2001年10月04日 予算委員会

○野呂田委員長 この際、仙谷由人君から関連質疑の申し出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。仙谷由人君。

○仙谷委員 民主党の仙谷由人でございます。

 総理、五月ごろの党首討論でございましたか、不良債権問題について鳩山代表から質問をしましたら、そんな具体的なことは予算委員会で柳澤大臣とやってくれ、こういう答弁をされましたよね。きょうは、そういう意味で、にもかかわらず、これだけ総理も不良債権処理問題についても発言なさっておるので、まあお二人、及びもっと細かくなれば官僚のトップの方に来ていただこうと思って、きのう総理が、おとといですか、本会議でおっしゃったように、そんなことは役人に聞け、政治家に聞くことじゃない。ただ、そういう細かいことも聞かなければ、そして事実を前提にしなければこの話は前へ進まない、そういう問題ですよね、不良債権の問題というのは。

 そこで、きのう金融庁長官を、委員長、この席へ呼んでくれ、参考人として呼んでくれとお願いしたのです。きょう委員長の決裁で、今回は呼ぶことまかりならぬと言ったか、呼ばない、そういう結論を出されたのですね。私は、総理の、細かいことを聞かれたら原稿が棒読みになるのは当たり前だと言うのも、何とかの三分の魂か、三分の理ぐらいはあるんじゃないかと思って、現にそれは、データはすぐに見つかりませんからね、それで金融庁長官をお願いしたら、拒否されたんですよ。おかしいんですよ。(発言する者あり)いや、前職じゃないじゃないですか。ずっといらっしゃる方ですから一番よく知っていらっしゃる方だと思ってお願いをしたのです。

 そういうことでございますので、委員長、私は、きょうの参考人として金融庁長官をお呼びいただけなかったことを抗議いたしておきますし、今後はこの予算委員会の議論というのも、特にきょうはテレビが入っていますから、国民の方々にもわかるように、何か神学論争とか空中論争みたいなことじゃなくて、わかるようにひとつ、そのために私の方で、きょうは金融庁長官が必要なんだ、こういうふうに申し上げておるわけですから、呼んでいただかなければいけません。善処ください。

○野呂田委員長 委員の皆さんに申し上げますが、このことについて長時間理事会で諮りましたが、与党が呼ぶことを認めない、野党の皆さんは呼んでいただきたいということでありましたが、御案内のとおりのルールによりまして、証人や参考人の招致は全会一致で決めておりますので、このたびは呼ぶことにならなかった、こういうことでありますので、御了解をいただきたいと思います。

○仙谷委員 大変遺憾に思いますが、時間の関係がございますので質問を進めます。

 総理、先般、テロに対する対応をめぐってアメリカへ行かれて日米首脳会談をなさったんですね。新聞記事を拝見しておやっと思ったわけでありますが、そのときに、特段この不良債権の問題というのがブッシュ大統領から提起をされたんですか、どうですか。

○小泉内閣総理大臣 それはブッシュ大統領から提起されたわけではありません。私は、日本経済の再生を図るために、先般来主張しております不良債権を二、三年以内に処理するというこの方針は堅持している。決してこの方針を緩めたわけでもないし、いいかげんにしているわけではない。日本経済の大きなかぎを握るこの問題については今までも、今後もより一層積極的に取り組んでいくということを表明したわけでありまして、ブッシュ大統領からじかに、不良債権どうなっているとか、そんなことはブッシュ大統領から聞かれたことはございません。

○仙谷委員 新聞の、ブリーフを記事にしたものにそういうふうになっていたから、おやっと思ったんです。

 さらに、外務省からもブリーフの原稿をいただきました。

 ブッシュ大統領は、日本にも不良債権処理を含む改革をぜひとも実行していただきたいと。ブッシュさんが、テロ対応でまさに軍事的な面を、中心なのかあるいは大きな要素として、その他大変いろいろなことを考えなきゃいけないのに、日本には不良債権処理を含む改革をぜひとも実行していただきたいとおっしゃったというんですね。私は、これはやや情けないなと思ったんですね、新聞記事を読んでですよ。

 なぜ情けないか。ちょうど一九九八年の夏に、ラリー・サマーズという財務省の財務次官が日本に来られて、長銀がそろそろ株価の方で、マーケットで打たれ始めたころですよ、日本に不良債権処理の仕方を教えてやると言わんばかりに乗り込んできて、日銀へ行ったり自民党の当時の執行部と一緒に話したり、少なくとも新聞報道の上では、不良債権処理について注文をつけたかあるいは要請をしたか、そういう事態があったんですね。夏を過ぎて長銀の破綻ですよ。歴史的にはそうなっているわけです。

 ことしの正月に、森さんが一月にダボス会議に行かれた。日本はバブルの負の遺産を完全に解消し、雄々しく再興に向けて進んでいるみたいな、物すごく格好のいいことをおっしゃった。

 ところが、三月、アメリカへ森さんが日米首脳会談で行ってみると、またまた不良債権問題が提起されて、一生懸命やりますと約束して帰ってきた。それで小泉さんが五月に行かれたときも、五月だったですね、行かれたときも……(小泉内閣総理大臣「六月。六月下旬」と呼ぶ)六月ですか、六月の初めに行かれたときにも、その種の、また不良債権問題の話が首脳会談で出たような外務省のブリーフなり報道がなされておるんですね。

 何でアメリカにこんなしつこく不良債権の処理をせいとかなんとかということを言われ続けなきゃならぬのですか。いかがですか。

○小泉内閣総理大臣 仙谷委員の御指摘、もっともな点、多いと思うんですよ。信用されていないんですよ。だから私は、方針はわかっているんだ、何でこんなに信用されていないのかと、もっと信用されるような体制をとれということを今口やかましく言っているところなんです。それで、方針は方針として、要注意債権が、大丈夫だと言っていたのが破綻する、これは何なんだと。結果を出すような体制をとってくれということで、今鋭意そういう体制をとっている。だから、問題は信頼。

 同時に、各党でもいろいろ意見が違います。不良債権をそんなに性急にやると、逆に不況が深刻化するぞと言う人もいると思えば、あるいは、いや、逆に、不良債権を進めないと、これは経済再生はできないという意見がありますので、今の御指摘も含めまして、これから本質的に不良債権が処理されるように、市場からも信頼されるような対応ができるようになるような体制をとるよう、柳澤大臣も積極的に今準備を整えておりますし、これから多くの金融関係者からも信頼されるような行政対応をしていきたいと思います。

 

○仙谷委員 総理は割と率直なところがおありになるなと思っておって、今本当に信用されていないんですよというのは、その抽象的なレベルでは正鵠を射ているんですね。もうちょっと言っていただかないとわからない。だれがだれに信用されていないんですか、これは。

○小泉内閣総理大臣 市場がどうも、今のやり方で本当に不良債権処理が二、三年以内に最終処理されるんだろうかという点に疑念を抱いているんですね。

 それで、柳澤担当大臣もきちんと説明しているんですが、説明が誤解される場合がある。それを誤解されないように、よく説明も大事ではないか。

 そして、金融当局、金融庁もいろいろな、どういう点が誤解されているのか、どういう点が市場から疑念を抱かれているのかという点も含めて、信用されるような、誤解されないような対応をとるように積極的に対応しようということで、今懸命に努力している点も御理解をいただきたいと思います。

○仙谷委員 ちょっとあいまいなんですが、正確に具体的に私の方で意訳をしますと、日米のマーケットあるいはヨーロッパのマーケットから、市場から、日本の金融機関と当局が、つまり日本でいえば金融庁が信用されていない、こういうふうに具体的に言えば正しいですか、いかがですか。

○小泉内閣総理大臣 いや、言葉じりをとるわけじゃありませんが、信用されていないというよりも、より正確に言えば、疑念を持たれているというのかな、はっきり言うと。この疑念を解消するための具体的措置、経営者の態度、銀行の審査体制、これに甘さがあるんじゃないか。もっと今の現行法でも、人によって違う、見る人によってこの審査は正しいのかどうかというのは、節穴の人がいるとわからない。ちゃんと見る人が見りゃ、これはおかしいぞと言うんだけれども、あんまりわからない人が見ると、節穴同然で何だかわからない、だまされちゃう。

 だから、そういう点も含めて、人によって変わる場合が随分ある。だから、そういうわかる人の配置というものも大事だ。現行法でも、やる気があれば変わるのは十分あるんだということも含めて、信用されるような、疑念を抱かせないような体制と検査監視体制をとるように、今鋭意努力しているところでございます。

○仙谷委員 何か検査官の個人的力量に責任があるかのような方に話を持っていかれたけれども、違うんですよ。これは構造的なんですよ。日本の構造、あるいは金融当局の構造なんですよ、私に言わせれば。そうしないと、こんな病膏肓深くならない。あえて言えば、これは平成四年からの問題ですよ、私の体験でも。最短距離でいえば、九八年から何をやってきたんだという、こういうマーケットの声であり、国民の声ですよ。じゃないでしょうか。

 といいますのは??ちょっと配って。よくわかるようにフリップをつくってきました。見てください。

 総理、この総計三十二兆四千七百二十四億円という金額は頭の中にありましたか。私も実は相当、この三年間、金融問題について注意を払ってきた方だと思っておりますが、しかし、これは三年間だけではないのですが、ほとんど三年間です。何と、金融破綻処理等々と言われるものにつぎ込んだ金が三十二兆四千七百二十四億円、大ざっぱに言いまして。極めて大きい。にもかかわらず、九八年から、事態がよくなっているのか悪くなっているのか。専門家の相当部分は、より深刻化していると言っていますね。金融庁の方は、いやいや、そんなことはない、何とかなるんだみたいな話がこの間国会でも議論されていますし、外へ伝わってくる話もそういうことなんですよ。

 いかがですか。この三十二兆四千七百二十四億円という金額が少な過ぎたのか多過ぎたのか、やり方が間違ったのか、何が原因で事態の改善を見ていないのか。その点について、では柳澤大臣、どうですか。

○柳澤国務大臣 仙谷議員から随分御批判をいただきながらの御質問でございますけれども、これは、まず、この二つというか、この公的資金投入というのは法律に基づいて行われているんです。

 それで、そのうち、この左側の十六兆八百五億円それから損失補てんの四千五百億円、これは預金者、預金その他の金融機関の債務を全額保護します、こういうことを言った結果、こういうことになったんです。それを再生法で法律化した結果、これだけのものを金融機関に入れなければ、金融債の保有者も、それから預金者も、預金が払い戻してもらえないんです。そういうものを入れようというのが再生法だったんです。それから、瑕疵担保の特約も、保全部分は保全されますけれども、しかしこれも、大なり小なり、預金者保護のための補てんと考えて、この三つはほとんど全部、預金者のための投入なんです。

 銀行に入れるものは資本だけなんです。銀行という法人に入れるのは資本だけなんです。ほかのものは、銀行を経由して、銀行のバランスシートの負債側にある債務者、銀行にとっての債務者、これを保護するための投入なんです。仙谷先生ほどの人だったらみんなおわかりだと思うんです、これは。そういうものを一緒くたにして、この資産の買い取りも、これは不良資産の買い取りなんです。みんな法律で決めてあるんです。そういう法律の運用をゆだねられたのが我が金融庁なんです。一つ一つ、しかもそれは行政委員会方式で、絶対に間違わないようにということで、国民の中の識者を全部集めてこの運用に当たったのではありませんでしょうか。ですから、預金者の預金を全額保護するということの言葉の重みがここにあらわれているということです。

 ペイオフをこれから、四月から実施しますけれども、みんな、金融機関が破綻したら、負債側もある程度は負担をするというのが一般の企業の破綻の整理です。それを、そうしない。そうしなくて、その破綻をしたことによって生じた損失を全部税金で埋めます、これが金銭贈与十六兆であるし、損失補てん四千五百億であるし、後で問題になるかもしれませんが瑕疵担保特約。本当は、この瑕疵担保特約をつけなければ、損失として即刻あらわれたものなんです。

 そういうことを、みんな仙谷先生御存じなんでしょう。そういうことを全部合計して、非常に国民の皆さんを誤らせるような言辞を弄されるというのは、私は、法律の運用ということの重みです、それをぜひ御理解賜りたいと思います。

 

○仙谷委員 私の話をよく聞いてくださいよ。これだけの金額を使ったのがいけないと一言も言っていないですよ。ただ、部分的には、私は当時からずっと、金融債の問題、劣後ローンの問題、瑕疵担保の問題、あるいは査定の仕方の問題、いろいろちゃんと、こんなことはやってはいけないというのは、あなたに、あるいは当時の事務局長にずっと言ってきたじゃないですか。

 きょう、逐一やってあげますよ、時間があるから。問題は、そこをさておくとしても、それはまさに資産査定の問題につながる問題だから、私はやらなきゃいけないと思っているんだけれども、さておくにしても、これが現時点で効果があらわれていないということは何なのかということを僕は申し上げているんじゃないですか。

 あらわれているんですか。あらわれているんだったら、毎日毎日週刊誌や新聞で、経済危機だ、金融危機だ、そんな記事が載るはずないじゃないですか。アメリカに、毎回毎回、不良債権処理をやれとかなんとか総理が何で言われなきゃいけないんですか。

 一国のトップが、金融不良債権処理をやらなきゃいかぬよね君、なんていうことを、相手のトップに、それもアメリカの大統領に言われる。そういう事態になったことについて、もっと柳澤さん、責任を感じなきゃ、あなたは。私はそう思う。

 そんなに顔を真っ赤にして、金を使うのがいけないかのような、興奮してしゃべるような話じゃないですよ。少なくとも、国民の税金を使ったのは、ほとんどがあなたの責任で使ったんですよ、これは。そのことは肝に銘じてもらわなけりゃ、税金を払っている国民は浮かばれない。

 そこで、あなたにもう一点聞きましょうよ。いいですか。では、九九年の三月十二日の記者会見を覚えていますか。公的資金の注入を決めた、その後の記者会見ですよ。

 このときに最も問題になったのは、前年に佐々波委員会という、あれは金融機能安定化基金だったですか、そういうものを、我々からいうといいかげんな審査をして、いいかげんな入れ方をした。案の定、公的資金の注入を受けても、どんどん九八年につぶれていった。マーケットにつぶされていった。そこで、再生法ができ、我々は、そんな緩いというかモラルハザードを起こすような金融機能早期健全化法には乗れないと言ったけれども、むちゃくちゃに審議を進めて、自民党と公明党で通過させたんじゃないですか、健全化法を。それに基づいてやったのが一九九九年の三月の公的資金注入だったでしょう。

 そのとき、あなたは記者会見で何と答えましたか。佐々波委員会の二の舞はしない、聞かれて、絶対にそんなことはあり得ないとおっしゃったんですよ、そのときに。それから、基本的に、十一年三月期、つまり九九年の三月期には不良債権問題の処理を基本的に終了する。つまり、したということですな、する。つまり、三月の十二日に、三月三十一日には終了するとおっしゃったんですよ。

 今や、金融、経済関係で出てくる対応策というのは、これからそういうでたらめなことはやめた方がいいと僕は言うつもりなんだけれども、ずっとこの金融問題じゃないですか。不良債権処理の問題と、要するに金融機関の健全性の問題じゃないですか。財務体質の問題じゃないですか。

 では、この三年間せっかく、ここでいえば八兆、正確には七兆四千億ぐらいですか、当時入れたのは。それを入れて二年ぐらいはのほほんともったかもわからぬけれども、急におかしくなった。急におかしくなることが顕在化してきた。同時テロがなくても、ずっと言われていたじゃないですか。昨年のネットバブルの崩壊以降、どこかでおかしくなるぞということを言われていたじゃないですか。何か反論ありますか。

○柳澤国務大臣 もうちょっとその図表の話をさせていただきますが、国民の皆さんにおわかりいただくために申し上げますが、この金銭贈与、損失補てんというところが、これは行きっ放しの税金なんです。そうですよね、仙谷先生も御案内のとおり。ほかは、まあ佐々波委員会はなかなか難しい問題を含んでいますけれども、一概に言えないんですけれども、資本増強は、これはまさに資本金を入れたわけでありまして、これはいずれ、我々が普通株に転換して市場で売却するか、あるいは投入された金融機関が、注入された金融機関が利益でもってそれを返済してくる、こういうことが期待されているわけで、いわば資本性の取引でございます。

 そこで、私が一九九九年の三月の十二日に記者会見をしたということでございますけれども、そのときに、大手行でいっても、前年の佐々波委員会のときに十三兆、それから私どもが入れたときに十三兆、二十六兆の不良債権の処理をこの大手の金融機関、主要行と言われるところは行ったわけであります。そういうことで、それだけの処理損を出せば自己資本は当然かなり低下しますから、それを、先ほど言った、大手行だけだと五兆九千何ぼでございますけれども、そういう公的資金、これは八兆四千九百三十三億の一部でございますけれども、それを投入することによって自己資本比率を確保した、こういうことを私どもはさせていただいたわけであります。

 その後の不良債権の処理損の出現の仕方を見ますと、一挙にその十三兆からもうけた違いに違ってきて、そして不良債権の処理損というものがそんなには多くならない。まだ業務純益を上回る処理損が出ていますけれども、まずまずのラインでいっているということであります。

 私は、去年の十二月の四日でございますけれども、再びこの職につかせていただいたんですけれども、そのときの一番の問題というのは、株価の下落が自己資本比率に影響するんじゃないかということでありました。昨年の十二月ごろから株価は非常に低落しましたから、そういうことで私は国会でも随分論議を浴びたわけでございます。

 そのころから、また今度は、マーケットの悪口を言うわけにはいきません、マーケットには私も誠実に耳を傾けていくわけですけれども、マクロ分析から実は不良債権はもっと多額、巨額にあるんだというようなことでもって非常にいろいろなことが取りざたされてきましたけれども、我々は、自分たちがやってきたこと、皆さんにお見せしたいろいろな基準、法律あるいはマニュアル、こういうものの基本的なラインを崩さない範囲でマーケットの送ってくるシグナルをできるだけアコモデートする、取り入れる、こういうことをやって、今、総理の御指導のもとで努力をさせていただいているということでございます。

 

○仙谷委員 総理、もっともっと強烈に指導しないと、この金融庁という官僚機構と銀行業界の体質は、とてもじゃないけれども厳しい資産査定なんかできませんからね。

 お配りした資料の一番下を見てください。柳澤大臣、九九年の三月の十九日、衆議院の大蔵委員会、ちょうどこの公的資金投入をお決めになった次の機会に、つまり一週間後、私が質問に立って、これを提示して、金融庁のマニュアルどおり資産査定をしたら、第一勧業銀行と富士銀行、あえて言いますけれども、その時点で八%を切っているじゃないか、こういう指摘を私はしたんですね。金融再生委員長の??ごめんなさい、ちょっとお配りした資料が手違いがありました。それじゃ、ちょっと訂正します。

 三月十九日に、大蔵委員会で私がそういう指摘をしたことを覚えていませんか。そうしたら、当時の森事務局長が、いや、これは金融健全化法がつくられる以前の民間がやっている自己査定の現行基準でやったから、その基準によると八%は超えていたから健全銀行として公的資金の注入ができるんです、こんなお答えをした。私が、それは金融健全化法が引用する金融再生法の資産査定のやり方について、あなたは法律をつくるときにいなかったから全然知らないだろうけれども、私とかそこにいる石原さんはそこへ丸ごと突っ込んでいたから知っているのよと。そんな資産査定の仕方をしてはならないと。厳しく銀行の財務体質については査定をして、そこでたとえ公的資金の投入額が多くなろうと、それはやむを得ない。ただし、こういう場合には当然のことながら減資が要りますね、経営者の責任も必要ですねと。

 我々が当時申し上げておったのは、健全行に入れる、健全行だから入れるというふうなコンセプトのつくり方は間違っていると。今、はしなくも大臣おっしゃったように、不良債権の償却を進めていけば、資本不足に陥る可能性があったり、実際は資本不足に陥っている、その可能性があるから、正しく査定をして過少な部分に公的資金を入れて健全な財務体質にしましょう、そういう議論をし、主張をし、そういうやり方で公的資金の注入をやらなければならないということを申し上げてあったのに、今度もこんなごまかしのようなことをするのはけしからぬということで私が申し上げて、それで大臣が、当時の金融再生委員長たる柳澤さんが、これはちょっと私は今のところ判断できませんから持ち帰らせてくださいと言うので、質問が宿題になったままなんですよ。今までまだ宿題なんです、この話も。議事録を見てください、残っていますから。

 事ほどさように、やはり今株価が低落しつつあるから、それはおっしゃったときよりもはるかに、今だったらもっと低落していますよね、銀行の財務体質、体力が弱って、いよいよ問題が顕在化してくるということになってきたという認識がおありになるとすれば、やはりここの危機は深いという認識のもとに、本気でこれから取り組んでもらわなきゃならないんじゃないですか。どうですか。

○柳澤国務大臣 ただいま仙谷委員が触れられた九九年三月十九日の、私、大蔵委員会でございましょうか、予算委員会でございましょうか……(仙谷委員「大蔵委員会」と呼ぶ)大蔵委員会ですか、そのことを詳細に実は記憶はいたしておりませんけれども、私も当時でもその程度の知識はあったんじゃないかと回顧しますけれども、この健全化法におきまして減資を求められるのは、現に著しい過少資本行という場合なんでございます。

 もちろん、債務超過になっていない程度の健全行でなければ健全化措置の対象にはならないわけでありますけれども、仙谷委員御案内のとおり、対象は三つに区分されております。八%以上の健全行、それから四%から八%の自己資本比率を持っているもの、あるいは債務超過ではないけれども四%未満のものというものが区分けされておりまして、それぞれに資本注入に当たっての要件というものが決められているわけでありまして、今、仙谷委員がおっしゃられた減資を必要とするというのは、ゼロから四%の著しい過少資本の状況にある、そういう銀行に限られるということでありまして、私、突然の御指摘ですから、まだ記憶もそこまでは詳細に思い出すこともできないわけでありますけれども、しかし、この要件の程度のことは、私がそこで答弁に行き詰まって持ち帰るというようなことは申さなかったのではないか、このように、大変恐縮ですが、思うわけでございます。

○仙谷委員 私が人が悪ければ、とまって、今までずっと大蔵委員会は動いていませんよ。宮澤大蔵大臣が隣におって、これは大変だとうろうろしたじゃないですか。金融健全化法違反の公的資金注入だということが、私が指摘したら、答えられなかったじゃないですか、あなたも。それはいい。

 では、次に行きましょう。では、今お渡しした資料の四枚目。

 実は、これは柳澤大臣、ことしの七月の十九日に、外国記者クラブというんですか、そこで大臣が何か講演をされていらっしゃるんですよね。新聞にもそのことは報道をされておりました。

 要旨を申し上げれば、いわゆるマーケットのアナリストからは、金融庁あるいは自己査定の結果として発表されている不良債権の金額が少な過ぎる、二倍も三倍もあるという文章とか話が巷間流布されておる。柳澤さんが、幾らあってもそんなにはない、二五%ぐらいあるかもわからないという話をされたんですね。

 二五%を前提にして計算してみた、この二五%。不良債権が、今あなたがおっしゃっている、これは主要行だけですが、主要行が二五%さらにあるという前提。たった二五%ですよ。そうすると、計算すると、自己資本比率で、どうです、十五のうち八つが八%を完全に切っているじゃないですか。

 もしその種の疑いを柳澤さんが、大臣がお持ちだとすると、先ほど総理がおっしゃったように、より保守的に、より厳しく査定はやらなければならないという原則に立つならば、このぐらいの計算は金融庁だったら一時間もあればできるわけですから、では、どこにその病巣があるのかということで探らなければならない、そういうことになるんじゃないですか。その二五%問題、お答えください。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

 

 

 

○柳澤国務大臣 その講演は私もよく記憶をいたしております。どういうことを申したかと申しますと、要するに、金融検査については、私は二次にわたって改革が行われたという解釈をしているものであります。

 第一回目は何かというと、いわゆる早期是正措置絡みで、いわば引き当ての方も検査しなければいけない、それで自己資本比率というものをしっかりつかまなきゃいけないと。こういうことになったのが、大蔵省時代ですけれども、今まで資産の分類だけしてきた、そういう検査から、やはり一つ改革が行われた、これが第一次の改革です。

 それから、第二次の改革は、検査マニュアルというものが制定されたというのを第二次の改革と私考えているわけですけれども、この第二次の、金融検査マニュアルというものが制定され、それが適用されるという段階になったときに、正直言ってかなりこれは厳しいものでありましたので、その第一次の改革までで検査されたものに対して第二次の基準を当てはめるとどうなるかということを、まだ途中なんですけれども、実は、それからまた基準日も区々でありますけれども、仮に集計しておおむねの数値をつかもうとした場合でもこの程度でありますよと。

 しかも、その第二次の検査マニュアルによる検査というのはどういう状況にあるかといいますと、検査マニュアルが制定されたことによって初めて明確化された、こういういわば条件緩和債権というのが、今までやや、相手を支援する手紙が行っているとか行っていないとかというような末梢的な議論に終わっていたようなんですが、そうではなくて、同じリスクを持っている貸出先に新しく貸すと同じような信用リスク、そういうものを契約の更改時に上乗せしない限り、これは条件緩和債権なんだと。こういうように非常に厳しい、新しい基準とも言えないんですが、いわば明確化された基準というものを打ち出したわけでございます。

 そういうものが適用されますと、先般、ある行が非常に大きな要管理債権を表にいたしましたけれども、そういった形で、新しい検査マニュアルができたことによって、しかもそれが明確化されたことによって非常に、不良債権のうちの要管理、不良債権の一番上位に位するものですけれども、そういうものが増嵩をする、こういうことがあったわけでございまして、しかも、基準日も区々だということを今も申し上げたんですが、ですから、極めてテンタティブな数字として私あえて言うんですけれどもという、何重もの、私、条件をつけながら、誤解のないようにしてこの二五という数字に触れた、こういうことでありまして、そういうものとして御理解を賜りたいと思います。

○仙谷委員 このごろ世の中は便利になっておりまして、日本外国特派員協会にインターネットでアクセスしたら、ちゃんと大臣のそのときの発言がタイプになって出てくる。

 それを見ますと、テンタティブ、テンタティブとおっしゃっているけれども、「まだ極めてテンタティブに一部の主要行の検査の結果を仮に集計したところではどのくらいリスク管理債権が増大したかと言うと、まあ、二五%くらいと言っておきます。」これは確かにこう言っているんだ。だから、割と明確に言っていますよ、二五%ぐらいと言ったと。だからこれは、ある銀行の検査結果に基づくとそうだと言っている。

 この前に実は、これも我が党の、参議院では峰崎議員それから浅尾さんもやりましたかね、例のことしの三月末決算における三菱東京フィナンシャル・グループの五割増しの不良債権額の認定と公表という事態があって、私も質問しましたよね。これは、日本で最も優秀で、かつアメリカに上場しSECの審査を受けている銀行がこういうふうにちゃんと審査をして公表をしてきたんだから、ほかの銀行もやはりそういうふうにされた方がいいんじゃないですか、実態を早く正確に把握しないと治療の方法がわからないんじゃないですか、こういう話を申し上げたはずです。我が党の方から全部言った。

 ところがそのときに、いやいや、これは特殊な例でという答弁をされているんですよ。僕は夕べ一生懸命、夜の夜中までかかって速記録を読み直しましたから。これは特殊な例だとおっしゃっている。

 ところが、また、つい最近、マイカルが倒産したことによって、みずほグループとしても、三兆数千億を四兆二千億ですか、やはりもうこれを出した方がいいと、あるいは、そういうふうに厳し目に資産査定をして、しかる後にさあどうするかというふうに取り組まないと、あいまいなまま社内格付をし、分類、非分類に分ける分けない、あるいはそこに引当金を積むとか積まないとかということで、ずっと中途半端なままいっていたらろくなことがないというふうに三菱、みずほはついに決断をされたんじゃないかなというのが私の率直な感想なんですよ。

 今の大臣のお話を聞いていると、どうも、テンタティブなというのは、あるいはある銀行のというのは、そういうことを指していらっしゃるんですか。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

○柳澤国務大臣 余り技術的なことをいろいろ触れますと、そうだからだめなんだ、こういうことを言われかねないものですから私も非常にちゅうちょを感ずるんですけれども、率直に言って三菱、三菱と言っていいのか、個別の行名を挙げて論ずるというのは私はやはり避けるべきだと思うんですけれども、一般論として申し上げて、先ほど言ったように、いわゆる条件緩和債権、この条件緩和債権とは何かということが明確化されたわけです、マニュアルの制定後。そのことによって、そうした銀行も大幅に要管理債権を計上しなければならなくなった。つまり、条件緩和債権というものが、融資されているということで、これはやはり要管理債権なんだ、だから不良債権の一部なんだというふうに認識しなければならなくなったということ。

 これは、私、先ほどまさに言ったことをもう一回。具体の銀行を仙谷委員は提起されたんですが、私は具体の銀行に触れない、一般論としてそういうことを申させていただく、こういうことであります。

 また、マイカルのことについては、御質問があればお答えしたい、このように思います。

○仙谷委員 それでは、私、特にこの金融問題だけは、一九九一年の証券・金融スキャンダルからたまたま関与することになったものですから、ずっと、十年間やっているんですね。これはきちっとした総括をやらない限り、どうも質を変えて前へ進めないという考えにとらわれているんですよ。この三年間、特にそうなんですね。

 そこで、長銀の総括をちょっと国民の皆さん方にお見せしながらしたいと思うんですが、二枚目です、「長銀=新生銀行への公的資金投入額」。

 私もこんな金額になっているとは知りませんでしたが、佐々波委員会から資本注入されたのは一千七百六十六億円、これはもう消えてなくなっている。それから、ほとんどは金融債とか預金に払われておるわけでございますけれども、問題は、この株式含み益の二千五百億円をプレゼントしたとか、資本増強二千四百億円が、実は日本政府が買った株式は一株四百円で、リップルウッドが買ったのは一株四十一銭で、その一株と一株は対等の価値であったという、私は、そんなことはやってはいけない、こう申し上げたんだけれども、やってしまったというのがこの新生銀行の十億円の譲渡劇なんですよ。

 さらに、資産査定との関係で言えば、この瑕疵担保特約というのがどうにもならない。これは私の法理論からすると絶対に、民法五百六十三条だったですか、こんなものは使えない、でたらめだと声を大きくして委員会でも指摘したのでありますけれども、いや、これしか方法がないんですとおっしゃって、やった。私は、こんな民法の悪用というか曲解、曲用というのはないと当時も申し上げたし、今も思っております。

 思っておりますが、いずれにしても、これを瑕疵担保という名前で、実はそごうのような、買い手の方から見るとやや危なっかしい、回収見込みが、危険度が、ABCとあるでしょうけれども、ある債権を受け取るために、もし二割を超えて減価、つまり値打ちが減ったときには全額払いますよという契約をしたんですよ。それがこの瑕疵担保という名前で出てきている。

 大臣、今、要するに長銀をリップルウッドさんに売って新生銀行になってからどのぐらいの瑕疵担保の履行を迫られておるのか、件数と金額をおっしゃってください。同時に、日債銀もわかればおっしゃってください。

○柳澤国務大臣 この瑕疵担保特約と申しますのは、たびたび議会でも我々御説明させていただいているわけですけれども、結局、再生法に、契約が成就した、譲渡が完了した後にさらに追加の支払いをするというような条項が、住専の処理の法律などと違って存在をしなかったわけであります。

 ところが、二次ロスについては何らかの手当てをしなければいけない、できるだけ譲渡を早くしなければいけない、こういうようなことのいわば窮余の一策みたいな形で、それでは民法に売買をする当事者の間の公平を図るために瑕疵担保という法理があるではないか、こういうことに気がつきまして、この法理をここに適用できるかということについては、金融再生委員会内の法律家を初めとするいろいろな分野の権威のある方々にも十分御相談をした上で、やはりこの瑕疵担保特約をつけて早く譲渡をする、そういう結論に達したということでございます。

 今この瑕疵担保特約がついている契約というのは、結局新生銀行とあおぞら銀行ですか、旧長銀と旧日債銀のみでございますので、先生ここで表にお書きになったところが現在の支払いを行っているところということでございまして、その後のことについてはまたそれぞれの時期に、私ども、この法律に基づきまして、破綻金融機関の処理については大体六カ月に一度国会に報告書を送るように、こういう法規に基づきまして報告書を送りますので、そのときに明らかにさせていただきたい、このように思います。

○仙谷委員 いやいや、ついせんだって出たじゃないですか。それで、報告書には件数と金額しか書いていませんから、私の方で、国民のお金をこんな格好で、何とかに追い銭みたいに追い銭を払った、それは国民感情からしたら納得できないですよ、こんなものは。それで、名前を出してこいと言ったら、二社の名前だけは出さないで私のところに持ってきましたよ。ということは、多分法的な手続か何かの、整理の手続か何かに入っているんですよ、これは。

 私に持ってきたのは、そごうグループ三十八社を含めて、長銀の方は五十五社、実際の追加払い額は千五百五十六億円、債権総額は二千六百五十八億円、それから日債銀、こちらの方は、そごうグループ十二社を含めて合計十六社、債権総額が三百七十三億円、支払い額、つまり追い銭が二百十二億円、こういうふうに報告書にも書いてあるし、具体的な名前までありますよ。

 私は、我々の感覚が麻痺して、一千五百五十六億円なんという金が小さい金のように思っているのかもわからないけれども、決してそんな金ではない。やはりこういうものが、つまり、今私質問していましても、大臣席でもこちらの席でも、えっ、そんなことあったのという感覚で皆さん聞いていらっしゃる。それは、いかに国民にもディスクローズされないまま、悪く言うと、やみからやみへこういうことが行われようとしているかということに近いんですよ。本当ですよ、これは。

 僕は、こういうやり方でやる以上、国民が、日本の金融システムは非常に大事だ、だから、あるときは税を大量に投入してでも守っていかなければならないということになかなか理解がいただけない。むしろ、まだ政治家の連中が、何かでたらめなことをして、いいことをして銀行だけ助けるみたいな話にしかならない。だから、税金を使うときには、ある意味でシビアな感覚で、銀行を助けるとか、銀行の取締役がかわいそうだとか、彼らがいろいろ泣き言を言ってくるから助けなきゃいかぬとか、そんな気分に一厘でもなったら間違いだと思うのですよ。どうですか。

○柳澤国務大臣 私も、実は昔、税務署の署長をやりまして、本当に、もう何万円の税金を最終的に徴収するためにどんな現場があるかというようなこともそれなりによくわかっているつもりの人間であります。そういう意味で、この国民の税金というものがどんなに大事なものかということについては、私なりに理解をしているつもりでございます。

 そこで、そういう前提であっても、この瑕疵担保の問題について申し上げますと、瑕疵担保の特約を契約の中で入れましたということは、契約のときにももう十分これは公表を、私は実は契約のポイントのところまでやっていたという記憶なんですけれども、そのポイント、概要を発表するときにも、この瑕疵担保特約をつけさせていただきましたということはもう国民の皆さんに公表しておりまして、決してやみからやみにこういう条項を入れたというものではありません。

 それから、仙谷委員はもうこんなことは釈迦に説法ですが、国民の皆さんに御説明ということですけれども、もしこれを譲渡のときにRCCに送ってしまっておりますと、同じような損失がその段階で出る。だから、いわば損失の出現するというか表現されるタイミングのずれの問題なんだということは御理解を賜りたい、こう思います。

 

○仙谷委員 だけれども、それは随分違うんじゃないですか。長銀の資産を適と不適に分けるときに、手心を加えたとは言わないけれども、何らかの政治的な思惑かあるいは、僕は、ある意味で極めて政治的な、もしその時点で不適債権に認定したら、その会社が倒産するばかりではなくて、日本の銀行のこの貸し込み合いという風習からして、各主要銀行ですらおかしくなる、財務がおかしくなる、健全性がおかしくなる、そういう判断を金融庁がしたのかな、こういう想像をしていたんですよ。そういう判断を働かせてこんな無理なことをしたのかなと。

 しかし、のど元過ぎれば熱さを忘れるだけれども、一九九八年の金融再生法が通るとか通らないとかという寸前の緊迫感は、長銀を国有化した後は、私に言わせれば緊張感なくなりましたよ、それは。それから、金融健全化法で公的資金の注入をやってからはなくなりましたよ。そこで旧来の何とか体質に返ったんではないかと私は見ているんですね。

 だから、私が大蔵委員会でもそのときに指摘したけれども、適債権にした会社が、たった二、三カ月の間で、十二ぐらいだったですか、債権放棄の要請をしてきた。それは皆さん方がよく知っているゼネコン、ゼネコンなんか五つぐらいあったじゃないですか。今株価が三十円ぐらいでおるじゃないですか。そういう会社を適債権にした。後講釈じゃなくて、やはりこれは、そのときの資産査定がただ先送り、先延ばしにしかすぎなかったんじゃないかということを私は今改めて反省をしなければ、このやり方を続けていく限り、失われた十年が失われた二十年になる。そして、そのうち、余裕のある三十数兆円を出せないうち、日本の国債が信認を受け得られなくなるときが来る。そういうふうに心配するから、危機感を持っているから申し上げているんじゃないですか。事は急ぐんじゃないですか。

 例えば、柳澤大臣じゃなくて竹中大臣に聞きましょうか。どうですか、緊迫感。どのぐらいの危機感を持ってやったらいいんですか、竹中さん。

○柳澤国務大臣 大変恐縮ですが、竹中大臣御答弁の前に、先ほど触れられた問題について、私の考え方を申させていただきます。

 それは、いわゆる資産判定の問題ですけれども、まず再生法というのが仙谷さんたちの努力で結実したわけですけれども、やはりあのときの考え方の中に、預金者の保護だけではなくて、債務者というか、貸出先の保護というか、あるいは金融の機関からいえば金融機関の仲介機能の維持というものが重視されていたというふうに私どもは考えておりました。したがって、それはRCCにどんどん送ってしまえば非常にいいわけですけれども、やはりそれではこの本来の再生法の趣旨とは違うのではないか、こういうのが委員の中に共通に流れていた気持ちだったということを私は申させていただきたいのが第一点です。

 それから第二点は、資産判定については基準をつくれ、そしてそれはあらかじめ再生委員会が公表しろ、これも法律が命じているところでありまして、そういう意味で、基準をつくり、公表してあるわけです、事前に。その基準に基づいて我々は資産の判定をさせていただいたということ。

 この二点をぜひ御理解賜りたいと思います。

○仙谷委員 だから、思いは同じだったのか、それぞれちょっとはずれていたのか知りませんけれども、要するに、あの時点でも、金融機関を正常化というか健全化というかしない限り、この貸し渋り、貸しはがしはなくならないと。そうですよね。ますますうみが大きくなる。金融仲介機能や信用創造機能が発揮できるような金融機関をつくらなければならないじゃないか、少々手荒いかもわからぬけれども、資産査定は厳しくしようじゃないか、そういうことを話し合って、再生法に結びつき、最後、健全化法は不幸にして一緒にならなかったけれども、少なくとも私は、そういう理念のもとにあの時点での手術が行われるんじゃないかと思っていたんですよ。

 ところが、一つずつ、あれ、これはモラルハザードを起こしかねないな、これじゃまた第二次、第三次紛争みたいのが起こるなと。現にそごうで起こりましたでしょう。それはたまたまじゃなくて、あらかじめ予測のつくことというのはあるじゃないですか、多少は。それに、マーケットの動向等々に大きく反してはならないということも一つの教訓だったと思うんですね。

 そこで、本題に入ります。

 改革先行プログラムの中に金融庁関係でいろいろなことが提起をされておるようでございますけれども、目新しいのは、特別検査と、それからRCCに簿価で買い取らせるという新聞記事が出ましたけれども、何かどのぐらいで買い取らせるのかわからぬけれども、要するに買い取り価格を弾力化させるというまたまたいいかげんな話が出てきているなという、この二つ目。三つ目は、株式買い取り機構。銀行だけから株式を買い取るという、これも私に言わせれば、先進国でよくこんなことを考え出す人がおるな、こういうことでありますが、この三つですよね、目玉は。

 この特別検査というのはいつから始めるんですか。

○柳澤国務大臣 特別検査は、そこに記させていただいておりますとおり、銀行の決算前の自己査定の段階に立ち入りをして検査をする、こういうことになっておりますので、直近で申しますと大体一月から三月ということになりますが、もちろんこの検査は非常に微妙きわまる検査で、どこどこの債務者が着目されたとかなんとかということが憶測を呼んで、風評リスクというものが顕在化するというおそれが十分あります。

 そこで、慎重の上にも慎重を期してやらなければならない、こういうふうに我々考えておりまして、そのための準備をその実施の時期までに費やしたい、このように考えているわけであります。

○仙谷委員 きょうが十月の四日、何で年内にすぐにできないんですか。

○柳澤国務大臣 要するに、この検査は、検査という名前がいいかどうかなんですけれども、自己査定のときにマーケットの送っているシグナルをどういうふうに考えているか。つまり、いやそれでもマーケットの方が間違っているよ、そういう主張も十分あり得ると我々考えているわけでありまして、やはりそれに対しては、マーケットはこういうシグナルを送っているじゃないか、これはかくかくしかじかの分析に基づいて行われているんじゃないかということで、やはり正すべきは正す。この両方の論議を自己査定のときに行いたいというふうに考えておりまして、自己査定が行われているときでないとやはりこれは、通常の検査のように、もう既に実施された決算についてその適正、的確性を判断するのと違うものですから、そういう意味で、自己査定に合わせての時期ということにならざるを得ない。それまでは本検査の制度あるいは基準というものの作成に時間を使いたい、このように考えているというわけであります。

 

○仙谷委員 せっかく特別検査があるという、これはまさに特段の措置をやろうと。これは改革先行プログラムに書いてあるんですか。だから、小泉内閣のまさに柱、前提である不良債権処理の、さあ今からやろうという話が、来年にならないと始まらない。マーケットの方は待ってくれるかどうか、私知りませんよ。

 現に、さっきも申し上げたように、大手三十社問題がどうのこうのという話がありますけれども、そういう、ある種、大手三十社という眼鏡をかけて一生懸命日本の株式欄と社債欄を見ておりましたら、ああ、確かに三十ぐらい危ないのがあるなと思うじゃないですか。何ですぐ特別検査に入らないんですか。

 つまり、その会社のためじゃなくて、銀行の財務の健全性が果たしてあるのかないのか。危なくたっていいんですよ、銀行がちゃんと引当金を積んでいれば。危なくないじゃないですか、何が起こっても。引当金を五%しか積んでいないところが突如どかっといったら銀行までおかしくなるという話なんじゃないですか。我々が重要なのは、銀行の機能、銀行が健全に機能を発揮してくれるかどうかの方が重要なんです、とりあえず。

 そして、この間のマイカルのように、これはまた後で時間があればやりますけれども、銀行がちゃんとそこを行内格付をしていないことによって、社債の格付にまで影響して、素人さんが大変な被害を受けたという事件がマイカル債で発生しているじゃないですか。そのために、二十日か何か、どこか証券業協会か何かへ行って、そのことを言ったかどうかは別にして、一人のふらちなやつがおったら証券業界が不信を買うという演説をされたんでしょう。そうじゃなかったんですか。マイカル債の事件を知らないですか、マイカル債。どうぞ。

○柳澤国務大臣 仙谷委員御案内のとおりでございますけれども、各企業は必死になって生き、また自分たちの事業活動を通じて社会に貢献しようということで、それぞれ頑張っているわけであります。それを、いわゆる風評というようなもので殺すことも簡単なんですけれども、我々は、私どもの立場は、絶対に風評で企業を殺すというようなことがあってはならない。

 したがって、風評リスクというのは起こしてはいけない、こういう考え方をとっているわけでありまして、三十社というようなことでいろいろなリストが出回っておるようでございますけれども、そういうことで取りざたをして、何とか立ち直ろう、あるいは何とか頑張って生き抜こうとしているそういう人たちに、大変なむちを当てるというか、そういう厳しい目に遭わせるということを、我々は、金融当局としては決して望んでいない、またなすべきことではないというように考えております。

 そういうことで、我々としては、引き当てをしていればというお話もありますけれども、もちろん引き当てについても今回の改革先行プログラムでいろいろな工夫をさせていただいておりますけれども、これもまた仙谷委員御存じのとおり、株主の権利との、債権者の保護とのぶつかり合いの場面でして、そう引き当てさえ厚く積んでおけばというので、えいやといって腰だめでもっていろいろなことをやれるというような制度ではないということ、これまた御案内のとおりかと思います。

○仙谷委員 では、ちょっと横道にそれますが、マイカルで昨年の一月と十月、一月に四百億、十月に五百億のマイカル債が個人投資家向けに発行されて、結局、今デフォルトを起こして、この人たちがどのぐらいの配当になるかわからないんですね。

 もっと言えば、日本の、ここからがちょっとしたというか大きい問題なのは、社債管理会社というのがあるんですってね、社債を発行するときには。社債管理会社が銀行が七行ですか、この七行の銀行は全部、一般債権の貸し主でもあるわけですね。社債を管理する仕事と、貸し主である仕事と、株主である仕事を全部やっているというんですよ。この九百億がどうも貸し主である銀行の債権回収に回ったんじゃないかという疑いが出ているというんですよ。そうすることは十二分にあり得ると僕は思いますよ、お金には色がついていませんから。

 事ほどさように、問題は、だからマイカルがもしマイカル債を発行するときにちゃんとした格付に基づいて、例えばそれは、百円のものが二十円だったら買う人もリスクをとって買っているわけだからいいわけですが、そうじゃないときに買った素人さんというか普通の人々は目も当てられないことになるわけですよ。

 だから、普通の市民にも被害が及ばないようにするためには、やはり最初は銀行の借り主に対する査定が厳格に行われるべきだ、それから第三者の格付の評価も受けるべきだ、社債の管理会社と貸し主はやはり別でないと利益相反行為を起こす、これはいろいろな教訓が生まれると思うんですけれども。かといって、社債を買ってなくした人はお金返ってきませんから、あるいは利息も入ってきませんから、大変なことになっているということなんですよ。この話知りませんか、大臣。

 私は、九月二十日に全国証券大会があって、柳澤大臣が来賓として行かれて、個人投資家を中心としたビジネスモデルの構築に努めてほしい、こう言われて、一人だけ法令違反を犯すやつがおれば業界全部がおかしくなるとおっしゃったから、これは多分このマイカル債のことを多少イメージしておっしゃったのかなと思っていたんです。御存じなかったですか、このマイカル債の問題。

○柳澤国務大臣 私、記憶がよみがえりまして、大変恐縮でした。

 証券業大会に行きまして、私もそういう趣旨のあいさつをいたしたわけですけれども、そのときに、何か具体の事案が念頭にあってそういう表現をしたということでは実はございません。そういうことで、そういう事案を念頭に置いて、今仙谷委員が言われたように私が言ったというのは、ちょっと、大変恐縮ですが、誤解と申しますか、そういうことでございます。

 そこで、私、あえて申させていただきますと、結局、格付会社というのも、その後急激に落とすわけですね。四段階もある特定の会社の格付を落とすというようなことをやって、そのためにマイカルは資金繰りに窮して破綻をしてしまうわけですけれども、余り申しちゃいけないことかもしれませんけれども、マーケットの格付会社ももう少ししっかりやっていただければこういうことはなかったんじゃないかと、あえて申させていただきます。

○仙谷委員 ちょっと話が飛び飛びになりますが、健全化の計画に基づいて例の公的資金を注入したところにフォローアップされていますね。私は、この中でどうしても納得できないことがあるんです。リストラ状況が、真剣にやっているかどうかという点は、これは各行いろいろあるでしょう。私も言いたいことはあるけれども、細かいことを言ってもしようがない。

 ただ、一つだけ、これは世の中に対しても大変大きい悪い影響をもたらしていると思うのは、役員に退職慰労金を出しているんですね、これは。つまり、国民から、さっきあなたがおっしゃったように、半分、実質借りたような格好にして、そういう部分があるわけでしょう、公的資金というのは。ところが、役員が退職するときに、あなたは功績がありましたから御苦労さんという、この退職慰労金を支給することを会社が決定し、取締役以上でしょうね、役員がもらっている、それを金融庁が認めている。ここが私は、大変なモラルハザードを起こしているんじゃないかと。何だ、だれが責任を持っているんだ、だれが責任をとっているんだ。

 後から申し上げるけれども、その銀行が、こんなにアメリカからも毎回言われるような、あるいはさっきも申し上げた、マスコミにも書かれるような事態でなければいいですよ。何なんだと、これは。この点はどうですか、金融庁。

○柳澤国務大臣 これはオフレコでの会合の話ですから、私がこういうようなところでこれを申させていただくのはルール違反ということを、ある意味でそれを犯すという意識を持って申し上げざるを得ないのですけれども、この点については、私どもも、到底認められないということを申し伝えてはあります。

○仙谷委員 これは、もし金融庁の御意思がそうだとすると、やはり公的資金を投入した銀行には、もう少し、役員、特にトップ層に対しては厳しい何らかの措置があってしかるべきなのではないですか。この役員の退職慰労金だけは私も認められない。これは返還請求でもしたいぐらいですね。つまり、株主代表訴訟を国に起こせと言いたいぐらいなんですよ。権利があるんだから、ちゃんと商法の規定に基づいて。

 ねたみややっかみで言っているんじゃないんですよ。つまり、本当に、ある雑誌で、この種の責任感覚のなさ、無責任さをリーダーたちが持っていることが日本の今の全社会的なモラルハザード、無責任体制になっているんじゃないか、なっているという議論が、極めてまじめな人が書いているんですよ。それが頭に残ってた、気になったのです。私もそう思う。これは絶対に許してはならない。

 これは総理、金融庁に命じて、具体的な何か措置をとってください。

○小泉内閣総理大臣 仙谷委員の言うことはもっともだと私も思っております。

 柳澤大臣も、言葉を慎重に選んで、恐らく仙谷委員の持っておられる憂いを共有していると思います。それができないところに問題があるんじゃないかと。こういう甘い査定あるいは責任感のなさ、こういうことに対して、もっと厳しく企業責任、経営責任を持ってもらいたいと。これが行き届くように今柳澤大臣も真剣に検討しております。

 今後、まさにこの点につきましては、企業は人なりという言葉がありますけれども、経営は人なり、人がどうなんだという点も含めまして、今仙谷委員が言われた憤りの念、憂慮の念、これを今後の行政運営に対してどうやって生かして実効あるものにしていくか、懸命に努力をしていきたいと思います。

○仙谷委員 特別検査について、ちょっと最後までやっておきます。

 特別検査をやられたら、これは当然のことながら、個別の引き当てをちゃんとなさるという前提で特別検査をやるのでしょうね。

○柳澤国務大臣 特別検査の結果、破綻懸念先に区分されるべきだということになれば、当然これは個別引当金を積ませるということになります。

○仙谷委員 いや、要注意先だったらどうですか。要注意先でも、今までは例えば三%とか二%の引き当てしかしなかったものを、やはり五%とか一五%すべきだという意見がありますよね。各銀行のその種の社内格付を、ランクをちゃんとせよみたいなことを金融庁が言って、多いところは十何ランクあるところがあるじゃないですか。だから、それだけつくるということは、引き当ても、個別引き当てを相当数つくる、やる。特別検査をやるということは、そういう個別引き当てをやる、商法の原則に返って、あるいは、企業会計原則に返って個別引き当てをやる。資本をそのことによって少々毀損しても、その指導をするということでなければ私は意味がないと思いますけれども、いかがですか。

○柳澤国務大臣 法律の専門家であられる仙谷委員から、返済が不可能になるおそれがある先については債権の保全という考え方のもとでの引き当て、つまり個別引き当てをするようにと、この商法の規定をどう読むかという問題なんです。

 私どもは、要注意先というのは、別に、債権の返済に重大なおそれがあるというふうには読めない債権が要注意先債権ではないか。したがって、要注意先債権、要管理を含めてですけれども、要注意先債権までは一般貸倒引当金で対処すべきものだ、このように考えておりまして、ただ、そうは言い条、要注意先の行内格付において、マーケットの状況をよく酌み取ったような引き当てというものが実現されて、そして、それはほかのものとひっくるめて一般貸倒引当金ということで会計上は処理されるんですけれども、その積算の過程で、そういった引き当てが充実されるような、結果を招来するような格付というか、そういうものを工夫するようにとは申しておりますけれども、私どもは、要注意先債権の引き当てというのは一般貸倒引当金の世界ではないか、このように考えております。

○仙谷委員 柳澤さんがその方針を明確に変えたということをマーケットにメッセージを送らない限り、さっき言った、総理の言ったマーケットの大臣に対する信認回復は多分ないと僕は思いますよ、今聞こえてきている声は。

 時間がもうほとんどございませんで、わざわざお呼びして発言を求めなくて申しわけなかったのですが、日銀総裁、速水さん、今の日本の金融問題というか、金融危機とかいろいろ書かれておりますけれども、総裁からごらんになっておって、各金融機関、これに対しては、本当は日銀としてはどういうふうに希望として考えているんですか。つまり、じゃぶじゃぶにお金を出しているけれども、余り使ってくれない、国債ばかり買っているというのも一方にございますよね。一方には、マーケットからは何か怪しげな、怪しげなと言うとおかしいけれども、攻撃的な声が随分ある。どういうふうにごらんになりますか。

○速水参考人 先ほどからのお話を伺っておりまして、私も九八年のころからずっと総裁をしておりますから、ずっと見ておったつもりでございます。九八年の当時に比べますと、大手銀行、特に公的資本の投入もありましたし、資本基盤が増強されまして、現状では金融システムの安定というのはあのころよりはずっとよくなっていると思うのです。

 ただ問題は、そこへ加えて今度小泉内閣での構造改革で、先行プロジェクト、あるいは工程表の中であれだけのことが書かれてきて、真っ先にやるということになっているわけですから、その点私は非常に、これからさらによくなっていくだろうというふうに思っております。

 しかし、これは銀行というのはやはり信用問題でありまして、ただ法律だけであるいは行政だけで押さえているものじゃないので、お客さんはみんな世界じゅうの預金者であり借入人であるわけですから、その銀行自身の経営に、やはり信頼されなければ敗者になってしまうんですから、そこのところはこれからが戦いだと思うんですね。

 私は、九八年のときに一番強く言われましたのは、グリーンスパンなんかが盛んに教えてくれましたのは、銀行に今不良貸し出し、大事なことは三つあると。

 一つは、やはりバランスシートから、悪いのは落としていけと。それから二つ目は、資本金ですね、資本金でもコアキャピタル、本当に償却に使えるキャピタルをふやしなさいというもの。ただ一一%、二〇%でなくて、コアになり得るキャピタルをふやしていきなさいよと。それから三つ目が、不良貸し出しでなくても、要注意で、不良貸し出しにどんどん入っていくのがあるんだから、その辺のところをよく判断して、育てるなり、仕方がなければ破綻するなり合併させるなり、その判断を早くするように指導しなさいよというようなことを教えてくれました。

 まさにそのとおり、今これからやるべきことはそのことだと思うんですね。それは、やはり自己査定であり、自己検査であり、その辺の、自分が自分の経営をしっかりやっていくということが一番大切だと思うんです。それができなければ敗者になるんです。そのことだけを言わせていただきます。

○野呂田委員長 次回は、明五日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会