2003年4月15日 衆議院総務委員会

徳島県知事不信任 副知事人事問題

 一方で県選出国会議員を通じて総務省に圧力をかけ人事案を出せなくしておいて、もう一方で知事が副知事人事を出さなかったことを不信任の提案理由に‥

○遠藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仙谷由人君。

○仙谷委員 国家公務員退職手当法などを一部改正する法律案の審議に当たりまして、私から質問をさせていただきます。

 いわゆる中央のキャリア官僚が地方自治体へ出向と言うんでしょうか、派遣をされるというケースがよくございます。それは、ある種の休職といいましょうか退職といいましょうか、退職をなさって行かれる場合もあるようなんでありますが、関連をすると思いますので、最近の問題事例についてお聞きをしておきたいと思います。

 まず、地方自治体の特別職といいましょうか、県でいえば副知事とか出納長とか、そういう職に派遣をするというのは、これは総務省としては何か基準をお持ちなんでしょうか。あるいは、どういうふうなやり方でやっていらっしゃるんでしょうか。

○片山国務大臣 今、仙谷委員からお尋ねの件でございますが、国と地方の人事交流につきましては、方針というほどのものじゃないんですけれども、毎年度、全省庁を通ずる人事管理運営方針というものを決めているんです。これは、私どもの方が事務局としてつくらせていただきますけれども、全省庁を通ずる方針でございまして、この人事管理運営方針の中で、国と地方団体の人事交流は、相互理解の促進や人材の育成や組織の活性化等の面で大変意義があるので、できるだけやろうと。ただ、基本的には、国と地方は対等、協力でございまして、地方の方からの要請がある場合に派遣する、こういうのが一般でございます。

○仙谷委員 そうすると、要請があれば原則としてはそれに応じる、こういうふうに伺ってよろしいんでしょうか。なにか障害にになるようなケースというのは、その方針の中で記載されておるというか、決められておるということはございますか。

○片山国務大臣 人事管理運営方針はかなり一般的、抽象的なことを書いておりますから、原則は、要請される方と要請を受けた方が十分協議して、合意の上で出す、こういうことでございます。

○仙谷委員 そこでお伺いをするわけですが、最近、私の地元の徳島県をめぐって、この問題についてトラブルといいましょうか、やや新聞記事に取り上げられるようなことがございました。

 徳島県の方から、あるいは県知事の方からかどうかわかりませんが、副知事の要請というのが、昨年の年末頃からそういう要請があったことがありましたでしょうか。

○片山国務大臣 私に対してはございませんで、官房長等に対しまして知事の方から要請があったと聞いております。

○仙谷委員 総務省としてはどういうふうに対応したんでしょうか。

○片山国務大臣 知事さんの意向を十分聞きまして、しかるべき人をそれでは御推薦申し上げようということで、私は、かなり誠実な対応をした、こういうふうに思っております。

○仙谷委員 そこで、誠実な対応の結果、具体的な提示までされたんでしょうか。

○片山国務大臣 総務省としては適当と思う候補者を決めたわけでございますが、仙谷議員ご承知のような事情がございまして、名前までは知事さんに申し上げたかどうかは聞いておりませんが、候補者は決めまして、いわば待命的な状況に置いたことは事実であります。(仙谷委員「何的状況」と呼ぶ)待命、待機。

○仙谷委員 いつごろの話しでございますか、時期は。待命的状況に置いたのはいつごろでございますか。

○片山国務大臣 ちょっと時期は定かではありませんが、二月の終わりから三月だったんじゃないでしょうか。

○仙谷委員 詳しくわかりましたか、今。

○片山国務大臣 そういう状況で、本人にも内々の注意をしなきゃいけませんから、そういうことをしたのは二月のぎりぎりの終わりでございます。

○仙谷委員 二月の終わりには候補者を選定して、徳島県もしくは徳島県知事の方に提示をした、こういうふうにお伺いしてよろしいですね。

○片山国務大臣 今、官房長に確認いたしましたら、名前も提示いたしております。

○仙谷委員 名前を提示したほかに、もうちょっと突っ込んだやりとりもあったんじゃないんでしょうか。

○片山国務大臣 私が確認したわけじゃありませんが、官房長の言によりますと、お互い顔合わせもいたしたようであります。

○仙谷委員 この人でいいかということで顔合わせをされて話しをした、こういうことなんじゃないかと思うんですが、いわば、首実検というと語弊がございますけれども、要するに、お見合いというかそういうところまでいっておった、こういうことだと思いますけれども、それでよろしいですか。そして、徳島県の方からはその方についてどういう返事だったんでしょうか。

○片山国務大臣 知事さんの方からは特に異論がなかったと聞いております。

○仙谷委員 そうすると、知事の方も、総務省の方にお願いをして、総務省から出てきた人を拝見して、お会いになって、それでお話をして、ではこの人で、ありがたくちょうだいするといいましょうか、ありがたいといいましょうか、結構である、明示か黙示かは別にして、こういう意思表示があったということだったわけですね。うなずいていらっしゃるからその通りだと思います。

 そうしますと、その後この問題はどのように推移していくんでしょうか。つまり、知事が提案して議会の同意を受けなければ正式発令というわけにはいかないわけですよね。どういうふうになりましたでしょうか。どういうふうに報告を受けていますか。

○片山国務大臣 今委員言われましたように、特別職でございますので、県議会の承認が要るわけですね。恐らく県の方の手続きとしては、県の議運かなにかに提示して、各党の御了承を得るような手続きに入るわけだと、こういうふうに思っております。

 一般職でございますと知事だけの権限で任命できるわけでありますが、特別職でございますので、そういう手続きではないかと考えておりますが、その辺から、御承知のような県内事情でなかなかスムーズにいかなかった、こういうことであります。

○仙谷委員 私は若干は承知しておりますけれども、わたしと大臣だけが承知しておってもしょうがない話しでございますので、御承知のような県内事情というのはどういうことですか、おっしゃってください。

○片山国務大臣 県議会の中に知事さんに対する不信任の動きがあり、しかも同時に、特別職、副知事等の同意案件について必ずしも承認しがたいのではなかろうか、こういうふうな情勢になったと私は聞いております。

○仙谷委員 情勢になったというふうに報告を受けておるわけですが、どういう情報網からそういう、副知事を提案しても承認しない、それから知事を不信任するというふうな情報が大臣のところあるいは総務省の方に上がってきておりますか。

○片山国務大臣 私は官房長等から情報を聞くのが中心でございますが、知事さんから私にも一遍くらい電話があったと思いますけれども、とにかく知事さん、固有名詞を出して提示されて、それが否決になったりたなざらしになると、御承知のようにやめていくのですから、大変個人に対しての大きな迷惑になるので、その辺ははっきりしていただかないとなかなか出しにくいのですということを私は知事さんに、表現はともかく、そういう趣旨のことを申し上げたようですが、知事さんは、なかなか難しいが努力はしますというようなことを言われたような気がいたします。

 その他、マスメディアの皆さんからもいろいろな話を私聞かせていただきましたが、私自身が的確に情報を情報を承知しているわけではございませんが、そういう意味では、いずれも伝聞でございます。

 知事さんとは話をいたしました。

○仙谷委員 地元選出の国会議員の方から、県議会議員がこういうふうに言っておると。そういう話、働きかけ、あるいは提案しても承認をしない、否決をするから提案をさせないように、つまり、総務省の方から人名を出さないあるいは総務省の方からもう送らない、こういうふうにしてほしいと働きかけはありましたですか、なかったですか。

○片山国務大臣 国会議員の皆さん、皆さんでもないのですが、一、二の方から県内情勢のお話は聞いたことがございます。

○仙谷委員 県内情勢というのは今の県議会情勢ということですね。‥はい、うなずいていらっしゃるから。

 それで、結局のところ、この問題は、こうなったんですよ、ご存じと思いますが。大田さんという知事さんが県議会で、二月定例議会の最終日に不信任決議を提出されまして、それが可決されたんですよ。今度は不信任の理由が、副知事、出納長の選任議案を提出すらせず、行政組織は十分に機能していない、それから、会長、幹事長会を招集しながら副知事名を出さなかった。

 つまり、一方では国会議員を通じて総務省に、出しても否決するんだから出すなという働きかけを精力的にやりながら、今度は出せなかったら、知事が総務省との話し合いの中で無理押しして、先ほどの見合いまでした人の名前を出せば出したでよかったんですけれども、出したら総務省に迷惑がかかるということで出さなかった。そうすると今度は、出さなかったことを不信任の提案理由にして、数で、数の力で押しまくって知事の首を切ってしまったというのがこの徳島県の不信任なんですよ。

 だから、これを主導した県会議員は物の見事に、四、五人主導しておったようですが、そのうち何人か、少なくとも私が知っている限り、三人の県会議員は今度の県会議員の選挙で落ちましたよ。それも一人は共産党に負けた。余りにもやり方がこそくで汚いということを有権者が見破ったんだと思うんですよ。

 

 もうちょっと私調べてみたんですよ。何を調べたか。つまり、二月定例議会で大田知事が出した予算案、つまり政策、ことしの政策についてどういう議論がされて、どういうふうに可決、否決されたか、条例案がどのように議論をされて可決、否決されたか。一部、前知事の時代に行った特別昇給について減額修正がなされましたけれども、それ以外はほとんど議論なしに全面的に可決、賛成して、予算、補正予算、条例案、八十に近い議案を全部可決しているんですよ、この議会は、徳島県議会というのは。

 政策的にはこの程度でオーケーだということを言いながら知事の首を切る。その理由が、副知事の提案をできなかった。副知事の提案をしたいということで知事が努力をしても、今度はそれをさせないプレッシャーをかけ続けた。

 私は、いかなる議会制民主主義であろうとも、この種の政策を忘れた政略で地方議会が、あるいはこれは知事選挙をやるということになりますから、地方の政治が混乱をするといことになったらとんでもないことだというふうに考えているんですね、今度のを見ておりまして。

 県民の反応はどうかといいますと、これで約六億円の知事選挙の費用がかかるんですよ。徳島は一年半のうちに三回知事選挙をやるということになるんですよ。そんなことは細かい話だとおっしゃるかもわからぬけれども、県の財政が逼迫しているときにそういうことが行われようとしている。

 私は、総務省の方も大変なのはわかりますけれども、こういう場合に、県議会の意を受けた国会議員からプレッシャーを受けても、そういう政略的な問題とは別に、要件に合っておれば、確かに本気で否決をされればその当人にとってはお気の毒なことになる可能性はあります、ありますけれども、今の知事が自民党じゃないからとか、自民党に対する反対党の出身だからとか、自民党与党の県議会と対立しているからとか、そういうことを余りおもんばかって出したり引っ込めたりするとより大きな混乱を生むし、中立であるべき総務省が一方に加担をしているということになるんじゃないか、そう思えてしょうがないんですよ。

 今度のは明らかに、総務省の方もできれば、おっしゃったように、否決になるような事態は避けていただきたい、名前を出すのを避けていただきたい。会長、幹事長会を開いたときに名前を出せなかった。これは、総務省の御要望もあったから、知事さんがそれをおもんばかって出さなかったわけですよね。私が知事だったらどんどん名前ぐらいは出していますけれども、気が優しいから出さなかった。

 この間の財政諮問会議でうそっぱち発言のもとをつくる大演説をまず大臣がやって、その後、税財源の移譲なのか、交付税まで食い込むかみたいなぎろんをされておるというのを諮問会議の議事要旨で読みましたよ。

 私は、改革課題をめぐっては、本気で知事が改革をやろうと思ったら、今のかなりの地方議会、多くの地方議会、ほとんどの地方議会が対立した状況に入らざるを得ないと思うんですね。大統領型選挙で選ばれるものですから、議院内閣制じゃないですから、もろにぶつかる。そういうときに人事を要請された総務省が、県議会の動向云々を国会議員を媒介にして気になさると、こういう混乱に拍車をかける、あるいは、客観的にはどちらかの一方に政治的には結果として加担してしまう、加功してしまうということになると思います。いかがですか、ここは大臣、見識を示してください。

○片山国務大臣 私は官房長の報告やあるいは国会議員さんの一、二のお話を聞いて決めたわけじゃないんです、名前を出さないでくれと言ったのは、知事さんとの話で、知事が確約できないという、こういう状況では、今までのケースもいろいろありますから、特別職ですから名前を提示していただくのはいかがかな、私はこういう感じを申し上げたわけであります。

 仙谷委員に申し上げますけれども、やはり大統領制というのは、知事さんと県議会が車の両輪なんですね。チェック・アンド・バランスなんですよ。そこのところに大変な不信がお互いにあるということが、これが今回の一番大きな問題ではなかろうか。これは、どっちが悪いとかなんとか、私は事情を知りませんから言えませんけれども、やはりその間の信頼関係がある、特に特別職は、特別職ではありますけれども、一般職のような仕事をするわけでありますから、そこは知事さんの方と県議会のコミュニケーションが非常にうまくいって一致していたらだけたらよかったなと。

 我々は、こういうことに関しては常に中立であります。今度とも中立を貫きたい、こういうふうに思っております。

○仙谷委員 すれ違いましたけれども、時間が参りましたので、終わります。