2001年12月17日 予算委員会

○野呂田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仙谷由人君。

○仙谷委員 民主党の仙谷でございます。

 きょうは、ある意味でマーケットそして金融機関に対する評価が極めて厳しい段階で、これからの経済運営あるいは金融行政について誤りなき運営を進めていっていただかなければなりませんので、そしてまた、現在では、そのことが、国民に対する説明がきちっとなされている、説明責任が果たされているという状況がつくられませんと、この局面は乗り切れない、容易ならざることだというふうに考えておりますので、そういう観点から経済閣僚の方々にお伺いをいたしたいと存じます。

 まず、青木建設の倒産でございますが、小泉総理大臣が青木建設の倒産について、構造改革が順調に進んでいるあらわれではないか、こういうふうに割と平然と語られたわけでございますが、財務大臣、これは財務大臣もほぼ同じ感慨といいましょうか感想をお持ちなんでしょうか。そしてまた、この場合の構造改革が順調に進んでいるというのは、何を指しておるのでしょうか。

 といいますのは、私、小泉内閣の構造改革というのは、声はすれども姿は見えぬ、ほんにおまえはというような感じがしておりまして、とりわけ、現実には制度的に何か改革的なことが行われたというふうには承知をしていないわけでございます。三十兆円枠の問題も、まあこれは財政構造改革という観点から評価ができないわけでもないわけでありますが、しかし、現在執行されている予算は森内閣のときにつくられた予算でございまして、別に小泉さんの三十兆円枠がどうのこうのという話でもない。

 そうすると、青木建設の倒産というのは、どのような構造改革的施策のあらわれとしてこの倒産劇が起こっているのか。その点について、財務大臣の御感想といいますか、お考えをお伺いしたいと思うのです。

○塩川国務大臣 バブルが崩壊しましてから長い間にわたりまして、それぞれの関係しておりました企業は必死の努力をしてまいりまして、また関係金融機関もこれの救済、立ち直りについて努力をしてまいりましたけれども、青木建設の場合は、不幸にして受注の面がうまくいかなかった、そういう点から、資金繰りのやりくりから民事再生法の適用を受けるということになったと聞いております。

 これを構造改革の進展であると見るかどうかは、これはそれぞれの人の見方によっておると思うのでございますが、総理も、あえてそれをいわゆる構造改革の問題とは見ないで、不良債権の整理が進んでおる過程であらわれてきた現象である、そう見ておると私は思っておりますし、私自身も、青木建設は頑張ってきたけれども、やはりそこに、これからの将来の見通しが非常に楽観的なものじゃない、悲観的なものであった、こういうところから早期に整理をしたい、こういうことで踏み切ったことだと思っております。

○仙谷委員 同じ質問を構造改革を進めていらっしゃる竹中大臣にお伺いしたいのでございますが、青木建設は、一九九九年の四月段階で約二千億円強の債権放棄を受けておりますね。もうその時点からいわば実質的な会社整理の段階に入っておるということは、これは常識論として当たり前の話だったわけですね。それが今の段階に来て倒産というところに来てしまったわけでありますけれども、何か青木建設の倒産というのは構造改革の施策と関係があるというふうにお考えですか。

○竹中国務大臣 構造改革という言葉自体が、時によって、人によって、ちょっと幅のある使われ方をしているのではないかと思います。

 よく申し上げるように、受け身の、守りの構造改革と攻めの構造改革がある。その守りの構造改革の中心が、不良債権の処理を急ぐことであり、さらには財政赤字の拡大に歯どめをかけることである。その意味でいいますならば、不良債権の処理をやはり加速させる、そのために金融庁はさまざまな努力を、新しい努力を重ねられて、例えば特別検査を実施するというようなことまで発表されているわけですが、そうした中で、不良債権を、銀行としても従来にも増して資産査定を厳しくやっていかなければいけない、そういう中で今回の淘汰というのが出てきたのであるというふうに理解をしております。

 私自身は、個別の企業を見る立場にはございませんので、十分な知識は持ち合わせておりませんが、そういった一連の流れの中で位置づけるということは可能なのではないかと思います。

○仙谷委員 それでは、そういうふうに問題が振られてきますと、これは柳澤金融担当大臣にお伺いしなければいけないわけですが、特別検査というのは、先般十月に私が改革先行プログラムとの関係でお伺いしたときには、まだ来年に入ってから行うんだとか行わないんだとかという話をやっていましたよね。この青木建設の倒産というのは、何か特別検査と関係があるのですか。

 つまり、特別検査は既に始めておるのか、そしてまた、本件の場合、つまり青木建設の場合については、青木建設のいわばメーンバンクであるあさひ銀行と日本興業銀行、みずほフィナンシャルグループの興業銀行に対する特別検査が入って、そしてその検査の結果として、青木建設に対する融資が絞られたとか、できないとか、あるいはこの両行が見放したとか、そういう結果でございますか。いかがですか。

○柳澤国務大臣 あのような破綻をしたとはいえ、今後まだいろいろな問題が残っておる個別の企業の問題でございます。したがって、我々の特別検査との関係で当該企業がどういうことであったかというようなことについては、これはコメントを差し控えるべきものであろう、このように考えます。

 ただ、先ほど来取り上げられている不良債権の処理、しかもそれが直接的な処理を行われることということは、私はかねてから申しておりますように、構造改革の一環だというふうに理解をいたしております。

○仙谷委員 個別の問題にお答えになりにくいということでございますが、柳澤大臣、これは土曜日でしょうか、十五日、野中広務元幹事長が神奈川県で講演をして、深刻な状況は何といっても金融問題だ、来週あたりから非常に大きな動きにならなければいいがと思う、今そういうところに危機管理がいっていない、日本発の経済恐慌を世界に起こしたら大変だと語った、こういう談話が新聞で報道をされております。

 柳澤大臣も、金曜日、土曜日、講演をされたり記者会見をして、この金融の危機、世上言われている事柄について柳澤大臣がある種の主張をなさっているわけでございますけれども、こういう野中元幹事長の見解というものは、柳澤大臣から見れば全く当たっていない、こういうことになりましょうか。いかがですか。

○柳澤国務大臣 私が申しておることは、金融機関の、基本的なというか、まさかに備える体力、これは資本でございますけれども、この自己資本比率の推移、実態というものを見ていただく限り、今二けた台を維持しておる、こういうような状況が危機であるというような認識を持つとすれば、その見方は当たっていないということを申し上げたわけであります。

 しかし、今仙谷委員のお言葉の中にもあったかと思うんですが、今、マーケットの金融機関に対する見方というものには非常に厳しいものがある、これは私も十分に認識しておるわけでありまして、そういう意味合いで、私も最大の関心、注意力を持ってその推移を見ておるということでございます。

○仙谷委員 それでは、大臣、お配りした資料、そちらに届いていますでしょうか。二枚目をごらんください。「TOPIX銀行株価指数の推移」というふうに書かれてございます。山のてっぺんは、一九八九年十二月、一四七七・二〇〇ポイントということでございます。これはバブルの頂点でございますから高いのは当然でございますが、その銀行株の株価指数が、一四七七から何とことしの十一月には二二一・二五〇と、七分の一のところまで落ちている。さらに、ことしの十二月十四日、つまり先週金曜日でありますけれども、これは一九三・三六〇というところまで銀行株価指数が落ちている。つまり、八〇%ぐらい株価がはげている、こういうことですね。

 これは、この曲線をごらんいただければわかりますように、傾向的に下降曲線になっておるわけですから、自己資本があるから大丈夫だ、株価が示すような悲観的な見方は当たっていないと幾ら柳澤大臣が外へ向かって頑張ってみても、マーケットの方はせせら笑うかのように、きょうの株価だって、多分、銀行株ははね上がったりはしていません。私がごく一部を見た段階では、まだ年初来安値をつけそうな銀行すらも出てきている。これはどこに原因があるんですか。

○柳澤国務大臣 株価の問題についてはいろいろな複雑な要因があるわけでして、マーケットの内部にあるいろいろな見方というのも区々でございます。

 そういう中で、私ども、これは客観的なことかと考えておりますのは、やはり本年の九月期の決算においても、不良債権と株価の低迷の中で、現実に赤字の決算をしなければならない銀行が主要行の中でもかなりの数に上ったということ。それからまた、そのときに同時に発表された三月期、通期の見通しにおいても同様な厳しい決算が見込まれるということ。こういうことはもう客観的な事実で、見方の問題ではありませんので、私どもも、そういうことも一つ影響しているということは納得できるというか、そういうことは腑に落ちるというか、そういうこととして理解をしております。

○仙谷委員 常識的ですよね。つまり、配当がつかない株式に株価が上がってくるということはないというのは常識で、要するに、本年度末、二〇〇二年三月期に多分配当をできるような決算ができない、こういうふうなことを先読みして株価が下がっている。これは常識的なマーケットの見方ということになろうかと思うんです。

 そうだとすると、では、これは再来年の三月期に配当ができるようにこの銀行群がなるというお見通しなんですか。それとも、依然として全国銀行ベースで業務純益が、これは三枚目をごらんいただきますとわかりますけれども、三枚目の上からの一、二、三、四、五、業務純益が大体四兆四、五千ですね。この九三年から二〇〇〇年までの累計で業務純益は三十八兆五千八百三十億円、こういう金額なんですよ。

 業務純益が四兆から五兆の間という全国銀行ベースの銀行が、先般金融庁ですら発表されているような不良債権に、少なくともオフバランスじゃなくて償却、引き当てという償却をするだけでも、まあ単純計算でいっても三年や四年、あるいは五年か十年、そのぐらいの期間は不良債権処理にかかってしまうじゃないか、こういう想像力というか推測が働くんですね。

 というのは、以前は、ここにちょっと書いてございますけれども、八年間で含み益で十九兆四千億という膨大な額を益出しをして不良債権処理に突っ込んできた。だけれども、もう含み益はなくて、御承知のように、含み益は多分現時点だと八兆円ぐらいのマイナスになっているんじゃないか、こういうふうに言われておりますね。三月期末までこの含み益が回復するというふうな見通しを立てるというのは、いかにも甘い。このまま推移してくれたらいいんじゃないか、TOPIXが一〇〇〇を割らなければ望外の喜びぐらいのことを考えなきゃしようがないんじゃないか。

 こんな状況の中で、当然のことながら、不良債権処理をやればやるほど業務純益はすべて吐き出してすってんてんの丸裸の状態が何年間も続く、こういう見通しになっているんじゃないですか。いかがですか。

○柳澤国務大臣 本年度は不良債権の処理を率直に言ってかなりアクセルレートしたということは、これはいろいろな施策の反映としてそういう結果になるということは、委員もお認めいただけるかと思うわけであります。私どももそういうふうに考えております。このテンポが今後数年かそういう期間を通じて起こるとは、私どもは考えておりません。

 そういうようなことですので、私どもとしては、もちろん銀行が経費の節減に努めるとか、あるいはそれなりに今利ざやの拡大に努めているというような、そういう地道な努力もここに加わってくるだろうと、業務純益の方でいいますとですね。

 そういうようなことを考えておりますし、不良債権の処分損については、今言ったように、本年度はかなりこぶっ玉のような形の処理損というものになるんだろう、したがって、翌期以降はもうちょっと平常のペースに戻ってくるだろう、こういうように考えておりますので、この結論がどういう数字になるか、これはほかにもいろいろなファクターが影響いたしますので、私自身、ここで今、この私の立場にあって予言をするということは適切でない、このように考えます。

○仙谷委員 お渡しした資料の一枚目をごらんください。これは、民主党の政策調査会のスタッフが、九月期決算、特に公的資本増強を受けた金融機関、特にメガバンクと言われているような大きいところ、この税効果分、それから注入を受けた公的資金、これを控除して正味自己資本というものをはじいてみればどうなるかということで、もう既に財政金融委員会等々でもこの計算表が、大臣の手元でもごらんいただいて、議論の対象になっていると思うのですが、「正味自己資本比率」というふうに書いてあります。あるいは「修正自己資本」というふうに書いてあるところでございます。これをごらんになって、民主党が作成したこの一覧表、これは間違いでしょうか。それとも、大体こんなものなんですか、正味自己資本というふうな観点から計算をすると。

○柳澤国務大臣 これは、足し算、引き算をされれば、そう高等数学でもありませんのでこういうことになろうか、こういうように思いますが、前提として、あれだけ銀行監督にいろいろ厳しい規制をつくっていこうとしておるバーゼルの銀行監督委員会で認めているルール以外のルールをこうしたものに適用して、こうなった場合どうか、ああなった場合どうかということについておっしゃられることに、私が今ここでいろいろそれに応酬をするというか、そういうことはやはり、それはそういう見方をされる方がそういう計算をすればそうなるでしょうというふうに、私としては尽きる話だと受けとめています。

○仙谷委員 柳澤大臣、優先株は不良債権の償却に使われてはならないという前提なんじゃないのですか。

 つまり、注入された公的資金を不良債権の償却に使ってしまう、あるいは五年間も先取りした税効果会計があるからといって、それが必ずしも不良債権償却の原資になるというふうに考えるのは甘い。これは、マーケットウオッチャーは必ずそう見ざるを得ない。つまり、体力問題としては、正味自己資本というか、正真正銘の不良債権を処理し、かつ配当できる、そして金融仲介機能を十全に果たせる金融機関になっているのかどうなのかというのが今の大問題じゃないですか。

 それを、そんな居直ったように、こんなものは足し算、引き算をやったらこうなるかもわからぬけれども、こんなものはバーゼルの自己資本比率の観点からいうと公的資本が入っても何してもいいんだみたいな議論をされると、今の金融危機と言われている、これは先ほどお見せしたTOPIXの指標から見ても、九八年九月というのは二九一・七三ポイントあったんですよ。そこからもう一〇〇ポイントも下がっているんですよ。つまり、あの金融危機、クライシスと言われたあのときから、一〇〇ポイントも株価指数がTOPIXで下がっているんですよ。これを危機と言わずして何と言うのかというのが、あなた方が批判する雑誌のみならず、日本有数の経済紙である日経新聞のこの二日間の社説とか記事を読んでごらんなさいよ。敢然と公的資本注入をやらなきゃならないと書かれているじゃないですか。担当大臣のおっしゃった認識とは全然、それこそ大変な山と谷の懸隔がありますよ。ここはもうちょっと正直にならなきゃいけないんじゃないですか。

 本来は、平沼経済産業大臣にも柳澤大臣の後にお伺いしたいと思っているんですけれども、もう少し十全な金融仲介機能を果たせるようにならないと、これは銀行の値打ちがないじゃないですか。どうですか。

○柳澤国務大臣 私も、先ほど冒頭の御答弁で申し上げたとおり、マーケット、特に株式市場の金融機関を見る目については非常に厳しいものがあって、私もこれに対しては重大な注意を払っているということは申し上げたとおりであります。

 ただ、今、こういうことを言うと少し論争的になりますけれども、仙谷委員だって、だから公的資金を入れろと言っているのをおまえは聞いていないか、こう言いながら、その前には、公的資金は傷つけちゃいけないから、資本性はないからこれを引いて考えなきゃいけないというようにおっしゃると、これはもうなかなか、その限りでは出口がない話になる。

 我々も、私は当初、この任に当たるに当たって、終局的には収益力で積み上げていくものしかないんだと。もちろん、第三者割り当てその他の増資もあり得るわけですけれども、何といっても、本当の資本性のある資本というのは、営々たる努力で積み上げていく、そういう、昔でいえば利益準備金だとか剰余金というものしか本当はないんだ、だから収益力が大事だということは随分強調させていただいてきたつもりであります。

 今日、そういうことを論ずるのではなくて、もう資本がどう目減りしていくかというようなことを論じなければならないというのは、まことに不本意きわまりないことであります。

○仙谷委員 お言葉を返すようですが、私は従前から、中途半端な公的資金の注入などをやるからこうなるんだと。今回だって、中途半端に公的資金の注入をやれなんということを一言も言ったことはないですよ。もう公的資金の注入で事がおさまる事態は一九九九年に終わっている。これは私の今の実感でありますし、感想ですよ。今はそんな生ぬるい程度の話では事はおさまらない、こういうふうに見ているんですね。

 だから、それは公的資金の注入をすれば、おたくの森長官が言っているように、後で言いますけれども、もう一遍公的資金の注入をすれば国家管理になるじゃないか、中途半端な国家管理になるじゃないかと言っている、それはそのとおりですよ、事態の認識としては。私は、そんな中途半端なことをやってまた三年ぐらい引き延ばしたって事態は変わらないと思っていますから、そういう中途半端な提案はいたしません。

 そこで、これを見てください。五枚目から六枚目、それから七、八、九と。これは七枚目からは日銀のDI、業況判断でありますが、まず五枚目、六枚目は、何と九八年から二〇〇一年までで中小企業、中堅向けの国内銀行の貸し出しが四十一兆円減少しているんですね。大企業に対しては四兆円ふえているんですよ。それで、次の六枚目は、日銀にそのことを年次で棒グラフでつくってくれとお願いをしたのがこれですよ。

 平沼大臣、これは平沼大臣の御所管の中小企業、中堅企業の活性化という観点から考えて、この金融機関の態度というか実態というのはどういうふうにお考えになるんですか。

○平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 本年三月末における国内銀行の中小企業向け貸出残高は、御指摘のとおり大変下がっているわけでございまして、平成十年の三月末に比して九%も減少しております。

 他方、我が方がやらせていただいている政府系中小企業金融三機関、この貸出残高というのは、三機関の合計で、同じ期間ですけれども、一・二%の増加を見ている。

 この三年間で民間金融機関の貸出残高が減少しているというのは、幾つかの要素が考えられると思いますけれども、不安定な経済状況等の中で設備投資の低迷等によりまして資金需要が弱いということも一つあると思います。また、金融機関が不良債権処理問題を重い課題として抱えている等厳しい環境に直面しているため、中小企業に対して貸し出しの抑制、債権回収の強化による貸し出し圧縮、これが行われている、このように私どもは見ております。

 

○仙谷委員 速水日銀総裁、業況判断DIも、地域別のをわざわざおつくりいただいたのをここに資料として出しております。それから「資金繰り判断」、「金融機関の貸出態度判断」というのも、これは日銀の資料でありますけれども、資料として提出をさせていただきました。

 九月、十二月、中小企業、中堅企業、大変厳しい資金繰り、あるいは金融機関の融資の態度ということになるわけでありますけれども、せっかく日銀が八兆円にも九兆円にも上る余剰資金を市場に出しても、これは中小企業には回らない。後から申し上げますけれども、本来は大企業に回るはずのない融資が大企業に、ある種潤沢に回っている。これは、私の判断では追い貸しではないか。大企業には追い貸しして、中小企業には貸しはがしをする、こういうことは今の金融機関で、全国銀行で、あるいは私どもが実感するのは、都市銀行の地方支店で最も極端な格好でやられているというふうに実感しているんですね。

 この点、日銀総裁の御判断はいかがですか。

○速水参考人 最近の銀行貸し出しの減少につきましては、基本的には、景気が低迷するもとで企業の資金需要が減少傾向を強めているということが背景にあることはもちろんでございます。ただ、金融機関の方は不良債権問題への取り組みを強めておりまして、そうした中で信用力の低い企業に対しては貸し出し姿勢を慎重化させる傾向もうかがわれております。これが短観における中小企業の貸出態度判断DIなどにあらわれている面もあるように思います。

 この十二月の数字をごらんになっても、全規模での貸出態度判断DIは十二月は五〇、五〇なんですね。緩いという方ときついという方が五〇、五〇。そのうち大企業は、緩いという方が一四多い。中堅企業は五〇、五〇でゼロです。それから、中小企業は確かにきついという方が六多いんです。それは九月よりもちょっと、九月のときは四でしたけれども、十二月は六になっているということで、少しふえております。

 こういう健全な企業あるいは再生が見込まれるような企業をサポートしていこうという基本姿勢というのは堅持されていると思いますし、前向きの経済活動に対しましては資金の供給が行われていると思っております。

 いずれにしましても、金融機関の信用仲介動向につきましては今後とも注意深く点検してまいりたいと思いますが、大銀行の方はこのところ、ここ一月ぐらい、非常に大きな政策の前進をしていることを私は一言だけ、先ほどの問答を聞いておりまして、つけ加えたいと思います。

 この一カ月ぐらいで、大銀行はかなり思い切った自己再生策を打ち出していると思います。一つは、不良貸し出しを早期整理していく。それによって引当金などもふえていくわけですが。二つ目は、自己資本の充実、株価対策といったようなものを考えている。三つ目は、大銀行再編の推進を進めている。四つ目は、貸し出しの効率化ということを考えていることです。

 これは、収益をふやしていく、収益をふやすことによって今後資本金も充実していくし、それから不良貸し出しの償却もやりやすくなっていく。多少もうけが出るような貸し出しに、いい方へ貸すということは、これは自然の動きだと思います。そのかわり金利は安い。悪い方へは金利が多少高くなるかもしれない。こういう貸し出しの効率化ということをやり始めていることを御注目いただきたいと思います。

 そういうことで、銀行としては懸命に努力しておるわけですが、市場の方は大変信認が薄くて、そして同情がないということは、これは確かなことでございます。しかし、そこのところは、私どもも銀行が大切でございますから、一生懸命銀行のそういった前進への努力を応援してまいりたい。何か思わぬことが起こっても、準備を十分整えてかかっていく心づもりでおりますことを申し添えたいと思います。

○仙谷委員 日銀総裁の優しいお言葉はわかりましたけれども、そうだとすると、全国銀行ベースでも都銀ベースでも、じゃぶじゃぶの日銀がマーケットに流したお金を使って国債を買いまくって、その利ざやで、国民の税金である利ざやで稼いで何とかしようなどという、ことしのこの四月以降のあるいは四月以前からの傾向というのは極めてゆゆしい。私は、中小企業に貸し出しをこれだけ減らしながら、国債を買いまくるという、ある意味でリスキーなことをやってしまうというのは甚だ、何なんだこれはというふうな感を否めないのであります。

 その答えはまた後日いただきますが、ところで、この四枚目を見てください。これは財務省の二〇〇一年三月期、つまり二〇〇〇年度の法人企業年報を一生懸命分析をした方がいらっしゃいまして、その人からお借りをしてきたわけです。

 日本というのは、企業の総数が二百五十四万、そのうち上場企業というのは三千三百九十八、非上場企業が九九・九%の二百五十四万五千、こういうことになっておるんですね。この全企業の、つまり、上場企業は一応数字が公表されていますから、この上場企業に対する数字を分析して、そして非上場企業は一まとめでしか分析できませんけれども、これから見ると何が見えるのか。

 つまり、簡単に言いますと、上場企業というのは、この下の方に書いてありますが、無借金企業が二百七十七、実質無借金会社が九百七十七、自己資本が純有利子負債以上、これは字が間違っておりますが、自己資本の方が純有利子負債よりも上回っているのは千二百二十一。つまりほとんどの企業が、ここに書いてございますように九二・七%が、上場企業のうち、これはほとんど問題がない、心配がないと思われる会社であります。

 そこに、「上場企業(不良債権予備軍)」と一番右の欄に書いてございますが、これは、各企業の純有利子負債と営業利益率を比べてみましたら、六%以下の企業でなおかつ株価が百五十円以下の企業をとってみますと二百四十七社、割合でいいますと七・三%であります。ここは、純有利子負債営業利益率というのが平均して二・五%しかありませんから、現在の貸出金利も二・四とか二・五というのが平均かと思いますし、元本は払えない、それから上乗せ金利がもし実施されるようだったら払えない、いわば限界的な企業と思いますが、これが二百四十七社あって、そこが抱えているというか借りている銀行借り入れが二十九兆四千億円ぐらいある、こういうことが出ているんですね。

 それから今度は、そういうのを除いた非上場企業の方を見てみますと、銀行借り入れが三百二十六兆円、そして純有利子負債営業利益率は平均すると五・六%。問題は従業員の数のところでございまして、従業員は、全企業で三千九百万人のうち、中小企業と思われる非上場企業に二千九百八十万人、七五・六%存在するというのがこの表からわかると思うんですね。

 要するに、先ほどの話を前提にしましても、中小企業は銀行借り入れに依存をしている経営をしているというのがこれを見たらすぐわかりますね。従業員も非常に多い。ここに従業員が多い。上場企業の方は、限界企業というのはパーセンテージでいうと大したことない、しかし、約三十兆円の不良債権予備軍的不良債権を抱えているということもわかりますね。

 これを、つまり中小企業と大企業を一緒くたにだだっと整理する、あるいはこの三年間の傾向では中小企業の方に厳しく当たっているんじゃないか。結果としてかあるいは方針としてか知りませんが、こういうやり方をすれば、共産党がおっしゃるように、不良債権処理というのはまさに弱い者いじめの不良債権処理みたいになってしまう可能性があるんじゃないか、こう思うんですが、平沼大臣、いかがですか。

○平沼国務大臣 先ほどお答えを申し上げましたように、この三年間で民間金融機関の貸出残高が減少しているのは事実でございますし、また、金融機関による貸し渋りというような現象も顕著になってきたことは事実であります。

 そういう中で、今お示しをいただきました、全体の企業の九九・九%を占め、雇用の七五%を受け持って日本の経済の屋台骨を支えている、日本経済の原動力になっている中小企業が大変厳しい状況に置かれている、こういうことはそのとおりだと思っておりまして、私どもといたしましては、政府系金融機関等を通じて、セーフティーネットでございますとか、また、三年間特別保証制度を実施し、さらには、新たな信用保険制度、こういったものも創出をして、私どもとしては、この日本の経済の原動力になっている中小企業にきめ細かく対処し、この年末も金融庁と相談をしながら綿密に対応していかなきゃいけない、このように思っています。

○仙谷委員 柳澤大臣に最後にお伺いしたいわけですが、やはりそこでお示ししたように、不良債権総額は、これからこういう景気、経済が続いていくとふえるというか、あるいは潜在的な不良債権が顕在化するということは相当蓋然性が高い。そのことを処理する体力が、先ほどから申し上げているように、都市銀行だけではなくて果たしてあるのかないのか。これは甚だマーケットから見ると懸念を持たれる状態になっている。そういう意味では危機だ、そういう本気の危機意識を持って、今までのその日暮らしのような中途半端なやり方が間違っていたという厳しい自己反省のもとに物事に対処していただかなければならないんじゃないですか。いかがですか。

○柳澤国務大臣 非常におもしろい計表を見せていただきまして、私も、今も興味深く見ておりましたが、さらによく検討させていただきたい、こう思います。

 しかし、一応二・五%、先ほど言った純有利子負債営業利益があるということで、それに対して支払い利息は二・二でございますから、しかも二・五というのは平均だとすると、その上も半分ぐらいあり下も半分ぐらいあるという感じだろうと思いますので、したがって、仙谷委員は非常にこれを深刻にごらんになられて、私も深刻だということは変わりはないんですけれども、これは、後にまたよく分析してみますが、まあそんなに望みもないことはないじゃないか。

 それからまた、設備投資の資金というのは、これはやはりキャッシュフローもありまして、償却がどのぐらいできているかということもあるはずですから、さらに二・五に何がしかの償却が上乗せするということであれば、全く見込みのない話ではないということをこの表は示しているんではないか。

 まことに仙谷委員には恐縮ですが、そんなこともちょっと思いましたが、いずれにせよ、委員が私への質問のたびに警告をしてくださるような緊張感を持って私自身もこの問題に取り組んでいきたい、このように考えております。

 ありがとうございました。

○仙谷委員 かわります。

○野呂田委員長 これにて仙谷君の質疑は終了いたしました。