2000年7月17日 大蔵委員会

○萩山委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑を続行いたします。仙谷由人君。

○仙谷委員 いわゆるそごう向け債権放棄問題と言われている問題でございますが、松田理事長を含めて大蔵大臣あるいは再生委員長、いずれでも結構なんですが、六月三十日に記者会見をなさって、再生委員会が了承した、つまりそごうに対する新生銀行の債権の引き取りといいましょうか、これを了承、さらに加えて、政府として、国としてといいましょうか、そごうに対する債権が預金保険機構のものとなった暁にはこれを一部分放棄するという発表をなさっておるわけでありますが、これは多分法律上の意思表示だと思うのですね。この意思表示は現在どうなっているのでしょうか。

○久世国務大臣 大変失礼いたしました。ちょっと聞き取りがたかったもので、今承りましたので、お許しをいただきたいと思います。

 今御指摘の点でございますが、金融再生委員会といたしましては、そごうが自主的に判断をいたしましたその決定を一応了承したわけでございます。

○仙谷委員 全然質問に答えていないじゃないですか。了承しようがしまいが、法律行為をなさっているのですよ、再生委員会は。その法律行為はどうなったのですか。撤回をするとか効力がなくなったとかなんとか言わなければ、法律上の問題じゃないのじゃないですか。極めていいかげんな話になるのですよ。

 もう一問聞きましょう、時間がありませんから。

 再生委員長、そごうが自主再建の道という、きれいごとを言えばそういうことになるのだけれども、国に債権放棄をお願いするのを断念した、こういう意思表示をされておるわけでありますが、この時点に至っても再生委員長は、この債権放棄あるいは新生銀行からの対そごう向け債権の買い取りということは正しかった、債権の放棄も正しかった、こういうことを新聞記者さんの前でおっしゃっておるようですが、今もそのお気持ちは変わらないのですか。

○久世国務大臣 前委員長時代でございますが、再生委員会として決定をいたしましたことは、苦渋の決断をされたことにつきましては、私はそれは正しかったと思っております。

○仙谷委員 これは大蔵大臣も関係あると思うのですが、一体こんなことがどこでどのように決まって、この問題についての内閣の責任はどこにあるのか、これが大問題だと私は思っているのですよ。

 つまり、内閣に何か説明されたというふうな報道を見ますが、この債権放棄に内閣、政府はどこまでかかわって、どういう責任を持っているのですか。

 大蔵大臣、当時の金融再生委員長とこの点について、財政当局者として、つまり資金の出し手として何か相談を受けなかったのですか。あるいは、受けたけれども、いや、これは正しいと、ずっとインタビューに正しい正しいと言っていますよ、大蔵大臣も。このことについて、政府としては何らかの意思決定をしているのですか、していないのですか。どういう責任を持つのですか、こんな重大なことを決めたときに。

○久世国務大臣 六月三十日に、預金保険機構が行った債権放棄につきまして金融再生委員会は了承したわけでございますが、その後の閣議におきまして前委員長が報告をしたと承っております。

○仙谷委員 内閣では、了承とかそういう行為はないのですか。

○久世国務大臣 午前中も答弁をいたしましたが、金融再生委員会は、三条委員会としての組織でございますが、国務大臣が委員長の地位にあるわけでございます。そこが、議院内閣制のもとにおける内閣と行政委員会としての金融再生委員会の接点になろうかと思うわけでございますが、了承いたしましたのはあくまでも金融再生委員会でございます。それを、国務大臣としての前谷垣委員長が、閣議におきまして内閣の一員として報告をしたわけでございます。

○仙谷委員 政治の責任というのは全くないじゃないですか、今の議論だと。行政府の責任もないですよ。だからこんなことを与党の政調会長にやられて、何かいいことが起こったみたいな平気な顔をしていられるのじゃないですか。どこに行ったのですか、政府の責任は。

 あなた方が正しいと思って決めたことが、与党の政調会長が一言相手に言っただけでひっくり返る、そんなことが起こっていいのですか。世の中には、政治とか行政というのは筋がなければいかぬじゃないですか、原則が。情けないことを言いなさんな。私は本当に、自民党の与党としての統治能力は全くなくなった、その象徴だ、そうとしか思えない、こんなことは。

 行政府が堂々と責任を持って、いいか悪いかはこれから私が議論してあげますから、こんなことが許されるはずはないということは、もう八カ月も前から私は言っているんだ。ところが憶面もなくやった。ところが国民の批判が、この債権放棄という言葉に対する感性的な批判、それがうわっと巻き起こったらこれに迎合して、まさにポピュリズムですよ。

 あなた方、正しいと思ってやったのだったら、国民が何と思おうと、これでなければだめだ、そういう政治じゃないと困るのですよ、今のような日本のこんな局面では。だれが責任を持つのですか、この恥ずかしい事態を。恥ずかしくないのですか。どうですか、再生委員長、大蔵大臣。政府が決めたことが、民間私企業の単なる意思の変更によってひっくり返った。与党の政調会長が慫慂してひっくり返った。与党と内閣の関係はどうなっているのか。こんな筋の通らない政治が行われていいのか、そういうふうに思われる方はいらっしゃらないのですか。どうですか、大蔵大臣。

○久世国務大臣 先ほども申し上げましたように、これを決定いたしましたのは、あくまでも企業としてのそごうが、世論それから六月三十日以降に取り巻く環境が本当に著しく変わった、それをいろいろ熟慮の上決定したわけでございまして、ただいま御指摘のありました、与党の政策責任者が一つの意見として言われた、しかし私は、そごうはいろいろと六月三十日以降も、特に国民の声というものをどのように受けとめるべきかということについて熟慮をしていたのだろうと思います。

 それで、政策責任者の御意見というのも、それは聞くべき一つの大きな意見であったことは間違いないわけでございますが、今委員が御指摘になりました政治と行政との関係につきましても、これは先ほど申しましたように、三条委員会という、独立性が非常に高くて、中立公正な立場で委員がいろいろの議論を経た後に決定したものでございますので、再生委員会が預金保険機構の債権放棄という意思決定を了承したわけでございますので、その政府としての了承をした責任は、あくまでも金融再生委員会に了承した責任はございます。

 しかし、それを前委員長は内閣の閣議におきまして報告をされましたのも、内閣の一員としての国務大臣である金融再生委員長として内閣にそれを行政としての報告をし、政治の場における内閣、かつ行政と政治との一致点であります内閣というところにおいて報告をしたわけでございます。

○宮澤国務大臣 ただいま久世国務大臣の答弁されたとおりと承知しております。

 

○仙谷委員 政治の責任を民間私企業に押しつけて話は済むものじゃないですよ。本当に情けないと思います、私は。これは本当に、まさに日本の政治の衰弱を示して余りあるんじゃないか。宮澤大蔵大臣が総理大臣のころだったら、こんなことは許されないと思いますよ。一人ででも宮澤さんは抵抗したんじゃないですか。こんなことが起こって、平然と何かいいことが起こったように与党の皆さん方は思っている。与党と内閣の関係というのを考えれば許される話ではない。こんなものは議院内閣制のイロハのイじゃないですか。

 時間が過ぎていきますので、次の問題に移ります。

 もう一遍久世委員長にお伺いするのですが、そごうあるいは新生銀行から債権を引き取ってくれ、さらにそごうから放棄してくれ、このことを了承した、この再生委員会の決定は正しかったのですか、間違っていたのですか。

○久世国務大臣 再生委員会の決定は正しかったと思います。

○仙谷委員 そうすると、それが覆ったわけですから、だれかが責任をとらなきゃいかぬですね、正しいことをしてそのことが通らないのであれば。そういうことになるんじゃないですか。だれが責任をとるのですか。

○久世国務大臣 先ほども申し上げましたように、そごうが自主的な企業としての判断で取り下げたわけでございますので、問題の事案そのものがなくなった。それが事実でございます。

○仙谷委員 今のはお答えになっていない部分があるのですよね。

 それじゃ、ある種瑕疵担保特約に基づく債権の引き取り要求に対して、再生委員会がオーケーと、意思表示は合致しておるわけですが、この合意は法律的にどうなっているのですか。

○久世国務大臣 新生銀行は、解除権を行使するに当たっての判定日、これは六月二十一日だったと思いますが、そこでそごうからの債権放棄の要請を既に受けておりまして、これを瑕疵の発生原因として二割以上の減価が生じたとして、解除権行使を通知してきたものでございます。

 この解除の通知に対しまして、預金保険機構は解除権行使に同意する旨の通知をしており、解除の効力はその時点において発生をしたものだと思います。一度発生をいたしました効力はその後の事情の変更によって影響を受けるものではございませんので、そごうが債権放棄要請を取り下げたといいましても、新生銀行の解除権行使に影響を及ぼすものではないと思っております。

○仙谷委員 そうすると、合意解約が成立した、こういう法律構成になるわけですね。

 そうすると、再生委員会の事務局の方から説明に来られたときに書面を持って来られましたけれども、こういうことになるわけですね。同グループ向け債権を引き取ることとし、実質価値一千億を新生銀行に支払い、額面二千億円の当該債権を取得する、こういうふうに書いてあるわけですよ。

 これはそのまま生きているわけですね。いつ履行なさるのですか。

○森政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま大臣が答弁されましたとおり、解除権行使は六月二十一日に行われまして、預金保険機構がそれに同意した以上、その効力は生きております。ただ、債権の移転手続はこれからいたすことになります。

○仙谷委員 いつするのですかと聞いていることに全然答えていないじゃないですか。いつするのですか。

○松田参考人 新生銀行の方から解除権行使に伴って申請のありましたのは三十八社ございます。解除権の行使の通知を受けて、私どもは再生委員会の御了承を得た後で同意の通知をいたしておりますので、ただ、その解除権行使について同意はいたしましたけれども、実際の債権の対抗要件である登記の移転その他はこれからかかりますので、八月いっぱいぐらいはかかるのではないかなと思っております。

○仙谷委員 そうすると、そごう向け債権については既に一千億円の引当金を積んである、さらに一千億円を国民の税金から支出をして新生銀行に支払う、これを八月中にやる、こういうふうにおっしゃるのですね。

○松田参考人 日時が八月中になるか、ちょっとはっきりいたしませんけれども、合意ができている以上、その契約にのっとって実質価値はお払いいたします。

○仙谷委員 先ほど読み上げた中に、実質価値一千億円を新生銀行に支払い、額面二千億円の当該債権を取得するというふうに書いてあるところに、正確に言えばごまかしがあるですね。つまり、既に一千億円の引当金は積んである、だから二千億円の債権を二千億円で買う、こういう話ですよね。

 そして、別のところにこう書いてある。引当金計上での一千億円の損失は、公的資金により損失補てんを既に実施済みである。これは三・六兆円の一部である。

 つまり、長銀処理に要した三・六兆円の一部、その一千億円。これは、長銀のそごうに対する貸し金の二千億のうちの半分。そして、今度は残りの半分を国民の税金からまたまた新生銀行に損失補てんする、こういう話になっているのですよね。このことにできるだけ触れないようにして、いや二百億円損失が多いだの少ないだのという議論をされているというのは、私は解しかねるのですよ、今回の議論で。

 端的に言えば、新生銀行、旧国有長銀のそごう向け債権、二千四十四億円だったと思いますが二千億円と言いましょう、二千億円については、この段階では国民の税金から丸々二千億円損失補てんをしてしまった。国民の税金から二千億円出捐された、これはそういうことになるのじゃないですか。違いますか。

○松田参考人 お答えをいたします。

 先生最初に言われた引当金相当の一千億、あれは、旧長銀が破綻処理をするときに、新生銀行に渡すときに新生銀行に引き継いでもらいました預金とか金融債、全額保護の制度でございますから、それの支払い原資に充てるということで、いわゆる資金援助として贈ったものでございます。その三・六兆の中に、いわば個社別に見ていきますと、そごう関係では二千億の債権に対して一千億の引当金が積まれた勘定になる、こういう話でございます。

 それで一たん処理が終わりまして、そうすると新生銀行には依然として金融債もあれば預金も残っているわけですから、我々がロス補てんに入れた第一次の資金援助で使った一千億は残っていると思います。我々は、名目が二千億である債権を一千億で今度購入したわけですね。そうしますと、ただ単に、前にやった一千億は資金援助ですから、穴埋めですから、これは完全に税金の投入でございました。しかし、今度は一千億をやることによって二千億の債権を我々は引き取ったわけです。今度はそれをいかに回収していくか、こういう問題が今我々に課されている課題だ、こういうことでございます。

○仙谷委員 松田さん、どうして私が言っていることと同じことをそういうわけのわからないような言い方をするのですか。いいですか、現にあなたのところに書いてあるじゃないですか、金融再生委員会から持ってきたペーパーに。一千億の損失は公的資金による損失補てんを実施済みと書いてあるじゃないですか、引当金計上で。そうでしょう。だから、今度一千億出したら二千億になるじゃないですか。都合二千億じゃないですか。

 問題は、こういう債権の全額を新生銀行に渡すことにした、瑕疵担保特約なるもののいかがわしさなのですよ。どこの国に、破綻懸念先、さっき森さんは、僕はテレビで見ていたら要注意先なんということを言っていたけれども、破綻先債権として七〇%の引当金を積んだから一千億になっているのでしょう、無担保部分について。それは谷垣さんが言っていたじゃないですか、この間、四月に私が聞いたときに。これはその一千億じゃないですか。それはもう堂々と言っているじゃないですか、公表して。それなのに、そういう無理なことを言わないでいいのですよ。

 ついに二千億払った、全額を払ったことと同じじゃないですか、新生銀行に。払ったことになっているわけでしょう。こんなことになぜなるのか。仮にRCC送りにしておれば、一割だったら二百億円入ってきていますよ。二百億円少なくて済んだかもわからない。一割となぜ言ったかというと、長銀のRCC送りにした債権の売却価格は大体一割だったじゃないですか。それは先般のこの委員会の私の質問に答えていますよ。問題は、やはりこの瑕疵担保と資産査定のところへ行くのですよ。

 そこで、再生委員長、改めて聞くのですが、今我々の目に見えているのは、第一ホテル、ライフ、エルカクエイ、それとそごう、こういう借り手が新生銀行のやはり借り手、債務者になって承継されているのですよ。そもそも、公刊物を見ますと、ライフは千二百五十二億円の債務が新生銀行にある。そごうが九百七十億、全部で二千五十億、第一ホテルが百五十一億、エルカクエイが九百五十六億、旧長銀にあった、それが新生銀行に引き継がれている、こう言われておるのですね。この各債権に対して引当金をどのぐらい積んであるのですか。

○森政府参考人 お答え申し上げます。

 第一ホテル、会社更生は五月二十六日になっておりますけれども、単体で申しまして、貸出残高は先生御指摘のとおり百五十一億円でございます。それに対する引当金は四十一億円積んでございます。

 ライフ、これは五月十九日に会社更生法の申請になっております。貸出残高は御指摘のとおり千二百八十九億、それに対する引当金は三百五十一億積んでおります。

 エルカクエイでございますけれども、二月十五日に会社更生法を申請しておりまして、単体で貸出残高は九百五十七億、引当金は五百六十五億でございます。

○仙谷委員 ようやく世間に明らかになっているものの引当金のお話をされました。

 私は四月十四日に、大体七〇%も引当金を積まなければならないような債権が何で適債権なんだという指摘をしました。あるいは、こういう適債権に無理やりして引当金を七〇%も積んでいるような、いわば破綻懸念先債権ですから不良債権の最たるものですよ。こんなものを適債権、保有するのが適当な債権として新生銀行に承継させる。当然のことながら、一月たったかたたないうちに、そごう、第一ホテル、あるいはエルカクエイに至ってはその以前だ、どんどん債権放棄なり法的な整理の手続が始まる。

 そもそもこの資産査定とは何なのか、こういうことを私は指摘したはずです。そしてさらに、そのことによって瑕疵担保責任を当然問われることになるのじゃないのか、瑕疵担保責任を問われたときに国が新生銀行に一体あとどのぐらい追い銭をやるのか聞きました。全然お答えにならない。

 それで私は、大体国民の税金を使うのにその中身を明らかにしない、そんなふざけた話があるかと言ったのですよ、久世委員長はいらっしゃらなかったけれども。それでも明らかにしない。こういうことの繰り返しだったわけです。

 先ほどテレビを拝見しておりましたら、中塚さんという自由党の方が質問をされて、まだ新しい方だからおずおずと聞かれて、森さんが、いや、それはお答えできません、勘弁してくださいと言っていた。

 つまり、今引き当てで積んであるお金というのは約九千億と言われている。一般の引当金総体九千億、個別引き当てが六千億、こうなっているじゃないですか。これがそごうと同じように、平均して五〇%の引き当てならば、つまり、担保のあるなしにかかわらず引き当ての金額を、そごうのときちょうど五〇%だからその当て推量で言うと、あと一兆二千億最大限新生銀行に追い銭を渡さなきゃいけなくなるじゃないですか。まさにこの点については、少なくとも件数と、何件の債務者について七〇%とか五〇%とか、私が申し上げているのは二〇%以上の引き当てを積んでいるのか。反対に言えば、破綻懸念先の債務者なのに無理をしてこれを適債権にしたのか。それを明らかにしてくださいよ。国民は危なくて眠れない、幾ら金がかかるのかわからないなんというのは。どうぞ。

○森政府参考人 お答え申し上げます。

 ポイントは、適資産として判定いたしましたのは、昨年の二月、二カ月かけまして金融再生委員会は、七千をはるかに超える中から判定をいたしまして、承継するのに適した取引先として七千少し選んだわけでございます。そごうについて言えば、そのときは要注意先Aでございましたと申し上げました。

 しかし、実際に長銀が最終的に譲渡されましたのは、それから約一年たったことしの二月でございます。そして、そのときの引き当てというのは、国側の監査法人がデューデリジェンスをいたしました。そのときには、確かにそごうのように破綻懸念先になったところもございました。しかし、当方といたしましては、破綻した金融機関はできる限り早期に処理するという金融再生法の趣旨に従いましてできるだけ早く資産判定を行いまして、それから後は、最後の譲渡のところでデューデリジェンスをして適正な引き当てを積むということで先方との交渉を行ってきたわけでございます。

 その間になぜ見直しを行わなかったかというところがポイントかと思いますけれども、もう一度見直しを行うとなると、全体の資産判定のし直しでございますから、やはりまた大変な時間がかかりまして、できるだけ早く譲渡するという趣旨に反してしまうということ。それから、受け皿から見ますと、売買の対象になっているものの内容が変わってしまうということで交渉が非常にやりにくくなるという点。

 そして、最後に言わせていただければ、我々は、それは瑕疵担保という枠組みの中で解決しようとしたものであって、それをわざわざRCCに持っていってしたとしても国民負担という観点からは、実は、RCCに適としたものを不適と判定し直して持っていった方が国民負担は大きくなるというふうにも思えた点もございます。そしてさらに、経済が立ち直ればまだ生きる可能性のあるところをわざわざRCCに持っていって回収一本やりということにするのが適当か、そんなような観点から、この大量処理の枠組みの中では、一たん一年前に適資産としたものにつきましては、基本的にはその状況のままで先方にいわば売り渡して、そして、後は瑕疵担保条項によって、もし瑕疵になり二割減価したら預金保険機構が買い戻す、こういう仕組みで先方と合意したわけでございます。

○仙谷委員 そんなもの、あなた、全然言いわけにならないじゃないの。

 譲渡基準日というのがあるんだから、譲渡基準日の資産内容を判定して、それをもとに売買というのが行われるのでしょう。もしそうじゃなかったとすれば、これは本当に、国民の税金を扱う官僚としては失格だ。許されない、そんなことは。どちらが高くなるとか安くなるとか言ったけれども、私がさっきやったように、RCCに行った方が国民の負担が安かったかもわからないじゃないですか。結局のところは二千億出すんでしょうが。

 それともう一つ、私の質問に答えていない。七〇%の引当金を積んだ適資産、何件あるのですか、そしてどういう金額なんですか。ちゃんと答えなさい、これを。

○森政府参考人 お答え申し上げます。

 適資産に係る貸倒引当金でございますけれども、予備的基準日貸借対照表、すなわちことしの二月末におきまして、先生御承知のとおり六千億弱、五千八百九十九億でございます。これは個別貸し引きの数字でございます。一般貸し引きは三千百十八でございまして、合計で九千二十八億でございます。

 先ほどの件数でございますけれども、これまでの国会でも何度も件数を開示しろという話がございますけれども、非常に件数が少なくなった場合には、いろいろ世の中の憶測によって、ここがこうだとかこうだとか、第三のまだ生きている取引先に対していろいろ悪影響を及ぼすおそれもあるということで、当方といたしましては、件数は御勘弁いただきたいということでこれまで来ております。お許しくださいませ。

○仙谷委員 ここまでそごうの問題が債権放棄ということで大きくなったけれども、事は、国民は、こういう不透明な形で税金がどのぐらい使われるのかわからない、このことを怒っているのですよ、実は。つまり、金融システムを保全するために必要な資金であればやむを得ないと思って辛抱したんじゃないですか、六十兆のときには。ところが、やみからやみに、だれが決めたのかわからない、あと残り幾らかかるのかわからないということに不安を持っているんじゃないですか。

 これは、件数と資産の総額、債権総額を明らかにされない限り、こんな審議できないですよ。とめますよ、委員長。

○萩山委員長 久世国務大臣。(発言する者あり)

 だから、私は国務大臣と呼んでいるのです。国務大臣久世公堯君。

○久世国務大臣 今までは全体の件数につきましては開示をしておりませんので、この開示につきましてはいろいろ問題がございますので、その方針を踏襲したいと思っております。

○仙谷委員 これ以上質問できませんから、問い方を変えます。

 では、この瑕疵担保責任の履行を迫られて、最大限あとどのぐらいの金額を新生銀行にプレゼントしなければいけないのですか、国民は。

○久世国務大臣 瑕疵担保特約に基づく追加の損失がどのくらいあるかという御指摘でございますが、どの程度の債務者が瑕疵あるいは特に二割減価の要件を満たすことになるかという見通しが難しいわけでございますので、その見込み等について計算することは困難でございます。

○仙谷委員 では、蓋然性の問題でいいですよ。だから七〇%引き当てをした破綻懸念先の件数とその金額を聞いているのじゃないですか、債権総額を。それがまさに瑕疵担保責任履行の非常に懸念のある金額じゃないですか。そのぐらいのことわからないのですか。わからないのだったら資格ないですよ、あなた。このことを昨年の十二月から、ことしの四月も、大蔵委員会で指摘してあるのですよ。ちゃんと指摘してあるじゃないですか。だから、こんなでたらめな契約を結んじゃだめだということを言ってあるじゃないですか。国民が幾ら国民の税金が損失補てんに使われるのかわからない、底なし沼のような契約をするのは許されないと申し上げてあるじゃないですか。

 ところが、何かあたかも大発明でもしたかのようにはしゃぎ回って、瑕疵担保特約をつけてついに契約できた、ばかなことを言いなさんな。国民はそこに怒っているのですよ。明らかにしてください。明らかにしないと、質問しない。

○森政府参考人 先生の御質問に対して、個別貸し引きの額は五千八百九十九億と申しましたけれども、それにぴったり合う債権額、ほとんど一致すると思うのですけれども、金融再生法開示債権というものを我々は発表しております。それで申しますと、五千八百九十九億円に相当する額面、債権額は、二千八百九十億円が更生債権でございまして、七千七百四十億円ぐらいが危険債権でございます。この二つを足すわけでございますので、一兆六百億円ぐらいが額面でございまして、一兆六百億円に対して五千八百九十九億円の引当金が積んである、そのように御理解いただければよろしいかと思います。

○仙谷委員 そうすると、先ほどの更生債権については一〇〇%積んである、こうおっしゃったわね、前のあれで。

 いずれにしても、あと五千億とかそういうオーダーで国から持ち出さなければいけない可能性が多々ある。既に、先ほどあなたがおっしゃったそごうとエルカクエイとライフと第一ホテル、これを合計しても二千億近くなるじゃないですか。そうすると、あと三千億ぐらいまだこれから持ち出さなきゃいけない、こういうことになるのですね。その可能性があるということになるのですね。

○森政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の仮説の中に一つ大きく抜けているのは、私は担保だと思うのでございます。担保については、こちらが一つ一つまだ調べておりません、今言った数字に立ちまして。もし担保がないとすれば、確かに一兆六百億に対して五千八百しか引き当ててないのでしたら五千億ぐらいになりますけれども、その中からどれほどを担保でカバーしているか。

 先ほどの話、もう一度ちょっと言わせていただきますと、確かにそごうを例にとりますと、一千億、これは金融債保有者等を保護するために、もう既に売り渡すときに損失が出ております。そして、今度新生銀行が解除権を行使しまして、我々は二千億円の額面とともに、最初に三・六兆の中からつぎ込んだ千億も一緒にもらってきました。したがって、今預金保険機構にありますそごうの債権の価値は千億でございます。したがって千億払ったわけです。

 したがって、預金保険機構の勘定、これは金融再生勘定でございますから、金融再生勘定の資産項目のところには、キャッシュが新生銀行に行きまして、それにかわって二千億マイナス千億という引当金、このうち千億は、最初に金融秩序維持のために国民に損をかけた三・六兆の内訳の千億でございますが、二千億から千億引いた一千億という実質価値の債権があります。あとはこの債権をどう預金保険機構が回収していくかでございますけれども、仙谷先生はその千億も損だとおっしゃいますけれども、我々は、その中で六百億の物的担保、これは必ずとれるというふうに考えておりますので、したがって、破産の場合であっても追加的な損失というのは四百ぐらいだと我々は見込んでおります。

 すなわち、もともとの千あるではないかといえば、その千に四百足して千四百が精いっぱいでございまして、今度民事再生法の手続の中でこの四百がどれほど縮まっていくか、二百になるか、そこら辺が預金保険機構の方の回収の努力による面もありますし、全体の民事再生法の中でどういうふうに再建策が策定され、それを裁判所が認定していくか、それによるものかと思います。

○仙谷委員 そんなことは当たり前の話じゃないですか。RCCに行ったって、担保分はちゃんと回収するのですよ。そんなこと自慢そうに話したってしようがないじゃないですか。

 ところで、再生委員長、ちょっと瑕疵担保責任の履行に関することを聞くのですが、金融再生法上、この瑕疵担保責任の履行を迫られたときにお金を払わなければいかぬのですね。そごうの場合だと一千億払わなければいかぬ。これはどういう法律的な根拠があるのですか。

○久世国務大臣 金融再生委員会が金融再生法に基づいて講ずる長銀の特別公的管理を通じた破産処理施策の一環として預金保険機構が行うものであるというところから、金融再生法の六十条六号の附帯業務というのがございまして、その十二号に、「前各号の業務に附帯する業務を行うこと。」こう書かれております。六十条は、御承知のごとく、この機構の業務の特例ということで書かれているわけでございますが、その中に、「三十九条第一項の規定により特別公的管理銀行の株式を取得すること。」となっておりまして、それに関する附帯業務ということで十二号に書かれているわけでございます。これに該当するものと私どもは思っております。

 

○仙谷委員 勝手に思われたら困るのですよ。何で特別公的管理銀行の株式を取得することに附帯する業務としてこの瑕疵担保契約の履行ができるのですか。私は、こんな拡大解釈というかむちゃくちゃな解釈を無理やりこじつけてやるというのは、とんでもない話だと思うのですね。裁判所に持っていってくださいよ、こういうことができるかどうか。

 さらにあえて言うと、五十三条を見てください、委員長、五十三条。五十三条は、「機構は、金融機関その他の者の資産を買い取ることにより第一条の目的を達成するため、次の業務を行うことができる。」それで、一号で資産を買い取ること、ハ、特別公的管理銀行、ニは、特別管理銀行じゃない普通の銀行からも買うことができるということになっているのですよ。新生銀行はもう特別公的管理銀行ではありませんわね、新生銀行という名前のとおり。そして、次の二項を見てください。「前項に規定する資産の買取り及びその委託は、次の各号に掲げる金融機関等の区分に応じ当該各号に定める場合に限り」、限りですよ、「行うものとする。」となっているのですよ。この二つの条文との関係で、新生銀行から一〇〇%お金を払って資産の買い取りができるなんという解釈は絶対に出てこない。法律をつくった我々が言うのだから間違いない。そこで池田さんもうなずいているから間違いない。

 特別公的管理が終わった後の、ある種の代金を払って承継された銀行から資産の買い取りをするについて、一〇〇%の代金を払って買い取るなんて、そんなことができるはずは、この金融再生法上はどこにもない。これは金融再生法違反なんですよ、こういう買い取りをするのは。いかがですか。

○久世国務大臣 ただいまは金融再生法の五十三条の条文を挙げられたわけでございますが、私が先ほど申し上げましたように、この債権買い取りの規定につきましては、六十条六号の附帯業務、その十二号のところで読むというふうに法律解釈上は承っております。

○仙谷委員 だれから承っているんですか。冗談じゃない。承るなんて冗談じゃないよ。

 あなたのおっしゃることだと、法律に書いてなくても、ほかの事柄についてはすべて限定的にとか、こういう場合にだけ許されると書かれておって、こんな大事なことが、瑕疵担保特約を結ぶこと、その履行をすること、国民の税金から新たな出捐を行うこと、こういうことが何でもできる、法律に書いてなくても何でもできるという話になるじゃないですか。そんなことが、この重大な金融行政、ましてや国民の財政的負担につながることについて何でもできるような、そんな解釈がこんな一般条項で行われるなんという法律はどこの国探したってないですよ。

○萩山委員長 事務局長から答弁をさせます。

○仙谷委員 事務局長はいい。事務局長はさっきから不必要なことばかり言うから、委員長やってください。

○久世国務大臣 ただいま申し上げましたように、この法解釈としては六十条六号の附帯業務だと考えておりますけれども、なお沿革のあることかと思いますので、技術的な問題でございますので、事務局長に答弁させたいと思います。

○仙谷委員 事務局長は必要ないです。

 五十六条を見てください。一般的に、さっきの「第五十三条第一項第一号の規定により金融機関等の資産を買い取る場合の価格は、当該資産が回収不能となる危険性等を勘案して適正に定められたものでなければならない。」こう書いてあるじゃないですか。

 そごうの債権を新生銀行から買い取るときに、債権回収の可能性、回収不能となる危険性を勘案すれば、全額払うなんてことはできるはずがないじゃないですか。

○森政府参考人 お答えさせていただきます。

 五十三条、五十六条については仙谷先生のおっしゃるとおりでございますけれども、本件につきましては、瑕疵担保条項が履行されたわけでございまして、新生銀行が解除したわけでございます。解除と申しますのは、やはりもとの状態に戻すということで、千億円で新生銀行に売ったものを千億円で買い戻すということでございます。ただ、その買い戻すという言い方が、非常に俗っぽい言い方で買い戻しと言いましたけれども、正確には解除でございまして、五十三条の買い取りとは違う枠組みで我々は考えているわけでございます。これは解除でございまして、いわば買い取りではないわけでございます。

○仙谷委員 そもそも、瑕疵担保特約を結ぶ権限がないのにやるからこうなるんじゃないですか。では、瑕疵担保特約のような、原状回復義務でもいいですよ、そういうことができる、そして全額支払うことができるという権限はどこで付与されているのですか。

 そもそも、もっと言うと、この種のお金が新生銀行に一千億も払われる。何の勘定から払われるのですか。まさか金融健全化勘定なんてことは言わないでしょうね。特例業務勘定でもないでしょうね。再生勘定でだってないですよ。再生勘定というのは、特別公的管理銀行時代の、そしてそれを終了するについての出捐について賄う勘定なんですよ。こんな、もう既に特別公的管理銀行が終わって、別の民間銀行になっている銀行との交渉において、お金が必要だからなんといって金融再生勘定なんか使えませんよ。

○久世国務大臣 瑕疵担保特約をつけました経緯につきましては、既に委員十分御承知のとおり、旧長銀というものを速やかに売却をしなければいけない、しかし、外国のようなロスシェアリングの法律上の制度がありますれば問題は別なんでございますけれども、我が国においてはその当時、今は預金保険法の方に入れられたわけでございますけれども、まだ施行にはなっておりませんが、当時としてはこういう規定がなかったわけでございますので、やはり目的を達成するためには、民法には法理として瑕疵担保の規定もあれば、また一般に民法、商法の世界においては瑕疵担保の契約を結ぶことになるという法理がございますので、その法理に従ってこの瑕疵担保条項を入れたわけでございます。

 これは、当時の旧長銀というものを、できるだけ速やかに、かつ、段取りよく、ある程度の期間内においてこれを売却するためには、こういう条項なくしては契約ができなかったという事態がございますので、御了承賜りたいと思います。

 

○仙谷委員 これは、十二月三日のこの委員会での質問で、つとに指摘してあるのですよ。そういういいかげんな話は困る。たった十億円で売っているのですよ、言っておきますけれども。

 そういう何か瑕疵担保特約が民法の瑕疵担保の法理に基づいているとか基づいていないというのは、私がちゃんと、これは全く民法と関係ない、似て非なるどころの騒ぎじゃない、全く関係ない、交渉によって押しまくられただけだと。

 とりわけ、今新たにどんどん問題が膨れ上がっているように、本来は適資産にすべき資産じゃない債務者に対する貸し金を適資産にどんどん潜り込まそうとするから、足元を見られて、こんなむちゃくちゃな瑕疵担保特約なんか結ばされたんじゃないですか。それ以外考えられない。全部RCCにお引き取り願えばよかったんじゃないですか。何で七〇%も引き当てるのですか。

 そこまで無理をして、さらに無理をして瑕疵担保特約を結んで、何でリップルウッドと契約を結ばなければいけないのですか。たった十億円ですよ。

 そして、聞くところによると、ゴールドマン・サックスに十億円の報酬を払っているというじゃないですか。何をやっているのですか、国は。

 いいですか。この瑕疵担保特約、いかに民法の理論と背馳しているか。ちょっとした弁護士に聞けばすぐわかりますよ。ほう、こんな便利なものがあるんだねとだれも言いますよ。裁判官に聞いたってわかりますよ。

 法律的にはこれは非常に大問題がある。幾ら私的自治の原則で、当事者同士が何をやってもいいという理論があるにしても、片や国が税金を使って一私人たる投資組合と結ぶ契約としては大問題だ、こんなことがあってはならぬということを申し上げたはずです。今もそう思っています。

 そして、今大きく問題になっていることは、そのことがあるがために、皆さん方は二百億円多くなるとか少なくなるとか言っているけれども、非常に不透明な格好で、国民負担がどこまでふえていくかわからない、こういうことですよ。

 瑕疵担保特約に基づいてそごうの債権の引き取りについて合意はしたというけれども、直ちにこの合意を破棄して、そごう債権の引き取りをやめてください。一千億円払うのをやめてください。どうですか。

○松田参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたとおり、解除条件は充足いたしておりまして、解除権の行使に同意をするという通知を私ども発しております。今さらそれを破棄するということは、契約の信義上からいってもできないと私は思っております。

○仙谷委員 それでは、今度反対にこれをやってください。

 こういうとんでもない事態。国民の費用最小の法則に従っていないとおっしゃるわけでしょう、そごうが法的整理に移ったために。こういう事態を考えなかったゴールドマン・サックスの責任は大きい。何のためのアドバイザーだったんだ。何のために十億円払ってアドバイザー契約を結んだんだ。何のために瑕疵担保特約のような契約のついた契約を結んだんだ。何のために十億円の売買代金でこんな契約が結ばれたのか。三兆六千億プラス一千億の三兆七千億、国民の税金がとりあえず出ていっているのですよ。それをたった十億円で売買契約した。そのアドバイスをしたゴールドマン・サックス、何ですか、これは。だれかゴールドマン・サックスの責任を問おうという政府関係者はいないのですか。こんなのは忠実管理義務に反するアドバイザーですよ。どうですか。

○森政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、こういう前例のない大きな銀行が破綻いたしまして、金融再生法のもとで処理するというときに、当時の委員会で、どういう手法を使ってやるかということを議論した末に、やはり、世界のMアンドAのいわばグローバルスタンダードになっておりますFAというものを活用すべきだということで、FAを公募いたしまして、その中から、いろいろな観点を再生委員会で審査した上に、先生御指摘のゴールドマン・サックスを選定いたしました。

 ゴールドマン・サックスの仕事というのは、まずは受け皿探しでございまして、日本を含む世界の買い手先に当たり、買い手候補をそろえ、その条件を整備して、こちらとの交渉の土台づくりをしたということでございまして、例えば、瑕疵担保条項などをゴールドマン・サックスが考え出したわけじゃなくて、瑕疵担保条項はあくまでも当委員会で、法律の専門家もおりまして、そういう中から、二次ロス対策が金融再生法にはない中で、この二次ロスについて何か手を打たなければ買い手が出てこないといいますか、買い手は一様に二次ロス対策を求めておりましたので、何らかの対応をしなければ交渉はまとまらないという状況にありましたもので、委員会の中で法律専門家で考えまして、さらにリーガルオプチューンもとりまして、民法の法理を使って、いわば民法の趣旨のもとで瑕疵担保条項というのは有効であろうということで受け皿候補に対して提示したということでございまして、先方から要求されたわけでもございませんし、フィナンシャルアドバイザーが考えたものでもございません。

○仙谷委員 反対のことを言っているんですよ。フィナンシャルアドバイザーがせっかくおるのだったら、ゴールドマン・サックスは、国民、つまりタックスペイヤーの、税金の支払い者の損失を最小化するために、こんな条項を結んではいけませんよということを忠告する義務があったんじゃないのですか、善管注意義務というのはそういうものじゃないですかと私は言っているのです。そんなことができていないんだから、ゴールドマン・サックスに損害賠償の請求をしなきゃいかぬじゃないですか。極めて、ゴールドマン・サックスに対しても、リップルウッドに対しても、新生銀行に対しても甘いのですよ。国民に対しては厳しいのですよ。

 三兆六千億が、あなたのさっきの話だと、四兆一千億になってもそれほど痛痒を感じないというふうな議論にしか聞こえないのですよ。つまり、国民の負担で税金を金融システムの保全とかシステミックリスクの回避とかいうことに使う緊張感が薄いのですよ。森さんじゃないんですよ、私が言っているのは久世さんとかそこに並んでいる政治家の皆さん方を言っているんだ。役人の方々は、しょせん政治家の顔を見て、背中を見て仕事をするのだろうから、だから言っているのですよ。本当に私は情けないと思います。

 もう一点だけ、本当にあなた方の議論でよくわからない議論を、これは宮澤さんもおっしゃっているし久世さんもおっしゃっているが、債権放棄した方が国民の損失が少なくなると一生懸命言っています。しかし、問題は、新生銀行のそごうに対する債権の現在価値、現在価格が幾らかということで決まるのであって、机上の空論の、経営再建計画か何かわからぬけれども、それがあるから必ず払ってもらえる。水島さんの個人保証がついているのかどうなのかもわからない、日本興業銀行が銀行としての保証をつけたのかどうかわからない、日本興業銀行がどこまで生き延びられるのかもわからない、そういう時代において、果たして、現在一千億円を放棄した方が回収額が高い、どうしてそんなことが言えるのですか。

 現在この債権を売るとすれば幾らか。それは、新生銀行の方は八百億円以下だと思っているわけでしょう。そう思ったから債権放棄に応じなかったんじゃないですか。二割減価している、引当金を除いて、担保部分を含めて八百億円以下になっている、こう計算したから新生銀行、言ったわけでしょう。それを再生委員会は認めたわけだ、二割以上減価しているということを。値打ちが減っているということを認めたわけだ。自分で二割以上減っているということを認めておきながら、いや、法的整理になったらこの二割の二百億円以上損するんだと。債権放棄したら、減ったと自分が認めた二割の二百億円が生き返ってきて、国民の負担が少ないんだと。どういう論理的な計算でそうなっているのかよくわからない。素人をたぶらかす議論にしか聞こえない。どうですか。

○久世国務大臣 私どもも、金融再生法の趣旨をわきまえて、何よりも、費用最小化の原則と申しますのは国民の税金をできるだけ少なくする、負うところは少なくするという方針のもとに債権放棄の預保の考えに同意をしたわけでございます。それは、今御指摘もございましたけれども、あくまでも日本興業銀行がメーンバンクとしていろいろな角度からこの問題に携わっておられるわけでございまして、九百七十億にしました経緯につきましても、興銀自身が、メーンバンクとして自分の銀行についてのあれはもろにかぶりながら、この再建計画というものをつくっているわけでございます。その再建計画をやはり一つの基礎として、かつ、私どもも、再生委員会議、これに基づいて厳密にこの検討をいたしました。

 今いろいろ御指摘がありましたけれども、その後の事情の変更によりましてもいろいろ考えているわけでございますけれども、それによりますと、国民の税金としてはやはり債権放棄をすることが最善ということで決定をしたわけでございます。その後、そごうが自主的な考え方に基づいてこれを白紙に戻したわけでございますけれども、それによって、確かに国民の税金というのはふえることが予想されますけれども、これはこれとして今後努めていかなければいけないと思いますが、私どもも、正確な試算ではございませんが、一応のめどとして二百億から二百六十億ぐらいはこの方法を採用しない限りかかるということを申しましたのも、私どもとしても、国民の税金を最小にするという、絶えずそのことを念頭に置いてやってまいったわけでございます。

○仙谷委員 時間が参ったようですから終わりますが、いいですか、再生委員長、歴史的な経緯として、長銀も三兆七千億もかかるなんということはだれも思っていなかったんですよ。そごうも、法的整理になったら回収率はもっと低くなるかもわからない。あるいは債権放棄で当面その行き先をしのいで先送りしても、あと三年後、五年後にどかんといったらもっと大きな穴があくかもわからない。そんなことはわからないのですよ。

 今の業態から見ると、百貨店業界の全体から見ても、あなたがおっしゃるような、こんな、今の高島屋と売り上げが同じで利益が三倍も出るなんという再建計画をつくったって、だれも信用しませんからね。マーケットからも信用されない、消費者からも信用されない。そういうことを前提に債権放棄などということを決めるのは、本当に何も知らない無知か、国民の税金のことを何も考えていない、本当に緊張感を欠いた仕事かどっちかですよ。

 それで、先ほどから申し上げているように、瑕疵担保特約、これの解約をひとつ、今から考えて遅くないから、新生銀行とどういう訴訟になってもいいからやってください。それから、新生銀行からの引き取り請求なんということがあっても、全部裁判にかけてください。司法の場で堂々と、こんなものが通用するのかどうなのか、国民の前でやってください。私はこれは無効だと思う。あり得てはならない契約をして、あり得てはならない支払いをしようとしている。このことはもとに戻って考え直さないと、自民党政権は吹っ飛びますよ。

 終わります。