1991年03月06日 公職選挙法改正に関する調査特別委員会

○石井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。仙谷由人君。

 

○仙谷委員 午前中の議論を拝聴いたしておりまして、自民党の諸先輩それぞれ御論客でいらっしゃいますので、私もなるほどというふうに感じていた部分も多々あるわけでございます。とりわけ政治の世界に緊張感がやや欠けるのではないか、あるいは政党間の競争になってないんじゃないか、こういう議論を私も常々、まだ一年でございますけれども、国会に参りまして感じておった部分でございます。ところが、一点だけその競争問題で私が感じましたのは、やはり競争という以上は公正な競争でなければならない、このことにお触れになった諸先輩がどうもいらっしゃらなかった、甚だ残念だな、こういう感を強くしておるわけであります。

 といいますのは、昨年の五月三十日のこの委員会の席上で、きょう先ほどもお見えになっておりましたが、奥田自治大臣に対しまして私が今度の

この選挙制度審議会答申、これについて質問をさせていただきまして、今度の政治改革と言われるものは、いわゆる選挙制度をいじるだけではなくして特に腐敗防止の問題、政治資金規制の問題、公的助成の問題、つまり公正な競争を担保するための条件をどうやってつくるのか、ここが非常に重要であって、これをまとめて昨年の秋までに、内閣の命運をかけた海部総理大臣とともに、奥田自治大臣もみずからの地位をかけて秋までに成案を国会に出したい、こうおっしゃっておったわけでございます。ところが、秋になってもそのような成案は出てこない。現時点でも出ていない。

 それで、ワンパッケージで成案を提出したいという奥田自治大臣の御決意が、今度の自治大臣をお務めいただいております吹田自治大臣、どのような引き継ぎをなさってどういう決意でいらっしゃるのか、その点を承りたいと存じます。

○吹田国務大臣 ただいま御意見がございましたことにつきましては奥田自治大臣とも引き継ぎをいたしましたし、特に長年のいろいろと関係を持っておる前大臣でありましただけに、ざっくばらんにいろいろなことを話し合った中に、この政治改革問題についてはひとつしっかりした姿勢でやるようにと、自分もそういう姿勢で頑張ってきたけれども、ぜひ吹田自治大臣もその姿勢については継続して頑張ってもらいたいというようなことでございましたし、党へ帰った自分としても、またこれから大いに応援をする、バックアップをする、こういうことも激励を受けておるわけであります。

 それにつきましても、私は先ほど他の議員にお答えを申し上げましたように、就任の際に特に総理から、昨年十二月二十九日でございますが、拝命の際に、この政治改革という問題は内閣の命運がかかっておるということを前提にひとつ力強く頑張ってもらいたいということでの御意見がございまして、これに対して全力投球をいたしますというお答えを実はいたしておるわけであります。それだけに今先生のおっしゃいましたことについては私もぜひともこれを実施いたしまして、これからの日本の将来にわたって、私どもの時代のみならずこれから先の日本の将来に向かってこれを進めることに大きな意義を持っておるだけに、ぜひともこの際実現に向けて努力しなきゃならぬと思っております。なかんずく選挙制度の問題と政治資金という問題は、政治倫理の基本の哲学に基づいてつくられていくわけでありますから、この点について十分意を注いでいきたいものである、かように今考えておるわけでありまして、できるだけ御期待に沿うようにいたしたい。

 ただ、若干予定が、昨年の暮れまでというようなお話もありましたことからしますとおくれておるということは事実でありまして、そういった点については私ども大変残念に思っておりますが、何と申しましても政党間の問題もこれあり、こういった問題はただ単に役所の方で事を進めるというわけにもなかなかまいりません。したがって各党間で御協議を願い、各党間の御意見というものがまとまっていかなければ法案になってまいりませんものですから、私どもとしましても鋭意努力をし、これからも関係各党にお願いに回ったり、また御意見を伺ったりして、そうして中正公平な立場からきちっとした制度をつくるということに努力をいたしたいと思いますが、今日までおくれておりますことにつきましては極めて残念に思っております。

○仙谷委員 ただいまの自治大臣のお答えで選挙の腐敗、違法行為に対する防止策、これについても鋭意取り組んでいかなければならないというお気持ちであるということは十二分にわかりました。そしてまた入りの方、お金の入ってくる政治資金の規制の問題も、現状のままではいわゆる政治不信を払拭するという制度と実態になってない、こういうことも御理解をいただいておるのではないか、そういうふうに感じます。

 そこで、まず選挙制度審議会の答申でございますが、これに「第五 選挙の腐敗行為に対する制裁の強化」というふうに書かれた部分がございます。「基本的考え方」「連座制の強化」「免責規定」、4として「連座裁判の促進」、それから三として「制裁強化のための新たな措置」、こういうふうに書かれております。後で個別にもお伺いをしたいと思うのでございますけれども、まず大臣、総論的に選挙の腐敗行為に対する制裁を強化する必要があるのかないのか、あるいはあるとすれば現行制度の何が問題なのか、この辺をお聞かせいただければと思います。

○吹田国務大臣 先生から先ほどお話がございましたように、公平、公正ということが大事であります。特に選挙のいわゆる選ぶ側と選ばれる側でありますから、こういった場合に公正、公平な、しかも平等な立場に立って行われる、こういうことが選良として最も大事な選挙の制度ではないかなと思っておりますが、そういう立場に立ちますと、そこに決められたルールに反するということになれば、これは当然罰せられなければなりませんし、またそういう方々が非常に悪質な方法を加えて当選するというようなことは厳に戒めなければなりませんし、そういう方が正しい選挙をやって出てきた人と同じ立場に立って国民の代表であるというのは、これはいかがであろうかということからも連座制等も厳しくしていかなければならないし、裁判の場合におきましても、これは私の範囲ではありませんが、できるだけ早く結論を出していくということも必要でしょう。ですが、私は法律家ではありませんものですから詳しいそういった内容については御説明は他に譲るとしまして、少なくとも公正、公平を旨として、その機会均等ということからの選挙ということに実を上げるような方法をとっていかなきゃならぬ、かように考えておりますし、特に今度の改正しようなどと考えております私どもの考え方というものは、答申に基づくものでありますが、これについては極めて従来のやり方と違って政党政治を中心としていく、したがって政策を掲げて争っていくということでなければならないという前提がかかっておりますだけに、答申の趣旨に基づいて鋭意これから検討し内容を整えていきたいものだ、かように考えるわけであります。

 

○仙谷委員 お気持ちはわかるのでございますけれども、実態との関係においてそうはなってないというのが現在の問題、そして選挙制度、特に選挙区制度をいじればきれいな選挙ができる、あるいは政党本位の政策本位の選挙ができるかというと、必ずしもそうではないということが問題であろうと思うのですね。特に小選挙区論議、これはいわばお金との関係で言いますと、比例代表の並立型という小選挙区制でもあるいは併用制と言われる選挙でも、腐敗防止の問題がきちっとできてない限りは選挙区が小さければ小さいほど、つまり働きかける対象が少人数であればあるほどお金の効果は大きいわけですから、だから選挙制度がこういう制度になったから政党本位の選挙ができる、政策本位の選挙ができるというのは、これは夢か幻想だと私は思っているのですね。やはり国民の政治的な成熟ということも必要でしょうが、制度として特に議員が自律的にこれだけは守るのだ、ここからOBをしたら、外へ出たらバッジを外してもしようがないんだということがないと、選挙が公明正大に行われるかあるいは政治不信を払拭できるかということにならないのじゃないかと思うのですね。

 例えば、今私持っておりますのは、財団法人明るい選挙推進協会というところが出していらっしゃる「第三十九回総選挙の清潔度の印象」、片一方は「第十五回参議院選挙の清潔度の印象」というのでございます。国民がどちらの選挙をどういうふうに清潔度を感じたかということでございます。衆議院選挙の方は三二・八%、つまり中選挙区は三二・八%の方々がまあまあ清潔だった、こう言っておるのですね。参議院選挙は四七・六%、清潔だと感じておったのは。この調査によりますと、ですよ。したがいまして、相対的には、小さい選挙よりも真ん中ぐらいの選挙エリア、あるいは参議院のようにまあ大きい選挙区、それから比例代表がついておるという、実態としては、どう

も私が選挙を初めてやってみた実感としても、大きい選挙であればあるほどお金の力といいますか金を使う人が少なくなる。町会議員の選挙なんかを見ていますと、一人一票一万、四年分の歳費を全部持ってこいと言う地元のボスがおって、それを全部配って何百票か集めて当選ということが平然と語られておるというのが今の日本の選挙ですね。だけれども、衆議院は町会議員の選挙よりもお金で買収するというふうなことが恒常化していない。それよりも参議院の方がまだまだ金の効き目は薄い、現在の制度のもとでですよ、そういう実態があるわけですね。

 それで、今のこの実態を払拭するために、まあ衆議院と参議院に限ってもいいですけれども、現行の連座制あるいは現行の当選無効、こういうものが機能として法律に規定されておる機能を十全に発揮しているかどうか、この点について、できれば自治大臣のお答えをいただきたいと思います。

○吉田(弘)政府委員 現在、御承知のように連座の規定があるわけでございます。これは機能しているかどうかというお尋ねでございますが、連座の規定が働いて実際に当選無効になったケースもございますし、また確定前に御本人がそれを有罪にあるいは資格剥奪になるということを意識して辞職をするというケースも見られまして、それなりに働いているというふうには思います。

○仙谷委員 なかなか楽天的なことをおっしゃると思うのですが、私はもうこの当選無効あるいは被選挙権の停止という制度がいわば機能停止に近い、瀕死の状態にあるのではないか、こういうふうに考えています。

 それで、それを倍加しておるのが今の恩赦の制度なんですね。せっかく当選無効になって公民権が停止された、つまり国民の側から見ればそういう汚い選挙をやった人は当分の間選挙に出られないということがあるにもかかわらず、ついせんだっての皇室行事に伴う恩赦で復権して今度の統一地方選拳に出るとおっしゃる方がいる。これは我が徳島の例でございますけれども、お父さんが買収やって、自分も逮捕されて当選無効になって公民権停止されたにもかかわらず今度の統一選挙に出られる、こういう国民から見ればまことにばかばかしい事態も一方では起こる。一方では、御承知のようにいわゆる現在の当選無効制度、公民権の停止、被選挙権の停止が刑事裁判の結果待ちである分だけ、どうも特に当選無効の関係では任期中に当選無効にならないということが多いんじゃないかと言われておるわけでございます。私もそのように感じております。その点は自治省選挙部長、いかがでしょうか。

○吉田(弘)政府委員 過去の連座の適用の事例の手元に持っている資料で御説明を申し上げますと、五十一年から六十二年くらいに行われた各種選挙でございますが、その間で起訴をされた者が十二件ほどございます。そういう中で議員がみずからそういうことで辞職したというケースもございますし、それから当選無効が確定をしたというケースもございます。そういう格好で、それぞれ何らかの格好で身分を失うというようなケースが、今言ったようなケースで十二ほどございます。

○仙谷委員 何か客観的な事実だけでお考えをお漏らしになりませんが、ちょっと時間の関係で、次に進みます。

 この選挙制度審議会の答申の中に書いてある、例えば「連座制の強化」の中で「連座制の対象となる者の範囲の拡大」、ここに「立候補予定者」というのがございます。この立候補予定者、私は昨年のこの委員会で浅野選挙部長とこの場で議論したことがあるわけでございますけれども、これについてどういうくくり方をするのかということなんですが、何か今審議会の中の議論とか、あるいは自治省内部での検討、くくり方といいますか、絞り方ができておりますでしょうか。

○吉田(弘)政府委員 御案内のように、先般の選挙制度審議会の答申で連座の対象の拡大をしたわけでございます。そういう中で立候補予定者の親族を連座の対象にする、あるいは立候補予定者の秘書を連座の対象にするということになっているわけでございまして、それを受けてこれから成案化に努めているという段階でございます。どういうものかということでございますが、現行法におきましても、例えば寄附禁止の規定百九十九条二の規定にも「公職の候補者となろうとする者」というような規定があるわけでございます。そういうことも勘案しながら、立候補予定者を具体的に規定するに当たりましては今のような規定等も十分参考にしてこれから詰めてまいるというように考えている次第でございます。

○仙谷委員 今のお答えは昨年の浅野選挙部長のお答えと全く一緒なんですよ。全く進展がないというふうに考えざるを得ないわけです。やはりこの辺は実態の中でくくっていきませんと、概念で幾ら絞り込もうとしても、では候補者となろうとする者と立候補予定者を同じにするとしましょう。候補者となろうとする者というのはどこからどこまでいうんだ、こういう話になりますね。まさに候補者となろうとする者がどの範囲なのか、ここが問題なわけでしょう。ましてやこの選挙制度審議会の答申でいけば、これは刑事罰の規定の適用対象になるということですから、余りあいまいな、望洋とした外延があるような、こういう概念では困るわけですね。

 そこで、もし立候補予定者、候補者になろうとする者というふうなことであれば、例えば記者会見をして発表したという社会的事実があれば候補者となろうとする者、こういうふうに認めるんだ、解釈規定ですね。あるいは記者発表をした、あるいは政治資金規正法上の確認団体の届け出をした、ある人を候補者として担ぎ出すために、清い政治をつくる会でもあすの東京をつくる会でもそんなことがありますね。そういう確認団体の届け出をした、あるいは政治資金規正法上の政治団体としての推薦候補者として名前が出た、新たな政治団体がつくられてそういう届け出がなされた、そういういろいろな徴憑を並べてみてどれか一つに該当する場合には候補者となろうとする者である、あるいはそのうちの二つに該当すれば候補者となろうとする者である、あるいは立候補予定者という概念にするんだというふうに考えないと、とても絞り切れないと思うのですね。その点いかがですか。

○吉田(弘)政府委員 どの辺で絞り込むかというような話でございます。今いろいろ客観的なメルクマールとして一つの指標をお挙げになりましたが、そういうことも一つであろうと思いますが、公職の候補者となろうとする者とは、立候補の意思を有している人は当然のことでございますが、客観的に立候補の意思を有していると認められるような者も含まれるというのが従前からの考え方でございまして、今回もそういう考え方でまいりたいと考えております。

○仙谷委員 私の方から提案的に意見を申しておきますけれども、先ほど申し上げたメルクマールとともに、これはもし選挙犯罪、つまりそういう犯罪構成要件との関係でお考えになるとすれば、それにプラスして期間、つまり告示の、あるいは公示の何カ月前からは客観的に、それ以前からずっと先ほど申し上げたような徴憑があって政治活動をなさっておる方で、現職の候補者ももちろん含まれますけれども、それで告示期間から二カ月なら二カ月、一カ月なら一カ月、公示期間から一カ月前の段階から立候補予定者あるいは候補者となろうとする者という要件のもとに犯罪の主体として考えられ得る可能性が出てくるんだ、こういうふうにしたらいかがかと思うのですが、御意見ございましたらいただきたいのです。

○吉田(弘)政府委員 一つのお考え方かとは存じますが、いろいろ選挙によりまして任期満了の選挙もございますし、解散の選挙もございますし、また立候補をする方々もいつの時点で、直前に意思決定をするとか、あるいは相当前からとかいうのがありまして、一律にそこで決められるかどうかというのもなおよく検討してみなければいけないかなという感じがいたしております。

○仙谷委員 余りできないできないとおっしゃったら何もできないので、どこで区切りをするかという問題だと思います。

 次に、先ほど秘書のお話が出ました。「連座制の対象となる者の範囲の拡大」の中に秘書が出てきますけれども、秘書はどういうメルクマールで秘書であるか秘書でないか決めるのでしょうか。

○吉田(弘)政府委員 今回の答申でまた秘書が連座の対象になってくるわけでございますので、この秘書の範囲ということを決めていかなければならないわけでございます。これはどういうものを具体的に決めていくかということはやはり成案化の段階で十分検討をしていかなければならないと考えておりまして、今の考え方としましては、いわゆる公設秘書に限らないで、社会観念上公職の候補者の秘書としての実体を有している者を対象にすることが適当ではないかと考えているところでございます。

○仙谷委員 社会観念上、社会通念上実体を有しておるということになると、やはりこれも実体としての何らかのメルクマールが要ると思うのですね。その議員の、あるいは議員候補予定者の後援会事務所から給料をもらっておるとか、あるいはどこそこの企業から派遣をされて秘書的な仕事に従事しておるとか、あるいは秘書の名刺を使っておる、公設秘書以外の者ですよ、秘書の名刺を使っておる、あるいは私は秘書ですということを、業としてと言うとおかしいかもわかりませんけれども、法律用語としては業としてでしょうね、業として秘書名称を使用しながら業務を行っておる、こういうことになろうかと思うのですが、そういうふうに理解してよろしいのでしょうか。

○吉田(弘)政府委員 いろいろな要素があろうかと思います。単に肩書とか名刺とかということだけではなくて、実際にどういう業務に従事をしているか、一口に秘書といっても、単純なお茶くみのような人から、もう少し代表的に選挙運動にタッチするというようなものがあると思いますので、実際にこの対象ということになりますと、連座の対象ということでございますので、それなりのものを観念して、社会通念上秘書というものに該当する者を対象にしていかなければならないと考えております。

○仙谷委員 この点についてもこの程度で時間の関係上置きますけれども、この秘書と立候補予定者の問題については、作業としては進められておるというふうにお伺いしていいですか。

○吉田(弘)政府委員 内部的に今検討をしているところでございます。

○仙谷委員 次に、この選挙制度審議会の答申でいきますと、「制裁強化のための新たな措置」というところで書かれておる部分についてお伺いをいたしたいと思います。

 ここで書かれておるのは、刑事罰を科すことなく公民権停止等の資格剥奪あるいは刑事裁判とは別に迅速に処理するということが書かれておるわけですね。それから、二の4でも「裁判所に選挙違反事件に専念できる部を設け、」「迅速な審理を行う」こういうふうに書かれております。この点についても昨年この委員会で私議論をした記憶があるのでございますけれども、現在の当選無効、被選挙権の停止についての結論がどうも遅い、国民の政治不信を払拭するような制度として機能していないという理解がここにあるのだと思うのですね。それでこういう答申が出ておるのだと思いますけれども、今選挙制度審議会あるいは自治省内部でこの点について何らかのお考え方といいますか、方向性が出つつあるのでしょうか。

○吉田(弘)政府委員 これも先般の答申で「制裁強化のための新たな措置」ということで、公職選挙法に違反した者のうち特定の者には刑事罰を科さずに公民権の停止という資格剥奪だけにとどめる、また連座による当選無効の処分を刑事裁判とは別に迅速に処理することなど、制裁の強化のための方策について司法制度の基本的なあり方との関係もあり、引き続き検討することが適当であるという答申をいただいておりまして、現在、選挙制度審議会の第二委員会で、この問題についてどういう対応をしていったらよろしいかということを鋭意検討をされているところでございます。

○仙谷委員 自民党の政治改革基本要綱というのができまして、いわば自民党内では、私どもが理解する限り、政治資金規制については、これは非常に自民党としては血の出るような厳しい問題なんだ、そういう改革要綱を決めたんだというふうにおっしゃっておりますけれども、これは自民党の党内の話でございますから我々はほとんど関係ない話です。ただ、選挙の腐敗行為に対する制裁の強化という点については、これは自民党の議員の方々の問題だけでもなければ、あるいは我々と無関係であることもないわけですね。非常に関係がある。ところが、十一月二十七日に出された自民党の政治改革基本要綱を拝見しましても、いわば選挙制度審議会の答申、検討課題とされたようなところについての答えはほとんどございませんね。ほとんどというか全くない。選挙制度審議会の答申にしても検討しなければならないとか、いわば抽象的なことが書いてあるだけで、具体的にどうやったらここに書かれてある実効性のある、効率性を有する腐敗防止のシステムをつくることができるのかというのはこの中にはないですね。考えましたら、これはもうほぼ一年が来ようとしているのですよ、平成二年四月二十六日ですから。にもかかわらず、今おっしゃったような、この審議会の中で議論しているというだけの話で全く我々のところには見えてこない。見えてこないから議員同士で、政党間でそういう協議、議論をやってくれということならば、もうその選挙制度審議会もやめていただいて、自民党、我が党、公明党、民社党、共産党、これでやらなければいけないと思いますけれども、本当にこれは何らの方向性も今の段階で出ていないのですか、第五の二と三に係る新たな措置あるいは連座裁判の促進。

○吉田(弘)政府委員 審議会も鋭意検討をしているところでございまして、御承知のように、特に「制裁強化のための新たな措置」というところの答申の中にも書いてございますように、「司法制度の基本的あり方との関係もあり、」ということも書いてございますが、現行の司法制度、裁判制度と大変大きな関係があるわけでございます。先ほど御指摘ございましたように、現在の連座等によりましてはまず刑事を確定させて、それから資格剥奪の方へいくというようなことでございますので、それを促進するということになりますと、そこの部分をどうするかという問題にもかかわってくる問題でございまして、審議会の方では各委員それぞれ鋭意御審議をいただきまして、また外部からも関係の学識経験者等もおいでいただきまして意見の開陳も願っているということで、鋭意、今検討しているというような段階でございます。

○仙谷委員 その具体的内容については全く把握ができないわけでございまして、私といたしましては極めて残念と言わざるを得ないわけであります。

 当選無効、連座についての効率性といいますか、あるいは実効性といいますか、こういう観点から考えますと、どうしても刑事裁判とは別の制度をつくるしかないのではないか。と申しますのは、刑事裁判というのは、これは基本的人権の、特に刑罰を受けるということですから、まず犯罪構成要件が特定していて、明確であって、厳格でなければいかぬ、こういう要請がございます。それから審理においても、当然のことながら法定手続が保障されなければならない、適正手続が保障されなければならない、憲法上の要請でございます。そして、手続の中でも採証法則といいますか、証拠法則は厳格でないと、これは犯罪になるためには少なくともその三つの要請が必要なんですね。日本の裁判制度でそれを満たすとなりますと、これはどうしても時間がかかる。むしろ刑事裁判はある程度時間をかけていいんだ、争う裁判は。そういう前提でないと成り立たないと思うのですね。

 おとといのテレビでございますか、百二十二人の選挙違反が全部無罪になったというふうな驚天動地のことも起こり得る。それから冤罪事件を調

べますと、これは冤罪を被告人が粘り強く主張して時間を長くかけたから冤罪であることがわかるのですよ。田中ロッキード事件でも、皆さん検察官にでたらめの調書をつくられたということを言っているじゃないですか。それはうそか本当は私は申しませんけれども、法廷で言っている。つまり、調書のつくり方に無理がある場合もあって、それを争うのが刑事裁判だというふうにしませんと、警察官や検察官がつくった調書がすべてそのとおりでございますと言うのだったら裁判は要らなくなりますから。そんなことで刑事裁判との関連性を断ち切る。そのことがまず選挙の腐敗防止、政治浄化にとっては非常に必要なんじゃないか、そういうシステムをつくるべきだと私は思います。

 一つは、構成要件を少し緩めてやる、あるいは形式化してやるということがまず実体法上といいますか、どういう場合に当選無効になるのかという問題としては必要なんじゃないか。もう一つは、刑事裁判と別の手続にしてやるということだと思うのです。三つ目には、一番目の実体要件とも関係するわけでありますけれども、選挙運動費用の制限、例えば制限という、超過というものをこれは三木私案という、郷里の徳島出身の三木武夫元首相がつくった私案のようでございますけれども、その私案でいきますと、それを今度は調査する独立の機関をつくってやる、この三つがあればちょっと違った方向に動くのではないかというのが一年間勉強してみての私の実感なんですね。

 一つお伺いしたいのは、その三木私案との関係もございますのでお伺いをいたしたいのでございますが、選挙運動費用制限額の違反というのが、これは公職選挙法上百九十四条、百九十六条あるいは罰則規定としては二百四十七条ですか、これも当然出納責任者が犯罪を犯した場合には連座適用、当選無効という可能性があるわけでございますけれども、この構成要件といいますか、犯罪として問われたケースというのは戦後あるのでしょうか。

○石附説明員 お答えいたします。

 選挙運動費用制限額違反の検挙例とのお尋ねでございますけれども、戦後昭和四十九年までの間に二十四件、二十三名の検挙がございます。

 以上でございます。

○仙谷委員 おわかりになる範囲で結構なのですが、それが当選無効裁判まで、検挙だけじゃなくて起訴それから有罪、当選無効というふうになったケースもあるのですか。

○石附説明員 お答えいたします。

 その内容につきましては、検挙時期が大変古いということでございまして、詳細不明でございます。

○仙谷委員 私の感じではどうもこの規定も実効性を持って機能しておるように見えないのですね。それはやはり選挙費用、この構成要件の中に含まれる選挙費用というものがどの範囲なのかというのが法文上は非常にわかりにくい体裁になっておることもありまして、例えばある陣営が買収事件を起こした、供応事件を起こした、その費用はここで言う選挙運動費用に含まれるのですか、含まれないのですか。

○吉田(弘)政府委員 選挙運動の場合、候補者なり出納責任者と意思を通じて行われた場合には選挙運動費用に入るというような判決もたしかあったと存じます。

○仙谷委員 今おっしゃった判例は多分昭和三年の判例だと思うのですね。要するに今の捜査の実態としても、買収、供応事件があっても、それが今おっしゃったように意思を通ずるというところが非常にネックになって、選挙運動費用制限超過罪といいますか、そっちの方へはどうも持っていってないというふうな実感を持って私は受けとめておるのですけれども、そんなことだろうと思うのですね。

 ところが、反対に考えますと、これは割と形式犯ですよね。選挙運動費用の上限額を決めておいてそれをはみ出す。今の選挙運動費用の報告書を拝見しますと、自分のことにも関係するのですが、大体皆さん上限額のちょっと下目あたりを書いていらっしゃる、つじつまをどこで合わせておるのかは知らぬけれども書いている、こういうことになっておるわけですね。だからその場合に、例えば一千万単位の、一千万じゃなくてもいい、二、三百万単位の買収、供応事件が発生した場合には選挙運動費用超過になる。さっきおっしゃった意思を通ずる通じないという、ここの問題さえクリアされれば制限額超過になるということになると思うのですね。私は、三木私案というのもまさにその点について着目して、早期に当選無効というところへ持っていくためにその形式性に着目して、どうもこういうことをお考えになったのじゃないか、これは一つの卓見だなというふうに感じたわけでございます。この点を、今の選挙費用の制限の百九十四条、百九十六条、この辺を改正して別途の当選無効訴訟、あるいは今からまた私、提案しますけれども、立候補制限の訴訟というふうなところへ持っていくというお考えはございませんでしょうか。あるいはそれについてどういう御意見をお持ちでしょうか。

○吉田(弘)政府委員 御承知のように現在は連座の規定でいっておりまして、刑事裁判が確定してから民事裁判へということになりまして、この辺の問題は、先ほども申し上げましたように現在選挙制度審議会の第二委員会の方で鋭意御審議を願っているところと承知しております。

 問題は、現行の我が国の司法制度の問題ともかかわる問題もありますが、そのほかにも、仮に民事の方に持っていった場合に、刑事と民事を切り離して持っていった場合に十分な証拠収集能力があるかどうかというような辺もクリアしなければならない問題の一つではないかというような気はいたしております。

 

○仙谷委員 ちょっと角度を変えてお伺いするわけでございますが、公職選挙法百九十三条というのがあります。それから、政治資金規正法でいいますと二十九条、三十条あるいは十二条というのもございましょうが、あるいは三十一条というのが存在をするわけでございます。公職選挙法百九十三条、これは「都道府県の選挙管理委員会は、」という主語ですが、「報告書の調査に関し必要があると認めるときは、公職の候補者その他関係人に対し、報告又は資料の提出を求めることができる。」こういうふうになっておるわけですね。ここは政治資金規正法の三十一条のように形式的審査権ではなくして、本当は実質的な調査もできる可能性がある、そういう条項になっていると私は思うのですね。これを発動をしているのかいないのか、実質的な調査を行うというようなことがあるのか、あるいは実質的な調査を行うことが妥当でないのか、その辺、自治大臣でも自治省の方からでも結構ですが、お答えをいただきたいと思います。

○吉田(弘)政府委員 御指摘ございましたように、公職選挙法上もそれから政治資金規正法上もそれぞれ調査権というのがございますが、これは実質的調査権でなくて形式的な調査権というふうに私ども理解をいたしております。

○仙谷委員 公選法百九十三条の方を政治資金規正法の三十一条に比べますと、私は形式的審査権というふうにだけは読まなくてもいいと思うのです。だけれども、行政権力が選挙なり政治に介入していくという、これは乱用されると大変な問題になるということがありますね。権衡的でなければならないということになると思うのです。

 ところが、国民感情からいいますと、選挙運動費用の届け出、報告書ですね、それから政治資金の報告書、こんなインチキなものないだろうというのは、国民に聞いたら、多少選挙にでも行く人に聞いたら八〇%以上だと思うのですよ。それで、私は先ほど申し上げた選挙運動費用の制限超過を、これを後から申しますけれども、立候補制限との関係で何らかの新たな訴訟の枠組みをつくって、そして行政権力ではない独立の行政委員会がこの選挙運動費用と政治資金についての報告書、これについて実質的な審査権、調査権を持つ、こういうふうにしてはどうか、あるいはした

方がいいのではないか、そうするしか方法がないのではないかという見解に今到達をしておるわけでございますけれども、現行法上といいますか、現行憲法体系上、そういう選挙運動費用の実質的な調査権を持つ独立の行政機関、こういうものをつくることは現行の憲法上問題がございますでしょうか。

○吉田(弘)政府委員 現在私ども、政治資金規正法等で自治大臣あるいは都道府県選挙管理委員会の調査権は形式的調査権になっておりますが、実質的調査権を持つと、本来自由であるべき政治活動の世界にそういう行政権能が入っていく、それはいかがかということで形式的な権能にとどまっているというふうに理解しておりますので、その辺をどう考えるかという問題はあろうかと存じます。

○仙谷委員 行政権そのものであれば、自治省がやるということになると問題があると思うのですね、自治大臣がやるということになると。第三者機関、独立の行政機関、独立性を持たせた機関をつくれば、行政権力の介入という問題は少なくとも制度上は一応払拭できるといいますか、カバーできるといいますか、コントロールできるのではないか。例えば今公正取引委員会というのが日本にはございますけれども、あるいは、まあ国税庁はそうは言えないかもわかりませんけれども、独立の権能を持ったそういう機関というのはあるわけですね。これが行政権力の意向に左右されずに業務が遂行できるシステムであれば、この選挙運動費用あるいは政治資金の届け出、報告書、これらについてむしろ調査をすることの方が、国民感情から見ても、あるいは選挙運動費用とか政治資金とか言われるものの公共性、公益性から見ても、その程度の規制はやむを得ないのではないか。むしろそれは我々国会議員がみずからの自浄作用、自律機能として受け入れた方がいいのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。

 時間が余りありませんので話を変えますけれども、フランスで今度選挙運動費用収支報告及び政治資金全国委員会というのがつくられた。「外国の立法」というのに書いてあります、二十九巻四号でございますが。この説明書きを見ますと、「同委員会は、選挙運動収支報告書を承認又は対審手続きにより却下若しくは訂正するほか、限度額の超過が明らかになったときは選挙裁判官に審理を求め、また各種の違反を発見したときは記録を検事局に送付する等の職務を行なう。」と書いてありまして、「選挙運動費用の限度額」というところでは、限度額を超えた場合には「候補者は一年間被選挙権を持たないものとされた。」というふうになっておるわけですね。

 私は、すべてフランスに做えなんということを言うつもりはありませんけれども、日本の場合にも、この選挙運動費用を超過した、それだけで、私が申し上げる第三者たる行政機関が裁判所にその人の当選無効と立候補制限を提起して、そこでそういう結論が出ればある期間だけ、ある選挙区からのみ立候補することを禁止するというふうにすれば、何とか政治浄化といいますか、あるいは腐敗防止についての一般予防的、特別予防的効果があるのではないか、こんなふうに今考えておるわけでございます。

 それで、当選無効と今の被選挙権の停止といういわば一律全面的な基本的人権である立候補権の制限というよりも、当該選挙区からのある期間を限っての立候補制限、こういう考え方は、今の当選無効あるいは被選挙権の停止、いわゆる連座の規定によるペナルティー、制裁ですね、これとの関係でどういうふうにお考えになりますでしょうか。

○吉田(弘)政府委員 制裁強化の一つの考え方として、全面的に被選挙権の停止ということではなくて一定の選挙区からの一定期間の立候補制限というような考え方は、これは実は答申の方の今回の立候補制限についても、全面的な被選挙権の停止じゃなくて、制裁強化の措置としては立候補制限の資格剥奪ということでございまして、その限りではまさに先生のおっしゃることと答申の考え方は一致しているということかと存じます。

○仙谷委員 今の立候補制限の問題は、ペナルティーのレベルが低いペナルティーで、なおかつ選挙浄化あるいは腐敗防止という観点からはむしろ効果があるのではないか、特にそれが効率よく早期にそういう結論が得られるとなれば政治腐敗の防止にとっては役立つのではないか、こんなことになろうかと思います。そのシステムをどう考えるかということじゃないかと私は思いますけれども、いずれにしましても今回のこの政治改革というのは、選挙制度審議会の答申にも書いてありますようにもともとは政治と金が問題だったわけですね、リクルート事件。ところが、何か政治と金の問題だけ置き去りにして、今選挙制度だけを小選挙区比例代表並立型というのに持っていけばすべてがうまくいくような幻想を唱えたり、あるいはそこまで言わなくとも、何か小選挙区制にすることが政党本位の選挙になって、自民党の特に各派閥間の政策とは関係のない個人的な票の取り合いを防ぐことになって政治浄化につながるんだなんという議論がございますけれども、私は決してそうでないと思う。やはりこの問題は腐敗防止の問題で、つまりイギリスより百年おくれておりますけれども、今こそ本格的に取り組まなければならない、こういうふうに思います。

 それと、委員長。先ほど浅野議員からも御発言があったわけでございますけれども、この問題につきましては、やはり私ども議員の自浄作用といいますか、自律的な機能として国民の政治不信をどういうふうに我々が考えて払拭していくのか、こういうことだと思いますので、政府委員が出席できない、あるいはなさらない場合でも、あるいは大臣が出席できない場合でも議論を、政治改革論議をいわば議員間で活発に行うという委員会運営をぜひ行っていただきたいと要望して、質問を終わります。