2002年5月23日 憲法調査会 政治の基本機構のあり方に関する調査小委員会

○仙谷小委員 最近の事象を見ておりまして、政治の基本機構との関係で感ずるところを少しばかりお話をさせていただきたいと思います。

 経験上、十数年前に、私ども国会議員一年生が例の湾岸戦争のときにバグダッドに行こうと計画をいたしました。パリで、まだ現在外務省の要職にある外交官につかまえられましてというか、呼び出しを受けまして、外交は外務省の我々がやる、国会議員の一年坊主あたりが行くことは国益に反する、だから行くのはやめろ、こういうふうに横柄に物を言った外務官僚がおりました。現在もまだ大きな顔をして外務省で働いております。

 事ほどさように、私はこのときに、日本の官僚システムを構成する官僚、この人たちの意識というのは、外務省は特に、在外公館に菊の御紋章をつけていますから、ほとんど変わっていないんじゃないか。つまり、天皇制官僚として国家高権をまさに実現するエリートとして振る舞っている。そのみずからのポジションの根拠が、国民の意思、あるいは選挙、そういうものに全く関係ないということに気づかないままに、みずからの強大な権限を行使しているということになっておるんではないかというふうにそのときに感じました。

 そして、今や日本が多くのところで大変な制度疲労を起こして窒息状況になっているというのも、そのことと大いに関係があるんではないか。つまり、官僚のある種の天皇制官僚の意識を引きずったままの独特の機構というのが護送船団や規制と保護と無差別に結びついて、みずからの権益を保持するためだけにベクトルが働く。そこに改革を妨げ、国民生活を顧みないことになっても、そのことについては思いをいたさないということになっておるんではないか、そんな気がしてなりません。

 最近感ずるところ、例えば、私はちょっとした病気をしたものですから、医療のシステムについて考えるときに、今の医師ほか医療従事者の研修といいましょうか、あるいは育成といいましょうか、そういうことを少々考えなければいかぬなというふうに思いました。

 昨日、一昨日もそのことで、例えば厚生省に、現在のいわゆる医師国家試験を受かった人の研修のシステムがどうなっているんだ、こういうふうに聞きますと、いや、大学病院については文部省です、こういう話であります。さらに、じゃ、公立病院についてはどうなんだ、ああ、それは自治省ですと。そのほかに、例えば旧労働省管轄の労災病院もあるよね、ここはどうしているんだ、いや、それはわかりません。

 事ほどさように、医師という国民の非常に関心の高い医療にかかわる人々の養成すらも一元的に行われない。それぞれの各省庁の官僚が、その養成システムなり、あるいはそこで行われている医療の実態も顧みることなくある種の既得権化するという、この構造を何とか変えなければならないと思います。

 一つの道は、私は、官僚システムの中にもポリティカルアポインティーを導入するということが必要だと思いますし、これから私どもが憲法、統治機構について考えるときに、あらゆる意味で政治がそこに関与できる、あるいは国民が関与できる。きょう、参考人の松井先生のお話ですばらしいなと思いましたのは、やはり、国民の選挙によって選出された全国民の代表によって構成される国会が決めるという部分が大事なんだというお話であったんではないか、そんなふうに感じたところでございます。

 以上でございます。