法人税の減収が予測されるなかで経済対策は再設計が必要

2月23日 予算委員会

○仙谷委員 仙谷です。おはようございます。

 前回に引き続いて、きょうも、いよいよこの政権、国民の信が全くなくなっていて、あれやこれやのびほう策をやる、あるいは追加の補正予算を組んで経済対策をやらなければいけない、自民党のそういう声が大きくなっておるわけでありますが、この内閣ではそういうことをやってはならないというのが国民の声であるという前提でお話を聞きたいと思います。

 前回、法人税が十兆円の予算を組んでおるわけでありますが、これが多分大きく減ることになるだろうという指摘をさせていただきました。

 それで、与謝野大臣にお伺いしたいわけでありますが、例えば、法人税が十兆円見込んでいるうち、これが四割しか入らなかったということになると、六兆円が税収不足になるわけであります。今三七%の公債金の比率になっておるわけですが、もし単純計算でそういうふうに考えますと、租税及び印紙収入が四十六兆円が四十兆円になる、こういう話になるわけであります。公債金が三十三兆円が約四十兆円になる。租税収入と公債金収入がほぼフィフティー・フィフティーになる。その他収入が九兆円見込んでありますが、これがどうなるかでありますけれども、さらにこの上に赤字国債なのか建設国債なのか発行して景気対策をやろうとすれば、十兆円やればほとんど総予算のうちの公債金収入と税収その他の収入が五割、五割になるわけであります。

 こういう財政にならざるを得なかった。まあ、いろいろなここ十年来の施策、そして経済変動あるいは経済成長に対する見込みの誤りだと私は思いますけれども、今の時点でこういう、経済対策と称して巨額の経済対策をやることができるのか、あるいはこの内閣がそういうことをやるのにふさわしいのかという点について、今、新聞、テレビ等々では、いわばこの内閣の屋台骨を全部しょって立つかのように評価をされております与謝野経済担当大臣、財務大臣、いかがでしょうか。

○与謝野国務大臣 私は、国会、与党及び内閣総理大臣の指揮に従って動いているだけでございます。

 税収がこれからさらに落ちてくるということは、仙谷先生が予想されているとおりであると思います。補正で一応減額するということを天下に明らかにいたしましたけれども、さらにそれが落ち込む可能性はあるのではないかと思っております。

 いずれにしても、この内閣は追加の経済対策をやる資格がない、そう断定されますと、我々としては動きようがないわけでございますけれども、十―十二月に続きまして、一―三月の経済状況というのは、統計の端々に、またさらに落ち込みがあるということを示唆しております。だれがやるにせよ、何かしなきゃいけないということをやはり皆さんで考えておいていただくということが重要な段階になってきたと思っております。

国民の信を失った内閣では、危機からの脱出はできない

○仙谷委員 今の、だれがやるにせよというのは大変意味深な御発言だと思いますが、昨日、麻生総理大臣、これは欠席裁判になってもいけないわけでありますが、青森に行かれて、民主党の統治能力がないということを口をきわめて激しく批判されていらっしゃったようであります、私もテレビのニュースで見ましたが。

 昨年の十二月の多分二十八日だったと思いますが、読売新聞に佐々木毅前東大学長が「地球を読む」というコラムをお書きになりました。いろいろなことを書かれているわけですが、そこで書かれておることは、何よりも、統治能力のないことを決定的に露呈した麻生内閣といいましょうか自民党政権があるいは自民党内閣がいかに民主党を統治能力があるとかないとか非難をしようとも、そんなものは国民にとってはどっちでもいいことなんだ、まず自分の統治能力のなさを、あるいはこのような人材しか生み出せなかった自民党という政党の来し方をちゃんと振り返ってみるべきじゃないか、この政党のガバナンスといいましょうか経営こそが問題で、小選挙区制に変えたにもかかわらず、絶えず親の地盤を継いで出てくる人を持ち上げていく、この政党のありようこそが問題なんだ、こういう議論をされていたのが鮮明にいまだに私の頭の中に残っておるわけですが、私どもは、自民党やあるいは麻生さんからどのように非難されようとも、それならば一遍かえてみてくれ、かえて実績を見ていただきたい、それ以外にはこの局面はないわけであります。

 つまり、きょうの毎日新聞を見ても、今すぐ辞任は四割近い、こういう世論調査の結果というのはなかなかないわけであります。つまり、内閣支持率もそうでありますけれども、今すぐ辞任をというのが三九%もあるというのは極めて異常であります。

 このことは、自民党がどうの、民主党がどうのということ以上に、今すぐおかわりいただかないと、国民あるいは日本人にとっては極めて不幸だということであります。つまり、みずからが選択をした政治権力でない権力によっていろいろなことがなされるけれども、それはうまくいかない。これは、今、与謝野さんがおっしゃったように、だれがやろうとも大変困難な局面であるということは、これはもうこの半年の推移を見ておりましたらはっきりしておるわけでありますが、やはりこの局面は、麻生内閣が総辞職をする、そして憲政の常道に従って、一度野党に政権を渡して選挙をする、その手で選挙をする、これが、憲法は変わりましたけれども、明治憲法下で議会政治というものが原敬内閣以降徐々にでき上がってきたこの日本において、日本の民主主義を、あるいは議院内閣制をより実体化あらしめるといいましょうか、魂を入れる、そういう方策だと私は思っております。

 このことについて、直ちに総辞職をして、改めて権力をつくって、そして、そこで議論をしながら新しい日本のこの困難な局面からの脱出の方向、未来をつくる、そういう政治をやろうではないかということでやってみてはいかがかと思うのでありますが、与謝野大臣と鳩山総務大臣にお伺いをしたいと思います。

○与謝野国務大臣 総理に聞いていただかなければならない部分は私はお答えできませんが、民主党の主張していることでちょっと憲法上の規定としてはひっかかる御主張があって、それは直近の世論という概念なんですけれども、衆議院は四年の任期を持っておりますから、一たび選ばれれば、四年間は国民はその正当な選挙で選ばれた国会議員に物事をゆだねているということであって、そういう意味では直近の世論という議論は成立しないのじゃないかと思っております。

 それから、それは当然、その間に参議院の選挙がありますから、民主党として、参議院に勝てばそういう御主張をすることは政治的には私はあり得ることだと思いますが、憲法を厳密に解釈すればそんなことはないのであって、世論というよりは、やはり憲法上規定された四年間の任期、また憲法上規定された六年間の任期というのが議員に与えられた職務を遂行すべき有効なる期間である、私はそのように解釈しております。

○鳩山国務大臣 大変大きな質問でもあろうと思いまして、正直、これが答えだというものが思い当たるわけではありません。特に、私もかつて民主党にいたことがございますし、仙谷先生に高級なおすしをごちそうになって随分語り合った懐かしい日々も今思い浮かべておるわけでございます。

 私は、今、二大政党的な形になってきたことは決して悪いことではないと思います。しかしながら、我が国の二大政党と、例えばアメリカの二大政党というのも非常に不思議な形で、最初はフェデラリストとアンタイフェデラリストというところから出てきたものが、いろいろ交差しながら今の民主党、共和党になったというふうに聞いておりますけれども、すごく歴史があるんですね。もちろんイギリスも同様で、日本の場合はまだ歴史は浅い。

 そういう中で、二大政党が話し合って国家の危機に対して何かいい方策を見つけようというのがこういうときは大事だと思うのですが、政権をとるかとれないか、あるいは政権を守るか守れないかということが全面的に出てきてしまって、そうなりますと、百年に一度という危機の中で、進むべきものも進まないということが実際に起きているのではないか。むしろ、百年の危機だったら、外交は水際でとどまるという言葉ではないですが、一緒に話し合って、大連立ではないにしても、一緒に話し合って経済回復の方法を考える、何かそういう方向に少しでも転回、転向できないかな、そういう希望を持って私は今の政治を見ているわけでございます。

○仙谷委員 余り歯切れよくないですが。与謝野大臣のおっしゃられた憲法論に一言反論をしておきます。

 与謝野さんがおっしゃられた憲法論は、これは形式的解釈、形式論的解釈というものでありまして、四年間の任期はあるけれども、その前提としては、この人が首班候補だ、そして行うべき政策の基本政策はこうだということで選挙をして、その政治権力をつくるというのが衆議院の総選挙であります。

 四年前、二〇〇五年の九月十一日の選挙を思い浮かべれば、当然のことながら、小泉・竹中路線のもとでの、小さな政府、官から民へ、そしてその象徴たる郵政民営化ということを掲げてこれほどの大多数をとられたわけでありまして、ここから四人も総理大臣がかわるということは、一票一票を投じた国民もとても予測をしていたわけではない。

 そして、今この状況下で、実は、麻生さんも鳩山さんも与謝野さんも、実質的にはじりじりとこの小泉・竹中路線を変えようとしている。これは実は、基本的な政策を変える場合には、ちゃんとここまでの政策とその執行についてのプラスマイナスを評価して、そして大きく変えるのであればなおのこと、総括をして、そのことを選挙で問うということなしに首班だけをかえるというふうなことは、実質的な議会制民主主義、議院内閣制論としては許されていいことではないんですね。そのことに対して国民がおかしいなと思っているからこういう支持率になる、私はそういうふうに考えております。

 つまり、完全に信をなくし、そして個別いろいろ見てみましても、この間の出来事というのは統治能力をほとんど喪失している、欠如しているというところからもっとさらに踏み込んで喪失している、こういうことだと私は思います。

 どうぞ、閣議の後の懇談会でも何でも結構ですが、真剣に日本の行く末を考える、あるいは日本の民主主義に魂を入れるという観点から、ここはやはり一たん清算をする、国民に信を問う、そのことなしには次の政策展開はできないという議論を真剣にしていただきたいと思います。石破さん、どうですか。

○石破国務大臣 これは、私が農林水産大臣の立場でお答えすべきことではありませんが、小選挙区制というのは、ここにいらっしゃる多くの方々と一緒に議論をしてきた制度であります。総理を選ぶ制度である、そして政権の枠組みを選ぶ選挙である、そしてそれが仮に誤っていたとしたら主権者の手で政権交代を行うというのが小選挙区制の趣旨であったというふうに思っております。

 その趣旨は、その趣旨どおりに運用されなければならないということだと思いますし、支持率が高くないということはそれはそれなりの理由があるのであって、なぜこのようなことになったか、支持率だけで政治はすべてではありませんが、この参議院の逆転現象を考えれば、支持率がなければ政策遂行ができないということも事実だと思っております。

 内閣として、それは総理の御判断でありますけれども、私は一閣僚として、なぜこれだけ国民の支持が高くないのかということは虚心坦懐に議論をして、きちんと改めるべき点は改める、それが国民のためであり、自民・公明連立政権の使命であると考えております。(発言する者あり)

○仙谷委員 今、菅代表代行からも言われましたけれども、改めるというレベルの話ではないのではないか、そういうやわな話ではないんじゃないかと思います。

多重債務者問題への生活支援が急がれる

 ちょっと個別の中身に入ってまいります。

 昨日、一昨日の新聞で、一昨日の土曜日には、「家も失った失職者へ「緊急提供」 国の官舎入居まだ二人 丸投げ、自治体準備整わず」という記事がここに出ています。それから、昨日の毎日新聞では定額給付金について、「ネットカフェ難民らへ届かない 自治体九割対策なし 三億円宙に? 総務省「仕方ない」」こういう記事も出ました。

 実は、私が定額給付金の法律問題ということで提起した問題は、国が、国策としてこういう政策が今の時期に必要なんだというときに、そういうのを打ち出して責任を持ってこれを遂行するというときに、どういう仕組みを今考えなければならないのかということを含んで、直轄事務でやるべきではないか、あるいは少なくとも法定受託事務にすべきではないか。つまり、法律を制定してちゃんと執行ができる体制をつくらないと、丸投げをするとどこかで雲散霧消するというか、いいかげんになる、こういうことを心配してといいましょうか懸念をしてといいましょうか、あるいはそういうことが余りにもこの国は多過ぎるから申し上げたわけであります。

 つまり、この政策に、定額給付金なら定額給付金という政策に、どのぐらい執行について思い入れがあるのか、どういう優先順位をつけているのかというのが非常に大事だ。そのためには、国のエネルギーといいましょうか資源を総動員するのか、それとも地方政府に丸投げして任せてしまって何とかなるものか、こういう観点から聞いたわけであります。

 一つ、今、ネットカフェ難民、あるいは派遣切りで職を失った人、住居まで失うという、いわば相当所得も低いし社会的な扱われ方も低いという人のことが大問題になっていますが、二年前を思い出していただきたいんです。二年前、何で大騒ぎしたか。大騒ぎというと語弊がありますが、大きく論点になったか。サラ金であります。多重債務者問題であります。安倍内閣の再チャレンジ方針と相まって、実は内閣総理大臣官房に多重債務者対策本部、本部がつくられたんですね。そこで多重債務問題改善プログラムというのがつくられた。さあ、これがどのように実施をされておるか。

 これについて、どこが責任部局なのか私もよくわかりませんけれども、多分、内閣府あるいは金融庁なんだろうと思っております、本部の独自の事務局でも結構なのでありますが、二年経過をしつつあるこのプログラム、どのぐらいの実施がなされているのか。どうか、どなたかお答えになれる方がいらっしゃいましたら、どうぞ。

○与謝野国務大臣 多重債務問題の解決のためには、改正貸金業法の円滑な施行を図るとともに、多重債務者の支援を効果的に実施していくことが重要であると考えております。

 このため、政府の多重債務者対策本部、本部長は金融担当大臣でございますが、ここにおいて多重債務問題改善プログラムを決定し、相談窓口の整備、強化、顔の見えるセーフティーネット貸し付けの提供等の施策を進めておるところでございます。

 具体的に申し上げますと、相談窓口については、すべての都道府県、各財務局等において多重債務相談窓口が整備されております。また、顔の見えるセーフティーネット貸し付けの提供については、社会福祉協議会による生活福祉資金貸付制度などの公的な取り組みに加えまして、地元の自治体と信用生協が協力し、生活再生貸付事業を行うなどの取り組みが行われております。

 このような取り組みについては、多重債務者対策本部のもとに置かれている有識者会議においてフォローアップがなされているところでございまして、今後とも、このようなフォローアップを踏まえ、関係省庁、自治体及び民間関係団体の間で連携して、多重債務問題改善プログラムを確実に実施していくことが重要であると考えております。

○仙谷委員 実績を聞いておるのであります。

 どこか、とりわけ、借りられなくなった人に対する顔の見えるセーフティーネット貸し付けの提供というものが、どのぐらい実績が上がっていますか。私が聞いたところでは、東京都では、せっかく十五億円のファンド、基金を予定して張りつけたけれども、三件分しかできていないと聞いておりますが。

○与謝野国務大臣 先生の御質問、生活支援貸し付けの具体的な実績を把握しているのか、こういう御質問だと思いますが、社会福祉協議会による生活福祉資金貸付制度などの公的な取り組みについては、多重債務問題改善プログラムの実施状況のフォローアップの中で、貸付件数及び貸付残高等の実績について関係省庁から報告がなされているところでございます。

 例えば、平成十九年度のフォローアップにおける報告例として御答弁申し上げますけれども、生活福祉資金のうち緊急小口資金の貸付実績、これは平成十九年四月から十一月でございますが、これは貸付件数九百八十二件、貸付決定額六千五十四万円となっております。

 また、民間における取り組みについても、有識者会議においてセーフティーネット貸し付けの実施の主体に対するヒアリングを実施するなど、具体的な取り組みの実績の把握に努めているところでございます。この報告例を御報告申し上げますと、例えばグリーンコープ生協ふくおかの生活再生貸付の実績は、平成二十年六月二十日まで、貸付実行件数百四十七件、貸付金額一億四千八十三万円というようになっております。

○仙谷委員 福岡と、それからグリーンコープがやってくれている熊本、それから、二十年前から行っている岩手県の消費者信用生協の活動、これは私も伺って知っておるわけでありますが、このほかに、つまり、今出てきたのは、早い話が四十七都道府県のうち三県。

 平成二十年六月十日の多重債務者対策本部、ここで出されたペーパーを見ましても、こう書いてあるんですよ。高リスク者の受け皿となる消費者向けのセーフティーネット貸し付けは、各地域において、顔の見える融資(丁寧な事情聴取、具体的な解決方法の相談、事後のモニタリングを前提として、返済能力が見込まれ、問題の解決に資する場合に限って、低利の貸し付け)を行う、いわば日本版グラミン銀行モデルを広げていく。

 つまり、当時は、岩手県の消費者信用生協がいわば日本版グラミン銀行である、だから、このやり方を広げていくんだ、そのためには都道府県が、そういうことをやってくれるNPOなり生協なりに信用を付与するあるいは保証する、都道府県がするんですよ、ということを広げていく。そして、多重債務で大変悩んでおって日々の仕事も手につかない、毎日毎日どこかに払いに行かなければならないとか、あるいは、金利も高いものですから、給料、収入のうちの半分以上がそこに消えていく、そういう人に、例えば生活を再建するための相談、丁寧な相談をして、そしてモニタリングもすることにして、そういう丁寧なやり方で一括して振りかえの融資なんかを受けられるようにしようじゃないか、こういう話だったと思うんですよ。なぜ、これが進まないのか。

地方への丸投げでは全く進まない

 私は、今の時点でもこのことは大変重要だと思います。つまり、中産階級といいましょうか中流の、多分最も底の部分で、この間の公述人の質疑からうかがえることは、いつ滑り台から滑り落ちるか、その滑り台から滑り落ちる直前でとどまっている人たちというふうに考えればいいと思うんですが、そこに顔の見えるセーフティーネット貸し付けをちゃんとしようというのが二年前ですよ、これは。まだ景気がそれほど落ち込んでいなかったときだけれども、だからこそ、多分そこが問題になったんだと思うんですね。再チャレンジの中でこういうスキームができた、できたけれども、実態としては何にも進んでいないじゃないですか。

 つまり、新たに参入していただいたのは福岡と熊本だけ。あとは都道府県が、要するに、この財政状況の苦しい中でそんなファンドをつくったり信用保証をしたりできないということで都道府県がネグるものですから、金融庁も、まあ、あれはあのときのことだ程度にしか考えていないんじゃないかと思うんですが、要するに、あれほど力を入れた多重債務者問題、一年たったらもう熱が冷めて、あるいは、これは余り票にならないと考えたのかどうか知りませんけれども、全く進まない。

 さっき大臣がおっしゃった生活福祉資金の緊急小口資金というのはちょっとレベルの違う話なんですよ、この福祉貸し付けというのは。つまり、サラ金問題というか、多重債務者の、これで苦しんでいる人たちの再生、生活再建というのは、やはりどこかで新たな融資をつけて、これは企業でも同じじゃないですか、融資をつけて、低金利で、あるいはより低い金利で、一括のまとめた肩がわり融資でもしてくれるところがあれば再出発できるんだけれども、それができないから何とかしようという話だったと思うんですよね。

 これは今後どうされるおつもりなんですか。今まで実態として、四十七都道府県のうち、本当に三県ぐらいしかこんなことができているところはないんですよ。だから、地方に丸投げをするとこうなるという見本のような話じゃないですか。いかがですか。

○与謝野国務大臣 多重債務者問題というのは、もともと非常に難しい問題を含んでおります。それは、みずからお酒やばくちに夢中になって多重債務者になったようなケース、それから、本当に例えば母子家庭で生活が苦しくて、また、貸金業者の甘い言葉に乗って次々とお金を借りて多重債務者になった場合、そういう具体的に救っていいのか救うべきでないのかという問題があって、多重債務者全部、これはかわいそうだから救うという話ではないということは、私はそう思っておりますし、多分先生もそう思っておられます。

 ただ、救うべき人をタイミングよく救わないと泥沼に入っていってしまうということは事実でございまして、そういう意味では、前回、金融商品取引法が成立したときに、多重債務者の問題を解決しようという、これは与野党共通した考えで取り組んでこられたわけでございます。これはフォローアップをしているわけでございますけれども、どういう施策がどの程度効果があったかということ、また、効果については、やはり定性的な話ばかりでなく定量的な効果もちゃんと報告しろという課題も御指摘されたところでございます。

 こういう御指摘を含めまして、やはり我々あるいは地方がやっている多重債務者問題の効果は定性的、定量的にどの程度実効的な成果を上げているか、これはやはりもう少し丁寧にフォローアップする必要がある、これが仙谷先生の多分御指摘の一つではないかと思いますので、そのことは改めまして周知徹底させるようにいたしたいと思います。

○仙谷委員 おっしゃられた福岡のケースを見ても、全部を助けるなんという話ではないんですよ。だから、顔の見えるセーフティーネット貸し付けということになっておって、相談を受け付けて、生活をこんなやり方でいいのかということをちゃんと相談して、モニタリングまでする、こういうことになっておるわけですね。

 だから、例えば前々年で見ますと、福岡でも、家族単位で貸し付け希望をされた人から見ると約三分の一、百六十七件の貸し付け希望があったけれども、六十件しか貸し付けはしていません。あるいは、昨年、〇八年度は七百九十件の貸し付け希望に対して六十九件、つまり一割ぐらいしか貸し付けができていません。それはそのとおりなんです。

 ただ、今の傾向で、特に若い世帯の大問題は、基本的に家賃なんですね、あるいは住宅ローンなんです。つまり、自分たちが育った生活水準といいましょうか、特に住居にまつわる生活を一挙に落とすということが感覚としてもできないから、収入から見ればちょっと過分の家賃を払うような家を借りている、あるいは住宅ローンを組んで家を買っているという、このケースの場合に、いっときしのげば何とかなるというこの気持ちというか動機が、いわば高金利のサラ金のところに走っていくということになるわけですね。一月や二月だったら返せるというふうに思ってしまうから行くわけですね。次、それを返すために次のサラ金に行ってしまう、このケースが相当多い。半分とまでは言わないけれども、二〇%や三〇%おるんですね。

 こういう人たちは、生活の仕方の、つまり相談から含めて再建、再生方法をちゃんと丁寧に示してあげれば、改めて四つ五つある借り手を一まとめにして払いやすくすれば生活再建できているというのが、今までの、例えば岩手の消費者信用生協なんかのケースではっきりしているものですから、だから日本版グラミン銀行とまで多重債務者対策本部も書いたんじゃないですか。

 だから、そういう丁寧なことができる仕組みをつくらないと、こういうやり方をすると、まるでやりっ放しの世界なんですね。これでは、かゆいところに手を届かせないでもいいわけでありますけれども、せっかくスキームをつくってやるやると言っても、結局やっていないのと同じということになる。

 これは、地方公共団体といいましょうか、都道府県、市町村にこの間お金がないということも関係しているんでしょう。そうだとすると、国が、中央政府がその保証ぐらいはするということを考えなければいけないのではないか。つまり、ファンドをつくるその資金保証をするということぐらいは考えないといけないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

○与謝野国務大臣 今の最初のケースの、高い家賃、高いローンの家を借りて、それで多重債務に陥ったケースは、余り実は私の同情は引かないわけです。ただ、母子家庭やなんかで生活が苦しくなるとか、そういうケースは私はきちんとやらなきゃいけないと思うんですけれども、多重債務の問題は、自己責任の問題と公で助けるという問題、やはり個別のケースで考え方というのはどうしても違ってきちゃうんじゃないか。多重債務に陥った方を一律に救済するような制度というのは、事実上あり得ないと思っています。

 ただ、この前変えました金融商品取引法は、サラ金が一つのコンピューターで全部ネットでつながるわけですから、借りに行った人がどことどこに残高があるかということはすぐわかるので、そういう意味では、あと数年すれば、貸し手側の方で多重債務ということを押さえることができるような状況になります。

 ですから、本当に公としてこれはやはり助けに出なきゃいけないというケースと、それは本人の責任でやっていただくしかないよというケースと、それはやはり分かれてしまうんじゃないかなという気持ちが私はあります。

顔の見える具体的な施策が必要

○仙谷委員 申し上げたいのは、だから、今まで高い家賃あるいは住宅ローン、収入からすれば過分の住宅ローンを設定している人たちに、ちゃんと生活相談までやって、そしてローンの総額もどのように設定すればいいのか、サラ金も含めてですよ、それから家賃はどういうところへ住めばいいのか、あるいは、このローンを一遍組んでいるけれどもそれは高過ぎるので撤退するかとか、そういうことを含めた相談が重要だということを申し上げているわけですよ。そして、なおかつ融資をつけるということが重要なんじゃないですかということを言っているんです。

 余り同情をしないというふうにおっしゃったんだけれども、実はここは、同情じゃなくて具体的な施策が必要なところじゃないかと思うんです。

 というのは、国土交通大臣、この間、住宅金融支援機構で、旧住宅金融公庫から借りた住宅ローン債権について、いわゆるリスケ、つまり支払い猶予とか分割支払いの組みかえをしたというのはどのぐらいありますか。

○金子国務大臣 今の推計で、繰り上げ償還を行った件数、フラット35でありますが、平成十九年で約二万五千件あります。

○仙谷委員 返済条件の変更はどのくらいありますか。

○金子国務大臣 今申し上げた十九年度でいきますと、返済条件の変更というのは、償還期間を最長十五年延長する、あるいは失業あるいは会社都合、収入が減ったといったような方について据置期間を最長で三年、支払い猶予する期間、据置期間を三年設定するといったようなケースでございますが、十九年度、先ほどの数字に合わせて言えば、一万件について適用されております。

 ただ、こうした措置を活用された方は、幸いにして七割弱は延滞なしの御返済をされておられ、一定の居住安定確保の効果は上げていると思っております。

○仙谷委員 与謝野大臣、民間金融機関では、こういう住宅ローンの返済条件の変更あるいは返済期間の延長等ということが今できておるでしょうか。そしてまた、そういうことをした場合には、その債務者といいましょうかお金を借りた人は、どのような取り扱いを受けることになっていますか。

○与謝野国務大臣 もともと、日本の銀行が住宅ローンを設定するときには相当の審査をやっておりまして、借り手側が無理なく返せるようなところで物を決めております。したがいまして、住宅ローンの代位弁済率というのは日本の場合は〇・一ぐらいという、大変低いわけでございます。

 ただ、場合によっては職場の環境が変わるということがあり得るわけですから、やはり日本の銀行も、突然自分の職業環境や何かが変わった人に対応した親切な融資態度というのは当然ながら私は必要だと思いますし、失業であっても、これはそんなしょっちゅう起きる話じゃなくて例外的な事情ですから、やはり銀行としてはきちんと対応すべきだと考えております。

 必要であれば、そういうことについて、金融庁が金融機関に対して物を申し上げるということはやってまいりたいと思います。

大胆な住宅借り手救済策が必要

○仙谷委員 実は、いろいろな住宅ローンをめぐる環境が変わっているんですね。平成元年では、民間金融機関の住宅ローンのシェアが六〇%ぐらいだったんですね。平成十九年度末には七六%ぐらいになっていますね。つまり、官から民への流れの中で、住宅金融支援機構は、保証あるいはMBS化する、証券化してそれを民間から引き取ることに業務を特化すべきだ、直接住宅金融公庫がやっていたような貸し出しをすべきでないという流れの中で、民間部分が多くなっているんですね。ここが一つです。

 この現在の景気の状況をごらんになって、住宅ローンを借りている若い世代というか中堅どころの世代がことしの夏のボーナス支払いをどのようにクリアしていくのかということを現時点で思いをいたして施策をとらないと、私が先ほど申し上げた、滑り台から滑り落ちる人が大量に生まれるんではないかという懸念、心配を私は持っているわけであります。

 つまり、稼働率が何%ぐらいになってしまった、売り上げが何%ぐらいになってしまった、在庫調整をしなければいけない、こういう状況下では、まず一番に派遣の人が切られたということはあるでしょう。正規であろうが契約社員であろうが、住宅ローンを組んでいる人にとって、ここは多分、まず一番には残業手当、超過勤務手当が減ってくる。さらに次には、ボーナスが減額もしくはないのと同然になってくる可能性が日本の企業会計上は大いにある。そうすると、ことしの夏のボーナス支払い、これを相当多額で組んでいるというのが普通はサラリーマンの住宅ローンでありますから、ここがちょっと足りなくなってサラ金に手を出すということは容易に見てとれるわけですね。

 さっき国土交通大臣に聞きましたけれども、住宅金融支援機構、旧住宅金融公庫は、いわゆるリスケジュール、返済条件の猶予あるいは変更に応じておる。ところが、民間銀行は基本的には応じない。そのリスケジュールに応じた瞬間に、今度はこれをブラックリストに載せてしまう、こういう機械的な悪循環が今始まっていると言われているんですね。

 一昨日ですか、大きく新聞に取り上げられましたオバマ政権の住宅借り手救済策、きょう資料をつけてありますが、今、日本でここまでやるべきなのかどうなのか、やる必要があるのかどうなのかというのは、もう少し具体的に見てみないといけないとは思います。しかし、旧住宅金融公庫が行っているような住宅ローンのリスケジュール、返済条件の猶予、これを官民挙げて、民間金融機関、とりわけ、公的資金の注入を受けてまだ残しているような機関はちゃんとやるように、これは金融庁の方で何らかの方策をお考えになった方がいいんじゃないんでしょうか、この局面。いかがですか。

○与謝野国務大臣 オバマ政権の住宅ローン対策は、やはり日本では現時点では全く適用すべきではない。むしろ、そのことによって大変不公平が生ずる可能性があるし、モラルハザードも発生する可能性がある。アメリカはアメリカの実情に応じて適切な政策をとっていると思いますけれども、我が国の状況はその段階までには至っていないと思っております。

○仙谷委員 日本の、先ほどコンピューターで一律にわかるようになるというんですが、実は、このブラックリスト、ネガティブリストと言われておるのは、三つのグループで今もう始まっているんですね。

 ここに載せられたら、金融機関がリスケジュールに応じたというふうなことで、そのことを登録するとカードも使えなくなるという状況なんですよ。カードも使えなくなるし、ほかからも借りられなくなる。要するに、サラリーマンとしてというか勤労者としてちゃんと働いて月給をもらって生活をそれなりにやっているんだけれども、カードも使えないし、新たに、子供たちが学校へ入ったからどこかで借り入れをしたいなと思っても借り入れできない。そういう極めて形式的な連動の中に落とし込まれている人が約二百万人とか二百六十万人ぐらいおるのではないかというふうに言われておるんですね。海外にも、カードを持てないからなかなか行けないとか。

 こういう連動についてももう少し詳しく調べていただいて、ここはちゃんと支払っておるんだったら、そんなに形式的な、ネガティブリストに載せて一切の信用取引に応じないというふうなことをやるべきときではない。できれば、そういう人について、企業に行った緊急融資枠というふうなものは三十兆円でしょう、個人レベルに、この種の人たちについてちゃんと保証枠でもつくったらどうですか。そうしないと、サプライサイドには保証するけれども、生活サイドといいましょうか、消費者サイドには保証枠も何にもない。君たちは市場経済というジャングルの中でこういう不始末を犯したんだからしようがないじゃないかということになってはいけないのではないか。

 この局面は、生活サイドにも何兆円かの融資枠をつくって、先ほど申し上げた、都道府県の窓口できめ細かな対応をさせる、融資をさせる。あるいは、ネガティブリストに掲載しようとする人たちも、一定の人たちはネガティブリストに載せない、そのかわりその分については政府が保証する、住宅ローンのリスケについても保証する。このぐらいの政策が必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○与謝野国務大臣 私は、自分の責任でなく自分の経済状況が危殆に陥った方に対しては公がいろいろやるということは必要だと思いますけれども、やはり、自分の見通しを誤った人に対してまで公が責任をとるというのは、社会としてはやり過ぎなんじゃないかと思います。

 今先生が話をされたケースというのは、多分それの境目にある話でして、それをどうするかというのは今後の課題であるということは強く認識をいたしました。

郵貯の資金を有効に活用すべきだ

○仙谷委員 ちょっと角度を変えて聞きますが、総務大臣、ゆうちょバンクは、資産が二百十二兆円、貸し出しが三兆八千億、ただし中小企業と個人向けが百五十一億円。要するに、貸出残額の〇・四%しか貸し出しができていないんですね。この時期、二百十二兆円の資産が、百五十七兆円国債保有をしているだけで、この金が回っていない。この危急存亡のときというかお金が全然動かないというときに、ゆうちょバンクがこのお金を国債にかえて抱えたままじっとたたずんでいる。いかがお考えですか。

 つまり、この金が、政策投資銀行への緊急融資の枠組みであるとか日本政策金融公庫であるとか商工中金であるとか、いろいろなところにもっと自由に貸し出せればいいんじゃないでしょうか。あるいは、今申し上げた住宅金融支援機構が住宅ローンをMBS化する、そのMBSを買い取って、郵貯のお金としてたまっているものを回す。

 これは、どうも法律上調べてみると、総務大臣と実質的には財務大臣、総理大臣、ここが認可を与えればできることになっているようなんですよ。これは、総務大臣、どうですか。

○鳩山国務大臣 仙谷先生御指摘のとおりでございまして、総理大臣となっておりますのは、金融庁長官というか、実質、私と与謝野大臣とで認可すればできる話で、この間、川内委員から、地域の経済をよくわかっているゆうちょ銀行が、少なくとも信用保証がついているものぐらいは貸したらどうかという御質問があって、そのときに私はかなり前向きのお話をしたわけでございます。

 仙谷先生と与謝野大臣のやりとりをずっと聞いておりまして、多重債務者の場合、非常に難しい境目のような方が大勢おられると思いますけれども、移行期間が過ぎたときはどうなるかは別にいたしまして、現在基本的な与信行為というものをほとんどしていないわけです。住宅ローンをやっていますのは、これはスルガ銀行の関係の仲介にすぎないわけでございます。

 それから、ゆうゆうローンというのがありますが、これは貯金の範囲内で貸すだけですから、昔からあります。クレジットカードの場合がほんのわずかな与信にはなっているようでございますが、本来、ゆうちょ銀行は国民生活の向上に貢献することが民営化の趣旨からして非常に重要でございますので、これはゆうちょ銀行でも十分検討してもらいますが、我々、認可申請があった場合はできる限り前向きに考えたいと思っております。

○仙谷委員 ゆうちょバンクがリテール、つまり小口、中小企業とか個人に貸すというノウハウがまだ蓄積されていない、あるいはそういう陣形もないというふうに私も薄々感じているんですね。その場合には、公的な金融機関的な、今はもうほとんど公的な金融機関は許されないということのようでありまして、去年の十月一日に出発進行をしてしまった、ここもまた、この状況下では、私、極めてちぐはぐな話になっておると思うのでありますが、しかし、政策投資銀行なり日本政策金融公庫なり、そして住宅金融支援機構、残っているわけですから、こういうところを相手に固まったものをお貸しして、それでお金を回していくということをお考えになったらいかがですか。緊急措置としてでも、いかがですか。

○鳩山国務大臣 私からゆうちょ銀行に対してそうしろという指示命令ができるものではないとは思いますけれども、今のお話は非常に有意義な面がございますから、検討していきたいと思います。

○仙谷委員 終わります。

○衛藤委員長 これにて仙谷由人君の質疑は終了いたしました。