171 - 衆 - 消費者問題に関する特別… - 11号  平成21年04月07日

○船田委員長 次に、仙谷由人君。

○仙谷委員 まず、齋藤参考人にお伺いいたします。
 企業のCSRといい、顧客満足度ナンバーワンの企業をつくるんだと日夜頑張っていらっしゃる、よくわかるんです。企業ガバナンスの問題あるいは企業マネジメントの問題として、顧客満足度第一、あるいは、こういう事態といいましょうか、こういう大衆消費社会というような状況の中で、特にメディアが発達というか進展してきますと、そこに背を向けては企業も生きてはいけないというのはわかるんです。
 ただ、そのことは、時価総額主義と株主本位制という大きなグローバリゼーションの流れの中で、企業が生き抜く、あるいはもっと言えば利潤を上げるための、そういう大目的に向かってのCSRであり、顧客満足度ナンバーワン、こういうことだと思うんですよ。おのずから、そこは収れんされている最終目的が全く違うのではないかと私は思っているんです。消費者が満足すれば企業は損してもいいなんという、そんな甘っちょろい経営者では成り立っていかない、これははっきりしていると思うんですよ。
 クルーグマンというノーベル賞の大学者が「格差はつくられた」という本を書かれています。アメリカの保険会社というのは、保険会社の利益を上げるために、なるべくリスクの多い人は保険に入れない、保険に入った人もなるべく保険金を払わない、そのために八兆円の費用を保険会社総体として使っているんだ、こういうことを書いていらっしゃいます。なるほどと、私はそう思いましたね。
 つまり、合法的にやるために八兆円かけて、弁護士から医者から薬剤師から専門家を雇い込んで、探偵というか調査員とかなんとかを雇い込んでどんどん調べて、なるべくリスクの多い人は入れない、それから、保険に入った人もなるべく保険金を払わないようにするということをするのが企業存立の大テーマだと。
 私、これは、企業の本能的な部分として、そういうものがあると思うんですよ。消費者の利益と全く対立、対抗する部分があるからこそ、消費者問題というのは起こる。これは必然性の問題であるから、社会総体として社会安定性を得るためにこれをいかにうまく解決していくシステムをつくり出すかというのが一番大事な話だと思うんですね。
 そこで、経団連加入企業のまことに衝撃的な保険の話について、一体全体この消費者行政をどう進めるべきかという問題と関連して、参考人の御見解を伺いたいんです。
 実は、平成二十年七月三日に、多数、多額の支払い漏れが発生した生保十社に対し、業務改善命令がなされた。これは、十九年の二月に生保会社に対して報告徴求がなされて、これは特約等の支払い漏れ案件です、こういうことがあって、合計三十七社、百三十五万件、九百七十億円、こういうものが、金融庁から業務改善命令が出されて、保険契約者に払われた。
 損保は損保で、十七年の九月に損保全社に対して報告徴求があって、十一月に損保二十六社に対して業務改善命令、これは五十万件、三百八十億円。その次、火災保険料等の取り過ぎがあって、二十年七月四日、中間結果を自主的に公表、百五十三万件、三百七十一億円、こんなことがあったんですね。
 金融庁のこのやり方、あるいは、こういう案件は消費者問題で本来はどういうふうに解決すべきであったか、お考えをちょっと賜りたいと思います。

○齋藤参考人 私の考えを申し上げますが、ただいまの事案については私もニュースで知っている程度でありますので、中身がどこまで雑なものであったのかとかひどいものであったのかというのは承知しておりませんけれども、ちょっとこういう企業もあるのだということを御紹介したいと思います。
 その会社で以前大きなトラブルを起こした不良品、欠陥品を玄関入ったすぐのところのショールームに展示している、これをお客さんにも見ていただき、自分たちを戒めるんだ、みずからを本当に戒めるために展示している立派な企業なんです。我が社ではありませんけれども、そういう企業もある。それが、結局、長い信頼をかち得るんだという信念でやっていらっしゃるわけですね。
 それから、大きな会社がやっていると思うんですが、当社は以前、不良でこういうダメージをこうむった、消費者から信頼を失った、こういうことを二度とやっちゃならぬのだということで教育するという会社もたくさんございます。そういうところをいかに大きくしていくかというのが大問題、長い目で見ると、それが一番きいてくるというふうに思っております。
 今言われた案件については、恐らくそういうものを剥奪するのだとかいうような議論になっていくのかなと思いますけれども、それは、具体的にどのように制度をつくっていくかとかいうような議論が一緒にないと、ちょっと議論しにくいなというのが私の思いです。

○仙谷委員 さっき、ADRの話をされました。これは、まだまだ実績もほとんどありません。ようやくこれから損保も生保も銀行も、昨年の暮れから、ADRをつくってやっていこうという程度の話です。実績はありません。つまり、ここも、圧倒的な情報格差と経済力の格差で、消費者に弁護士がついても勝てない領域なんですね。ところが、金融庁がどんと報告徴求をして入ったら三百五十万件出てくるとか、私は、こんなばかなやり方はあり得てならないという気がしてしようがないんですよ。お上にだけ弱い民間の会社なんということがあってはならないんですね。
 つまり、コンプライアンスというか、適正な法に基づいて会社が運営される、そのことに、CSRなのかコンプライアンスなのか知りませんけれども、同じぐらいやはり消費者に対しても、あっ、これは間違っていましたと。権威ある仲裁機関というか、オンブズマンでもいいんですが、イギリスであれば金融オンブズマンですね、そういうところが入れば、それはADRでもいいですよ、これは間違っていましたということで、ああ、やはりこれは損害認定が、査定が厳し過ぎたとか、そういうことで解決していくというのが正常な社会だと思うんですよ。一挙に三百五十万件出てくるというのは、どこか異常だと思うんですね。
 私は、企業社会も、特に経団連の加盟会社などは、実は何でもかんでも自分の会社で取り込もうと思って苦労されている部分が多過ぎると見ています。さっき暴力団の話が出ました。これもそうです。なぜ日の当たるところで、公正な場で、そちらに解決をお任せしようという動きにならないのか不思議でしようがないんですね、これは金融関係のみならず。割と裁判に係るのを嫌がって、さっきも団体訴訟で損害賠償がわけわからぬとかなんとか。こんなものは、ちゃんと公的なオープンの場で議論をして、裁判所に決めてもらえばいいだけなんですよ。
 損害額なんというのはやってみないとわかりません。我が徳島の日亜の特許訴訟だって、あれだけ額が違って、あれだけで和解できたんですよ、ということをもう少しお考えをいただきたいと思います。
 時間がないので、次に日弁連の中村参考人にお伺いします。
 日弁連さんは、現場で働いている方々がこの場に来られて異口同音に、違法収益の剥奪、あるいは悪質業者の財産といいましょうか、違法に消費者から取り上げたといいましょうか、財産を保全する、これを皆さん割と一線でやられている方は要望されるんですが、日弁連さんは、もうこれはあきらめたんですか。

○中村参考人 あきらめてはおりませんで、とことんやっていただきたいんですが、私ども、もともと、こういう違法収益の事案に対して本当に歯がゆい思いをいっぱいしてきていて、何とか消費者被害の集団的な救済に関する法制度ができないものかということをかねがね検討してまいっておりまして、昨年の六月十九日に意見書をこの関係でまとめております。それは、そういう消費者被害の集団的救済のための紛争解決制度を創設してほしいということでありまして、決してあきらめてはおりません。
 これは、言い出してまだ一年たっていないわけですから、そんなに簡単にあきらめるわけではありませんし、この中で、いろいろ検討をしていまして、難しい問題がまだまだいっぱいあるので、きちんとした条文の形で、こういう条文にして制度導入をしてほしいというところまで言うには至らなくて、中間報告という形で昨年の意見書はまとめさせていただきました。
 これから、やはり、どういう対象をこの訴訟の対象物にするかとか、どういう主体が担うかとか、あるいは集めたお金の配分方法とか、当事者をどうするかとか、さらには、私たちいつも悩むのは、こういう悪徳商法が必ず破綻して破産という場面を迎える、そういう中で、破産配当という形で違法な収益を吐き出させるしかない場面が往々にしてあるんですが、そのときに、横から国税庁がさっと来てそのお金を持っていってしまうということをたびたび経験しておりまして、ここら辺の国税との関係をどうするかとか、あるいは、そもそも論でいろいろ訴権論とかを言う方もある。
 要は、今の日本の法制度全体の中で、この新しい訴訟制度、被害者救済のための団体的な救済制度、こういうものをはめ込むのは、いろいろなところの配慮、工夫が要るのではないかということで、完全なる条文化まで至らなかったわけですが、今引き続き検討しておりまして、決してあきらめたわけではございません。

○仙谷委員 中村参考人に続けて聞くわけでありますが、この消費者安全法案の十七条以下がいわゆるすき間事案に対する対応ということになっておるわけですけれども、きょうお持ちいただきました資料の中での十三ページの下側に書かれておりますが、いわゆる生命身体に対する重大な事故ということに限定をされておりまして、経済的な取引等々についてはこの十七条、十八条、十九条が適用にならない。我々は、そんなんじゃ、これはくその役にも立たないと、まあ、くその役にも立たないというのは言葉が汚いですけれども、ほとんど現場の九割以上を占める経済取引の事案について適用にならないのであれば、何の役にも立たないと思うんですが、日弁連の御意見、いかがでしょうか。

○中村参考人 この点は、言葉遣いはともかくとして、私どもも取引被害を何とかしなきゃいかぬという思いは同感でありまして、日弁連の修正意見の中には、この重大事故の中に取引被害も含めてほしいということを、修正を求める提案をしているわけであります。

○仙谷委員 続いて中村参考人にお伺いするんですけれども、実は、この十六条ですが、措置要求で、所管が消費者庁に移ってきていない、四十三本とか、あるいはもっともっと規制権限法律はあると思うんですが、措置要求ができるからいいんだ、こういうことを答弁されているんですね、野田大臣以下も。
 ところが、措置というのは、その概念次第ですけれども、何でもできるというのであれば、措置の中に何でも含むのであれば、それはそれでもいいのかもわかりませんが、どうも措置という法律概念は、よく考えてみると、処分の勧告とかあるいは結論部分の勧告ということになるのではないか。つまり、資料の提出の要求が措置の中に入るのか。あるいは、情報提供、資料の提供等々をその所管の省庁の専門部局に対してすることができるのか。つまり、措置要求をする前段階の権限が一切ここに書かれていないんですよ。それで、条例なんかを見ても、随分、資料提出要求から始まって、指導から、県知事あたりができる、あるいは政令指定都市の市長ができる権限として事細かに書かれているんですね。
 これは、この十六条というのはやはり、何か措置要求ができると書いてあるだけで、はね返されるというか、その前段階の詳しい事情を調べる権限がないと余り機能しないんじゃないかと思うんですが、その点いかがですか。

○中村参考人 私どももそういう考えのもとにこの修正を求めておりまして、やはり調査等ができるようにしなきゃいけませんし、それから、措置要求を受けた担当大臣は速やかにその措置を実施しなければならないという条項も、もう一つあった方がいいのではないか。先ほどおっしゃったように、言われて、はい、聞きましたという、聞きおくだけで終わる懸念を私どももしております。
 それからもう一つ、措置要求をされた後にどういうふうにしたかということをきちっと、あるいはする気がないのならないで、応答する義務、こういうものもあわせて規定することで、もう少し委員の御心配のような懸念が払拭できる条文になるんじゃないかと考えております。

○仙谷委員 時間に限りがありますので、圓山参考人にお伺いするんですが、この自治事務と法定受託事務という概念規定というか、これはやたらとわけがわからなくなるんですね。今おっしゃった、消費者安全法で法定受託事務というふうに書き込んだと。
 ちょっと金融関係だけ見てみましたら、振り込め詐欺救済法というのが最近できておりまして、この四十二条でも、この法律により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法に規定する第一号法定受託事務とすると。それから、例の特商法は、県知事に委任した分については自治事務であると。ところが一方で、地方経済局に今度消費者庁の長官がまた再委任か何かするわけですが、これはこれで国の直轄事務として、地方の経済局が職員をして、例の資料提出要求から立入検査から、何から何までやる、あるいは特商法に盛っている事業停止までの処分もできる、こういうことになっていると思うんです。
 つまり、消費者、現場で生活している者から見たら、別に直轄事務で経済局がやろうが、都道府県知事が自治事務でやろうが法定受託事務でやろうが、要するに、悪徳商法を早く摘発して早くやめてくれる、被害が広がらないということの方が大事だと思うんですが、こういう事務区分の問題というのは、現場から見てどういうふうにお考えになりますか。

○圓山参考人 現場から見ましたら、余り関係ないと思います。一番大事なのは、事業量の義務づけと、それから国の財政負担なりなんなりの予算、人員の義務づけです。
 昨年の消費者庁構想が始まりましたときから、私も県職員OBですし、幾つかの県の職員と意見交換してきましたけれども、共通して出てきましたのは、今、地方自治体が自由裁量でできるので、財政悪化に伴って、財政課、人事課がどんどん削減している、なので、事業量と人員の義務づけが必要だろうと。
 それは、福祉、教育、消防、警察などではそれができていますから、さっきの用水路の例えではありませんけれども、維持できていて、それで国全体で向上、発展もできているわけです。そこが一番大切だと思います。それができれば、自治事務であろうと法定受託事務であろうと、国の直轄であろうと構わないと私は思います。

○仙谷委員 時間が参りましたので終わりますが、要するに、政治といいましょうか、国が優先順位をどうつけるか、消費者行政をどう位置づけるか、この問題だということでよろしゅうございますね。
 どうもありがとうございました。