このまま こんな医療制度の法律が通って
本当にいいんですか

4月28日厚生労働委員会 質疑

与党推薦の参考人からも危機的な医療の現状を警告

○岸田委員長 次に、仙谷由人君。

○仙谷委員 委員会でこの医療制度改革関連法案については初めての質問ということになります。

 ここまで与野党の質疑、そして参考人の意見陳述、お話を伺ってまいりまして、これでいいのか、このまま法案が通っていって本当に与党の皆さんも政府もこれでいいんですか、そういう気持ちを深くしております。

 そこで、二十五日、二十六日、与党からも御推薦になられた参考人が六人、野党からも推薦した参考人のお話が六人ございました。

 大臣、副大臣、いずれもこれをお聞きになられていたと思います。あるいは、後に速記録等々をお読みになっていると思いますけれども、与党推薦の参考人の方々が、まじめに、これほど現在の医療の危機について、この公的な場でお話しになって、危機感を深められている。そういう方々が過半数、与党の中でも過半数いらっしゃったんじゃないかと私は聞いておりましたが、今回の参考人の真摯な御意見をお聞きになって、大臣、副大臣、どんな感想、感慨、あるいは立場上の思いといいましょうか、決意をお持ちになりましたでしょうか。簡単にお答えいただければ結構です。

○川崎国務大臣 まず、前提を申し上げますと、審議中に私は行革と参議院の厚生労働委員会にずっと座っておりましたので、実際の現場は見ておりません。概要について担当者から聞いただけでありますので、この連休中にでもしっかり読ませていただきたいと思っております。

 基本的な認識として、我が国の医療制度はどうであるかということになれば、これは委員会でも、特に与党の議員を中心に御質問いただきましたように、ヨーロッパの国々、アメリカ等から比較して、またWHOから見ても、我が国の医療の水準は極めて良好な状態にある。ある意味では、皆保険制度を保ちながら、医療の質も高く保っておる、負担もそう大きなものではない、こういう認識をまず私自身持っております。

 しかし一方で、国内的に見れば、当然、この間の参考人の中にも、僻地医療に携わる方々がいらっしゃいました。したがって、僻地医療が抱える問題というのをお話しいただいたろうと思っております。また、小児医療また周産期医療、集約化というものについて御議論をいただいた、このように思っております。また、急性期の医療等々、我が国の医療の中で抱える課題、しっかり解決していかなければならないという方向で御議論をいただいた、このように思っております。

 しかし一方で、我が国、これから私どもが、団塊の世代の者がだんだん高齢化をしていくという中で、医療費の負担というものは当然ふえていく中で、それをしょってもらうのは数の少なくなってくる若者でありますから、当然医療費の適正化というものにも取り組んでいかなければならない。医療の質を上げながら、保ちながら、一方で負担というものについてみんなで考えながらやっていかなきゃならない、極めて難しい話でありますけれどもしっかりやらなければならない、このように思っております。

 一方で、今度の改革ですべて済むかといえば、これは先ほどからも御答弁申し上げておりますとおり、医療技術の進歩等、これは日進月歩でございますので、五年を程度にしっかり見直しながらやっていかなければならない、このような認識で私自身思っております。

○赤松副大臣 今の大臣のお話の後に私の意見を求められたので、簡単に申し上げさせていただきます。

 大筋の今回の参考人の皆さんの御意見は、私も終わってから、担当の厚生労働省の皆さんから聞かせていただきました。すべて正確に把握しているわけではございませんが、そこでの御意見、いろんな角度からの、特に具体的な医療に従事しておられる皆さんのお話に非常に聞くべきものがあったというか、かなり一般的に、より深くわかることができた、そんなふうな印象を受けております。

 実は、私、今の日本の医療の現状について、仙谷委員から、おまえの認識はまだ甘い、こう言われたらあれですけれども、私自身も厳しい認識を持っておるつもりでございます。一昨年、私は、虎ノ門病院の小松秀樹先生のもとで、ある病気の手術を受けたわけで、私の主治医のような立場でございますが、先日、個人的に、小松秀樹先生にいろいろ日本の医療をめぐる話を聞きました。

 彼は近く、ある出版社から、「立ち去り型サボタージュ、崩壊し始めた日本の医療」、こういうふうな本を出すということで、彼の、さきの「慈恵医大青戸病院事件」という本も読んだりいたしまして、今、日本の医療が抱えているさまざまな課題については、私自身もいろいろな角度で勉強をし、自覚をしているつもりでございます。

 そんな意味で、今回の医療制度改革についての法案というものは、仙谷委員、非常に厳しいまなざしでこちらを向いておられますが、そういう委員の御認識と私の認識がどれぐらい違うかどうかということは別にしまして、私も私なりにかなり強い危機意識を持っておって、今回の法案が、一〇〇%と言わないまでも、大きくそれを改善する方向で力を発揮する、そんなふうなことを期待しているわけでございます。

どうする  病院の未収金、格差の拡大、国民負担増、そして医療難民、介護難民

○仙谷委員 のんきなものだなと思います。特に、赤松副大臣は、福祉の公明党の所属でございますから。

 医療提供体制の現場の問題が大変深刻な状況になっているということのみならず、先般から問題になっておりますように、未収金という格好であらわれてくる問題、医療扶助で使われております金額、格差がどんどん拡大する中で、保険財政そのものを健全化しようとして、泥縄式に国民の負担増を行い、あるいは政府からの、国庫からの繰り入れを減らすということをやればやるほど、多分この問題は最終的に、生活保護、医療扶助あるいは未収金等々の形でもっと大きな社会問題になってくるんだろうな、今回の審議を通じてそんなことを感じました。

 といいますのは、医師会さんがほとんど公的な立場でここにいらっしゃって、医療難民、介護難民という言葉を使われた。これはちょっと大変な問題ではないかと思います。

 がん患者の方々が、昨年までがん難民という言葉を大変声を大にして訴えられていた。今度のこの医療改革が始まってみると、医師会の公的な立場にある方が、ナンバーツーかナンバースリー、実務の責任者でしょう、医療難民、介護難民と言われた。連日のごとく東北、北陸地方では、ああ、どこの小児科、産科が取りやめになった、あるいは脳外科までなくなった、内科も集団でお医者さんがいなくなった、こんなことがいわゆる病院現場で起こっているということであります。

 私は、これはまさに、「一将功なって万骨枯れる」ということわざがありますけれども、たとえ保険財政が何とかほころびを見せないようにあと五年か十年もったとしても、そのときには、万骨と同じように医療現場は完璧に枯れる。特に急性期医療はずたずたになって、いなくなるのではないか、維持できなくなっているんではないかと思います。

反乱、一揆でなく「逃散」現場の矛盾は限界に

 ある小児科を専門にされている方が私のところへ来て、北海道でその人はなさっておるようでありますが、こういう言い方をしました。仙谷さん、医療現場からの反乱とか一揆とかが起こっているんだったら、反乱や一揆だったら妥協のしようもあるし解決の方策も生まれる、しかし、今起こっていることは、先ほど赤松副大臣もおっしゃったけれども、逃散である。逃散というのは難しい言葉、逃亡の逃に散逸の散。要するに、現場からいなくなる、プロフェッショナルがいなくなる。

 先般の参考人の質疑の中でも、御意見の中でも、あれは横浜市立大母子医療センターの奥田美加さんという女医さんのお話でしたか、もう辛うじて七十一歳のおばあちゃんの力もあって維持しているけれども、やめたい人は身の回りにはいっぱいいるし、これがどこまで続くかわからない、そういうことをおっしゃっていましたよね。

 船橋の市立医療センターというところに行きましたら、やはり小児科部長は女性でした。多分、お年はわかりませんけれども四十代中盤でしょう。もうへとへと、もう見るからにへとへとでした。それで、今まで三つあった小児救急を受け付ける病院が、船橋でことしから二つになったんだと。もう何でもかんでも舞い込んできて、もう寝る間もない。そんなことを言って、本当にへとへとになっていました。

 つまり、いろいろな診療科でも問題があるようでありますけれども、今のこの急性期病棟をめぐる問題。病院というのは、先ほど川崎大臣が、まあ自慢されたわけではないんでしょうけれども、お述べになった日本の医療水準の高さを保ってきた、その大きな要因といいましょうか構造だったと私は思います。私自身も、国立がんセンターで手術をし、入院生活を送った経験からいいますと、日本の医療のレベルは低くない。

 しかし、そう言っているうちに、この人たちがへとへとになってやめていく、若い人たちがもうばかばかしいからそういうことはやめようと。ある確率でそういう逃散現象が、いわば北朝鮮の脱北みたいな話に近いわけですよね、逃散というのは。こういう現象がある確率でふえたときに、十年続いたらどうなるか、はっきりしているじゃないですか。

 先ほど、川崎大臣、我が党の柚木さんの質問にお答えになって、必死になって、小児科医は減っていない、ふえているとおっしゃった。要するに、小児救急病院で宿直をする、宿直のできる小児科医がふえているのか減っているのかが今問題なんでしょう。小児科医が、ビル診で開業する小児科医が幾らふえても、まあ、いないよりいた方がまし、現在の問題を解決するということにはならないんじゃないでしょうか。これは例え話でありますが。

医療制度維持には国民の納得が不可欠

国民がわからないままの法案採決は許されない

 私は、この段階で与党の皆さん方に申し上げたい。大体、一日二十分の審議をしてこれでよしとするような与党というのは、全くこの法案に責任を持っていると言えないですよ、二十分や三十分で。もっと質問したらどうですか、問題点があるんだったら。これが万事オーケーの法案なのかどうなのかお考えになった方がいい。ちゃんと質疑をした方がいい。

 なぜこんなことを言うかといいますと、皆さん方は法案が通ればいいんですか、これ。もうそれだけでいいんですか。国民はわかっていませんよ。今のこの保険財政が財政破綻状況にあるかどうかということも、ほとんどわかっていませんよ。老人保健制度として維持されてきたこの高齢者に対する医療が、一人一人の現役世代が出した保険料のうち何兆円プレゼントされていたか、ほとんど知りませんよ、国民は。これを新たな七十五歳以上の高齢者医療制度と称するものに変えて、これが保険であるのかないのかようわからぬけれども、どこからこのお金が出てくるのか、国民はほとんどわかっていませんよ。わかっていないと思いますよ、金目の問題にしても。

 あるいは、医療の問題にしても、自分が住んでいる身近なところでの病院で、なぜ小児科が閉鎖になるのか、産科がなくなるのか、外科がなくなるのか、内科の医者がいなくなるのか、なぜなのかわかりませんよ、国民は。これは与党推薦の渡辺俊介さんがおっしゃったように、足りなければ政治の責任で御負担を願わなければいけない、国民に。これだけかかるのであれば御負担を願わなきゃいかぬと私は常々思っているんですよ。

 そのことを、お金が足りないのか、人が足りないのか、政策が悪いのか、ちゃんと説明をして、国民にわかってもらわなければいかぬじゃないですか。社会保障の中で唯一の現物給付ですよ。だれだって、なぜ同じサービスを受けるのに保険料が違うのか、都道府県で違うのか、市町村で違うのか、入っている保険組合の違いで違うのか、このことを説明できる人もいなければ、わかる人もいないですよ。私、そう思いますよ。しかし、現実には受ける医療サービスも、建前上は均一で平等だということになっているけれども、実際は地域によって違ったり、あるいはその人の置かれたポジションによって違ったりしているじゃないですか。

 こういうことをちゃんとわかってもらって、今の水準を維持し、なおかつ、もっとレベルの高い、質の高い医療を、そういうつもりでこれ、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案になっているんじゃないですか。そのためには、負担がどのぐらい必要なのかということをちゃんとこの議会で説得的な議論が行われて、国民にそのことがメッセージとして伝わらなければ、だれだって、ああ、また強行採決したのか、何時間で済んだのか、その程度しかわかりませんよ。

 結局、来年の十月ですか、思いもかけず負担が来たとか、あるいは医療提供、病院へ行ってみたらとんでもないことになったとか、医療事故は続くとか、もう医療事故を起こすのは嫌だから病院をやめるとか、そういうことにしかならないんじゃないかということを私は心配して申し上げているんです。

 私は、別に審議を引き延ばすつもりなど毛頭ありませんけれども、この程度の審議で本当にいいんですかということを、真剣に政府・与党にも、与党の皆さん方には特にお考えいただきたいんですよ。このままでいいはずはないんですよ、多分。川崎大臣はそれほど深刻な事態じゃないような感覚のことをおっしゃるけれども、私は相当深刻だと思います。

 というのは、大野病院事件が起こるまでは、率直に申し上げて、私どもも、急性期病棟が全般的に大変な問題化している、つまりバーンアウト現象が起こって、開業医ブームが起こっている、これは何なんだと、こういう問題意識はありました。とりわけ小児科がひどいということも、そういう問題点も感じておったつもりであります。がん治療については、なぜ太鼓はたたくのに事態が進まないのかということについて、甚だ疑問を持っておりました。

 しかし、例えば産科医療がここまで来ている、あるいは僻地と言わずごく普通の地方が、選挙区でいえば二区、三区です。我が地元でも二区、三区、ここの中核的な病院がほころんでいる。今度の審議に際して、いろいろなお話を聞いたり歩いてみたりするまで、ここまで来ているとは思わなかった。これは相当に病状が悪化している。がんでいえば、二期は超えているんじゃないかと私は思うんですね、これは。

 そんな事態でありますから、政府も与党の皆さん方も、ただ、だらだらと審議をすればいいことはありませんけれども、与党の方々ももっと本当に国民の立場をちゃんと代表して質疑をされたらいかがでしょうか。提起しておきます。

深刻な産婦人科の減少への対策は

 そこで本題に入ります。

 きょうは、ちょっと資料を用意しましたが、何を用意したかといいますと、まず、資料の一枚目と二枚目をごらんいただければ、実は、医師の地域偏在の是正というふうな問題は、もう平成八年から、九六年の医療改革のときから問題になっておりましたね、こういう話です。あるいは、小児救急医療の充実というのは、少なくとも二〇〇一年から二〇〇二年、そしてそこから、せんだっての鴨下参考人がおっしゃったように、労働科学研究をして、ついに昨年、僻地小児科の医師不足問題に対応する確保対策ができた、こういうことだと思うんですよ。

 ここをごらんになっていただいてもわかると思いますが、周産期も実は、厚生労働科学研究で一緒にといいましょうか、同じように研究対象になって、同じように対策が出ておるわけでありますけれども、明確に、産科、周産期がこれほどの状態になっているというのは、少なくとも厚生労働省の公的ないろいろな文書からは余り見受けられないんですね、見受けられない。

 きょう用意しましたのは、最近、産婦人科学会が大変なことになった。これは大野病院ショックだと思いますけれども、調べられて、ちょっとめくっていただきたいんですが、七枚目、産婦人科常勤医師数について、いかがですか、二年ちょっとの間に四百十二人減って八%減になっている。これは、大学病院等その関連病院の数を調べたらこうなっておるということですね。

 さらにもっとショッキングなのは、資料の八枚目。右の方に四と書いてありますけれども、分娩取り扱い関連病院数、これは約一割近く減っている、百十一減っている。

 それから、女性のお医者さんの数は、よくおわかりいただけると思いますが、九枚目には、分娩取り扱い関連病院における常勤医の数の分布、女性医師の分布というふうに書いてあります。これはほとんどの病院が、一、二、三、四と書いてあるのは、二人体制、三人体制、四人体制、あるいは一人医長体制、ここが七七%ぐらいある、こういうふうなことが書かれておるわけですね。

 この対応策でありますが、厚生労働大臣、その対応策について資料の五枚目、「産科について」というところで書いてございますが、少々遅きに失したとはいえ、集中的に今からやるべきこと、厚生労働省は緊急にやるべきこととして何かお考えはありますか。

○松谷政府参考人 産科の医療につきましては、御指摘のとおり、急性期医療全般の御指摘がございましたけれども、私どもとしても危機感を持って対応しなければならないと考えております。

 産科につきましては、出生数、出産数は減っている状況でございますが、産科のお医者さんも減っているということでございまして、それに伴いまして、産科を取り扱う医療機関が御指摘のとおり減ってございます。

 このため、ここでの当面の対応について昨年八月の取りまとめにもございますように、集中化、選択化ということで連携を強め、連携強化病院、連携病院というものを各県において進めていくということがまず当面やらなければならないことではないかと思っております。

 そのほかにも、産科につきましては、助産師との役割分担、その他やらなければならないことは幾つかあろうかと思っておりますけれども、地域での周産期の医療協議会、あるいはネットワークを十分に尊重しながら集約化を進めていくということが当面まずやらなければならない仕事であると思っております。

予算をきちんとつけないと、過酷な勤務は改善されない

○仙谷委員 今、産科で、特に分娩を取り扱う病院で働いているドクターが、医政局長の今のお話を聞いたら、もうあしたからやめようと、二割ぐらいふえたんじゃないですか。そのぐらい深刻だと思います。

 医政局長、先般の参考人の鴨下先生と奥田さんという女性のお医者さんのお話、聞いていないんですか。鴨下先生は、厚生労働省のお金で厚生労働科学研究をやった結果、ああやって具体的におっしゃっているんじゃないですか。そんな今のような、昼寝のような話をされたら、どうすることもできないじゃないですか。

 もっと具体的にここをこうするんだ、つまり、産婦人科学会が言っているように、病院では五人以下の体制なんかとらせないようにする、そのために緊急にこのぐらいお金を補助金で突っ込む。例えば二次医療圏について、一つぐらいはそういう体制をとる。診療報酬はもう決めちゃったから改正できないでしょうけれども、要するに、鴨下先生がおっしゃったのは、勤務状態と訴訟の問題を言っていたわけでしょうが。毎日毎日、眠れないような状態で三十六時間働いて、次の日に日勤して、また宿直、当直するというふうなことが続くんだとおっしゃっていたじゃないですか。持続可能性がないことは明らかじゃないですか、こんなことは、人間である限り。

 その問題に、例えばことしは予算をこうつけました、あるいは、ついていないのだったら、補正予算でこのぐらいのことはやりますと大臣に言わせなさいよ。無過失賠償責任補償の問題も研究は始まっているんでしょう。あとは政治決断ですよ、これも。いつまでだらだらと、まあそのうち何とかなるわいな、しょせん医政局に回ってくる予算は少ないから、つめに火をともすようにしてちょっとずつ振りまこうか、こんなやり方じゃ、もうだめなんですよ。周産期は、特にこんなやり方じゃだめなんですよ。鴨下先生があそこまでおっしゃったじゃないですか。

 とりわけ、厚生労働大臣にも頭に入れていただきたいし、小泉さんはもうやめるからどっちでもいいかもわかりませんが、要するに、人口減少社会における少子化対策と言いながら、こんなに子供の医療と周産期の医療に医療の現場が踏みつけにされたんではたまらないというような意味のことを鴨下先生がおっしゃっていませんでしたか、予算措置の上からも。

 例えば、この周産期医療の問題で、いいですか、何かことし自慢できるような予算がついているんですか。教えてください、十八年度予算。私、目を皿にしたけれども、ない。

○松谷政府参考人 周産期の体制につきましては、先ほど申し上げましたけれども、先生御指摘のとおり、その集中化、特に分娩数については、五人、十人というような体制をとったところで分娩そのものについて集中する必要があろうかと思っております。大変少額ではございますけれども、そのためのモデル事業といたしまして、開業しているお医者さん、産科のお医者さんと、それから、妊娠は十カ月続きますけれども、八カ月、九カ月そこでフォローをして、そしてお産をするところにそのかかった先生とともに行くというようなモデルをやっているところでございます。

 また、これは医政局ではございませんけれども、雇児局の方でも、各県が比較的自由に使えるような、これは三十六億円総額ですが、各県に分けると大変少額になるわけですけれども、予算を措置したところでございます。

 いずれにしても、先ほど申したようなことを一つ一つ積み重ねて、鴨下先生の問題意識も私どもも直接伺っておりますので、それに沿った対策をさらに進めていかなければならないと思っているところでございます。

○仙谷委員 いずれにしましてもじゃないんですよ、いずれにしまされたら困るんだ。

 予算の金額を教えてくれと言っているんですから、教えてくださいよ。これは周産期について幾ら今度予算がついているんですか。少ないですけれどもというのはどのぐらい少ないんですか。

○松谷政府参考人 小児科・産科医療体制整備事業ということで、本年度新規でございますけれども、母子保健医療対策等総合支援事業、統合補助金の中でございますが、その中で三十六億円一括計上しているところでございます。

 このほかにモデル事業、これはたしか一千万単位のレベルでございますのでちょっと今資料が手元にございませんわけですが、ございます。

○仙谷委員 三十六億円、何につけたとおっしゃったんですか。統合補助金、それは何、周産期医療と関係あるんですか。周産期医療と関係あるの。

○松谷政府参考人 周産期医療体制の充実という点では、今申し上げた新規の三十六億円の事業、統合補助金の中でございますけれども、これは小児科・産科医療体制整備事業の実施ということで、医療資源の集約化、重点化を図るための計画検討調整、あるいは地域住民などへの理解のための広報啓発、それから医療資源の集約化による病院の空き室の軽微な改修費などに使用できるものでございます。

 このほか、広い意味で、かつてから行ってございます総合周産期母子医療センターの運営費、これは運営の事業。それから、母子保健医療施設設備整備事業ということで、施設整備、設備整備も含めた予算、これにつきましては、医療提供体制整備交付金の中でございまして、周産期医療だけではございませんけれども、医療提供体制の施設整備ということで百十一億七千八百万円。あるいは、医療提供体制推進事業補助金の中でございますが、設備整備等ということでございますが、百二十九億五千八百万円といったようなことでございます。

周産期 小児医療の現場をよくするのに必要な金額は桁が違う

○仙谷委員 言うに事欠いて、余りそういういいかげんな話をしては困りますよ。

 いいですか。小児科・産科医療体制整備事業の実施、新規三十六億円というのは確かにあります、統合補助金と書いてある。これは第二次医療圏ごとに割ったら幾らだと僕は聞いているんですよ。三百六十九で割ったら幾らになるんですか、三十六億円というのは。一千万円ですか、一千万円見当ですよね。これで何をやるんだとこの間僕は聞いたんですよ。これは何をやるんですか。何か広報啓発費とか、計画検討調整費とか、軽微な改修費とか、ブロック別講習会費及び調査研究費、そんなこと書いてありますよ、補助事業の内容と。一件当たり三千万になるのかね、一件当たりに直すとどうですか。合計したって大したことないじゃないですか、こんなもの。

 いいですか、これが果たして急性期病棟、とりわけ周産期、小児科の現場を、現場の労働条件を、勤務条件を変えるような、あるいは周産期で働く小児科で働くお医者さんが、何か逃散をやめるような、そういうインセンティブで働くようなお金になるんですか、この三十六億円というのは。つまり、後でがん対策のところでも申し上げようと思っているんだけれども、一けたも二けたも違うんですよ、お話が。

 第二次医療圏というのは約四百あるわけでしょう、あなた方がせっかく言っているのは。つまり、小選挙区とよく似ているんですよ、三十万単位とか四十万単位で地域を画していけば。そうでしょう。先般来られたお医者さんは、奥野さん、一人の医者が面倒を見られるのは多分二千人ぐらいだ、こうおっしゃっていたじゃないですか。

 あるいは、周産期、お産というのは、百万人ぐらい今生まれているんでしょう。一億人で百万人だから、三十万人か四十万人の医療圏の中だったら、その三分の一だ、はっきりしているじゃないですか。だから、そのことに対応するちゃんとした急性期の分娩を扱う病院を運営するために、今のレベルでどうやれば赤字が出ないで、こんな労働基準法違反のむちゃくちゃの状態を続かせないことができるのかと。せっかく厚生労働科学研究で結論が出ているのに、何でそのことに予算がつかないんだと思っているわけ。予算をつけるんだったら、零が一つか二つぐらい違うんじゃないかと僕は見ているわけですよ。

 現に、お医者さんの中でこういう問題にちゃんと取り組んでいる人、人数を一・五倍にして、間接経費も五〇%増しぐらいかかる、こういう計算をしたときに、周産期はあと二千億円必要だと。ほとんどこれはもう人件費ですからね、言っておきますけれども。小児科も同様に二千数百億円かければ二交代で回すか三交代で回すか、できるのではないか、集約化した上でそういう回し方をすればできるのではないか、こういうふうにおっしゃる方がおるんですよ。

 だから、三十六億円、こう言われると、おちょくるんじゃないよという感じになるわけですよ。顔を洗って出直してこいという話にしかならないと思うんですよ。一挙に三千億円のあるいは二千億円の予算がつかなくとも、いいですか、そこへ向かって、五年なり十年でこの問題を解決する、それこそ医政局の腕の見せどころじゃないですか。

 いや、そうしないと、すべて、少子化対策であろうが子育てであろうが、人口減少に立ち向かうであろうが、全部お題目になるんですよ。まあ、しょせんはスローガン、お題目、ワンワードポリティクスだからいいやと厚生省の方々も思っているんだったら、それはいいですよ。だけれども、全然けたが違うということが、おわかりになりませんか、松谷さん。もう一度。

○松谷政府参考人 顔を洗って出直さなきゃならないかもしれませんが、真剣な御提案でございますので、お答えを申し上げたいと思います。

 小児科、産科に限らず、急性期については大変深刻な問題だと思っております。そのための予算の話でございますけれども、医療費につきましては、実際は人件費が半分あるいはそのほかの、病院の運営費その他でございますが、その大宗は、我が国は皆保険でやっておりますので保険料の形で、保険については医療費全体ではもう三十兆超えてございますが、そのうちの四分の一ぐらいは国費も投入をして皆保険を維持してやっているわけでございます。

 また、その中で、産科、小児科につきましては、今般の診療報酬の中でも、その底層を流れる基本的な人件費、運営費に加えて、いろいろな加算の形で、ハイリスクの分娩であるとか、あるいは小児科の入院であるとか二十四時間の救急の体制であるとかというところを診療報酬の上でも見る。さらに、それに加えて、医政局の補助金、今大変少ないという御指摘を受けましたけれども、その中で小児の救急を少しでも広げていくというようなことを、そのまた上で政策誘導という形でやっているわけでございまして、その一番上のところだけですべてを動かしているわけじゃなくて、もちろん全体の大きな我が国の医療費の上に乗ってそういうことを誘導していかなければならない、こういうふうに認識しているところでございます。

○仙谷委員 産科は特に、診療報酬の話をされましたけれども、多分診療報酬でカバーされるのは二割か三割なんでしょう。だから、もうちょっと現場の目線でお考えになったらどうですか。なくなりますよ、本当に、これでは。

集約化とは具体的に何をするのか

  口先でなく現場感覚で

では、次の問題に参ります。

 小児科の問題です。集約化ということを大臣は一生懸命おっしゃっていますね。どういうことをしたいんですか。

 つまり、端的にお伺いしますと、小児科学会なんかも、成功例、先進的事例、厚生省もそういうふうにお考えになっているんじゃないかと思うんですが、豊能広域こども急患センターという初期救急医療、こういうものができればいいんだけれどもな、こんなイメージじゃないかと思うんです。これは大阪の箕面市でできている、資料十一枚目ですね、藤沢市民病院、豊能広域こども急患センター、熊本地域医療センター。いずれにしても、こういうところで初期医療、二次医療をちゃんとしたローテーションを組んで行うということだろうと思います。

 こういう医療センターを周辺住民が納得してというか、納得までしなくても理解してこういうものができれば、相当二次医療の急性期病院も、まあ、何でもかんでも来なくてよくなる、こういうことだろうと思うんですが、豊能広域こども急患センター、こういうところだとどのぐらい公的な資金を診療報酬以外に出したら大体うまくいくと思いますか。

○松谷政府参考人 小児医療の件でございますけれども、今箕面の、豊能地域での集約化の例をお引きいただきました。先ほど先生御指摘ありましたけれども、病院での時間外あるいは休日の救急に相当に本来の入院医療を担当する小児科医が人手をとられているというような状況もございますので、このような形で、開業されているお医者さんの参画を得た形で集約化が進むということは大変望ましい形ではないかと思っております。

 そのためにどのくらいのお金が必要かということでございますが、今手元にちょっとその資料はないので数字を申し上げることはできませんけれども、このための、これは小児でございますけれども、小児に限らず救急については、夜間、救急のセンターというような形で運営をしてございますので、それに加えて小児の持つ特殊性というようなものを若干プラスするような形になるのではないかと思っております。

○仙谷委員 例えば、必ずしもワンパターンでないとしても、いいですか、ここに先ほど十一枚目でお示しした藤沢市民病院や豊能広域こども急患センターや熊本地域医療センター、こういうふうなものを皆さん方は集約化、こう言われておるわけですか。これはモデル的な事業で、こういうものを進めていかなきゃいかぬと。それは口だけなのか、何かこういうものを進めていくためにこの十八年度予算で予算づけでもされておるんですか。どっちですか。

○松谷政府参考人 集約化のあり方につきましては、それぞれの地域ごとの特性があろうかと思います。

 今例に引かれました箕面あるいは藤沢等の例は、それぞれの地域の話し合いによってこういう形で進められたものと思います。箕面につきましては、先ほど申し上げましたように、地域の開業の先生方が参画して、いわゆる夜間等での救急、時間外の診療をカバーするというようなことでございます。

 また、別の意味での集約化というのは、入院医療につきまして、産科の場合もそうでございますけれども、小児につきましても、小児科の先生が一人二人でやっていくのでは大変である、これを相当の数の小児科医が集中して入院治療、この場合は病院同士の集中ということになろうかと思っております。

 予算のことでございますけれども、小児救急予算ということで、そのセンターとなり得べき小児の重点の病院等についての予算を手当てしているところでございます。

○仙谷委員 何といいますか、結局これも、もう分権時代だから各市町村任せですか。何か厚生労働省が集約化、集約化と一生懸命おっしゃるから、これが小児科や産婦人科の最大かつ唯一の切り札のようなことをこの間ずっと言ってきましたよね。何をしようとしているのか。

 いいですか。つまり、昨年の十二月二十二日に、ここにもきょうその見出しだけコピーして持ってきてあると思いますが、この三枚目、「小児科・産科における医療資源の集約化・重点化の推進について」と。確保が困難な地域における当面の対応もそうなんだけれども、要するに、医療資源の集約化、重点化。私は、これは都市部は都市部で、先般船橋へ行ってそう感じましたし、必ずしも、もう今や、小児と周産期は特に、いわゆる僻地、山村、離島だけが問題になっているわけではないですよね。何かここまで大々的に十二月二十二日付の文書を出されておるので、予算でもちゃんとついておるんだろうな、こう見ておったんですよ。これは余りついた形跡がないんですよね。

 それで、今お伺いしたら、いや、それは県と市町村にお任せしてあるみたいな話です。それは、県も市町村も、背に腹はかえられないから、別に厚生労働省が集約化とかなんとか言おうが言うまいが、できる限りのことを財布があるところはやっているというだけの話でしょう。だけれども、まだのんきなところも随分ある。あるいは、もうなすがままに、お医者さんがいなくなっても茫然自失、拱手傍観、そういうところもある、こういうことだと思うんですよ。

 だから、せっかく三年もかかって厚生労働研究をまとめて、いよいよ皆さん方が報告書は出すわ、そして昨年十二月二十二日、各都道府県知事あて、通達までお出しになったわけです。だから、少々のインセンティブをつけるか何かしないと、まずいんじゃないかと私は思ったのであります。

 どうなんでしょう。医師確保対策や、先ほど申し上げたいわゆる集約化というのはこういうことなんだということで、つまり、藤沢や豊能や熊本のようなことをやるのであればこういう助成をするぞとか、何かこういういいことがあるよ、そういうことは全然ないんですか。

○松谷政府参考人 小児医療につきましては、特に救急医療につきまして、その集約化の促進という観点から、十八年度の予算では、休日、夜間等の時間外診療を行う病院に対する運営費の補助金につきまして大幅な増額をしたところでございます。

 小児救急医療支援事業を実施している病院についての補助につきましては、一人体制から二人体制にしていただくということで、ほぼ倍増、九億六千五百万円。それから、小児救急医療拠点病院は、これは重点的に行うところでございますが、この運営事業につきましても、二人体制を三人体制ということで、七億二千万を八億七千二百万としたところでございます。

 このほかにも、救命救急センターにおいて重篤な小児救急患者を二十四時間受け入れる体制の整備に係る補助等、新たに対応したところでございますけれども、これらと相まちまして、いわゆる救急というよりも時間外の問題もございますので、これはかかる患者さんの側の問題、問題というか不安を解消するということで、そのための急病時の対応方法についてのガイドブックの作成であるとか講習会の開催、あるいは電話相談の事業をかねてからやってございますが、これの普及等にも努めているところでございます。

○仙谷委員 資料の十四枚目に出してあります。

 それで、今あなたが倍増したと、四億八千四百万が九億六千五百万になった、小児救急医療支援事業を実施する病院への補助(事業費)、人件費補助、これを言っておるんだろうと思うんですよね。その下にも、従来七億二千万だったのが八億七千二百万になった、微増したと。

 しかし、厚生労働研究が出て、事々しく集約化を言って通達を出したにしてはこれはちょっとお粗末なんじゃないんですか。ちゃんと百三十六地区というふうに書いてあるでしょう。これは単価三百万円だというじゃないですか。これも、受け手の方から見たら、おちょくるんじゃないよ、三百万円で集約化をやれと言うのかよという話になるんじゃないですか。ちょっとレベルが違うんじゃないですか、二けたぐらい。二けたとは言わぬが、毎年送られてくるのであれば二けたとは言いません。

 つまり、私が調べたところによると、豊能こどもセンターは毎年六千万円の赤字が出ております。それを府が二千万円、周辺の、つまり参加している市と町の負担金が四千万円、六千万円一般会計から繰り入れをしてこの豊能広域こどもセンターというのは維持されている、こういうことになっております。

 ということは、やはり国が出すかどうかは別にして、税財源の移譲でもいいんだけれども、そのぐらいのお金がないと、今の診療報酬体系上は、小児も産科も、まじめにやればやるほど赤字が出る、特に二十四時間、三百六十五日やれば確実に赤字が出る、こういう構造になっているんでしょう。つまり、赤字が出ないところは、例の夜勤を当直と言いかえて、あるいは、三十六時間連続運転のような連続労働を労働基準法違反とは言わないで、非常に非人間的なことをやらせておってようやくもっておる。これだけじゃないんですか。

 だから、まともに交代制をしくとかいうことをやれば、一次医療圏の初期医療、初期救急医療センターのようなところでも五、六千万は持ち出さないとできない、こういうことになるんじゃないかと僕は見ておるんですよ。

 ちょっとその辺も、現実的に、現場の感覚も含めてお調べになって、補正予算でも組む、そのぐらいのことを考えないと、これはますます泥沼化しますよ。現状維持も図れなくなるんじゃないか、そういう心配をしておるわけですよ。

 つまり、集約化という言葉はいいんです。それを具体的にどのようにやるのか。市長さんや知事さんやあるいは議会の議員さんがわがままを言わない、みんながセンターをつくるために譲り合うとか、そういうことも必要かもわからない。だけれども、もう少し踏み込んだモデル事業ならモデル事業を示して厚生省もここまでやるということを緊急にやらないと、小児と周産期だけは、これは取り返しがつかないんじゃないかと。私は、先般の参考人の意見の中でも、鴨下先生の意見を伺っていてまじめにそう思いました。この先生もおっしゃるんだから間違いないと思いました。

 どうぞ、大臣ひとつ、この集約化に魂を入れてください。どこかの総理大臣みたいに口だけじゃなくて魂を入れてください。どうですか。

○川崎国務大臣 一つは、予算で誘導していくのか、診療報酬で誘導していくのか。我が省の予算がそうあるわけではありませんから、基本的なスタンスとしては診療報酬をもう少し傾斜配分していかなきゃならぬなと。また、傾斜配分をするということをもう少し明確にメッセージとしても出していかなければならないのかなと。運営をした以上、後で回ってくるという話にならなきゃいかぬ、そんな感じをいたしております。

 一方で、やはり我々が地方の理解をもう少し得られるような努力をしなきゃならぬ。

 八〇〇〇番にいたしましても、なかなか参加してくれている自治体が少ないことも事実ですし、現実に二十四時間相談を受けてもらうという切り口でございますので、実際にやっていただいている自治体も夜になると切れてしまうことは事実でございますので、八〇〇〇番の体制についても、もう一度一からやり直しということで今督励をさせております。

 まず第一の課題は、携帯電話ではつながらない、固定電話でなければつながらないということになっておりますので、まず携帯電話でつながるようにしていかなきゃならぬだろう。

 それから、二十四時間体制をどうやってしくかというときに、やはりお医者さんの御協力を得なきゃならぬ。御協力を得なきゃならぬということになれば、一番最初に電話が入ったときに、再診ですと診療報酬が払われるわけですけれども、一回目の相談ですと診療報酬が実際は支払われない。したがって、そうした仕組みも少し変えていかなきゃならぬ。箕面市ですか、先ほどお示しいただきましたように、すべてが救急医療に集中するという体制にならないようなこともしっかり考えていかなきゃならぬ、こんなように思っております。

 予算をしっかりつけろという話でありますけれども、我々の方向としては、診療報酬でできるだけ誘導してまいりたい、このように考えております。

○仙谷委員 診療報酬で誘導されるんだったら、診療報酬、小児科と周産期は全部保険適用するとか、小児科の診療報酬は倍にするとか、何かそのぐらいのことを考えないとできないですよ、これは幾ら計算しても。多分それは自民党の鴨下先生にお聞きになってもすぐわかりますよ。わかるでしょう。

 そして、診療報酬はまた二年先の話でありますから、これは二年時間がかかったら、いよいよ笑い事じゃない事態が出来するんじゃないかと心配をしております。これは早急に取り組んでください。

がん治療の均てん化

遅々たる歩み

 時間の関係もございますので、がんの問題に移ります。

 資料で十七をごらんください。第三次対がん十カ年総合戦略というのが平成十六年から始まった。平成十四年から、改めて、この第三次対がん十カ年総合戦略をどうするのかという議論を公式、非公式にさせていただいて、まずこの十カ年戦略がまとまった、こういうことでございます。この戦略は、表題が「がんの罹患率と死亡率の激減を目指して」、僕はすばらしいと思いますよ、激減を目指す。ここにお書きになっておるように、やはり激減をするためにはがん医療の均てん化だ、ばらつきが随分ありますよね、だから、がん医療の均てん化をしなければいけません。これは均てん化が一つのコンセプトなんですね。

 地域がん診療拠点病院というのは、先ほど出しました資料の二枚目の一番上の平成十三年というところをごらんいただければ、なぜか、地域がん診療拠点病院の指定開始という、指定開始だけしたというのが平成十三年から始まっておるわけですね。

 この診療拠点病院のあり方検討会というのもできた。そして、いよいよがん患者の声が大きくなって、いろいろな要望が出されて、昨年の五月十三日にがん対策推進本部ができた。八月二十五日にはがん対策推進アクションプラン二〇〇五、具体的な戦略の一つが、がん医療水準均てん化の促進であり、その中心が地域がん診療拠点病院の整備である。まことに結構なアクションプランまでできたわけであります。

 このこと自身について積極的に評価をするのでありますが、紙の上でできたということを評価しているだけで、さあ、これをどうやって実現、実行していくんでしょうかねということを考えたんですね。そうしましたら、ひとつ、大臣でもどなたでもいいんですがお答えいただきたいんです。推進本部自身は、これは厚生省さんが省内に勝手につくっておるんだからいいんでしょうけれども、このアクションプランとかこういうものは何か法的な根拠があるんですか。ちょっとその点、お答えください。

○川崎国務大臣 基本的には、厚生省の中で取りまとめを行ったものでございます。

○仙谷委員 ということは、法律とか通達とか、法律に基づく政省令とか通達とか、そういうものでもないわけですね、これは。単なるプラン、こういうことですね。

○中島政府参考人 御指摘のように、法律とか通達というようなものは伴っておりませんで、厚生労働省内におきまして、今後のがん対策を進める上での考え方を取りまとめたものということでございます。

○仙谷委員 では、これは単なるイメージのような話ですね。

 つまり、このものが、厚生省のみならず文部科学省、大学医学部、大学病院あるいは公立、公的な病院、こういうところに何か拘束力はありますか、このアクションプラン。

○中島政府参考人 特に特定の機関等を指定して拘束をするような性質のものではないと理解しております。

○仙谷委員 そういうことで、書いてあることはそれ自体としてそんなに間違っているとは思いませんけれども、やはり迫力がないというか、あるいは拘束力も何にもないから、本部ができる前と後で何がどう変わったのかがほとんど私にはわからない。ほとんどわかりません。

 先ほど周産期とか小児でも申し上げたように、予算のつき方は、これは日本のガダルカナルのときと同じで、戦力の逐次投入なのかばらまきなのか、薄くばらまいているのかわかりませんけれども、とにかく遅々たる歩み、なぜこんなことがお好きなのかと思うんですね。

 例えば、文部科学省の方も来ていらっしゃいますかね、文部科学省、この間、大学医学部あるいは医科大学で腫瘍内科の講座というのはどうなりましたか、この四年間で、幾つから幾つにふえましたか。

○徳永政府参考人 お答え申し上げます。

 臨床腫瘍学講座など、がん診療全般を横断的に取り扱う講座等の設置は、平成十四年度は八大学でございましたが、平成十七年度には十六大学で、ここ三年間で八大学増加をしております。

 また、私どもの方では、大学の医学教育の中で、学生が卒業までに最低限履修すべき内容を定めた医学教育モデル・コア・カリキュラム、こういうことの中では、がんについても学習の到達目標を定めております。各大学では、これを踏まえたカリキュラム改革を進めておりまして、現在、そういった講座の有無にかかわらず、すべての大学におきましてがん診療に関する教育が実施されております。私どもとしては、こういった面で、大学のカリキュラム改革あるいは教育については各大学の取り組みを促していきたいと思っております。

○仙谷委員 今のは臨床腫瘍内科の方ですね。臨床放射線の方はどうですか。

○徳永政府参考人 教育全体の実施状況という中では、特に放射線療法に関するものは、七十九大学のうち七十一大学で教育を行っているわけでございます。ただ、具体的にそういったものの中で特に放射線だけの講座ということについては、それぞれ、奈良県立医科大学等では明確にそういった名前の講座等を設けている例がございますが、最近では、大学の講座等につきましては、いわば大講座という講座を設けることもございます。いわば全体として、がん診療全般を取り扱う横断的な講座というものの設置がふえておりますので、そういった中でそういう放射線腫瘍医学といったものも行われるものと考えております。

がん難民が大量に生まれているのをどうする   

 省庁横断的な法的根拠にもとづいた対策本部を確立すべき

○仙谷委員 何かごまかしの話みたいに聞こえてくるんですが。

 つまり、専門科と統合科と両方必要だということになっておって、あなたのおっしゃるような話だったら、一般的に、横断的ながん治療について教えているから新たな講座は要らないんだみたいな話になってくるんじゃないですか。

 そうじゃないでしょう、今は。非常に専門分野、臨床腫瘍内科の中でも、小児なのか肺なのか、全部分かれているじゃないですか。あるいはもっと分かれてくると、分子標的治療薬とかテーラーメード医療とかなってきたら、そんな、何でもかんでも、大学で総合的に教えているからいいんだみたいな、総合的に教えることも必要なんだけれども、専門講座も必要だ、日本はそれが、臨床腫瘍内科の世界と放射線の世界で全くおくれておりましたというのが、何を見たって書いてあるじゃないですか、アクションプランを見たって何を見たって。

 それで、いやいや、大学医学部さんはそんなのとはもう別の世界で、国立大学法人にもなったことだから勝手にここもしてもらう、あとは厚生省さんががんセンター中心にやってくださいというんだったらもうしようがない、それでもいいんですよ、それは。それでもいいというよりも、そうせざるを得ないのであればそうしますけれども、するように厚生大臣にお願いするけれども、それじゃ大学病院の値打ちがないじゃないですか。あるいは大学の値打ちがないじゃないですか。

 そこで、いいですか、厚生労働大臣にも聞いておいていただきたいんですが、七十大学に臨床腫瘍内科と放射線腫瘍科、やはりもうここまでがん患者がふえ、がん患者の方々が治療についての選択肢を、多様な選択肢を求める時代になってくると、早急にこの二つを整備をするために、大学に一大学一講座、つまり二つ要るわけですね、放射線と臨床腫瘍内科と。

 あなた、七十何ぼと言いました、七十六大学と言った、七十数大学あるわけだ、医科大が。それで、今おっしゃったように、二十三までできた、あと四十ぐらい要るわけだ。一大学一講座、大体文部省の予算でいっても一億円ぐらいなんでしょう。教授一人と助教授一人と、何かそのあれで。そのぐらい思い切って、五年計画ぐらいでつくったらどうですか。

○徳永政府参考人 委員の御指摘でございますが、大学の教育研究組織のあり方ということにつきましては、ここ二十年で大きく変わってまいりまして、従前は講座というものが明確にございました。それも、今先生御指摘のように、教授、助教授がいて、講師がいて、助手が五人いるというような体制でやってきたわけでございますが、近年では、例えばそういったものを統合して、いわば大講座を図るというようなことをしたところでございます。

 あるいはまた、私ども、大学政策の中で、さまざま大学が主体的に教育研究を展開できますよう、いわば今回大学設置基準等を改正いたしまして、必ずしも講座を置かなくてもよいというような改正を行ったわけでございます。そういう意味では、大学がどのような教育研究組織を置くのか、それがどのような規模であるのか、これは大学が主体的に御判断いただくことと考えております。

 ただ、そういういわば大きな組織であり、あるいはまた横断的な組織という中で、がん診療に関するきちんとした教育を行うということは私どもも重要だと考えております。そういう意味では、私ども、先ほど申しましたように、現在、モデルカリキュラム、コアカリキュラムにつきましては、改定も進めております。そういう中でさまざま、厚生労働省の方とも御相談をいたしまして、現時点で必要なそういうがん診療に関する教育研究ということについては、モデル・コア・カリキュラムの中できちっと定めていきたいと思っております。

 また、特に研究の面につきましては、私ども、科学研究費補助金でございますとか、あるいはそういった特定の振興調整費等におきまして、先進的ながん研究につきましてもさまざま研究を推進しているわけでございます。

 そういう意味では、必ずしも教育研究を推進するということが、いわば講座ができるという形を伴うものではないということについては御理解を賜りたいと思います。

○仙谷委員 何か、文部省の方は力が入っているのか入っていないのかようわからぬですけれどもね。一般論として講座はつくらなくてもいいとか、何か自主性に任せてあるみたいなことを言いながら、要するに、専門医が、専門家が少ない、だから大学医学部もがん治療の専門家をつくる、そのために、旧来方式だったら講座だけれども、そうじゃなければ、こういう専門医をつくるために資源を投入するんだ、その話じゃないですか。

 あなた、何かわけのわからぬ一般論で、講座ができていないからといってふまじめなわけではないみたいな議論をしたいんでしょう。そんなことを聞いているんじゃないじゃないですか。あなた、がん患者のことをイメージして物を言っていますか。何か文部大臣の顔か、どこかの大学の総長か、医学部長の顔を思い出して物を言っているんじゃないの。

 がん難民が大量に生まれつつあるということなんですよ。実は、がんの話だけじゃないんだけれども、大学病院が何か研究もやっていただくのも非常にありがたいんだけれども、もうちょっと臨床に、臨床の専門医を育てることに意を用いていただかなかったから、こんなに十年おくれているとか二十年おくれているとか言われるんじゃないですか、先進国の中で。何の反省をしているんだということをさっきから優しく聞いているのに、文部省何ですか、それ。もう文部省は、次にまたきちっと聞きますので。

 もう一つ、今度は厚生省の方に。人材養成というのが、専門医の養成というのが一番の問題だということはおわかりいただいていると思うんですよ。それについて若干の予算をおつけになっているということのようですね。ところが、この程度の予算で果たして人材養成などというものが進むのかということを厚生労働省にはお伺いをしたいのであります。

 つまり、何か一年に十人ずつですか、九十日間の研修をする、そういう制度をことしから、このがん対策本部の発足に伴ってやるんだ、こんな話ですか。

○中島政府参考人 今回、予算で要求しておりますものにつきましては、一つは、がん専門医等がん医療専門スタッフの育成ということで二・五億円というような予算を計上いたしまして、国立がんセンターの研修修了者等を登録して医療機関等の要請に応じて情報提供等を行うというようなことを考えてございます。

 ただ、がん医療についての専門家というのは、こういった研修だけで養成されるものでは決してございませんで、医師としての長い経験の中で、専門医としての養成コースを確立しているところもございますが、そういう中を経ていく中で専門医というものが養成されていく。こういったところを予算でさらにエンカレッジ、応援をしていこうというような趣旨でございますので、全体としてお考えをいただきたいというふうに思っております。

○仙谷委員 何かよくわからぬじゃないですか。あなた方が鳴り物入りでやる研修が、こういった短期の研修では養成できるものじゃないなんて言ったら、それ、自己否定しているじゃない。

 私が言いたいのは、そういうことじゃなくて、例えば、国立がんセンターにはレジデントの制度もあれば専門修練医という制度もあるじゃないですか。ほかの、厚生労働省がやる気になれば、独法化された国立病院機構の中でも、それにふさわしいようなレベルの高い機関がいっぱいあるじゃないですか。そうでしょう。あるいは、各地域的にもあるんじゃないんですか。

 そういうところでレジデントを採るとか、修練医にちゃんとこのような手当てをするとかいう事業が必要なんじゃないですか。こんな、座学を中心なのか周囲を回るのかわからぬけれども、何日間とか、そんなレベルの話じゃないでしょう。今、レジデントというのは三年間でしょう。専門修練医というのは二年間、ずっとそこで勤めないといかぬのでしょう。

 今度もその人たちの、三十五とか四十になった人たちとか、せいぜい三十より上の人が相当多い。二十代の人はまだまだそこまで来ない。そういう人たちのペイを、待遇をどうするのかが問題になっておって、国立がんセンターであろうが、あるいは国立病院機構であろうが、募集をしても定員に満たないんじゃないですか。勤めているところも出せない。東京まで来て、あるいは大阪まで来て、二年、三年、レジデントをするときに、だれがその生活を見てくれるんだ。

 今、がんセンターのレジデントと専門修練医の給料は御存じですか、どうですか。

○松谷政府参考人 個々の給料について、ちょっと今、手元にございませんけれども、初期研修医が三十万というレベルでございますので、大体その水準に毛の生えた程度というふうに御理解いただけばと思います。

がん対策基本法を成立させ、本格的ながん治療の前進を

○仙谷委員 ちょっと、終了しましたという紙が来たんですが、これだけ申し上げておきます。

 レジデントは三百六十万、修練医は四百万ぐらい。これではさすがに、そういう専門家あるいはお年のレベルでは難しい。やはり、二百万ぐらいアップする必要があるんではないかというのが、教師をなさっている方々の、教師というか臨床で、御意見のようです。

 これをちゃんとやるとなると、まあしかし、考えたら、三億とか五億のお金があったら、今のがんセンターは、レジデントが四十二名、専門修練医が二十八名ということでありますから、七十人ぐらいですか。三学年で七十人ぐらい。そこでも三、四億あったらできるというのでありますから、きょう、何か労災防止協会か何か問題になっている、何年間かで何億円とかなんとか書いてあるわけだから、つまり厚生労働省の予算の中でも、数億のお金はどこかからちゃんと捻出できるんじゃないかと思うんですね。

 もう少し、皆さん方がアクションプランで書かれたこと、本当はがん検診の問題もきちっと申し上げたかったのでありますが、ここに資源を、それにふさわしい資源を集中して投入するということがなければ、本部をつくった意味もないということになります。

 我々は、それを他省庁にも、あるいは自治体にも、そして国民にも、厚生大臣のみならず政府が一体となって一元的にがん対策を進める、そのためには法律が必要だということで、がん対策基本法案を出してあるんですが、なぜか審議の対象にしてくれない。まことにお粗末な国会だということにならないとも限らないと思っております。

 これは早急に、がんの問題は、先進国における国民が受け得る医療サービスというのはどんなものであるべきかということを問われている問題でございますので、どうか赤松副大臣あるいは川崎大臣におかれても、がんの問題、本気で取り組む、早急に取り組む、このことを通じて、日本の医療をもっともっと良質なものにしていくということを心からお願いしておきます。

 以上であります。