169 - 衆 - 議院運営委員会 - 21号  平成20年04月08日

○笹川委員長 仙谷由人君。

○仙谷委員 民主党の仙谷でございます。
 総裁候補におなりになられましたので、前回と違ってちょっと、ガバナンスといいましょうか、日銀の独立性についてのお考え方を聞きたいわけでございます。
 といいますのは、十年前までは、法制上は余り日銀というのは独立していなかったといいましょうか、要するに大蔵省の管理監督のもとにあった、こういうふうに言われておりますし、法制上もそうだったと思いますが、いろいろな議論があって、当時の大蔵省サイドからの大変強い抵抗のもとでここまで来たということなんだろうと思います。
 ただ、私が現時点でもまだ法制上不十分だと思っておるのは、日銀法の二十三条の四項に、「理事及び参与は、委員会の推薦に基づいて、大蔵大臣が任命する。」こういうことになっておりまして、理事及び参与、つまり会社で言えば執行役員、理事、これについては日銀総裁ではなく大蔵大臣に任命権が残されているというまことに不可思議なことになっておるわけであります。監事あるいは審議委員というのは内閣任命ということに変わったわけでありますが、理事及び参与だけが大蔵大臣の任命。むしろ、こここそ日銀総裁の任命権だというふうに私は思うわけでありますが、これが残っておるわけであります。
 現に、この間、理事にどういう人が任命されたか、監事にどういう人が任命されたかというのを追っていきますと、あたかも、理事は財務省の局長の次の指定ポスト、監事はもうワンランクか半ランク下と言われておる方々の指定ポストがずっと切れ目なく続いておるんですね。
 私は、このことはやはり、日銀総裁が委員会の議論を経て自由裁量のもとに任命できるように変えた方がいいんじゃないか、我々の仕事でありますが、そういうことを考えておるのでありますが、その点について所見をお伺いしたい。
 もう一つは、反対に、財務省設置法の四条の一項五十九号に、財務省の所掌事務として「日本銀行の業務及び組織の適正な運営の確保に関すること。」というのが残っているんですね。こうなりますと、例えば今度の人事問題についても、どうも財務省が、総裁、副総裁の人事についても、人事案をつくるのはこの規定に基づいてむしろ財務省の権限と責任であると言わんばかりの感じが何となく漏れてくる。つまり、なぜこんなものが残っているのかということについて私は不可思議に思っておるわけでありますが、この点についての御所見をお伺いしたいと思います。
 もう一点は、やはり先般もお伺いしましたけれども、量的緩和あるいは低金利政策、仕方がなかったんだというお話が随分いろいろな候補者からあったわけですが、そうなりますと、現在も続けていらっしゃること、そして、先ほどから国際金融あるいは為替レート、通貨価値というふうに考えますと、バブルの実質実効レートが一番高いときから見ますと、日本の円が約半分ぐらいになっていたわけですね。これが国力の問題とか成長の問題と関係しておるのではないかと私は疑っておるんですが、この実質実効レートというものをこれからの政策展開でどう考えていくのか。発券高の依然として上昇傾向というようなこととも絡めて、御所見をお伺いできればと思います。
 以上であります。

○白川参考人 お答えいたします。
 最初の理事、参与の任命プロセスに関する御質問でございますけれども、これは、中央銀行の独立性あるいは中央銀行のガバナンスをめぐる基本的な論点の一つだというふうに思っております。
 十年前の日銀法改正のときに、日銀の独立性、ガバナンスについて議論が随分なされましたけれども、しかし、これは私の個人の見解でございますけれども、まだまだ十分なガバナンスをめぐる議論が煮詰まっていない面もやはりあったなというのが、現在、率直な感じでございます。
 ただ、これはどの中央銀行も実はどのガバナンス制度がいいのかについて模索をしているというのが、これまた率直な事実の評価だというふうに思います。アメリカ、欧州それから英国、それぞれやはりガバナンス制度を持っておりますけれども、私どもの目から見てやはりそれぞれ問題も抱えているなという気がいたします。
 そういう意味で、私は、十年前の日銀法改正でもうこの問題は終わったというふうにはもちろん考えていません。そういう意味で、今後とも、日本の中央銀行制度、そのために一番ふさわしいガバナンス制度を考えていくということは、これは私は必要だというふうに考えております。
 理事、参与の任命でございますけれども、これは現在、御指摘のとおり、政策委員会の推薦を経て大蔵大臣が決めるということになっております。これは日本銀行法で定めている規定でございます。私としましては、その規定の中で一番そのポストにふさわしい人を推薦し、任命していただくということが大事だというふうに考えています。
 理事のメンバー構成につきましても、これは固定的に考えていくということではなくて、日本銀行が政策、業務を遂行する上で一番ふさわしい人を政策委員会自身がまず推薦をするという責務を負っていると思います。政策委員会メンバーの推薦なしに全然異なる人を大臣が任命する、これは難しいわけであります。そういう意味で、これはまず日本銀行自身の推薦の責任だというふうに考えていまして、その制度の中で、私は、最大限努力をまずしていくというのが私の義務だというふうに考えております。
 それから、二番目の財務省設置法の話でございます。
 財務省設置法自体については私詳しくは存じ上げませんけれども、私が理解しているところによりますと、これは、日銀の独立性を議論するときに、政府がいろいろな形で関与する結果として金融政策の運営がゆがめられること、これは決してあってはならないと思う。したがって、その面ではしっかり日銀の独立性を担保する。しかし一方で、日本銀行も組織でありますから、組織自体が法律に従って行動をしないということもあり得る。そういう意味で、適法性という観点でのチェックは、これは第三者がする必要がある。その仕組みを日本の統治機構の中でこういう形で解決をしたというのが私の理解だというふうに考えております。
 この点も、日本銀行制度全体のガバナンス制度の中で、もちろん議論の対象になり得ると思いますけれども、現在はそういうことであるというふうに理解しております。あくまでも、これは政策ではなくて、適法性という面からの監督であるというふうに理解しております。
 それから、三番目の実質実効為替レートをどういうふうに見ているかという話でございます。
 議員御指摘のとおり、実質実効為替レートというのは非常に重要な概念であります。実質実効ということの意味は、釈迦に説法で恐縮でございますけれども、実質というのは、単に名目の為替レートだけでなくて、内外の物価上昇率の格差を調整して考えようということであります。したがって、例えば、この近年、日本の物価上昇率は低かったわけですけれども、このことは、実質ベースで見て円の為替が減価をしているということであります。これは、どうしても我々は表面の為替を見がちですけれども、実質ベースで見るということは大事なことであります。
 一方、実効の方は、これは輸出の貿易金額でもって加重平均をして見ていこうということでありまして、現在、確かに円はドルに対しては強くなっていますけれども、しかし、ユーロに対しては決して強くなっているわけではございません。貿易構造も随分変わってきていますから、円・ドルだけに注目した議論というのは明らかに不適切になっているというふうに思います。そういう意味で、実質実効為替レートというのは非常に大事な概念であると思います。
 その実質実効為替レートで見ますと、プラザ合意当時の水準にまで実は円安が進行していて、足元、これが若干修正をされているということでございます。そういう意味で、表面の為替レート、それも円・ドルだけに着目して、ある固定的なレート運営をしていくというふうになりますと、これは、経済が最終的には混乱をするというふうに思っております。
 以上でございます。