171 - 衆 - 予算委員会公聴会 - 1号  平成21年02月16日

○衛藤委員長 次に、仙谷由人君。

○仙谷委員 民主党の仙谷でございます。

 時間が余りございませんので、端的にお伺いをしていきます。

 まず、経済、予算に対する評価も含めてでありますが、私自身は、きょうの、十―十二月の成長率がマイナス一二・七%、こういう発表をされたということで、多少衝撃が走っておるようでありますが、これは大方のエコノミストの皆さん方にとっては所与の条件で、この一―三が再び一三%、一四%マイナスになるであろうということも、ほぼ、我々はそれを前提に物を考えなければいけないんだな、この数カ月、そういうふうに考えてきたところでございますので、それほどの驚きはないわけでありますが。

 一昨日、二月十四日土曜日の日経新聞で、上場企業の経常利益、これは四月から十二月までの決算の最終集計をもとにしたものが発表されまして、とりわけ、金融を含む全産業合計のところを見ておりましたら、これは、十二月までですと四兆七千二百八十五億円、マイナス七四・七%。それから、ことしの二〇〇九年の三月期決算を、これは予測値でもあるわけでありますが、二兆二千五億円、つまり、マイナス九〇%という数字が出ておりました。これには少々衝撃を受けまして、つまり、昨年はこれの十倍ですから二十二兆円の最終損益が、つまり利益があったのが、現時点ではマイナス九〇%の二兆二千億円になっている。そうすると、当然のことながら、法人税が同じような比率で連動して下がるのではないかということを考えたわけであります。

 それで、この土曜日の二月十四日の新聞に載っております二月十三日の日経平均、それからPERが六十五倍、それから一株当たりの時価が多分七百十五円ぐらいだったでしょうかという、破天荒な、つまり、経済を分析している方から見るととても考えられないような大きさの振幅、むちゃくちゃな数字が出ておるわけであります。

 私は、これは法人税が一体全体どのぐらいになるというふうに予測をされているのか。つまり、一―三の成長率の問題もありますし、そのことが四月にもたらす影響もあると思いますが、まず、水野さん、中島さん、この点についていかがお考えでありましょうか。

○水野公述人 法人税につきましては、上場企業、全産業の中の製造業は、この日経新聞の報道ですと赤字になっているということでありますから、上場企業のしかも製造業からは法人税が恐らくゼロということになって、あと、非製造業からは九割減というような数字になってくると思いますので、そうしますと、法人税のところは、何兆円減少というのはちょっと予想していませんけれども、大幅な税収減というふうにならざるを得ないんじゃないかな、それは来年度もさらに、恐らく厳しい状態が続くんじゃないかなというふうに考えております。

○中島公述人 私の方も、法人税の計算はしていないんですが、少なくとも、現在の状況、月を追うごとに景気悪化が著しくなっておりますので、今年度以上に来年度が厳しくなる、こういうふうに見ております。
 ちなみに、大企業、中小企業という形で経常利益を分けますと、非製造業の落ち込みというのは今年度並みの一〇%台後半ぐらいの下落かなというふうに思っておりますが、製造業、とりわけ大企業につきましては、やはり八割ぐらい落ちるというふうにウオッチしております。ちなみに、中小企業ですと、落ち方自体につきましても大企業に即応いたしまして、製造業は同じぐらい、非製造業はやや大企業よりも中小企業の方が少ない、こういう形で見ております。

○仙谷委員 私は、今年度予算の大問題は、予算を組む前提として、ことしの一月十九日に経済財政の中長期方針と十年展望というものをつくった。その中で、端的に数字でいいますと、二〇〇九年度の名目GDPは五百十兆円になるだろう、二〇一〇年度は五百十九兆円になるだろう、あるいは二〇一一年度は五百三十兆円になるだろう、これが世界経済順調回復シナリオのもとでの数字であります。先ほど水野さんがおっしゃった、四十五兆円、要するに名目GDPが減っちゃうんだ、こういう話になりますと、このシナリオの根底が完全に崩れるんではないかというふうに私は見ております。
 それで、先ほど、これを法人税の方からいいますと、昨年の、つまり今年度の法人税収入予測は十六兆円だったわけでありますが、これが六兆円マイナスで、これを補正予算で補っておる。ことしは、その六兆円マイナスの十兆円という法人税収の予定で予算を組んでおる。だけれども、多分、今のお話を、余りあからさまにおっしゃいませんでしたけれども、私のこの数字を前提にする限り、つまり二〇〇九年三月期末決算の数字を前提にする限り、九〇%マイナスということに連動するかどうかは別にして、少なくとも十兆円が二兆円ぐらいになるんではないか、私はそういうふうに頭の中で計算をしております。
 つまり、何がお伺いしたいかといいますと、この中期展望なるもので想定した姿というのは、果たして現時点において妥当性があるのか、この点についてお伺いしたいと思います。

○水野公述人 今御指摘の、名目GDPが、〇九年から、さらに一〇年、一一年度と五百三十兆円の方に向かっていくというのは、私は相当厳しい状況にあると思います。
 もう既に、きょうの一二・七%を入れて、一―三月が、ほかの指標からほぼ同じぐらい落ち込むという、あるいはそれ以上だと思いますが、それで計算して、実質ベースで四十五兆円なんですけれども、名目でもほとんどデフレーター伸びていないですから、名目も同じだと思います。そうしますと、四十五兆円を取り返して、これから新しい年度の〇九年度、一一年度と、今度は五十兆円プラス。そして、五十兆円二年間でプラスになっていくということは、ことしの夏ぐらいからV字形に欧米が回復していくということを前提にしない限り、非常に私は難しい状況になってきているというふうに考えております。

○中島公述人 今おっしゃられたGDPなんですけれども、政府の見通しが策定されましたのがことしの一月の中旬でございます。それで、その中におきましては、来年度後半の民間需要の持ち直しということが想定されております。
 確かに景気の状況というのは日々深刻な状況にありますけれども、ただ、底入れということで考えますと、少なくとも欧米につきましてはことしの半ば過ぎぐらい、これは経済対策も含めてということで見込まれております。日本につきましては、それに沿いまして、輸出主導でございますので、輸出の面から、年度後半ぐらいには少なくとも底入れはするだろう、こういうふうに見ているということでございまして、私ども自身の見方もこれに呼応しております。
 一方、GDPの額、それから法人税の額ということですけれども、現在の状況につきましては、月々深刻度が増しておりますので、一月近くたった現状におきまして、特に、GDPの発表が本日ありました現状におきまして下振れをしているということは、これは間違いございません。
 他方、法人税の方なんですが、十兆円が二兆円になるのではないかというお話でございますけれども、国内の方につきましては、確かに赤字企業が出てくるということはありますが、他方で黒字企業、特に内需型あるいは輸入企業という中には黒字を維持する企業も何割かあるわけでございます。したがいまして、プラスマイナスいたしますと大きく利益が減るという数字になりますが、黒字企業はそれに呼応いたしまして法人税を払うということになりますので、極端に大きく減るというふうには考えてはおりません。

○仙谷委員 両説あるわけでありますが、私は、要するに、成長率至上主義とか数量の、名目GDPをどのぐらいに穴埋めしなきゃいかぬとかという財政経済政策そのものがやはり問われている時期になってきたなと改めて思っておるわけであります。
 田中さんにこれからお伺いするわけですが、つまり、新しい公共をつくり出すんだ、そういうコンセプトでこの間随分御活動を、あるいは研究をされてきたようでございまして、敬意を表したいと思うのでありますが、おっしゃられたことの中で、なぜNPOが下請化せざるを得なかったのか、あるいは、なぜ自立性のあるNPOが育たなかったのか。ある意味で、きょうおいでいただいている湯浅さんのNPO法人は極めて自立的な活動を展開しているということでありますけれども、なぜこうなってしまったのか。つまり、安上がりの行政サービスといいましょうか、公共サービスの代替物として安上がりにやろうということで使われてしまったと。これは、特に地方都市といいましょうか地域社会に行くとそういう傾向を私もひしひしと感じるんですが、この行政の下請化、あるいは、どうして自立的なNPOが今のところ立ちどまっているというか停滞しているのか、この点についてもう少し突っ込んだお話をいただければと思います。つまり、何をすればもう少しNPOが元気を出して、自立的な、自主的なNPOが生まれるのかということをお伺いしたいと思います。
 この点、湯浅さんにもお伺いしたいと思うんです。

○田中公述人 御質問ありがとうございます。
 下請化ですから、元請と下請がありますので、結局、事業を発注した側の行政側にも、それからNPO側にも原因があると思います。
 行政側に関しましては、まさにこの十年というのは官から民へということで、できるだけ行政業務を効率化して支出を削減しなければいけなかったので、アウトソーシングをせざるを得なかった。そのときに、比較的安く発注ができる対象という中に、しかも公共的なゾーンで一緒に働いているのがNPOでありますので、アウトソーシングの対象となりやすかったというのがあります。
 ただ、実際に地方に行きますと、本当に安い下請というのが目につきまして、私が知っているところでも、九州の地方ですけれども、百二十万円で、ある施設の館長をやってくれ、常勤をやってくれという話で、その積算の根拠は何かと聞いたら、役所の中の非常勤の一番下のランクの単価で計算されているんですね。それではとても生きていけないということで、一たんは断ったというケースもあるんですけれども、一つは行政側の問題があったと思います。
 それから、NPO側の問題でありますが、やはり自己資金をなかなか集められなくて、確かに、寄附を一つ一つ集めるというのはとても手間がかかることなんですね。それで、行政のお金であれば、百万、二百万、あるいはもっと大きな金額をまとまって一回で集めることができますので、そこに飛びついたというところがあると思います。
 それからもう一つは、やはり日本人のメンタリティーとして、お上の仕事をするということはお墨つきをいただけるということで、何となくそれで信用を獲得できたんだと思いがちであったということが一つあると思います。
 ほかにもいろいろ原因はあるんですけれども、原因としてこれを列挙したいと思います。
 では、どうしたらいいのかということなんですが、私はアウトソーシングそのものを否定するつもりはありません。まず、行政の委託とか協働そのものが悪いというわけではなくて、やり方を見直すべきだと思います。
 それは、一つは、まさに価格の妥当性というのをもう一回見直してほしいということで、実際に市場化テストは、NPOは受けていませんけれども、こういうものをリサーチしても、企業もとても予定価格を下回れなくて、結局ギブアップしてしまった、落札できなかったというケースも散見されるところ。やはり、官から民へはよかったんですけれども、価格の妥当性についてもう一回議論をしていただきたいということであります。
 その上で、NPOはどう自立していくのかということなんですが、私は、租税をベースにしたゾーンだけで活動していては自立はできないと思います。自分たちの足元というのはかなり資金源に左右されるところであるんですが、市民からもボランティアのような無償の役務それから寄附を集めることによって、初めて民を下敷き、ベースにして自立ができるだろうと思います。

○湯浅公述人 ありがとうございます。
 私たちの経験を言うと、内々に三回ほど委託の話はあったんですが、やはりお断りしたんですね。それは、とにかく一〇〇%青写真がもう決まっていて、それのとおりにやらないとだめで、こちらはいろいろ意見を出したんだけれども、結局全部けられてしまって、行政サイドがつくった青写真に一〇〇%乗るか、それかゼロかというような感じだったので、残念ながらお断りしたというようなことがありました。
 でも、そうだとすると、今、田中さんがずっとおっしゃっていたように、やはり私たちは寄附で回すしかなくて、確かにそれは日本のように寄附文化がないところではきついです。もやいも非常勤のスタッフが何人かいる程度ですから、みんな月十万で、今の年間百二十万でやってくれという話と、委託を受けても百二十万、自分たちでやろうと思っても百二十万、似ているな、どっちもきついという感じなんですけれども。
 ただ、もやいは、去年はかなりたくさんの寄附をいただいて、派遣村をやったときも相当寄附をいただきました。
 そういう意味では、やはり、こういう状況はおかしい、何とかしなきゃという人たちの気持ちをある程度形にできればお金は集まると思って、それが、今田中さんがおっしゃったような公共ということなのかなとも思いましたけれども。私たちはそれを通じて社会の信頼ですね、私、非常に深刻なのは社会不信みたいなものが広がっているということであって、社会に対する信頼、自分が何か言うことをだれかが受けとめてくれるとか、自分のことをだれかが気にかけてくれているとか、そういう社会の信頼を回復していくのが私たちの仕事の一つだろうと思っていますので、それをやることで何とか寄附も含めた理解を得ていきたいと思います。ただ、税控除など法制度上の支援はそれは欲しいですので、やはりそれも含めて検討していただければと思います。
 ありがとうございます。

○仙谷委員 実は、湯浅さんおっしゃる防貧の問題、救貧の問題も、私自身は役所的に何か対応策をとれば何とかなるというふうに最近感じていないんですね。
 つまり、一つは、二〇〇七年の段階で既に多重債務者の問題について、これは総理大臣官房で対策本部をつくって、生活再建だったか再生、セーフティーネット貸し付けをこうしよう、これは都道府県に丸投げしたんですね。一つは相談窓口が大事だ、まさにきょうおっしゃっているように、どこへ相談に行ったらいいのか、これが大事だ。これは、多重債務者の問題のみならず、今度はそれが雇用というか生活そのもの、居住にまで及んできたということでありましょうが、相談。
 そして、具体的にお金を、少額のものを貸し付ける。日本版グラミン銀行をつくるべきであるということは金融庁までそのときに言ったんだけれども、これはだれも実行ができない。ただ、二十年前から存在する岩手の信用生協というところだけがやっているという。十五億円東京都が予算をつけたのに、たった三件しかこの一年半で貸付額がない、何なんだと。多分、ここは今湯浅さんがおっしゃられた、NPOと共同で行うにしても、官僚的基準をつくって身動きとれないようなひもつきにして委託をしようとするものだから、委託を受けた方も身動きのしようがない、結局進まないということなんだろうと思うんですね。
 そういうことを踏まえて、湯浅さんに、先ほどの基金をつくってくれ、基金をつくって、だれがどのように基金を使いながらやればいいのか。基金の額が、頭の中で計算してみますと、一人当たり二十万円ぐらいランニングコストを含めて用意すればいいのかな、十万人ならたった二百億だなと、ぽんぽんと頭の中に来ているんですが、大体見通し、その金額とか、あるいはどのようなやり方で相談に応じ、緊急の貸し付けに応じ、やればいいのか、これをちょっとお伺いしたいんですが。田中さんもうなずいていらっしゃるので、NPOの観点からお話をいただければと思います。

○湯浅公述人 ありがとうございます。
 確かに行政だとなかなかうまくいかない面があるというのはありまして、私たちは、もやいでアパートに入るときの保証人提供をやっておりますが、八年近く、七年ぐらいで千四百世帯の住所不定状態の人の連帯保証人になってきました。この数というのは、東京都や二十三区が行っている民間住宅の入居支援サービスの全部を足したよりも多いんですね、私たち一団体の方が。では、トラブルがすごい、無審査でもうトラブルに満ちあふれているかというと、事故率みたいなものは極めて少ない。東京都がやっているホームレス対策事業のあれよりも少ないです。
 つまり、ある程度きめ細かく対応することができると、言っているほどのお金もかからないし、トラブルにもならないというところで、そういう知恵を生かしていただいて基金のことも考えていただければと思うんです。
 十一ページに先ほど出したような図で考えていますが、私たち自身が大きなお金を分配することはとてもできませんので、それは国が私たちの意見も聞いてくれるような形で枠組みをつくっていただきたいと思っています。
 実際、何に使うかということなんですけれども、やはり雇用保険から漏れちゃっている人が相当おられるんですね。これは現場にいるとすぐわかるんですけれども、それは、現場の実態を知らないと、制度はあるじゃないかということでなかなか見えないんですが、しかし、実際はそうです。
 その人たちが、雇用保険を受けている人たちとの均衡などを考えたら十五万から二十万とかという金額になるんでしょうが、そういうものでとりあえず、ある程度の期間生活を支えられる、そういうことがあれば、生活保護まで行かなくて済むわけですね。そうやって、また仕事につける。
 今行われている就職安定資金貸し付けも、相当いい実績を残しておられます。私もあれは評価しているんですが、いかんせん、最初にそろえる書類の関係とかがあって、二週間とか三週間、結局かかっちゃうんです。その間の生活費がもたないという事態がありますので、これに対するつなぎのお金ですね。
 それから、あとはセーフティーネット資金貸し付け、緊急小口のお話をしましたが、先ほどおっしゃられたように、せっかく一昨年九月に十万円まで上げて、もっと公的融資制度を整えようと言ったんだけれども、実績はさっき言ったようにほとんど広がっていない。これでは、それこそどこからもお金が借りられなくて貧困状態の人は、やみ金に行くしかないような状態になってしまいます。なので、そこを支えるためには、やはりそういうつなぎのお金なども充実させる必要がある。
 そうやって、現場では、ここに穴があいちゃっているというのが見えていますから、ぜひ聞いていただいて、そこの穴を埋めていただくような使い方をしていただければ、私は、何か五百億も一千億も要らないだろうと思っています。

○衛藤委員長 公述人田中弥生君、時間に制限がありますので、簡潔にお答えをお願いします。

○田中公述人 はい、わかりました。
 まず、二つに分けて御説明申し上げたいんですが、日本版グラミン銀行の失敗については、何かよくわかるような気がするんですが、多分、形をつくって魂が入らなかったんだろうなと思います。グラミン銀行がうまくいったのは、形というよりも、まさに住民のボトムアップからつくっていた内発的なものだったのですね。そこをどこまで拾い取ることができたのかというのが疑問であります。
 そして、基金の運用でありますが、理想的には、NPOで頑張って、民間のイニシアチブで頑張るという器が一番ベストでしょうけれども、それがかなわないとすれば、やはり官民共同の何か基金だと思います。日本には幾つかそのような例がNGOにもありますが、一つ私が課題だと思うのは、そのときの収入の比率を、今、官が九割、民が一割ぐらいのような状況では、やはり民のイニシアチブというのは発揮できませんので、民間からの寄附の比率というのを五割、六割以上担保するという形での共同の基金のあり方というのはあるかもしれません。

○仙谷委員 四人の参考人の皆さん方には、貴重な意見をいただきまして、ありがとうございました。
 終わります。