2004年6月15日

本会議

内閣不信任決議案の賛成討論

○議長(河野洋平君) 仙谷由人君。

    〔仙谷由人君登壇〕

○仙谷由人君 民主党の仙谷由人でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました小泉内閣不信任決議案に対し、賛成の立場で討論を行います。(拍手)

 小泉総理は、三年前に、さっそうと、自民党をぶっ壊すとの勇ましい雄たけびとともに国民の前にあらわれました。国民に、米百俵の精神という言葉で、日本の将来の希望のために、現在の痛みを我慢することを求めたかのようでした。

 しかし、小泉総理が今国会で、「人生いろいろ、会社もいろいろ、社員もいろいろ」、このような答弁をするのを聞いた国民は、ついに、この総理は、現在の日本の困難に、真っすぐに、ひたむきに、身命を賭して取り組む人ではなく、単なる大言壮語の君であり、改革幻想を振りまいたデマゴーグにすぎなかったことを感得したのであります。(拍手)

 日本の行き詰まり、すなわち日本を覆う構造的危機は極めて深刻です。にもかかわらず、小泉構造改革は何ら有効な処方せんとはなり得ない、実は改革をする意欲もなかったことが今や明らかになりました。この罪は大きい。国民に対する大罪を犯していると言っても過言ではありません。(拍手)

 小泉総理が国民に対して犯している大罪は、少なくとも四つあります。

 第一は、年金不信を極大化した罪であります。

 第二は、イラクへの自衛隊派遣と多国籍軍参加を言明し、国際法や憲法に反した罪であります。

 第三は、三位一体の改革と称して、地方自治体を窮地に追い込んだ罪であります。

 第四は、日本の財政を破綻から破局へと突入させつつある罪であります。(拍手)

 アジアの唯一の先進国、GDP世界第二位の日本が、東アジアの隣国でもあり、今後最も緊密な連携協力が必要な中国や韓国に総理が訪問できない事態をつくった、総理になる前には一度も公的に参拝したことのない靖国神社参拝に固執し、これらの国々に訪問できない事態をつくった罪など、数え上げれば切りはありませんが、まずは、年金不信極大化の罪について具体的に述べます。

 国民の多くは、増大する一方の未納、未加入、脱退の現状に大きな不安を抱き、この空洞化を解決して持続可能な年金制度につくり直して、あわせて、公平で透明な制度、すなわち一元化へ至る抜本改革を期待していたのであります。このたび小泉内閣が提出し、公明党が主導して、百年安心プランと大宣伝をした年金改革法案は、そのようなものに違いないと国民は善解をしていたのであります。

 しかし、国会審議のふたが開くや、この改革案は、単なる保険料の負担増、給付の削減という、これまで五年ごとに繰り返されたびほう策にしかすぎないことが判明したのであります。総理みずからも全く理解していないマクロ経済スライドとか賃金上昇率とか、こういうものに基づくと保険料の上限が固定、給付水準が五〇%に確保されるという改革案のセールスポイントは、全くの目くらまし、誇大宣伝であることが判明したのであります。(拍手)

 国会議員の公的年金の加入状況の調査、公表も行いませんでした。年金法案の提出者たる閣僚のうちの主要閣僚や担当正副大臣の未納についても、何ら責任を問うどころか、お構いなしにしております。

 直面する最大の課題である空洞化に対する対策も全くありません。そのあげくが、先日の二〇〇三年の合計特殊出生率一・二九であります。この厳しい現実、すなわち、このままでは四十年もたたないうちに就業者人口を六十五歳以上人口が上回る蓋然性が高いという、このショッキングな数字を隠して設計された制度を信用せよという方が無理難題と言わずして何と表現すべきか、言語に絶するのであります。(拍手)

 総理、あなたは国会で、イラクの地において、戦闘地域であるか非戦闘地域であるか、専門家でもない私にわかるわけがないと言い放ちました。まことに正直というか、無責任きわまりないと評価すべきか、国民はこのときにもあっけにとられたのであります。

 アメリカ占領軍の最高司令官ですら、イラク全土はすべて戦場だと言明しているのであります。専門家のことごとくは、今やイラクはレジスタンスとテロが混然一体となった第二のベトナム、第二のアフガンと言っているではありませんか。イラク特措法に照らしても、既に自衛隊は違法な海外駐留という事態となっているのであります。自衛隊は一たん撤退させるしかありません。(拍手)

 ところが、総理は、今回、国連決議一五四六が決議されるや否や、間髪を置かず直ちに、ブッシュ大統領に対し多国籍軍に参加することを言明し、派遣された自衛隊を流用、転用しようとしているのであります。多国籍軍に参加すれば、当然のこととして統一指揮下に入ることになります。そうでなければ、イラクでの自衛隊の存在及び活動は国際法上正当化する根拠を持ち得ないことは明らかです。

 小泉総理は、多国籍軍には参加するものの、その国連の枠組みとは離れて、国権の行使として、戦時下のイラクで駐留し、活動させるというのであります。まことに内向き、自民党、公明党内でしか通用しない、国際社会では笑い物になる論理でしかありません。(拍手)

 いかなる国際法上の根拠で、どのように憲法を拡大解釈すれば、国際法上軍隊とみなされる存在を国権の行使として他国で駐留させ、行動させることができるのでしょうか。これでは、法治国家は弊履のごとく打ち捨てられたも同然であります。

 ブッシュ大統領のイラクに対する戦争の大義である大量破壊兵器などなかったことは、テネットCIA長官の辞任で世界じゅうに明らかになりました。あなたのアメリカの先制攻撃、イラク戦争支持にいたしましても、イラクへの自衛隊の派遣にしても、今回の多国籍軍参加の表明にしても、国際的に孤立を深めるブッシュ大統領に唯々諾々と従っているにすぎません。

 小泉総理の、このポチのようにとやゆされかねないブッシュ大統領への随伴は、自衛隊のみならず国民をも、ベトナム化した中東の泥沼へ埋没させる危険にさらしております。一刻も早く退陣していただかねばならない極めて大きな理由の一つであります。(拍手)

 第三は、三位一体改革と称して地方を窮地に追い込んだ罪であります。

 昨年末、総理は、補助金一兆円削減を指示しました。その後は、ほったらかしです。族議員と霞が関に丸投げいたしました。税財源の移譲なき単なる補助金カットにすぎなかったのであります。端的に申し上げて、小泉総理には分権を進める意欲も能力もないのであります。(拍手)

 第四は、財政破綻の罪であります。

 就任当初こそ、財政構造改革を看板に掲げ、三十兆円枠を喧伝して財政規律を強調しました。この点についてだけは、専門家に少々の評価を受けていたわけであります。つまり、唯一の小泉総理の目玉商品であったわけでありますが、結果は、三年の予算編成において合計百十兆円の国債発行を行い、名実ともに世界一の借金王になってしまいました。

 財務省の資料によっても、昭和十九年の国債発行残高の対GDP比が一四〇%でございます。小泉総理は、今年度末の政府長期債務残高の対GDP比一四〇%超という戦時体制下の財政破綻をつくり上げてしまったのであります。

 百兆円もの借金をつくった責任を総理はどう考えているのでしょうか。減少していく人口の中で、かくも天文学的な借金が、将来の国民生活を圧迫するにとどまらず、近未来にハイパーインフレを発生させるリスクを極限にまで高め、世代を超えて国民を苦しめ、奈落の底へ国民を落とし込む、その罪は極めて重いのであります。(拍手)

 小泉総理、私は、本気で、小泉総理が一日でも早く、一時間でも早く総理の座から退かれることが、日本が沈没し破局に至ることを防ぐ唯一の道であると考えております。(拍手)

 自民党の議員の皆さん、私がお会いする自民党支持者と思われる方々、例えば知事さんや市長さん、町長さん、県会議員の方々、市会議員、町会議員、業界団体の役員の方々は、異口同音に、民主党の力で小泉総理を早くやめさせてくださいとおっしゃいます。私は、そのときに、次のように申し上げております。

 あなた方が小泉さんの政策に反対ならば、自民党の公認候補の後援会長になったり集票活動することをやめれば、小泉さんは簡単にやめさせることができます。小泉さんの政策に反対と言いながら、義理なのか、癖なのか、中央諸官庁や自民党の偉い先生から嫌がらせを受けることを避ける知恵なのか、国政選挙になると自民党の旗を振って自民党に尽くす。最近は、心ならずもか、本気なのか、比例区は公明党に入れてくださいなどということまでをもなさっている。(拍手)議院内閣制のトップリーダー、総理大臣の地位と権力は自民党の議席の上に成り立っているのであって、自民党に肩入れをし、公明党に比例票を回したりする限り、小泉政権は続き、あなた方が苦しむ小泉改革政策を支持したことになるんですよと。

 しかし、国民は今、今国会の年金改革、イラクへの自衛隊派遣で、小泉改革と称するものの本質を、そして小泉ワンワード政治の実態を見抜きました。これらの審議を通じて、あなたの、国民と政治に対する真剣味と誠実さの内実を見抜いたのであります。(拍手)

 小泉総理は、「民、信なくば立たず」を座右の銘としているそうでありますが、孔子に対して余りにも失礼です。えせ改革で国民の生活を危殆におとしめるのみならず、国民の政治への信頼を決定的に打ち砕いた小泉総理が一刻も早く、潔く退陣するほか、日本の再生の方途は見えません。(拍手)

○議長(河野洋平君) 仙谷由人君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。

○仙谷由人君(続) 日本の現状に強い危機意識を持ち、国民と日本の将来を真っすぐ、ひたむきに考えている本議場の議員の皆さん、ぜひとも本決議案を可決していただきたい。

 何とぞ、重ねて皆さん方の英断をお願いして、私の賛成討論を終わります。(拍手)