根拠なき医療費の値上げは認められない

2006年2月24日  衆議院厚生労働委員会 質疑

    

○岸田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。仙谷由人君。

日本社会の格差が拡大している

○仙谷委員 この国会で、厚生労働大臣の所信演説をいただきまして、それに対する野党の一番バッターとして質問をさせていただきます。

 そこで、ある種、大臣に時代認識といいましょうか、社会認識をまずはお伺いをしておかなければならない、こういうふうに思います。

 といいますのは、昨年の国会でも私は申し上げましたけれども、この時代、この時期、そして日本という先進国の置かれた諸々の条件が社会保障政策あるいは社会政策と言われるものにどう影響するのか、あるいは、いろいろな環境条件で社会政策の発想を変えなければならないのではないか、こういう問題意識からお伺いをするわけでございます。

 何といいましても、今の時点、この二〇〇六年二月の時点というふうに考えますと、一番大きな衝撃的な事実でもございますし、日本のこれから最も考えなければ、考えても解決は難しいわけですが、衝撃的な事実は、私は人口が昨年をピークとして減少に転じたということだろうと思います。

 一昨年、平成十六年の人口が一億二千七百六十六万人、そして昨年は一億二千七百六十五万人という、ある種の推計的な要素も含むわけでありますけれども、どうも人口が減少に転じた。既に、十五歳から六十五歳までのいわゆる労働力可能な人口の部分がどんどん減って、さらに六十五歳以上人口はふえ続けるという事態は、十年ぐらい前から続いておったわけであります。

 もう一つは、厚生省の人口問題研究所の特殊合計出生率の下位推計よりも下回る出生率がずっと続くという、つまり、ゼロ歳から十四歳までの人口が絶対数がどんどん減ってくるというこの事態、これは、ついにそのことが総人口の数の上でもあらわれたという意味では、極めて大きな衝撃的な事実だと思うんです。

 そういう人口構造、社会構造を背景にしながら、今日本は、これはメディアでもそろそろ問題視してまいりました格差の問題、小泉さんは、いわば景気については六本木ヒルズと丸ビルへ行ってみればいかに日本の景気がいいかがわかるとうそぶいたわけですが、これは、徳島の片田舎の木頭というところへ行ってみれば、その反対の事実はわかるわけです。あるいは徳島の銀座通りというところを歩いてみていただければ、その反対事実もまた極めて衝撃的な格好で出ておるわけであります。

 その景気経済論争をこの委員会でやるつもりはありません。きょうはあえて詳しい格差の数字を並べ立てることをするのは控えますけれども、問題は、この経済的あるいは所得の格差、これは地域間でも同一世代の中でも世代間でも起こっているようでありますけれども、このことが固定化をしつつあるのではないか。つまり、階層が階級化しつつあるのではないかということが、もしそうであるとすれば、これは大変ゆゆしい深刻な事態になるわけでございます。

 厚生労働大臣に、ちょっと一般的に過ぎるかもわかりませんけれども、この日本の、今、格差と言われ、あるいは格差拡大、格差固定化というふうに言われておる事態、そしてこの人口問題、あるいは日本で今起こっております家族や子供に対するさまざまな事柄、このことについてどのような御認識をされておるのか、まずその点を伺っておきたいと思います。

○川崎国務大臣 随分広い角度から御質問いただきましたので、二、三の角度からお話ししてみたいと思います。

 一つは、私、就任いたしまして直後に副大臣、大臣政務官にお願いしましたのは、かなり有効求人倍率はよくなってきている、すべての県がよくなってきていると思うけれども、極めてスピードが遅い県があるね、北海道、青森、沖縄、長崎、鹿児島、高知、秋田でしょうか、そんな県へ直接行って事情を聞いてみてくれ、こういう話をいたしました。

 その全体の数字を見ていますと、私が三重県だから言うんじゃないんですけれども、よく言いましたのは、東京ひとり勝ちというのが今まで言われておりました。今回はそうではなくて、ものづくりを中心にしながら、名古屋ひとり勝ちじゃないか。東京もよくなってきましたから、東京、名古屋、二極化、こんなことが言われている。そういう意味では、地域の事情を見ていますと、かなり違うな。

 例えば、先生の御地元の四国をとりましても、香川県という県は相当違う状況を示している、もう先生御承知のとおりでございます。そういった意味では、やはり地域、地域が創意工夫しながらやっていく。そして、先ほど格差というお話がございましたけれども、負けっ放しじゃない。三重県はずっと負けっ放しだったんです、今まで。たまたま今度勝ち組に入れましたからあえて申し上げておりますけれども。そういう意味では、各地域ともやはり努力をしていくということは大前提になりますねという認識を私、持たせていただいております。

 したがって、この各地域の雇用条件を改善していくのにどうしていくか。かつての内閣ならば、自民党流の手法で公共事業をふやしてその地域の雇用をつくる、こんな政策を打ってまいりましたけれども、基本認識としてそれはしない。何とかお互いの知恵、特に地方での知恵というものを生かしながらチャレンジをしてほしい、そのチャレンジを我々はお手伝いをしたいという角度を持たせていただいておる。まず地域間の問題は、こんな認識をいたしております。

 一方で、私自身、団塊の世代の生まれでございますので、我々が小学校に入ってどんどんどんどんクラスがふえていった時代、勤めるようになって日本の高度経済成長、私はよくこういう話をするんです。初任給三万九千八百円でございました。翌年四万九千八百円、売り上げも毎年三割ずつぐらいふえていった時代。まさに団塊の世代の我々、塊が大きいだけに、働き始めたということで日本の経済が大きく成長してきた。しかし、我々がそろそろくたびれてきた。そろそろ年金という時代になってきて、次の時代を迎えつつあるという認識をしなければいけないんだろう。

 しかし一方で、我々が、もうあすから、六十を過ぎたら働かなくなるのかといえばそうではないように思う。我が国の最大の特徴、ヨーロッパとの最大の違いは、高齢者の労働意欲でございます。六十から六十四、七〇%の人が労働力人口、すなわち働きたいという意思を持っているわけですから、そういう意味では、団塊の世代が六十を過ぎた段階において、日本の新しい考え方というのが出てまいるであろう。

 これを、単純な高齢者雇用とか働くとかいうことではなくて、NPOの問題も含めて、新しいシステムの中で我々自身が行動することによって、日本の国はもう少し変わっていくんではなかろうかな、こういう認識を私自身はいたしております。

 一方で、それじゃ何年もつんですかといえば、二十年後、三十年後はとてもこういう構造だけではもたない。したがって今から変えていかなければなりませんねという中で、年金問題や介護保険、そしてことしは医療の問題を御議論いただくという私自身の理解をいたしております。

 それからもう一つの問題は、民主党も御主張でございますし、我々もそうだと思っておりますけれども、国ですべてを決めていた時代から、そろそろ地方へ、地方の知恵という時代、地方の特色を生かした時代に変えていきたい。それによって我が国は変わることができるんではなかろうかという中で、社会保障制度全般を見ましたときに、年金はやはり国が責任を持つべきであろう、新しく入りました介護保険制度は基本的には市町村がその主体になっていただいている、そういった中で、今回の医療の問題については、やはり県というものが、もう少し役割を明確にさせていただきながら、主体になっていくべき時代を迎えているんではなかろうか。

 もちろん、国民年金の徴収にしても市町村に少し知恵を出していただきたい、情報をいただきたいということで協力をお願いしていますとおり、国、県、市の重層的な関係はあると思いますけれども、そのウエートというものは少しずつ変わってきていいんだろう、こういう認識の中で、それぞれの今までのやり方というものを変えていかなければもたないですねという認識を私はいたしております。

大企業・製造業中心の好景気にすぎず、中小零細企業はたいへん苦しい

○仙谷委員 大臣から、雇用といいましょうかあるいは仕事といいましょうか、景気、経済の話で、ある意味で楽観的な部分も含めてお話しいただきましたので、ちょっと雇用の話をまずさせていただきます。きょうは医療の話を中心に問題提起をしようと思ったんですが、雇用の話をちょっとさせていただきます。

 といいますのは、今、中京地域を中心に、あるいは東京近郊を中心に、これはさすがに景気循環の問題もあって、いいといえばいいんですね。これは明らかに体感温度が私どもも違います。地元へ帰ったときとこちらに出てきているときは体感温度が違います。随分日本も、中の上といいましょうか、裕福な人がふえたんだなという感覚でこの港区あたりは歩いておるわけでありますが、これも、この今の循環がそろそろピークに来ているんではないかという見方を私しておるんです。

 よく新聞や雑誌等々でも言われておりますように、見てみますと、しょせんはアメリカの住宅バブルと中国の設備投資バブルで、つまり外需主導型の景気回復ということにしかすぎない、あるいは大企業、製造業中心の好景気にしかすぎない。つまり、中小零細企業、とりわけサービス業を中心に、その切り口から見ると、とても内需主導型の景気回復でもなければ七五%を占める中小零細企業に働く人たちの雇用所得が上がっているわけでも何でもない、大変苦しい状況にいまだにある、これが実態だと思うんですね。

「530万人雇用創出計画」はどこへ行った?

 そこでお伺いしたいのは、五年前のことでございます。五年前に小泉内閣が発足をしまして、二〇〇一年六月に、五百三十万人雇用創出計画というのができました。産業構造改革・雇用対策本部というのができまして、ここで、小泉さんの最初の所信表明でも、五百三十万人の雇用を創出すると大々的にぶち上げたわけであります。

 一体、この五百三十万人雇用創出というプログラムはどう実行されてどう成果が上がったのか。これは雇用の担当である大臣でも結構でございますけれども、本部長が総理大臣でございますので、この問題に、この雇用創出計画に責任のある部署の方でも結構でございますけれども、どうなったんだ、これをひとつお答えいただきたいと思います。

○浜野政府参考人 お答えいたします。

 平成十三年当時、景気の低迷等に伴いまして、失業率が五%を超えるといったように、雇用を取り巻く環境が大変厳しい中で、御指摘のように、雇用の安定確保を図るために、平成十五年六月に五百三十万人雇用創出プログラムというものを取りまとめまして、関係省庁の協力のもと、具体的な施策の推進に努めてきているところでございます。

 このプログラムの中で取りまとめられております各般の施策の実施、あるいは小泉政権下で進められました構造改革の結果、経済状況の好転と相まちまして失業率が四・四%まで低下するといったようなことで、このプログラムの策定時に課題とされておりました雇用情勢の改善には、一定の成果が得られたものというふうに考えております。

 このプログラムによります具体的な雇用創出の数についてでございますけれども、ベースとなります統計上の制約がございまして、厳密なことを今、現時点で申し上げられないわけでございますけれども、利用可能な統計をベースに、一定の条件のもとで仮定計算をいたしますと、おおむね四百万人程度の増加が見込まれるのではないかというふうに想定をしております。(仙谷委員「何百万人」と呼ぶ)四百万人程度。(仙谷委員「五百三十万のうち四百ですか」と呼ぶ)はい。

数字の検証をしていないではないか

○仙谷委員 何というか、かすみをつかむような話で、一体全体、当初ぶち上げたサービス業中心の雇用創出なんということが今日本でできているのか。もっと虚心坦懐に、私は、謙虚に物事を見ないとこれからのまともな政策も出てこなくなる、そう思います。

 マクロ的な数字でいうと、雇用もふえていなければ、いいですか、就業者もほとんどふえていないじゃないですか。平成十三年、二〇〇一年、就業者数六千四百十二万人、昨年の十一月、就業者数六千三百四十四万人。就業者数が減っているじゃないですか。雇用者数、最大限サービスして読みますけれども、二〇〇一年、平成十三年の雇用者数は、男女合わせると五千三百六十九万人、辛うじて、十七年の十一月には五千四百十四万人、少々ふえていることはふえている。しかし、男性で見ますと、雇用者も、男性は三千二百一万人から三千百八十二万人に減っている。女性が二千百六十八万人から二千二百三十三万人にふえているだけ。ということは、単にパート、アルバイト、そういう方々がふえているということを示して余りあるじゃないですか。

 詳しく申し上げれば、よく言われるように、非正規の劣悪な労働条件のところで働く方々がふえている、これしかないじゃないですか。

 そして、鳴り物入りであなた方がおっしゃった、個人・家庭向けサービスが五年後に百九十五万人ふえる、こんな数字が果たして検証されているんですか。何か、個人・家庭向けサービス、これが百九十五万人ふえ、社会人向け教育サービスが二十万人ふえ、企業・自治体向けサービスが九十万人ふえ、住宅関連サービスが五十五万人ふえ、子育てサービスが三十五万人ふえる、高齢者ケアサービスが五十万人ふえる、医療サービスが五十五万人ふえる、リーガルサービスが二十万人、環境サービスが十万人、合計五百三十万。

 こういうふうに御託宣を並べた、大安売りの看板を並べたようなこの看板がどうなっているか、これはだれか検証しているんですか。どうですか。どこかで調べているんですか、調べていないんですか。

○浜野政府参考人 先ほども申し上げましたように、サービス業の特に業態別におりた数字につきましては、統計のデータが五年ごとに行われております事業所調査を待たないと出てまいりませんので、先ほど申しました数字も、マクロで、大づかみな仮定計算をしたものでございます。個別の詳細については統計の調査を待って調査をするということであろうと思います。

対策本部をつくって計画を発表しただけ    あとのチェックをまったくやっていない

○仙谷委員 いやいや、だって、あなた、これは大慌てしたんでしょうが、失業率が五%超えるとかなんとか言って。

 それで、労働力人口、労働力可能人口のところが減ってくるという時代の中で、さらにその上で失業率がふえる、何なんだこれは、こういうことでしょう、基本的には。今だって労働力不足という話はいっぱい転がっているじゃないですか、一方で。

 その中で、大慌てしたから本部をつくったんでしょう。それだったら五年間待ちましょうなんて、そんなのんきな話がどこにあるんですか。全く真剣に取り組んでいないということじゃないですか。単なるラッパを吹いているだけ、これじゃないですか、これは。もうちょっと就業とか雇用とかそういうものに、本部をつくったんだったら真剣にならないと。すべての政策が、これから医療政策についてもそのことを申し上げますけれども、全く根拠に基づかない、でっち上げのラッパを吹いておいて、後は何年たっても知らぬ顔だ。

 このごろはやりの言葉は、今度、厚生労働省の医療関係の文書の中にも出てくる、横文字を使えばいいというものじゃないんですよ、PDCA、プラン・ドゥー・チェック・アクション、何ですか、これは。では、これは計画のPはあるけれども、DとCとAはどこにあるんですか。

 私は本当にこの国の、そのときに緊急にやらなければいけないことというふうに大臣、官邸が決めたのであれば、そのことを資源を投入して真剣にやらなければならない。旧労働省に同情的に言いますと、だからだめなんだということになるんだと私は思うんだけれども、全く、本部をつくられても、一年間に一回会合するだけだ、そこで何かもっともらしい計画はつくられるけれども、別に予算がふえるわけでもない、人員がふえるわけでもない、あるいは都道府県と一体になって何かをやる枠組みができるわけでもない、どうしたらいいのかわからない。この雇用政策なんかその典型ですよ、私に言わせれば。

 やったのは雇用調整臨時交付金。あの効果はどこに行ったんですか。今何か蓄積として残っているものはあるんですか。毎年毎年二千五百億円ぐらい使ったんですよ、あれは。すべてが、お母さん、あの麦わら帽子はどこ行ったんでしょうかみたいな話ばっかりじゃないですか、これは。

大人の職業再教育と一体となった労働市場政策が必要

 川崎大臣、ここは大臣の、日本の政治というか、今の与党の中でも影響力を最大限行使して、労働、雇用、就業、そして、実は前回の質問でも私が提起しましたように、教育問題と一体にならない限り、大人の教育問題と一体とした政策を考え出さない限り、あるいは実行しない限り、これは徳島のことをさっきおっしゃっていただきましたけれども、徳島も、各地域、無理です。早急にやろうと思ったら、公共事業でもやるしかないんです。だけれども、これはどつぼに入るだけです。ますます病気は悪化します、これをやると。

 中期的に考えるとすれば、大人の教育、職業再教育とか再訓練とか、そのことと一体となった労働市場政策を展開する、地域でそのことを展開する。つまり、今、都道府県労政訓練課という甚だ弱体な部課があります、労働省の各部局もあります、労働組合もあれば、経営者協会もあるし、県庁もある、いろいろな部署はあるんだけれども、全部ばらばらなんですよ。あるいは地方の大学もほとんどこれに関心を向けていない。私は、ここは川崎大臣のリーダーシップで、日本において初めて労働市場政策を、労働大臣が主導的な立場でつくってみようかという気になっていただきたいと思います。

 余りこの問題だけで時間を食うのもなんですけれども、本当に統括官、これはマクロ的にどうのこうのと言ったって、マクロ的にも我々理解できないんですよ、これは。マクロの数字で減っているのに、マクロ的に四百万人ふえたなんというような話は、定年退職者がその間四百万人減ったとか、六十五歳以上人口がその間四百万人ぐらいふえて仕事をやめただろう、ほとんど就労者人口が減らないからその分ふえているんだろうなんて、こんないいかげんな話では、雇用政策とも言わない、労働政策とも言わない、労働市場政策とも何にも言わない。

 まさに、サービス化する時代において、先進国、成熟経済の中で、どういう産業構造、経済構造、就労構造をつくり得たのか、そのことが付加価値創造にどういう成果があったのかというぐらいの調査を絶えずしないと、どうにもならぬじゃないですか。内閣府なんというのは、調査担当職員というのは物すごいおるんでしょう。全然まともなデータが出てこないんですよ、この国は。困ったものだと思って。

 ひとつその点、今後とも、今のお立場を最大限行使して、まともな就業、雇用、労働、そしてその質にまで踏み込んだ調査をしていただきたい、このことをまずは要望しておきます。

十年一日の「医療費適正化計画」医療費の推計はなぜ大きく違ってきたのか

 それでは医療問題に入ります。

 川崎大臣、今回の医療制度改革は、何か医療適正化というのが最大の眼目のような趣でありますが、私はそうは思わないんですね。この適正化という言葉は何なのか。これは改めて厚生白書を拝見すると、十年ぐらい前からやはり適正化というようなことを言っているんですね。

 私は、厚生省が、もし医療費総額、あるいは給付費のことを提起するのならば、この問題に謙虚に反省のお立場をとっていただかない限り、このヤシのバナナのたたき売りみたいな話ではだれも信用しないということであります。

 つまり、我々にもよくわからないのでありますが、わからないというのは、用語がよくわからないのでありますが、国民医療費推計値の推移、これの推移を見ますと、一九九四年に二〇二五年の国民医療費を推計したら百四十一兆円かかる、こうおっしゃっていた。それが、三年後の九七年には百四兆円になった。二〇〇〇年には八十一兆円に下がってきた。二〇〇二年には七十兆円、二〇〇四年には六十九兆円、二〇〇五年には六十五兆円。これは一体何なのか。なぜこんな大きい金額の差異が、調べれば調べるほどというか、発表すれば発表するほど異なった数字としてあらわれてくるのか、どなたかこの理由についてお答えできますか。

 あるいは、こんなに誤ったのはまことに申しわけないです、我が党の永田君に謝れ謝れと言っていますけれども、厚生省も、これはひとつ、なぜこんなたぶらかしのような話になっているのか、お答えをいただきたいと思います。

○水田政府参考人 お答え申し上げます。

 これは午前中のときにも御答弁させていただきましたけれども、まず、医療費の推計に当たりまして、内外を通じて確立した手法というものはございません。

 したがいまして、私どもは、将来推計ではございませんで、過去の一定の期間を測定期間といたしまして、そのときそのときの時点におきまして、一人当たり医療費の伸びというものを算出いたします。それを機械的に将来に向けて投影する、こういう手法をとっているわけであります。

 したがいまして、ただいま委員御指摘の、大変高い医療費見通しを立てたこともございますけれども、それはやはり、バブル期の大変高い賃金、物価水準の高い時期があった、その時代の経済動向、そういったことを反映いたしまして高い水準になったものだ、このように考えてございます。

 したがいまして、実額では大変食い違いが大きいわけでございますけれども、国民所得、経済の規模との対比で見ますと、必ずしも大きなぶれは出ていない、こういうのが現状でございます。

ここ数年医療費は伸びていないのに、なぜ高い伸びの将来推計をするのか

○仙谷委員 そこで、そういう開き直ったようなことをおっしゃるのだったら、私の方からお伺いしましょう。

 我々が渡されている資料、いいですか、これは厚生労働省の医療制度構造改革試案。私が今見ておりますのは五十八ページ。あるいは三十九ページですか、給付費の方が載っています。

 これは、私に言わしめれば、何で十五年まではあるけれども、十六年、十七年というのがないんですか。まだ統計がないということなんですか。あるいは、この間の伸びというのは、皆さん方の推計、つまり、平成五年、六年、七年、八年、九年、このあたりに行った推計に合致していたんですか、合致していないんですか。老人医療費と国民医療費、これについてお答えください。

○水田政府参考人 数字の突合につきましては、事前に御指摘いただいておりませんので、しておりませんけれども、まず、委員御指摘の、医療費の動向で、十五年度まで出ている、その後どうしたのかということにつきましては、これは実績を見ておりまして、特に公費負担医療につきましては結果が出てくるのが遅いものですから、実績値としては十五年度まででございます。

 その上で、予算の見積もりで、もう一つ、将来の見通しを出すに当たりまして、足元で平成十八年度の数字を出しておりますけれども、これは予算の見積もりでございまして、当然ながら、実績を見ながら、それに即して予算を組み立てているわけでございますので、そういった大きな乖離はないものと承知をしております。

○仙谷委員 そうしますと、一方では二〇〇六年度予算ベースというのがありますよね、医療給付費の将来見通し。ところどころで、国民医療費という概念、老人医療費という概念、医療給付費という概念、まあそれぞれ違うんだろうと思うんですけれども、これを一遍整理して出してくれませんかね。

 それから、いいですか、この医療費の動向の方から見る限り、平成十一年度からは老人医療費は十一・八、十二年度は十一・二兆、十三年度は十一・七兆、十四年度、十五年度も十一・七兆。つまり、いろいろな施策が成功したということもあるのだろうと思いますけれども、いずれにしても、少なくとも伸びていないわけだ、これは。

 それで、先ほど私が一番冒頭に申し上げた総人口における高齢者人口のふえ方というものをここに当てはめてみると、少なくとも高齢化率は四、五%ふえているでしょう、この間。いいですか、そんな時代環境の中で、ここまでの政策が成功したのか、あるいは他の要因なのかはともかくとして、少なくともこの三年間は、私どもからいえば、名目値としては伸びはゼロになっているわけですね、これは、十一・七兆で。

 そうすると、二〇〇六年、これは予算ベースで、改革実施前だと二十八・五兆円というふうに書かれておるんだけれども、こういう数字と、あるいは改革案だと一兆少ない二十七・五兆円というふうに書かれているんだけれども、これは一体全体、国民医療費を幾らとして措定して、想定して、あるいは老人医療費を幾らとして想定、措定して、つまり、平成十五年から十八年まで、二年の間にどのぐらいの伸び率でこれを計算したのかがさっぱりわからないんですよ。

 我々がもらっている数字だと、年率四・二%、これは全体の国民医療費だろうと思うんですが、四・二%で巡航速度にしてふえていく、高齢者医療費は年率四・五%でふえていく、こういう前提で二〇一〇年の数字、あるいは二〇二五年度だと年率五・六%、年率三・五%でふえていくという数字をいただいておるんだけれども、どうも、少なくともこの三年、五年、この数字はそんな高い率の伸びはしていない。

 私も、きょういらっしゃっている浜野さんのような経済のプロではないけれども、少なくとも私の算数とか経済の知識によると、平成十年から平成十五年まで、そんな三%とか四%の伸びなんということはどうしても私の頭からは過去の実績値として出てこない。

 さっき水田局長は、その時点での実績値を前提にして伸び率を計算するとおっしゃった。バブルのときだからこんなに百四十兆なんというようなばかげた数字が出たんだと。このときの局長かだれかがばかなんだと言わんばかりの話でありましたけれども、しかし、今の時点で、今の諸条件を勘案して前提にすると、そんなにふえていないんだから、どういう根拠でこの伸び率をひねり出してきたのか、そのことを教えてください。

○水田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、医療費の動向でございますけれども、平成十二年度以降は大変大きな制度改正が相次いだわけでございます。十二年度には介護保険制度が導入されて、介護に移った部分がございます。そういうことで、十一年から十二年の、これはむしろ医療費として下がっているという状況がございます。

 ただ、制度改正のなかった十三年につきましては、十二年から十三年全体で一兆円伸びております。すなわち、三十兆円医療費でありますので、三%程度伸びているわけであります。

 十四年度には、診療報酬、薬価のマイナス改定がございました。それから高齢者の一割負担の徹底ということがございました。その結果として、ここでの医療費の伸びはございません。

 十五年度には、これは被用者保険、本人でございますけれども、三割負担への引き上げということがございまして、国民医療費の伸びは五千億にとどまっているわけでございます。

 いずれにしましても、十二年度以降は、こういった相次ぐ制度改正があった年には医療費が抑えられているということは、これははっきり数字から言えるわけでございます。

 私ども、将来見通しを立てる上におきましては、この十二年度以降は余りにも制度改正の影響が大き過ぎるんじゃないかということで、私ども、その制度改正の前であります平成七年から十一年、この期間を測定期間といたしまして医療費の分析をした結果といたしまして、高齢者につきましては、一人当たり医療の伸びが三・一、それから若年者につきましては二・一%という年率の伸びがこの測定期間から計算されたものでございますので、それに基づきまして、今後の人口構成の変化とこれを掛け合わせまして将来の見通しを立てたということが実態でございます。

 冒頭、医療給付費あるいは国民医療費の概念がさまざまじゃないかという御指摘がございましたけれども、二〇二五年時点で、国民医療費ベースでは六十五兆円でございました。患者負担がありますので、医療給付費としては五十六兆円、こういう数字になるわけでございます。いろいろな数字がふくそうするということで、この医療給付費の姿でお示しすることが多いわけでございますけれども、実態として、私ども国民医療費の見通しも立ててございますので、必要がありますれば、それは提出することは可能でございます。

医療費が伸びるという推計の根拠を明らかにせよ

○仙谷委員 今の伸び率算定の数式を一遍お出しいただけますか。何か、それはさっきも自分でおっしゃっていたけれども、確立された算式、数式ではない、こうおっしゃいましたよね。つまり、どこかでこういう数式で伸び率を算定すればいいんだという話じゃないと一番冒頭におっしゃったと思うんだけれども、厚生省の腹一つでこの伸び率が算定されたんじゃたまらないと思うんですね、私は。

 当然のことながら、消費者物価指数やあるいは企業物価指数や名目、実質の経済成長率との関係をどう勘案しているのか、していないのかということだって問題になります。

 というのは、これはよく言われるように医療費の半分は人件費だということになっておるわけですよね。医療に従事する方々の人件費、医療機関というのは、これは労働時間は劣悪だけれども、賃金としては、時間当たり実質賃金としては劣悪だけれども、しかし絶対額としては、私が先ほど申し上げた企業の中の中小零細企業の、つまり今どんどん雇用者所得として落ち込んでいっている層とは少々違うんですね、これはやはりさすがに。それほど劣悪な話ではないわけですよ。

 そうすると、医療費の半分を占める人件費ということになれば、これは当然のことながら経済成長の動向と関係があるわけですよね。施策との関係も全くないわけではない。あるいは人口構成との関係も出てくる。しかし、経済の成長率、金利の動向というふうなものとも相関関係にあるわけですから、そういう点を勘案して、どういう根拠で、何か、あえて十二年からの分は考慮に入れていない、こういうふうにおっしゃいましたよね。何でそんなことになるのかが、私は大問題だと思うんですよ。

 ここを一つお示しいただかなければ納得できない。こんな、ただここまで高くなるから負担をせよとか、あるいは医療のサービスを切り刻むというふうな話では、とても私どもは納得できない。どうです、お示しいただけますか。

○水田政府参考人 先ほど申し上げましたように、医療費推計、つまり将来の医療費を的中させるという意味での確立した手法というものは、内外通じて、私ども寡聞にして存じ上げません。

 したがいまして、そういった推計ではなくして、過去の実績に基づいて将来を投影させるという形で、私ども、目安としての将来見通しを持とうというものでございます。

 その持ち方として申し上げましたのは、制度改正のなかった、つまり制度改正の影響の少なかった平成七年から十一年という五年間を測定期間として、先ほど言いました実績値として、若人の一人当たり医療費の伸び、老人の伸び、これを持ち出したということでございます。

 しかし、この結果としての伸び率を見ますと三%程度ということに、三から四%というふうになるわけでありますけれども、これは、現に平成十二年度以降の制度改正がなかった年の医療費の伸びというものを見ますと、大体そういうことにも当たっているわけでございまして、それほど、あながちおかしな数字ではないと思っております。

 いずれにしましても、これは物事を考える上での目安として用いるものでありますので、実際には、これと実績を点検、評価いたしまして必要な施策をとっていく、こういう繰り返しになろうかと思っております。

○仙谷委員 続いて山井代議士の方からもこの点について質問があると思いますが、いずれにしましても、これは前提問題ですから、今度の医療費適正化の。

 いろいろな資料が出ておるわけでありますが、平成十八年二月二十三日、厚生労働省、健康保険法等の一部を改正する法律案についてというのがございます。ここで、先ほど申し上げた二十七兆五千億とか三十一兆二千億とか、いろいろな数字が書いてあるわけだ、これは給付費ということになっておるんだけれども。

 したがいまして、この数字、経済成長率の関係も、何かよくわからないけれども一応は書いてある。あなたがおっしゃった数カ月前にお出しになった国民医療費ですね、医療費の動向、国民医療費、老人医療費、これとの関係も含めて、これを図にしていただいても数表でもいいんだけれども、今の時点でどのぐらいの推計値を各項目について出しておるのか。その数値はどのような伸び率をもとにしてはじき出した数字なのか。そしてその伸び率は、どのような与件、条件をどのように勘案してというか想定してというか、変数として措定してつくられた伸び率なのか。これを一度この医療関連法案の審議が始まる前に明らかにして教えてください。いいですね。

○水田政府参考人 いずれにしましても、数字の整理はいたしたいと思います。

医療の提供体制 − 鳴り物入りの 「IT化」計画はどこへ行った

○仙谷委員 時間の関係もございますので、医療提供体制の問題を少々聞いておきます。

 実は、大臣、厚生労働白書というのをちょっと十年分ぐらい読み返してみたんです。読み返した。そうしたら、これはがん治療について、遅々として進む、こういう最大限の賛辞を私が送ったんでありますが、まさにすべてが遅々としてしか進んでいないのか、遅々としても進んでいないのか、遅々として進んでいるのか、まあいずれにしても、遅々というこの言葉をつけざるを得ない、こういうふうに思うのであります。

 例えば、これは厚生労働省の医政局の方にお伺いしたいわけでありますが、平成十四年の医療提供体制の改革スケジュールというのが四年前につくられておりますよね。十四年白書に載っている。工程表まで出ています。工程表は、ほとんどが平成十八年、つまり今からいうとあと一年ぐらいでほぼ、完了するというのはおかしいけれども、一つの到達点に達する、こういうふうになっているわけです。

 その項目と去年出された平成十七年の白書、この項目を比べると、つまり白書でいえば三年のそこにはタイムラグがあるんですが、ほとんど同じことが書かれているんですね。医療提供施設の機能分化と連携とか、医療における情報提供の推進とか、人材の育成確保、医療安全対策の総合的推進、救急(小児医療)体制の整備、医療機関経営に関する規制の見直し、あるいは安全の促進とか書いてあるんです。

 ところが、一つだけ去年の白書の中で記載がなくなっているのがありました。そのなくなっていることについてちょっとお伺いしたいんですが、医療におけるIT化の推進というのを殊さらに落としたのか、なぜ書いていないのかわからぬけれども、要するに昨年の白書では書いていない。

 なぜかというと、それについては平成十五年の白書でも、IT化は、四百床以上の病院の六割、診療所の六割以上に普及させるという数値目標を立てて、これは電子カルテとかレセプトですよ、そういう行動計画を策定し、平成十八年には目標達成の検証をするというふうに書いてあるんですよ。ところが、平成十七年の白書では、このIT化の問題について記載がないんですよね。一体全体、先般の診療報酬改定の段階でも、どうも電子カルテの問題とかレセプトの電算処理の問題というのが我々には見えにくいというのか、どうなったのかよくわけがわからない、こういうことになっておるわけであります。

 この数値目標、四百床以上の六割、診療所の六割以上に普及をさせる、行動計画を策定してやるんだ、まさにP、行動計画ですがPですよね、ドゥーがどうなったのか、どなたかお答えいただけますか。

○水田政府参考人 お答え申し上げます。

 病院の電子カルテの問題あるいはレセプトの問題でございますけれども、残念ながら、平成十八年までに六割という水準は現在は達成できていない状況でございますけれども、これにつきましては、昨年の十二月一日の政府・与党医療改革協議会で決めました医療制度改革大綱におきまして、少なくともレセプトにつきましては、「平成十八年度からオンライン化を進め、平成二十三年度当初から、原則としてすべてのレセプトがオンラインで提出されるものとする。」ということで、私ども、レセプトにつきましてはこういった形で強力に進めていきたい、このように考えてございます。

○仙谷委員 水田さんの係じゃないからこんなことを言うのは気の毒だと思うので、大臣、申し上げたいのは、医療提供体制のプログラムというか、これはちゃんと本当にそれなりに整備されて、いや、これが実現されたらちょっと期待できるなと思っているわけですよ、我々も。とりわけ、時間があったらまたやりますけれども、がん治療をどう進めるのかなんというのはその典型なんですよね。ところが、計画倒れというか、言うだけになっておるのではないかと。

 なぜそうなるのかといえば、それは資金と人材が投入されないと絶対そうなりますよね。この電算の問題を診療報酬の内側だけで処理しよう、あるいは、がん治療、小児医療、人材養成、そういう問題を診療報酬の内側だけで処理しよう、保険だけで処理しよう、こういう行政、政治である限り、絶対にすべてが、何年やってもずっと十年間同じことを書き続けなきゃいけないわけだ。

医療に資源・予算の投入を

 IT化の問題は実は重要な問題ですけれども、私はたまたま、この医療提供体制改革の平成十四年版をもし何でありましたらお読みいただきたいのでありますが、これだけは特記してあるんですよ、数値目標を掲げ、行動計画をつくり、平成十八年には検証する、特記してあるから聞いているわけ。そこまでお書きになって、堂々と売り文句にしたわけだ、当時の。

 小泉内閣の、いわばEガバメントか何か知らぬけれども、そういう格好のいい話、これの一つの医療部門での売りにしたわけですよ。もしうまくいけば、個人情報保護の問題を除いては、私もその方がいいと思います。今の各病院で電子カルテ化がされれば、診療、治療の前進にも大いに役立つし、効率化される部分もあると思います。機能の分化や特化やあるいは連携にも大いに役立つ。これは少々見学したら、地域の中核的な病院のところに行きましたら、開業医との関係でもそのことができれば、画像をファイルで送っていただければそのことの方がずっといいんだ、これは当たり前の話じゃないですか。

 だから、ある意味では期待もしていたんだけれども、どうも今、水田さんのお話でもちょっと頼りないお話になってくる。依然として、このことを抜いて、ほかの項目については平成十四年度と十七年度がほとんど同じ記載しかない。

 ということは、私が申し上げたように、厚生労働省も本気でどこかからお金をつくってきて、この問題に資源を投入する、診療報酬の外側ででも資源を投入する、予算を投入する、体制をつくる、そういう発想を川崎大臣が、小泉さんか小泉さんの後の人か知りませんけれども、これに強力に働きかけて、そのことに政府一体となって一丸となって邁進するぐらいのことじゃないと、幾らたっても、医療の提供体制の改革とかサービスの増進なんていうのはできないと思うんですよ。これは鴨下先生が一番よく御存じ、あるいは医療に従事している関係者はすぐわかる話であります。

 細々と診療報酬の内側でちょっとずつとってきて、ではこっちへ今度、今度はこっちへつけようとか、こんなことをやっていてもほとんど前へ進まないと思うんです。無駄は大いに削り込まなきゃいかぬ、効率化しなきゃいかぬと思いますし、医療の世界に無駄がないとは言いません。私も相当部分知っております。しかし、今日本が置かれた状況から、医療という問題の重要性にかんがみて本格的にこの体制を改革、整備するというときには、そのぐらいの覚悟がないとできないということを申し上げて、質問を終わります。大臣、ひとつ頑張ってください。