日本がアジアにとけ込もうとするとき、
総理の靖国公式参拝は、正しい選択ですか

   ひとりよがりの個人的感慨による参拝は、国際的に通用しない

5月16日 衆議院予算委員会

○甘利委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仙谷由人君。

○仙谷委員 ただいま、JR西日本の福知山線の大変大きな事故によってお亡くなりになられた方、そして重傷を受けられている方、そしてまたマンションの住人の皆さん方にとっては物理的、精神的被害が大変大きいと思いますが、そういう方々について、この委員会で皆さん方と一緒に黙祷、そしてお見舞いの気持ちをあらわさせていただいたわけでございますが、私も個人的にも関係の深いところでございまして、偶然乗ろうと思って乗らなかった方とか、普通は乗らないけれども乗って帰らぬ人となってしまったとか、そういうお話が相当数寄せられております。

 改めて、この事故の真相をちゃんと究明し、それも本質的なところから究明をし、そして、今後この種の事故の再発のないように、政府においては、対策をとっていただきたいと思いますし、今度の事故に伴う被害の補償や手当て、これまた十全に行っていただきたいとお願いをいたしておきます。

 この問題については、私の次に質問に立ちます菅直人議員の方から詳しくお伺いをすることになろうかと思います。私は、今の日本の置かれた状況、日本を取り巻く状況、この問題の外交、内政について、総理大臣、外務大臣、総務大臣、厚生大臣にお伺いをしたいと考えております。

 まず、この間、急に反日デモというふうなものが韓国と中国で巻き起こったわけであります。

 私は、あのデモを見ておりまして、私が子供の時代に、日米安保条約をめぐって羽田でハガチー事件というのがありました。アメリカから来られた大統領特使のハガチーさんという人をデモ隊がみんなで取り囲んで、袋だたきのような状況にして追い返してしまった。そういう時代も日本はあったんだな、まさに、オリンピックの四年前の話であります。今、北京オリンピックの三年前の状況ということを考えますと、そういう時点というのはそういうことがあるのかなと一方で思います。

 そしてまた、反日あるいは抗日デモあるいは暴動というふうなものは、田中角栄さんがアジアに、特にタイとインドネシアでありますが、そこに行かれたときに、先般の中国あるいは韓国の様相とは、もっともっと激しい暴動的デモが行われたというのを改めて思い出しました。どうも、私の記憶では一九七二年だったように思います。その前段階で、中国では、私どもにはそれほど明らかじゃなかったわけでありますが、いわゆる中国文化大革命という、街頭の動員によって、ある種の権力闘争が行われていたということを後で聞きました。

 今度のデモの特徴というのは、どこまでの大衆が、あるいは韓国や中国の人々が、今の時点でそれに賛同し、唱和しているのかどうなのか、見きわめがたいところはあるわけでありますが、いずれにしても、小泉総理が数年前、二〇〇二年からでございますが、我々は、日本は東アジア共同体を目指すという、ある種の理想といいましょうか理念を掲げて進まれておったこの時点で起こったということであります。

 もう一つは、日本が国連改革に積極的に賛同し、あるいは関与し、みずからが国連の常任理事国になりたい、なる資格もあれば意欲もあるということを公言しているそのさなかに起こった、こういうデモであります。近隣諸国で起こったデモであります。現に、韓国のデモは、日本の常任理事国入り反対、許さないという、これをデモ隊の横断幕が掲げております。あるいは私どもが仄聞をいたしておる情報によりますと、韓国政府、盧武鉉大統領、この盧武鉉大統領が、日本の国連常任理事国入りについては反対であるというふうなことをどうもほのめかしている、あるいはそういう角度から発言をされているというふうに聞こえてまいります。

 一九九八年の金大中大統領の訪日以来、日韓は、ワールドカップサッカーも経て、非常に国民レベルではその関係がよくなってきた、こういうふうに私は見ておって、この十五年間、日韓交流を進めてきた一人として、隔世の感があるな、よくなったな、こういうふうに思っておったわけであります。

 ことしは、図らずも、日韓友情年、日韓基本条約四十周年記念ということであります。そういう時点で、なぜこんな状態になっているのか。総理、総理自身はどういうふうに考えているのか、総括をされているのか。なぜこんなことになってしまったのか。この結果といいましょうか、現在の状況についてどういうふうにお考えなんですか。

○小泉内閣総理大臣 中国、韓国との関係というものは、近年ますます交流も深まり、経済関係も相互依存体制が強まって、お互いの交流を深めてきたと思います。しかしながら、ここに来て反日感情が強く出てまいりまして、これに対して、お互い自制的な対応をとりつつ、過去の経緯も踏まえまして、未来に向かって友好関係を発展させていかなきゃならない、そういう認識は共通しております。

 これは、国連常任理事国入りの問題あるいは領土をめぐる意見の相違等に対しまして、過去の戦争の経緯もありまして、なかなか複雑な感情もあるのは事実でありますが、私は、両国政府とも、この問題につきましては、未来に向かってより一層友好交流関係を深めていこうという点においては、今後も変わらない基本方針だと思っております。

○仙谷委員 そういう抽象レベルの基本方針は結構なんでありますが、なぜこんなことになったのかというお答えにはなっていませんよね。何が原因なんですか、これは急に。

 日本国民の多くの方から見ると、まあ日中については、昨年の秋のアジアカップサッカーで、重慶とか済南とか北京でああいうことがあった。何か中国の人々は日本に対してそれほどいい感じを持っていないんだな、一部の人はああいう格好で暴発といいますか破裂するんだな、ここまで僕もわかっておったわけでありまして、中国の人と会うたびに、あれはまずいんじゃないですか、これはもう日本人の嫌中感みたいなものを増幅させますよ、ちゃんと政府の方からもメッセージを送った方がいいということを、中国政府の方々にも、あるいはその周辺の方々にも申し上げておった。

 ところが、韓国は、私にしても、普通の国民の方々は、夜うちへ帰ってみると、我が妻たちは韓国ドラマをずっと見ているわけだ。(発言する者あり)立派なところは見ていないのかもわかりませんが。いやいや、物すごい冬ソナブームが行き渡っておるわけですよ。韓国のあの純な思いのドラマが行き渡っている。これも、要するに金大中大統領の文化開放というところから始まったんだろうと私は思います。

 私は、当時、金大中さんが文化開放するについては、国内的にもいろいろな反発や抵抗があったのを押し切ってなさったということを聞かされておりました。それでも、日韓が相互依存、そして協調を深めていく、そのことが大事だということで思い切って開放したと。

 突如、あの反日、抗日デモ。まだデモだけならば、歴史問題については、時々大使館あるいは公邸へ行って卵をぶつけたりするのが報道されますから、一部もしくは相当数の方々は、戦後処理をめぐって、日本の戦後処理は不十分だということで運動されているというのは私も知っております。それで、そこには、国際人権法の観点から、日本も考える余地があるのかもしれないというふうに考えてまいりました。ところが、大統領までが改めて批判的な言動をする。何が原因になっているんですか、これは。何がこんなことになっているんですか。国連についても、否定的な態度を韓国政府はとられる。何が問題なんですか。どうですか、小泉さん。

○町村国務大臣 韓国あるいは中国、それぞれの政府がどれだけああした抗議活動といいましょうかデモにかかわりを持っているのか、それは私どもも定かではございません。ございませんが、その底流にあるものを私が余り評論家風に申し上げるのが適切であるかどうかわかりませんが、あえてのお尋ねでございますから申し上げます。

 やはり一つは、中国あるいは韓国の皆さん方が、日本の歴史認識というものについて、どこか我々とは違うものを持っているなという違和感をずっと持ち続けているというのが底流にあるということは、そこは率直に認めなければいけないのだろう、こう思います。

 私どもが戦後六十年、戦前の反省の上に立ってひたすら平和国家としてやってきた、その活動というものをどれだけそれぞれの国で評価しているのかという問題もありますけれども、特にその戦前の活動について、私どもは再三にわたっていろいろな機会において反省なりなんなりはやってきたつもりでありますが、そのことについて、意図的か意図的でないかは別にして、そうしたことについての不満というものを常にずっといろいろな機会に言ってこられましたよね。僕らは、例えば、さっきお話の出た金大中大統領の折で、これでやっと一つの区切りがついたか、こう思ったりもいたしました。しかし、またこれが繰り返されている。

 これは一つには、例えば韓国の中では韓国の新しい世代というものがどんどん台頭してきている。その新しい世代の代表選手がいわば盧武鉉大統領というようなところも私はあるんだろうと思います。したがって、その新しい世代にアピールする物の言い方、行動の仕方というものを、歴代政権とは違った形で韓国の今の政権がとっているという側面もあるんだろうな、こう思っております。そういうところで、ちょうどたまさか、戦後六十年ということで、島根県が県の条例、竹島の日というものを通した。それがいわばきっかけとなって一挙に噴出をしてきた。それはむしろトップリーダーの方からそういった運動が出てきたという感じが強くするわけであります。

 それに比べると中国はどうかといいますと、中国の最初のデモのきっかけというのは、これは常任理事国入り反対というのが、その署名運動が行われ、それがいわば発端となって毎週末デモが繰り返される、中には過激な行動が出てくるということでございました。

 これもまた、ある種の新しい世代の運動といいましょうか、インターネットでどんどん情報が流れていって、いついつどこでデモがあるからみんなで参加しようというような、今までの中国では多分考えられなかったような新しい世代流のやり方でああいうデモも起こってきた。そんなに単純な性格ではないんだろうとは思うんですが、現象的にはそのように見えてくるわけでございます。

 そういう底流にあるものと、新しい動きというものが加わって、今回のこのような反日の動きになっている面があるんだろう。そのほかに、それぞれの国の教育の問題でありますとか、いろいろな御指摘もあります。それぞれがそれぞれできっと正しいのかもしれませんけれども、そうしたさまざまな要素の複合的な結果が今回の事象になってあらわれたのだろう、このように受けとめております。

○仙谷委員 まことに評論家的なお話でございます。

 この間、この種の問題について、日中会談、これはことしの四月二十三日のようでありますが、胡錦濤主席から五項目の提案があって、特に歴史認識と反省については、適切に判断する、こういうふうに小泉さんはお答えになった、こういうことになっておるわけですが、その際も、反省を実際の行動に移してほしい、こういうふうに胡錦濤さんから言われたんですか。それから、盧武鉉さんも、意思表示を行動と実践で見せてほしいと。

 これは何を言われているんですか。つまり、あなたは反省と行動が違うじゃないか、こう言われているんじゃないですか。言うこととやることが違うじゃないか、こう言われているんじゃないですか。何のことを言われているんですか、これは。つまり、歴史認識、反省というふうなことで言行不一致を指摘されて、だから本質的に信用できないんだと言わんばかりのことを言われているというのは、これは一国の総理としていかがなものなんですか。

 それで、小泉さんが、私どもが得ている情報だけを整理いたしますと、適切に判断する、あるいは配慮する、こういうお答えをなさったということになっておるわけですが、何をどのように配慮をして、どのような行動をとったら適切な行動になるのか。どうお考えなんですか。

○小泉内閣総理大臣 胡錦濤主席と先月会談いたしまして、日中共同声明また日中平和条約、日中共同宣言等、これまで交わした日本と中国間の認識については、これはこの方針のもとに今まで日本も行動してきた。さらに、未来に向かって、日中関係は重要であるし、二国間の関係のみならず国際社会において日中が協力していかなきゃならない分野はたくさんある、そういう観点においては共通した認識を持っております。

 歴史観におきまして、お互いの会談の中で、両国が思っている気持ちと、日本が思っている気持ちというのについては、常に同じではないということもあると思います。それは、このような日中国交正常化以来あるいは戦後六十年、日本は戦争の反省をしたのかという意見も先方にはあるでしょう。しかし、私は、日本は戦争の反省をし、平和国家として発展してきたと思います。

 行動に示してくれと中国側が言っておりますが、六十年間、日本は、戦争の反省を踏まえ、国際社会と協調して、二度と戦争をしないという、まさにその言葉どおりの行動によって戦争の反省を示してきたんですよ。それを違うということは言っていませんよ。それは、認識においては違いがあってもいいと思います。どの国でも認識においては違いがあると思います。日本は、十分戦争の反省を踏まえ、二度と戦争をしないということで、実際の行動によってそれを示してきたと思います。

 また、韓国の盧武鉉大統領とは、昨年も私が済州島を訪問し、そして昨年十二月には盧武鉉大統領が鹿児島の指宿を訪問され、お互い、一泊ではございましたけれども、和やかなうちに、両国関係の未来に向けた進展を図ろうという会談をいたしました。韓国盧武鉉大統領も、余り過去のことにとらわれることなく未来志向で日韓の交流を拡大していこう、そういう共通した認識を持っているわけであります。

 今般、韓国におきましては、竹島の問題におきまして、これは領有権の問題に対して大きな見解の相違がございます。その点について韓国民が憤慨しているということも承知しております。しかし、日本には日本の立場があります。そういう中でも、今、日韓の交流も深まっておりますし、ことしは日韓の交流年でありますし、各地区で日韓友好の行事が進められております。

 そのような状況を踏まえまして、対立のみをあげつらうのでなく、未来へ向かって友好がいかに大事かという観点から、これから話し合っていこうということで日韓の政府の間におきましては合意しておりますので、お互い、国民感情におきましてはかなり感情的に反発する場合もありますが、両国の関係と将来の展望をよく考えれば、日韓におきましても日中におきましても両国の友好関係は重要だと思っておりますし、そういう観点から、今後も日中、日韓の交流を図っていきたいと思っております。

○仙谷委員 しかし、いい気なものですね。こんなに私どもには閉塞状況に見えるんですよ、アジアの。いや、これはすごいですね。では、なぜこんなになるのかという回答には全然ならないじゃないですか。反省を実際の行動に移してほしいというのは何を言われたのか、全然我々にはわからないですよ。我々、直接話していませんからね。だから聞いているんですよ。

 靖国参拝についても、多分、やはりここが問題だという指摘は胡錦濤さんからはあったんじゃないんですか。これは問題になっていないんですか、総理の靖国参拝は。少なくとも、我々の理解をしている限りにおいては、A級戦犯が祭られている靖国神社については、総理の在任中には控えてほしいというのが、中韓とも、まずは入り口の、歴史認識について反省を実行に移してほしいということの一つの言い方じゃないんですか。なぜ、中曽根総理が参拝をしたけれどもやめて、それから現職の総理は行かなかったのに、小泉さんだけが行くんだ、この大事なときにそういう、いわば小泉さんの言い方で言えば国民の気持ちを、少なくとも国民の気持ちを逆なでするようなことをされるんですかというのが彼らの疑問でしょう。

 そういう問題について、私から見ますと、少なくとも外交の上で、いろいろな外交カードを切り合うんでしょう、それは。しかし、何かこういうもつれることになってきた口実を与えていることは間違いないですよ。

 それを、従来のように、二国間でああだこうだということを言っていて済む時代ならばまだいいんですよ。あなたが、国連常任理事国入りをすべきだということで、従前の、十年前の主張を変えられて、とんとことんとこ走っていっているじゃないですか。十年前、反対のことを言っていたじゃないですか、田中秀征さんと一緒に。そうでしょうが。

 それで、東アジア共同体、まことにすばらしい。私も、そういう時代が来たと思うんですよ。これだけの、相互経済、金融、あるいは海賊、知的財産権、環境、より重要なのはエネルギー。このエネルギーの逼迫状況を見れば、まさに東アジアの中でエネルギーの開発や供給について取り組みを結んで、安定的な供給や、お互いが足を引っ張り合わない経済の発展、あるいは民生の安定のためにそういうことをすべきだ。そういうフォーラムなり会議が必要だと思っているから、東アジア共同体を進めるのは賛成ですよ。あるいは、SARSや鳥インフルエンザのように、保健や感染症対策にも、こういうことをガバナンスできる機構をつくる、大いに賛成だ。

 そういう時点で、なさっていることは、逆にベクトルが働いているじゃないですか。近隣諸国にこれだけクレームをつけられて、国連の常任理事国入り、東アジア共同体の形成、このことが小泉さんの外交の戦略としてどう位置づくんですか。そんなことをやる必要はないんだというのであれば全然問題ないんですよ。問題ないことはないけれども、まあ理解はできる。合意はしないし、納得はしないけれども、理解はできる。ばらんばらんじゃないですか、やっていることと言っていることが。

 そこで、靖国神社、これについて、適切な行動、適切に判断するとか配慮していきたいとか、そういうふうにお答えになったんですか。お答えになったとすれば、年内は行かないんですね。どうですか。

○小泉内閣総理大臣 私の言うことを誤解してとらえておられるようですが、私は、国連常任理事国入り、これについては十年ほど前から大きな関心を持っておりましたし、今のP5、同じようなことはできないということをはっきり言わなきゃいけないと言っていたわけであります。日本の立場というのは現在のP5とは違う。核保有国でもないし、海外で武力行使をしない、こういう国である。そういう点について誤解のないような、日本の基本方針が国際社会にわかった上で、そういう上で国連常任理事国入りに手を挙げるなら、これは差し支えないであろうと。現に、そういう方針でやってきております。

 そして、今ほど国連常任理事国を含めて国連改革の機運が高まっていることはございません。各国がそれぞれ六十年前の世界情勢をよく反映した現在の国連かというと、そうではない。各国の六十年前の敵対国が今は友好国になっている。それぞれの国が六十年を経て、それぞれ国力にも違いができている。そういう中で、今のままでいいかというとそうでないということで、いまだかつてない高まりを見せているし、そういう中で、国連常任理事国なり非常任理事国をふやすという場合には、日本も常任理事国としての資格があるのではないかということで改革に臨んでいるわけであります。これにつきましては、私は、民主党におきましても、反対もあるでしょうが賛成の方も多いと思います。

 東アジア共同体におきましても、これはEUも、多くの国が国家の主権を維持しながら、EUとして統合的な政治経済共同体をつくろうと今実現に向けて懸命の努力をしており、大きな共同体として、将来国際社会の中においても大きな影響力を持つに至っております。

 これも考えてみれば、四、五十年前はEUという言葉はありませんでした。ECという言葉がよく使われておりました。当時、恐らく、ECというのはどうなるかと議論していた中にも、なかなか、共通の通貨を持って同じ憲法を持って、このようなEUの形で発展するということを思っていた方は少ない方だったと思います。それが実現に向かって動いている。東アジアも、ヨーロッパ諸国ほど各国のそれぞれの共通の認識というものはまだ固まっておりませんけれども、将来、東アジア共同体としてともに歩みながらともに進むという方向で、共同体意識を持っていくことは大変重要であるということで、今、東アジア共同体あるいは東アジア・サミットを開催しようという動きになっております。

 そういう中で、日中間の問題におきましても、靖国の問題がお話出ましたが、これは私がかねがね申し上げておりますように、どの国でも戦没者に対する追悼を行う気持ちを持っているはずであります。どのような追悼の仕方がいいかということを他の国が干渉すべきではないと私は思っております。

 今日の日本の繁栄は、あの六十年前、過酷な戦争で日本国民も大きな犠牲を受けた、そして、当時、家族を持ちながら、戦場には行きたくなかった方も心ならずも国家のために戦場に赴いて命を落とさなければならなかった、そういう方の犠牲の上に今日の日本の平和と繁栄があるのではないか。そういう戦没者に対して心からの追悼の誠をささげるというのがなぜいけないのか、私は理解できません。そして、日本は二度と戦争をしてはいけないという気持ちでお参りをする。現に、六十年間日本は、二度と戦争にも巻き込まれず、戦争もしていないんです。そういうことに対して、靖国参拝してはいけない、この理由が私はわからないんです。

 民主党の中にも、靖国参拝すべしという議員がおられます。国民の中でも、すべきである、しない方がいい、した方がいいといろいろな議論があります。しかも、中国が、胡錦濤国家主席との間でも、あるいは温家宝首相との会談でも、靖国の問題が出ました。靖国参拝はすべきでないというお話もありました。しかし、今のような理由を私は申し上げました。現に東条英機氏のA級戦犯の問題がたびたび国会の場でも論ぜられますが、そもそも、罪を憎んで人を憎まずというのは中国の孔子の言葉なんです。

 私は、日本の感情として、一個人のために靖国を参拝しているのではありません。心ならずも戦場に赴いて命を犠牲にした方々、こういう犠牲を今日の平和な時代にあっても決して忘れてはならないんだ、そういうとうとい犠牲の上に日本の今日があるんだということは、我々常に考えておくべきではないか。現在の日本というのは、現在生きている人だけで成り立っているものではないんだ、過去のそういう積み重ねによって、反省の上から今日があるわけでありますので、戦没者全般に対しまして敬意と感謝の誠をささげるのが、これはけしからぬというのはいまだに理由がわかりません。

 いつ行くか、適切に判断いたします。

○仙谷委員 総理、個人的な感慨と、一国、主権国家を背負ったトップリーダーは、やはりちょっと分けて考えてもらわなきゃいけないんですよ。いいですか、そこをごちゃごちゃにしてはいけないんですよ。

 総理、もう一遍ポツダム宣言を受諾したことの意味を思い出してくださいよ。我々は、心ならずもか......(発言する者あり)ポツダム宣言を受諾したから独立できたんでしょうが。何を言っているんだ。

 ポツダム宣言の中にどう書いてありますか。軍国主義的傾向の解体と民主主義の復活と書いてあるじゃないですか。民主主義の復活というところにも意味があるんだけれども、軍国主義の解体、そこについて、どう評価をされようとも、当時政治としてはそれを受け入れたんですよ。

 あなたの靖国参拝は国際政治問題になっているんですよ。中国がどう言うからとか、干渉されたくない。干渉されないでいいんです。干渉されないで自律的に、我が国がアジアの中にどうやって溶け込んでいくかという努力をするためにどういう政治選択をしなければいけないか、それがトップリーダー、総理に課された使命なんですよ、私に言わせれば。

 個人的には、靖国神社に行きたい、結構です。総理としてはそれを自制するのが政治的な判断、決断じゃないですか。いつまで戦後に生まれた我々の世代に、あるいは今の二十代、三十代の方々に、この戦争の戦後処理の問題をだらだらと残すんですか。後世代のためにけじめをつける発想すらないんですか、政治家として。私は残念で残念でしようがない。

 そこで、この問題についての総理の返答については、ことしじゅうに靖国神社に行く、こういうふうにここでおっしゃったものと理解して次に進みますが、いいですね。

○小泉内閣総理大臣 私が靖国神社に参拝することと、軍国主義を美化しているととられるのは、心外であります。なぜ靖国神社を参拝することが軍国主義を美化することにつながるんでしょうか。全く逆であります。

 日本は、戦争に突入した経緯を踏まえますと、国際社会から孤立して米英との戦争に突入した。国連も脱退した。二度と国際社会から孤立してはいけない。そして、軍国主義になってはいけない。だから、戦後、戦争中の敵国であった国とも友好関係を結んできた。そして、国際協調というものを実践によって示してきた。

 軍国主義、軍国主義と言いますが、一体日本のどこが軍国主義なんですか。平和国家として、国際社会の平和構築に日本なりの努力をしてきた。この周辺において、戦争にも巻き込まれず、戦争にも行かずに、一人も戦争によって死者を出していない。平和国家として多くの国から高い評価を受けている。そういう中にあって、なぜ私の靖国参拝が軍国主義につながるんですか。

 よその国が言うから、けしからぬ、よその国の言うことに従いなさい。それは、個人的な信条と、両国間、国際間の友好関係、これはやはり内政の問題と外交関係の問題におきましてはよくわきまえなきゃいけませんが、私は、こういうごく自然の、過去の戦没者を追悼する気持ちと、二度と戦争を起こしてはいけないという政治家としての決意、これを六十年間、みんな日本国民は反省しながら実践してきたじゃないですか。それを、一部の外国の言い分を真に受けて、外国の言い分が正しいといって、日本政府の、私の判断を批判するというのは、政党が違いますから歴史的な認識も違うかもしれません、御自由でありますが、私は、これは何ら問題があるとは思っておりません。

○仙谷委員 私の問いに端的に全然お答えにならないじゃないですか。そのひとりよがりの内向きの論理が国際政治の場でどう見られているかということを、もうちょっと考えた方がいいですよ。もうちょっとヨーロッパやアメリカのオピニオンの意見でもごらんになった方がいいですよ。笑われているじゃないですか。

 何のための郵政民営化なのか

総理のいう民営化は日本の改革につながらない

 そこで、ちょっと時間がなくなってまいりましたので、もう一点、郵政民営化についてお伺いします。

 小泉さん、この郵政民営化、私どもにも全くわからない法案でありますけれども、法案修正は考えていない、それから、廃案になった後は何が起こるかわからない、こうおっしゃっていますよね。それから、中立はない、政府がつくった法案に賛成か反対か、二つに一つだ、こうおっしゃったんでしょう。このお気持ちは変わりありませんか。特に、法案修正は全く考えていないんですね。

○小泉内閣総理大臣 現在、政府が提出しております郵政民営化関連法案、修正する考えはありません。また、この問題については、賛成か反対しかないでしょう。議員として、これに賛成か反対か、自由に判断してもらうしかないんですよ。

 それと、廃案になったら何が起こるかわからない。私は、成立のために全力を尽くしているんですから、廃案は考えていません。廃案になった場合のことでありますが、それは、私は考えていないんですから、何が起こるかわかりませんよ。

○仙谷委員 これは、改革の本丸と称して、ともかく実を捨てても名をとる、民営化という言葉だけでも残ればいいんだみたいな、こんな法案をつくったわけですけれども、しかしながら、廃案になったらやはり責任をとらなきゃいけないんじゃないですか、改革の本丸とまで言っているんだから。

 私は、日本の改革の本丸はまさに財政再建、財政改革だと思います。その一つの端っこの問題ではあるけれども、私は本体ではないと思う、この郵政改革は。特に、今やっている、あなた方が考えておる郵政民営化は、財政再建の問題と全く連動させないで、後は野となれ山となれの、改革と称するにせ改革ですな、こう思っているんですよ。

 これは、廃案になったらやはり総辞職じゃないですか、考えていないじゃなくて。あるいは、修正も、命をかけて修正をさせないということで、もし修正論議が出てきたら、解散するか総辞職じゃないですか。どうですか。

○小泉内閣総理大臣 政治の責任者として、成立しても廃案になっても責任は私にあるんですよ。責任をどうとるか、そのときにどういうとり方をするかというのは、そのときに判断すればいいことであって、成立にも私は責任を持っている。廃案にしたら責任があるんだから総辞職しろという議論はわかりますけれども、総辞職しなきゃならない理由があるんですか。(仙谷委員「改革の本丸と言っているんだから、できなかったら」と呼ぶ)だから、成立に全力を尽くすと。

 私は、廃案にするつもりはありませんし、成立によって責任を果たすということを考えているわけであります。

○仙谷委員 結局、この問題は、三百五十兆の郵貯、簡保、このお金がパブリックセクターというか公的部門に集中して、もし我々が一千万の定額貯金を持っていたとしても、五百五十九万円がまだ財政融資資金に預託されているという計算になるんですよね。それから、国債には三百十九万、社債とか外債とかを買っている分、地方債を買っている分、これが七十二万円、利用者、貯金をしている人に貸しているのが十万円、その他で四十万ぐらいだ、こういう計算になるようですね、パーセンテージでいえば。

 とにかく膨大なお金が、金額としては、国債が約八十九兆から九十兆、財務省に預託されているのが百五十六兆、このお金が、これは郵貯だけですよ、二百二十兆円のうち、これは信用付与もありますから、何と二百四十五兆円が、郵貯二百二十兆と言われているのが、二百四十五兆円が計算上公的部門に入っている。

 さあ、このお金をどうするんだ、効率的に使えないのか。私に言わせれば、もうこのお金のリスクを国家がとれない。経済構造までおかしくしているし、あるいは出先、財投の部門では腐敗を生んでいる。特殊法人、いろいろなところで腐敗を生んでいる、利権を生んでいる、族議員を生んでいる、やめようじゃないかというのであればいいんですよ。だけれども、それにはそれなりの制度設計と物事の順序があると思うんですよ。

 これを一挙に民間銀行にするといきがっておりますけれども、民間銀行がバブルを起こしてお手伝いをしておかしくなって、その反省が生きていないじゃないですか。五年間で百兆円も貸すところがなくなって、百二十二兆円も国債を買うような民間銀行ですよ。要するにオーバーローンが是正されていない。どうやってこんなお金を投資、運用するんですか、民間銀行になった郵貯バンクが。どういうイメージなんですか。私は全くわからない。

 ちなみに、小泉さん、中小企業金融公庫とか昔の開発銀行、今の政策投資銀行とか、大体融資規模はどのぐらいか御存じですか。そういうことをまず考えてから制度設計をしていただきたいんだけれども、御存じですか、どうですか。

 事ほどさように、今、資金循環とか銀行の問題というのは、どこに貸して、あるいはどこに投資をして、どういう運用の仕方をして利子を稼いでくるか、ここが一番難しいというのは我々が得た教訓じゃないですか。だから、間接金融から直接金融という話になったんでしょう。そしてなおかつ、中央集権的に中央が吸い上げて、とりわけそれを官僚的に配分するというこのことの不合理さを直そうという話だったんでしょう、もともと。そうですよね。

 だから、それにはそれなりのやり方をしないと、株式会社にしただけで何とかなるなんて、あなた、そんなおいしい話が転がっているんだったら、銀行の皆さん方も証券会社の皆さん方も苦労しませんがな。そうじゃないですか。何を考えているんですか。いや、政府保証がなくなるから動くと。では、勝手に動いて、今度は財務省の方はいいんですか。あなた、毎年毎年百三十兆も借換債だけであるような国の財政が、勝手に動く当てはあるんですか。

 そこで、私は先般から総務省に一生懸命聞いているんですよ、麻生総務大臣。一生懸命聞いているのは、定額貯金の口数がなぜ三億五千万もあるのか、それから、これを各満期別に一覧表に出してきてくれ、満期別一覧表を出してくれ、そして、保有国債の満期の一覧表も出してくれ。それがない限り、いつ定額貯金がどのぐらいおろされるのか、そして、それに伴って保有国債を満期まで持つとしても売れるのかということが一切わかっていないんですよ、今。

 これは、理財局がわかっているのか、総務省がわかっているのか、どこでわかっているのかわからないけれども、このお金の動きに一番関係するところをオープンにしていないんですよ。私が申し上げてから四カ月たつけれども、総務省は持ってこない。

 この資料をつくって提出してくれますか、総務大臣、いかがですか。

○麻生国務大臣 今の質問は通告になかったので、全然聞いておりませんので、内容をよく調べて御答弁申し上げます。

○仙谷委員 この郵政民営化問題も本格的に論議する基礎的なデータが国民には提供されていない、我々にも提供されていない。これは例の年金の問題とも同じでありますけれども、客観的な事実を我々がちゃんと直視して、それを前提に議論しない限り、絵にかいたもちのような話ばかりを論争してもしようがない、そのことだけを申し上げて、質問を終わります。