2001年10月11日 憲法調査会

引き続きまして、派遣議員から海外派遣報告に関連しての発言を認めます。

 まず、仙谷由人君。

 

○仙谷委員 仙谷でございます。

 二年連続いたしまして、海外の憲法事情調査に連れていっていただいたわけでございます。ただいまの会長の報告と重複を恐れずに、若干の感想を申し上げたいと存じます。

 御存じのように、ロシアあるいはハンガリー、ポーランド、チェコ、ルーマニア、東欧諸国は、社会主義体制からの体制の転換というものをなしたわけでございますから、当然のことのように、新しい憲法、そして憲法体系を大胆に変えなければならないという必要に迫られているんだろうなという思いで参ったところでございます。

 そこでは、やはり、政治権力の暴走をどう抑止していくか、そしてまた共産主義体制下の人権抑圧についての反省から、人権保障をどう制度的に担保しようかという発想が相当強いなと感じられたところでございます。ロシアあるいは東欧諸国において、憲法裁判所あるいは人権オンブズマン、あるいはポーランドに至りましては、児童権利擁護官というのが憲法上規定をされているということでございまして、まさに日本のこれからの人権保障の問題としても、制度的な担保が注目に値すると拝見をしたところでございます。

 それから、ベルギー等の北欧、西欧諸国では、やはりEU統合の深化に伴いまして、国家主権を国際公法の機関に授権することができるという規定が追加されたということでございまして、一方では、EUとの関係で、従来、国家主権の独占物とでもいいましょうか、専有物というふうに規定されていた権限が、その一部もしくは相当部分が国際機関に委譲をされるということが憲法上も規定をされております。

 そしてさらに、西欧あるいは北欧諸国のトレンドは、分権化を強力に推進していくということでございます。ベルギーにおきまして、分権化を推進する、あるいは連邦国家化を推進するに際して、その中で、各級政府の、つまり連邦国家あるいは共同体という名前でございましたが、あるいは地域政府の権限争いを解決することを大きな目的として、仲裁院、憲法裁判所がわざわざつくられたというふうな報告も聞いたわけでございます。

 イスラエルの首相公選制の導入とその廃止というのは、これはクネセット、議会の議員の選挙が比例選挙であるということにも相当規定されておって、要するに、小党が群立しているということ、そして、この小政党の力を相対的に少なくすることを期待して首相公選制を導入したようでありますけれども、実態は、小政党が政府権力をおどしたり、まさに恐喝という言葉をよく使っておりましたが、あるいは取引をしたり、そういうわけのわからない政治になった。つまり、小政党の力を公選制によって強くしたんだというふうな反省が相当な方から聞かれたところは大変興味深うございました。

 そして、もう少し概括的に申し上げれば、どうも民主主義の制度を取り入れた国々では、グローバリゼーションと国民の多様化、多元化、多元的な価値観のもとで、非常に背反する課題であるわけでありますが、効率的で強い政府をつくらなければならない、スピードのある政策決定をしなければならないという要請のもとにいろいろな試みをしている。

 それから、多様性を保障するためにどうすればいいのかということが、ある意味で民主主義の民主化というふうに呼ばれる、そういうふうに言われる課題として提起をされておりまして、先ほど申し上げましたサブシステムとして憲法裁判所、あるいは国民投票、あるいは会計監査院をもうちょっと本格的にしたGAOのような最高監査院というふうなものをつくったり、それから人権オンブズマンというふうなものが憲法上も規定されているのが一つの特徴であったと思います。

 そして、言うまでもないことでありますけれども、先ほど申し上げました国際機構と国家の主権の関係を整理するというのがやはり憲法上の課題であると同時に、今回の同時多発テロに対する対応を迫られた日本を見ましても、これはやはり国際機構と一主権国家の主権、例えばそれが軍事主権であれ、あるいは司法権であれ、それをどう委譲し整理するかということが現代においては大変大きな課題になっている。集団的安全保障としても、そこは非常に憲法上も整理をしなければならない大きな問題だなと改めて感じたところでございます。

 雑駁でございますが、そんな実感を持って今回の憲法調査をさせていただいたところでございます。以上であります。