2006年6月2日 厚生労働委員会

がん対策基本法がぜひ必要だ

 がん対策基本法は、4月4日に民主党が衆議院に法案を提出して以来、与党によって審議されず棚上げ状態となっていましたが、ついに審議入りしました。この日の厚生労働委員会は、与党(自公)案と民主党案のそれぞれに対して質疑が行われました。仙谷由人は、この日質問に立ち、がん対策基本法の意義を述べ、現状をどう変えて行くべきかを論じました。

患者と家族の皆さんの努力で法案の審議までやっとこぎつけた

○岸田委員長 次に、仙谷由人君。

○仙谷委員 本日から、民主党提出のがん対策基本法、そして与党提出のがん対策基本法ですか、日本のがん治療、そのシステムを大きく飛躍的に変えていこう、こういう法案が提出をされて、審議をされることになりました。

 個人的な感慨を言ってもしようがないのでありますが、改めて振り返ってみますと、二〇〇二年の五月二十九日に私がこの厚生労働委員会で、これは委員外でありましたけれども、患者の一人として質問をいたしました。そのときから約四年を経過して、ようやく法案が審議をされるという状況になっておるわけでございます。ある意味で感慨もひとしおだというふうに言ってもいいかもわかりません。

 先ほど山井委員の方から趣旨説明の中でお話をされました、尊敬する今井澄参議院議員は、私と同じ胃がんで、手術後多分一年半ぐらいで幽明境を異にしましたし、議員仲間でも相当数の方々が、この間お亡くなりになったわけであります。あるいは、この通常国会中にもお亡くなりになられた先輩の議員の方もいらっしゃるわけであります。

 私自身は、自分ががん患者になって、あと七カ月ぐらいでしょうか、卒業するまではそのぐらいの期間があるわけでありますが、このがん治療の現在持っている日本の問題点といいましょうか、抱えている問題点というのは、いろいろ教えられたり考えたりしておりまして、日本の医療のシステム全般が抱えている問題点、まさにそのものであるけれども、ある種、日々日進月歩が情報として流れる、患者にとっては治る可能性があるのではないかという希望がだんだん膨らむような日々が一方にあるということ。そしてまた、情報が耳に入ってくればくるほど、自分の置かれた状況について、自分を取り巻く医療の環境について矛盾を感じてくる。

 つまり、先端的と言っちゃなんでありますが、技術進歩とともに、人間の命が助かったりあるいは延命できたりする、あるいはクオリティー・オブ・ライフが保障されたりする領域が広がってくる。そしてそのことが、どうも私だけが保障されていない、我が家族だけが保障されていないのではないかという、客観的な状況がある分だけ、突出して問題点として今出てきているんだろうな、そんなふうにこの間感じてまいったところでございます。

 この政府・与党から出されました法案についても、その御尽力に心から敬意を払いたいと思いますし、その推進力になったのは、この四年間といいましょうか、三年間といいましょうか、数年間、患者の皆様方が、やはり自分のことだけではなくて、日本のがん難民大量発生と言われるような状況を何とかしなければならない、その思いでがん患者の方々が、あるいはその御家族の方々が、がん対策基本法といいましょうか、法整備あるいは情報センターあるいは未承認薬の使用というふうなことを掲げて運動をされた、その成果だと思います。

治療改善への政策は、遅々としていてもどかしい思い

 しかし、これから申し上げますように、ここまで、先ほど斉藤鉄夫議員が、日本のがん治療の水準についてある種の自画自賛といいましょうか、そういうことをされたわけでありますが、患者の思いは必ずしもそうではない。そしてまた、医療の担当者も、熱心になさっていらっしゃるドクターの先生方や看護婦さん、この方々にお伺いすれば、大変もどかしい思いでこの十年間あるいは四、五年間の動向を見てきたと。現在、その四、五年間の遅々たる歩みについて、この延長線上で日本のがん治療が根本的、抜本的に飛躍的な改良、改善を遂げるというふうに、肯定的に、楽観的に見ていらっしゃる方というのはほとんどいないのではないかと私は考えております。

 そこで、まず、余り法案について細かく聞いてもなんでございますので、こういう点についての御感想を政府・与党、そして大臣からもお伺いします。

患者の要求、運動の高まりが原動力

 昨年五月二十八日に、NHK大阪ホールでがん患者大集会というものがございました。これは第一回と書いてあるんです、報告書を持ってまいりました。

 これは私も、私どもの所属議員も相当出席、参加をしたわけであります。このとき、いわばこの実行委員会の代表の三浦捷一さん、あるいは、パネルディスカッションに出席をされた癌と共に生きる会の会長の佐藤均さん、お二人はもう既にこの世にいません。そういう事態でありますが、このときに、尾辻厚生労働大臣がこの集会に出席をされて、これから政府もがん対策をいわば魂を込めて、全力を込めて、全力を振り絞って行うんだという趣旨の発言をしていただいたわけであります。

 その中でこういうくだりがございます。

  「そして最後になりますけれども、私が来る前に

(その集会に来る前にという意味です、) 予算の話も出たそうですが、アメリカで六千六百七十五億円。日本百四十一億円。あまりにも少ないじゃないかというお話だったそうでございます。アメリカの六千六百七十五億円の内訳をよく見ておりませんから、単純には比較できないだろうと思いますが、しかし、日本の百四十一億円が決して多いとは言えない。はっきりいえば少ないと私も思っております。これは全力挙げて来年度予算で、がんばって増やしたいと思っておりますし、今日は実は一緒に民主党の先生方もお聞き頂いておりますから、これはもう超党派で一緒にがんばっていきたいというふうに思っております。 」

こういうふうに堂々たるメッセージを発したわけであります。

 その予算が、十八年度予算、この五月の後の七月からの概算要求等々を踏まえて、そして落ち着いたところが、先ほど山井議員が趣旨説明で申し上げましたような、百六十八億円だったと思いますが、そういう予算に落ち着いているわけであります。このことを指して、我々は、遅々たる歩みと。遅々として進んでいる、本当は進んでいないと言いたいのでありますが、進んでいる部分もあるので、遅々として進んでいると申し上げているわけであります。

法律で新たに何を実現するか    今までのがん対策をどう変えるか

 実際問題として、与党の方からもこの法案を出させることの意味、出すことによって何を今まで以上にといいましょうか、今までとは違ったレベルといいましょうか位相といいましょうか、そういうステージでがん治療というものをなさろうとしているのか。その点について、つまり、予算は一つだと思います、そういう観点からその点について、与党の鴨下委員、それから、川崎厚生労働大臣は別の角度からでも結構でございますけれども、お話をいただければと思います。

○鴨下議員 今仙谷先生の方から、ある意味で、御本人の経験も踏まえて、深い思いを聞かせていただいたわけであります。そして、私たち与党の方でも、今般、がん対策基本法、これを出させていただいたわけでありますけれども、民主党さんが出している法案と我々の中で議論させていただいた法案につきましては、多少書きぶりは違うようでありますけれども、基本的には、私は、貫いている精神は同一のものがあるんだろうというふうに思っております。

 そして、今仙谷先生、今まで日本のがん医療は進んでいないじゃないか、そして患者さんたちにとってさまざまな、ある意味で不満、不安、こういうようなものが蔓延しているじゃないか、こういうようなお話もございました。

 私も、個人的なことでありますけれども、昭和五十年に医学部を卒業して、医者になりまして、肺がんと白血病を専らとする教室に入りまして、最初の訓練は肺がんと白血病の治療に専念しておったわけでありますけれども、そのときから比べて、やはり患者さん中心の医療あるいは緩和ケアに対しての考え方、こういうようなものについてはある意味で相当進んではきたんだろうというふうに思います。ただ、それぞれ、患者さん一人一人の立場に立ってみれば、もっともっとというような思いがさらに募るということは、そのとおりだろうというふうに思っております。

 政府の中でも、今まで累次に、対がん十カ年総合戦略、こういうものを三次までやってきたというようなことでありますし、加えて、これから、がん対策推進アクションプラン二〇〇五、こういうものも策定して、大いにがんについてさらに進めていこう、こういうような姿勢があることは間違いないわけでありますけれども、私たち与党として議論をするときに、さて、それでは、どこにいわば不足の点があるのか、どれを重点的にさらに進めるべきか、こういうような議論をしてまいりました。

 その中で、一つはがんの予防、それから早期発見の推進ということでありますし、がんというのは、残念ながら、進行してしまえば不治の病でありますから、できるだけ早期に見つけて治療を敏速にする。こういうようなことでいえば、ある意味で、予防、早期発見に尽きるわけでございます。それをより推進していこうじゃないか。

 加えて、がんの医療水準の地域格差の問題でありますけれども、これは患者さんからもさまざまおっしゃられています。特に地方の病院でも、中央の、例えて言えばがんセンター、癌研病院、こういうようなものに匹敵するような、ある意味では高水準の治療が受けられるように、こういうようなことの均てん化という概念をもっともっと推進するべきだ、こういうような話がもう一つであります。

 加えて、がんの治療というのは、大体は施設の中、病院の中でしてきたわけでありますけれども、患者さんによっては、むしろ在宅、あるいは本人の希望に沿った形での在宅と施設の行き来、こういうようなことを含めた、ある意味で患者さんの意思に従った医療をどういうふうに推進するか、こういうようなことについてはまだまだ不十分なところがあるだろう、こういうことであります。

 加えて言えば、終末期といいますかターミナルの段階になったときに、緩和ケア、特に今まではキュアを中心とした医療が多かったわけでありまして、ケアについては甚だまだまだ十分でなかったところは確かだろうと思います。ですから、今回は、早期からケア、特に仙谷先生おっしゃっていたように、QOLを上げていくようなケアをどういうふうにしていくか、このことを法案の中で盛り込んでおこうと。

 そして、例えて言えば、検査の段階でも、厳しい検査があります、そうすると、実際には体がだるくなったり食欲が落ちたり、こういうようなことも早期の段階からあるわけでありますから、そういうものに対してもできるだけの手当てをしていこうじゃないか、こういうような意味での緩和医療の充実、こういうことも盛り込ませていただきました。

 加えて、先ほど提案者の斉藤先生からも話がありましたけれども、例えて言えば、放射線の専門家あるいは化学療法の専門家、こういうようなものもきちんとした形で充実していかなければいけない、こういうようなことを今政府がやってきた対がん戦略の中でも、もっともっと推進しなければいけない、こういうような趣旨で今回与党案として提案をさせていただいた、こういうような次第でございます。

 

国の基本的な柱として(川崎厚生労働大臣)

○川崎国務大臣 与党、野党それぞれがん対策基本法を御提出いただきました。基本的に、私の立場から申し上げれば、当然与党と内閣は一体でやっておりますから、ことしのがん対策については、自民、公明そして私どもで、了解の中で一つの政策としてつくり上げてきた、これは間違いないと思っております。

 一方で、与党からもがん対策基本法という形で今日お示しをいただいたということは、簡単に言えば、閣議決定とどう違うんだということが一番大きいだろうと思います。そこは、私は、特にこれは与野党で基本法を出されて、最終的に院の意思としてまとまってまいりますれば、一小泉内閣、一自公政権ということではなくて、国の基本的な柱として位置づけられていくんだろう。

 そういう意味では、私どもの閣議決定は、今何をやるか、内閣として何に取り組むべきかということが中心でございますけれども、基本法としては、日本の国の理念としてがん対策に総力を投じていく、こういうことが決定をされるんだろう、そこが一番違いだろうかな。簡単に言えば、政権交代があってもこのがん対策というものは進められていく、そこに私自身は大きな違いがあるなと思っております。

 一方で、内容自体につきましては、私どもも進めてまいったところでございますけれども、今までの医療というものは、どちらかというと、学会なり大学なりの専門家の方々が、お考えになっていく方向に引っ張っていく。しかしながら、仙谷先生が触れられましたように、今回の基本法、両案見させていただいても、やはりがん患者の皆さん方や海外での状況というものと照らし合わせながら、我が国の医療が進むべき方向まで指し示しながらの御提言をいただいているんだろう、このように解しております。

 そういった意味では、私ども、こうした法案がまとまりますれば、その趣旨に沿いながら全力を挙げてまいりたいと思っております。

今までの遅れをとりもどせ   専門家養成の予算投入こそカギ

○仙谷委員 三次にわたるある種の、政府のといいましょうか、国家的ながん戦略があるといいましょうか、あったし、現在も続いておるということなのであります。

 ただ、問題は、専門家に聞きましても、現在のレベルは、特に化学療法、放射線治療、先ほどから出ております緩和ケアというふうな領域を中心として、先進国のレベルでいえば十年から十五年、二十年ぐらいおくれているんじゃないか、堂々と専門家の方もおっしゃるわけであります。私は、なぜそうだったのかということの真摯な検討というか、自己批判的な考察といいましょうか、総括がなければ、これは、日本のがん治療もその他の医療もなかなか進んでいかないというふうに思います。

 この間、今回の医療制度関連法案の審議等々をめぐって、いろいろな資料が厚生省の中にあることがわかりました。相当、厚生労働科学研究あるいはいろいろな検討会というのを次から次につくって、そこではそれなりの結論が出ておる。つまり、メニューはほとんど網羅的に出ておるんですね。実行だけが残されておるのでありますが、実行の体制がほとんど脆弱だ。予算もつかない。

 さらに大問題なのは、ここに日本の大問題が横たわってきているわけであります。先ほどから文科省、つまり、大学医学部、大学病院との関係を、連携とか協力とかいろいろなことをおっしゃって、何とかなるんじゃないかというふうなことをおっしゃっておるわけでありますが、そうは問屋が卸さなかったのがここまでの事態というふうに私は理解をしております。

 考えてみますと、このがん治療の前進というのは、せんじ詰めると、専門家、これはお医者さんだけじゃなくてコメディカルも含めてその養成にどのぐらい力点を置くのか、これは研究も含めて、そこにどのぐらいの資源を投下することができるのかということに尽きるのかなという感じがいたします。

 といいますのは、国立がんセンターを退院してきていろいろな話を聞いたりしておりまして、四年前の私のこの厚生労働委員会での質問を改めてお読みいただければわかると思いますが、つまり、そこで申し上げているのは、化学療法についてのおくれと未承認薬の使用の問題あるいは適応外使用の問題というふうに、化学療法の問題について、患者さんからの訴えを中心に、私が日本のがん治療のおくれを指摘し、申し上げたという質問になっております。

 実はそのときに、私は、世界標準治療の中で使われている抗がん剤というふうなものについて、これを使うべきだという主張を随分しておりました。現在もその思いは変わらない部分がございます。

 しかし、そのときに、今は亡き今井澄参議院議員は、その私の考え方や患者さんの要求に対して批判的でありました。なぜ今井澄参議院議員が批判したかというと、使えない医者が使ったら大変なことになる、こういう話を彼は力説をしておったわけであります。つまり、抗がん剤の使用というのはそれほど簡単なものではない、訓練のできていないお医者さんが抗がん剤を適当に使ったりしたら、次の新たな問題が起こるというのが今井澄参議院議員の説でございました。

 つまり、そこで、改めてその観点を少々聞いて回ったりして勉強しますと、本当は、臨床腫瘍内科という学問、オンコロジーという学問もあり講座もあるんだけれども、日本には専門家が甚だ少ないということがわかってきました。まだ臨床腫瘍内科学会か、これが設立されていない時代の話であります。たった四年でもそのぐらいのギャップ、タイムギャップみたいなものがあります。

 その一年後ぐらいにこの学会は設立されたわけでありますが、そして、現在その学会が正式に認定している臨床腫瘍内科の認定専門医は、全国で四十七人ということになっているわけであります。先ほど放射線治療医の話が、五百人という話が出ましたが、放射線治療医の、放射線腫瘍学会の認定医が五百人、それから臨床腫瘍学会、つまり、化学療法の、抗がん剤使用の学会の認定専門医が四十七人、暫定指導医認定者が六百七十四人、こういうレベルが日本のレベルでございます。

大学での人材養成体制−連携ができていない

 この専門家の養成というのは、一方では、当然のことながら大学、大学病院の仕事にしてもらわなければならない話であります。あるいは、がんセンターを初めとする先進的ながん治療の病院でそういう高度な専門医を育ててもらわなければなりません。

 ちょっと、御本人からいただいた手紙で、公表するのが後で問題になったらいけませんが、こういうお手紙をいただきました。これは、さる日本の最高クラスの大学の医学部の、緩和ケアと放射線治療のドクターからのお手紙であります。

 その大学でも、「緩和ケアの講義は二コマだけ、それも、六年生の冬に、社会医学のなかで、ゲリラ的に行っているだけです。現在、医学部の講座は、臓器別になっているため、緩和ケアや放射線治療のような、横断的なものは、教えることができないシステムになってしまっています。放射線治療も、十年後には、がん患者さんの半数、日本人全体の四人に一人近くが、受けると予想されていますが、」先ほどの斉藤委員の答弁とほとんど同じでありますが、「講座があるのは、八十の医学部のうち、十二大学のみ、四十九大学では、放射線治療の教授職がないなど、問題だらけです。」ここまでが現状であります。「先般、文科省の高等教育局長とお話する機会を得ましたが、大学自治、で逃げられてしまいました。」こういうお手紙を実はいただいたわけであります。

 先般、いわゆる医師不足問題で、医学部の地元枠、地域枠をふやしてほしい、我が党の菊田議員も厚生省へ行ったら、厚生省にそういうことをお願いしたら、それは文科省へ行け、文科省に行ったら、大学の自治だ、独法化された国立大学法人の自律的、自主的な範囲だ、こういうふうに言われたということでございます。このような事態がまだ現在の事態だ。そうすると、厚生労働省がいろいろな研究をされたり、いろいろな検討会をしたり、いろいろなプログラムをつくったり、アクションプログラムをつくったりしても、それがどうも空回りをして絵にかいたもちになってきていたというのがこの間の姿ではないかと私は思うんですね。

 それは、法律にちゃんと位置づけられていないということもありましょう、それに伴う予算づけも問題であったということもありましょう。ただ、人的養成といいますか人材養成だけは、大学医学部、大学病院、そして国立系の病院や先進的な病院が、やはり一つの有機的な体制としてやっていただかないとうまく機能しないのではないか、そして、事が教育という問題であるだけに、これはマーケットに任せておくだけでできるんだろうかという思いがしてならないわけであります。

 国立がんセンターの今のそういう人材養成の使命、ミッションからする問題点は、実は、レジデント、あるいはあれは専門修練医というのですか、その後期の高度研修医の枠も募集枠がなかなか満たされないというふうな事態であるということを聞きます。それから、がんセンターにおいては、麻酔医が不足していることで、手術数が最近ふえないというかふやせられないというのも聞きます。

 あとの問題はさておくとしましても、人材養成のところに資源がつぎ込まれない、予算がつぎ込まれない、お金がつぎ込まれない、ここがこの間の化学療法といい、臨床腫瘍内科といい、放射線治療といい、あるいは緩和ケアといい、このレベルがもう一つ隔靴掻痒。均てん化といいながら、では、言い出してからどのぐらい進んだのだと言われたら、依然として、ことしもお医者さんはおりません、我が町の拠点病院には専門家は一人もおりません、東京へ行ってくださいみたいな、こういう話がまだまだ続いているということが私は問題なんだろうと思うんですよ。

人材養成に予算を集中させるには、政府をあげての対策本部が必要

 今回の法案も、結局のところ、私どもががん対策推進本部というのが必要だというふうに申し上げているのは、公明党さんも当初はそうおっしゃっておったようでありますが、これはやはり、厚生労働省の部門と文科省の部門とそれと自治体を包括して、一元的に、ある施策、とりわけ人材養成といいましょうか専門家の養成について、集中的に一丸となって取り組む。それも、私どもに言わせれば、年間五百億も使えばどんどん進んでいくという話のようでありますから、どうしてそういうことができないのかという思いで、この間の医療制度改革関連議案にも我々は取り組んできたつもりでございます。

 私は、厚生労働省の健康局や医政局の皆さん方に、別にあなた方を追及していじめておるんではない、これはあなた方をエンカレッジしているんだといつも言っておるんですが、余り理解されないんですね。この辺が最大の心理的な問題だと思うんですよ。

 厚生労働大臣、本当に、人材の問題というのは、先般の医療制度改革関連法案では、産科、小児科、内科等々を中心にして特に女医さんの大量の合格、まことにいいことですばらしいことでありますが、ことしは合格者が五〇%を超えたという説もございますよね、何かすごい話になってきておるわけですが、そういう時代動向を前提にしてそれにふさわしいような勤務体系をつくらなければならないというのが、先般の医療確保問題といいましょうか医師不足問題だったはずであります。

 今度は、専門家をどうやってつくるのか。そして、専門家と、専門家もお医者さんだけではなくて、がん登録についての専門家、あるいは情報センターを運営する専門家、あるいは情報センターと両々相まって運営される相談センターの専門家というような、コメディカルあるいは補完的なスタッフ、そういうところの専門家、あるいは、放射線治療であれば読影医や読影技師の養成ですね。要するに、人的な資源というか人材養成のところに意識的に集中して資源を投入しないと、この問題はうまくいかないということがわかってきたのであります。

 そういう考えについて、今度の法案を作成されているわけでありますけれども、この法案なり、法案を制定するに際して何を議論しておけばいいのか、鴨下先生、どのようにお考えでございましょうか。

○鴨下議員 今仙谷先生がおっしゃっている問題は、まさに我々共通の問題だろうというふうに思っております。

 特に、専門家の養成という意味においては、医学部を出て、その後、今度は卒後の研修が必修になりました。そこからは厚生労働省の所管でありますから、一般的な医学の知識をある程度修めて、そして国家試験を通って、その後に、きちんとした専門医としての養成コースに入っていけばいいんだろうというふうに私は思っております。

 ただ、そこに加えて、例えて言えば、文部省所管の独法の大学あるいは大学病院、そして厚生省所管のさまざまな病院、こういうようなものがうまく連携して専門医を育てていくというようなことについては私も問題を共有しておりますので、これからまだ時間は多少ございますから、そういう中で少しお互いに知恵を出さないといけないところなんだろうというふうに思っております。

 多分、実際に病を患って待っていらっしゃる患者さんにとってみれば、安心してかかれる専門家がどこにいて、そして、自分に対してどういう治療をしてくれるのかというようなことについては、一番の関心事であるし、切望していることだろうと思いますので、それをこの法案、両党、与党そして民主党から出ているわけでありますけれども、問題意識は一緒だろうというふうに思っておりますので、ぜひ、これからその問題をどういうふうに収れんしていくかというようなことも含めて、多少時間がございますので、協議をさせていただければというふうに思っております。

先進県をみならい、地域の検診の充実から

○仙谷委員 もう一つの問題、寺田稔委員が提起した検診の問題でございます。

 これは実は、まだまだレベルが低い検診が行われておったわけでありますが、健診の中での検診、つまり健康診査の中でのがん検診ということでありますが、これも地域によって大変ばらつきがあります。これは予算の使い方を見れば一目瞭然でございます。自治体の予算の使い方を見れば一目瞭然。それも都道府県の予算であります。つまり、これは都道府県にとっては任意の事業であります。従来は、老人保健法の老健事業として行っておったわけでありますから市町村の事業であったわけですが、県にとっては任意の事業であります。これは極めてばらつきがある。レベルが余り高くない。

 例えば、これは女性にとっての乳がんマンモグラフィー併用検診を進めるんだ、それから、男性、女性にとっての肺がん、これはヘリカルCTを使っての検診を進めるというふうな、ちょっと特化した目標でこの問題というのは取り組む必要があると私は思っております。そういうことも、法律に基づいた、ちゃんとしたがん治療の基本計画の中に書いて、その助成も国がやりませんと、今のようなばらばらの事態になると思います。

 もう一つだけ、ある意味でのプラスの方向の話を私の方からお話を申し上げて、ひとつ厚生労働省も、予算獲得と同時に、そういう思いで頑張っていただきたいと思うのは、先ほど申し上げました乳がん検診は今、富山県が非常に突出しております。それから、県立のがんセンターでは静岡県が突出をしております。ここは相談センターにも約一億円ぐらいお金をかけているということであります。緩和ケアは広島県が先頭を切って走っている、地域の緩和ケアのシステムも先頭を切って走っているということであります。

 均てん化の問題というのは、主に何か東京からすべてに均等に恩恵を滴らせるというふうなイメージがどうも霞が関にはあって、よくないんじゃないかと私は思うんですが、地域での、あるいは地方での先進的な事例をまさに全国的に均てんする、こういう発想を持って、いい成果を上げているところの分は大いにそれを模範として、厚生省の方が今度は予算をつけて進めさせるということに取り組んでいただきたいということをお願いしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わります。