定額給付金バラマキをやめ、医療の充実に回すべきだ

12月5日 衆議院予算委員会 集中質疑

○仙谷委員 民主党の仙谷でございます。

日本経済の「全治3年」とは? その病状と対処方法が不明確

 きょうは金融・経済の論議ということでございますので、まずは端的に麻生総理大臣にお伺いをいたします。

 全治三年という言葉がひとり歩きをしているわけでありますが、総理は、現在の日本の経済、財政、金融、この点についての病状、現在というよりも、全治三年と言い出したときの病状をどういうふうにお考えなんですか。

○麻生内閣総理大臣 これは少なくとも、グリーンスパンという元FRBの議長の言葉をかりるまでもなく、百年に一度と言われるような異常な金融危機に端を発した経済的な大問題だと思っております。これが一九二〇年代の大恐慌のようにならないようにするためにどうするかというのが最大の問題であって、そのために、過日、ワシントンでの緊急首脳サミットが開かれた。もう御存じのとおりです。

 そういったような状態を考える場合においては、我々は、少なくとも今回の状況には、他の先進国の中に比べて、比較的その傷は浅いと思っております。これは比較の問題でありますが、他の先進国に比べれば傷は浅いと思っております。同時に、これに対する対策を、第一次補正等々最初に打ち出したのも日本と思っておりますので、ぜひ我々としては、先進国の中でこの不況と言われるものから最初に脱出できる国になりたい。

 私は、基本的に、全治三年、そのためには三年で我々はこれを脱皮せねばならぬ、そう思って、そのために、異常な事態でもありますので、我々としてはそれに対する対策もいろいろなことを考えて対応していかねばならぬという決意を新たにしておるところであります。

 いずれにしても、今の問題は、地方とか金融とか中小企業とかいろいろなことを申し上げましたけれども、私どもは、こういったものをやったとき、ただその場だけの一時しのぎでということではなくて、持続可能な経済成長にしていくためにはどうするかなどなど、いろいろなことも考えて、この全治三年の間にきちんとしたものをつくり上げていかねばならぬと思っております。

○仙谷委員 病状を聞いているんですよ。どこにがんがあるのかないのか、糖尿病なのか、あるいは高脂血症なのか。つまり、原因がわからないと処方せんが出せないじゃないですか。単なる、グリーンスパンがどうのこうのなんて、そういう話じゃないんですよ。

 そして、多分、麻生総理が全治三年と言い出したときは、まだリーマン・ショックはなかった。そして、ことしの当初でも、自民党の皆さん方は、このサブプライムローン破綻に端を発する世界同時不況がこれほどまでにスピード速く深刻になるというのは理解していなかったんじゃないですか。

 つまり、総裁選挙において、そのことにちゃんと触れて、危機感を持って我々の経済政策を提示された総裁候補はいなかった。ことしの一月の日銀の総裁、副総裁同意人事でも、国際金融の動向について皆さん方はほとんど問題意識なく、どこかがつくった原案をノーチェックで通そうとしていた。私は、今度の総裁選挙を拝見しておりまして、何て危機感の薄い、緩い人たちの集まりなんだろう、こう思っていたんですよ。

 では、総理、聞き方を変えましょう。アメリカの病気はどこにあると思いますか。どういう病気だと思いますか。

○麻生内閣総理大臣 金融派生商品という言葉は御存じのところだと思いますが、こういう金融工学と言われるような新しい金融技術によって新しい金融商品をつくり出し、その商品の品質管理もきちんとできていない間に世界じゅうにこの金融派生商品が売られた。結果として、それを買ったところには多大な被害が出た。私は、この影響というものが、金融に対する信用を失う、いわゆるクレジットクランチと言われる信用収縮というのが起きておるというのがこれの一番の根幹だと思っております。

 したがって、我々は、これに対するきちんとした処方せんを考えない限りはまた同じようなことが起こり得ると。したがって、過日のワシントンにおけます金融関係のサミットにおいては、日本から提案をさせてもらって、少なくともこの種の問題は一国で管理することはなかなか難しいのではないかと。少なくとも、一国で管理できないから、なぜなら国際商品ですから、したがって他国に売られた場合は全然それに対する対策ができない、それができるようなシステムをつくるべき。

 また、格付会社というものがえらく立派なものだと我々は思っておりましたし、多くの世界の人々も、この格付会社というものの信頼というのは極めて高かったと思いますが、残念ながらその格付会社も、あけてみればそうそう信頼できるものではなかったなどなど、数え上げれば切りなく出てきますが、金融というものに関して、物すごい勢いで、金融技術の進歩に対応してそれを管理、監督、監視するシステムができていなかったというのが、今回これだけ急激に信用収縮が起きた一番の根幹はそこだったと思っております。

○仙谷委員 末端の現象だけ説明になっても、対処の方法は全く出てこないと思います。

 アメリカの経済の問題ははっきりしているじゃないですか。ほとんどの人が指摘している。過剰消費、経常収支の赤字、財政の赤字。財政の赤字は、軍事費に足をとられて、イラク戦争以降、一兆ドル、百兆円も使っちゃった。どうするんですか。それで、お金を呼び込むために、貸してはならない人に貸すサブプライムローンをつくった。サブプライムローンというのは、貸してはならない人に貸すための商品ですからね、言っておきますけれども。レバレッジをかけて、もうかるよ、もうかるよと。日本の個人も金融も相当これから被害が出てくると思いますけれども、そういう、もともとは過剰消費、経常収支の赤字、ここに端を発しているんじゃないですか。これが調整の過程に今入ってきているんですよ。そうでしょう。だから、日本からの輸出、アジアからの輸出が急激に落ち込むんですよ。

 日本はどうなんですか、御説明できないようだから私の方から言いますが。日本の病気について全然説明できない。日本の病気は、いいですか、外需依存、余りの外需依存、そして財政赤字。この十年間、とりわけ家計を徹底的に痛めつけることを少なくとも放置する政策をとってきた、このことが、内需拡大と口で百遍叫んでも内需は伸びないということじゃないですか。

 お渡ししてある資料の一ページ目をごらんください。わかりますか。日本のGDPの主要項目別、名目と書いてありますでしょう。こういうの、カラーになっていませんけれども。多分、表紙の次についていませんか。

 これをごらんいただけると、はっきりしているじゃないですか。日本の成長は、辛うじて設備投資が、二〇〇二年から二〇〇八年の第三クオーターまで、つまりことしの九月まで、輸出に引っ張られて二割程度は伸びたけれども、あとはほとんど、この六年間でも微増にしか成長していないということははっきりしているじゃないですか。住宅投資は、例の問題があって、建築基準法の問題があってこう落ちている。はっきり出ているじゃないですか。

 名目GDPで見ると、サービス消費と物の消費、それから消費そのもの、名目GDPの伸び方とサービス消費と物の消費、こういう状況じゃないですか。

 一九八六年の前川レポート以来、内需拡大と言い続けて二十年ですよ。何でこんな外需依存の経済構造が改まろうとしなかったんですか。これは政治の問題、政策の問題じゃないんですか。どうです。

○中川国務大臣 仙谷委員の認識と私の認識は、多分、現時点において同じだと思います。

 アメリカのガルブレイスの、最悪のときというのは最悪のときになってみなければわからない、こういう言葉がありますけれども、今果たして欧米世界が最悪なのかどうか、これはまた歴史が判断することだろうと思います。

 はっきり言って、今の状況が非常に厳しいことは、総理も私も仙谷委員も認識は共通だと思います。しかし、何もしていなかったからということだけで物事を解決するのは、ある意味では簡単なことだろうと思います。

 私は麻生総理と、内閣に入る前に一年間、ほぼ一年以上、この問題について、サブプライムローン問題あるいはCDS、CDOの問題等々いろいろと、過剰なアメリカの消費あるいは外需依存について、ずっとある意味では一緒に勉強をさせていただきました。だからこそ我々も、多分仙谷委員も、この危機認識を早くからお持ちになっていたんだろうと思います。

 要は、今までのことを反省するにも、まだまだ途中経過ですから難しいとは思いますけれども、今何をすることが最善なのかということを、この院を通じて、必死になって各党通じて話し合うことが、私は一番大事なことではないかというふうに考えております。

内需拡大のやり方が間違っていた

○仙谷委員 次は麻生総理大臣にお答えいただきたいんです。

 つまり、ここからなんですよ。内需拡大策を八七年以降やらなかったわけじゃないんですよね。とりわけバブル崩壊以降はじゃぶじゃぶのことをやった。この方向が間違っていたということを早く気がついて政策転換をしないと、この国はとんでもないことになるという、この教訓じゃないですか。自民党が政策転換できないんだったら、政権をかわらないとこれはできないんですよ。はっきりしているでしょう。

 つまり、内需拡大を公共事業拡大というふうにやっちゃって、財政の赤字をこんなに、GDP比一五〇%、一六〇%まで伸ばした上に、ハードなものばかりができたかもわかりませんけれども、ここでソフト、人間がこれを運営するシステムのところにほとんど乏しい投資しか行われなかったというのが最大の問題じゃないですか。方角を……(発言する者あり)失業も同じだ。全然わかっていないんだ、あなたは。あなたが一番経済政策間違えたんだよ、大蔵大臣で、言っておきますけれども。

 方向を間違えていた。つまり、経済のソフト化にお金を使わなければならない、経済のサービス化にお金を使わなければならない、経済の知識産業化に、知識経済化にお金を使うべきだ、高付加価値化に投資をすべきだということが、ほとんど、自民党の政治では、いや、道路だ、橋だ、ダムだ。そうでしょう。地域だ、地方だ、言うのはいいけれども、地方の教育はどうなっているんですか、地方の医療がどうなっているんですか。人間に対する施策が全くぼろぼろになっているというのが今の事態じゃないですか。政策の方向性が全く間違っているんですよ。どうですか。

○麻生内閣総理大臣 いろいろ御意見があるんだと思いますが、少なくとも日本の中において、この十五年ぐらいを振り返ってみますと、バブルが、これは株のバブルと土地のバブルと少し違うんですが、いわゆる土地のバブルがはじけましたのは九二年。価格というものがこれを境に暴落をしております、九二年から。これが一番わかりやすいところだと思います。八九年の十二月の二十八日にいわゆる三万九千九百八十幾らつけましたあの株というものはそこで終わっておりますが、その後、土地はまだ上がっておりました。したがって、それまではそこそこバブルが続いていたんだと思っております。

 しかし、九二年を境にこれがはじけた。土地の融資に対する規制、いわゆる総量規制という名の法律を入れてということであります。それによって土地の値段が暴落した。それは市街化地域でいきますと約二割になっておりますから、そこが、土地本位制みたいな日本にとりまして最もきつかったときがこのときだったと思っております。

 これは、もうしばらくすると歴史家の言うところなんだと思いますが、私は、この政策が、今までの政策の中でどれが間違っていたかといえば、あれが一番大きかったかなと、私自身は、今、十数年たっての正直な実感であります。

 その上で、仙谷先生言われますように、内需の拡大ということに関しては、これは今言われましたように、公共工事に偏り過ぎたではないかと。内需拡大はもっと別のところでもできたのではないか、例えば住宅、個人住宅などなど、個人住宅というものをもっとやればよかったのではないか、いろいろな、後から考えてみると反省すべきところは多々あろうと存じますけれども、外需が意外と、中国の伸び、アメリカの伸び等々がありましたから、その外需というものに、特に二〇〇〇年以降は多くその外需というものに乗っかったというところは事実だと思っております。

 いずれにいたしましても、その外需というものが、中国もしんどくなる、アメリカに輸出しておりましたので。したがって、アメリカに輸出しておりました中国、また、ヨーロッパなどなどがいずれもきつくなってきますので、それに合わせて中国もきつくなる、それに輸出しておりました日本もということになって、世界全体になってきておるのではないか。

 したがって、各国、内需拡大ということに精を出せという話は私は政策として正しいと思っておりますし、我々として、今回も住宅ローン減税等々は、過去最大の住宅ローン減税をしたいとか、また、いろいろな意味で、省エネとかまた将来につながる新しいエネルギーに対する設備投資というものに関しましては、即時償却、一発償却というものを認めろとか、いろいろな形で今新しい税制というものの改革をして内需拡大というものに向かっていくような形にしたいと思って、これを努力していきたいと思っております。

○仙谷委員 どうもかみ合いません。

 それでは、先に進めさせていただきます。

給与所得が減らされ家計部門がたたかれてきた

 三枚目から。一人当たり人件費、企業規模別従業員の数、利益。それから次に、日本の現金給与額、全産業、実質。それから、給与階級別分布、これは国税庁の資料でありますが。それから、世帯の所得の中央値の年次推移。

 これをずっとごらんいただくと、特に世帯の所得の中央値の年次推移というのをごらんいただくと、この平成八年から平成十九年の中央値の変化をごらんいただくとよくおわかりいただけると思うんですが、いいですか、約百万円中央値が落ちているんですね、真ん中の人が。ちょっとひどいんじゃありませんかということになると思います。

 それから、その手前の、給与階級別分布というのをごらんください。実に、平成十九年には、所得が三百万以下、給与が三百万以下の人が、日本の勤労者のうち三八・六%までいってしまった、こういうグラフであります。多分、平成十年は三二%ぐらいでございましたでしょう。

 こういう、つまり、中間層にくさびを打ち込んで、いわゆる下流社会というのがありましたけれども、どんどん低所得者をつくり出しているというのがこの間の政策であったということがおわかりいただけるでしょう。

 

 それは、二枚目、三枚目の、人件費から見るか、現金給与総額から見るか、いずれにしましても、指数で見ましても絶対値で見ましても、このぐらいいわゆる普通の人々の手取り、名目の手取りの給与が減らされてきた、家計部門はここまでたたかれてきたということなんですね。

 

 これは、当然のことながら給与の話であります。この上に利子所得が全くつかない、お年寄りは全く困ってしまうというのが、この間の自民党の、あるいは自公連立与党の政策であります。

 

 

定額給付金2兆円のバラマキ−小林虎三郎の「米百俵」に学べ

 

 ところが、ここへ来て、二兆円の定額給付金のばらまきというとんでもない政策が出てきました。私は、この話を聞きましたときに、小泉純一郎さんを直ちに思い出しました。忘れもしません。小泉さんが、二〇〇一年の五月七日、総理大臣になられて初めて所信表明演説をしたときに、皆さん方も覚えていらっしゃるでしょう、いわゆる、小林虎三郎の米百俵の精神について説かれたわけです。つまり、ちまちましたものをもらう、そんなことを考えないで痛みに耐えろという演説をした。所信表明をやった。

 

 麻生さん、総理大臣もそのとき政調会長だったからよく覚えていらっしゃいますよね。私は、小泉さんのこの所信表明演説の間違いは、小林虎三郎は、いいですか、米百俵をみんなに分配しないかわりに、当時としては極めてまれな国漢学校をつくったというところが彼のやったことです。つまり、今流に言えば、二兆円を一万二千円ずつばらまくんではなくて、私が先ほどから申し上げておりますように、知識経済化に対応できる経済に、それを担う人づくりに、人材養成にお金をかけるんならともかく、一万二千円ずつまいてどうするんだ、こういうことを麻生さんに言いたい。これは、与謝野さんも体を張ってもう一遍とめることにしていただきたいんだけれども、麻生さんもこれを撤回されたらどうかと私は思います。

 

 ちなみに、ちょっと長くなるけれども、当時小泉純一郎さんが読まなかった部分、山本有三の戯曲の中に出てくる部分を読ませていただきます。

 

 山本有三によると、小林虎三郎が、何ぞというとすぐ百俵、百俵と藩士がわめき立てるが、百俵の米って一体どれだけあると思っているのだ。そればかりの米を家中の者に分けてみたところで、たかが知れておる。考えてみるがいい。当藩の者は、軒別にすると千七百軒余りある、頭数にすると八千五百人に上るのだ。かように多数の者に分けたら、一軒のもらい分はわずか二升そこそこだ。一人当たりにしたら四合か五合しか渡らないではないか。それぐらいの米は一日か二日で食いつぶしてしまう。一日か二日で食いつぶして後に何が残るんだ。これを山本有三は小林虎三郎に言わせているんですね。

 

 この種のことを、当時の、小林虎三郎、長岡藩の要するに総理・総裁ですよ、その人が言ったことを言わせた。その一万二千円を辛抱してくださいと、あなたが言わなきゃいかぬのじゃないですか。そのかわりこれをやりますと言わなきゃいかぬのじゃないですか。

 

 これは今、都道府県知事や市町村、まあ都道府県は直接ではないかもわかりませんが、首長さんに個人的にお会いになって聞かれましたか、これはいいかと、この一万二千円。絶対に、人数分私に下さいと言いますよね。札幌市は二百五十億円になるんですって。いろいろなことができる。朝日新聞にも、宮古がどうの八街がどうのと、いろいろなことで困っている地方自治体があります。十億円のお金になります、あるいは百億円のお金になります、今やらなきゃいけないことはこんなにあるんですよと。

 

 こうしなければ、政治じゃないんじゃないんですか。いかがですか。もう一遍再考しませんか、これ。

 

○麻生内閣総理大臣 佐久間象山の弟子に、二トラと言われた一人が吉田寅次郎、後の吉田松陰、もう一人が小林虎三郎、その話ですね、今の話は。全然おまえ知らないだろうと言われたので、ちょっと知っているということをちゃんと確認しておかぬとね。おまえ、漫画ばっかり読んでるんじゃねえかなんて言われても困りますので、きちんと話をしておかぬといかぬと思って、その話は決して知らないわけではないということを前提にして話をさせていただきます。

 

 そして、つくったのが長岡中学。今の長岡ですけれども、ここから出た人が、山本五十六、武見太郎、いろいろ有名な人がこの学校から出られたということもよく知っているつもりであります。

 

 おっしゃる点は、仙谷先生、決して私自身は、それは全く間違っているなんて言うつもりはありません。ただ、今置かれている状況を我々は考えたときに、先ほどOECDの話もさせていただきましたように、今即効性がある最も有効な措置だと、OECDのいわゆるシニアエコノミスト、結構有名な人なんですが、この人の言った文章というのが、先ほど読ませていただいた文章です。そういう見解もあります。

 

 したがって、私どもは、一つの考え方だとして、十分に拝聴に値する御意見だと思って、私どももそれを丸々否定するつもりは全くありません。ただ、今、目先のところは申し上げたとおりでありまして、私どもとしては、この話は基本的に、地方に与える消費の即効薬としては、今年度限りという、最も今非常事態になっておりますので、私は、これは毎年続けるつもりはないのであって、今、目先の話としてこの話を申し上げさせていただきました。

 

 私としては、少なくとも、定額減税という御説もありましたけれども、それ以下の税額を払っていない方より低い方々のことを考えて全世帯に行くべきではないかということを申し上げたら、今度はいきなり、何だ、金持ち優遇じゃないかと、いつの間にか話がそっちにすりかわっておりますけれども、私が申し上げたのはそういうことでありまして、もらった方々で、五百万の方でも、私は要らないと言う方もいらっしゃるでしょうし、五千万でも、おら、もらいてえと言う方もいらっしゃるでしょう。これはいろいろだと、私はそう思っております。

 

 それを全部きちっと検査をする、査定をするというのはいかがなものかという感じがありましたので今回の方法をとらせていただいたというのがその背景と御理解いただければと存じます。

 

 

2兆円あれば医療崩壊はくい止められる

 

○仙谷委員 今のは、この問題についての政策と政治の放棄をあなたが自白しているんですよ。

 

 舛添さん、もし、あなたが総理大臣だったら、二兆円使える埋蔵金が出てきたらどうしますか。今の時代、日本が置かれている状況、今、毎日報道されて、毎日若いお母さん方もお父さんも極めて不安に駆られて心配をしている、これで子育てできるんだろうか、周産期医療はどうなるんだろうか、お年寄りは、我々は安心して医療を受けられるんだろうか、このままではどのぐらいかかるかわからないから財布のひもを締めようと、こういうことに今なっているんじゃないですか。

 

 今、私は、政策の優先課題は、医療が最も緊急性が高いと思います。特に周産期医療を、今の悲惨な状況をなくすためには、相当抜本的に、人材養成、資金を投入する、システムをつくる、あらゆることが必要だと思っておりますけれども、舛添さん、この二兆円の埋蔵金があったら、あなたが厚生労働大臣じゃなくて総理大臣だったらどうしますか。

 

○舛添国務大臣 今、医療の問題、委員がおっしゃいました。私もこの問題は非常に深刻だというふうに考えておりますので、お金が全くない例えば若者のフリーターの御夫婦がおられて、その方が安心して出産をし、その前、妊娠したら安心して健診を受けられる、今五回まで無料ですけれども、今度十四回無料の措置をとりました。そして、出産育児一時金、これは今三十五万、これをさらに上げる手はずを整えております。そしてまた、周産期医療センター、例えばNICUが足りない。ただ、これをふやしても、それに携わる新生児専門のお医者さん、それから看護師さんが足りません。今鋭意この方向での施策の充実を図っておりますので、例えば医師数について言うと、過去最大、つまり、六百九十三人の来年度の人員増ということで的確に予算もつけた上で実行しておりますので、例えばこういうこと、これはきちんと現政権においてやっていることでございます。

 

○仙谷委員 資料として皆さん方にお渡ししたものの、ちょっと時間の関係がございますので説明は省きますが、七枚目からでしょうか、「安全なお産を実現するための「二兆円」」というのがございます。二兆円かければ完璧に五年間で日本のお産は安全なものにできる。二階大臣の倫理発言もございましたけれども、この最後のページに、今どういう現場に医師が置かれているかということ、あるいは看護師さんもどういう現場に置かれているかということ、そして超低体重児がこんなにふえているのはなぜか。この事態をもとにして、非常識であるとか、救急車が入ってきたら受けないのは人道問題だ、医者の倫理が低いからだみたいな話は、これは通用しないんですよ。

 

 二年前の福島県立大野病院の事件というのがあってから、あの事件は一人医長体制のもとで発生したのに、これは無罪になりましたけれども、しかし、その後、奈良で二件、先般から墨東病院、杏林病院、そしてこの間は札幌、次から次にこういう悲惨な事故が起こっておるじゃありませんか。

 

 これはどこか、システムとかシステムを担う人材の不足なのか質なのか、ここに問題があるんですよ。そういうふうに考えない限り、医者が寝ずに働いていても、もっと寝ずに働けと。ふらふらになって事故を起こしますよ。そういうことを、ちゃんと現場のことを知った上でこの対策、対応をとっていただきたいと思うんです。

 

 民主党は、周産期医療のみならず、今度の選挙で、医療崩壊に打ちかつ予算案というのをつくっておりました。総額一兆九千億。後期高齢者の廃止、これに八千五百億かける。医師不足の解消、八千億かける。勤務医の就業環境の改善、五百九十億かける。がん対策の拡充、ここに飛躍的に、百億、二百億の話じゃなくて、一千四百億かける。新型インフルエンザへの対応、九百六十億円かける。一兆九千億です。どうですか、二兆円全部それに使ったらと私どもは思うぐらいであります。我々がもし政権をとったら、こんな埋蔵金があれば医療に優先的に使います。

 

 安心して働けるように、安心して消費できるようにするためには医療です。労働力の再生産という考え方から見ても、一人一人の労働力の再生産にとって必要不可欠なのは医療です。世代的に良質な労働力を再生産していくのは教育です。

 

 どうです、舛添さん。厚生労働大臣のお考えを聞かせてください。

 

○舛添国務大臣 医師をふやせばお金がかかる、医療というのは財政にとって重荷になる、そういう考え方でずっと来た結果がさまざまなひずみを生んでおりますから、今委員がおっしゃったように、医療というのは人間の価値を高めるものである、そういう観点が必要でございますし、また、教育というのも、国家百年の大計で、長期的な人的な資源の価値を高めるということでございますので、そういう基本的な哲学においては、私は委員と共通するものを持っていると思います。したがって、厚生労働大臣として、その方向で日夜努力をしているつもりでございます。

 

○仙谷委員 三千五百億円でなくても、三百億円年間にかければ今の周産期の医療の極めて惨たんたる状態は直せるというふうに言う専門家の方がいらっしゃいます。よくその点はお考えをいただきたいと思います。

 

 そして、舛添さんのお答えとの関係でいいますと、やはり医療をサービス産業として考える、ちゃんと位置づけるということが必要だと思うんですね。今の時代はそうです。ヨーロッパ、アメリカ、すべてが医療をちゃんとしたサービス産業として位置づけて、その関連企業、製薬もそうでありますが、医療機器その他関連企業がそれと一緒に成長していく、そのことによって国民の安心もちゃんと確保できる。こういうサイクルをつくっていかないで、医療は金がかかるから金を減らせばいいんだということになると、安かろう悪かろう医療になる、こういうことだと思います。

 

 そこまで医療の話をお聞きしまして、次に、定額給付金の法律的な問題にちょっと返ります。

 

 

国が押しつける「自治事務」は論理矛盾

 

 総理、この定額給付金の事業というのは、だれの事業なんですか。つまり、国の事業なのか、自治体の事業なのかということです。だれの事業なんですか。

 

○鳩山国務大臣 定額給付金の事業についてですが、地方公共団体の事業は、自治事務と法定受託事務に分けておるわけでございます。

 

 では、自治事務とは何かというと、明確な定義があるわけではなくて、法定受託事務以外のものが自治事務ということになります。自治事務というのは、地方が自由に決定して行うことを自治事務というのではなくて、法定受託事務以外のことを自治事務ということでございます。

 

 国が大枠を決めて、そして今実施本部をつくってできるだけシンプルな形にしようと全力を尽くしているところでございますが、国が補助金という形でお金をお出しして、地方が自治事務としてこれを配る、こういうことでございます。

 

○仙谷委員 自治体が自主的に考え出した事業ではなくて、中央政府が勝手に、これは自治事務だからおまえやれと。こんな分権というのがあるんですか。全く論理矛盾するじゃないですか。国が、中央政府が自治体にこれをやれ、この事務をやれと言うのに、何でこれが自治事務になるんですか。そしてまた、自治事務であれば、自主的に選び取れなければ困りますよね、事務処理のやり方も事務事業自体も。何で国の経済政策として、公明党との取引の結果こういうものをやらざるを得なくなってやるのに、何でこれが自治体の自治事務なんですか。こんな論理矛盾した話はない。

 

 そして、そういうふうに国が自治事務を定めることができるとどこに書いてあるんですか。法定受託事務をこういう場合には定めることができるとは地方自治法上書いてあるけれども、国が自治事務を、これは自治事務だなんと、鳩山大臣のようにここで答弁できるような根拠の法律、どこに書いてあるんですか。教えてください。

 

○鳩山国務大臣 ですから、最初に申し上げましたように、例えば生活保護のようなもの、あるいは児童扶養手当とか、ナショナルミニマムというか、あるいは選挙の事務とか、これは全国統一で全部同じようにやってもらわなくちゃならないというものを法律上法定受託事務としているわけでございまして、これは今後、地方分権一括法によって、できるだけ法定受託事務を減らしていこうということでございます。

 

 それで、自治事務というのは、地方が自発的意思に基づいて行うことを自治事務と言っているのではなくて、地方の事務の中で法定受託事務以外はすべて自治事務、こういうことになっております。

 

○仙谷委員 だけれども、国の事務を、国の事業をお手伝いするのが自治事務なんてどこにも書いていないですよ。それはおかしいんですよ。

 

 ちなみに、自治事務の事業総体そのものを国の資金で賄う。事務経費も国が出すんですね。例えば振り込み料から、これにかかる人件費から、これは全部国が持つんですね、今度。

 

 では、二兆円のほかにどのぐらいかかるんですか、どういう見積もりですか。教えてください。

 

○鳩山国務大臣 これは、かかる事務経費は全部国が負担をする、十分の十補助というか負担をいたします。これは今、実施本部をつくって、できる限りシンプルな形を目指しておりますので、今ここで金額を明確には申し上げることはできませんが、地域振興券のときのことを参考にして、できるだけ低い金額で済ますことができるように、シンプル、シンプル、またシンプル、こう考えております。

 

○仙谷委員 法定受託事務の場合も、あるいは自治事務として処理をする何とか事業要項がつくられる場合も、五%というのが標準だというふうに言っていますよね。そうすると一千億円だ。

 

 私は、この事務を、本当に皆さん方がこんなことを地方自治体に押しつけてやらせるとすれば、五%では済まない。特に、銀行への振り込みでやろうなんということになってくると、一件一件六百三十円かかるんですよ、言っておきますけれども。これも全部持つんですね。六百三十円掛ける人口分、掛けてごらんなさいよ、幾らになるか。はっきりしているじゃないですか。こういうことを全部持つんですね。

 

 大体どのぐらいかかるんですか。一千億円以上かかるのか、一千億円以下で終わるのか。

 

○鳩山国務大臣 現在、実施本部で、できるだけシンプルな形で、できるだけ金がかからないで、市町村が少しでも楽に事務処理ができるように工夫をしているところでございまして、仙谷先生がおっしゃった金額よりははるかに安く終わると思います。

 

○仙谷委員 政策の方向性も全く間違っているし、この定額給付金の制度というのは法律上もかなりのOBボールだと私は思うんですよ。やめた方がいい。

 

 そして、ましてや市町村の現場には大変な迷惑をかけます。これは、鳩山大臣はいろいろな苦情を聞いてわかっているんだと思うんです。市長会の会長以下、本音を聞いてごらんなさいよ。もしくれるのならばまとめて使わせてほしいと、それは百対ゼロぐらいの結果になります。

 

 よくお考えになって、こういうでたらめなばらまきだけは、日本の財政のためにも、行政の規律のためにも、そして経済政策を整合性あるようにするためにも、そして医療のためにも、ぜひおやめいただきたい。このことを申し上げて、質問を終わります。