2月6日予算委員会

次に、仙谷由人君。

○仙谷委員 民主党の仙谷でございます。

日本経済をどう立ち直らせるか
政府の認識と財政計画を問う

 きょうは、まず、現在の経済問題等々についてお伺いしたいわけでございますが、日銀総裁にお出ましをいただいております。大変お忙しい、そして厳しい経済情勢の中で、時間をおとりいただいてお出ましをいただいたことに御礼を申し上げたいと存じます。

 そこで、まず、白川総裁にお伺いしたいわけでございますが、この間、日本銀行が一月に展望レポートというのを出されまして、実質GDPの見通しというものを、二〇〇八年度、つまり三月に終わる会計年度について、マイナス二%からマイナス一・七%というふうに変更されました。十月時点では、プラス〇・一からプラス〇・二%、つまり、〇・一、二であるけれども成長をするだろう。ところが、ほぼ二%近くも、一・七ぐらいでしょうか、下方修正をされた。これはどういう認識に基づいてされたのか、この点についてまずお伺いをしたいと存じます。

○白川参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおり、日本銀行は経済の見通しを大変今厳しく見ておりまして、見通しの数字も大幅に下方改定いたしました。この背景にあります最も大きな要因は、世界経済がリーマン破綻以降急速に成長率を落としていっている、それから、その背後に、金融システムと実体経済のいわゆるマイナスの相乗作用というものが強く働いているということでございます。

 もう少し具体的に申し上げますと、まず輸出が、この第四・四半期、急激に落ちました。それから、金融の面でも、企業金融の方が逼迫をしてきて、それがいろいろな形で経済に下押し圧力をかけてくるということになりました。これは日本だけではなくて世界各地で今起きておりまして、この三カ月間の経済活動の低下の程度というのは大変厳しいものでございました。

○仙谷委員 今、急速にというお話がございました。

 私どもも、昨年の日銀総裁の同意人事のときに、アメリカの住宅バブル、住宅ローンバブル、それで、サブプライムローン問題は必ずクラッシュというような状況になるだろう、したがって、だからこそ国際的な視野のもとで金融問題を見ることのできる総裁でなければならないんだということを申し上げてあって、そして、白川総裁の総裁人事に同意をさせていただいたという経緯があります。

 ただ、そのときの我々の認識を振り返ってみますと、こんなにスピードが速く急降下する、ここまでは想像の範囲の外であった。それから、ヨーロッパがここまで悪いという認識は私どもにはさすがになかった。アメリカは、ここまでバブルを増幅させ、不均衡を拡大していくと、やはり大きな調整にならざるを得ない。先般の十二月の予算委員会の審議でも、過剰消費、経常収支の赤字、これの調整のもたらす意味というのは大変大きいだろうというふうに申し上げておいたわけでありますが、現にそこのところは当然そういうことになって、その影響も日本は大きく受けざるを得ない。

 きょうのこの質疑に、総裁のところまで渡されているかどうかちょっと疑問なんでありますが、資料は行っていますか。(白川参考人「はい」と呼ぶ)資料1-1、2、3というところが経済問題に関するとりあえずの資料でございます。この資料の1-3というのをごらんください。

 A、B、Cというふうに書いてあって、予想一株利益というのがございます。実は、昨日の日経平均をもとに現時点での予想一株利益を計算すると、二百三十一円十八銭ということになるはずであります。PER、株価収益率は、昨日時点では三十四・〇九という数字になるはずであります。二月四日の時点では二十八・七三。日経平均はそこに書いてございませんが、二月五日では七千九百四十九円六十五銭だった、こういうことになると思います。

 このことの持つ意味というのは、私は大変大きいんだろうと思っております。現に、企業収益が三月末決算について発表されておりますけれども、大変、やはりいい発表というのは割合として少ないと見ております。

 ここで、このことの金融機関にもたらす意味ということをお話しいただければと思います。

○白川参考人 お答えいたします。

 金融機関は本来、預金を集めて貸し出しを行っていくという企業でございますけれども、現実の金融界を見てみますと、抱えているリスクの中で最も大きなリスクは何かと申し上げますと、実は、貸し出しに伴う信用リスクではなくて、株式の保有リスクというものが最も大きいというのが日本の金融界の特徴でございます。株価が下落してまいりますと、さらにこの先株価が下落するのではないかということに対する不安が、どうしても金融機関の経営者にとってこれは大きな不安材料になってまいります。

 つまり、先行きの経済を予測した場合に、平均的な姿がどうかということも、もちろんこれは心配でございます。先ほど委員が御指摘のとおり、経済が下押しをしていくということで平均的な予想も下がっていくんですけれども、それ以上に、今度株価がさらに下落した場合に、金融機関の経営状況がどういうふうになっていくのか、つまり自己資本の状況がどういうふうになっていくのかということに対する懸念が増してまいります。私どもは、そうした金融機関にとっての株式の保有リスクというものが高いというふうに思っております。

 先般、日本銀行が決定いたしました株式の買い入れの措置も、これは異例ではございますけれども、そうした最悪のリスクというものに対する備えとして導入したものでございます。

○仙谷委員 そこで、今の総裁のお話を銀行の財務内容からちょっとごらんいただきたいのでありますが、これはまず資料1-2をごらんいただきたいと思います。

 これは、今総裁がおっしゃった有価証券の含み益、含み損を、有価証券報告書、メガバンク三行についてのみ拾い出して、改めて計算をし直したものであります。

 国内株式、国内債券というのをやってみますと、二〇〇七年の九月期には、国内株式が、一番下の段の国内株式というのを見ていただければいいと思うんですが、時価が十六兆五千億、そして含み益は六兆九千、七兆円ぐらいあったというふうに解釈ができます。ところが、昨年九月、このときにはそれが、十六兆が十一兆六千になっているということであります。したがって、含み益は二兆四千にまで、つまり約四兆五千億ぐらいこの一年間で飛んでいるということであります。

 ちなみに、その時点での日経平均を申し上げますと、二〇〇七年の九月三十日は一万七千六百円、二〇〇八年の九月三十日は一万一千二百七十円、現在は七千九百四十九円、こういうことになるわけであります。

 資料1-1に返っていただきたいんでありますが、そうしますと、これは昨年の九月三十日の段階、つまり日経平均がまだ一万一千二百七十円あったときの自己資本、自己資本の欄を見ていただきたいんですが、自己資本がどうなったか、こういうことであります。

 そのときに自己資本は、これは下の方が七年で、上の方が八年、つまり、三菱東京UFJでいいますと、Q三〇八と書いてあるのは八年の第三クオーターということでありますから、九月末ということになるんだと思いますが、一兆五千八百二十億円、一年間で自己資本が減っている、こういう有価証券報告書になっている。あるいは、同様に、みずほも一兆五千億、三井住友は千九百八十億これが減って、三行合計しますと、三兆三千三百六十億円の自己資本が減っている。ちなみに、三行合計の自己資本は十九兆二千六百八十四億円ということになるわけであります。

 今、株価の問題を申し上げましたけれども、こういうふうに、そしてまた細かく見ることのできる人は見ていただければおわかりになると思いますが、純利益が各行とも割と、一年間の間にはまあまあ稼げたのに、自己資本が減っているというのが見てとれると思います。つまり、保有株式の問題が一番大きいのではないかというふうに推測をしておるわけであります。

 そこで、日銀の方で、一兆円ですか、銀行の保有株式の買い取りということをされたのでありますけれども、現在の、きょうお示しした1-2あたりの時価というのを見ていただくと、三行合計で、お持ちの株式の時価は十一兆から、当然のことながら、一万一千二百七十円から七千九百四十九円になっておるわけですから、パラレルな数字でよくわかりやすいと思うのでありますが、これはもう八兆円ぐらいになっているんじゃないか、こういう推定が働きますね。そうすると、この際、もうリスクの多い保有株式を日銀が全部買い取るぐらいのことが必要なのではないか。つまり、一兆円程度ちょびちょびと買い取っても、これは余り役に立たないというか、どうなるかわからないリスクが大き過ぎるのではないか、こんなふうに思うんですが、いかがでございましょうか。

○白川参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、金融機関にとって株式の保有リスクというのは大変大きな問題でございます。

 日本銀行は、一兆円を上限として買い入れを再開いたしました。中央銀行は、こうした異例の措置をとるときにいつも意識しないといけないことは、一つは、中央銀行の一つの大きな使命である金融システムの安定をどう維持するかということ、これは当然でございます。だからこそこういう買い入れを行ったわけでありますけれども、同時に、中央銀行の行動それ自体によって市場経済を大きくゆがめてしまうということは、これは適切でないというふうに思います。

 したがいまして、これは二つの意味合いでございまして、一つは、大きく買い入れて、その結果、中央銀行、日本銀行の資産内容を大きく劣化した場合には、これは、単に日本銀行という組織にとってではなくて、国民にとって、最終的に円に対する信認というものに、国民の持っている円に対する信認に対し悪影響が出てくるというものでございます。

 それからもう一つは、個別企業の株式を日本銀行が非常に大きく抱えますと、今度は個別の信用配分に中央銀行が大きくかかわってくる、これはやはり市場経済の原則をゆがめていくということでございます。

 そうしたことのバランスをとりながら、一兆円という限度を設けました。

○仙谷委員 十二年間も極めて異常な超低金利を続けてきた、このことが、多分、日本の総資産利益率といいましょうか利潤率を下へ引っ張っている。幾ら上げ潮であろうが、財政規律であろうが、財政出動であろうが、やってもやっても、マーケットの金利の機能というのを殺している限り、経済が成長するなんということを考えるのは浅はかというものだと私は思っておりまして、かねがね、日銀の国債引き受けというものについて、特にマーケットで買っているとおっしゃるんだけれども、毎月毎月一兆二千億買う、このことが市場の原理を、あるいは市場の機能をゆがめている、成長を妨げているというふうに批判をしておるわけであります。

 しかし、異常な事態を十二年続けてきて、この極端なクラッシュ状態といいましょうか状況の中で、さらに異例なことをなさるということであれば、ここは危機管理の問題というふうにとらえれば戦力を逐次投入してはならないと改めて思うんですね。もっと思い切ったことをやらなければ。

 ただ、ここで重要なのは、マーケットをゆがめ、いつこれを脱却するのかという戦略を持っていないと、いつまでもずるずる超低金利を続けたこの失われた十年のように、あるいはもっと悪い状態をつくり出すかもわからない。やるときには逐次投入じゃなくてどんといくということと、それと出口戦略を持ってやっていただきたいと思います。

 御見解だけ伺って終わります。

○白川参考人 お答えいたします。

 私ども、今、戦力の逐次投入という御批判がございましたけれども、そういうふうには認識しておりません。現在起きています日本経済の厳しい状況というのは、これはもちろん日本経済固有の要因もございますけれども、しかし、世界経済全体としての金融経済の大きな変動の影響をやはり受けているというふうに思います。

 そういう意味では、まず大事なことは、これは日本銀行もその一つでございますけれども、世界経済全体の立て直しというものがやはり必要になってくると思います。

 その中で、日本銀行の対応ということでありますけれども、金融機関の問題は、実は株式の問題だけではございません。これは、株式は一つのきょうのテーマではございますけれども、こういうふうに金融の機能が低下してまいりますと、今度はそれが実体経済に影響することになります。それは最終的には、委員御指摘の自己資本の問題になってまいります。

 これは、単に日本銀行が思い切って株式を買い入れれば解決するという問題ではございません。先般、政府の方でも、金融機能強化法という法律が提案され、これが通って、自己資本を投入するという枠組みもできております。そういう意味で、株式の下落に伴う自己資本の問題、それに対する政策的な備えという意味では自己資本注入というものがございます。

 いずれにせよ、日本銀行としては、異例の政策を行っている以上、出口をしっかり考える必要があるということはおっしゃるとおりでございます。時間の関係で詳しくは説明いたしませんけれども、CPの買い入れにしましても、それから株式の買い入れについても、その出口はしっかりと意識しながら政策を遂行していきたいというふうに思っております。

○仙谷委員 では、白川総裁、私の方はもう結構でございますので、どうぞお帰りください。

厳しい企業業績のなかでとるべき経済政策とは
安易な埋蔵金だのみは財政を破壊する

 政府の皆さん方に申し上げたいのは、実は、きょうの日経平均から見る一株当たりの予想利益から推しはかる株価、つまり、PERが三十二だったですか、これは異常なんですね。ヨーロッパ平均、アメリカ平均では大体十と言われていますね、予想利益の。日本は大体、今そこにお出ししているデータを見ていただいたらわかりますが、この間十五ぐらいで来ているわけですね。それが三十二になっている。つまり、値打ちが、予想利益から見る限り、今の株価は倍ついているということであります。

 そういう今の企業業績等々を見ても、大変厳しい。つまり、一年で景気回復するかのような話で、その中核たる経済政策が二兆円の定額給付金というのでは、これは方向も間違っているし、金額もほとんど意味のない金額ということになるぐらい、大きい、大不況というふうに言ってもいい。

 つまり、企業業績から見る限りはそういうふうに推測せざるを得ないというふうに思うのですが、それを、二兆円の定額給付金の問題と、手柄のように埋蔵金を掘り出してきたことをおっしゃるという、これは一体何なんだというのが私どもの感慨でありまして、何か一生懸命与党の方々がなさるのはいいんだけれども、白けてしまうんですね、これは。おいおいおいという感じでなってしまうということであります。

 私は、きょう、埋蔵金問題では、財政論ではなくて政治論をちょっと与謝野さんと行ってみたいと思います。

 与謝野大臣が「堂々たる政治」で堂々と本を出されておるわけですね。この中で、民主党の議論は、埋蔵金があるという議論は、要するに無駄があって、それをちゃんと無駄をなくすれば相当財源が出てくるという議論は、国民を煙に巻く罪深い議論であると。それから、中川秀直元幹事長については、埋蔵金は存在するという立場で、その埋蔵場所として挙げたのが財政投融資会計や外国為替資金特別会計であると。これは、財投会計が二十兆円で外為特会が十七兆円、合わせて三十七兆円、これが自由に使えれば確かにありがたい、しかし残念ながらこれは幻想にすぎないということをおっしゃっておるんですね。

 資料の2-1と2-2に、これは財務省からいただいた資料をここへつけてあるわけでありますが、これは、皆さん方、定額給付金やそれから国民年金の基礎年金部分の三分の一を二分の一にする恒久的な財源をつくるというもの二兆三千億円に自由に使っている、こういうことなんじゃないんですか。幻想じゃなくて現実に自由に使っちゃった、こういうことなんじゃないんですか。与謝野さん、どうですか。

○与謝野国務大臣 もう仙谷先生はよく御承知のことなので、改めて申し上げる必要もないことだと思いますけれども、埋蔵金というのは埋め隠されているというお金でございまして、そういう意味では、日本の財政の中には幾つもの特別会計がありますけれども、この特別会計はいずれも数字が公表されております。

 ただし、手をつけてはいけない特別会計と、手をつけるときにはよほど考えながら手をつけなきゃいけないという特別会計と、私は自分の頭の中では二種類に分けております。

 例えば、年金の積み立てのお金、これは百数十兆ありますけれども、こんなものには決して手をつけてはいけない。それから、いい例かどうかは別にいたしまして、地震保険特会、これは大地震が来たときの準備のお金ですから、容易に手はつけられない。

 外為特会のお金は、一般会計に一兆数千億ずつ入れておりましたけれども、これは、外為特会が円安プラス運用によって一応お金が余っているという、いい状態のときの話でございました。

 今回使いました財政投融資特会は、国が安いお金でお金を借りてきて高い金利でお金を貸して得た、いわば金融収益の塊でございまして、それについては、今までは、ここで余ったお金はストックからストックへという原則で国債整理基金に入れておりましたけれども、こういう非常事態であって財政が苦しいときに、ストックからストックへという原則を変えさせていただいて、これを財政支出に使わせていただくということも、非常事態には辛うじて許されることではないかと私は思っております。

○仙谷委員 さらに続けて、「社会保障費という日常の出費に充てていいものではない。」と。これは社会保障ではないのかもわからぬけれども、社会保障的じゃないですか。一生懸命、生活支援だ、生活支援だ、生活防衛だといって二兆円の定額給付金をつくったわけでしょう。それの財源手当ては、この財政投融資特別会計じゃないですか。

 さらに申し上げると、外為特会は「為替変動リスクに備え、為替介入などの原資となるものだ。いわば家計における保険料のようなもの。食費が足りないからといって使っていいものではない。」と。

 きょう提出した資料2-2を見てくださいよ。財務省理財局でも、評価損が二十八兆二千億、二十一年の一月末時点で。為替が、つまり円のレートが九十円になったらこうなるんだと。正味の積立金が、十七年、十八年、十九年度末はプラスなんだけれども、今回はマイナス八・六兆円になる。ところが、ここから一兆八千億を使うんでしょう。

 こういうことをへっちゃらでやりますと、今まで、与謝野さん、私は随分立派な御見識だなと思って尊敬をしていたんでありますけれども、信頼もしていたんでありますけれども、みずからが、いわば総裁選挙に出る前段階に発表されたこの「堂々たる政治」、これの中で言っていることと真逆のといいましょうか、正反対のことを政策担当者としてなさるというのはいかがなものか。

 きのう、総理は、実は私は郵政民営化には反対だったんだ、だけれども法案提出のときには総務大臣としてサインをした、こんな話がどこにあるんだと私は思っているんですね。

 きょうは、この埋蔵金なり、いわゆる特会の剰余金さらには積立金、こういうものを民主党が言うのはこれは幻想であってけしからん、我々は勝手にやれるんだ、こんな理屈がどこにあるんですか。政治家として、もっとけじめをつけなければいけないんじゃないんですか。体を張ってこんなことをやめさせる、それが僕は与謝野さんの役目だったと思いますよ。

 どうして、麻生総理の郵政民営化のときの態度と同じような、こんな緩い、モラルハザードに満ち満ちたことになってしまったんですか。お答えください。

○与謝野国務大臣 財融特会の金利変動準備金というのは、金融収益、要するに、安い金利で借りてきたお金を高い金利で人様に貸して得た収益でございますから、これは人からお預かりしたものではない。ただ、今までは、こういうものは国債整理基金に入れて将来の借金返しに備える、こういう原則であったわけでございます。

 しかし、いろいろな一次策、二次策をやっていく上について、財政窮乏の折、この特別会計の中で、国債整理基金に本来は入れるべきだ、そういうふうに考えるのが今までの正しい考え方であったと思いますが、私は先ほど申し上げましたように、こういう異常な時期、財政も窮乏しているというときには、このお金がどこから出てきたということを考えれば、これは辛うじてお許しをいただけることではないかと思っております。

 もとより、原則はストックからストックへというのが私は原則であると思っておりますけれども、異常な事態のときにこのお金を使うということは、現在の経済の状況、財政の状況からして、辛うじてお許しをいただけるのではないかということを先ほども申し上げたわけでございます。

政策を変更するなら総括をし、
国民に説明しなければいけない

○仙谷委員 それでは、「堂々たる政治」のところで堂々と述べたことは、実はこういう留保つきでした、こういうときにはこれは使っていいんですということを言わなきゃいけないんじゃないですか。

 やはり、自民党のこの間のやり方を見てみると、総括がないんですよ、総括が。経済政策にしても金融政策についても。いいとこ取りをする、そして野党の批判をすることに非常なエネルギーをかける、このやり方では国民は信頼を置けないということだと思います。

 今ストックからストックへとおっしゃった、私もそう思います。つまり、いわゆる埋蔵金と称される剰余金や積立金で、もし財政上これを活用できるとするならば、それは正しく処理しなければならない。正しく処理するということは、そのことを表に出して、この財政投融資特別会計のこれは国債整理特会に繰り入れる、そしてお金が必要だったら堂々と赤字国債を発行する、このことを国会にも国民にも示さないと。国債発行額の名目、額面だけを少なくするためにこういうやり方をする。我々は国債をこの程度しか発行していません。同じじゃないですか、結局、借金がふえているのは。こういうB勘定みたいなやり方がよくない。

 そのときには、今まで言ってきたことは間違っていました、今までやってきたことのここが間違いでしたということを謝らないと、国民はわかりませんよ。けじめがつかないじゃないですか。急に消費税の話が出てきたり、あるいは消費税の話を、例えば我々が年金目的税を申し上げたときには相当批判しましたね。与党でありながら、政権の責任運営をしなければならない政党が右往左往する、理屈も論理性もないというのが一番困るということを申し上げたいと思います。

 この問題の最後に、与謝野さんがおっしゃっていること、「積立金にまで手を出すというのは、短期的には良くても、結局「国民の財産を売ってしまう」のと同じである。お金に困ったからといって、働かずに資産を売り飛ばす商家の二代目ボンボンみたいなもので、それではいずれ店は潰れてしまう。」こう言っているじゃないですか。

 この言葉をかりるとすれば、こんな埋蔵金を定額給付金みたいなものに使う、あるいは国民年金の二分の一の国庫負担に使う、これはとんでもない話じゃないですか。二代目ぼんぼんみたいな話じゃないじゃないですか。二代目ぼんぼんそのものが国をつぶしてしまうとあなたは言っているじゃないですか。そうでしょう。もうお答えは要りません。(発言する者あり)答えられますか、そんなことに。気の毒だからやめているんじゃないですか。では、どうぞ。

○与謝野国務大臣 要するに、私が申し上げているのは、売り食いをしながら何とか家計のつじつまを合わせるようなことはだめだということを申し上げているわけでして、やはりその根底には、民主党の御協力もいただきながら税制の抜本改革をやらないとだめだ、とりあえず国有財産を売ったりあっちこっちのお金に手をつけるというのは本来の財政の姿ではないという信念は、いささかも変わっておりません。

○仙谷委員 そうだとすると、その信念に基づいて政治家として事を処すとすれば、こんな内閣は早くやめなきゃいかぬじゃないですか。それだけの話ですよ。株価をとめなきゃいかぬ、とまらないんだったらやめなきゃいかぬ、それだけの話だと私は思います。

定額給付金は法律の根拠がない

 次、定額給付金の法律問題について、先般、統一見解を出せと言ったら、統一見解を出してきました。資料3-1です。どうぞお読みください。こんなふやけた解釈が私はあるのかと思って、改めて感心したのでありますが。

 鳩山大臣、この「地方財政法逐条解説」というのをごらんになりましたか。読みましたか。つまり、地方財政法のコンメンタールというか解説書、これぐらいしかないんですよ。これは例の石原信雄さんと二橋正弘さんがお書きになっている。つまり、これしかない。いわば総務省のお役人の方々は、多分相当これに依拠して物事をなさっているんだと思うんです。読みましたか、十六条の解釈のところ。どうぞ。

○鳩山国務大臣 先生から御質問があるというので、先ほど簡単なレクを受けました。

○仙谷委員 資料3-2-2につけてあります。本来、十六条の補助金というのは、奨励的補助金、援助的補助金、こんなものはやめなきゃいかぬという補助金だというのがこの間の分権改革の流れだったわけでしょう。

 見てください。資料3-2-3、このページをごらんになってください。ずっと飛ばして二と書いてあるところの、つまり百七十二ページの後ろの三行を読んでごらんなさいよ。「国が期待する施策であっても、できる限り地方公共団体の自発的な意思に基づいてそれぞれの地方の特性も生かして施行されることが望ましく、すべての施策を補助金により金しばりにして画一的に強行することは避けなければならない」、こう書いてあるじゃないですか。

 次のページをお読みください。「五 本条の規定は、国が地方公共団体に対して補助金を交付できる場合について、いわばその必要条件を定めて限定をしているものであるが、「地方分権推進計画」等の考え方は更に一歩踏み込んでおり、本条に基づく国庫補助金については原則的に廃止・縮減を図るべきものであるとの方向を示している。」a、b、cと書いてあって、「原則として廃止・縮減を図っていくこととされている。これを踏まえ、国庫補助金等の整理合理化をより一層推進し、本条の趣旨の一層の徹底が図られるべきであろう。」と書いてあるじゃないですか。

 地方分権推進計画を資料としてもつけておきました。資料3-2-5。この地方分権改革の流れからいうと、国の施策そのものでしょう、今度の定額給付金というのは。私にとっては反対だけれども、国が経済政策として、景気対策として行うわけでしょう。それだったら、直轄事業でやるか、法定受託事務というのを使わないで、何でそういう根拠も何にもつくらないで地方に丸投げするのか。地方から見れば、年度末に急に降ってわいた、押しつけ的な仕事になるじゃないですか。そして、その基準も、やはり基準に従わないといかぬ、江戸のかたきを長崎で討たれたらいけないという、それだけで、みんな必死になって事務作業を始めているんでしょう、今。

 こんな自治事務というのは、僕は感覚的にもないし、分権推進計画の中でもこんなことは一切予定されていないと思うんですよ。何でこうなるんだと思うんですね。

 地財法十六条でできるなんということを統一見解を出して、うそぶいていて済むような話なんですか。つまり、分権改革の流れを、これも真っ向から逆流させた、逆転させたということになるんじゃないんですか。どうですか。

○鳩山国務大臣 この定額給付金は法定受託事務とはしなかったわけでございまして、それは、前からお話ししておりますように、法定受託事務というのは、国が本来果たすべき役割を国がやらないで地方にやってもらうようなケース、ですから、戸籍とか選挙とか生活保護とか児童扶養手当というような形のものになるんだろうと思っておりまして、自治事務という分類に当然なるわけですが、したがって、これは国で根幹を定めますけれども、例えばいわゆるプレミアムつき商品券と結びつけるとか、地方によってさまざまなやり方が考えられるわけでございまして、法定受託事務にするよりははるかに地方分権の精神に沿っていると思うわけでございます。

 先ほどの仙谷先生の御指摘については、私は先生のような法律家ではないものですから、先生の方がはるかにお詳しいとは思いますが、本来、国というものは補助金というものを、どこにも、だれにでも出せるという、もちろん、それは必要があればですよ。政策的に必要があれば、例えばどうしても助けなくちゃいけない川内株式会社というのがあれば、それを補助するということは、それは国は可能だ。

 ただ、国と地方自治体の関係が余りいいかげんであってはいけないという趣旨で、私は地方財政法というのはできているのではないかなと。したがって、地方財政法九条で、国に頼らずに全額自治体でやりなさいという自治体全額負担の原則みたいなものが書いてある。しかしながら、どうしても政策的に必要な場合は、十六条でいわば奨励的補助金として補助できる。

 ところが、今の解説書でしょうか、いただいたものでは、確かに地方分権推進計画で、地方財政法十六条に基づく奨励的補助金についても、国家補償的なもの、あるいは災害による巨額の財政負担、あるいは地方財源的なものを除いて、原則廃止縮小すべきであるというふうに書いてあるわけでございますが、私どもは、十六条の奨励的補助金でこの定額給付金はいけると考えておりますのは、やはり百年に一度の金融災害というか、そういうような大変珍しい経済や生活や金融の危機であるという観点で十六条を根拠にやらせていただこうと考えております。

○仙谷委員 十六条でやらせていただくというのは、十六条を根拠にして、しかし、非常事態の国が何かするときには、大統領制の国でも非常事態宣言をして大統領令を出して、つまり政令ぐらいはつくってやらないと、この事業自身について何の根拠もありません。これではどうにもならぬじゃないですか。

 それで、さっきおっしゃったa、b、c、分権推進計画の中に書かれた国家補償的なもの、災害的なものとかなんとかありました。では、これのどれに該当するんですか。

○鳩山国務大臣 bの、災害ということが書いてありますが、百年に一度の金融災害というような読み方もできるかと思いますが、この分権計画でも「原則として」と書いてありますので、やはりこういう百年に一度の大変な事態では原則としてということは破られていくのかと思います。

○仙谷委員 総務大臣、では、話をちょっと前へ進めます。

 要綱をつくって通知しているんですね。この要綱というのは法律的な位置づけは何ですか。(発言する者あり)

○鳩山国務大臣 補助金交付要綱というのは、一般的に補助金を出すときにつくるわけですが、補助事業の目的、対象事業や対象経費の詳細などの実体的な規定のほか、申請等についての様式や提出期日などの手続的な規定を定めているわけでございまして、その法的位置づけでございますが、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の定めを補いつつ、議決された予算の趣旨に沿って補助金の交付に関する手続が適正に行われるように、事務執行上の手続を定めた内部の規定であると考えております。

 また、予算執行のルールや手続を補助対象者に明示して、その透明性を高める意義を持つものと考えております。

画一的で地方分権を逆流させるものだ

○仙谷委員 今、内部の規定、こうおっしゃった。財務大臣から法律的な根拠はないというような不規則発言もあったけれども。内部の規定というのは総務省内部の規定ですね。まさか市町村の内部の規定にはならぬですね、これは。どうしてこれに基づけとかなんとか言えるんですか。

 やはりここまで問題になってきたら、法律もちゃんと読んでもらいたいんだけれども、地方自治法二百四十五条の規定との関係で、国が、ある種地方自治体の事務に何らかのことで関係する場合には、何かこういうものでないといかぬというのが分権改革の中で決められたというか、定められたというか、合意ができたんじゃないんですか。どうなんですか。

○鳩山国務大臣 ちょっと、質問の趣旨をもう一度お願いできますか。

○仙谷委員 では、もうちょっと助け船を出しますけれども、二百四十五条の四「技術的な助言」、これは技術的な助言じゃないんですか。

○鳩山国務大臣 基本的には、技術的な助言という要素を持っていると私は考えております。

○仙谷委員 要素じゃなくて、要綱をつくってこれを市町村に通知する、これは技術的な助言をしている、そういうふうに言い抜けるというか位置づけない限り、こんなもの、市町村に通知して、これやれ、あれやれと言えないじゃないですか。そうじゃないんですか。

○鳩山国務大臣 要綱を通知しているわけですね。要綱を通知しているということは、まさに技術的な助言をして、市町村の業務執行上の参考資料としていただこう、そういう提供をしているわけでございます。

○仙谷委員 平成二十一年一月二十八日に総務事務次官から、要綱についてというのと、「定額給付金事業の実施について」という通知がなされておるんですね、要綱をつけて。

 あなたが自分で法解釈をしないで今答えているのは、次に私が言うことによってこの定額給付金交付事業そのものの地方自治法違反があらわになることを恐れているから、参考資料とかなんとか妙なことを言う。

 実は、十二月二十日に、総務省自治行政局定額給付金室長、事務連絡というのが、各都道府県定額給付金担当部長、各指定都市定額給付金担当局長殿あてに、ほとんど同じ、補正予算の内容を書き、そして、この趣旨で、こうやってくださいということを通知しているんですね。これは後で出してください、いいですか。

 それで、こう書いてある。「本通知は地方自治法第二百四十五条の四(技術的な助言)に基づくものです。」と書いてある。技術的な助言なんですよ。もうそれしか言い抜けができない。

 つまり、ここに書いてある二百四十五条の助言、勧告、資料の提出要求、是正要求、同意、許可、認可または承認、指示、代執行、これ以外のことは、ここに含まれないことは、国は自治事務であろうが何であろうが関与できないということが書いてあるんじゃないですか、二百四十五条に。それが地方自治だ、分権だということになっているんでしょう。

 だから、最も緩やかなものは助言だと。この助言を具体的に言うと、二百四十五条の四になる。だから、これを助言としてやろうとしたんですよ。そうでしょう。二百四十五条の四の技術的な助言なんでしょう。

○鳩山国務大臣 二百四十五条でございますが、今先生おっしゃった事柄は、補助金に関しては除くとなっているのではありませんか。違いましょうか。

○仙谷委員 いやいや、あなた方、僕が聞いているのはそういうことじゃない。

 ここにありますけれども、十二月二十日付の「留意事項について」という通知は、技術的な助言だと総務省が言っている。さらにもっと本格的なものも、技術的な助言と言わなくして何にもありません。地方自治法上、この分類の中には一切入りませんなんという解釈ができるかと言っているんですよ。つまり、それ以外の関与の仕方なんかできないことになっているんじゃないですか。それが自治でしょうが。

○鳩山国務大臣 したがって、要綱を通知いたしておりますが、その内容すべてが技術的な助言で、これを参考にしてやってくださいという意味合いを持っていると思います。

○仙谷委員 そうなりますと、今度新たな問題が発生するんですよ。

 第二百四十五条の二、「普通地方公共団体は、その事務の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなければ、」法律またはこれに基づく政令によらなければ、普通地方公共団体に対する国の関与を受け、または要することとされることはない、関与の法定主義というのがちゃんと書いてあるじゃないですか。「関与の法定主義」と書いてある。

 助言であってもこれは関与だとすると、関与が法律に定められないで、何であなた方が関与したり技術的な助言したりできるんですか。こんな初歩中の初歩が分権改革の中で決められた、地方自治法が改正された、この意味を全然わかっていないじゃないですか。

 だから、分権を逆流させる、正反対に百年昔のいわば太政官制に復帰させるみたいな話じゃないかと僕は言っているんですよ。

○鳩山国務大臣 地方自治法に技術的助言ということは書かれておりますので、その書かれている技術的助言として補助金の要綱を通知しているということでございます。

○仙谷委員 総務省の解釈では、あるいはこれは内閣官房でもいいんですよ、地方自治法二百四十五条の二の関与の法定主義というのは無視してもいい、あるいはこんなものはいわばほっておいてもいい、これに反しない、こういうふうにおっしゃるんですか。

○鳩山国務大臣 ですから、技術的助言というのは法律に書かれておりますから、それをさせていただいているということです。

○仙谷委員 だから、それをするのには、関与の法定主義にかかわるから、法律及び政令が要るんじゃないですかという話なんじゃないですか。

 それで、現に、地方自治法をもうちょっと読んでいただくと、二百四十五条の九には、「法定受託事務の処理について、都道府県が当該法定受託事務を処理するに当たりよるべき基準を定めることができる。」と書いてあるんですよ。

 つまり、法定受託事務ですら、法律で基準を定めないと受託できないことになっているんですよ。ましてや自治事務、自主的、主体的に市町村が行うべきものについて、法律によらないで何かできるなんということはあってはならないというのがこの趣旨じゃないですか、法律の。

○鳩山国務大臣 地方自治法二百四十五の四に「技術的な助言」という規定があるわけでございますから、ここに定められているものとして補助金交付要綱を通知いたしておるわけでございまして、今、法定受託事務云々という話がありましたが、法定受託事務というのは、国が本来やるべきことを市町村あるいは都道府県にやってもらうという事柄であって、これは、前にも御質問がありましたが、自治事務でございますから、例えば、ある市町村がうちはやらないと言えば、これは強制できないものでございます。

○仙谷委員 前回の話もそうなんだけれども、この基準によらなければならないことになっているんでしょう、要綱の。取り消し決定から還付命令までできることになっているんじゃないですか。これが処理の基準でなくして何なのか。そういうことを政治的にこの問題を回避してやろうとするから、こんなことになるんじゃないですか。

 定額給付金事業、こんな法律違反、分権改革と真っ向から反対するようなこういうもの、やめてください。

 これは、一月五日の、毎日新聞の仲畑流川柳というのがあるんですよ。そこに書かれているんです。「下々の皆さんそらよ給付金」と書かれているんです。「下々の皆さんそらよ給付金」、そら、持っていけというんでしょう。「ばらまいて大きく回収するプラン」、これも書かれている。こういう川柳。まさに、庶民から見ていたらそういうことなんですよ。

 我々から見ると、官僚法学でいかにずるずるずるずる抜けようとも、分権改革を行って、地方自治法を改正した後は、こんなことは許されてはならない。改めて強調しておきます。

 何か御意見があれば。

○鳩山国務大臣 先ほどの話に戻りますけれども、交付要綱というのは、もちろん技術的な助言なんですけれども、その中には、こういうふうなことをやる場合に補助金を差し上げますという、いわば条件も書かれているわけでございます。

 ですから、例えば幼稚園就園奨励費なども同様の仕組みだろうと思います。それは、実際に幼稚園に就園する人に補助金は出していますが、それをやりたくないという自治体には出していないわけで、こういうふうに、幼稚園の就園奨励のお金を出すならばそれは補助しますというふうになっていますので、私はこれは地方自治だと考えております。

○仙谷委員 多分、総務省は、内閣府なのか内閣総理大臣なのか財務省なのか、やはりけじめのついたことをちゃんと主張しない限り、皆さん方が、分権改革を我々は担っている、分権だ、自治だ、そんなことは言う資格のない、つまり、この局面では物すごい歴史的な汚点をつくったということだけは自覚しておいてください。

 では、次の問題に移ります。

国立高度専門医療センターと大学病院  
国民のための医療の確立には経理の確立が急務

 前国会で国立高度専門医療センターというものが独立行政法人化されています。それに先立って、国立大学が国立大学法人になって、国立大学病院も実質上の独立行政法人と同じ存在になっています。これは二〇一〇年から発足させるんですね、がんセンター以下。

 財務面から見てみますと、大変固定資産が高過ぎるんですね。だから、それに対応して長期借入金が高い。もっと重大なことは、減価償却ができていないんですね。資料の4-1、2というところで出しておりますけれども、減価償却ができていないということは、更新投資分が計上されていないということであります。債務の支払い、利息の支払いが多過ぎるんです。

 4-2で出しておりますように、予定人件費率というのをごらんいただくと、がんセンターに至っては二八・六三%、我が事務所で計算したので多少の誤差はあるかもわかりませんが。五〇%を超えているところもありますけれども、循環器センターもこういうことになっている、三五%。

 通常、医療機関というのは、人件費率が六〇%を超えなければ健全体であるというふうに言われているんですね。こんな低い人件費率になっている。なぜなのかはこれからもっと検討してみないといけませんけれども、ここでただ働き同然のドクターやレジデントが相当おるということに原因しておるのではないかと私どもは考えております。

 舛添大臣、まずは国立高度専門医療研究センターでありますが、借入金の合計額は、厚生労働省から渡された資料をもとに計算してみますと、六つの専門医療センター全部で一千六百七十三億円なんですね。おおよそで一千六百億円と言いましょうか。それこそ財政投融資から借りておりますので、これを平均三%とか、そういう金利を払いながらこの残高を払っていくということになると、更新投資もできなければ、ドクターの処遇も非常に悪いものにならざるを得ない。これは六センター全部についてそういうことが共通して言えると思うんですが、いかがですか。

○舛添国務大臣 まず、その前に、独法化すること、これのプラスマイナスがあると思いますが、私も国立大学に籍を置いていた者として、やはり、非常な効率の悪さ、それからまじめに働かない者がおるというような、いろいろな問題がありました。そのために独法化で、ある意味でいい点を入れていく。それから、厚生労働省が管理して、その言うことを聞かないと研究もできないということを外して、自由な独立体でやれる、寄附も外から集められる、外国の研究者との交流もできる、こういういい面は残さないといけないと思います。

 しかし、例えば、がんセンターにしても、ナショナルセンターは基本的に最先端の大事なことをやっているわけですから、この機能が損なわれる、そこの研究者がもう勤務が過剰になって仕事ができない、こういうことは絶対に避けないといけないというふうに思っています。

 そして、来年の四月から独法化されますけれども、まず、委員がお示しになりました資料の4-2の償却・設備投資分析でありますけれども、私も、これは民間の財務諸表の見方からして、こういう減価償却のあり方でいいのかと思っております。それで、これは来年度予算の策定までの間に、きちんと財務諸表すべて見直しをする。ある意味で、人件費の問題も、減価償却分がこれだけ少なくなれば経費分がそれだけ少なくなるということになるわけですから。

 それから、これは一般的にですけれども、本当に勤務医の皆さん方は大変過酷な状況にありますから、これは別の手だてでやっていきたいというふうに思っています。

 そこで、そういう中で、資料の4-1の千六百億の負債、その負債をそれぞれ今の形そのままこの六つのセンターに割り当てますと、しかもそれは利子を払わないといけないですから、経営的にうまくいかないということになると、悪循環が起こって経営的にうまくいかなくなる、赤字になる。それで、またそこのお医者さんが減っていく。結局、しわ寄せが来るのは国民であるわけですから、この点については、どういうふうにこの借金というかそれを処理するか。

 これは、法律にも法律の附則にも、このことをきちんと、債務について、この処理をして恒常的に経営が安定するようになってから移行するということが書いてありますので、これは財務大臣とも相談をしながら、きちんとここは対応してまいりたいというふうに思っております。

○仙谷委員 私の事務所のつくったこの資料4-1をごらんいただくと、返済可能額のところが全部マイナスになっていますね。ということは、これは、三年とか四年とか五年こんなことを続ければ、内部崩壊をするのか財務的に破産するのかどっちかしかないということになるというのを、企業会計の手法を使って分析すればこうなるということなんですね。

 だから、これは参議院の附帯決議にも書かれておりますように、角を矯めて牛を殺すような話になってはならないということをひとつ留意して、これから独立採算の事業体にして出発させるのであれば、本来の目的が果たせるようなガバナンスをとる。その出発に当たっては、こういう、もともとこれは公共工事だったから建設費が高かったんですよ。大体、普通の病院は一床三千万ぐらいなのに、ここは一床七千万かかっているんですよ。そういうケースがこういう国立高度専門医療センターでもある。

 しかし、新出発をするについては、借金はこの程度にしなければならないとか、あるいは借りかえができて、とりあえずは市中金利で借りかえができるとか、借りかえについては政府が保証するとか、何かしないと、これは財政投融資会計が苛斂誅求、高利貸しみたいな感じになってくるんですよ。そのために病院がぼろぼろになる、あるいは研究センターがぼろぼろになる。こういうことになることは必定でありますから、これはもう、本来こういうものをつくった目的に照らして、どうしたらいいのかということをぜひ真剣に検討させていただきたいと思います。

 きょうの資料で、大学の人件費の資料も出してございますけれども、4-3、4、多分あると思いますが、国立大学法人の附属病院は全部合わせて五十八あるんですか、これが、数字を繰ってみますと約一兆円の長期借入金残高です。大学病院も、この資料の4-3のように、毎年毎年運営交付金は減らされるわ、給料はこんな状況ですから。

 わかりますか、これは差額だけを書いてあるんですね、4-4は。要するに、県立病院や一般医療機関との差額が右側に書いてあって、国立病院機構がありますけれども、そのドクターとの差額、これがこんなになるというんですよ、大学病院のお医者さんは。これでは、幾ら博士号を取るためにとかなんとかいったって、残らない。

 さらには、隠された問題としては、まあ隠されてもいないんだけれども、公にしていないけれども、各大学の大学院生という研修後のお医者さんは、大学院生だからただ働きしている。膨大に医者がおるんですよ、万の数おるんですよ。昔の無給医局員みたいな人が膨大に存在する。

 そういう犠牲というか、むちゃくちゃな状態の上に大学病院は今さらされておりまして、東大病院ですら荒れ果てんとする、荒涼たる砂漠が広がっているみたいな話になっておるわけでありますから、ここは、長期借入金、特に財投からの長期借入金を、旧国鉄がJRになったときのように、あるいは道路公団を民営化するときのように、そのときに借入金の処理をやはり適正にやらないと、全部持っていけ、あとは利息と元本返せみたいな話になると、病院なんというのはもたない。高度医療をするところは特にもたない。

 そのことを考えて、この国立大学病院の実情についても考え直してください。どうですか、文部大臣。

○塩谷国務大臣 大変いい御意見だと私は思っておりまして、今、財投の資金の償還についても、運営費交付金で手当てをして、また一方で病院経営に対して二%の削減を要求しているんですが、それだけではやはり厳しいということ。

 それから、医師の給与についても、国家公務員という範囲、独立行政法人ですが、その範囲でなかなか一般の医師との給与の格差があるということは十分承知しておりまして、私も問題意識を持っておりますので、今後しっかりまた対応すべく努力をしてまいりたいと思っております。

○仙谷委員 何でこんなことを言うかというと、やはり埋蔵金とか定額給付金問題なんですよ。

 国立高度医療センターの借入金は一千六百億なんですよ。これの処理をうまくすれば、きれいな体でスタートできる。国立大学病院五十八病院も各地域で高度な医療を請け負っている。一兆円をうまく処理すれば、これも再び活性化する可能性が出てくる。そのことを与謝野大臣にもちゃんと認識をしてほしいんです。お互いに一遍は病気になったわけですから。

 これは、日本はWHOに一位と評価されているけれども、中身がそうでない、崩壊しつつある現状というものにもっと危機感を持って、二兆円をばらまくんだったらこういうところに使おうという話になるんじゃないですか。そのことを申し上げて、質問を終わります。

○衛藤委員長 これにて仙谷由人君の質疑は終了いたしました。