アメリカのイラク攻撃は国際法無視、国際法秩序破壊の暴挙

日本は追随すべきでない

仙谷由人の衆議院憲法調査会での発言 3月20日

○仙谷委員 仙谷でございます。

 貴重な御意見を拝聴しているわけでございますが、数時間後あるいは数十分後には、アメリカのイラクに対する武力攻撃が始まることのようでございます、そのように認識をしております。

 きょうの御議論を聞いておりましても、やはり私どもは、戦後五十八年、少なくとも、建前としては積み上げてきた国際的な諸法規あるいは慣習法というものを改めて今問い直す時期に来ているんだろうと思います。

 私は、人類の理性と知恵でここまで、暴力の行使、武力の行使ということについては、国際慣習法あるいは戦争違法化の流れ、あるいは国連憲章として現時点では結実しているこれらの諸原則を踏まえることなくして、暴力の行使あるいは武力の行使というのは許されてはならないということを考える立場でございますけれども、そういう観点から、今度のアメリカの武力攻撃を考えていただきたいと思っております。

 とりわけ与党の先生方にお考えいただきたいし、お答えいただきたいのは、今回のアメリカのこの武力攻撃、あるいは米、英、スペインというふうに考えてもよろしいかと思いますが、この武力攻撃は、国連憲章二条に言う国連の行動なのかどうなのか。国連の行動ではなくして、単なる地域的な取り決めや地域的なグループによる行動だとすると、これは国連憲章五十三条には明らかに違反すると考えられるわけでありますが、これをどう考えるのかということをお示しいただきたいというふうに考えているわけでございます。

 先ほどから、にもかかわらずフセインはひどい、イラクは非常に危険な国だ、だから、国連には限界があるから、現時点で武力攻撃を行って、フセイン政権を倒す、そういう先制的な行動が必要なんだという議論もなされているように聞こえます。

 しかし、よくお考えいただきたいのは、このような論理が許されるとすれば、国内的にも、今、いろいろな残虐な犯罪が起こっております。テレビに出てくる被害者の方々あるいはその御遺族の方々のお話を聞いておりますと、裁判所は生ぬるい、警察がでたらめだ、こういうお話がいっぱい聞こえてくるわけでございます。そういう状況の中で、それでは、日本の国内においても、一人一人がひそかにみずから武装をして、ひそかに自力救済を行うというふうなことが許されるのかどうなのかということが、近代法、現代法の、我々がせっかく長年かかって築き上げてきた原則との関係でどうなるのかということでございます。

 つまり、それは、正義の認定権や、あるいは武力行使の要件があるかどうかの判断権を一人一人の国民に、あるいは、国際社会では一つ一つの主権国家の独自の判断にゆだねていいということにすれば、限りない正義の名による報復の連鎖になるということを人類が学んだからだったんではないでしょうか。そのことが国連憲章の中で、集団的、個別的自衛権の行使は許されるけれども、国連が集団的な措置を決めるまでの間だというふうに限定がされている、そういうことにつながっているのではないかと思います。

 ちなみに、日米安全保障条約もその前文におきましてはっきりと、日米安全保障条約つまり日米同盟も、国連憲章の目的、原則を再確認し、国連憲章上の個別的、集団的自衛権を有していることを確認するというふうに、わざわざそういうふうなうたい方をしてあるわけでございます。これは私が申し上げました国連憲章の、自衛権の行使ですら集団的措置が決定されるまでの間、その間でしか、集団的自衛権ですら行使され得ない。ましてをや、自衛権の行使に至らない、そういう急迫な侵害を受けていない場合においての武力行為というのは、到底、現下の国際法のもとでは許されてはならないと私も考えているところでございます。

 以上です。