衆 - 予算委員会 - 4号

平成17年02月02日

○甘利委員長 これにて井上君、長沢君の質疑は終了いたしました。

 次に、仙谷由人君。

○仙谷委員 民主党の仙谷由人でございます。平成十七年度の本予算について質疑をいたします。

 当初の予定から変えまして、今、公明党の若い議員さんが政治の信頼についてお話をされました。私から、まず総理に、例の平成研究会と称する派閥集団の一億円裏金事件、このことについてお伺いするわけですが、つい先般、検察審査会が、検察庁の、橋本龍太郎さん、野中広務さん、青木幹雄さんに対する不起訴処分に対して、平成研究会が虚偽の収支報告書を作成したことは、日本の政治・選挙制度にもかかわってくる問題であり、なぜ政治資金規正法が制定されたか、その理由を忘れてはならない、内閣総理大臣が法律に違反している疑いがあるとすれば、元内閣総理大臣が法律に違反している疑いがあるとすれば、司法の一翼である検察官は憶することなくもっと掘り下げて広く捜査すべきである、こういう認定をしたわけであります。

 検察審査会という機関が、これはもちろん法律に定められた機関でありますが、政治と金の問題について検察官の捜査のあり方についてこのような判断をした。そして、不起訴は不当である、村岡さんと同じように起訴をすべきだ、こういう判断をしたということについて、総理はどう思われますか。御感想をお伺いします。

○小泉内閣総理大臣 検察審査会の結果、それについてどうするかというのは検察が判断すべき問題だと思っております。

○仙谷委員 それでは、法務大臣、どうですか。

○南野国務大臣 お答え申し上げます。

 東京第二検察審査会におきましては、先日、東京地検がした橋本元総理、青木参議院議員及び野中元衆議院議員に対する不起訴処分について、不起訴不当の議決をしたものと承知いたしております。

 東京地検、検察庁におきましては、御指摘の議決を踏まえ、必要な捜査を行うものと承知いたしております。

○仙谷委員 この検察審査会の健全な判断というのは、私は二つ意味を持っていると思います。

 一つは、検察権の行使がへんぱに、不公平に、不平等に、あるいはもう少し言えば、ある特定の人をねらい撃ちするかのような行使をされてはならない、こういうことだと思います。(発言する者あり)村岡さんがやられたのはそういうことじゃないんですか、当たり前だとおっしゃる方は。

 もう一点は、虚偽の収支報告書を作成したことは、日本の政治・選挙制度にかかわってくる問題であり、なぜ政治資金規正法が制定されたか、こういうくだりがございます。私は、ここに日本の国民の常識的な感覚が披瀝されていると思います。

 今また、清和政策研究会という団体ですか、総理も以前ここの会長をされておった団体、これも平成十年から平成十五年まで、多いときで九千五百万、少ないときで四千四十万、毎年毎年九千万から四千万の金がどこへ消えたかわからない、使途不明金のようなものがここに存在する。一口五万円以下だからこれは大丈夫なんだ、こんなばかな話がどこで通りますか。世間が聞いたらどう思うか。ああそうですか、約一億円のお金が全部五万円の小割りにされて配られているのか、使われているのか、そんなばかな話があるかと。

 一方では、清和会の方々が、いや、私はもち代もらいました、氷代もらいました、言っている人がおるじゃないですか、私も聞いたことがありますよ。それが悪いと言っているんじゃなくて、なぜ隠すのか、なぜ裏金にするのか、ここが政治不信を呼んでいるんじゃないですか。

 迂回献金なんかない、こうおっしゃってきたのは総理です。だれが見ても迂回献金のような献金が、ようなではなくて、まさに迂回献金が日歯連からもたらされたということは明々白々じゃないですか。あったことをないように言い繕ってしのぐ、政治家や総理大臣がもうそんなことやっちゃだめですよ。訂正するんだったら訂正する、率直に、透明度を高めなければ、国民の政治不信なんか解けるはずないじゃないですか。

 どうですか、総理。その清和政策研究会の会長もなさっていた経験からいって、一億円の金が、あるいは四千万の金が、全部五万円以下だった、こんなことをあなたは本当にしているんですか。本当に堂々とそういうことを言えるんですか。どうですか。おっしゃってください。

○小泉内閣総理大臣 これまで何回も同じ質問で聞かれておりますので、同じ答弁しかないんですが、私は、政治資金規正法にのっとって、清和政策研究会でも適正に処理していると聞いておりますし、いわゆる党が迂回献金をしたということはありません。

 そして、政治資金規正法にのっとって、記載すべきは記載している、記載する必要のないものは記載しない。野党だって、十五億円の活動資金を一議員に渡しているでしょう。それ以上は、どういうふうに使われているかというのを記載する必要ないんですよ。だから、各党だって、それは一議員に対して三億、四億、十五億、その先どうかというのは、政党の活動は自由が保障されている。そして、記載すべきは記載すべき、記載する必要のないものは記載しないということでありますので、政治資金規正法にのっとって適正に処理しているわけでございます。

○仙谷委員 そういうとぼけた、目くそ鼻くそのような答弁を続けられるんだったらどうぞ続けてください。多分、小泉さんが、総理が、日本の政治あるいは政治家を見る国民の目というものをその程度にしか思っていない、考えていない、そのあらわれだ、そういうふうに理解して、次に進みます。

 委員長、この予算委員会、民主党は六人の証人喚問を、この予算委員会で審査、質疑すべきだということを要求してまいったわけでございます。そのことが果たされないまま、本日から予算委員会に入っているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、この一億円裏献金事件あるいは実質上の指名献金、迂回献金の事件、これは検察審査会が常識的にも指摘しているように、国会でも、このようなことを起こさないためにどういう手だてをしたらいいのか、ちゃんと政治のレベルでも議論をする、事実を解明する、そのことが重要だと思います。この証人喚問についてお取り計らいを願いたい。

○甘利委員長 現在理事会で協議中でございます。

○仙谷委員 小泉総理、予算をざっと拝見いたしました。「改革と展望」というのも拝見をいたしました。

 小泉構造改革というのは、私もそういうふうに評価をしておるわけでありますが、つまり、総理の声は大声だ、スローガンを叫び続けてきた。しかし、三位一体改革、後で私の方から説明しながら質問もいたしますが、甚だ中途半端。自民党流の言い方をすれば換骨奪胎の地方分権、財政改革、こういうふうに言えると思います。道路公団改革、何をやったのかわからない。とりわけ国民にとってはわからない、中途半端な改革だ。構造改革とは一体何なんだ。郵政民営化、何がどう変わるのかわからない。私にもわからない。自民党議員の方々にも、郵政民営化に至っては、青木幹雄さんの言をかりれば、圧倒的多数が反対している、こう言っています。

 小泉改革、小泉構造改革を、あと一年十カ月ですか、いわば来年の九月までの任期の中で仕上げたら、国民の生活というのはどんなによくなるんですか。何かバラ色の未来が見えてくるんですか。その先に見えてくる世界をどういうふうに描いているんですか。アジアとの関係でも結構ですよ。全世界との関係でも結構ですよ。あるいは、日本の今の疲弊した地域社会がどうよみがえるのか、おっしゃってください。

○小泉内閣総理大臣 私が総理に就任してから三年九カ月経過いたしましたけれども、就任した当初は、現在の停滞した経済をどのように活性化するか。財政状況を考えますと、景気回復策として国債を増発して公共事業をふやすという意見もありましたけれども、今の財政状況を見ればもうそういうものではないだろう。

 景気回復のためには、一番有効な手だては公共事業をふやすか減税だ、これが一番効果があるという議論は前々から承知しておりますが、しかしながら、バブル崩壊以降、公共事業を国債増発してふやしてきた。同時に、財政状況厳しい中、減税もやってきた。それでもなかなか景気にいい影響は見られない。財政が悪化するばかりだということから、もう今までの手法は通じないなということから、現在の経済状況を見ると、企業も萎縮している、国民も悲観論が多い、自信を失っている。

 野党の皆さんからも、日本はだめだだめだ、小泉はだめだだめだ、小泉、退陣しろという声を何回も聞きましたけれども、退陣しろと言う人が勝手に退陣してしまったわけでありますが、私は、一昨年の衆議院総選挙によりましても、過半数の議席を与えていただきました。昨年の参議院選挙においても、与党は過半数の、安定多数の議席をいただきました。国民から選挙によって過半数の議席をいただいたからには、いかに厳しい批判を受けようとも、総理大臣の任務を実行していかなきゃならないということで今までやってまいりました。そして、改革なくして成長なしか、あるいは、いやいや、景気を回復させて、成長してから改革すべきだという議論は盛んに行われましたけれども、結果的に、小泉内閣就任以来目指していた方向どおりにだんだん進んできたなと。

 先ほども申し上げましたが、今、仙谷議員がゆっくり話してくれと言いますから、ゆっくり話させていただいてよろしいでしょうか、それはまず、不良債権処理を進めろという声は、私の就任前から、大方、この不良債権処理を進めないと経済の活性化はないだろうというのが多数意見だったと思います。

 しかし、いざその不良債権処理を進めていきますと、賛成論の中にも、このまま進めていくと、これは現在の不良債権処理は進んでも、新たな不良債権がどんどんふえていくという批判を浴びました。一方からは、この不良債権処理を進めると、失業が五・五%、六%からさらにもっとふえる、事によると、失業率は二けたになるんじゃないか。同時に、不良債権処理を進めていくと、企業の倒産がふえるという御批判をいただきました。

 しかし、結果的に、八%台の不良債権比率を主要銀行において四%台に、四年後には、今年度には抑えていこう、減らしていこうという目標を立てましたけれども、早過ぎる、遅過ぎるという批判をいただきましたけれども、結果を見れば、政府の予想どおり、予定どおり着実に、額にしても十五兆円減少し、率にしても四%台の目標に達し、実現できるような見込みになってまいりました。

 失業率は、高いときに五・五%か六%だったと思います。それが今、四%台に減少してまいりました。就業者数もふえております。同時に、有効求人倍率、これも今や十年ぶりに〇・九台に乗ってまいりました。(発言する者あり)

 早く、簡単にやれと言いますから、今度は簡単にやります。ゆっくりやれと言うから、私、ゆっくり説明しているんですけれどもね。

 そういうぐあいに、私は、民間にできることは民間にと言って、道路公団が民営化できるのかと。方針を発表したときには、大方、できるわけないだろうと言ったのが、民営化できるようになりました。こういう民間にできることは民間にと言いながら、民主党は、これは税金で高速道路をつくれと言って、民営化には反対いたしました。(発言する者あり)無料化にしろということは、税金で負担するということであります。そういうことは自由民主党なり私は考えていない。民間にできることは民間にということで、既に実現できました。地方にできることは地方にということでも、地方に裁量権を持たせようということで、三位一体の改革を進めております。

 そしてことし、郵政民営化、これは民間にできることは民間にということで、今の郵政三事業、これは民間人が経営してもらった方が今の郵便局は活性化する。郵便局をなくせなんというのは、私は一言も言っておりません。(発言する者あり)いや、今、構造改革はどう進めてきたのかということで、丁寧に答えろと言うから、私は丁寧に答えているのです。

 もういいというんだったら答弁をやめますけれども、いずれにしても、当初の方針どおり行財政改革を進めていかないと、これから将来、さらに税負担はふえる、民間にできることは民間にやらせないと、ますます公務員はふえていくということで、私は、民間にできるところは民間に、地方にできることは地方にという方針のもとに、具体的に各論に入って進めているわけであります。

 当然、与野党から猛反対が出ていることは承知しております。しかし、この反対者もいずれ私の主張に理解を示してくれて賛成してくれるのではないか。反対勢力を協力勢力にしていくことも総理大臣としては大事なことではないかなと。穏やかに、できるだけ円満に実現できるようにこの改革を進めて、将来、日本国民が、やればできるというような自信を持ってもらって、努力が報われる。

 そして、余り政府は余計なことをしないでくれと。自分でやることはやりたい、企業も創意工夫を発揮したいということで、企業も業績を上げてきております。地方も、自分たちの特色を出したいということで特区構想などを出してきています。個人だって、今まで三百万円資本金がなきゃ会社ができないというのを、一円の資本金があれば起業、会社ができますよと言ったら、もう二万件以上の会社が誕生して、やる気を出してやってきている。こういう、やる気を出す、やればできるという体制を個人も企業も地方も出してもらって、余り政府が余分な国債を増発したり増税しないで、日本の経済が活性化できるような体制をつくっていかなきゃならない、そう思っております。

 そして、国民が、自分の努力が報われるような、そういう社会にして、国際社会の中でも日本が、ああ日本はいい国だ、日本のような国になりたいというような、安定した民主的な、平和を愛する国家として発展するように、これからも外交面においても努力をしていきたいと思っております。

○仙谷委員 お伺いしておりまして、小泉総理、あなたは本当に長生きできますよ。のうてんきこの上ない。いわば……(発言する者あり)やかましい。いわば、私に言わせれば……(発言する者あり)

○甘利委員長 静粛に。静粛にしてください。

○仙谷委員 ひとりよがりというか独善というか、もうこれは、何とかにつける薬はない、ここまでいくんじゃないでしょうか。

 といいますのは、一つ一つ反論できますよ。

 不良債権処理、幾ら公的資金を注入したか御存じですか。いいですか。四十六兆八千億です。そして、この五年間に超々低金利、ゼロ%へ行ったために、家計部門から、つまり多くの国民の預金金利が六十兆円ぐらい企業サイド、銀行サイドに移転されているじゃないですか。そうでしょう。

 さらに、かてて加えて、大蔵省が発行する国債を日銀に幾ら抱えさせておるんですか。約百兆円じゃないですか。あなたは不良債権処理は済んだと言うけれども、銀行の貸し越し残高は百兆円も減って、国債保有が百兆円ふえているだけじゃないですか。これが何で国民生活と関係あるんですか。国民経済とどう関係するんですか。そんなことをわからないで、何かすばらしいことができたように言うから、のうてんきだと僕は申し上げているわけですよ。

 事ほどさようにそういう、いわば塗炭の苦しみまではいかない、あるいはあなたの好きな浜口雄幸の時代のような、はい回るような苦しみまではまだいっていないかもわからぬけれども、しかし、地域経済、地方経済は完全に疲弊していますよ。これは、あなたが本当の構造改革というものを理解していないし、それを理解した上で遂行する、そういう政策をとろうとしない。(発言する者あり)今、丸投げだもんとおっしゃったけれども、まさにそうなんですよ。

 私はきょうの新聞でしか見ていませんけれども、昨日、経済財政諮問会議の二〇〇一年の議事録が公開された。宮沢大蔵大臣が、要するに、ばらばらに各省庁が遂行するんじゃこれは効果も上がらない。本間先生に至っては、現時点でも政府と与党自民党がばらばらだと。与党と内閣の一元化というのが全くない。議会制民主主義の本来の姿は全くない。ましてや、霞が関の縦割り、この構造でばらばらになっている。

 総理、今、先ほどから公明党の井上議員が少子化対応策についておっしゃっておりましたが、指摘をしておりましたが、今少子化対策をやっている官庁というのは何省あるか御存じですか。いや、総理、知らないんだったら知らないでいいです。

○小泉内閣総理大臣 幾つあるかというのは、政府挙げてやっているんですから、省、幾つ挙げるか、正式に答えを調べますか。そういうことまで総理大臣が答えなきゃいけませんか。幾つ、それは全省挙げてやっているんです。

○仙谷委員 だから、総理の、これが最優先課題だ、最重点課題だ、そこに資源を注入するんだ、集中的に投入するんだ、こういう政治スタイルになってこないんですよ。スローガンだけほえたらあと任せきり、丸投げ、こうなっているんですよ。

 我が党は、少なくともこの少子化問題、昨年の参議院選挙の前のマニフェストで、子供家庭省をつくる、少子化、子育て、この政策を一元的に一貫してとり行う政府、そういう部局をつくる。

 例えば、今の内閣府の男女共同参画局、厚生労働省の児童家庭局、厚生労働省の介護手当を渡しておる職業安定局ですか、あるいは経済産業省、ばらばらにみんなそれぞれが持ち帰って、薄められた金を振りまいている。こんなことでは絶対だめなんですよ。文部省、初等教育局、あるいはその下の幼稚園を担当する部局、みんな一つになって政策を立案し、一元的に執行する。現にヨーロッパは全部そうなっているんですよ、この種の政策は。

 私は、この少子化問題を見ておりましても、やはり政権交代がない限り、自民党、小泉さんですら、しがらみの少ないと言われている小泉総理ですら、この縦割り構造を一回解体して再編する、そういう政策の集中的な、一元的な執行というのはできないんだな、立案もできないんだな、つくづく思います。

 これはやはり、この六十年、あるいは成功体験を持つ、まあ成功体験、どうでしょうか、四十年、三十五年ぐらいの成功体験じゃないかと私は思いますが、あるいはもっと言えば一九五五年から一九八五年プラザ合意まで、ここが成功した。この成功体験から、霞が関も与党自民党も、そしてその上に乗っかる小泉総理も変えられない、そう思うわけであります。

 そこで、私どもは今度、きょう資料でお配りをしてございますように、民主党予算案というのをつくってみました。今の客観的状況の中で、我々が政権を持っておればどういう資源配分の仕方をするかということであります。そういうプランをつくってみたわけであります。

 基本的には、子供・子育て、地方の活性化、教育、財政健全化、これを最重点的に考えるということであります。特に、子供・子育てにつきましては、総額三兆六千億の子供手当を創設する。将来世代にこの負担を押しつけない観点から国債発行額を徹底的に絞り込んでおります。私どもは、政府案に含まれる多くのむだや不要不急の事業の、それに対する歳出を大胆に見直しております。

 したがいまして、全体像としましては、お配りした資料に書いてございますが、一般会計で政府案に比べて三兆九千億マイナスであります。一般歳出も三兆三千億マイナス、国債発行額も二兆五千億マイナス、プライマリーバランスも三兆九千億改善をさせるということでございます。

 さらに申し上げると、とりわけ、先ほど井上議員もおっしゃっておりましたけれども、それよりさらに、公明党の案よりも進んで、子供手当は月額一万六千円。これは、現在政府が行っております児童手当、約四千五百億ぐらいだと思いますが、それに追加するところ三兆円でできます。

 出産時助成金。先ほど健康保険の適用等々ということをおっしゃっておりましたが、これでは不利になる人も出てくるということで、今健康保険から三十万円出るわけでありますが、さらに付加をして二十万円。先ほどの井上さんの資料でも、一人当たり大体五十万ぐらい出産にかかるんじゃないか、五十万ぐらいかかるんじゃないかということに対しまして、二十万円助成金をプラスして給付するということを我々は必ずやるということであります。

 学童保育の拡充、九百六十億、児童虐待対策、百四十億、そして小学生までの医療費の窓口負担、一律一割、四百五十億の所要額であります。そういう、子育てに全面的に注入する、そして教育も三十人学級を推進する、こういうことであります。こういう予算案を組みました。

 さらに、ちゃんとよく見てください、地方を活性化するためにも、政府案は、今度の三位一体改革で結局一兆七千億の税源移譲と三千億の交付金化、実質そのぐらいのことしかやっておりませんが、私どもは、五兆五千億の税源移譲、そうして十二兆五千億の交付金化、一括交付金にするということでございます。

 お配りした資料の次のページにそのやり方を書いてございます。やる気があればできるんです。既存の縦割りの既得権益にとらわれなければできるんです。ずっと長々と公共事業をやらなければいかぬとか、まあそれほど効果がないばらまき型の縦割りの補助金型の事業をやめる、その気持ちになれば、その意思さえ、政治の意思さえあればできるんです。どうですか。総理、御感想を一言お願いいたします。

○谷垣国務大臣 今、仙谷委員から民主党予算案のポイントを御説明いただきまして、まず、こういう予算案をつくられまして、これは今までのマニフェストの実現化だと思いますが、予算委員会の議論を活性化しようということには私は敬意を表したいと思います。

 ただ、今御説明を受けたばかりですので、十分中身を精査した意見を申し上げるわけではありませんけれども、今のお話あるいはこの文書の中に、例えば特殊法人向け支出の半減であるとか、あるいは一括交付金化をして二割を一律削減するとか、いろいろなことが書いてあるわけですね。それから、一般歳出も三・三兆削減する、四十四兆のうち、三・三兆削減する。かなりの削減です。やはり、具体的には何をやるのかということをもう少し示していただかないと、そこが一番難しいんだと思うんですね、個別のものをどうやっていくか。そこはやはり、もう少し議論を深めていただけたら我々も参考になるな、こういうふうに思います。

 それから、一括交付金化ということをおっしゃいましたが、やはり、地方分権を進めていく場合に、一括交付金というのは一見いいように見えますが、一体だれがどうやって配るのかということがありませんと、一括交付金みたいのは、あるいはそれを配る権限を持っている人が物すごい権限を持つわけですね。そこらを具体的にどうなさるのか。

 それから、補助金を一括交付金にしますとき、これを見ますと、例えば三十人学級を進めるとか、いろいろ国一律でこういうことをやりたいとおっしゃっているわけですが、そういうものを国の基準としてやろうということと、地方に大半の補助金を譲っていくということと、どうそこのやりくりをするのか、こういう具体的なところが実際は問題になるんじゃないかと思います。

 それで、子育てとか教育とか地方の活性化、財政健全化、こういうところに重点を置くとおっしゃいました。私どもの予算も実は理念においてはほとんど共通でございますから、私からのお願いは、この予算を早く通していただいて、共通の理念を実現するのを一日も早くやって対応していただくことを心からお願い申し上げます。

○仙谷委員 谷垣大臣、私どもは、歳出改革十六兆円、ここまでも練りに練って提案をしているわけであります。(発言する者あり)どういうわけでというようなことを言う方は、ほとんど族議員の方々だと私は思うんです。

 つまり、既存の事業をボトムアップ型で積み上げる限り、歳出の改革などということはほとんどできない、痛いほど私もわかっております。つまり、この種の議論も、私に言わせれば極めてのうてんきな議論で、どこかで長期金利がぴゅっと上がった瞬間に、もうこの枠でしかあなたのところの省庁は、あるいは地方公共団体はやりくりしてもらわなければなりませんよという時代が来るというおそれを持って予算を組む、そういう時代だと私は思うんですね、今のこの財政状況は。

 つまり、だからこそ、議院内閣制、議会制民主主義の中での内閣が、トップダウンとして大枠を額で枠としてもう決めてしまうということがない限り、この時代、ずるずると、「改革と展望」を拝見しましたけれども、どんどん借金はふえざるを得ない。さあ、どこでこれを打ちどめするのかというのは、私には「改革と展望」でも全く見えません。プライマリーバランスも見えない。予算の組み方についての政治主導が、縦割りの省庁の、今まで補助事業とかなんとかかんとか言いながらやってきたものについて、これを、各省庁をそのまま置くとしても省庁に考えさせて、これはやめるということをやらない限りできない。

 分権を今主張する岩手県の増田知事が、公共事業を半減するようなマニフェストを出して選挙をしたようであります。当選した次の日に岩手県庁の役人が来て、あなたのマニフェストを実施するとすればこういうふうに予算を組み替えたらできますと言ってきたというんですね。

 つまり、やろうと思えば、ここは組み替えとかやりくりということを、知恵を出す有能な方々も霞が関の中にはいっぱいおるということは私はわかっているんですね。これを、族議員がうちわであおいで自分たちの票にしよう、できればキックバックまでもらおう、こういう政治の構造があるからできていなかっただけじゃないですか。私どもは、そういう政治からは完全に決別をするということであります。

 そこで、少子化問題についてお伺いするわけでありますが、少子化、なぜこんなに子供手当に注力するかといいますと、私も去年の年金国会、年金審議を見ておりまして、この少子化に対して、ああ、ここまで私自身が看過してきたか、それほど深刻に今まで考えてこなかった、この問題は大変なことだという自己反省、自己批判をしました。それにしては、もう十年も前から少子化対策ということは政府の文書等々では見えてまいります。エンゼルプラン、新エンゼルプランというのもあります。なぜこうなんだろう、なぜなんだ、ここが最大の問題だと私は思います。

 そして、先般、東京都のさる中学校を見に行ってまいりました。ここは地域に開いて、地域の方々の協力というか力をいただいて地域本部というのを立ち上げて、サポーター百人が、学校の授業から土曜日の寺子屋、ドテラというんですが、土曜日寺子屋から学校の緑化から全部一緒に生徒たちとやる、生徒たちは土曜日は任意でありますが。そういう体制をつくってやっている学校であります。「公立校の逆襲」こういう本を校長先生が書いていらっしゃいます、御存じかもわかりませんが。そこへ行ってまいりました。

 しかし、その中学校へ参りましても、戦慄を覚えました。一学年二クラスしかないんです。教室のサイズは一学年五クラスのサイズです、学校のサイズは。一クラス三十数人しかおりません。我々、三十人学級ということをここにも書いてございますけれども、それを主張しておりました。

 私は、例えば私の地元の徳島でもいろいろなところを見ております。徳島の山間部だけが過疎に悩まされていると思っておったのが間違いだったということがわかりました。東京ですらそうなっている。そして、この中学校が二クラス、一クラス三十数人になった瞬間に、つまり少子化の影響というのは、教育に与える影響というのが物すごく大きいということもわかりました。改めて根本的に考えて、これは、現場主導、現場主権のもとに教育の仕組みもつくり変えなければならないということをひしひしと感じたんですね。

 いいですか、厚生労働大臣、二〇〇四年、昨年の出生数、幾らだったですか。そして、出生率は、合計特殊出生率は幾らになるんですか。

○尾辻国務大臣 一・二九でございます。(仙谷委員「二〇〇四年ですよ、昨年のと言いました」と呼ぶ)二〇〇四年。

 申しわけありません。二〇〇四年はまだ出ておりません。

○仙谷委員 厚生労働大臣、人数もわかりませんか、出生数の。

○尾辻国務大臣 生まれた子供の数でございますか。今手元に資料がございませんので、すぐ調べてお答えをいたします。

○仙谷委員 正しいかどうか自信が一〇〇%あるわけじゃありませんが、一万六千六百十人、二〇〇三年に比べて減少しております。約百十万七千人であります。つまり、二〇〇三年が百十二万三千六百十人、合計特殊出生率一・二九。大変ショックだったですよね、年金審議しながら。

 これについて、当時の坂口厚労大臣が、これは瞬間風速だ、なぜならばミレニアム結婚というのがあって一時的にそこでふえた次の年だから減っているんだ、一時的に大幅に減少しておりまして、平成十五年の出生数の減少に影響したのではないか、このように考えておるところでありますと。つまり、平成十五年、ここだけは、二〇〇三年だけはどかんと落ちたけれども、次の年から回復するんだ、こういう答弁を堂々となさっているんですね。

 だけれども、私も前回の予算委員会でも御指摘申し上げたけれども、これはそのとおりなのかどうかわからぬけれども、東京が全国の先行指数であって、渋谷区が東京都の先行指数だというふうに統計的には見られるということをこの間も申し上げました。その東京は〇・九九八七であります。渋谷区は〇・七五であります。ということは、全国平均は東京に十年ぐらいで追いつこうとしているという今までの流れ、傾向を見ると、しっかりした対策をとらないとそこへ行ってしまう、一を割ってしまうという深刻な危機感ですね。一を割って、渋谷区のところ、〇・七五のところまで落ち込んでしまう、その可能性ですね。これを我々がしっかりと持って、この少子化対策をとらなければならない。

 今いろいろな、自分たちがたった毎月一万六千円の児童手当もおできにならないものだから、自民党の方々は、ほかのところを切らないからできないんですよ、ほかのところをカットできないからできないんですよ、できないものだから、そんなことできるかとか、やゆするようなことばかり言っています。だけれども、私は、本気でそのぐらいのことを考えて少子化対策に注力をしなければ、集中的に力を、資源を投入しなければこの国は危うい、そう思って、このような予算を我が党内で議論をして組んだわけであります。危機感の表現であります。

 これは、小国と同じように日本が動くかと言う方もいらっしゃるかもわかりませんが、現にエストニアは、一昨年ですか、日本円に換算すると一人当たり約二百万ぐらいのお金を一年間その家庭に渡す、子供さんを産まれた家庭には。それで、どのぐらいだったんですか、〇・三、四%出生率が上がったんじゃないんでしょうか。そういう例もあります。

 そこまではなかなか我が国は極端にできないかもわからぬけれども、しかしそのぐらいのことを、ひょっとすれば、一つの御家庭に、今我々の一万六千円でありますと約三十九万円、四十万円弱でありますけれども、これを百万ぐらい、援助、サポートの体制をつくるということを考えてもいいのではないか、そんなことを考えるわけです。

 現に、この少子化白書と言われている厚生労働省の文書には、昨年出された白書には、ちゃんとこう書かれているんですね。「少子化の流れを変えるためにも、大きな比重を占めている高齢者関係給付を見直し、これを支える若い世代や将来世代の負担増を抑えるとともに、少子化社会対策に関する施策を充実させる必要があると考えられる。」

 どうですか、この意見。私、全面的に賛成ではありませんが、総理、どうですか、この意見。少子化白書に書かれている「少子化の流れを変えるためにも、大きな比重を占めている高齢者関係給付を見直し、これを支える若い世代や将来世代の負担増を抑えるとともに、少子化社会対策に関する施策を充実させる必要がある」、どういうふうにお感じになりますか。

○尾辻国務大臣 まず私からお答えいたしますけれども、今お述べになった部分は、昨年私どもがつくりました子ども・子育て応援プランの中でも述べておりまして、私どもは、そういう今いろいろお話しになりました少子化に対する大変な危機感を持っておりまして、こうした対策をとらなきゃならないというふうに考えておるところでございます。

○仙谷委員 少子化対応策ですが、対前年比どのぐらいのパーセンテージで予算がふえているんですか、厚生労働省の予算としては。少子化対応策はどのぐらいでふやしていますか。倍とか十倍とかという感じでふやしていらっしゃるんですか。

○尾辻国務大臣 少子化対策の予算をどこで見るかでございますけれども、雇用均等・児童家庭局予算ということで見ますと、今度の十七年度予算では伸び率六%で御審議をお願いいたしておるところでございます。

○仙谷委員 この程度では、一兆一千億程度ですよね、子供関係予算が。私どもの書いた、我が党の案は、これは三兆六千億といいますか、三兆円上積みしますから四兆五千億になるわけでありますが、このぐらいの思い切ったことをやらないと、これからお子さんを産む世代をエンカレッジできないと私は思うんです。その支援をできない。我々おじさんたちもおばさんたちも見守っているよ、こういう雰囲気をつくらなければいけないと思います。

 ちょっと時間の関係がありますので、次に移ります。今度の三位一体改革であります。

 これを見てください。お配りした「補助金改革の結果一覧(地方六団体要請分)」というのを、一枚目をごらんいただければいいと思うのでありますが、これは、地方六団体が要請した補助金、件数が百四十八件だったんですね。私も、改めてこんなある種しんどい仕事をやってみました。なかなかこれが財務省からも出てこない、ほかの省庁からも出てこない、地方向け補助金等の改革の内容、一般会計、特別会計。

 補助金というのは、総理、幾らあるか御存じですか、件数。御存じなかったら答弁は要りません。御存じですか。

○小泉内閣総理大臣 たしか大体十九兆円程度ですかね。

○仙谷委員 件数はわかりませんか。つまり、件数ということは事業の数ということです。

 私も、財務省から出されたこれを計算してみました、自分で一つ一つ数えて。間違っているかもわかりません、このごろ老眼でありますから。一般会計が大体四百四十です。特別会計が百九か百十です。六百弱あります、補助事業の数が。その中で、地方公共団体、とりわけ六団体が削減、廃止をして税源を移譲してほしいというふうに要請したのが百四十八件でございました。よく覚えていますよね。

 本来は、地方六団体はもっと進んで、九兆円の補助金を削減すべし、そしてその中の八兆円を税源として移譲すべし、そういうことを建前的に言っておりましたよね。第一期分、十七年度、十八年度、平成十七年、十八年では、四兆円の補助金を削減して三兆円税源移譲してもらったら、まあ辛抱するんだ、こんな話だったと思います。

 この整理してきた表でいいますと、税源移譲したのはこれはたった六件しかないんですよ、総理。一部移譲したのが二十八件。スリム化と称して減らした、これは廃止と書いてあるとすれば間違いです、スリム化、削減というふうに変えてください。これが九十七件と書いてありますが、九十八件です。それから改革非対象、これが十一件です。本来の改革対象の予算額をその欄に記載してございます。

 要するに、どういうことかというと、百四十八件の要求に対してまともにこたえたのは六件だった、この六件も、自治事務が五件、法定受託事務が一件、こういうことです。それで、どうなったのか。完全に税源移譲したのはたった六件でありますから、当然のことながら、税源移譲額は六百十九億しかしていません。

 あとは、一部移譲というのはどういうことかといいますと、権限を残し補助金を残しているわけです。だから、いつでも中央官庁は口出しできる、コントロールできる。地方自治体が自由に使えるお金になっていない。自治体が自己決定できる本来の意味での分権化された財源になっていない。それが、結局のところ五千七十六億であります。

 どうも、それを全部足しましても税源移譲額は、その下に書いてございますように五千六百九十六億、裁量的経費はたった四百九十七億しかない。税源移譲を完璧にされた中の義務的な経費、ほとんど人件費のようでありますが、これが九一%。つまり、大騒ぎをした割には、地方の自己決定で自由にできる税財源になっている部分が極めて少ないというのが次の、お配りした資料でいいますと四枚目からでございます。「こんなはずじゃなかった 税源移譲」ということになるわけであります。

 改革全体が三兆八千六百九十億。それなのに、とどのつまり、一兆四千七百五十七億円は義務的な経費である、地方に裁量性があるのは二千九百六十三億しかない。次をめくっていただきますと、結局のところ、義務的経費の中から義務教育教職員の国庫負担額と国保だけを除きましても、三千九百二十七億円しかない。こんなことになっているんですね、今度の三位一体改革。

 我々はこれでは、地方の首長さんも、分権を、そもそも九兆円の補助金削減を要求したわけでありますから、次の第二期にはかない期待をかけるか、政権を交代するか、選択をせざるを得ないところへいくと思います。

 総理、「改革と展望」にも、どうも「改革と展望」の前提でも、十七年、十八年までしか税源の移譲のことが前提にされていないようですね。総理は、もうこの十七年度、十八年度の税源の移譲、三位一体の改革と称するもので、税源を地方にこれ以上、地方が言うように八兆円も移譲する、こんなお考えは全くないというふうにお伺いしていいですか。

○小泉内閣総理大臣 十六年度に約一兆円削減し、十七年度、十八年度で三兆円の補助金を削減しようということで、いわゆる地方六団体、知事会とか市長会とか町村長会、それを含めまして六団体が、非常に難しい意見の調整をされてまとめられました。

 それを真摯に受けとめてやってきまして、今後、十七、十八年度、実際この補助金削減なり税源移譲なりしてみて、地方がどういう形で裁量権を拡大していくか、またそれぞれの移譲された権限というものを活用していくかということについて、今回の案に、中には異論があるのは承知していますけれども、六団体の代表の方々はそれぞれ評価していただいております。でありますから、十七、十八年度の状況を見て、十九年度以降、さらに地方における裁量権を拡大する方向で検討していく必要があると私は思っております。

○仙谷委員 時間がなくなりましたが、鳩山さんのお許しを得て、一言申し上げたいのであります。

 地域の活性化なくして日本の再生というのは絶対にない、それも、この情報化社会というかポスト工業化社会においては、教育を軸として、核として地域をもう一遍興す、そこにしかないということで、先ほど私が見学した中学校のことを御紹介もしたわけであります。

 つまり、教育を、学びの社会をつくって、教育の力で、知の力で日本を再生するしかないと思います。そういうときに、現場主権というか、地域を信じて地域に任せる、ゆだねること以外に、中央の霞が関で仕切る、族議員がそれをうちわであおぐ、こんなやり方ではもう限界が来ていることは明らかであります。どうか、この税源の譲与、地方の財政の自立の改革、あと来年の九月までのようでありますけれども、もう一回予算を組む機会があれば最大限の配慮をしていただきたい、意を尽くしていただきたい、このことを私の方からも要請いたしまして、質問を終わります。