設置しなければいけないといいますか、

設備投資しなければいけない、こういうことに理の当然としてなってくると思います。この法案が国会を通って、来年の話になるのかもわかりませんが、この辺について予算措置といいますか、助成措置あるいは税制上の措置というものを通産省としてはどういうお考えでいるのか、その辺をお伺いしたいと思います。

○湯本説明員 お答えいたします。

 通産省としましては、従来から再資源化を促進するため各般の施策を講じたところでございますが、昨年末に産業構造審議会からいただきました答申にも示されたように、再資源化を一層強力に推進していくことが緊急の課題となっているものと認識しております。

 今般国会に提出しました再生資源の利用の促進に関する法律は、かかる観点から、再資源化を一層推進していくために、事業者の再生資源の利用の促進の努力を最大限に引き出すため、政令で指定する業種及び製品について事業を所管する主務大臣が事業者の判断基準等を定め、それに基づき指導助言を行い、必要な場合には勧告等の措置をとることを主要な内容とするものでございます。

 本法におきましては、具体的に税制等の措置を明記しているわけではございませんが、同様の趣旨から、別途来年度税制改正におきまして、古紙脱墨設備等の廃棄物再生処理設備の特別償却制度の拡充等を図ることとしているところでございます。私どもとしましては、今後とも必要に応じまして、こういった税制の拡充あるいは予算の拡充等について十分勉強を重ねてまいりたいと思っております。

○仙谷委員 先ほど大蔵大臣から、まさに公害問題といいますか、環境問題がさま変わりしたと実感されておるというふうにお話もございました。私もこの年末あるいは新年にかけての新聞報道を見ますと、日本は本当に経済優先、企業優先の社会から環境優先の社会に変わるのかな、そんな感じすら持ったわけでございます。

 そして各省庁も、環境庁の方は循環型社会システム検討会の報告書をお出しになって、これからは環境保全のための循環型社会システムをつくろう。厚生省は廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案をお出しになる。もちろん生活環境審議会の報告書というのも出たわけでございます。通産省からは、今御説明いただきました再生資源の利用の促進に関する法律、まさにリサイクル、環境保全という観点から政治がそちらの方向に向くのかな、向けなければいけないというふうに私も感じたわけでございます。また一方では、静脈産業というふうな、要するにリサイクルを静脈に見立てて、それを産業化しなければいけないのだという議論も相当強くなってきておるようでございます。

 ところが、この租税特別措置法の一部改正案を拝見いたしますと、どうもこの十一条の別表の一号あるいは三号の規定の償却率が、三号については現状維持で百分の十四、それから公害防止施設等については百分の二十から百分の十九というふうに、いわば償却率が落ちてきた。この程度のことは企業会計上大したことないのだといえば大したことないのかもわかりませんが、もともとの出だしからいきますと三分の一から出ておる。三分の一の償却率から開始しておるというふうにお伺いいたしますので、そうだとすると、何か政治の方向性といいますか、さあこれから環境問題を中心にやろうということならば、この種の租特の整理合理化ということで少々ポイントを落とすというのはやや問題があるのではないか。むしろこういうときには新たに償却率を上げるくらいのことが考えられてもいいのじゃないか、こういうふうに私は考えるのですが、大蔵省の方はいかがでございましょうか。

○橋本国務大臣 大変申しわけありませんが、これは私の意見と真っ向から逆さの意見であります。と申しますよりも、先ほど過去の例をちょっと申し上げましたけれども、確かに昭和四十年代の前半から後半にかけて日本各地においていわゆる公害問題というものが多発いたしました当時、これは確かに行政にもまた企業にも、環境保全という視点は欠落しておる部分が相当あったと思います。そして、その反省の上に公害国会というものが開かれ、関係十数本の法律が整備され、企業に公害防除というものを義務づける状況の中で、私は、その当時租税特別措置でできるだけの手当てをしてでも、公害防除施設というものの整備を急がせる必要は政策上確かにあったと思うのです。

 しかし、今日私は、企業が地域社会に存立しようとしたときに、環境というものを無視して成立できるかどうか、これは企業の責任として地域の環境を保全する責任はある、それだけの空気は既に国内に醸成されておると思います。そうすれば、今何も全部特別措置を外すという極論をするつもりはございませんけれども、企業が設備投資をする上において、当然のことながら環境保全に対する投資というものはその計画の中に組み入れられてしかるべきもの、私はそう思います。

 となれば、私はむしろ徐々にその租税特別措置の適用というものが縮小していったとしても、企業経営上それは当然設備すべきものとして環境保全のための投資というものが行われるべき、そう考えておりまして、そのためにむしろその償却率を高めるとか、そういった手法をとる時代は既に過ぎたのではなかろうか。むしろそういうことが余り過大になりますことは、かえって企業の地域における環境保全の責任というものを矮小化する結果になるのではないか、そんな感じがいたしております。いかがでしょう。

○仙谷委員 お言葉を返すようでございますけれども、むしろ私は、この静脈産業とか廃棄物処理あるいは再生に係る事業主体というのは、どうも下請事業とか小規模であったりとかというのが現実の実態じゃないか。あるいは大企業がみずからの中に別会社をつくるのかもわかりませんし、そういう部門をつくるのかもわかりませんが、まだまだ税制上のインセンティブを与えないと、なかなかリサイクル的観点の方に事業経営は向いていかないのではないか、こういう認識なのでございます。そういうことでございますので、大臣と基本的に意見が合わないようでございますけれども、今後ともこの問題を私の方から提起させていただきたいと思います。

 土地税制に関する問題を二、三お伺いいたします。

 今度の地価税の導入、そして譲渡益課税を中心とする土地税制改革というものが世評ではむちとむちの税制改革、こういうふうに言われておるわけであります。しかし、土地の地価の高騰あるいはずっとこの間言われております資産としての有利性の縮減あるいは土地投機を抑え込む、こういう観点からは、私は時宜を得た改正でないかと考えるわけでございます。

 その中で、土地供給にインセンティブを与えるといいますか、土地供給を促進するための税制としてというふうに私は想定をいたしておるのですが、優良住宅地の造成のための譲渡に係る軽減税率でありますとか相続税の納税猶予廃止に関する経過措置とか、そういうものがここに取り入れられておると考えるわけでございますが、その点につきまして大蔵省の方からの御説明をいただきたいと思います。

○尾崎政府委員 今回の土地税制改革案におきましては、税負担の公平性の観点、それから土地の資産としての有利性の縮減ということから、一般の土地譲渡益に対しましては一律三〇%の税負担を求めることといたしているわけでございます。従来四千万円までは二〇%、四千万円を超えると二五%ということであったわけですが、三〇%というふうに負担を重くするという措置を講じているわけでございますけれども、その中におきまして、御指摘のとおり優良住宅地等のために土地を譲渡した場合の軽減税率の特例につきましては、従来一律二〇%となっておりましたのを今回一律一五%に引き下げるということにいたしております。これは優良住宅地の供給でございますとか公

共用地の確保でございますとか、今最も望まれている土地の供給を促進する見地に立ちまして、このように優遇措置を一層拡充するということをいたしたわけでございます。

 それから、もう一つお尋ねの相続税につきましての納税猶予、これは三大都市におきます特定市につきましての市街化地域につきまして、納税猶予制度を廃止するということにしたわけでございますけれども、そのための経過措置といたしまして次のようなことを考えております。

 一定の特例の適用者、既にもうその特例を受けている人が改正法の施行日から三年以内に特例農地などを住宅・都市整備公団などの賃貸住宅の建設のために貸し付ける場合、それからもう一つは、特定の一定の目的に即した民間の賃貸住宅をつくる、あるいはそこに土地を供するというような場合、それから都市公園用地として地方公共団体に貸し付ける場合、その場合につきましては、税務署長の承認を条件といたしまして、既に納税猶予を受けております相続人一代に限りまして転用してしまう、農地ではなくなるわけでございますが、転用する特例農地等につきまして引き続き納税猶予の継続を認める、また二十年たちました場合には猶予税額を免除するという措置を講じているわけでございます。

 この経過措置は、特例の適用が廃止される三大都市圏の特定市の市街化区域内農地等を対象といたしまして、住宅政策に資する目的のために講ずることといたしているものでございます。

○仙谷委員 土地供給に有益なということでこういう税制の改正をなさったということはよくわかるのでございますが、大蔵省の大体の見通しとしまして、これは農地、特に市街化区域内農地が住宅地として出てくるだろうという予想はお持ちでございましょうか。

○尾崎政府委員 それを期待して今回の措置を講じたわけでございます。

 

○仙谷委員 事業用資産の買いかえ特例につきまして、この問題は全般的には、特に我々給与所得者といいますか、サラリーマンの立場から見ると苦々しく思っておった。これがまた周辺の地価を押し上げたということも事実だろうと思います。この買いかえ特例について縮減、廃止ということを行ったようでございますけれども、その趣旨はどんなものであるのか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。

○尾崎政府委員 事業用資産を売りますと値上がり益が実現するわけでございますから、本来課税すべきところを、一定の買いかえにつきましては、国土利用政策あるいは土地政策の観点から特別に課税の繰り延べをしましょうという制度ができているわけでございます。しかし、こういう買いかえ特例の制度がありますために、首都圏等における地価の上昇が周辺の地域あるいは地方に波及する原因となっているという指摘を受けておりました。それからまた、大都市圏における建物とか工場などへの過大な需要をもたらしているのではないかという指摘がございました。今回そのようなことを考えまして、弊害を生むような制度については見直しを行いたいということでございます。

 実はこの事業用資産の買いかえ制度につきましては、現行十五種類ほどのカテゴリーがございまして、大きく分けて移転促進のための買いかえというのがございます。例えば、大気汚染規制区域の内から外へ出ていくケースのようなものでございます。それからもう一つは、誘致促進のための買いかえというのがございます。例えば農村地域工業等導入地区の中へ買いかえていくケース、そういうようなものは国土政策上あるいは土地政策上非常に目的がはっきりしているわけでございますけれども、一つは、既成市街地と申しますのは東京都の区部とか大阪市、名古屋市などの地域を言うわけでございますが、その既成市街地等の内から外への買いかえというのがございます。

 これが内から外への買いかえであればどこでもいいわけでございますので、ごくごく近いところ、例えば東京都区部から調布市とか市川市、大宮市というような、いわゆる近郊整備地帯等と呼ばれるところに買いかえた場合でも適用されるということもございます。これが周辺地区への非常な地価上昇をもたらしたという指摘を受けておりましたことから、通常の事業用資産の買いかえについては、旧来の圧縮割合、通常八〇%でございますのを六〇%にするということで、いわば制度の縮減をするということをいたしました。もっとも、その既成市街地等から近郊整備地帯の外への買いかえにつきましては、従来どおり八〇%ということにいたしております。

 もう一つは長期保有、十年以上持っておりました土地から減価償却資産に自由に買いかえることができる制度がございましたが、これもいろいろと先ほど申しましたような問題、周辺地区への地価の上昇を振りまくということ、あるいは地価の高い地域内において建物、工場等について仮需要を生ずるというようなことがございまして、その制度を廃止するということをいたしております。

 縮減、廃止、今のようなものでございますが、もう一つ新設したものがございまして、これは移転促進であり、かつ誘致の促進となっているわけでございます。工業再配置促進法の移転促進地域というのがございますけれども、その移転促進地域、なるべく早く出ていってくださいというところから誘導地域へ工場を移転した場合には、先ほど申しました買いかえの圧縮割合を通例八〇%のところを九〇%にするということにいたしております。

 今回そのような改正をさせていただきましたのは、冒頭申しましたような土地政策上の目的と照らし合わせて、弊害を生じているようなものは直すという考え方に立つものでございます。

○仙谷委員 もう時間が余りございませんので、あと一点だけお伺いをいたします。

 企業分割を行うという方法で有価証券の圧縮額を損金算入するということになっておるようですが、法人を幾つもつくってみずからの不動産所有の税を逃れようとする、つまり相続逃れというふうなこととか、巧妙ないろいろな手段で節税あるいは脱税とおぼしきことをやろうとする点が大変な資産持ちの方について新聞で年に数回報道されるわけでございますが、このような法人格を悪用しての節税、これについては今度の法改正で何らかの措置はとられておるのでございましょうか。

○尾崎政府委員 法人を分割するという形でいろいろな節税策が講じられるということがよく言われるわけでございますけれども、現行制度、法人が現物出資をして新しく法人をつくりました場合には、それが実際上一つの法人がただ二つに分かれたというだけのことのために、今まで実現していなかった土地の価値が実現いたしまして、そこに課税が生ずるというのも問題ではないかということで、圧縮記帳ということでそこに利益が生じないような措置を講じているわけでございますが、その制度を利用いたしまして、いろいろ相続上の問題その他で企業分割による節税策が講じられているということが指摘を受けております。

 したがいまして、今回その制度を改正することをお願いいたしておりまして、適用対象となります現物出資を、出資比率要件、これは新しくできる子会社に対して親会社が九五%以上出資をするという条件がついているわけでございますが、それを五年以上継続して維持されなくてはならないということにいたしました。これは従来でございますと、分割投資を九五%維持しておりますと、もうそれで要件は満たされているわけでございますから、分割しておいてすぐにまた新たにほかの法人と合併するとか、いろいろなことができたわけでございますが、今度は五年以上継続して維持していないといけないということでございます。

 そのほか、被出資法人の行います事業が出資法人の行っております事業の全部または一部であると認められなくてはいけないというように、要件を厳しくいたしまして限定を加えました。

 それから、課税の繰り延べ割合、現行制度ではすべて一〇〇%課税繰り延べできることになっているわけでございますが、これを先ほどの事業用資産の買いかえと同じように、課税繰り延べ割合

は八〇%にするというような措置を講じているところでございます。

○仙谷委員 いずれにしましても、今回の地価税及び土地税制改革は、今後の日本の経済社会構造を考える上で極めて重要な問題であると思います。私自身は速やかな成立を望むものでありますけれども、今後とも税制及び税務の行政が公平で、かつ公正な社会をつくることができるようにお願いをして、質問を終わりたいと思います。