177-衆-法務委員会-5号 平成23年04月13日



○階委員 おはようございます。民主党の階猛でございます。

 本日は、一般質疑ということで、一時間時間をいただきました。

 きょうは、政府から、大変お忙しい中を仙谷官房副長官を初め他省の方々にもいらしていただいておりますので、まずは、そちらから最初にお聞かせいただければと思います。

 きょうは、大きく四つのテーマについてお聞かせ願いたいと思っておりますけれども、まず一つ目。先般、復興構想会議の設置が決まりました。この件について、復興基本法という法律も月末までに国会に提出するやに伺っておりますけれども、その点とも絡めて少しお聞かせ願えればと思っております。

 この復興構想会議、メンバーを見ますと、私、地元が岩手なんですが、岩手県の達増拓也知事など東北三県知事も含まれ、また、各界から非常に立派な方々が入っておられます。資料の一ページ目でございますけれども、こういったメンバーをそろえて復興構想というものを練っていくということですが、少し私見を申し上げれば、構想という言葉、通常、構想というのは、企業経営の世界などでは事業家や経営者が自分の頭の中に描くもので、ビジョンというのは、構想を現実のものとするために社員や利害関係者に伝えて、彼らを動かすための道具だというふうに言われるかと思っております。こういう定義に従えば、構想というよりもビジョンの方がいいのかなというふうにも思うわけでございます。

 その一方、我々民主党の中には、まさに、復興ビジョン検討チームというものが置かれております。私もその一員とならせていただいておりますけれども、党の中に置かれる復興ビジョン検討チームの役割と、政府に置かれた復興構想会議の役割の役割分担についてどのように考えればいいか。これはまだこれから煮詰まっていく話なのかもしれませんが、少し副長官にそのあたりについて御意見をお聞かせ願えればと思います。



○仙谷内閣官房副長官 おはようございます。

 まずは、階委員も多分、この古今未曾有の地震と津波によって大変な被災をされたんだろうと想像いたします。心からお見舞いを申し上げます。

 そして、今度の東日本大震災で被災をされた皆さん方にまずはお悔やみとお見舞いを申し上げたいと存じます。そして、現在も大変苦しい、困難な状況の中で避難生活を送られている皆さん方にも、政府としては、すべての力を結集、発揮して、必ず被災された方々の生活を安定的な方向に持っていくという決意でおりますので、そのことをまずはお伝えを申し上げます。

 そして、現在、復旧のファーストステージがほぼ一段落を迎えようとしている。多分、ここからは復旧のセカンドステージに入ってきつつある。つまり、瓦れきの処理と仮設住宅の建設等々、住まい、そして、健康保全といいましょうか、公衆衛生や健康保全の問題が本格的な課題になってくる時期に入ったというふうに考えておりまして、その段階で次のステージ、つまり復興に向けて国民すべての支え合いの精神での御協力をいただきながら、新しい希望をつくって、総力を結集して、町や村、あるいは地域、そして日本の大きな新しい創造的な復興をつくっていく。そのために、階委員はビジョンというふうにおっしゃいましたが、これは多少ニュアンスの問題かもわかりませんが、構想をつくり、それを実施する強力な部隊をつくることが必要なんだろうというふうに考えておるところでございます。

 民主党にも復興ビジョン検討委員会というのができておるわけでございますが、私も少々かかわっておるわけでありますが、基本的には政府・与党、そして今回の場合には野党の皆さん方のお力もかりなければならない。とりわけ、大正時代の関東大震災のときの決定的な失敗は、当時の政友会という強大な野党勢力が後藤新平の復興院構想をはなから強力に反対をして、これで部分的に頓挫をしたということが、関東大震災の総括として、反省として我々はしっかりと腹に入れて臨まなければならない。この国会でも、野党の先生の皆さん方の大きなお力を合わせて、おかりして復興を進めなければならないということが一番肝要だろうというふうに考えております。

 政府が責任を持って、復興構想会議なら復興構想会議でつくられる復興の構想を、しっかりと実践的な法案なり予算なり、あるいは計画なりに移し込んでいく。これを、構想にせよビジョンにせよ描き切るのは、こういう時代でございますので、当然のことながら、地域、地方の方々、あるいは、昨日も、閖上地区で一カ月間ずっと治療、そしてコミュニティーの中でいろいろなアドバイスをされた医師の方が私のところに来ていただきましたけれども、閖上地区の自治会は随分しっかりしておって、この方々に任せ切る、そういう復興の構想でいいんじゃないかというお話までいただいたところでございます。

 やはり、地域の自主性、自発性、そして創意あるいは要望というものにこれが生かし切られるような、そういう復興のスキームが一方ではつくられなければならないだろう、そういうふうに考えているところでございます。

 非常に広く、深く、大きく、重く、そういう震災でございますので、従来的イメージだとなかなか自治体の手に余るというような話にもなるんでしょうけれども、やはり現場の自治的な主体を信じ切って任せる。そして、国自身としては、東日本大震災が与えている日本の国力総体に対するダメージをいかに回復し、あるいは、いかに未来志向で発展させるかという視点も絶えずこの構想なりビジョンの中に含んでいなければならない、こんなふうに雑駁に考えているところでございます。

 いずれにしても、あしたから構想会議の議論が始まりますので、そこで、ビジョン的な考え方なのか、頭の中で考えたのをペーパーに書くだけではない、実施につながるような構想をつくり上げてもらいたいものだな、こんなふうに考えているところでございます。



○階委員 私の入っている復興ビジョン検討チームの方でも、直嶋座長を初め、先週は岩手の現地を視察に行き、また現地の企業経営をされている方々のお話なども聞き、今週末は宮城にも行ってまいります。

 現場の声をしっかり聞いて、それをもとにして、まさに仙谷副長官が言われたような、地域に根差した復興のビジョンというものをつくり上げていきたいと思いますので、ぜひ我々のつくったビジョンというものも政府の施策の中に反映していただければというふうに思っております。

 そして、先ほどごらんになっていただいた資料一の下半分の方に「復興に臨む政府の態勢」という簡単な図のようなものが、これは東京新聞の記事なのでこれが正確なものだというふうには申し上げるつもりはないんですけれども、この中で一つ気になったのは、ちょっと見づらいんですが、この図の一番下に、「復興対策本部事務局(復興庁?)」というふうにありまして、復興庁というものがあります。復興庁という言葉を聞くと、消費者庁のような府省のもとに置かれる庁ということを想起するわけです。国家行政組織法も、庁といえば府省の外局であるというふうにされているわけでございます。

 一方で、仙谷副長官は野党時代、私も仙谷先生の下で、政府が出してきた消費者庁の法案の対案として消費者権利院というものをつくるべきだ、消費者庁では縦割りの行政組織の中で権限が不十分で、もっと権能を強化すべきで、そのためには庁ではなくて院なんだということを議論したことをよく覚えております。

 そうした中で、今回の、ここに書いている復興庁という言葉に私はひっかかったわけでございますけれども、府省のもとに置かれる庁という組織ではなくて、より強力な権限を持った、まさに復興院のような組織が必要というふうに考えるわけでありますけれども、その点についても御見解をお聞かせ願えればと思います。



○仙谷内閣官房副長官 これは、まさに復興構想会議でも議論をしていただく一つの論点、大論点だと思います。

 つまり、その構想の中で復興基本法のようなものをしっかりと法案としてつくるかどうか、そして、その法案の中でこれをつかさどるといいましょうか、執行する行政の単位、あるいはその上には当然政治があるわけでありますが、そういうものを、阪神・淡路大震災のときのような本部ということでいくのか、あるいは今階委員が御指摘になられたような復興庁、現在各省庁が持っている権限を集めて、そしてそれを統合する、インテグレートするような行政機関の方がいいのか、こういう議論になろうかと思います。

 御参考までに、阪神・淡路大震災のときには、階さんも消費者庁のときの経験でおわかりのように、どうしても一行政機関をつくろうということになりますと、それで旧来の省庁の権限をとってくるという話になりますと、日本の国家行政組織法上、法律でそれをつくるという、位置づけることは簡単なわけでありますが、新たな行政執行機関をつくるということになりますと、ややもすると個々の論争に時間がかかる。論争は、政治家の間の論争であれば、これはどこかで妥協ということもあるのかもわかりませんが、霞が関、各省庁の縄張り争いに近いところになってきますと、延々と果てしない論争が続くということもあって、阪神・淡路大震災のときには本部体制ということで、大臣が当時は国土庁大臣だったようでありますが、小里大臣が総指揮を振るわれて本部を運営していったということでございましょう。

 これは非常に一長一短があるわけでありますが、いずれにしても、今度の復興基本法のようなものがつくられるとすれば、その中に、本部にせよ、あるいは新しい省庁をつくるということ自身が法律上の根拠を置くものとして設定をされるべきだろうというふうに私どもは考えているところでございます。そして、実質上は相当大きな権限といいましょうか、本来的な意味での司令塔機能を生かして、オール・ジャパン、総力を挙げての復興の施策の実施ということをしていかなければならない、こんなふうに考えているところであります。



○階委員 ありがとうございます。

 その霞が関の果てしない議論につき合っている時間はないわけですけれども、一方で、実効性のある組織を立ち上げるということは非常に大事なことだと思いますので、ぜひその点を踏まえて、これからの復興施策をリードしていく、実施していく機関のあり方というものについてしっかりとした対応をいただければと思っております。

 そして今、副長官のお話の中にも出た復興基本法、枝野官房長官も先日の記者会見で復興基本法というものをつくるんだというふうにおっしゃっていたと思いますけれども、この復興基本法をつくるに当たって、ちょっと私、勉強したことがございます。

 資料の二ページ目。「提案としての復興基本法」という見出しから始まっている箇条書きの資料でございますけれども、これは戎正晴弁護士さんという兵庫の弁護士会の先生、この方は阪神・淡路大震災の復興の際に非常に活躍されて、いろいろな経験を踏まえて、これからの立法のあり方、復興に関する立法のあり方について御提言されたものを私が見まして、きょう、そこから抜粋させていただいたものでございます。

 この中で特に私が注目すべきと思いましたのは、真ん中あたりに「復興の概念」というふうなところがあります。「復興とは、都市構造の改変や産業基盤の改変、市街地の再形成や都市機能の更新等中長期的課題の解決も視野に入れた概念であることの確認が必要である。」と。

 なぜこのような復興の概念を法律の中に盛り込まなくてはいけないかということでございますが、実は、我が国の法体系上、復興という言葉の定義が今まで存在しなかった。復旧ということは定義があったといいますか、そもそも字義のとおり明確といいますか、もとある状態に戻せばそれは復旧だ。ところが、復興というのは、もとある状態を超えて、さらに上に伸ばしていく。それはどこまで伸ばしていったらいいかということは、なかなかこれは程度を決めるのは難しいわけでございます。

 そうした中で、ともすれば、復興、復興ということを言うと、焼け太りではないかというふうに言われたり、あるいは、復興の中で財産を失い生計の手段を失った方に新たに生計を立てるための財産を国が与えてあげましょうと言うと、私有財産制度のもとでは、そういう、国が個人の財産を保障することはできません、そういったような議論が出てくるわけでございます。

 ところが、やはり復興という言葉がしっかり定義されることによって、これは国民的な合意のもとで、復旧を超えた新たな地域をつくるための創造的な取り組み、さらに、そこで暮らす方々が将来に希望を持てるような取り組み、こういったものができるわけであります。

 したがって、私は、この復興基本法、政府がつくると言われている復興基本法の中に、ぜひ復興という概念をしっかり盛り込むべきだと考えますけれども、この点について御見解をお聞かせください。



○仙谷内閣官房副長官 ほぼ全面的に階委員のお考えに同意をいたします。

 菅総理も、未来志向的な創造的復興という言い方、あるいは復興から創造へというふうな言い方をしていらっしゃるわけでありますが、私も、今度の震災というのは、大変文明史的、ある種の分水嶺のところに、こんな古今未曾有の、千年に一遍というふうな言い方もされますけれども、そういう時点で発生した。そして、原子力発電というある意味では人間が考え出した最も先進的な技術のところに、ある種の破綻が来ておるというふうなこと。そして、今度の震災でわかってきましたことは、日本の非常に緻密な、エネルギーにせよ、あるいは工業製品にせよ、あるいは漁業、農業から発する日本全体の我々の生活水準にせよ、これはどこがぱちんと切られても成り立っていかないような関係性にあるということであるんだろうなと改めて身にしみて感じておるところでございます。

 おっしゃるように、復興の概念といいましょうか、未来志向で、そして歴史的な角度も兼ね備えて、そして、私は、自然と人間、人間生活の関係ということも十分踏まえて、そしてなおかつ、東北地方のみならず日本全国が置かれた、ある種の人口減少、そして高齢社会、そして過疎と集中、この問題をどう私どもが克服していくのかということが復興の概念の中に当然取り込まれなければならないというふうに考えているところでございます。



○階委員 ありがとうございます。

 仙谷副長官、最後の質問でございますけれども、私、金融の世界におりましたものですから、これからの復興に当たって、何とか金融の機能というものを使えないかと思っております。

 と申しますのも、皆さん御案内のとおりの国家財政難の折、なるべく国家財政に頼らず、民間の資金を調達してそれを効率よく効果的に復興の財源に充てていく。また、復興のためのプロジェクトというものも、いわゆるばらまき的なものではなくて、しっかり、将来的に、これをやればこの地域はよくなるんだ、ひいては日本にとってもこれが成長の礎になる、こういったプロジェクトを金融のプロなどのしっかりとした目きき能力を持った人が審査して、それでお金をつけていく。

 そういった意味で、金融機能を活用するということがこの復興に当たっては大事なのではないか、そして、その金融機能の活用ということも私はこの復興基本法の中に盛り込んだ方がいいのではないかと思っております。その点について、最後に御意見をお願いします。



○仙谷内閣官房副長官 この点につきましても、階委員の考え方に一〇〇%同意をしたいというふうに私は考えております。

 といいますのは、ここ約二年間、日本は成長戦略を考えてきたわけでありますが、国の財政がこういう状況になっていることの反面、民間には相当のお金が、たまっておると言ったら語弊があるかもわかりませんが、家計部門のみならず企業部門にも、あるいは金融機関にもお金が蓄積をされておって、これが動かないというのが日本経済のある種の病気だというふうに私は見ておりました。

 そこで、先般までの成長戦略では、インフラパッケージ型輸出というようなことで、海外にそのインフラパッケージを、特にグリーンフレンドリーなインフラをシステムとして輸出する。そのときに、国家財政的なお金はごく一部を使って、それをレバレッジとしてファンド構成を、できれば民間のたまっているお金を使う。それで資金循環を日本の経済の中でよくすれば、多分日本の経済はもう一度よみがえるだろう、そういう論理のもとに成長戦略を書いたりしたわけであります。

 同じように、これから資金需要が大変大きなものとなってくる。それで、日本のある種滞留したお金を回す、あるいはアジア的、世界的な相当だぶついているお金を、うまくエコフレンドリー、あるいはこれから全世界的に始まる高齢社会対応型の社会に対する投資として民間資金をうまく活用するということは、極めて重要なことだと私は思っておりまして、当然、金融論的な観点からこの復興構想が練られて、それが実施されなければならない、おっしゃるとおり、そのように考えております。

 したがって、復興構想の中あるいは基本法の中にも金融的な観点が盛り込まれる必要があるだろうと考えております。