2001年10月05日 予算委員会

○野呂田委員長 それでは、基本的質疑を行います。

 この際、昨日の菅君の質疑に関連し、昨日に引き続き、仙谷由人君から質疑の申し出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。仙谷由人君。

 

○仙谷委員 おはようございます。昨日に引き続いて、金融の問題を中心にお話を伺いたいと思います。

 きょう新聞を朝見ましたら、やはりテロ対応問題の記事が一面の方からは多いわけでありますが、日本経済あるいは金融の実態について、非常に深刻な問題が相当数記事として書かれております。

 きょうは、例えば元大蔵省の副財務官の伊藤隆敏さん、一橋大学の教授でございますが、ほか七名の教授の方々でございましたか、このままでは九七年、九八年の金融危機の再発になるということを、アピールを発表された。さらにもう一つは、与党がRCCの債権の買い取りについて時価でいくんだという決定をされた。ついに往生したか、まだ往生していないな、こう思っておるんですが、その記事。さらには、新生銀行への業務改善命令。

 この新生銀行への業務改善命令は、実はことしの夏ごろからそういう問題が提起をされておりまして、私もこの質問前に、この新生銀行による融資先からの貸しはがしは、実は昨日問題にしました瑕疵担保履行あるいは瑕疵担保特約が貸しはがしのインセンティブを与えている。したがって、一方で瑕疵担保特約を結んで、一方で貸倒引当金を積んだ、貸倒引当金が、私がようやくのことで聞き出した金額としましても、九千八百億ぐらいでございましたか、非常に巨額なものを積んでおるというところにまさに問題がある。

 つまり、新生銀行は、融資先をいわば追い込んで、そして彼らから返してもらえなければその方がいい、あるいは肩がわりを迫って肩がわりをどっかの銀行なり他の企業がやれば貸倒引当金の丸もうけ、こういうインセンティブが瑕疵担保特約で与えられている、そもそもが間違いだったということを指摘したわけであります。

 この質問の前に、貸倒引当金を積んだ件数と、そしてこれを新生銀行がどのぐらい回収したのか、貸倒引当金の丸もうけがどのぐらいあるのか、資料を出せと金融庁に要求をしました。そんなことはわからないというのが金融庁の答えだったわけでございます。私は非常にこの辺にも、公的資金を七兆数千億出した上に現在も三分の一の株主である国がというか、その監督をする金融庁がこういう態度では新生銀行を一方的に非難したところで始まらない、そういうふうになってしまうんじゃないかという危惧を抱いております。きょうは時間がございませんので質問いたしませんが、私は心していただきたいと思います。

 それからもう一つ、昨日も提起しましたマイカル債。マイカル債を首都圏新都市鉄道というのが百十億円買っていた、これが回収不能になっているという記事が出ています。これは二つ問題があると思います。

 一つは、依然としてマイカルという融資先に対する銀行の査定が甘い。だから格付がおかしくなる。だからこんな公的な第三セクターでもマイカル債を買ってずっと持ち続けて大損をする。大損は住民の、国民の負担になる。こういうことが一つでございます。

 もう一つは、これはきょう問題にいたします銀行等保有株式取得機構との関係もございますけれども、要するにお役人に運用を任せるとどうなるかということの見本のような事例であります。つまり、資金運用を二年とか三年とか五年とか、責任者がたびたびかわるような機構、あるいはどこに責任主体があるのかわからないような組織の中で巨額の資金運用を行った場合にどうなるのか、だれが責任をとるのかという点について、これまた本日の銀行等保有株式取得機構との関係で問題になります。

 そしてもう一点は、東京商銀の問題です。これは、東京商銀あるいは朝銀系信組の問題はかねてからいろいろなうわさが流れておりまして、民主党は、三年ぐらい前からでしょうか、上田清司代議士を中心に財政金融委員会では特にこの問題を提起してきたところでございます。しかし、どんどんとこういうことが起こってくるということであります。手の施しようがないような事態になっているというのが実態のようであります。これまた金融庁の金融行政、とりわけこの三年間の金融行政が改めて総括されなければならないと私は思います。

 そういう前提で、RCCの債権の時価買い取り問題についてお伺いをします。

 きょうは、昨日お伺いしなかったのでまことに申しわけなかったのですが、預金保険機構の松田理事長においでいただいておりますので、松田理事長の方からまずお話を伺いたいと思います。

 今、RCCの機能強化あるいは機能の拡充というふうなことが一方で提起され、一方では、金融再生法五十六条でございましたか、この五十六条に基づく買い取りについて、価格の弾力化というふうなことが与党の方から提起をされているようであります。私は、甚だ不可思議なことをおっしゃる方々がいるものだなと。

 といいますのは、RCCに銀行業務ができるように銀行免許を与え、あるいは、わざわざRCCをつくるときに五十三条、五十六条という、健全銀行、一般銀行からも債権の買い取りができるようにしてくれとおっしゃるものだから、そうしましょうと、ちゃんとできるようにセットしてある。

 ところが、今になってみると、これではRCCが機能しないというようなことまで言われて、どんどんRCCに対するある種の攻撃がなされると同時に、今、機能の強化とか買い取り価格の弾力化、こういう議論が行われておる。

 松田理事長、実態はどういう実態であったのか、なぜそうなのかということについてお答えください。

○松田参考人 お答えをいたします。

 私、現場の人間でございますので、これまでやってまいりました一般行からの不良債権の買い取りの実情についてお話をさせていただきます。

 先生御指摘のとおりでございますが、一般行からの不良資産の買い取りにつきましては、預金保険機構が申し込みを受けて、価格を決めて、総理大臣の承認をとって、その後にRCCに買い取り及び回収を委託する、こういう仕組みになっております。

 そこで、預金保険機構としましては、金融再生法ができましてから、五十六条の、先ほど先生御指摘の、当該資産が回収不能となる危険性等を勘案して適正に定められたものでなければいけないという価格についての条文、それから、立法時、平成十年の十月二日の衆議院における提案者の御説明の中に、この五十六条を置くことによりまして、時価よりさらに低い、預金保険機構が損を出さない、そういう値段で買い取ることになりますという御説明、こういうものを踏まえまして、当機構ではこれまで、買い取り債権の一件一件につきまして、損失が出ないよう厳正に買い取り価格を算定した経緯にございます。

 なお、当機構では、算定の恣意性を排除して公正性を担保するために、外部の有識者から成る買取価格審査会を設けて、そのチェックを受け、さらに内閣総理大臣の承認を得て買い取りを行ってきた、こういう実情でございます。

○仙谷委員 そうすると、今、国民の負担にならないように、損が出ないように、回収の危険性がない程度の価格で買っておる、これは総理大臣の決裁で買っておるとおっしゃっているわけだ。

 ところが、これが安過ぎるとかRCCはけしからぬみたいな議論があるわけでありますけれども、理事長の方からごらんになって、何かそういうことはあるんですか。安く買いたたくとか、足元を見てとんでもない価格で買いたたくとか、そういうことをやっているんですか、RCCは。

○松田参考人 先ほどお答えしましたとおり、そういう預金保険機構として損を出さない価格で買い取るという原則を守りながら買い取っているわけでございまして、そうしますと、普通の民間サービサーでは買い取れないような種類の暴力団絡みの不良債権とか、そういうものが入ってまいりますので、そういうものを主に買ってきた、こういうことでございます。

 

○仙谷委員 不良債権の買い取りというのは、あるいは売却というのは、不良債権市場みたいなものがそろそろ生まれておるのですね。そのために、サービサー法をつくったりSPC法をつくったり、いろいろなことをやったんじゃないですか。

 総理、この不良債権買い取りについて、何か公的な資金をRCCに入れ込んでまでRCCに銀行から大量に引き取らせるというふうな話は、民間ができることを民間にやらせるんじゃなくて、国がやってあげましょう、こういう話になるんですよね、一方では。そこまで危機が深まっておるというのであれば、そうおっしゃって、つまり銀行の資本不足という危機ですよ、それならばもうちょっとオーソドックスなことでやらないと、こういうことをやるのは、私は、まことにこそくで、小手先で、先送りでということにならざるを得ない、そういう結論を持っておるのですね。

 これは、改革工程表の中にも出てきますね。竹中大臣、あなたのそもそも今まで言われてきたことからして、簿価で買い取るという話が最初は出てきた。極めてでたらめな話。特に、きのうもるる説明したように、資産査定がでたらめな上に、それの簿価で買い取るというふうなことがまかり通ったら、どうなるんですか。

 つまり、適正な価格で買い取っているという松田理事長のお言葉を信用するとすれば、価格の弾力化をせよという話は、もっと高い値段で、RCCが損をするような価格で買い取らなきゃいけないということを意味するんじゃないんですか。そうでしょう。

 竹中大臣、RCC機能強化拡充、これについて、こんなものを構造改革の中身に入れる、マーケットフレンドリーであるべき構造改革路線が、マーケットにさおを差して介入してこんなことをやろうとするのは、あなたはどう考えているんですか、本当に。正気で考えているんですか、これでもいいと。

○竹中国務大臣 仙谷委員のRCCの買い取り価格の話でありますけれども、簿価で買い取るなどという議論を我々はしたことは一度もありません。かつ、これはそういうことはあり得ないということは総理の答弁でも何回か出ていることだと思います。

 基本的には、今の不良債権問題を解決に向かわしめるためには、資産査定をより厳密にするということと、それ以降の企業の再生を速やかにする、この二つをやはり強化しなければいけない。その強化の方向を今回柳澤大臣のリーダーシップで新たに織り込んだ。その具体的な制度設計については、確かにまだ詰めなければいけないことはたくさんありますけれども、今御指摘になったような、簿価で買い取るというようなことを議論したことは一度もありません。

○仙谷委員 不良債権の価格を、では、時価で買い取るとしましょう。だれが決めるんですか、値段。つまり、不良債権であっても、売り方と買い方がおるということは、売る方はできるだけ高く売りたいんですよ、買う方はできるだけ安く買いたいんですよ。当たり前じゃないですか。市場で出合ってそこで価格が決まるんでしょう。ましてや民間の市場まであるわけだ。

 なぜRCCに何兆円もの金をぶち込んで、政府が保証してわざわざ買い取らせようとするのですか。今までのままでいいじゃないですか。RCCが、これはこのぐらいの価格で買い取れば採算がとれると思ったら、RCCが買えばいいだけの話じゃないですか。特段の、今RCCの機能強化、例えばプロを、本当の資金運用のプロとか、債権売却のプロとか、売却をするための証券化のプロとか、あるいは営業のプロとかを入れ込んで強化をするという話はあり得ますよ。だけれども、買い取り価格の弾力化をするために時価という名の簿価を、簿価で買い取らせるために金をつぎ込むなんという話はあり得てはならない。

 これは総理、総理は、何か先般の参議院のところで、いやいや、あれは議員立法でやるからいいんだみたいなことをおっしゃったみたいなことを私ちょこっと聞きましたけれども、構造改革路線そのものなんですよ。マーケットとの関係なんですよ。マーケットに政府が介入するのかしないのか、そういう問題なんですよ、基本は。どうですか、総理。こんなものやめさせてください。あなたに聞いていない。

○柳澤国務大臣 仙谷委員の方から簿価という名の時価というように、何か何とか簿価に持っていけないかというような傾きの質問がありましたけれども、そういうことは、今竹中大臣も言われたように、全く考えておりません。

 時価とは何かということでございますけれども、時価というのは、やはりRCCがもしそういう立場に立てば、そんないいかげんな金で入札するなんということは、仮に入札に参加する場合でもあり得ないわけです。もしキャッシュフローがあれば、それをディスカウントして現在価値に直したものになるでしょうし、またキャッシュフローがないものについては、担保価値ということで担保を厳正に査定した上で、それが自分たちの考える時価である、そういうちゃんとした基礎を持って入札あるいは何らかの相対の取引等に参加していくということが当然考えられると私は考えます。

 具体の問題は、これからもっと詰めなければいけないという考え方を私どもしておりまして、それについていろいろ御意見をおっしゃるのは我々も参考にさせていただきたい、こう思います。

 今のRCCがどうかといったら、一年二回、それでどうぞお持ちくださいというような形でやっておって、それもその取引価格というのは、今までの仙谷委員が御指摘になられたような法の運用として、もう超保守主義の価額で絶対に損失が生まれないようにということでの実は買い入れをしておるということでして、これではやはりちょっと動きがとれないというところから弾力化というものを図ろうということに尽きるわけでございます。

○仙谷委員 入札に参加するのは自由でございますけれども、それから、私が先ほど申し上げたような意味での強化はこれはやらなければならないかもわからぬけれども、私はきのうから申し上げているように、金融庁が資産査定をどれだけ甘くしてきたか。

 では、今度の要注意債権を、キャッシュフローはこのぐらいある、経営改善計画が出た。経営改善計画が出て債権放棄を認めたような会社が今どんな状態になっていますか。全部そういう債権を、もしあなたがおっしゃるようなゆるゆるの資産査定に基づくようなものをRCCが買い取らされたら、結局は売れもしない、損を抱え込んだままパークとか飛ばしとかという十年前の同じことになるじゃないですか。だから私は言っているんですよ。そういう傾向が今までなかったのならば何にも言わないんですよ。あったじゃないですか。もうちょっと聞きましょうか。

 資産運用の話と銀行等保有株式取得機構の話に入りますが、簡保、簡易保険福祉事業団、いらっしゃっていますか。どのぐらいの今含み損を出していますか。

○片山国務大臣 委員御承知のように、簡保の資金運用につきましては、計画に基づきましていろいろやっておりますが、その中に指定単というのが御承知のようにありまして、簡保事業団を通じて信託銀行に運用を委託してやっておりますが、これにつきましては約三兆の評価損でございます。

○仙谷委員 年金福祉事業団はどうですか。どのぐらい損を出していますか。

○坂口国務大臣 約一兆七千億、その中で株式のものが約四千億でございます。

○仙谷委員 例えば、大手行を中心に公的資金を注入して優先株を取得しています。これはどのぐらいの含み損が出ていますか、金融庁。

○柳澤国務大臣 まだ転換時期の来ていないものが大部分という状況でございますので、今この段階でそういう議論をするというのは適切でもないし、また我々はそれは困難ということを申させていただきます。

 

○仙谷委員 民間のシンクタンクが調べると、八月末の株価で八千億、こういう話ですね。四兆数千億投入したものが八千億。九月末であればどうなるのか。もっと一割ぐらいはふえているでしょう、株価から連動して考えると。

 要するに、株とか国債という、国債でもリスクがある、責任のとれない人に公的な資金の運用を任せるということはそういうことなんだというところから出発しなきゃいけないんじゃないですか。

 銀行等保有株式取得機構を設立するというのが改革工程表にもプログラムに入っています。これは、小泉さんが総理大臣になる前の緊急経済対策の中で、三月末の決算期を控えた株価がどんどん下がっていく、そのことに対する対応として出てきたわけですよね。株価が下がることによって銀行の体力がますます落ちる、何とかしなきゃいかぬと。

 しかし、考えてみましたら、銀行が保有する事業会社の株式の売却制限、売却禁止というのは、実は一九九二年の八月の十八日の株価暴落から始まっているんですよね、銀行局長通達。ここから日本のPKOが本格的に始まったと世間では、マーケットでは言われているんです。そして、重ね重ねのPKOで、今お伺いしましたように、簡保、年福、全部含み損を抱えるようになった。これはPKOのある意味では成果なんですよ。結果なんですよ。

 こんな、マーケットへ介入をして、株価低落を防ぐというふうな手法がどこまで持続するのか、どういう結果をもたらすかということは竹中先生であればよくわかるでしょう。僕は、改革工程表の中に銀行等保有株式取得機構というのが入っているのが理解できない。

 つまり、銀行の資産というのを見てくださいよ。テレビを見てごらんになる国民は、銀行の資産というのは預金であり現金であるというふうにぱっとイメージされるのかもわからぬけれども、ちょっと商売をされて貸借対照表を見ている人はわかる。銀行は、預金は負債であって、つまり借金であって、資産は、人に貸した貸付金と大手行でいえば四十三兆円の株式、七十数兆円の国債、この三つが銀行の資産でしょう。

 その一つの債権の買い取り価格を弾力化せよ。公的資金によってカバーせよ。次は株式だ。保有株式を銀行が益出しや持ち合い解消でマーケットに出すと株価が崩落するから、これも国がそういうふうにならないようにカバーせよ。国民の負担でカバーせよ。じゃ、次はどうなるんですか。七十三兆円持っている国債を、国債保有機構をつくらなきゃいけないじゃないですか、その論理でいけば。

 そういう手法はもうだめなんだ、グローバライズしたマーケットの中ではだめなんだということを、竹中さん、あなたは言い続けてきたんじゃないんですか。何でこんなものが改革工程表の中に入るんですか。私は本当にわからない。これは小泉さんに聞きたいけれども、どうですか、竹中先生。

○竹中国務大臣 私がかねてから大学で言ってきたことを先生に言っていただきまして大変ありがたく思っておりますが、基本的には、今先生が説明されたことは、やはり少し説明の仕方が私は違っておられたように思います。

 どういうことかといいますと、まず買い取り価格の弾力化ですけれども、基本的にはマーケットの価格でやはり買い取りたいわけです。ところが、マーケットが成熟していない段階ではそれが常にバイアスがかかる可能性がある。マーケットが小さ過ぎるんです、今。それを今どこかまだ見定めかねている状況で、弾力的にまさにマーケットの価格の行き先を見定めるような価格に持っていこうというのが今回の趣旨です。

 もう一点。買い取り機構の話でありますけれども、銀行が持っている株式を無条件で政府が買い取って救済するというのであれば先生がおっしゃるとおりになりますけれども、それは全く趣旨が違っていると思います。

 そもそも、株価の変動によって銀行の収益が影響を受けて、それが金融に影響するという今のメカニズムそのものに究極的な問題がある。したがって、御承知のように、アメリカでは銀行は株式所有を認められておりません。そういう形に長期的に持っていかなければいけない。その過程において株価の変動を緩和するためには、やはり激変の緩和の措置がどうしても今のマーケットをとらえると必要になってくる。

 その意味では、銀行を救済するために行っているのでは全くなくて、市場メカニズムに持っていくための過渡的な措置であるというふうに御理解いただきたいと思います。

○仙谷委員 過渡的な措置を繰り返して十数年、このざまは何ですか。もうちょっと竹中先生も、原理的に正しいことを言われておったんだからそれを貫かないと。ぽろぽろぽろぽろ原則を曲げるからこうなるんじゃないですか。

 私は、この種のやり方、つまり債権買い取りのためのRCCの機能強化と称する公的資金の投入、これだったら、銀行の株式評価をちゃんとして、新たに公的資金をつぎ込めばいいじゃないですか。なぜそれができないのか。過少資本、資本不足をあらわにしたくない、経営者の責任を問わないようにしよう、それがまず金融庁の前提にあるんじゃないですか。だからこんなこそくな手段が出てくるんですよ。

 私は、金融再生法、金融健全化法をやっているときにいろいろな人から言われました。もうそろそろ正し過ぎることを言うのはやめろ、あなたみたいに経営者の責任を問うなんということを言い出したら、だれも手を挙げて公的資金の注入なんか受けなくなる、ええかげんなところでいかないとだめなんだ、生きた経済は。生きた経済を維持すると称したことが、この十年間あるいは三年間でどうなっているんですか。私は、もう今は、そんな生きた経済を知ったかぶりの人は、結局は現状維持なんですよ。改革なんかする気がないんですよ。その場しのぎ、先送りなんですよ。

 だから、足利銀行に対しても、金融庁は議決権行使しないとあらかじめちゃんと言ってある。私は、こういうやり方は、総理、やめなきゃいかぬ。総理の命令で、この銀行保有株式取得機構、やめさせてください。それから、総理の意向として議員立法でRCCの弾力化とかなんとか、そんなことは行政の方でできる話なんですよ。金をつぎ込むなんということをやめてください。どうですか。

○小泉内閣総理大臣 今の仙谷委員のお話をずっと聞いておりますと、なかなか両論があって難しい状況はよくわかってくると思うんです。

 不良債権、このままじゃちっとも進まないぞ、何とかしろという一方では声がある。市場機能がよく働いていない、その市場機能をうまく働かせるのが政府の役割じゃないか、もうちょっと行政介入したらどうか、税金投入したらどうかという一方の議論。そうではなくて、やはり原則、市場経済に任せてやれと。そうするとちっとも進まない。

 今のRCCにしても、そんな買いたたくんだったら売り手が出ないよ、何とかしろということで、もうちょっと買い取れるような弾力性、一つ一つ債権を見るよりも、かなり量的に、一つは低いけれども、もう一方は高い、もうちょっと弾力的に考えたらどうかという意見。いろいろな意見が出てきているんです。

 今も、民主党の議員の中でも割れているでしょう。もっと早く、何を、不良債権を進めてやるんだという議論が、必ず同じ政党内にいろいろな議論があるんですよ。そういう点を考えて、私は、ちょっと議員立法でやるなんて話をしたのは、これは、政府として整理回収機構の問題をまた改めて提案し直すというのは、今までの議論の整合性から考えて無理じゃないか。もし、どうしても国会がやりたいというんだったら、議員立法の案も一つの手だよということを言ったまでであって、そういう今の、原則として市場経済を重視しなきゃならないということは事実であります。その市場経済をうまく機能させるために、例外的に行政介入あるいは税金投入、これをどの程度認めるかという議論だと思うのであります。

 これは非常に技術的で専門的な意見で、私より柳澤担当大臣、非常に両論があって苦労されているところであります。もっと詳しいことは柳澤担当大臣、またお願いします。

○仙谷委員 終わります。(柳澤国務大臣「一言だけ」と呼ぶ)